JPH09253117A - 遠赤外線放射型温熱装置 - Google Patents

遠赤外線放射型温熱装置

Info

Publication number
JPH09253117A
JPH09253117A JP9337296A JP9337296A JPH09253117A JP H09253117 A JPH09253117 A JP H09253117A JP 9337296 A JP9337296 A JP 9337296A JP 9337296 A JP9337296 A JP 9337296A JP H09253117 A JPH09253117 A JP H09253117A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared radiation
temperature
heating device
far
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9337296A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeyuki Yasuda
繁之 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP9337296A priority Critical patent/JPH09253117A/ja
Publication of JPH09253117A publication Critical patent/JPH09253117A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Heating Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温熱効果に加えて遠赤外線放射効果により人
の体の被温熱部位を芯までより短時間にて連続的に温め
られる遠赤外線放射型温熱装置を提供する。 【解決手段】 36〜60℃の範囲の適宜の温度の変化
に対して電気抵抗が急変する性質を有する感熱電気抵抗
組成物を面状に形成させるとともに電極を備える自己温
度調節型面状発熱素子を、略筒状、略トンネル状若しく
は略容器状に配置して構成される放熱部1a、1bと、
自己温度調節型面状発熱素子に電力を供給するための電
力供給部(13、25等)と、を備え、遠赤外線放射性
に優れる。この素子が、樹脂等で構成され、放熱部の形
状を保持する被覆賦形部(例えば、シリコンゴム、ウレ
タンゴム等で構成)を備えてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠赤外線放射型温
熱装置に関し、サウナ、各種温熱治療器具等に利用され
る。更に詳しくは、温熱効果に加えて遠赤外線放射効果
により、人の体の被温熱部位を芯まで、より短時間に
て、連続的に温めることができる遠赤外線放射型温熱装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の温熱装置の温熱源とし
て、赤外線ヒータ等を用いる試みがなされている。これ
は、赤外線ヒータ等を温熱源とすれば、より効率良く、
人体の被温熱部位を加熱できるというのが主な理由であ
る。そして、この種の温熱装置の一例として、所定の
赤外線ヒータと、所定の温度調節器と、所定の制御回路
とを備えたサウナ装置が提案されている(特開平6−1
05884号公報)。また、本出願人は、既に、所定
の発熱シートと、光熱反射層と、断熱層とを外装材で包
被してなる温熱治療器を提案している(特開昭63−1
58069号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
のサウナ装置では、所定のサウナ室の内部に、赤外線ヒ
ータが配置され、この赤外線ヒータに対面する入浴者に
対して赤外線を放射する構造とされている。従って、赤
外線を、入浴者の体全体に向け、一度に放射することは
困難である。このため、赤外線放射効果により、入浴者
の体の芯まで、短時間にて、連続的に温めることは困難
である。尚、入浴者の体を取り囲む様に、赤外線ヒータ
を配置することも考えられるが、この場合、多くの電力
を消費することとなり、省エネルギーの観点から好まし
くない。
【0004】また、上記のサウナ装置を含む従来のサ
ウナ装置では、構造が複雑で、設備費が高くなると言う
欠点がある。特に、上記のサウナ装置では、サウナ室
の内部の温度調節機構のために、構造が複雑となってい
る。更に、腕部、腰部等の様に、体の一部に「こり」を
生じた場合に、サウナを利用して、この「こり」をほぐ
そうと考えても、従来のサウナ装置では、この一部に対
して集中的には使用していない。例えば、入浴者が、腕
部の血行を良くしようと考えても、結局、サウナ室内に
入室し、体全体で汗をかくことが必要であるからであ
る。更に、こののサウナ装置等、在来のこの種の装置
が備える赤外線ヒータは、赤外線をも含む可視光線ラン
プであることが多く、その放射光は波長が制御されてい
るわけではないため、本当の意味での遠赤外線照射を行
い難いことも多い。
【0005】一方、上記の温熱治療器において、本出
願人は、この治療器の各種有用な効果を知得している
(特開昭63−158069号公報参照)。そして、こ
の治療器の十分な効果を、更に一層、大きなもとすべ
く、改良を試みていた。
【0006】本発明は上記観点に鑑みてなされたもので
あり、温熱効果に加えて遠赤外線放射効果により、人の
体の被温熱部位を芯まで、より短時間にて、連続的に温
めることができる遠赤外線放射型温熱装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本第1発明の遠赤外線放
射型温熱装置(以下、「温熱装置」という。)は、36
〜60℃の範囲の適宜の温度の変化に対して電気抵抗が
急変する性質を有する感熱電気抵抗組成物を面状に形成
させるとともに電極を備える自己温度調節型面状発熱素
子を、略筒状、略トンネル状若しくは略容器状に並べて
構成される放熱部と、上記自己温度調節型面状発熱素子
に電力を供給するための電力供給部と、を備え、遠赤外
線放射性に優れることを特徴とする。
【0008】本温熱装置により放射される赤外線、とり
わけ遠赤外線は、人体の被温熱部位の組織を透過するの
で、この部位を内部から直接暖めることができる。しか
も、自己温度調節型面状発熱素子を、略筒状、略トンネ
ル状若しくは略容器状に配置しているため、被温熱部位
を周回、若しくは半周回する状態とされた自己温度調節
型面状発熱素子が、より低い温度で、より短時間にて、
連続的に、被温熱部位の芯から暖めることとなる。従っ
て、本温熱装置は、サウナ、温熱治療具等に対して、好
適に利用できる。特に、老齢者、病人等の虚弱者を対象
とする場合に、大きな意義を有することとなる。
【0009】上記「放熱部」は、一体型のもの(図5参
照)であってもよいが、分離可能なもの(図1参照)で
あってもよい。上記「電気抵抗が急変する温度(以下、
「急変温度」という。)」を36〜60℃とするのは、
多少の熱損失を考慮しても60℃を越えると、接触する
人体に熱く感じるし、36℃未満であると、接触する人
体に冷たく感じるからである。尚、好ましくは40〜5
0℃、更に好ましくは42〜45℃である。42〜45
℃であれば、通常の入浴に際し、浴槽内に入れられる湯
温と同様の温度となるため、熱からず冷たからずという
心地よい温度だからである。また、この「急変温度」
は、放熱部全体を通じ、一様であってもよいが、放熱部
の各部位に応じて異なる様にしてもよい。例えば、使用
に際し、人体に直接、若しくは間接的に接触することと
なる箇所に配置される素子の上記「急変温度」を、やや
低め(例えば、36〜40℃)とし、人体の接触しない
箇所に配置される素子の上記「急変範囲」を、やや高め
(例えば、40〜60℃)とすることも有効である。
【0010】上記「感熱電気抵抗組成物」の具体的な構
成成分は、本発明の目的を達成できる範囲で種々選択で
きるが、樹脂(又はゴムでもよい。)と該樹脂中に分散
される導電性粒子とを含むものとすることができる。こ
の好適な例として、分子中に複数のアルキレンオキシド
を単位構造として含有するポリアルキレンオキシド類化
合物と、粉末、繊維若しくはウイスカーの形態をなす炭
素微細片、金属微細片又は金属酸化物微細片とを含有す
るものを挙げることができる。上記「樹脂」のうち、好
適に用いられる「ポリアルキレンオキシド類化合物」
は、骨格にポリアルキレンオキシド部分を有するもので
あって、正特性を示すものであればよく、直鎖状、環状
を問わない。この化合物は、通常、融点が18〜75℃
のほぼ常温固体のものである。その具体的化合物を以下
に例示する。
【0011】このうち、直鎖状化合物としては、ポリオ
キシアルキレン類、例えば、本第4発明に示すポリエチ
レングリコール(PEGともいう。)の他に、ポリエチ
レンオキシド(ジエチレングリコール等)、ポリプロピ
レングリコール(PPGともいう。)、ポリプロピレン
オキシド(ジプロピレングリコール等)、ポリオキシエ
チレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体(い
わゆるプルロニック、テトロニックと称されるもの、図
13参照)、ポリオキシエチレン−モノ若しくはジアル
キルエーテル(図13参照)、ポリオキシエチレン−モ
ノ若しくはジアリルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアリルエーテル、ポリオキシエチレン−モノ若しく
はジアルキルエステル、ポリオキシエチレン−モノ若し
くはジアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのうち、ポリエ
チレングリコールが特に好ましい。
【0012】また、環状化合物としては、トリオキサン
の他、各種クラウンエーテル類、例えば、ジベンゾ−1
4−クラウン−4、15−クラウン−5、ベンゾ−15
−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18
−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−
6、ジベンゾ−21−クラウン−7、ジベンゾ−24−
クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−
8、テトラベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−6
0−クラウン−20等が挙げられる(表1参照)。尚、
上記「樹脂」として、ポリアルキレンオキシド類化合物
以外のもの、例えば、ポリオレフィン系樹脂(PE、E
VA等)、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリフェニレンオキサイド等を用いることがで
きる。
【0013】
【表1】
【0014】上記導電性粒子は、粉末、繊維若しくはウ
イスカーの形態をなす炭素微細片、金属微細片又は金属
酸化物微細片であるものとすることができる。この「炭
素微細片」としては、黒鉛、活性炭又は無定形炭素等か
らなり、上記アルキレンオキシド類化合物中に混合可能
なものである。このうち、黒鉛が特に好ましい。また、
上記アルキレンオキシド類化合物中に混合される化合物
としては、上記に示す炭素化合物の代わりに、金属、金
属酸化物等の他の導電性微細片(粉末、繊維若しくはウ
イスカーの形態を問わない。)を用いることもできる。
これらの場合においても、エーテル結合の酸素の孤立電
子対が、充填剤の分散等に対してやはり重要な役割を演
じていると思われる。この導電性粒子等の具体例は次の
通りである。
【0015】金属粉末、金属箔片、金属繊維としての金
属は、金、銀(図17参照)、銅、鉛、錫、アンチモ
ン、鉄、ニッケル、コバルト、インジウム、アンチモン
がドープされた酸価錫(図17参照)等を用いることが
できる。この粉末の粒子径は約0.1〜50μm程度、
金属箔片は厚さ0.1〜20μm、アスペクト比5〜2
00程度のものが好ましい。金属繊維としては、太さ
0.05〜50μm、長さ1〜2mm程度のものが好ま
しい。
【0016】両者の混合物は、いかなる組成比でも極め
て安定で均一に混合されており、相分離しないものであ
る。そして、炭素微細片等の混合割合によって正特性の
あらわれる領域があり、しかも定常加熱温度が37〜5
5℃の範囲に入る組成(種類及びその配合割合)であれ
ばよい。通常、この両者100重量部に対する炭素微細
片の配合割合は、15〜40重量部の範囲である。この
15重量部より少ない場合は高抵抗で通電性がない場合
が多く、40重量部を越えると、逆に通電性が大となっ
て温度変化により正特性を示さないものが多くなる。し
かし、ポリアルキレンオキシド類の種類及び重合度、並
びに炭素微細片の種類及びその配合割合、更には、水等
の添加物の添加等によって正特性のあらわれる範囲は変
動するので、上記範囲に限定されるものではない。
【0017】本第5発明では、上記自己温度調節型面状
発熱素子が、ゴム若しくは樹脂から構成され且つ上記放
熱部の上記略筒状、略トンネル状若しくは略容器状を保
持するための被覆賦形部を備えている。但し、本第1発
明等の温熱装置を、この様な被覆賦形部を備えない構造
とすることもできる。例えば、略筒状等に賦形された外
殻体の内壁面に、上記自己温度調節型面状発熱素子を貼
りつけた構造とすることもできる。
【0018】また、上記被覆賦形部において、人体が直
接、若しくは間接に接触する部分がある場合には、少な
くとも、この部分をゴムを用いて構成することが特に望
ましい。人が接触した場合ソフトな感覚があり、マット
としての優れた機能を発揮するからである。更に、この
ゴムの種類は特に限定されないが、シリコンゴム若しく
はウレタンゴムが特に好ましい。これらは耐水性に優れ
るとともに、液状原料を用いて常温下若しくは加熱下に
おいて容易に型成形できるからである。但し、EPR、
EPDM等の他の熱可塑性エラストマー、更には天然ゴ
ム、SBR、NBR等の合成ゴムを用いることもでき
る。また、上記被覆賦形部を、ひまし油から誘導された
変成ポリオールとポリイソシアネートとを反応硬化させ
てなる、又はひまし油から誘導された変成ポリオールと
ポリイソシアネートとを反応させてなるプレポリマーを
硬化させてなるポリウレタン樹脂から構成することもで
きる。この場合、上記被覆賦形部が、耐水性、耐湿気老
化性、常温硬化性及び成形容易性に優れることとなる。
【0019】また、上記被覆賦形部の材質として樹脂を
選択する場合、使用者の汗の付着等に備え、耐水性に優
れ、しかも、水分による含有成分の浸出の少ないものが
好ましい。この樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、更にはポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、
成形容易性の点では前者のエポキシ樹脂等の液状原料の
ものが好ましい。更に、独立気泡型発泡樹脂(ポリエチ
レン、ポリウレタン、ポリプロピレン等)として軽量化
することもできる。
【0020】本感熱電気抵抗組成物は電力を供給すると
温度が低い間は抵抗が低いので電流が流れ、その結果、
発熱体温度が上昇し、ある温度に近づくと抵抗値が急増
するので電流は減少し、その結果発熱体は一定温度(定
常発熱温度)で発熱する(例えば図8及び図11参
照)。そして、この組成物においては、以下の〔発明の
実施の形態〕欄に示すように、黒鉛等の添加量、P
EGの分子量、分子量の異なるPEG同志の配合、
水等の添加剤の添加等により、定常発熱温度を36〜5
5℃(好ましくは42〜50℃)程度に自由に設定でき
る。従って、これらの調整により、遠赤外線浴に適する
組成物を調製できる。また、この発熱温度の上下変動が
従来のPTCヒータに比べて格段に少なく、温熱効果が
安定していると共に、温度コントロール用のサーモスタ
ット等が不要であり、電気回路構成も極めて簡単であ
る。
【0021】また、上記自己温度調節型面状発熱素子
を、ひまし油系ポリウレタン樹脂マット内にインサート
成形したものにおいては、常温硬化させることができる
ので、製造が極めて簡単であり、しかも防水性、防湿性
に優れ、可撓性(変形性)があって肌触りが良く、劣化
が少ない。従って、自己温度調節型面状発熱素子に対す
る防水対策が万全なものになると共に、本温熱装置の製
造が容易になる。
【0022】更に、本第7発明に示す様に、上記自己温
度調節型面状発熱素子に、商用電力を30V以下(特に
17V以下)の電力に変換して給電するものにおいて
は、この素子が、万一、人体に触れても、人体に与える
影響が極めて少なくなり、安全性が向上する。尚、17
V以下の電力に変換するのが特に好ましいのは、この電
圧が人体にほとんど危害を与えるものではないので、極
めて安全となると共に、乾電池1個(1.5V)及びそ
の複数個の連結によっても、作動させることができ、極
めて安全且つ実用的であるからである。
【0023】本発熱素子と赤外線との関係を述べると、
以下の通りである。まず、水と赤外線との関係を述べる
と、O−Hの伸縮振動により2930〜3650cm-1
(3.41〜2.74μm)及び1580〜1750c
-1(6.33〜5.71μm)に吸収をもつので、波
長7〜10μm程度の赤外線は水中を透過できる。
【0024】また、自己温度調節型面状発熱体とその輻
射遠赤外線スペクトルについて述べる。これらの発熱体
はスイッチング機能により通電後一定温度を保持し続け
るわけであるが、この一定温度とは40〜60℃程度で
ある。黒体輻射の法則(ウイーンの変位則)から計算す
ると、輻射遠赤外線は8.7〜9.3μmに極大値をも
つスペクトルを与える。この温度と輻射遠赤外線波長の
関係は以下に示す通りである。10℃(10.24μ
m)、30℃(9.56μm)、40℃(9.26μ
m)、50℃(8.97μm)、60℃(8.70μ
m)。これらの波長の遠赤外線は人体内部に入るので、
本発明にとって37〜55℃程度の加熱により放射され
る遠赤外線(10μm弱)は不可欠である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て述べる。本形態では、先ず、(1)感熱電気抵抗組成
物(以下、「組成物」という。)に要求される条件につ
いての検討を行った後に、(2)この組成物を「サウ
ナ」若しくは「温熱治療具」に適用した実施例を述べ
る。
【0026】(1)組成物に要求される条件の検討 本「検討」は、「サウナ」若しくは「温熱治療具」に適
した組成物の条件、即ち定常発熱温度を36〜60℃
(好ましくは42〜60℃)間に調整可能となる組成物
の条件を得ることを目的になされたものである。具体的
には、黒鉛粉末の配合量、ポリエチレングリコール
類の分子量、分子量の異なるポリエチレングリコール
(PEGという。)同志の混合、PEGとポリプロピ
レングリコール(PPGという。)とのブロック共重
合、水等の添加剤及び膨潤する高分子物質の添加剤
について、以下の様な検討を行った。
【0027】黒鉛粉末の配合量の検討 黒鉛粉末の配合量と適正な定常発熱温度との関係を調べ
るために、以下の試験を行い、その結果を第8図及び第
9図に示す。即ち、融点49℃のPEGの黒鉛粉末を、
図8に示す割合で混合した組成物を調整し、この組成物
を、透明なアクリル樹脂板(260×350×2mm)
とウレタンゴム板(260×350×30mm)中に形
成された間隙中に、厚さ50mmの状態で封じ込んだ。
また、電極を、交互に組成物中に配設している。そし
て、この様に構成される発熱体の中央には、温度測定の
ための熱電対が配設されている。また、この発熱体に、
交流100Vの電圧印加をして温度変化を調べた所、黒
鉛粉末の配合割合によって、定常加熱温度を自由に設定
できることが判った(図8)。即ち、黒鉛粉末の添加を
25〜33%程度とすれば、湯浴に適する40〜60℃
の定常加熱温度を確保できる。
【0028】また、黒鉛25%を含有する組成物におい
て加熱時間の経過を調べると、まず、電圧印加によって
電極付近から5分間以内に完全に溶融してしまう。温度
変化をみると、2時間位の通電によって最高温度42℃
になっている。以後温度調節機能が働いて同じ温度を保
持しているのである。この状態で6時間30分経過後電
圧印加を止めた(図9)。尚、従来のチタン酸バリウム
系感熱抵抗素子であると、直ちに常温に戻ってしまう。
しかし、PEGを用いた本例では、通電を止めた後1時
間30分もの長い間同一温度を保っている。そして、そ
の後徐々に温度は下がり、完全に常温に戻るのは通電を
止めた後7時間以上経過してからであり、長期の保温性
に優れる。この原因は、溶融状態のPEGが凝固しなが
ら熱を放散するためである。
【0029】ポリエチレングリコールの分子量の検討 PEGの分子量と定常加熱温度との関係を調べると、図
10に示すように、分子量を変えることにより、この温
度を自由に調整できる。従って、分子量が1000〜6
000程度(同温度;33〜56℃程度)が好ましいこ
とが判る。尚、この図10の結果は、黒鉛(西村黒鉛
(株)製、「90−300M」)を27重量%含むもの
であり、この組成物層は80×3000×80mmであ
り、鋸歯状の銅製電極を用い、印加電圧は100Vであ
る。
【0030】分子量の異なるポリエチレングリコール
同志の混合 分子量100万の超高分子PEGと、分子量40万の中
分子PEGと、3000〜8000程度の低分子PEG
とを、各々配合して、その場合の定常加熱温度を調べ、
その結果を表2並びに図11及び12に示した。
【0031】
【表2】
【0032】これらの結果によれば、その組み合わせに
よっては、定常加熱温度を調節できる。これらのデータ
においても、この温度が51〜55℃程度の目的のもの
が得られている。
【0033】尚、これらの結果は、以下のようにして素
子を製作し、測定した。即ち、トルエン95重量部に対
して平均分子量約100万のポリエチレングリコール
(ユニオンカーバイド・Polyox(WSR N-12K) )5重量部
を混合し、ポリマーが十分溶解した後、鱗片状黒鉛(西
村黒鉛(株)製、「90−300M」)1.58部を分
散させた。予め、ガラス板上に網状のシールド線を電極
としてセットし、これに対して前述の溶液を流して乾燥
させ、電極間距離76mm、長さ30cmの面状発熱体
を形成し、真空乾燥して溶媒を除去した。得られた面状
発熱体は柔軟性に非常に優れている。即ち、分子量の高
いポリエチレングリコールは柔軟性を示すのでこれを用
いればフレキシブルな面状発熱体が得られる。これを厚
さ5mmの発泡ウレタンシートで上下を覆い、AC10
0Vを印加した後の各時刻における発熱温度と抵抗の関
係を調べた。
【0034】PEGとPPGとのブロック共重合体の
使用について ポリプロピレングリコールの分子の両側にポリエチレン
グリコールを反応させた共重合体であるプルロニック
(旭電化工業(株)製、「F88」)70gとグラファ
イトカーボン(米山薬品工業製)30gの組成物を加熱
溶融し、繊維付きポリエステルシートに銅箔電極を接着
したもの2枚の間にシリコン製スペーサネットと共には
さみ込んで面状発熱体とした。面状発熱体の一方の面に
アルミ箔を接着して放熱板とし、温度センサーを装着し
て50mm断熱材2枚の間にはさみ込んで単一乾電池数
個を並列につないだ1.5VDC電源により通電し、各
時間における温度を図14に示した。尚、図13に示す
結果は、グラファイトカーボン量が28重量%のもので
ある。これらの結果に示すように、定常加熱温度が40
〜50℃という条件に適したものが得られている。ま
た、図14に示すように、乾電池1個(1.5V)の電
源であっても、100V同様、適正の発熱挙動を示し
た。
【0035】水等の添加剤の検討 水等の添加剤の影響について試験を行い、その結果を図
15に示す。この結果によれば、水の添加量を変えるこ
とにより、容易にその温度を変えることができる。ま
た、同図に示すように、37〜55℃の範囲の組成物が
得られている。尚、これらの結果は、以下のようにして
素子を製作し、測定した。即ち、ポリエチレングリコー
ル(第一工業製薬製、「#6000」)と黒鉛粉末(米
山薬品工業製、28重量%)と所定量の水の混合物を加
熱溶融して、これを300×800×0.11の繊維付
きポリエステルシートの2枚の間に入れ、全体を厚さ3
00μmのシート状にした。電極は幅6mm、厚さ80
μmのジグザグ状の銅テープ電極を用いた。尚、この面
状発熱体の一方の面に厚さ50μmのアルミ箔を接着し
て放熱板とした。AC100V通電後各時間における温
度を測定した。同図に示されるように、定常発熱温度は
水の添加により低下し、また、水の添加による抵抗値増
加もはっきりとみられる。
【0036】更に、水以外に、アルコール、カルボン酸
又は側鎖を有するポリアルキレングリコールの一種又は
二種以上を添加することによっても、同様に調節でき
る。尚、水は調節剤としての添加効果が極めて大きい
が、揮発性が大きな点で密閉系での使用に限定される。
このアルコールとしては、エチルアルコール、プロピル
アルコール、セチルアルコールのような高級アルコー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、ペンチトールのような多価アルコール等を用い
ることもできる。このカルボン酸も低級でも高級でもよ
い。
【0037】(6)膨潤する高分子物質の添加効果 膨潤する高分子物質を添加することもできる。この添加
により、高圧(200V)であっても、図16(ポリビ
ニルピロリドンの場合)に示すように、安定な挙動を示
すことが判る。即ち、100Vの時はほぼ44.5℃で
安定し、200Vの時も約53℃で安定した。比較例と
して、上記混合物からポリビニルピロリドンを除去した
発熱体の場合を同図の中に点線でC及びDに示した。こ
の物質としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、澱
粉、可溶性澱粉、セルロース、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、寒天、カゼイン、ゼラチン等
とすることができる。この添加量は、僅か0.3%の添
加で顕著な効果を示す。従って、定常加熱温度が37〜
55℃程度の組成物に更に、この添加物を添加すること
により、より安定な性能を備えるものとすることができ
る。尚、これらの結果は、上記で示す方法により素子
を製作し、測定した。
【0038】(2)実施例 実施例1 実施例1の温熱装置は、図1乃至3を用いて示されるも
のであり、「サウナ」若しくは「温熱治療具」として、
特に好適に用いられる。そして、この温熱装置は、図1
に示す様に、縦断面が略弓形リング状とされ且つ略筒状
の外形とされた装置本体1と、装置本体1に電力を供給
するための電源コード2と、電源コード2の中間部に配
置された電力変換ユニット25とを備えている。尚、こ
の電力変換ユニット25は、商用100V電力を30V
以下(好ましくは17V以下)の電力に変換するトラン
ス、スイッチング電源等を有するものである。また、こ
のユニット25には、万一漏電が発生した場合を考慮し
て、漏電遮断器(図示せず)を内蔵してもよい。
【0039】上記装置本体1は、図1に示す様に、略半
円柱状とされた上方部1aと、平面略矩形状とされた敷
板部1bとを備えている。また、本装置の使用時におい
て、使用者は横たわり、装置本体1の一方の開口部1よ
り頭部を露出させ、且つ胴体、脚部を装置本体1の中空
部に納めることとなる。従って、装置本体1の全長(横
方向に沿った全長)は、150cm以上とされている。
但し、人体の一部のみを被温熱部位(例えば、脚部の
み)とする場合には、装置本体1の全長を、これよりも
短めにすることができる。また、本実施例では、図2に
示す様に、上方部1a及び敷板部1bを別体で作製した
後に、前者の位置決め用凸部Tを後者の位置決め用凹部
tに嵌合しながら、両者を一体にして使用する。但し、
上方部1a及び敷板部1bを、最初から一体で作製する
こともできる。
【0040】また、上方部1a及び敷板部1bは、いず
れも、図2及び3に示す様に、ひまし油系ポリウレタン
樹脂マット15内に、自己温度調節型面状発熱素子16
をインサート成形したものである。そして、自己温度調
節型面状発熱素子16の表裏両面のうちの装置本体1の
外側を向く面には、装置本体1の外側への熱損失を防ぐ
ための断熱材21が接合されている。但し、この断熱材
21の配置を省略することもできる。また、樹脂マット
15を、シリコンゴム等の他の素材で作製することもで
きる。
【0041】更に、この自己温度調節型の面状発熱素子
16は、図2に示す様に、ポリエチレングリコール(第
一工業製薬製、分子量;約1000、融点;49℃」)
に炭素粉末(黒鉛粉末、米山薬品工業製)を均一に分散
させて作った組成物17を用い、この組成物17を電極
18と混在(配置)させて面状に圧延成形すると共に、
その表裏両面を、内面に不織布が接合されたポリエチレ
ンテレフタレート製フィルム19、19でサンドイッチ
状に挟み込んだものとなっている。
【0042】この場合、ポリエチレングリコールに分散
させる炭素粉末は、各種の形態のものを利用でき、例え
ば、無定形のカーボンブラックから結晶形の黒鉛まで幅
広く利用でき、その混合割合を25〜33重量%の範囲
内で設定することが好ましい。但し、アセチレンブラッ
クのように嵩比重の小さい炭素粉末は、混合割合を少な
めにし、黒鉛のような嵩比重の大きな炭素粉末は、混合
割合を多めに設定することが好ましい。尚、5重量%以
上25%未満、及び33重量%を越えて45重量%以下
の場合であっても、前記に示すように、黒鉛量、PEG
の分子量及び水の添加等により、目的とする36〜60
℃、好ましくは40〜60℃、更に好ましくは42〜6
0℃の定常加熱温度に調整することができる。但し、装
置本体1全体の定常加熱温度が、一様とされる必要はな
く、例えば、被温熱部位に接触しない上方部1aの定常
加熱温度を、やや高め(40〜60℃程度)とし、被温
熱部位が直接、若しくは間接に接触することとなる敷板
部1bの定常加熱温度を低め(36〜40℃程度)とす
るのも有効である。
【0043】このように構成された自己温度調節型の面
状発熱素子16の特長は、ポリエチレングリコールの分
子量を例えば500〜20000程度の範囲で適宜設定
することにより、肌が触れても熱くない範囲で発熱温度
を任意に設定できる。しかも、この発熱温度の上下変動
が従来のPTCヒータに比べて格段に少なく、素子全面
で温熱効果が安定していると共に、温度コントロール用
のサーモスタットも不要である。また、商用100V電
力を電力変換ユニット25によって30V以下(好まし
くは17V以下)の電力に変換して、面状発熱素子16
に供給するので、万一、漏電が発生した場合でも、人体
に与える影響が少なくなり、安全性が向上する。
【0044】次に、図2及び図3に示す様に、面状発熱
素子16の外周囲をカバーするひまし油系ポリウレタン
の樹脂マット15の製造例を示す。先ず、ひまし油から
誘導されたポリオール(伊藤製油株式会社製:商品名
「URIC H)とポリイソシアネート(例えばTD
I)とを配合して、数分間混合攪拌して作ったひまし油
系ポリウレタンの原液30(図4参照)を成形型32内
に所定量注入する。尚、ひまし油から誘導されたポリオ
ールとイソシアネートとを反応させて得たプレポリマー
(伊藤製油株式会社製:商品名「URIC N)と触媒
を配合した原液を用いることもできる。
【0045】この成形型32内には、予め面状発熱素子
16が断熱材21と共に水平に浮かせた状態にセットさ
れ、ひまし油系ポリウレタンの原液30を成形型32内
に所定量注入することで、面状発熱素子16がひまし油
系ポリウレタンの原液30の中央に位置した状態とな
る。この状態で、1時間程度、常温で放置すると、ひま
し油系ポリウレタンの原液30が硬化し始め、その後、
15時間程度経過すると、完全に硬化し、ひまし油系ポ
リウレタン樹脂マット15内に自己温度調節型の面状発
熱素子16を断熱材21と共にインサート成形した上方
部1a及び敷板部1bが出来上がる。
【0046】このようにして製造されるひまし油系ポリ
ウレタン樹脂マット15は、製造が極めて簡単であるこ
とに加え、防水性、防湿性に優れ、可撓性(変形性)が
あって肌触りが良く、劣化が少なく、長期間にわたって
安定した防水性、防湿性を維持できる。このようなひま
し油系ポリウレタン樹脂マット15内に自己温度調節型
面状発熱素子16をインサート成形することで、自己温
度調節型面状発熱素子16に対する防水対策が万全なも
のになると共に、浴槽内温熱マット11の製造が容易に
なり、浴槽内温熱マット11の肌触りも良くなる。
【0047】以上の様に、本温熱装置は、製造が容易
で、安全性に優れると共に、以下の様な効果を発揮す
る。即ち、略筒状に配置された面状発熱素子16が、使
用者の被温熱部位を四方より取り囲んだ状態とする。こ
のため、被温熱部位を、より低い温度で、且つより短時
間にて、連続的に、芯から暖めることとなる。従って、
この温熱装置を、サウナ装置に適用した場合には、遠赤
外線を、入浴者の体全体に向けて、一度に放射できる。
このため、温熱効果に加えて、遠赤外線放射効果によ
り、入浴者の体の芯まで、短時間にて、連続的に温めら
れる。また、この様に、効率の良い、遠赤外線の放射が
可能なため、使用電力を節減でき、省エネルギーの観点
からも好ましい。
【0048】また、サウナ装置の構造の簡略化が容易
で、設備費の低廉化を図ることが容易になる。特に、従
来の様な複雑な温度調節機構が不要となる点が優れてい
る。更に、ダイエット、エステテイック用等の装置とし
ても、好適に用いられる。また、この温熱装置を、温熱
治療器に適用した場合にも、器具の構造の単純化、製造
の低廉化、安全性の向上等の効果の他に以下の効果が得
られる。例えば、本温熱装置を、肩こり、腰痛等の治療
用に用いる場合にも、筒状とされた面状発熱素子16に
より、使用者の所望の部位(つぼ)を取り囲みつつ、芯
まで、より短時間に、且つより連続的に、しかも、集中
的に温められ、老廃物の排出を促進することができる。
また、この温熱装置は、本出願人が提案した温熱治療器
(特開昭63−158069号公報)と同様に、「が
ん」の治療にも用いることができる。そして、この温熱
装置によれば、更に一層、迅速に、温熱治療を行うこと
ができる。
【0049】更に、この迅速な温熱治療を可能とするこ
とは、使用者が、老齢者、病人等の虚弱者である場合
に、特に大きな意義を有することとなる。この温熱治療
に際して、使用者に加わる付加を必要最低限に抑えられ
るからである。また、この温熱装置は、上方部1aを、
使用者に対し、非接触な状態で、使用することも可能で
ある。従って、敷板部1bの上面に、補助マットを敷
き、使用者が交代する毎にこれを取り替えれば、各使用
者は、常に、清潔な状態で使用できる。
【0050】実施例2 本実施例の温熱装置は、図5に示す様に、装置本体1c
の外形が略円筒状とされた他は、実施例1の温熱装置と
同様である。そして、本装置本体1cは、同図に示す様
に、中空部を上下に向けた状態で用いられる。即ち、使
用者は、本温熱装置を、あたかも、風呂桶の様に用いる
のである。但し、実施例1と同様に、中空部を水平に向
けて用いることもできる。この装置においても、実施例
1と同様に、良好な効果が得られる。また、本装置で
は、装置本体1cを単一の部材で構成しているため、構
造がより一層、単純となり、製造コストのより一層の低
廉化を図ることが容易である。但し、本装置本体1cの
下側の開口部に、下敷用のマットを配置すれば、使用者
の座り心地の向上が図られる。更に、この下敷用のマッ
トを、上記装置本体1cと同様な構造とすれば、本装置
の効果をより一層、高められる。
【0051】実施例3 本実施例の温熱装置は、図6に示す様に、装置本体1
d、1eをリングバンド形状としたこと以外は、実施例
1と同様である。即ち、装置本体1d、1eをリングバ
ンド形状とし、使用者の所望の非温熱部位に装着して用
いられる。そして、この装置は、腕部、脚部等の使用者
の各部位の局部的な「こり」や、スポーツ選手等に多
い、各部位の局部的な「疲労」をほぐすために好適に用
いられる。但し、装置本体1d、1eの形状、大きさ等
は、治療を行う各部位の形状、大きさ等との関係で、相
対的に選択できる。例えば、腰部のこりをほぐすことを
目的に、腰部を周回する様な状態で取着される温熱装置
では、図6に示す「腕部用の温熱装置」に比べて大型の
ものとされる。
【0052】また、装置本体1d、1eに、十分な弾性
を持たせ、非温熱部位のサイズの少々の違いを気にせず
に使用できる、いわゆる「フリーサイズ」のものとして
もよい。例えば、一の使用者の各部位のサイズの違いに
係わらず使用できるもの(例えば、腕用兼脚用として用
いられるもの)としても、一の部位の個人差によりサイ
ズの違いに係わらず使用できるものであってもよい。更
に、装置本体1d、1eにある程度の剛性を与えつつ、
適度な弾性を持たせることもできる。この場合、装置本
体1d、1eの幅方向(中空部の形成方向)に向けて、
所定のスリット孔を設ければ、装置本体1d、1eの非
温熱部位への装着が、より容易となる。
【0053】また、本装置は、装置本体1d、1eが比
較的、小型であるため、電源を乾電池、充填型の小型電
池とすることも容易である。従って、携帯用の装置とし
ても好適に用いられる。更に、本実施例では、装置本体
1d等の数を2つとする場合を例示しているが、装置本
体の数は1つでも、3つ以上であってもよい。また、装
置本体1d等を、上記リングバンド形状に組み合わされ
る2以上の部分で構成してもよい。更に、各装置本体1
d等を、両端側を所定の係止具により接続して上記リン
グバンド形状とされる略帯状体で構成してもよい。
【0054】実施例4 本実施例の温熱装置は、図18に示す様なものであり、
装置本体1gを略容器形状としたこと以外は、実施例1
と同様である。即ち、本装置では、横断面楕円リング状
の周壁部111g及び平面略楕円板状の底板部112g
からなる略容器状の装置本体1gと、周壁部111gの
上方開口部に取着されたスカート部121gとを備えて
いる。上記周壁部111g及び底板部112gには、上
記自己温度調節型面状発熱素子が配置されている。但
し、周壁部111gのみに、若しくは底板部112gの
みに、この素子が配置されていてもよい。
【0055】また、上記スカート部121gは、布若し
くは樹脂シートを略スカート形状にして構成されてお
り、上下方向に沿った所定の箇所に、開閉用ファスナー
122gを備えている。但し、本装置より、このスカー
ト部121gを省略することもできる。本装置では、以
下の様に用いられる。即ち、開閉用ファスナー122g
を開いた後に、両脚部の膝下部分を装置本体1g内に挿
入する。そして、開閉用ファスナー122gを閉めて、
図18に示す様な状態で用いられる。
【0056】本装置では、略容器状とされた装置本体1
gにより、両脚部の膝下部分を取り囲み、この部分のこ
りを効果的にほぐすこととなる。特に、本装置では、上
記スカート部121gを備えるため、装置本体1gから
の無駄な放熱を抑制しつつ、効果的な治療を行うことが
できる。尚、周壁部111gの横断面形状が略楕円リン
グ状とされているが、円形リング状、多角形リング状等
の他の横断面形状であってもよいし、足形状に追随した
長靴形状にしてもよいし、片足づづ別個に挿入できる筒
状(個別又は連結型)等としてもよい。また、本温熱装
置は、両脚部の膝下部分を治療を目的としているが、装
置本体1gの全高を大きくして、両脚部の全体の治療を
行ってもよい。更に、本装置は、一の装置本体1gに、
両脚部を挿入するものであるが、各脚部毎に、別々の装
置本体を備えてもよい。
【0057】尚、本発明においては、前記具体的な実施
の形態及び実施例に示すものに限られず、目的、用途に
応じて本発明の範囲内で種々変更した変形的な形態、実
施例とすることができる。即ち、上記各実施例では、各
装置本体1、1c、1d、1e、1f、1gの形状が略
筒状、若しくは略容器状とされているが、略トンネル状
とすることもできる。例えば、図1に示す装置本体1よ
り敷板部1bを省略することもできる。
【0058】また、上記各実施例では、各装置本体1、
1c、1d、1eが、裸の状態とされたものを例示して
いるが、これらの周囲には、所定の外装カバーを配置す
ることもできる。また、自己温度調節型面状発熱素子1
6をインサート成形する樹脂マット15の素材はひまし
油系ポリウレタンに限定されず、他の合成樹脂であって
も良く、また、その形成法は、上記実施形態のような注
型法に限定されない。例えば、図7に示す様に、塩化ビ
ニル等により形成された2枚の樹脂シート23間に、自
己温度調節型面状発熱素子16と断熱材21とを挟んだ
状態で、両樹脂シート23の周縁部分を熱融着等で接合
するようにしても良い。
【0059】また、樹脂で被覆した場合においてその一
表面にゴム系素材からなる被膜を形成させて、柔軟性を
もたせてもよい。特に、使用者の体が必然的に接触する
部材(例えば、実施例1の敷板部1b、実施例3の装置
本体1d、1e)の材質を、この様な柔軟性を備えたも
のとすれば、使用感が、より一層、向上する。更に、被
覆賦形部の材質を、各装置本体1、1c等、全体を通じ
て統一する必要はない。例えば、実施例1の上方部1a
の被覆賦形部を賦形性の高い樹脂により構成し、敷板部
1bをクッション性の高いゴムにより構成してもよい。
【0060】
【発明の効果】以上の様に、本各発明の温熱装置による
と、温熱・遠赤外線効果により、使用者の被温熱部位を
芯まで、短時間にて連続的に暖めることができる。しか
も、温度調節用のサーモスタットが不要である等の理由
で、構造が簡単で、安価に製造できる。特に、自己温度
調節型面状発熱素子をひまし油系ポリウレタン樹脂で被
覆したものは、製造が極めて簡単であることに加え、防
水性、防湿性に優れ、劣化が少なく、長期間にわたり、
安定した性能を維持できる点が優れている。従って、上
記各発明の温熱装置は、サウナ、温熱治療具等として好
適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の温熱装置の主要部を示す概略的な斜
視図である。
【図2】図1の温熱装置の装置本体の一部縦断面図であ
る。
【図3】図1の温熱装置の各装置本体一部に横断面を示
す平面図てある。
【図4】ひまし油系ポリウレタン樹脂マットの成形法を
説明する図である。
【図5】実施例2の温熱装置の主要部を示す概略的な斜
視図である。
【図6】実施例3の温熱装置を説明するための概略的な
斜視図である。
【図7】実施例1〜3の変形例に係わる装置本体の一部
縦断面図である。
【図8】黒鉛粉末の配合量を変えた場合の通電時間と温
度との関係を示すグラフである。
【図9】黒鉛粉末25%含有組成物の加熱経過時間と温
度との関係を示すグラフである。
【図10】ポリエチレングリコールの分子量と温度との
関係を示すグラフである。
【図11】分子量の異なるポリエチレングリコール同志
の混合効果を調べた結果を示すグラフである。
【図12】分子量の異なるポリエチレングリコール同志
の混合効果を調べた結果を示すグラフである。
【図13】ポリエチレングリコール類及びPEGとPP
Gとのブロック共重合体における発熱体温度と電気抵抗
との関係を示すグラフである。
【図14】PEGとPPGとのブロック共重合体と温度
との関係を示すグラフである。
【図15】水の添加効果を調べた結果を示すグラフであ
る。
【図16】膨潤する高分子物質の添加効果を調べた結果
を示すグラフである。
【図17】銀等の導電性物質において通電時間と発熱体
の温度との関係を示すグラフである。
【図18】実施例4の温熱装置の概略的な斜視図であ
る。
【符号の説明】
1;装置本体、1a;上方部、1b;敷板部、13;電
源コード、15;ひまし油系ポリウレタン樹脂マット、
16;自己温度調節型面状発熱素子、17;感熱電気抵
抗組成物、18;電極、19;ポリエチレンテレフタレ
ート製フィルム 21;断熱材、23;樹脂シート、25;電力変換ユニ
ット、30;ひまし油系ポリウレタンの原液、32;成
形型。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 36〜60℃の範囲の適宜の温度の変化
    に対して電気抵抗が急変する性質を有する感熱電気抵抗
    組成物を面状に形成させるとともに電極を備える自己温
    度調節型面状発熱素子を、略筒状、略トンネル状若しく
    は略容器状に配置して構成される放熱部と、上記自己温
    度調節型面状発熱素子に電力を供給するための電力供給
    部と、を備え、遠赤外線放射性に優れることを特徴とす
    る遠赤外線放射型温熱装置。
  2. 【請求項2】 上記感熱電気抵抗組成物は、樹脂と該樹
    脂中に分散される導電性粒子とを含む請求項1記載の遠
    赤外線放射型温熱装置。
  3. 【請求項3】 上記樹脂は、分子中に複数のアルキレン
    オキシドを単位構造として含有するポリアルキレンオキ
    シド類化合物であり、上記導電性粒子は、粉末、繊維若
    しくはウイスカーの形態をなす炭素微細片、金属微細片
    又は金属酸化物微細片である請求項2記載の遠赤外線放
    射型温熱装置。
  4. 【請求項4】 上記ポリアルキレンオキシド類化合物
    は、ポリエチレングリコールである請求項3記載の遠赤
    外線放射型温熱装置。
  5. 【請求項5】 上記自己温度調節型面状発熱素子が、ゴ
    ム若しくは樹脂から構成され且つ上記放熱部の上記略筒
    状、略トンネル状若しくは略容器状を保持するための被
    覆賦形部を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の遠
    赤外線放射型温熱装置。
  6. 【請求項6】 上記被覆賦形部は、シリコンゴム若しく
    はウレタンゴムを用いて構成される請求項5記載の遠赤
    外線放射型温熱装置。
  7. 【請求項7】 上記自己温度調節型面状発熱素子には、
    商用電力を30V以下の電力に変換する電力変換手段を
    介して給電される請求項1乃至6のいずれかに記載の遠
    赤外線放射型温熱装置。
JP9337296A 1996-03-21 1996-03-21 遠赤外線放射型温熱装置 Pending JPH09253117A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9337296A JPH09253117A (ja) 1996-03-21 1996-03-21 遠赤外線放射型温熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9337296A JPH09253117A (ja) 1996-03-21 1996-03-21 遠赤外線放射型温熱装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09253117A true JPH09253117A (ja) 1997-09-30

Family

ID=14080478

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9337296A Pending JPH09253117A (ja) 1996-03-21 1996-03-21 遠赤外線放射型温熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09253117A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100385337B1 (ko) * 2001-07-06 2003-05-27 주식회사 명신메디칼 의료용 온열기 제조방법
JP2009520524A (ja) * 2005-12-22 2009-05-28 メデラ ホールディング アーゲー 胸カップ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100385337B1 (ko) * 2001-07-06 2003-05-27 주식회사 명신메디칼 의료용 온열기 제조방법
JP2009520524A (ja) * 2005-12-22 2009-05-28 メデラ ホールディング アーゲー 胸カップ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8121679B2 (en) Transcutaneous electrical nerve stimulator with hot or cold thermal application
JP5056726B2 (ja) 車両用暖房装置
KR101567526B1 (ko) 온열매트
TW201225943A (en) Thermal mask device
JPH09253117A (ja) 遠赤外線放射型温熱装置
JP2004055219A (ja) シートヒーター
JPH09294624A (ja) 遠赤外線放射型頭部加温器及び遠赤外線放射型顔面美容器
JPH09312194A (ja) 浴槽内・浴室床用遠赤外線放射型加熱体、プール槽内・プールサイド用遠赤外線放射型加熱体、遠赤外線浴浴槽及び遠赤外線浴プール
JPH10165434A (ja) 足温器、手温器及び体温器
JPH1094555A (ja) 携帯用遠赤外線放射型加熱体及びコイン型携帯用遠赤外線放射型加熱体
KR20210156700A (ko) 음이온 온열매트
JPH1079287A (ja) 室内内装材用遠赤外線放射型加熱体及び暖房具付室内内装材
JP4563442B2 (ja) 発汗装置
KR200419836Y1 (ko) 면상발열체를 이용한 발침낭
JPH0342940Y2 (ja)
JP2000091060A (ja) 感熱電気抵抗発熱体及び感熱電気抵抗発熱体の製造方法
CN210114561U (zh) 一种抗菌柔性保健发热暖脚宝
CN215605341U (zh) 石墨烯电加热膜及智能马桶
CN215461458U (zh) 一种便携式远红外电磁治疗仪
KR20140077003A (ko) 개똥쑥을 내장시킨 온열매트
JPS5837375Y2 (ja) 温熱治療器
KR200463479Y1 (ko) 탄소 발열원단을 이용한 전열 발판
JP3126982U (ja) 発汗促進装置
JP4827768B2 (ja) 充電式膝当てカイロ及び膝用サポーター
KR20000012837U (ko) 소금이 내장된 매트리스