JP7264663B2 - 砥石及び砥石の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]砥粒及び樹脂を含む砥粒組成物を硬化した硬化物からなる砥石であって、樹脂は、レゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含む砥石。
[2]砥粒及び樹脂の合計100質量部に対する樹脂の配合量が10~50質量部である上記[1]に記載の砥石。
[3]レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)が300~600である上記[1]または[2]に記載の砥石。
[4]樹脂が弾性樹脂をさらに含み、弾性樹脂は、プロピレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール及びポリビニルブチラールからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の砥石。
[5]樹脂における弾性樹脂の割合が0~50質量%である上記[4]に記載の砥石。
[6]砥粒組成物が気孔生成剤をさらに含む上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の砥石。
[7]レーザー回折散乱法により測定した気孔生成剤の体積平均一次粒子径が40~150μmである上記[6]に記載の砥石。
[8]樹脂100質量部に対する気孔生成剤の配合量が25~55質量部である上記[6]または[7]に記載の砥石。
[9]砥粒が、炭化ケイ素、アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びジルコンサンドからなる群から選択される少なくとも1種のセラミックの砥粒である上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の砥石。
[10]レーザー回折散乱法により測定した砥粒の体積平均一次粒子径が0.2~6.0μmである上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の砥石。
[11]スーパーフィシャル15Yスケールで測定したロックウェル硬度が-35~80である上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の砥石。
[12]ダイシングブレードドレッシング用砥石である上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の砥石。
[13]砥粒及び樹脂を混合して砥粒組成物を作製する工程、砥粒組成物を型に流し込む工程、及び型に流し込んだ砥粒組成物を硬化させる工程を含み、砥粒組成物における樹脂はレゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含む砥石の製造方法。
本発明の砥石は、砥粒及び樹脂を含む砥粒組成物を硬化した硬化物からなる。そして、上記樹脂はレゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含む。
(砥粒)
砥粒は、被加工物を削りとる作用を有する物質であり、砥石の中で切れ刃の役目をする。砥粒には適切な粒度、高い硬度、化学耐久性等が要求される。
上述したように樹脂はレゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含む。すなわち、本発明の砥石はレゾール型フェノール樹脂を主結合剤として用いる。砥石において樹脂は砥粒を保持する役目をする。また、切れ刃の弾性的挙動、砥石全体としての衝撃吸収度等は樹脂に起因する。さらに、樹脂は、砥石の切れ味及び減耗に大きな影響を与える。
レゾール型フェノール樹脂は、自己硬化性を持ち、加熱によって硬化し硬化物となる。また、レゾール型フェノール樹脂は、機械的衝撃及び熱的衝撃に強い。レゾール型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応させることにより合成される。一般的に、上記反応後、減圧脱水が行われる。
レゾール型フェノール樹脂の合成に用いるフェノール類には、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、キシレノール、アルキルフェノール類、カテコール、レゾルシン等が挙げられ、これらを単独又は二種以上を併せて用いることができる。
レゾール型フェノール樹脂の合成に用いるアルデヒド類には、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド化合物、及びこれらのアルデヒド化合物の発生源となる物質、あるいはこれらのアルデヒド化合物の溶液等が挙げられ、これらを単独又は二種以上を併せて用いることができる。
レゾール型フェノール樹脂の合成に用いる塩基性触媒には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等の二価金属塩等が挙げられ、これらを単独又は二種以上を併せて用いることができる。
砥石には、必要に応じて、樹脂として、レゾール型フェノール樹脂のほかにさらに弾性樹脂を含むことができる。フェノール樹脂を主体とする砥石は剛直で脆い場合がある。このため、砥石の弾性を確保してより高精度ドレス仕上げを行うために、レゾール型フェノール樹脂に弾性樹脂を混合してもよい。これにより、砥石の衝撃吸収度をさらに高くすることができる。弾性樹脂とは、その硬化物がレゾール型フェノール樹脂の硬化物に比べて高弾性を示す樹脂である。砥粒組成物が弾性樹脂を含むことにより砥石の弾性を向上させることができる。なお、弾性樹脂は、硬化したフェノール樹脂マトリックス中に微細な粒子となって均一に分散することが好ましい。
砥粒組成物は、必要に応じて、さらに気孔生成剤を含むことができる。気孔生成剤は、砥石に気孔を形成するために添加するものであり、気孔を有することで砥石の弾性を高めると共に、研削中に発生する研削屑の排出を促して目詰まりを抑制する。また、気孔は、砥石の研削抵抗を軽減し、研削焼けを防止する。気孔生成剤としては、中空の球状樹脂類が好ましい。中空の球状樹脂類には、例えば、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらを単独又は二種以上を併せて用いることができる。砥石の樹脂として主にフェノール樹脂が用いられることから、これらの中空の球状樹脂類の中で、フェノール系樹脂の中空の球状樹脂が好ましい。
ダイシングブレードをドレスするのに適切なロックウェル硬度であるという観点から、スーパーフィシャル15Yスケールで測定した砥石のロックウェル硬度は、-35~80であることが好ましく、-35~70であることがより好ましく、-30~60であることがさらに好ましい。スーパーフィシャル15Yスケールで測定したロックウェル硬度とは、JIS K7202-2「ロックウェル硬さ」測定に準じた方法により測定した値である。例えば、(株)マツザワ製ロックウェル硬度計を用い、直径1/2インチ(約12.7mm)の鋼球が先端に付いた圧子を砥石に接触させ基準荷重15kg・fを加えた際に生じた凹み深さから換算して、スーパーフィシャル15Yスケールでロックウェル硬さを測定することができる。ロックウェル硬度の値が、プラス側に大きいほど砥石は硬く、マイナス側が大きいほど砥石は柔らかいことを意味する。
また、本発明では、砥粒及び樹脂を混合して砥粒組成物を作製する工程、砥粒組成物を型に流し込む工程、及び型に流し込んだ砥粒組成物を硬化させる工程を含む砥石の製造方法を提供する。以下、各工程について詳しく説明する。
この工程では、砥粒及び樹脂を混合して砥粒組成物を作製する。樹脂は、レゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含み、好ましくは60質量%以上含み、より好ましくは70質量%以上含む。レゾール型フェノール樹脂は、そのまま用いてもよいし、水溶液の状態で用いてもよいし、アルコール等の水以外の溶媒で溶解された状態で用いてもよい。
この工程では、砥粒組成物を型に流し込む。砥粒組成物内の気泡が型に流し込んだ後も砥粒組成物に残るように砥粒組成物を型に流し込むことが好ましい。
この工程では、型に流し込んだ砥粒組成物を硬化させる。具体的には、型に流し込んだ砥粒組成物を加熱することにより、砥粒組成物を硬化させる。このとき、自硬化反応を十分に進行させるために、加熱温度は60℃以上が好ましく、70~90℃がより好ましい。また、加熱時間は20時間以上が好ましく、20~40時間がより好ましい。
砥粒組成物を硬化させる工程の後に寸法出し加工工程を実施してもよい。上記熱処理を施した後、寸法出し加工によって所望のサイズに加工された砥石を得ることができる。砥石の形状は、円盤状でもボード状でもよく、その他の形状でもよく、装着研磨機の条件によって任意に選ばれる。
本発明の砥石は、ダイシングブレードドレッシング用砥石として用いることができる。具体的には、本発明の砥石を、高精度ドレス用ドレッシングプレートに用いることができる。
(樹脂の数平均分子量(Mn))
レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)(分子量測定装置:昭和電工株式会社製、型番:RI-71)により、ポリスチレン換算で算出された値である。なお、溶媒には50mM塩化リチウム、2mM塩酸(添加ジメチルホルムアルデヒド)を使用し、カラム温度は23℃とした。
(株)マツザワ製ロックウェル硬度計を用い、直径1/2インチ(約12.7mm)の鋼球が先端に付いた圧子を砥石に接触させ基準荷重15kg・fを加えた際に生じた凹み深さから換算して、スーパーフィシャル15Yスケールでロックウェル硬さを測定した。
作製したドレッシングプレートを用いて、厚み30μmの円盤の外周部にダイヤモンド砥粒を電鋳ボンドで固定したダイシングブレードをドレスした。その後、そのダイシングブレードを用いて、6インチ0.6TのSiウエハを、切り込み量0.2mm、ブレード回転数25,000rpm、送り速度30mm/secでダイシングを5ライン行った。そして、以下の基準で作製したドレッシングプレート用いてドレスしたダイシングブレードを評価した。
<慣らし加工で使用>
A:5ラインすべてにおいて、ドレス後に慣らし加工なしでも問題なくSiウエハをダイシングすることができた。
B:1ライン目はドレス後に慣らし加工なしでもSiウエハをダイシングすることができた。しかし、5ライン終了前に、Siウエハが破損し、最後までダイシングすることはできなかった。
C:ドレス後に慣らし加工なしでは、1ライン目の途中でSiウエハが破損し、Siウエハをダイシングすることはできなかった。
<加工精度>
A:切削面が粗くなく良好である。
B:切削面が多少粗い。
C:切削面が非常に粗い。
レゾール型フェノール樹脂(有効分70重量%、数平均分子量400、残部は水、未反応フェノール、ホルムアルデヒド)3kgに、炭化ケイ素から成る砥粒(GC#3000、体積平均一次粒子径4μm)5kgをさらに加えて混合し、均一なスラリーを調製した。なお、これらの混合調製は、ゲージ圧が-0.09MPaの減圧下で行った。
また、炭化ケイ素及びレゾール型フェノール樹脂の合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は70.4質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は29.6質量部であった。
実施例2では、レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量500とした以外は、実施例1と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例3では、砥粒をアルミナ(WA、体積平均一次粒子径4μm)とした以外は、実施例1と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
まず、レゾール型フェノール樹脂(有効分70重量%、数平均分子量400、残部は水、未反応フェノール、ホルムアルデヒド)2kgに、弾性樹脂としてプロピレン・ブタジエンゴム(PBR樹脂 日本エイアンドエル株式会社製、有効分40質量%、残部は水)0.5kgを乳化物としたものを加え、さらに気孔生成剤として中空フェノール球状樹脂0.64kg(巴工業株式会社製 体積平均一次粒子径70μm)を加えた。
なお、有効分換算で、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(樹脂の合計)に対するレゾール型フェノール樹脂の配合量は87.5質量%であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は12.5質量%であった。また、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(樹脂の合計)100質量部に対する中空フェノール球状樹脂の配合量は40質量部であった。
また、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は81.4質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は16.3質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は12.5質量部であった。
実施例5では、気孔生成剤を用いない以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例6では、炭化ケイ素粉末(GC#8000、平均粒径1μm)を砥粒として用いた以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例7では、炭化ケイ素粉末(GC#3000、平均粒径4μm)を砥粒として用いた以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例8では、有効分換算で、砥粒とフェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して、砥粒の配合量を60.0質量部とし、フェノール樹脂と弾性樹脂の配合量の合計を40.0質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は60.0質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は35.0質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は5.0質量部であった。
実施例9では、有効分換算で、砥粒とフェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して、砥粒の配合量を89.9質量部とし、フェノール樹脂と弾性樹脂の配合量の合計を10.1質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は89.9質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は8.8質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は1.3質量部であった。
実施例10では、フェノール樹脂の配合量を、有効分換算で、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量の50質量%とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は81.4質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は9.3質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は9.3質量部であった。
実施例11では、フェノール樹脂の配合量を、有効分換算で、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量の80質量%とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は81.4質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は14.9質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は3.7質量部であった。
実施例12では、気孔生成剤の体積平均一次粒子径を60μmとした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例13では、気孔生成剤の体積平均一次粒子径を100μmとした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例14では、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して気孔生成剤の配合量を30質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例15では、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して気孔生成剤の配合量を50質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例16では、炭化ケイ素粉末(GC#1500、平均粒径7μm)を砥粒として用いた以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例17では、炭化ケイ素粉末(平均粒径0.1μm)を砥粒として用いた以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例18では、有効分換算で、砥粒とフェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して、砥粒の配合量を95.0質量部とし、フェノール樹脂と弾性樹脂の配合量の合計を5質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は95.0質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は4.4質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は0.6質量部であった。
実施例19では、有効分換算で、砥粒とフェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して、砥粒の配合量を49.9質量部とし、フェノール樹脂と弾性樹脂の配合量の合計を50.1質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は49.9質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は43.8質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は6.3質量部であった。
実施例20では、レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量を200とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例21では、気孔生成剤の平均粒子径を200μmとした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
実施例22では、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量100質量部に対して、気孔生成剤の配合量を60質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
比較例1では、ノボラック型フェノール樹脂を主結合剤として用いた従来ビトリファイドボンド製のドレッシングプレートを用いた。
比較例2では、フェノール樹脂の配合量を、有効分換算で、フェノール樹脂と弾性樹脂の合計量の40質量%とした以外は、実施例4と同様の方法でドレッシングプレートを作製した。
なお、炭化ケイ素、レゾール型フェノール樹脂及びプロピレン・ブタジエンゴムの合計(砥粒及び樹脂の合計)100質量部に対する有効分換算の炭化ケイ素の配合量は81.4質量部であり、レゾール型フェノール樹脂の配合量は7.4質量部であり、プロピレン・ブタジエンゴムの配合量は11.2質量部であった。
(実施例1~4)
ダイシングしたSiウエハは5ラインすべてにおいて、ドレス後に慣らし加工なしでも問題なくダイシングすることができ、加工精度が向上されたことがわかった。
ダイシングしたSiウエハは5ラインすべてにおいて、ドレス後に慣らし加工なしでも問題なくダイシングすることができ、加工精度が向上されたことがわかった。しかし、加工精度は実施例4より若干劣っていた。気孔生成剤が加工精度を向上させていることがわかった。
実施例6~15のドレッシングプレートも、慣らし加工なしで使用でき、加工精度が向上されたことがわかった。
実施例16のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハが破損してしまい、ダイシング加工できなかった。これは、砥粒の体積平均一次粒子径が6.0μmよりも大きかったため、ドレッシング後のブレード研削面の精度が低下し、ワーク切断面の精度が低下したためと考えられる。
実施例17のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、砥粒の体積平均一次粒子径が0.2μmよりも小さかったため、切削性能が低下し、ドレッシング後のブレード研削面の精度が低下し、ワーク切断面の精度も低下したためと考えられる。
実施例18のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、砥粒及び樹脂の合計100質量部に対する樹脂の配合量が10質量部よりも小さかったため、ドレス中にドレッシングプレートが目詰まりし、ダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
実施例19のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、砥粒及び樹脂の合計100質量部に対する樹脂の配合量が50質量部よりも大きかったため、砥粒の自生作用が低下したことで切削性能が低下し、ダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
実施例20のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、ドレッシングプレートのフェノール樹脂の数平均分子量が300よりも小さく、プレートの強度が低下したことでドレス中にプレート摩耗量が増大しブレード研削力が著しく増加したため、ダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
実施例21のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、配合した気孔生成剤の体積平均一次粒子径が150μmよりも大きかったため、ドレッシングプレートの気孔径が大きすぎるようになり、これによりワークへの砥粒接触面積が小さくなり、ドレッシングの切削性が低下したことでダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
実施例22のドレッシングプレートでは、1ライン目はダイシングできたものの、5ライン目終了前にSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、樹脂100質量部に対する気孔生成剤の配合量が55質量部よりも大きかったため、ドレッシングプレートの気孔率が大きすぎるようになり、これによりワークへの砥粒接触面積が小さくなり、ドレッシングの切削性が低下したことでダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
比較例1のダイシングブレードでは、1ライン目でSiウエハが破損して加工できなかった。また、切断面も非常に粗かった。これは、レゾール型フェノール樹脂の代わりにノボラック型フェノール樹脂を主結合剤として用いたためであると考えられる。
比較例2のドレッシングプレートでは、1ライン目でSiウエハに亀裂が入ってしまい、ダイシング加工できなかった。これは、ドレッシングプレートの樹脂中のフェノール樹脂の含有量が50質量%未満となり、プレートの脆性が増し、砥粒の自生作用が増加した事で切削性能が高くなり過ぎ、ダイシングブレードのドレス精度が低下したためと考えられる。
Claims (11)
- 砥粒及び樹脂(メラミン系樹脂を除く)を含む砥粒組成物を硬化した硬化物からなる砥石であって、
前記樹脂は、レゾール型フェノール樹脂を50質量%以上含むダイシングブレードドレッシング用砥石。 - 前記砥粒及び前記樹脂の合計100質量部に対する前記樹脂の配合量が10~50質量部である請求項1に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- 前記レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)が300~600である請求項1または2に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- 前記樹脂が弾性樹脂をさらに含み、
前記弾性樹脂は、プロピレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール及びポリビニルブチラールからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である請求項1~3のいずれか1項に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。 - 前記樹脂における前記弾性樹脂の割合が0~50質量%である請求項4に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- 前記砥粒組成物が気孔生成剤をさらに含む請求項1~5のいずれか1項に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- レーザー回折散乱法により測定した前記気孔生成剤の体積平均一次粒子径が40~150μmである請求項6に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- 前記樹脂100質量部に対する前記気孔生成剤の配合量が25~55質量部である請求項6または7に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- 前記砥粒が、炭化ケイ素、アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びジルコンサンドからなる群から選択される少なくとも1種のセラミックの砥粒である請求項1~8のいずれか1項に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- レーザー回折散乱法により測定した前記砥粒の体積平均一次粒子径が0.2~6.0μmである請求項1~9のいずれか1項に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
- スーパーフィシャル15Yスケールで測定したロックウェル硬度が-35~80である請求項1~10のいずれか1項に記載のダイシングブレードドレッシング用砥石。
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