JP2696776B2 - 合成砥石およびその製造方法 - Google Patents

合成砥石およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は合成砥石及びその製造方法に係り、更に微細
には粒度の極めて小さい砥粒を含有した研磨用に好適な
合成砥石及びその製造方法に関する。
(従来の技術) 合成砥石は、研磨材である砥粒を合成樹脂等の結合材
により保持し固定化したものであり、例えばビトリファ
イド砥石,レジノイド砥石といった結合材の種類の違う
ものがそれぞれ特性に従って様々な分野で用いられてい
る。砥石の性質は、砥粒の大きさや質によって左右さ
れ、例えば粒度の大きいものは研削目的に適しており、
粒度が極めて小さい高番手で硬いものは表面粗さを良く
する研磨目的に適している。合成砥石は目的に応じた粒
度(番手)の砥粒を適宜な結合材で結合して製造される
ものであり、一般に粒径20μm以上の砥粒を結合し固定
化するのは砥粒の材質が何であれ比較的容易である。し
かしながら、砥粒の粒度が小さくなり、より微細な砥粒
となるほど、その固定化は難しく、品質のよい合成砥石
を製造するのは容易ではない。特に代表的な合成砥石で
あるヒドリファイト砥石やレジノイド砥石においては、
その限界は400番(平均粒径約30μm)程度といわれて
おり、それより粒度の小さい高番手のものを得るのは困
難とされている。
一方、ポリビニルアセタール系樹脂を結合材とした合
成砥石は、比較的接着力にすぐれたポリビニルアルコー
ルを原料としているので、合成砥石の中では砥粒の保持
力に卓越しており、粒度が3000番手(粒径4μm)ない
し4000番手(粒径3μm)程度のものまで得ることがで
きる。しかしながら、ポリビニルアルコールもガラス研
磨に好適な酸化セリウムや金属研磨に好適な酸化クロム
とはなじみが悪いため、ポリビニルアセタール系樹脂を
結合材としたとしても、酸化セリウムや酸化クロムの微
細粒子を砥粒とした合成砥石は、未だ満足すべきものが
得られていないのが現状である。
一般に、高精度の研磨加工は合成砥石を用いる方式で
はなく、ラッピング研磨と称せられる遊離砥粒を用いる
方式が採用されている。しかしながらラッピング研磨は
研磨効率が悪く、高価な遊離砥粒を多量に消費し、経済
的に不利である。更に、作業環境を著しく汚染するので
作業自体が近年嫌われ、作業者の定着が悪いといった問
題も生じている。このため研磨加工に好適な微細な砥粒
を含有した合成砥石の出現が望まれている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者等は、砥粒を含有したセルロース複合粒子を
用いることによって、粒度の小さい砥粒が安定して強固
に結合材に保持・固定化されることを見出し本発明を完
成したものであって、本発明の目的は平均粒径10μm以
下の微細な砥粒を研磨材とした研磨加工に好適な合成砥
石およびその製造方法を提供するにある。
(課題を解決するための手段) 前述の目的を達成するため、本発明は、平均粒径10μ
m以下の微細な砥粒を複数個含有した再生セルロース複
合粒子をポリビニルアセタール系樹脂、又はポリビニル
アセタール系樹脂と熱硬化性樹脂の混合物からなる結合
材で固定化してなり、微細連続気孔構造を有する多孔体
である合成砥石を第1の要旨とする。
また前述の他の目的を達成するため、本発明は、平均
粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個含有した再生セル
ロース複合粒子とポリビニルアルコールとを、気孔形成
材と共に混合し、架橋剤及び触媒の存在下で反応させて
得られた反応生成物を水洗し、気孔形成材及び未反応の
架橋剤と触媒とを除去することを特徴とする微細連続気
孔構造を有する多孔体である合成砥石の製造方法を第2
の要旨とし、平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
含有した再生セルロース複合粒子とポリビニルアルコー
ルと熱硬化性樹脂の初期縮合物とを、気孔形成材と共に
混合し、架橋剤及び触媒の存在下で反応させて得られた
反応生成物を水洗し、気孔形成材及び未反応の架橋剤と
触媒とを除去した後、熱処理することを特徴とする微細
連続気孔構造を有する多孔体である合成砥石の製造方法
を第3の要旨とし、平均粒径10μm以下の微細な砥粒を
複数個含有した再生セルロース複合粒子とポリビニルア
ルコール、もしくは平均粒径10μm以下の微細な砥粒を
複数個含有したセルロース複合粒子とポリビニルアルコ
ールと熱硬化性樹脂の初期縮合物を、気孔形成材と共に
混合し、架橋剤及び触媒の存在下で反応させて得られた
反応生成物を水洗し、気孔形成材及び未反応の架橋剤と
触媒とを除去した後、更に熱硬化性樹脂の初期縮合物を
施与し、熱処理を施すことを特徴とする微細連続気孔構
造を有する多孔体である合成砥石の製造方法を第4の要
旨とするものである。
本発明の合成砥石は、一般に行われているように砥粒
を直接結合材で結合し固定化するのではなく、砥粒を含
有したセルロース複合粒子を結合材で結合し固定化する
ものである。このように構成することにより従来固定化
することが極めて困難であった粒径10μm以下の微細な
砥粒が合成砥石に分散固定化されることになる。
本発明に用いられる砥粒としては例えば、酸化セリウ
ム,酸化クロム,炭化ケイ素,アルミナ,酸化鉄,ダイ
ヤモンド,エメリー,窒化ホウ素,炭化ホウ素,ガーネ
ット,ジルコン等が挙げられる。その粒径について、本
発明では従来の方法では固定化することが極めて困難で
あった平均粒径10μm以下の砥粒に対し特に有効であ
る。平均粒径10μm以下の砥粒は、一般に言うポリッシ
ング即ち精密仕上げあるいは鏡面仕上げといった分野、
あるいはそれと類似した分野に極めて好適なものであ
る。
本発明にいうセルロース複合粒子は上記砥粒を含有す
るものであって、その粒子径は特に限定されるものでは
なく、大きい方が結合材との固着性がよくなる傾向にあ
り好ましい。しかしながら、セルロース複合粒子はその
粒子径が300μmを越えると、砥粒を均一に分散含有し
たものが得られにくい傾向にあり、通常は粒子径50〜30
0μmのものが用いられる。
セルロース複合粒子中に含有される砥粒の量は技術的
に可能な限り多い方が研磨効果上好ましいが、セルロー
ス1重量部当り好ましくは0.1重量部以上、より好まし
くは1重量部以上、更に好ましくは5重量部以上であ
る。セルロース複合粒子中において砥粒は通常均一分散
状態で存在してもいるが、砥粒同士が隣接状態で存在し
てもよい。本発明においては、砥粒は直接結合材と固着
されるのではなくセルロースを介して固着されるもので
あり、個々の砥粒はセルロース複合粒子に埋入された状
態で含有されるのが望ましい。
上記の砥粒を含有した本発明の再生セルロース複合粒
子は例えば次のようにして製造することができる。即
ち、 (1)ビスコースと上記の砥粒とを水溶性のアニオン性
高含子化合物とともに撹拌混合して砥粒を含有したビス
コースの微粒子分散液を生成せしめ、 (2)(i)上記分散液を加熱するかあるいは上記分散
液を凝固剤と混合することによって該分散液中のビスコ
ースを凝固させ、次いで酸で中和、再生して砥粒を含有
した再生セルロースの微粒子を生成するか、あるいは、 (ii)上記分散液を酸で凝固および中和、再生し
て砥粒を含有した再生セルロースの微粒子を生成し、次
いで、 (3)該再生セルロースの微粒子を母液から分離し、そ
して必要により脱塩、酸洗い水洗あるいは乾燥する、こ
とを特徴とする製造方法である。
上述の方法は既に本願出願人によって提案した(特願
平1−122082号に記載)ものであるが、第1の工程によ
り砥粒を含有したビスコースの微粒子分散液を生成し、
第2の工程により砥粒を含有したセルロースの微粒子を
生成し、そして第3の工程で該セルロースの複合微粒子
を母液から分離し安定化させる事を要旨とするものであ
る。この方法で得られるセルロース複合粒子は、通常球
状粒子であり、その粒子径は撹拌条件等の製造条件によ
り容易に調節することができる。
本発明のセルロース複合粒子は、微細な砥粒をセルロ
ースに包接したものであるが、セルロース複合粒子中で
砥粒が強く凝集したり、硬目の団粒を形成するものでは
ない。またセルロース複合粒子自体は極めて軟弱で外力
に対し弱く、研磨加工に伴う外力によりただちに崩壊し
て砥粒としての作用をするものである。
本発明の結合材として用いられているポリビニルアセ
タール(以下、「PVAt」と略記する)系樹脂とは、ポリ
ビニルアルコールとアルデヒド類を酸触媒の存在下で架
橋反応(アセタール化反応)させたものである。
本発明においては、結合材としてPVAt系樹脂を単独で
用いてもよいが、熱硬化性樹脂との混合物を用いてもよ
い。PVAt系樹脂は湿潤状態で柔軟性,ゴム弾性を示すの
で熱プレス等の手段で熱処理し硬化させてもよい。結合
材としてPVAt系樹脂だけを用いた場合は耐水性が不足す
るため、合成砥石としてはハンドグラインダー等の乾燥
状態で用いる所謂乾式砥石として用いるのが好ましく、
研磨液を用いる湿式研磨には不向きである。一方、PVAt
系樹脂と熱硬化性樹脂の混合物は耐水性がよく合成砥石
としての好ましい硬度,脆性等が付与されている。上記
混合物は、ポリビニルアルコールと熱硬化性樹脂の初期
縮合物の混合物を反応させて得たものであってもよく、
あるいはPVAt系樹脂とした後熱硬化性樹脂の初期縮合物
を施与して硬化せしめたものであってもよい。
本発明における熱硬化性樹脂としては、例えばメラミ
ン系樹脂,ウレタン系樹脂,フェノール系樹脂,尿素系
樹脂,エポキシ系樹脂,ポリイミド等が挙げられ、就中
メラミン系樹脂,ウレタン系樹脂及びフェノール系樹脂
が好適である。メラミン系樹脂は硬脆性を付与するのに
適し、フェノール系樹脂は強靭性を付与するのに適して
いる。
本発明の合成砥石は研磨効率や耐久性等の理由から、
好ましくは砥粒の平均粒径よりも大きな平均気孔径の微
細連続気孔を有し、更に好ましくは平均気孔径10〜200
μm、気孔率40〜87容量%の微細連続気孔を有する多孔
質構造体である。また本発明の合成砥石の砥粒率は、好
ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上
で、砥石としての物性を損わない範囲において、高い方
が望ましい。
本発明の製造方法に用いられるポリビニルアルコール
(以下、「PVA」と略記する)は、好ましくは平均重合
度300〜2000,ケン化度80モル%以上のものである。気孔
形成材とは澱粉等の水溶性物質が用いられ、本発明にお
いては、澱粉類が好適である。澱粉類としては、植物か
ら抽出される澱粉粒が挙げられ、植物の種類によって粒
径が異なるので、目的とする気孔径に応じ適宜選択すれ
ばよい。また大きな気孔径を得るために澱粉を一旦α化
させて乾燥したのち粉砕し、必要に応じ分級した加工化
澱粉を用いることもできる。
本発明の方法に用いる架橋剤とは、アルデヒド類であ
り、例えばホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等の脂
肪族系のもの、ベンズアルデヒド等の芳香族系のものが
挙げられる。またアルデヒド基を1つ有するものでも、
複数有するものでもよい。
本発明の方法に用いる触媒とは、水溶液中で酸性を示
す酸性触媒であり、PVAの架橋反応を促進する効果を有
するものである。具体的には、例えば塩酸,硫酸等の無
機酸、酢酸,蓚酸,クエン酸,酪酸,マレイン酸,ベン
ゼンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、通常塩酸又は硫
酸が用いられている。その他、強酸と弱塩基からなる酸
性塩類、例えば硝酸亜鉛,塩化第二鉄等を用いてもよ
く、更にこれらを併用してもよい。
上記セルロース複合粒子,PVA,気孔形成材,架橋剤及
び触媒を用いて、本発明の第1の方法で合成砥石を製造
するには、まずPVAを温水に溶解してPVA水溶液とする。
PVAの濃度は通常5〜20重量%に調整して使用される。
得られたPVA水溶液に必要量のセルロース複合粒子を加
え、更に気孔形成材としての澱粉の水分散液を加え混合
する。続いて、架橋剤としてのアルデヒド類及び触媒を
加えて充分撹拌混合して均質粘稠反応原液とする。澱粉
は混合したのち一旦加熱して膨潤させてもよい。
引き続き得られた反応原液を所望の型枠に流し込み、
例えば40〜100℃の温度にて加熱して架橋反応せしめ
る。反応終了後、反応生成物を型枠より取り出して水で
充分洗浄し、澱粉及び未反応の架橋剤と触媒を洗い流せ
ばよい。
次に本発明の第2の方法で合成砥石を製造するには、
まず上記第1の方法と同様にして得られたPVA水溶液に
第1の方法で加えたものと同様の材料とともに、熱硬化
性樹脂の初期縮合物を加え、充分撹拌混合して均質な粘
稠反応原液とする。続いて得られた反応原液を第1の方
法と同様にして架橋反応させ、水で洗浄したのち、熱処
理を施し熱硬化性樹脂を硬化すればよい。熱処理条件は
用いられた熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選定すれば
よいが、一般的には120〜200℃で行われる。
上述の方法で用いられる熱硬化性樹脂の初期縮合物は
水溶性のものであって、その種類及び量は用途に適した
物性が得られるよう適宜選定すればよく、具体的には例
えばメラミン系樹脂,ウレタン系樹脂,フェノール系樹
脂,尿素系樹脂,エポキシ系樹脂,ポイミド等が挙げら
れ、好ましくはフェノール系樹脂,ウレタン系樹脂が用
いられる。フェノール系樹脂としては酸触媒の存在下に
て縮合反応をすすめ硬化するレゾールが好適である。上
記熱硬化性樹脂は1種類だけ用いてもよく、また2種類
以上を組合せて使用してもよい。
本発明の第3の方法で合成砥石を製造するには、上記
第1あるいは第2の方法で得られる水洗後の反応生成物
に対し、熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液を浸漬等の
手段によって内部まで充分含浸させたのち、遠心分離機
等適宜な方法で絞液し、その付着量を調整してやる。続
いてこれを熱処理し熱硬化性樹脂を硬化させればよい。
上記第3の方法において含浸付着させる熱硬化性樹脂
とは、その初期縮合物が水溶性のものであり、具体的に
はメラミン系樹脂,ウレタン系樹脂,フェノール系樹
脂,尿素系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリイミド等が挙げ
られる。本発明においてはこれらの熱硬化性樹脂を単独
で用いてもよく2種以上を組合せて用いてもよい。更に
必要により、上記熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液
に、硬化剤や触媒を添加するのも好適である。又、上記
熱処理は100℃以下の温度から徐々に昇温してまず乾燥
状態とするのが好ましく、然る後更に昇温し、通常は12
0〜200℃程度で行われる。
熱処理の温度が低過ぎると硬化が不十分であり、高過
ぎると酸化劣化が起り易く好ましくない。また昇温が急
激過ぎると硬化反応の暴走現象、所謂パンキング現象が
起ったりすることもあるので、これを回避するために熱
処理を不活性ガス雰囲気で行ってもよい。更にヒンダー
ドフェノール系化合物等の酸化防止剤を微量添加するの
も有効である。
本発明においては、PVAがアルデヒド類と反応すると
同時に、砥粒を含有したセルロース複合粒子のセルロー
ス成分もアルデヒド類と反応し、PVAt系樹脂とセルロー
ス複合粒子とがうまく融合一体化し、砥粒のより強固な
結合材に変化するものと考えられる。更に熱硬化性樹脂
の初期縮合物は主として水溶液として添加され容易にセ
ルロース複合粒子中に浸透して硬化反応がすすみ、全般
的に全く均質な結合材組織を形成するものであり、実際
の使用時にあたっては砥粒を一次包含させたことの弊害
は全く見られない。
以上の方法に従って製造された合成砥石は、微細な砥
粒を含有したセルロース複合粒子が分散固着され、且つ
連続気孔構造を有するものである。この合成砥石は微細
砥粒がセルロースを介してPVAt系樹脂に強固に結合し固
定化されており、その砥粒率は通常5重量%以上であ
る。
本発明の第1の方法で製造された合成砥石は、結合材
がPVAt系樹脂のため、乾燥状態では硬化体であるが湿潤
状態では柔軟性,ゴム弾性を有するものである。それに
対し、熱硬化性樹脂を併用した他の製造方法で得られた
ものは、湿潤状態においても好ましい硬度と脆性を有す
るものである。
(発明の効果) 本発明の合成砥石は、従来の合成砥石では極めて難し
いとされていた平均粒径10μm以下の砥粒を強固に保持
固定化することができ、本発明の合成砥石は従来品より
も高精度の研磨加工が可能となる。本発明の合成砥石を
用いると、従来ラッピング研磨やポリッシング研磨とい
った遊離砥粒方式で行っていた研磨加工を固定砥粒方式
によって行うことができる。このため砥粒の無駄を少な
くし、作業環境が著しく改善され、排液への汚染も激減
し、排水処理が容易になるとともに、経済的にも極めて
有利である。また、作業環境の改善は作業者の定着率を
高めるといった副次的効果も生み出すものである。
本発明の方法によれば、従来極めて困難とされていた
平均粒径10μm以下の砥粒を強固に固定化した合成砥石
を製造することができる。本発明の方法に係るセルロー
ス複合粒子は、微細砥粒をセルロースで被覆したもので
あり、砥粒同士が隣接したとしても固く凝集することは
ない。このため安定した研磨加工が可能となる。微細砥
粒を用いた合成砥石を多少の無理をして従来法で製造し
たとしても砥粒同士の凝集が起り易いため、研磨加工の
際、被研磨体に異常な条痕(スクラッチ)の発生がさけ
られない。この点、本発明の合成砥石はそのような現象
を未然に防止することが可能である。
以下、実施例により本発明を詳述する。
実施例1 まず平均重合度1700の完全ケン化PVAを熱水に溶解し
て10重量%の水溶液とし、これを300ml採取し用意し
た。次に、37%ホルムアルデヒド水溶液60mlと水55mlの
混合液に馬鈴薯澱粉40gを分散した分散液とし、この分
散液を先に用意したPVA水溶液に加え、更に36%塩酸16m
lを加えて撹拌混合した。この混合液にレゾールPR961A
(住友デュレズ製,固形分濃度65重量%)250mlを加
え、続いて後述の方法で製造された平均粒径3.7μmの
酸化セリウムを含有したセルロース複合粒子400gを加え
たのち、水を加えて全量を1000mlに調整し、これを品川
式ミキサーを用いて充分に撹拌混合して均質な粘稠性液
体とした。この液体をリング状の型枠に流し込み、60℃
で24時間加熱し固化させた後、水洗して澱粉及び未反応
物を溶出せしめた。これを80℃で乾燥した後150℃まで
徐々に昇温し、7時間保持して硬化させた。得られたも
のをリング状に成形した。
得られたリング状の合成砥石は、砥粒率が7容量%
で、平均気孔径80μm,気孔率71容量%の連続気孔を有す
る多孔体であった。また、これを研磨機に取り付けガラ
ス表面を研磨したところ、スクラッチのない良好なる鏡
面研磨が得られた。
<セルロース複合粒子の製造方法> 工業用ビスコース(粘度6,100センチポイズ,セルロ
ース濃度8.9重量%,アルカリ濃度5.6重量%)60gと平
均粒径3.7μmの酸化セリウム微粒子ルミノックスT
(セイミケミカル社製)4.8gを室温下で混合した。この
混合物とポリアクリル酸ソーダの水溶液(分子量5万,
高分子濃度12重量%)240gと分散剤としての炭酸カルシ
ウム2gとを500mlフラスコに入れて液温30℃の下でラボ
スターラー(MODELLR−51B,ヤマト科学社製,回転羽根7
cm)により600rpmの撹拌を10分間行ない、酸化セリウム
微粒子を含有したビスコースの微粒子分散液を生成せし
めた後、引くつづき撹拌しながら、液温を30℃から70℃
まで15分間で昇温し、70℃,30分間維持して、酸化セリ
ウム微粒子を含有したビスコースの微粒子を凝固せしめ
た。引きつづき撹拌しながら100g/の硫酸で中和,再
生して、酸化セリウム微粒子を含有したセルロースの微
粒子を得た。
次いで1G4型ガラスフィルターを通して、母液から上
記セルロース微粒子を分離した後、50℃,2g/苛性ソー
ダ水溶液約2で脱硫し、2g/の硫酸水溶液で中和し
た後、大過剰の水で洗浄し、80℃,3時間乾燥し、酸化セ
リウム微粒子を含有したセルロース複合粒子を得た。得
られた複合粒子は乾燥時での平均粒径が60μmであり、
30〜60μmの範囲内に90重量%以上含有し、酸化セリウ
ム含有率は複合粒子の重量に対して45重量%であった。
実施例2 まず平均重合度1700の完全ケン化PVAを熱水に溶解し
て15重量%の水溶液とし、これを600ml採取し用意し
た。次にトウモロコシ澱粉50gを水70mlに分散した分散
液を先に用意したPVA水溶液に加え、更にレゾールPR961
A(住友デュレズ製,固形分濃度65%)を5ml及び50%硫
酸95mlと37%ホルムアルデヒド水溶液95mlを加えて撹拌
混合した。続いてこの混合液に後述の方法で製造された
炭化珪素微粉6000番(平均粒径2μm)を含有したセル
ロース複合粒子を200g添加したのち、水を加えて全量を
1000mlに調整、これを品川式ミキサーを用いて充分に撹
拌混合して均質な粘稠性液体とした。この液体を方型の
型枠に流し込み、60℃で24時間加熱し固化させた後、水
洗して澱粉及び未反応物を溶出せしめ、更に80℃で乾燥
し中間体とした。
次に、メラミン樹脂M−3(住友化学製)の22%水溶
液を準備し、これに得られた中間体を浸漬し、充分溶液
を含浸させたのち、遠心脱液して樹脂付着量を調整し
た。これを140℃まで徐々に昇温し、10時間保持して硬
化させた。
得られた合成砥石は、メラミン樹脂の付着量が23重量
%であり、砥粒率が35重量%で、平均気孔径80μm,気孔
率72容量%の連続気孔を有する多孔体であった。またこ
の合成砥石をセグメント状に成形し、スピードファム社
製9Bサイズ両面研磨機に取り付け、円板状アルミ合金を
研磨したところ、中心線平均あらさRaが0.012μmの研
磨面を得ることができた。
<セルロース複合粒子の製造方法> 工業用ビスコース(粘度6,100センチポイズ,セルロ
ース濃度8.9重量%,アルカリ濃度5.6重量%)60gと炭
化珪素微粉6000番(平均粒径2μm)10gを室温下で混
合した。この混合物とポリアクリル酸ソーダの水溶液
(分子量5万,高分子濃度12重量%)240gと分散剤とし
ての炭酸カルシウム1gとを500mlフラスコに入れて液温3
0℃の下でラボスターラー(MODEL LR−51B,ヤマト科学
社製,回転羽根7cm)で400rpmの撹拌を10分間行ない、
酸化セリウム微粒子を含有したビスコースの微粒子分散
液を生成せしめた後、引きつづき撹拌しながら、液温を
30℃から70℃まで15分間で昇温し、70℃,30分間維持し
て、炭化珪素微粒子を含有したビスコースの微粒子を凝
固せしめた。引きつづき撹拌しながら100g/の硫酸で
中和,再生して、炭化珪素微粒子を含有したセルロース
の微粒子を得た。
次いで1G4型ガラスフィルターを通して、母液から上
記セルロース微粒子を分離した後、50℃,2g/苛性ソー
ダ水溶液約2で脱硫し、2g/の硫酸水溶液で中和し
た後、大過剰の水で洗浄し、80℃,3時間乾燥し、炭化珪
素微粒子を含有したセルロース複合粒子を得た。
得られた複合粒子は、乾燥時での平均粒径が100μm
であり、炭化珪素含有率は複合粒子の重量に対して62重
量%であった。
実施例3 平均重合度1700の完全ケン化PVA57gを400mlの熱水に
溶解しPVA水溶液とした後、後述の方法で製造された平
均粒径2μmの酸化クロムの微粒子を含有したセルロー
ス複合粒子200gを添加し充分に撹拌混合した。この混合
液に馬鈴薯澱粉28gを水70mlに分散した分散液を加え、
更に水を加えて全量を820mlに調整し充分撹拌した。次
にこの混合液に37%ホルムアルデヒド水溶液95mlと50%
硫酸80mlとの混合液を加え、更に水を加えて全体量を10
00mlに調整し、充分撹拌混合して均質な粘稠性液体とし
た。これを方形の型枠に流し込み、60℃で20時間加熱し
固化させた後、水洗して澱粉及び未反応物を溶出せしめ
た。これを80℃で乾燥し合成砥石とした。
得られた合成砥石は、砥粒の含有量が0.1g/cm3で、平
均気孔径120μm,気孔率85容量%の連続気孔構造を有す
るスポンジ状の物質であった。また、これをブロック状
に成形し、ケロシンを含有させた状態でステンレス製の
棒をポリッシングしたところ、良好な研磨が施され、す
ぐれた光沢の面を得ることができた。
<セルロース複合粒子の製造方法> 工業用ビスコース(粘度6,100センチポイズ,セルロ
ース濃度8.9重量%,アルカリ濃度5.6重量%)60gと平
均粒径2μmの酸化クロム微粒子9.2gを室温下で混合し
た。この混合物とポリアクリル酸ソーダの水溶液(分子
量5万,高分子濃度12重量%)240gと分散剤としての炭
酸カルシウム1gとを500mlフラスコに入れて液温30℃の
下でラボスターラー(MODEL LR−51B,ヤマト科学社
製,回転羽根7cm)により500rpmの撹拌を10分間行な
い、酸化クロム微粒子を含有したビスコースの微粒子分
散液を生成せしめた後、引くつづき撹拌しながら、液温
を30℃から70℃まで15分間で昇温し、70℃,30分間維持
して、酸化クロム微粒子を含有したビスコースの微粒子
を凝固せしめた。引きつづき撹拌しながら100g/の硫
酸で中和,再生して、酸化クロム微粒子を含有したセル
ロースの微粒子を得た。
次いで1G4型ガラスフィルターを通して、母液から上
記セルロース微粒子を分離した後、50℃,2g/苛性ソー
ダ水溶液約2で脱硫し、2g/の硫酸水溶液で中和し
た後、大過剰の水で洗浄し、80℃,3時間乾燥し、酸化ク
ロム微粒子を含有したセルロース複合粒子を得た。
得られた複合粒子は、乾燥時の平均粒径が105μmで
あり、酸化クロム含有率は複合粒子の重量に対して52重
量%であった。
実施例4 メラミン樹脂M−3(住友化学製)の22%水溶液を準
備し、これに実施例3で得られた乾燥状態のスポンジ状
物質を浸漬し、充分溶液を含浸させたのち、遠心脱液し
て樹脂付着量を調整した。これを140℃まで徐々に昇温
し、10時間保持して硬化させた。
得られた合成砥石は、メラミン樹脂の付着量が31重量
%であり、砥粒の含有量が0.09g/cm3で、平均気孔径が1
00μmで、気孔率が80容量%の連続気孔構造の多孔体で
あった。また、このものは比較的軽く且つ脆い物性の合
成砥石であった。この合成砥石は金属面の微小な傷を修
正するためのハンディーポリッシャーとして極めて好適
であった。
比較例 まず平均重合度1700の完全ケン化PVAを熱水に溶解し
て10重量%の水溶液とし、これを300ml採取し用意し
た。次に、37%ホルムアルデヒド水溶液60mlと水55mlの
混合液に馬鈴薯澱粉40gを分散して分散液となし、この
分散液を先に用意したPVA水溶液に加え、更に36%塩酸1
6mlを加えて撹拌混合した。この混合液にレゾールPR961
A(住友デュレズ製,固形分濃度65重量%)250mlを加
え、続いて平均粒径3.7μmの酸化セリウムを800g加え
たのち、水を加えて全量を1000mlに調整し、これを品川
式ミキサーを用いて充分に撹拌混合して均質な粘稠性液
体とした。この液体をリング状の型枠に流し込み、60℃
で24時間加熱し固化させた。これを水洗したところ、澱
粉及び未反応物が溶出するとともに、酸化セリウムの微
粒子を脱落除去され、合成砥石としての性能をほとんど
有しないものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−300244(JP,A) 特開 平3−277479(JP,A) 特開 昭53−1390(JP,A) 特公 昭30−6592(JP,B1) 特公 昭54−4799(JP,B2)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
    含有した再生セルロース複合粒子をポリビニルアセター
    ル系樹脂、又はポリビニルアセタール系樹脂と熱硬化性
    樹脂の混合物からなる結合材で固定化してなり、微細連
    続気孔構造を有する多孔体である合成砥石。
  2. 【請求項2】砥粒の平均粒径よりも大きな平均気孔径の
    微細連続気孔を有する特許請求の範囲第1項記載の合成
    砥石。
  3. 【請求項3】平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
    含有した再生セルロース複合粒子とポリビニルアルコー
    ルとを、気孔形成材と共に混合し、架橋剤及び触媒の存
    在下で反応させて得られた反応生成物を水洗し、気孔形
    成材及び未反応の架橋剤と触媒とを除去することを特徴
    とする微細連続気孔構造を有する多孔体である合成砥石
    の製造方法。
  4. 【請求項4】平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
    含有した再生セルロース複合粒子とポリビニルアルコー
    ルと熱硬化性樹脂の初期縮合物とを、気孔形成材と共に
    混合し、架橋剤及び触媒の存在下で反応させて得られた
    反応生成物を水洗し、気孔形成材及び未反応の架橋剤と
    触媒とを除去した後、熱処理することを特徴とする微細
    連続気孔構造を有する多孔体である合成砥石の製造方
    法。
  5. 【請求項5】平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
    含有した再生セルロース複合粒子とポリビニルアルコー
    ル、もしくは平均粒径10μm以下の微細な砥粒を複数個
    含有したセルロース複合粒子とポリビニルアルコールと
    熱硬化性樹脂の初期縮合物を、気孔形成材と共に混合
    し、架橋剤及び触媒の存在下で反応させて得られた反応
    生成物を水洗し、気孔形成材及び未反応の架橋剤と触媒
    とを除去した後、更に熱硬化性樹脂の初期縮合物を施与
    し、熱処理を施すことを特徴とする微細連続気孔構造を
    有する多孔体である合成砥石の製造方法。
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