JPH09255981A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH09255981A
JPH09255981A JP8064464A JP6446496A JPH09255981A JP H09255981 A JPH09255981 A JP H09255981A JP 8064464 A JP8064464 A JP 8064464A JP 6446496 A JP6446496 A JP 6446496A JP H09255981 A JPH09255981 A JP H09255981A
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Takayuki Kato
崇行 加藤
Takeshi Yamada
健史 山田
Satoru Kuramoto
覚 藏本
Masato Takamatsu
正人 高松
Masuhiko Kawamura
益彦 川村
Shunei Omori
俊英 大森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非塩素系冷媒用の冷凍機油に適用できて、焼
き付き防止効果の大きい潤滑油組成物を提供する。 【解決手段】 冷凍機油のうち、ポリアルキレングリコ
ール等の合成油に、ヨウ化n−ブチル等のヨウ素化合物
を0.1〜10重量%、エポキシヘキサデカン等のエポ
キシ系化合物を0.5〜10重量%添加して、潤滑油組
成物を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば冷凍サイク
ルに使用される冷凍機油として使用され、摺動部の焼き
付きを起こしにくくすることのできる潤滑油組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷凍サイクルの冷媒としては、塩
素系冷媒、例えばフロンガスR12が広く使われてい
た。ところが、前記のような塩素系冷媒は、オゾン層破
壊の問題から、塩素を含まない非塩素系冷媒、例えばフ
ロンガスR134aに置換されてきている。この非塩素
系冷媒用の冷凍機油としては、非塩素系冷媒と相溶性の
よい合成油が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、非塩素系冷
媒は塩素を含まないため、その合成油との組み合わせに
おいて、従来の塩素系冷媒と鉱油系冷凍機油との組み合
わせに比べて、潤滑油が希薄な状態での潤滑性が劣ると
されている。このため、例えば冷凍サイクルの一部を構
成する圧縮機の摺動部において、潤滑油の圧縮機内への
戻り量が少ない場合には、焼き付き等の不具合が発生す
るおそれがあった。この問題を解決するために、例えば
従来から使用されてきた種々の潤滑性向上用添加剤(リ
ン系、モリブデン系、イオウ系、塩素系、無灰系等)を
合成油に添加して、焼き付き防止効果を向上させること
が考えられる。しかし、いずれの添加剤も若干の焼き付
き防止効果の向上は認められるものの、従来の塩素系冷
媒と鉱油系冷凍機油との組み合わせにおける焼き付き防
止効果には及ばないものであるという問題があった。
【0004】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
しては、非塩素系冷媒用の冷凍機油に適用できて、焼き
付き防止効果の大きい潤滑油組成物を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の潤滑油組成物の発明では、潤滑油
とヨウ素化合物とエポキシ化合物とから組成される潤滑
油組成物であって、該ヨウ素化合物は0.1〜10重量
%含有されることを特徴とするものである。
【0006】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の潤滑油組成物において、前記エポキシ系化合物は
0.5〜10重量%含有されることを特徴とするもので
ある。請求項3に記載の発明では、請求項1または2に
記載の潤滑油組成物において、前記潤滑油組成物は、冷
凍サイクルに使用される冷凍機油としたものである。
【0007】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の潤滑油組成物において、前記冷凍サイクルは、非塩
素系冷媒を冷媒とするものである。請求項5に記載の発
明では、請求項4に記載の潤滑油組成物において、前記
冷凍機油が合成油によりなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態に
ついて、順次詳細に説明する。この発明の潤滑油組成物
は、合成油によりなる冷凍機油に、ヨウ素化合物を0.
1〜10重量%、エポキシ系化合物を0.5〜10重量
%含有させてなる。そして、この潤滑油組成物は、例え
ばフロンガス134a等の非塩素系冷媒を冷媒とする冷
凍サイクルに使用される。
【0009】前記合成油としては、例えばポリアルキレ
ングリコール系合成油、エステル系合成油等が挙げられ
る。この合成油は非塩素系冷媒との相溶性がよいため、
液冷媒に均一溶解されると共に、冷媒ガスに対してミス
ト状で安定分散される。このため、冷凍サイクル内の冷
媒ガスの流れにのせて、例えば圧縮機の摺動部等潤滑の
必要な部分に安定して潤滑油組成物を供給することがで
きる。
【0010】前記ヨウ素化合物としては、例えば炭素数
1〜8の直鎖脂肪族炭化水素、分岐脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素、あるいは、芳香族炭化水素のヨウ化物が
挙げられる。具体的には、ヨウ化メチル、ヨウ化エチ
ル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化iso−プロピル、ヨ
ウ化n−ブチル、ヨウ化iso−ブチル、ヨウ化ter
t−ブチル、ヨウ化n−ペンチル、ヨウ化2−メチル−
ブチル、ヨウ化2,2−ジメチル−プロピル、ヨウ化n
−ヘキシル、ヨウ化n−ヘプチル、ヨウ化n−オクチ
ル、ヨウ化シクロヘキシル、ヨウ化フェニル等が挙げら
れる。
【0011】このように、ヨウ素化合物が添加された合
成油が、冷媒ガスの流れにのって、冷凍サイクル内を循
環することによって、ヨウ素化合物が圧縮機の摺動表面
に接触する。そして、摺動表面の金属原子とヨウ素化合
物中のヨウ素とが反応して、摺動表面に金属ヨウ化物の
皮膜が形成される。そして、摺動表面の潤滑特性が向上
されて、摺動表面上の潤滑油が希薄になった場合におい
ても焼き付き等の不具合が起こりにくいものとなる。
【0012】ここで、ヨウ素化合物の合成油に対する含
有量が0.1重量%未満では、焼き付き防止効果の向上
がほとんど認められない。一方、含有量が10重量%を
越えると、焼き付き防止効果のさらなる向上は認められ
ないばかりか、製造コストが高いものとなって好ましく
ない。つまり、ヨウ素化合物の含有量は0.1〜10重
量%の範囲内が好適であり、十分な焼き付き防止効果を
得るためには1〜10重量%の範囲が特に好ましい。
【0013】ところで、合成油にヨウ素化合物を数重量
%以上加えると、合成油の高温下での化学安定性が低下
する。ヨウ素化合物を含む合成油に対して、所定の条件
でシールドチューブ試験を行うと、合成油の劣化、つま
り合成油の全酸価の上昇が観察される。このような酸化
された潤滑油が冷凍サイクル内を循環されると、金属部
品の腐食、プラスチック及びゴム部品の劣化等の不具合
を生じるおそれがある。
【0014】これに対して、この実施形態の潤滑油組成
物では、エポキシ系化合物が添加されている。このた
め、高温条件下で酸化された合成油分子及びヨウ素化合
物から遊離されたヨウ素が、エポキシ系化合物に捕捉さ
れて、金属部品の腐食、プラスチック及びゴム部品の劣
化等の不具合の発生が防止される。このエポキシ系化合
物としては、例えばエポキシ化炭化水素、エポキシ化脂
肪酸エステル等が挙げられる。
【0015】ここで、エポキシ系化合物の含有量が0.
5重量%未満では、十分な安定化効果が得られない。一
方、含有量が10重量%を越えると、安定化効果が飽和
状態となるとともに、製造コストが高いものとなって好
ましくない。つまり、エポキシ系化合物の含有量は0.
5〜10重量%の範囲内が好適であり、十分な安定化効
果を得るためには1.5〜10重量%の範囲が特に好ま
しい。
【0016】以上のようなこの実施形態によれば、次の
ような効果が得られる。 (1) ヨウ素化合物を添加することより、非塩素系冷
媒の循環する冷凍サイクル内の圧縮機の摺動表面におい
て、ヨウ化物の被膜が形成される。そして、摺動表面上
の潤滑油が希薄な状態となっても、焼き付き等の不具合
が起こりにくくすることができる。
【0017】(2) ヨウ素化合物に加えて、エポキシ
系化合物を添加することにより、ヨウ素化合物による合
成油の熱劣化が抑制されて、金属部品の腐食、プラスチ
ック及びゴム部品の劣化が抑制される。
【0018】(3) 冷凍機油として、非塩素系冷媒と
の相溶性に優れた合成油が採用されている。このため、
ヨウ素化合物を含む合成油が冷媒に均一分散され、その
冷媒が冷凍回路内を循環されることにより、ヨウ素化合
物を圧縮機の摺動表面に確実に導くことができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、この発明を
さらに具体的に説明するが、この発明はこの実施例によ
ってなんら限定されるものではない。
【0020】なお、潤滑油組成物の性能評価は次のよう
にして行った。 (焼き付き防止性評価)斜板式圧縮機を実装する冷凍サ
イクルに、冷媒としてフロンガスR134aを潤滑油組
成物とともに封入した。そして、圧縮機への潤滑油戻り
量が通常運転時の1/10以下となるような条件下で、
圧縮機を4000rpmで運転し、摺動部の焼き付きが
発生するまでの焼付時間を時間を測定した。この試験の
条件は、圧縮機内の潤滑油が少なくなって、摺動表面上
の潤滑油が希薄な状態を反映している。 (安定性評価)潤滑油組成物の化学的安定性は、いわゆ
るシールドチューブ試験に準拠して行った。つまり、潤
滑油組成物を所定量ガラスチューブ内に入れ、水200
0ppmを添加し、触媒としてFe、Cu、Alの細線
を浸漬し、ガラスチューブ内の上方空間部に微量の空気
を含むフロンガスR134aを満たして、ガラスチュー
ブを封緘した。このガラスチューブを175℃で90時
間放置後開封して、潤滑油組成物の全酸価を測定した。 (実施例)冷凍機油用合成油として代表的なポリアルキ
レングリコールに、ヨウ素化合物としてヨウ化n−ブチ
ルを所定量添加し、さらにエポキシ系化合物としてエポ
キシヘキサデカンを所定量添加して潤滑油組成物を得
た。ヨウ化n−ブチルの含有量をそれぞれ変更して得ら
れた各潤滑油組成物の焼き付き防止性評価結果を、表1
及び図1に示した。ヨウ化n−ブチルの含有量を3重量
%とし、エポキシヘキサデカンの含有量を変更して得ら
れた各潤滑油組成物の安定性評価結果を、図2に示し
た。 (比較例1)ポリアルキレングリコール単独での、焼き
付き防止性評価結果を表1及び図1に示した。 (比較例2〜6)ポリアルキレングリコールに、表1に
示す各種の潤滑性向上用添加剤を5重量%添加して比較
例2〜6の潤滑油組成物を得た。これらの潤滑油組成物
の焼き付き防止性評価結果を表1に示した。また、比較
例2については、リン系の潤滑性向上用添加剤であるリ
ン酸エステルの含有量をそれぞれ変更して得られた各潤
滑油組成物の焼き付き防止性評価結果を、図1に示し
た。
【0021】
【表1】
【0022】図1に示したように、ポリアルキレングリ
コール単独の比較例1では、前記圧縮機内の潤滑油が希
薄な条件での焼き付き防止性評価において、100秒で
圧縮機の摺動部の焼き付きが認められた。これに対し
て、実施例においては、ヨウ化n−ブチルを0.1重量
%添加するのみでも焼付時間の延長が認められ、さらに
ヨウ化n−ブチルを1重量%添加することにより焼付時
間が比較例1の約16倍に延長された。そして、ヨウ化
n−ブチルの含有量が3重量%以上では、3600秒を
経過しても摺動部の焼き付きが認められず、焼き付き防
止効果が著しく向上された。ここで、従来の塩素系冷媒
であるフロンガスR12を鉱油系の潤滑油とともに使用
して前記焼き付き防止性試験を行った場合には、360
0秒を経過しても摺動部の焼き付きが認められない。つ
まり、非塩素系冷媒であるフロンガスR134aを使用
する冷凍サイクルにおいて、ポリアルキレングリコール
にヨウ化n−ブチルを3重量%以上添加することによ
り、塩素系冷媒であるフロンガスR12を使用する場合
に匹敵する焼き付き防止効果が認められた。
【0023】一方、表1に示したように、ポリアルキレ
ングリコールに各種の潤滑性向上用添加剤を5重量%添
加しても、いずれも比較例2のポリアルキレングリコー
ルのみの場合に比べ、わずかに焼付時間が延長されたに
すぎないものであった。
【0024】また、図2に示したように、前記実施例の
潤滑油組成物において、エポキシヘキサデカンを0.5
重量%添加することにより、シールドチューブ試験後の
全酸価が、エポキシ系化合物を添加しない場合に比べて
半減された。そして、エポキシ系化合物の含有量が2.
5重量%以上では、全酸価の低下が飽和した状態となっ
た。従って、エポキシヘキサデカンを0.5重量%以上
添加することにより、ヨウ化n−ブチルの添加に伴って
引き起こされる潤滑油の劣化が抑制されることが認めら
れた。
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の潤滑油組
成物によれば以下の優れた効果を奏する。
【0026】請求項1及び2に記載の発明によれば、摺
動表面において、ヨウ化物の被膜が形成される。そし
て、潤滑油が希薄な状態となっても、摺動部の焼き付き
等の不具合が起こりにくいものとなる。
【0027】さらに、ヨウ素化合物による合成油の熱劣
化が抑制されて、冷凍サイクルの金属部品の腐食、プラ
スチック及びゴム部品の劣化が抑制される。請求項3〜
5に記載の発明によれば、ヨウ素化合物を含む合成油が
冷媒に均一分散され、その冷媒が冷凍回路内を循環され
ることにより、ヨウ素化合物を圧縮機の摺動表面に確実
に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 添加剤含有量と潤滑油組成物の焼き付き防止
効果との関係を示す説明図。
【図2】 エポキシ系化合物含有量と潤滑油組成物の焼
き付き防止効果との関係を示す説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 健史 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 藏本 覚 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 高松 正人 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 川村 益彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大森 俊英 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油とヨウ素化合物とエポキシ化合物
    とから組成される潤滑油組成物であって、 該ヨウ素化合物は0.1〜10重量%含有されることを
    特徴とする潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ系化合物は0.5〜10重
    量%含有されることを特徴とする請求項1に記載の潤滑
    油組成物。
  3. 【請求項3】 前記潤滑油組成物は、冷凍サイクルに使
    用される冷凍機油である請求項1または2に記載の潤滑
    油組成物。
  4. 【請求項4】 前記冷凍サイクルは、非塩素系冷媒を冷
    媒とする請求項3に記載の潤滑油組成物。
  5. 【請求項5】 前記冷凍機油が合成油によりなる請求項
    4に記載の潤滑油組成物。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS61296092A (ja) * 1985-06-25 1986-12-26 Ajinomoto Co Inc 潤滑油組成物
JPH05230487A (ja) * 1992-02-20 1993-09-07 Nippon Oil Co Ltd フッ化アルカン冷媒用冷凍機油組成物
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