JPH09254041A - 合成砥石及びその製造法 - Google Patents

合成砥石及びその製造法

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JPH09254041A
JPH09254041A JP7028096A JP7028096A JPH09254041A JP H09254041 A JPH09254041 A JP H09254041A JP 7028096 A JP7028096 A JP 7028096A JP 7028096 A JP7028096 A JP 7028096A JP H09254041 A JPH09254041 A JP H09254041A
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abrasive grains
synthetic
grindstone
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JP7028096A
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Yoji Tomita
洋司 富田
Kan Sato
敢 佐藤
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固定砥粒により鏡面仕上げを行うポリッシン
グあるいはプレポリッシング加工に適した合成砥石およ
びその製造方法を提供する。 【構成】 連続気孔を有する多孔質構造体よりなる合成
砥石であって、該構造体内に平均粒径が3μmより小さ
い粒径の砥粒が粒子同志が相連接するように存在し、砥
粒粒子間に構造上生ずる間隙には結合材が介在し、該結
合材をもって前記砥粒粒子を構造体内に固定化せしめて
なり、前記結合材は少なくとも2種を配合させた複合系
の樹脂である事を特徴とする合成砥石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被加工体の表面の仕上げ
加工、所謂ポリッシング工程において使用される合成砥
石に関し、特に、極めて微細な超微粉砥粒を含有した合
成砥石及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属、金属化合物、ガラス、石材、ある
いはプラスチックス等の物品の表面の加工としては、旋
盤やビトリファイド砥石等による切削加工、レジノイド
砥石等による粗加工、弾性砥石やラッピングによる中加
工、プレポリッシングやポリッシングやバフ掛けによる
仕上げ加工等があり、各々の加工に適した方式によって
仕上げられ、最終的に鏡面が得られるまで加工が施され
る。
【0003】上述の加工方法のうち砥石を使用した加工
法においては、砥石内に分散・固定化された砥粒を被加
工体(以下ワークと略記する)の表面に当接して行うの
であるが、砥粒として合成砥石内に分散・固定化された
固定砥粒を使用するときは、良好な面が得られると同時
にワーク表面の形状の修正力も併せ持ち、面粗さにも形
状精度にも優れた加工法とされているが、砥粒を固定化
する必要上、使用する砥粒の粒径に限界があった。即
ち、砥粒の粒径が小さくなるとそれを固定する結合材と
の接着力が弱く、製造工程中で合成砥石の組織より砥粒
が脱落したり、或いは分離偏在したりして良好な砥石が
得られず、そのため従来はこの種の合成砥石においては
粒度が3000番手(粒径4μm)〜4000番手(粒
径3μm)の砥粒を分散・固定したものを得るのがせい
ぜいで、これ以上の番手の砥粒を固定化した合成砥石を
得る事は難しかった。
【0004】一方、最終の工程に近いプレポリッシング
やポリッシング工程では鏡面のような優れた面粗さを得
ることが必要であるので、砥粒としては微細な超微粉の
ものを用いる必要がある。そのためラッピング加工やポ
リッシング加工の場合は遊離の砥粒粒子を加工手段とし
て用いるものであり、例えば金属製定盤や合成皮革等を
貼付けた定盤面にワークを押しあて、その間に遊離砥粒
スラリーを供給しつつ加工を行なうという方式であっ
て、一般的に遊離砥粒加工方式と呼ばれ、前述の合成砥
石による固定砥粒加工方式とは区別されている。
【0005】この遊離砥粒加工方式としては、定盤面に
スェード調合成皮革や不織布等の比較的軟質のものが用
いられて、砥粒をスラリー状態として流しながらいる行
なわれている。しかし、この方式の場合、砥粒をスラリ
ーとして流しながら使うため砥粒としての作用効率に劣
り、高価な砥粒を大量に浪費するのみならず、加工屑や
使用後あるいは余剰の砥粒を高い比率で含んだ廃液が多
量に発生し、その処理に大変な負荷がかかり経済的に不
利であると言う問題点がかなり前から指摘されていた。
更に、その多量の廃液が作業環境を著しく汚染するので
作業自体が近年嫌われ、作業者の定着を悪化させるとい
った付随的問題点も指摘されて来ている。特に、砥粒が
ミクロンあるいはサブミクロンオーダーの超微粉である
場合、廃液中でその粒子が再凝集し強固な凝集塊を形成
し、例えば加工作用面に付着してワーク面に異常傷をも
たらしたり、あるいは廃液の配管中に堆積して管を詰ま
らせたりする事があり、就中ガラスの鏡面仕上げ加工に
おいては、特にその傾向が強い酸化セリウム微粉が砥粒
として使用されているので、早期の解決が望まれてい
た。
【0006】上記の問題点を解決するため、加工方式を
固定砥粒方式に変更する事が考えられるが、先に述べた
ように、粒子径が小さいとそれを固定する結合材との接
着力が相対的に弱く、製造工程の途中で組織から脱落し
たり分離偏在したりして、良好な合成砥石を形成する事
ができず、また見かけ上合成砥石を形成する事ができて
も砥粒はしっかりと把持されていないため固定砥粒とし
て作用する事ができなかった。また、合成砥石を形成す
る事ができてもその砥粒率が低く、実際の砥石として通
用しなかったりして、全体に技術的に不十分であった
り、あるいはコスト面での問題があったりして完全なも
のは完成されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
からの仕上げ加工分野にみられる諸問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的となす所は鏡面加工等の仕上
げ加工に属する分野での用途に適した超微粒子砥粒を組
織内に強固に把持した合成砥石を提供する事にあり、さ
らに本発明の他の目的は前述の砥石を製造する方法を提
供する事にある。
【0008】
【課題を達成するための手段】上記の目的は、連続気孔
を有する多孔質構造体よりなる合成砥石であって、該構
造体内に平均粒径が、3μmより小さい粒径の砥粒が粒
子同士が相連接するように存在し、砥粒粒子間に構造上
生ずる間隙には結合材が介在し、該結合材をもって前記
砥粒粒子を構造体内に固定化せしめてなり、前記結合材
は少なくとも2種以上の熱硬化性樹脂を配合させた複合
系の樹脂であることを特徴とする合成砥石とすることに
よって達成される。
【0009】更に、本願発明の他の目的は、熱硬化性樹
脂あるいはそのプレポリマーまたは前駆体の溶液に、平
均粒径3μmより小さい粒径の砥粒、気孔生成材および
硬化触媒を加え均一に撹拌して得られた原液を所定の型
枠に注型加温し、反応固化せしめて得られた中間体をそ
のまま熱処理あるいは水洗乾燥して、水分及び他の未反
応物を除去した後、熱処理を施して硬化せしめる事を特
徴とする合成砥石の製造方法、及び、ポリビニールアル
コールの水溶液に平均粒径3μmより小さい粒径の砥粒
を加え均一分散せしめた液を1液とし、他の一種または
それ以上の熱硬化性樹脂あるいはそのプレポリマーまた
は前駆体の水溶液にアルデヒド類、気孔生成剤、及び硬
化触媒を加え均一分散せしめた液を2液とし、両液を混
合し得られた均一粘稠原液を所定の型枠に注型加温し、
反応固化せしめて得られた中間体をそのまま熱処理ある
いは水洗乾燥して水分及び他の未反応物を除去した後、
熱処理を施して硬化せしめる事を特徴とする合成砥石の
製造方法とすることによって達成される。
【0010】即ち、本発明は、従来固定化が極めて困難
であった超微粒子砥粒を固定化した合成砥石にかかり、
該合成砥石によって従来遊離砥粒をもって行なっていた
プレポリッシングあるいはポリッシング加工を行なうよ
うにしたもので、また、上述の製造法を採用することに
よって超微粒子砥粒を固定化した合成砥石を製造するこ
とが可能となったのである。
【0011】次に本発明について詳細に述べる。本発明
にかかる合成砥石において使用する砥粒の種類は、酸化
セリウム、酸化クロム、炭化ケイ素、アルミナ、酸化
鉄、ダイヤモンド、エメリー、窒化ホウ素、炭化ホウ
素、ガーネット、ジルコン等特に限定はないが、その平
均粒径は、3μより小さい粒径を有する事が必要であ
り、3μm以上の粒径のものでは粗過ぎてワークを鏡面
あるいはそれに近い状態に仕上げる、つまりポリッシン
グあるいはプレポリッシングを行うことが出来ない。上
記の砥粒の中でも、酸化セリウムはその硬度および靱性
がガラス、あるいはシリコン等半導体原料となる結晶体
の研磨加工に好適であるため従来より一般的に使用され
てきた。そこで、酸化セリウムを主成分として使用した
本発明にかかる合成砥石は、ガラス、あるいはシリコン
のプレポリッシングおよびポリッシング用の砥石として
適用が可能である。ここで言う酸化セリウムを主成分と
する砥粒とは、所謂一般的にいわれるセリウム砥粒であ
るが、酸化セリウムの精製が難しいため近接元素である
ランタニド系元素のハフニュウム等の酸化物が不純物と
して多く含まれており一般的には酸化セリウムとしての
純度が30%以上のものを指すのであるので、以下この
ものをセリウム砥粒と略記する。
【0012】本発明の合成砥石は連続気孔を有する多孔
質構造体を構成している。ここでいう連続気孔を有する
多孔質構造体とは、複数個の微細な気孔が互いに連結し
た状態で組織中に存在した構造体のことをいい、特に本
発明の目的を達成し、更に研磨熱蓄積と言った好ましか
らざる現象を回避するためには前記微細気孔が相連続
し、更にはその平均気孔径が20μm以上、好ましくは
30〜50μmであり、100ミクロンを越えると組織
が粗になり過ぎて好ましくない。
【0013】本発明の合成砥石は、砥粒同志が相連接す
るように存在する。即ち、プレポリッシングあるいはポ
リッシング工程においては、ワーク表面がほぼ鏡面に近
い状態になるように加工し、各個の砥粒の条痕が目立た
ないようにする要があり、そのためには砥粒粒子の存在
確率を極めて高いようにしなければならない。砥粒粒子
の存在確率を極めて高くする要件としては、平均粒径3
μより小さい砥粒粒子の占める体積が砥石全体の5乃至
50%の範囲におき、かつ各々の砥粒粒子同志が隙間な
く連続するように存在することが必要であって、この範
囲を下回ると良好で均一な加工面を創成する事能わず、
また上回ると固定砥石を形成する組成強度を得ることが
できなくなる。また、ワークに対して砥粒が常に更新さ
れ、加工力が持続する事、即ち砥粒の自生作用に優れる
こと、および脱落した砥粒と加工屑の系外への排出が円
滑である事が重要であり、そのためには砥粒粒子が密に
存在する事と同時にポリッシング作用時に砥粒が比較的
容易に脱落し得る結合材を選定する事、更に多孔質構造
体となす事により脱落砥粒や加工屑を把持、排出してや
る事が有効である。
【0014】本発明で結合剤として使用する熱硬化性樹
脂は、ポリビニールアセタール系樹脂(以下PVAt系
樹脂と略記する)、フェノール系樹脂、メラミン系樹
脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂のう
ちから選定した熱硬化性樹脂であって、該熱硬化性樹脂
の少なくとも2種使用する。即ち、本発明では砥粒が凝
集する事なく、しかも、上述の高い比率で存在する砥粒
粒子を把持するために適した結合材を選定することが必
要であり、本発明者等はそれをなす結合材としてPVA
t系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂等からなる熱硬
化性樹脂のうち少なくとも2種を配合させた複合系の樹
脂の硬化体が好ましい結果を与える事を見出したのであ
る。そして、本発明では2種以上組合せて使用すること
によって、本発明になる合成砥石にその用途に合わせた
好ましい物性、例えば脆性、靭性、硬度等を任意に付与
する事ができたのである。
【0015】使用する熱硬化樹脂の内、PVAt系樹脂
とはポリビニールアルコールをアルデヒド類と反応させ
た樹脂であり、これを選定した事由は、砥粒の分散即ち
凝集の予防に大きな影響を有するのであって、製造過程
においてポリビニールアルコールの水溶液に砥粒の微細
粒子を分散せしめる事によってその初期における凝集を
阻止することが可能となる。ポリビニールアルコールを
PVAt系樹脂となすには次以降の工程においてアルデ
ヒド類を反応系中に添加してやれば、熱あるいは酸触媒
の影響で反応し形成される事となる。本発明におけるP
VAt系樹脂の主たる役割は、上述の通り砥粒粒子を分
散し二次凝集を防止する事であるが、それ以外に当然の
ことながら結合材としての役割も持っており、初期段階
で砥粒粒子を二次凝集させることなく均質に分散させた
そのままでの形で砥粒粒子を組織内に接着把持し、安定
に固定化するということが挙げられる。
【0016】しかしながら、PVAt系樹脂の性質は親
水性に富むものであるものの一方、柔軟で可撓性を有す
るものであるから、これのみでは砥石特有の硬度と寸法
安定性等を持たせる事は困難であり、したがってPVA
t系樹脂にない物性、即ち好ましい硬さ、靭性、脆性、
寸法安定性等はこれ以外の成分を併用することで補強す
ることが必要となるのであり、本発明になる合成砥石に
おいてはフェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン
系樹脂、エポキシ系樹脂の中から選定する事が本発明目
的達成に好適である。
【0017】また、フェノール系樹脂は砥石に強靱性を
与え、強固な構造組織を形成するのに好適であり、これ
を主たる結合材とした場合、寸法安定性に優れ、正確な
形状精度をもった精密加工が可能であるが、その強靱性
が故に砥石自体の摩耗が少なく、砥粒切刃の自生作用を
うまく促進するには高圧、高回転の条件下で加工を行な
うことが必要となる。
【0018】しかるに、プレポリッシングあるいはポリ
ッシング工程での加工は比較的低圧力における軽い条件
での加工が主体であり、したがってフェノール系樹脂を
主たる結合材とした砥石をこの用途に用いた場合は上述
の理由により有効砥粒の自生作用が十分でなく、目的と
する加工が行なえないだけでなく、結合材そのものによ
る傷つきというような好ましからざる現象が起こったり
して好ましくない場合がある。
【0019】フェノール系樹脂を主たる結合材とした場
合上述のようなことが起こるのであるから、このような
場合はフェノール系樹脂の靭性を緩和し、砥粒の自生作
用を促すために砥石組織自体に脆弱さを付与する事が有
効である。熱硬化性樹脂の中では、メラミン系の樹脂が
フェノール系樹脂にない脆性(もろさ)を持つ樹脂であ
るのでこの両者を適宜組み合わせることにより、各々が
本来持つ靭性と脆性といった性質を加減し、ワークの種
類、加工条件にあった精密合成砥石を供給することがで
きるようになる。即ち、本発明になる合成砥石はその結
合材としてフェノール系樹脂とメラミン系樹脂を選定す
る事がより好ましい結果を与える。
【0020】次に本発明に係る合成砥石の製造方法につ
いて説明する。本発明になる合成砥石は多量の微細砥粒
を組織内に均質に分散させ、かつその使用目的に合致し
た硬さと脆さを併せ持ったものでなくてはならないた
め、その製造方法はそのような物性と組織を持つ組成と
その手順を提供する事を要旨とするのである。
【0021】即ち、その方法において、まず熱硬化性樹
脂あるいはそのプレポリマーまたは前駆体の所定の濃度
の水溶液を調整し、それを均質に撹拌しながら、気孔生
成材および硬化触媒を加え均一に撹拌し、更に平均粒径
が3μmより小さい粒径の砥粒を少しずつ加え、スラリ
ー状の原液を調整する。然る後、前記スラリー状原液を
所定の型枠に注型し、温水浴等に静置し溶液反応固化せ
しめてる。ここにおいて、スラリー状の原液を調製する
方法としては従来の合成砥石の製造方法の場合と異なら
ず、例えば、熱硬化性樹脂あるいはそのプレポリマーま
たは前駆体の水溶液の濃度としては5〜70%好ましく
は10〜50%であり、気孔生成材として、澱粉類、C
MC等を、さらに必要に応じて硬化剤としてアルデヒド
類、硬化触媒として酸類を使用する。また、スラリー状
原液を注入する型枠の材質は、反応中加えられる熱を速
やかに型枠内部の原液に伝えることができ、なおかつ原
料混合物によって劣化することなく、加熱によって変形
・変質しない物であれば特に限定されるものではない
が、例えばステンレスや塩化ビニル、ポリプロピレン製
の型枠が好ましく用いられる。続いて、スラリー状の原
液を適当な温度例えば60℃程度の温度で加温して固化
させる。
【0022】反応固化した中間体を型枠より取出してそ
のまま熱処理あるいは常法によって水洗乾燥し、水分他
未反応物を除去する。然る後、熱処理装置に入れ、前記
中間体を乾燥すると共に熱硬化性樹脂のキュアリングを
行ない所定の硬度、脆さを持った砥石とする。しかし
て、このキュアリング過程においける昇温速度、最終到
達温度、及び熱履歴等は最終製品の性能に係わる重要な
工程であるため、用いた樹脂の種類、要求性能に合わせ
て条件を設定する事が肝要であるが、通常100℃乃至
180℃の温度で設定される。
【0023】しかして、砥粒として、3μmより小さい
セリウム砥粒を用いた場合、セリウム砥粒はそれ自体強
固な二次凝集体を形成しやすい上、更に微粒子なるが故
に凝集しやすくかつ分散が極めて困難である。かかる砥
粒を組織内に多量にかつ均質に分散せしめるためには、
まず始めの分散作用が大切であり、そのためには砥粒同
志の凝集を解離し、安定な状態に置いた上で取り扱って
行く事が肝要である。
【0024】例えば酸化セリウムを界面活性剤等の分散
剤をあらかじめ添加した水溶液中に緩やかに攪拌しなが
ら投入する事で微細な砥粒粒子といえども二次凝集する
事無く液中に分散できる。しかし、界面活性剤を用いる
と、原料混合液中の触媒や熱等によって界面活性剤が劣
化し、得られる砥石の品質を低下させることがあり、好
ましくない。したがって、このような場合には酸化セリ
ウムの分散液としてポリビニルアルコールの水溶液を用
いると好適である。ポリビニルアルコールの水溶液は分
散力に富む物質であるため酸化セリウムの分散液として
好適であることに加え、界面活性剤の如く劣化する可能
性が低く、なおかつ反応硬化後は結合剤として作用する
ため、後で酸化セリウムの分散液に加える結合剤の量を
減じる事ができ結果的に得られる砥石の酸化セリウムの
含有率を高めることができる。さらに、ポリビニルアル
コールで砥粒の表面をあらかじめなじませた後に、各種
熱硬化性樹脂を加えると、結合剤成分と砥粒表面のなじ
みがよくなり結果的に得られる砥石の砥粒保持力が向上
する効果もある。ここで使用するポリビニルアルコール
の水溶液は特に限定を受けるものではないが、あまり高
濃度の水溶液を使用すると粘度が高くなりすぎてその分
散力を阻害するので、通常10%以下の水溶液を使用す
ることが好ましい。なお、更に分散性を高めるために、
砥粒自体を予め湿潤状態におき、その状態でポリビニル
アルコール水溶液中に投入することによってより一層よ
い硬化を得ることが期待される。このようにして得られ
たポリビニールアルコール水溶液中にセリウム砥粒を投
入し均質分散させた液を1液とする。
【0025】次に、他の熱硬化性樹脂の水溶液に、硬化
剤としてのアルデヒド類、気孔生成材としての澱粉類、
及び硬化触媒を加え均質分散せしめた液を2液として、
1液中に2液をゆっくりと投入しながら均質撹拌し反応
原液を調整する。この反応原液を所定の型枠中に注型し
たのち加温し、予備硬化を起こさしめる。ここで硬化し
て得られた固形物は、まだ中間体であり、そのまま熱処
理あるいは、これを水洗して、澱粉類や未反応の樹脂、
過剰なホルマリン、硬化触媒等を除去する。然る後、熱
処理機に入れ、前記中間体を乾燥し更に熱硬化性樹脂の
キュアリングを行ない所定の硬度、脆さを持った砥石を
得る。
【0026】本発明方法に言うアルデヒド類とは、ホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒド等脂肪族アルデヒドの
一価のものあるいは多価のもの、あるいは芳香族系統の
ものいずれも使用可能であるが、反応が水系で進むもの
であるから、水溶性のものを用いるかあるいは安定なエ
マルションを形成するものが好ましい。また、上記の反
応の硬化触媒として用いるものは、塩酸や硫酸等の無機
酸類、あるいはカルボン酸等の有機酸類いずれも使用可
能であり、更には水溶液中で酸性を呈する塩類を用いて
もよい。
【0027】
【実施例】以下、実施例に従い本発明になる合成砥石お
よびその製造方法を具体的に説明する。 実施例1 70%の水溶性フェノール樹脂400mlおよび60%
の水溶性メラミン樹脂250mlからなる混合液を調整
し、気孔生成材として澱粉を投入分散後、全量が770
mlとなるように水を加え、続いて粒径2.2μmの酸
化セリウムの砥粒1400gを分散混合した。得られた
原液を所定の型枠に注型した後、該型枠を60℃の温水
浴中に静置し、24時間反応を行なった。流水下で十分
水洗した後、80℃の通風乾燥機中にて乾燥し、更に、
170℃に昇温して熱処理を行なった。得られた砥石は
適度の硬さと脆さを持つものであり、その物性値は別表
に記載する通りである。この砥石を片面加工機に取り付
け、小型円盤状のガラス板の加工を行なったところ、優
れた面粗さと加工量を得る事が出来た。
【0028】実施例2 10%のポリビニルアルコール水溶液300mlを調整
し、平均粒径1.5μmの酸化セリウム砥粒1200g
をこの中に少しずつ投入し、均質攪拌し、得られた分散
液を1液とした。次に、70%フェノール樹脂400m
lに硬化剤としてホルマリン、気孔生成材としての澱粉
を加え、緩やかに攪拌しつつ均質混合して得られた混合
液を2液とした。1液を撹拌しつつ、2液をゆっくり加
え十分に撹拌して分散したのち、触媒としての硫酸を加
え、全量を1000mlとするように水を加え、十分に
攪拌し、反応原液を得た。得られた反応原液を所定の型
枠に注型し、それを約60℃に温調した温水浴中に16
時間静置し内容物の固化を行なわしめた。固化した内容
物を型枠より取出し、これを流水下で水洗し、硫酸、コ
ーンターチ、過剰なホルマリンを系外に除去した。然る
後、流水下で十分水洗、80℃の通風乾燥機中にて乾
燥。更に、145℃にまで昇温して熱処理を行なった。
得られた砥石の物性値は表1に記載する通りであった。
得られた砥石を凹状に成型し凸状の表面を持つ光学レン
ズの加工を行なった所、鏡面で傷や斑のない凸レンズを
得る事が出来た。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明になる砥石は、従来遊離砥粒を使
用したポリッシングあるいはプレポリッシング加工を固
定砥粒をもって行なう事が出来、特にガラスのポリッシ
ングあるいはプレポリッシング加工に好適な砥石を提供
することが出来た。そして、本発明においては固定砥粒
をもった合成砥石とすることによって従来の遊離砥粒を
使用した所謂ポリッシング仕上げ加工における欠点を回
避することが出来効果を奏した。更に、ワーク表面には
砥石表層に存在する砥粒の先端エッジ部分により極めて
効率的な作用が発現され、遊離砥粒で行なったよりはる
かに優れた面が得られるのみでなく、砥粒の凝集等がな
いため、例えばスクラッチ等の好ましからざる現象も抑
制されるという波及効果も期待する事ができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続気孔を有する多孔質構造体よりなる
    合成砥石であって、該構造体内に平均粒径が、3μmよ
    り小さい粒径の砥粒が粒子同士が相連接するように存在
    し、砥粒粒子間に構造上生ずる間隙には結合材が介在
    し、該結合材をもって前記砥粒粒子を構造体内に固定化
    せしめてなり、前記結合材は少なくとも2種以上の熱硬
    化性樹脂を配合させた複合系の樹脂であることを特徴と
    する合成砥石。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂が、ポリビニールアセター
    ル系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタ
    ン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂のいずれかであ
    る請求項1記載の合成砥石。
  3. 【請求項3】 平均粒径3μmより小さい粒径の砥粒
    が、酸化セリウムを主成分である事を特徴とする請求項
    第1項記載の合成砥石。
  4. 【請求項4】 少なくとも2種を配合させた複合系の樹
    脂の一方の樹脂が、ポリビニールアセタール系樹脂であ
    る請求項1記載の合成砥石。
  5. 【請求項5】 少なくとも2種を配合させた複合系の樹
    脂が、フェノール系樹脂とメラミン系樹脂との組み合わ
    せからなる請求項1記載の合成砥石。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂あるいはそのプレポリマー
    または前駆体の溶液に、平均粒径3μm以下より小さい
    粒径の砥粒、気孔生成材および硬化触媒を加え均一に撹
    拌して得られた原液を所定の型枠に注型加温し、反応固
    化せしめて得られた中間体をそのまま熱処理あるいは水
    洗乾燥して、水分他未反応物を除去した後、熱処理を施
    して硬化せしめる事を特徴とする合成砥石の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリビニールアルコールの水溶液に平均
    粒径3μmより小さい粒径のセリウム砥粒を加え均一分
    散せしめた液を1液とし、他の一種またはそれ以上の熱
    硬化性樹脂あるいはそのプレポリマーまたは前駆体の水
    溶液にアルデヒド類、気孔生成剤、及び硬化触媒を加え
    均一分散せしめた液を2液とし、両液を混合し得られた
    均一粘稠原液を所定の型枠に注型加温し、反応固化せし
    めて得られた中間体をそのまま熱処理あるいは水洗乾燥
    して水分他未反応物を除去した後、熱処理を施して硬化
    せしめる事を特徴とする合成砥石の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008030194A (ja) * 2001-11-21 2008-02-14 Saint-Gobain Abrasives Inc 多孔質研磨工具及びその製造方法
US7527662B2 (en) 2002-06-28 2009-05-05 Noritake Co., Limited Abrasive body and method of manufacturing the same
JP2011117873A (ja) * 2009-12-04 2011-06-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd レプリカ採取方法
US9108299B2 (en) 2011-06-14 2015-08-18 3M Innovative Properties Company Self-contained fibrous buffing article
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