JPH09250631A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JPH09250631A
JPH09250631A JP6310096A JP6310096A JPH09250631A JP H09250631 A JPH09250631 A JP H09250631A JP 6310096 A JP6310096 A JP 6310096A JP 6310096 A JP6310096 A JP 6310096A JP H09250631 A JPH09250631 A JP H09250631A
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JP
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oil temperature
voltage
gear ratio
continuously variable
drive
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JP6310096A
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Masahiro Yamamoto
雅弘 山本
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油温や供給電圧の変化による電動アクチュエ
ータの過負荷を防ぐ。 【解決手段】 車両の運転状態または運転者からの指令
に応じて無段変速機100の変速比を設定する変速比設
定手段101と、無段変速機100へ油圧を供給する変
速制御弁102と、この変速制御弁を駆動する電動アク
チュエータ103と、無段変速機100の実際の変速比
が変速比設定手段の変速比と一致するように電動アクチ
ュエータ103を駆動する駆動手段110は、無段変速
機100の油温を検出する油温検出手段111と、電動
アクチュエータ103への電圧を検出する電圧検出手段
112と、これら検出した油温と電圧に基づいて電動ア
クチュエータ103の駆動速度を設定する駆動速度設定
手段113とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の変速
制御装置の改良に関し、特にVベルト式の無段変速機の
変速速度制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載される無段変速機としては、
Vベルト式のものが従来から知られており、例えば、本
願出願人が提案した特開平1−174295号公報等が
ある。
【0003】これは、無段変速機のVベルトとの接触プ
ーリ幅が、油圧に基づいて可変制御される駆動側と従動
側の一対の可変プーリを備え、それぞれの可変プーリに
付与する油圧の大きさを変化させることにより、連続的
に変速比を変更するものであり、これら可変プーリへ供
給される油圧は、リンクを介してステップモータに駆動
される変速制御弁によって行われ、ステップモータを制
御するコントローラは、車両の運転状態に応じた目標変
速比に、実際の変速比が一致するようフィードバック制
御を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、変速制御弁
を駆動するステップモータは変速機に収装されるため、
変速機内の油温の影響を受けるのに加えて、供給される
電圧によって駆動力が変化し、例えば、図11に示すよ
うに、変速機の油温の上昇に応じてステップモータの駆
動力は漸減し、さらに、供給電圧の低下に応じて駆動力
も漸減する。
【0005】しかしながら、上記従来例においては、変
速機の作動油の温度が低い場合には、作動油の粘性が大
きくなって負荷が増大することから、作動油の温度に応
じてのみステップモータの駆動速度(パルスレートpp
s)を低下させ、例えば、図11のように、低油温時に
は350ppsから250ppsに変更することで所定の駆動
力を確保しているが、供給電圧の低下に起因するステッ
プモータの駆動力の低下や、高油温に起因するステップ
モータの駆動力の低下等の駆動特性の変化を加味してい
ないため、供給電圧が低い場合や油温が高い場合には、
ステップモータの駆動力が不足して脱調が発生する場合
があるという問題があった。
【0006】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、油温や供給電圧に拘わらず、確実に変速制
御弁を駆動可能な無段変速機の変速制御装置を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図12に
示すように、Vベルトの接触プーリ幅が油圧に基づいて
可変制御されるプライマリ側とセカンダリ側の一対の可
変プーリを備えた無段変速機100と、車両の運転状態
または運転者からの指令に応じて前記無段変速機の変速
比を設定する変速比設定手段101と、前記可変プーリ
へ油圧を供給する変速制御弁102と、この変速制御弁
を駆動する電動アクチュエータ103と、前記無段変速
機100の実際の変速比が変速比設定手段の変速比と一
致するように前記電動アクチュエータ103を駆動する
駆動手段110とを備えた無段変速機の変速制御装置に
おいて、前記駆動手段110は、無段変速機の油温を検
出する油温検出手段111と、電動アクチュエータ10
3への電圧を検出する電圧検出手段112と、これら検
出した油温と電圧に基づいて電動アクチュエータ103
の駆動速度を設定する駆動速度設定手段113とを備え
る。
【0008】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記駆動速度設定手段は、油温が第1の所定値を
越えると油温の上昇に伴って駆動速度を低下させるとと
もに、電圧の低下に伴って駆動速度を低下させる。
【0009】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記駆動速度設定手段は、油温が第2の所定値未
満のときには、油温の低下に応じて駆動速度を低下させ
る。
【0010】また、第4の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記電動アクチュエータはステップモータで構成
されるとともに、前記駆動速度設定手段は検出した油温
と電圧に基づいてパルスレートを設定する。
【0011】
【作用】したがって、第1の発明は、Vベルトを挟持す
る一対の可変プーリは、車速とアクセルペダルの開度等
の運転状態や運転者からの指令に応じた変速比に設定さ
れ、変速比を変更する際には設定された変速比と無段変
速機の実際の変速比が一致するように電動アクチュエー
タが変速制御弁を駆動し、可変プーリへの油圧を変更す
ることで行われるが、この変速比を変更する電動アクチ
ュエータの駆動速度を、駆動特性や負荷の特性に影響を
与える油温と電圧に基づいて設定するため、電動アクチ
ュエータの過負荷を防いで、駆動指令に確実に追従させ
ることで正確な変速制御を行うことができる。
【0012】また、第2の発明は、電動アクチュエータ
は低電圧時や高温時に駆動力が低下するため、検出油温
が第1所定値を越える高油温時には油温の上昇に応じて
駆動速度を低下させ、また、電圧の低下に応じて駆動速
度を低下させることで温度や電圧の低下に起因する駆動
力の低下を補償して、電動アクチュエータの過負荷を防
いで所定の変速比へ向けて確実に変速制御弁を駆動する
ことができる。
【0013】また、第3の発明は、油温が第2の所定値
未満の低油温時には、無段変速機内の作動油の粘性が増
大して負荷が増大するため、この負荷の増大に呼応して
駆動速度を低下させることで、電動アクチュエータの過
負荷を防いで所定の変速比へ向けて確実に変速制御弁を
駆動することができる。
【0014】また、第4の発明は、ステップモータを駆
動するパルスレートを駆動力の特性や負荷の特性に影響
を与える油温及び電圧に応じて設定し、ステップモータ
の過負荷による脱調を防いで、駆動指令に確実に追従さ
せることで正確な変速制御を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0016】図1〜図10に本発明の一実施形態を示
し、図1はVベルト式無段変速機の変速制御装置の概略
構成図を示し、図2は無段変速機17の縦断面図を、図
3は油圧コントロールバルブ3の概略構成図をそれぞれ
示す。
【0017】図1において、無段変速機17は、一対の
可変プーリとして図示しないエンジンに接続されたプラ
イマリプーリ16と、駆動軸に連結されたセカンダリプ
ーリ26を備え、これら一対の可変プーリはVベルト2
4によって連結されている。
【0018】そして、無段変速機17の変速比(以下、
プーリ比とする)及びVベルト24の接触摩擦力は、C
VTコントロールユニット1からの指令に応動する油圧
コントロールバルブ3によって制御され、油圧コントロ
ールバルブ3にはライン圧を調整するライン圧ソレノイ
ド4と、図3に示すように、変速制御弁63を駆動する
ステップモータ64が収装される。
【0019】CVTコントロールユニット1は、無段変
速機17のプライマリプーリ16の回転数Npriを検出
するプライマリプーリ回転数センサ6、セカンダリプー
リ26の回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転
数センサ7からの信号と、インヒビタースイッチ8から
のセレクト位置と、運転者が操作するアクセルペダルの
踏み込み量に応じたスロットル開度センサ5からのスロ
ットル開度TVO(又は、アクセルペダルの開度)を読
み込むとともに、ステップモータ64への供給電圧Vb
(またはバッテリ電圧)及び無段変速機17の油温Tf
及び車速VSPを読み込んで、車両の運転状態ないし運
転者の要求に応じて、プーリ比ipを可変制御している。
なお、本実施形態弟では、セカンダリ回転数Nsecを車
速VSPとして読み込む。
【0020】Vベルト式の無段変速機17について、図
2を参照しながら説明する。
【0021】図示しないエンジンに結合されたエンジン
出力軸10と無段変速機17の入力軸13との間には流
体伝動装置としてのトルクコンバータ12が連結されて
おり、このトルクコンバータ12は、図1の油圧コント
ロールバルブ3を介してCVTコントロールユニット1
に制御されるロックアップクラッチ11を備えている。
【0022】なお、エンジン出力軸10はポンプインペ
ラ12aに、無段変速機17の入力軸13はタービンラ
ンナ12bに結合され、ロックアップクラッチ11はポ
ンプインペラ12aとタービンランナ12bとを選択的
に接続する。
【0023】無段変速機17の入力軸13は遊星歯車機
構19を主体に構成された前後進切換機構15と連結さ
れ、この遊星歯車機構19の駆動軸14に無段変速機1
7の駆動側となるプライマリプーリ16が設けられる。
【0024】プライマリプーリ16は、駆動軸14と一
体となって回転する固定円錐板18と、固定円錐板18
と対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するととも
に、プライマリプーリシリンダ室20へ作用する油圧
(プライマリプーリ油圧)によって駆動軸14の軸方向
へ変位可能な可動円錐板22から構成される。プライマ
リプーリシリンダ室20は、油室20a、20bから構
成され、後述するセカンダリプーリシリンダ室32より
も大きな受圧面積を有している。
【0025】一方、セカンダリプーリ26は従動軸28
に設けられており、この従動軸28と一体となって回転
する固定円錐板30と、この固定円錐板30と対向配置
されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダ
リプーリシリンダ室32へ作用する油圧(セカンダリ油
圧)に応じて従動軸28の軸方向へ変位可能な可動円錐
板34から構成される。
【0026】従動軸28にはアイドラギア48と噛み合
う駆動ギア46が固設され、アイドラギア48のアイド
ラ軸52に設けたピニオンギア54がファイナルギア4
4と噛み合っている。ファイナルギア44は差動装置5
6を介して図示しないドライブシャフトやプロペラシャ
フトを駆動する。
【0027】エンジン出力軸10から入力された駆動ト
ルクは、トルクコンバータ12及び前後進切換機構15
に伝達され、前進用クラッチ40が締結されるととも
に、後進用ブレーキ50が解放される場合には一体回転
状態となっている遊星歯車機構19を介して、入力軸1
3と同一回転方向のまま駆動軸14へ伝達される。一
方、前進用クラッチ40が解放されるとともに後進用ブ
レーキ50が締結される場合には、遊星歯車機構19の
作用により入力軸13へ伝達された駆動トルクは、回転
方向が逆になった状態で駆動軸14へ伝達される。
【0028】駆動軸14の駆動トルクは、プライマリプ
ーリ16、Vベルト24、セカンダリプーリ26、従動
軸28を介して、駆動ギア46から、アイドラギア4
8、アイドラ軸52、ピニオンギア54そしてファイナ
ルギア44へ伝達される。
【0029】上記のような駆動力伝達の際に、プライマ
リプーリ16の可動円錐板22及びセカンダリプーリ2
6の可動円錐板34を軸方向へ変位させて、Vベルト2
4との接触半径を変更することにより、プライマリプー
リ1とセカンダリプーリ26との変速比、すなわちプー
リ比ipを変えることができる。
【0030】例えば、プライマリプーリ16のV字状プ
ーリ溝の幅を縮小すれば、セカンダリプーリ26側のV
ベルト24の接触半径は大きくなるので、大きな変速比
(Low側)を得ることができる。可動円錐板22及び
34をこの逆方向へ変位させれば変速比は小さく(Hi
側)なる。
【0031】このような、プライマリプーリ16とセカ
ンダリプーリ26のV字状プーリ溝の幅を変化させる制
御は、プライマリプーリシリンダ室20とセカンダリプ
ーリシリンダ室32への油圧制御によって行われる。
【0032】上記変速制御は、図3に示すように、油圧
コントロールバルブ3の変速制御弁63を駆動するステ
ップモータ64を制御することで行われる。
【0033】ステップモータ64は、CVTコントロー
ラ1からの指令に応動じて変速制御弁63を駆動し、プ
ライマリプーリ16のシリンダ室20及びセカンダリプ
ーリ26のシリンダ室32へ供給される油圧を調整する
ことで実プーリ比Aipを目標プーリ比ipに一致させる
よう制御する。
【0034】油圧コントロールバルブ3は前記従来例と
同様に構成されており、ステップモータ64はピニオン
66を介してラック65と歯合しており、このラック6
5は所定のレバー比のリンク67の一端に連結される。
そして、このリンク67の途中には変速制御弁63が連
結されるとともに、リンク67の端部にはライン圧制御
弁60のロッド60aが連結される。
【0035】変速制御弁63は、ステップモータ64の
回転位置に応じてプライマリプーリ16及びセカンダリ
プーリ26のシリンダ室20、32への供給油圧を制御
し、ラック65の図中左方向への変位によって、プライ
マリプーリ16のシリンダ室20への供給油圧が高まる
一方、同じく右方向への変位によってシリンダ室202
への供給油圧は低下する。
【0036】なお、図3において、78はシフトレバー
に応動するマニュアル弁、76は負圧ダイアフラム、7
7は負圧ダイアフラム76に応動するスロットル弁で、
95は油温Tfを検出する油温センサである。
【0037】次に、CVTコントロールユニット1で行
われる変速制御の一例について、図4、図5のフローチ
ャート並びに図7〜図10の制御概念図を参照しながら
詳述する。なお、図4は変速制御のメインルーチンを、
図5はステップモータ64の駆動制御処理のサブルーチ
ンを示す。
【0038】ステップS1では、無段変速機17からプ
ライマリ回転数Npriとセカンダリ回転数Nsec
(=車速VSP)と、運転者の操作に応じたスロットル
開度TVO並びに無段変速機17の油温Tf、ステップ
モータ64への供給電圧Vb(または電源電圧)を読み
込み、この他、インヒビタスイッチ8からの信号(変速
モード)を読み込む。
【0039】ステップS2では、スロットル開度TVO
と車速VSPに応じてプライマリプーリ16の到達回転
数Npri’を演算し、例えば、インヒビタスイッチ8か
らの信号が自動変速モードであれば、スロットル開度T
VOをパラメータとして車速VSPに応じて予め到達
(又は目標)回転数Npri'を設定した変速マップに基づ
いて演算される。このステップS2は、図7の制御ブロ
ック図において、到達回転数計算部に相当する。
【0040】そして、ステップS3では、ステップS1
で読み込んだプライマリプーリ16の到達回転数Npri'
とセカンダリプーリ26の回転数Nsecから、実際のプ
ーリ比(実変速比)Aipを演算し、ステップS4で目標
プーリ比(目標変速比)ip’を演算する。
【0041】ステップS3は、図7の実プーリ比演算部
を構成し、ステップS4は、図7の目標波形生成部及び
図8の詳細ブロック図に示す処理が行われる。
【0042】この目標波形生成部では、図8に示すよう
に、まず、プライマリプーリ16の到達回転数Npri'と
現在のセカンダリプーリ回転数Nsecから到達プーリ比i
p'を求めた後、この到達プーリ比ip'が機構的に設定可
能な最大値(最Lowプーリ比)、最小値(最Hiプー
リ比)以内となるようにリミット処理を加える。
【0043】そして、ステップS3で求めた実プーリ比
Aipと,この到達プーリ比ip'から偏差eipを求め、予
め設定した偏差eipと目標プーリ比ipのマップから、偏
差eipに基づいて目標プーリ比ipを演算する。
【0044】次に、ステップS5では、ステップS4で
決定した目標プーリ比ipより、ステップモータ64の目
標制御位置である目標ステップ数DsrSTPを演算す
る。
【0045】この目標ステップ数DsrSTPの演算処
理は図7の変速制御機構制御部及び図9の詳細ブロック
図で行われ、図9に示すように、目標プーリ比ipと実プ
ーリ比Aipからスプール弁で構成された変速制御弁63
の開口量を決定する操作量uを次式により演算する。
【0046】
【数1】
【0047】ただし、KP1、KP2;比例ゲイン Ti;積分時間 Td;微分時間 である。
【0048】同時に、図9に示すように、プライマリプ
ーリ16の可動円錐坂22の現在のストローク量Pri
STKを、実プーリ比Aipに基づいて予め設定したマッ
プから演算する。
【0049】そして、プライマリプーリ16のストロー
ク量PriSTKと変速制御弁63の制御量uから、リ
ンク67のレバー比等の機構の構成に応じてステップモ
ータ64の目標ステップ数DsrSTPを演算する。な
お、この目標ステップ数DsrSTPは、ステップモー
タ64の所定の原点からの絶対位置を示すものである。
【0050】こうして目標ステップ数DsrSTPを求
めた後、ステップS6では図5のフローチャートに示す
手順で、ステップモータ64へパルスを送出する駆動制
御処理が行われる。この駆動制御処理は図7のステップ
モータドライバ部及び図10の詳細概念図に相当する。
以下、図5のフローチャート及び図10の詳細概念図を
参照しながらステップモータ64の駆動制御についてさ
らに詳述する。
【0051】まず、ステップS10では、検出した電圧
Vb及び油温Tfに基づいて、予め設定したマップより
ステップモータ64の駆動速度を決定するパルスレート
ppsを演算する。
【0052】このマップは、図6に示すように、電圧V
bをパラメータとして油温Tfに応じて設定されたもの
で、ステップモータ64の駆動力は、図11にも示した
ように、周囲の温度、すなわち、油温Tfや電圧によっ
て変化し、油温Tfが第1の所定値を越える高油温時に
は油温Tfの上昇に応じて駆動力は低下し、また、電圧
Vbの低下に応じて駆動力は低下する。さらに、前記従
来例にも述べたように、低油温時には無段変速機17内
の作動油の粘度が上昇するた油温Tfの低下に応じて負
荷が増大する。
【0053】このような、ステップモータ64の油温T
fまたは電圧Vbの変化による駆動特性と、油温Tfの
低下による負荷特性の変化を補償するため、図6のマッ
プでは、油温Tfが第1の所定値Tfaを越える高油温
時には油温Tfの上昇に応じてパルスレートppsを低
下させ、また、電圧Vbの低下に応じてパルスレートp
psを低くするよう設定し、低電圧時と高油温時の駆動
力の低下を駆動速度を低くすることで補償する。
【0054】また、油温Tfが第2所定値Tfb以下と
なる低油温時には、上記のように負荷が増大するため、
油温が第2所定値Tfb以下の場合には、油温Tfの低
下に応じてパルスレートppsが低くなるように設定す
る。
【0055】こうして、低電圧時、高油温時では、低下
した駆動力を低いパルスレートppsによって補償する
一方、低油温時には増大した負荷に応じてパルスレート
ppsを低下させ、駆動特性や負荷特性の変化によるス
テップモータ64の脱調を防止するものである。
【0056】次に、ステップS11ではステップモータ
64の絶対位置に応じた実ステップ数ASTPを演算
し、前記ステップS5で求めた目標ステップ数DsrS
TPとこの実ステップ数ASTPの差から、変速制御弁
63の駆動に必要な相対ステップ数STPを演算する。
【0057】そして、ステップS13では、ステップS
10で求めたパルスレートppsで相対ステップ数ST
Pに応じたパルスをステップモータ64へ送出して変速
制御弁63を駆動する。
【0058】なお、実ステップ数ASTPは、図10に
示すように、CVTコントローラ1内のカウンタ等で計
数され、また、ステップモータ64の原点位置は、図3
に示したラック65が最Lowプーリ比(最Low変速
比)まで変位するとONになるLowスイッチ95(リ
ミットスイッチ)等により設定され、車速VSP=0と
なる停車時や、図示しないイグニッションスイッチがO
Nに変化する始動時などに、ステップモータ64は所定
の原点位置、すなわち、最Lowプーリ比へ駆動され
る。
【0059】以上のような制御によって、ステップモー
タ64は負荷の増大する低油温時にパルスレートpps
を低下させて駆動力を確保するのに加えて、ステップモ
ータ64の駆動力が低下する低電圧時や高油温時にも所
定のマップに応じてパルスレートppsを低下させるこ
とができ、駆動特性や負荷特性の変化に起因するステッ
プモータ64の脱調を防止して、確実に変速制御を行う
ことが可能となって、無段変速機を備えた車両の制御の
信頼性を向上させることができるのである。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明は、V
ベルトを挟持する一対の可変プーリは、車速とアクセル
ペダルの開度等の運転状態や運転者からの指令に応じた
変速比に設定され、変速比を変更する際には設定された
変速比と無段変速機の実際の変速比が一致するように電
動アクチュエータが変速制御弁を駆動し、可変プーリへ
の油圧を変更することで行われるが、この変速比を変更
する電動アクチュエータの駆動速度を、駆動特性や負荷
の特性に影響を与える油温と電圧に基づいて設定するた
め、電動アクチュエータの過負荷を防いで、駆動指令に
確実に追従させることで正確な変速制御を行うことがで
き、無段変速機を備えた車両の制御精度を向上すること
が可能となるのである。
【0061】また、第2の発明は、電動アクチュエータ
は低電圧時や高温時に駆動力が低下するため、検出油温
が第1所定値を越える高油温時には油温の上昇に応じて
駆動速度を低下させ、また、電圧の低下に応じて駆動速
度を低下させることで温度や電圧の低下に起因する駆動
力の低下を補償して、電動アクチュエータの過負荷を防
いで所定の変速比へ向けて確実に変速制御弁を駆動する
ことができ、無段変速機を備えた車両の制御精度を向上
することが可能となるのである。
【0062】また、第3の発明は、油温が第2の所定値
未満の低油温時には、無段変速機内の作動油の粘性が増
大して負荷が増大するため、この負荷の増大に呼応して
駆動速度を低下させることで、電動アクチュエータの過
負荷を防いで所定の変速比へ向けて確実に変速制御弁を
駆動することができ、無段変速機を備えた車両の制御精
度を向上することが可能となるのである。
【0063】また、第4の発明は、ステップモータを駆
動するパルスレートを駆動力の特性や負荷の特性に影響
を与える油温及び電圧に応じて設定し、ステップモータ
の過負荷による脱調を防いで、駆動指令に確実に追従さ
せることで正確な変速制御を行うことができ、無段変速
機を備えた車両の制御精度を向上することが可能となる
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図。
【図2】同じく無段変速機の断面図。
【図3】同じく油圧コントロールバルブの概略図。
【図4】CVTコントルールユニットで行われる変速比
制御の一例を示すフローチャートで、メインルーチンを
示す。
【図5】同じくステップモータ駆動制御のサブルーチン
を示す。
【図6】電圧Vbをパラメータとした油温Tfとパルス
レートppsのマップ。
【図7】変速比制御の概念図。
【図8】同じく制御概念図で、目標波形生成部を示す。
【図9】同じく制御概念図で変速機構制御部を示す。
【図10】同じく制御概念図でステップモータドライバ
部を示す。
【図11】実線は、電圧Vbをパラメータとした油温T
fとステップモータの駆動力の関係を示すグラフで、図
中一点鎖線は、油温Tfと負荷の関係を示す。
【図12】第1ないし第4の発明のいずれかひとつに対
応するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 CVTコントロールユニット 3 油圧コントロールバルブ 4 ライン圧ソレノイド 5 スロットル開度センサ 6 プライマリ回転数センサ 7 セカンダリ回転数センサ 8 インヒビタスイッチ 16 プライマリプーリ 17 無段変速機 18 固定円錐板 19 遊星歯車機構 20 プライマリプーリシリンダ室 22 可動円錐板 24 Vベルト 26 セカンダリプーリ 28 従動軸 30 固定円錐板 32 セカンダリプーリシリンダ室 34 可動円錐板 60 ライン圧制御弁 63 変速制御弁 64 ステップモータ 65 ラック 66 ピニオン 67 リンク 77 スロットル弁 76 負圧ダイアフラム 78 マニュアル弁 95 Lowスイッチ 100 無段変速機 101 変速比設定手段 102 変速制御弁 103 電動アクチュエータ 110 駆動手段 111 油温検出手段 112 電圧検出手段 113 駆動速度設定手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Vベルトの接触プーリ幅が油圧に基づい
    て可変制御されるプライマリ側とセカンダリ側の一対の
    可変プーリを備えた無段変速機と、 車両の運転状態または運転者からの指令に応じて前記無
    段変速機の変速比を設定する変速比設定手段と、 前記可変プーリへ油圧を供給する変速制御弁と、 この変速制御弁を駆動する電動アクチュエータと、 前記無段変速機の実際の変速比が変速比設定手段の変速
    比と一致するように前記電動アクチュエータを駆動する
    駆動手段とを備えた無段変速機の変速制御装置におい
    て、前記駆動手段は、 無段変速機の油温を検出する油温検出手段と、 電動アクチュエータへの電圧を検出する電圧検出手段
    と、 これら検出した油温と電圧に基づいて電動アクチュエー
    タの駆動速度を設定する駆動速度設定手段とを備えたこ
    とを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動速度設定手段は、前記油温が第
    1の所定値を越えると油温の上昇に伴って前記駆動速度
    を低下させるとともに、前記電圧の低下に伴って前記駆
    動速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の
    無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動速度設定手段は、前記油温が第
    2の所定値未満のときには、油温の低下に応じて前記駆
    動速度を低下させることを特徴とする請求項2に記載の
    無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電動アクチュエータはステップモー
    タで構成されるとともに、前記駆動速度設定手段は検出
    した油温と電圧に基づいてパルスレートを設定すること
    を特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装
    置。
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