JPH09250160A - 汚水圧送管路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気注入式の汚水圧送管路において、水平部
に汚水が滞留して嫌気状態となることを防止する。 【解決手段】 上り勾配部４の手前において実質的に水
平方向に敷設された水平部５の末端部に、この水平部５
の管底１３よりも管頂１２が低い位置となる下方突出管
部１１を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は空気注入式の汚水圧
送管路に関する。

【０００２】

【従来の技術】管路内に下水などの汚水を充水した状態
で長距離にわたり圧送すると、この管路内には酸素が供
給されないので、嫌気状態となる。すると、嫌気性雰囲
気下で活性状態となる硫酸塩還元菌の作用で硫化水素が
発生し、それが管路の腐食や悪臭の発生の原因となるこ
とが知られている。そこで、このような汚水の圧送管路
においては、管内に空気や酸素を注入することが嫌気化
の防止のために効果的である。

【０００３】図４は、従来のこの種の汚水圧送管路の構
成を示すものである。ここで１は汚水圧送管路で、上流
側に設けられたポンプ２の作用によって管路１内に汚水
３が圧送される。管路１には、上り勾配部４と、水平部
５と、下り勾配部６とが存在する。そして図示を省略し
たブロワなどの適宜の手段によって、管路１内には空気
７の注入が行われる。空気に代えて酸素を注入すること
も行われる。

【０００４】この図４は、上述のように空気あるいは酸
素を注入する汚水圧送管路において、ポンプ２の運転時
の管路１内の状況を示す。このポンプ２の運転時には、
図示のように汚水３と空気７とがよく混合しながら流れ
るので、汚水３は好気性に保たれ、硫化水素の発生は抑
制される。

【０００５】ポンプ２を停止した場合には、図５に示す
ように汚水３の供給は止まり、嫌気化の防止のために空
気７のみが管路１内に供給されることになる。この場合
に、管路１の下り勾配部６と、下り勾配部６の手前の水
平部５とでは、空気７のみが存在することになる。上り
勾配部４の手前の水平部５では、上流側の空気７の圧力
により汚水３の水面が押し下げられて、管路の上部に空
気７の通路８ができる。管路の底部には汚水３が滞留す
る。管路１の上り勾配部４では汚水３が存在するが、こ
の汚水３中には上流側から供給される加圧状態の空気７
が混入されるため、ポンプ２の運転時と同様に汚水３は
好気性に保たれる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の上り勾
配部４の手前の水平部５では、空気７は管路１内の上部
に形成された通路を通るのみで、この部分の底部に滞留
した汚水３と空気７との混合は行われない。その結果、
この水平部５では嫌気化が進行して硫化物が生成する可
能性があり、ポンプ２が再稼働した際には汚水３と空気
７との攪拌が起こるので、生成した硫化物が空気７の中
に放散して、硫化水素が発生するおそれがある。特に汚
水圧送管路１においては一つの水平部が数百メートルな
どの広範囲にわたって敷設されることが多く、このよう
な嫌気化の進行は問題となる。

【０００７】そこで本発明は、このような問題点を解決
して、水平部に汚水が滞留して嫌気状態となることを防
止できるようにすることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、空気注入式の汚水圧送管路において、上り勾
配部の手前において実質的に水平方向に敷設された水平
方向管路の末端部に、この水平方向管路の管底よりも管
頂が低い位置となる下方突出管部を設けたものである。

【０００９】このような構成において、ポンプの運転の
停止により汚水の流れが止まった場合に、下方突出管部
では、管内の空気は、汚水を押し下げてこの下方突出管
部の管頂の部分に通路を形成することで下流側の上り勾
配部に流れる。したがって、この下方突出管部では、汚
水のレベルは管頂よりも下側となる。すると、この下方
突出管部の管頂がそれよりも上流側の水平方向管路の管
底よりも低い位置に存在するため、この水平方向管路の
内部の汚水は、この下方突出管部の中に流れ込み、この
下方突出管部において上述のように空気によって押され
るために、下流側の上り勾配部へ押し出される。このた
め、水平方向管路内に滞留する汚水は無くなり、下方突
出管部の管底の部分にのみ汚水が滞留することになる。
したがって、滞留する汚水の量が最低限になり、ポンプ
の稼働再開時に発生する硫化水素の量も最少となる。

【００１０】なお、完全な水平方向の管路のみならず、
緩い下り勾配の部分においても、同様に下方突出管部を
設けることで、同じ作用を奏することができる。したが
って、このような緩い下り勾配部をも含んだ意味での実
質的に水平方向の管路においての適用が可能である。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明にもとづく汚水圧送
管路の概略構成を示し、図４および図５に示したものと
同一の部材には同一の参照番号を付す。図示のように、
上り勾配部４の手前に敷設された水平部５の末端部に
は、下方突出管部11が設けられている。この下方突出管
部11は、その管頂12が、水平方向管路としての水平部５
の管底13よりも低く位置するように設置されている。上
り勾配部４は、この下方突出管部11に続いて敷設されて
いる。

【００１２】このような構成において、ポンプ２の運転
の停止により汚水３の流れが止まった場合には、下方突
出管部11では、図示のように管内の空気７が汚水３を管
頂12よりも下側に押し下げることで、この下方突出管部
11の上部に空気の通路14が形成される。したがって、こ
のように汚水３を押し下げて通路14を形成した空気７
は、この通路14を経て下流側の上り勾配部４に流れ、こ
の上り勾配部４の中に存在する汚水３の中に噴出して、
この汚水３への酸素の供給を行う。

【００１３】このように通路14が形成されると、下側突
出管部11では、汚水３のレベルは管頂12よりも下側とな
る。そして、元来この管頂12自体が水平部５の管底13よ
りも低い位置に配置されているため、この下側突出管部
11における汚水３のレベルは水平部５における汚水７の
レベルよりも確実に低くなる。このため、水平部５の中
の汚水３は、そのすべてが下方突出管部11の中に流れ込
み、この下方突出管部11において上述のように空気７で
押されるために、下流側の上り勾配部４へ押し出され
る。

【００１４】このため、水平部５の内部に滞留する汚水
は無くなり、下方突出管部11の管底15の部分にのみ汚水
３が滞留することになって、水平部５および下方突出管
部11に滞留する汚水の量が最低限になる。したがって、
ポンプ２の稼働再開時に発生する硫化水素の量も最小と
なる。

【００１５】図２は、下方突出管部11の具体的な構成の
一例を示す。図示のように４本の９０度ベント管16を逆
Ω字状に接合するだけで、下方突出管部11を構成するこ
とができる。この場合に、ポンプ２の停止時における下
方突出管部11の内部での汚水３と空気７との状況は、図
３に示すようになる。

【００１６】なお、上述のように水平部５は実質的に水
平であればよく、緩い下り勾配を有する場合にも同様の
作用効果を期待することができる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本発明によると、空気注入
式の汚水圧送管路において、上り勾配部の手前において
実質的に水平方向に敷設された水平方向管路の末端部
に、この水平方向管路の管底よりも管頂が低い位置とな
る下方突出管部を設けたため、水平方向管路内の汚水を
この下方突出管部に流れ込ませて、この汚水を空気圧の
作用によって下流の上り勾配部へ押し出すことができ、
このため水平方向管路内に滞留する汚水を無くすことが
でき、下方突出管部の管底の部分にのみ汚水を滞留させ
ることになり、したがって滞留する汚水の量を最低限に
することができ、よってポンプの稼働再開時に発生する
硫化水素の量も最少とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にもとづく汚水圧送管路の概略構成図で
ある。

【図２】図１における下方突出管部の具体例な構成例を
示す図である。

【図３】図２におけるポンプ停止時の管内の状況を示す
断面図である。

【図４】従来の汚水圧送管路の概略構成図である。

【図５】図４におけるポンプ停止時の管内の状況を示す
図である。

【符号の説明】

１ 汚水圧送管路 ４ 上り勾配部 ５ 水平部 11 下方突出管部 12 管頂 13 管底

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気注入式の汚水圧送管路であって、上
   り勾配部の手前において実質的に水平方向に敷設された
   水平方向管路の末端部に、この水平方向管路の管底より
   も管頂が低い位置となる下方突出管部を設けたことを特
   徴とする汚水圧送管路。