JPH09249757A - 画像形成方法、画像形成媒体、及び被転写媒体 - Google Patents

画像形成方法、画像形成媒体、及び被転写媒体

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JPH09249757A
JPH09249757A JP8059406A JP5940696A JPH09249757A JP H09249757 A JPH09249757 A JP H09249757A JP 8059406 A JP8059406 A JP 8059406A JP 5940696 A JP5940696 A JP 5940696A JP H09249757 A JPH09249757 A JP H09249757A
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conductive polymer
polymer layer
image forming
medium
electrode
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JP8059406A
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English (en)
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Shigemi Otsu
茂実 大津
Satoshi Tatsuura
智 辰浦
Makoto Furuki
真 古木
Takao Tomono
孝夫 友野
Ryujun Fu
龍淳 夫
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 品質が高く、比較的高速で、ランニングコス
トが低く、省エネルギー・省資源な環境にも使用者にも
優しい等の利点を有する画像形成方法等を提供する。 【解決手段】 まず、酸化状態、中性状態又は還元状態
のうち少なくとも二つの状態変化に伴って、イオン性色
素を取り込み、保持することができる導電性高分子層2
が導電性基板1上に形成された画像形成媒体であって、
イオン性色素3を保持した状態の画像形成媒体を用意す
る。次に、導電性高分子層2に保持されているイオン性
色素3の極性と同一極性のイオンOH- を含有する被転
写媒体71を、導電性高分子層2に接触させる。かくし
て、導電性高分子層2に保持されているイオン性色素3
と、前記被転写媒体71中のイオンOH- を交換させる
ことにより被転写媒体71にイオン性色素3の画像パタ
−ンを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性高分子を用
いた画像形成方法、画像形成媒体、及び被転写媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】電気信号や光学信号から紙等の記録媒体
に画像を転写する方法として、現在プリンター等に利用
されている方法には、ドットインパクト法、熱転写法、
熱昇華法、インクジェット法、レーザープリンタの電子
写真法が挙げられる。これらの方法は大きく3つの分類
に分けられる。
【0003】第1の分類に含まれる方法は、ドットイン
パクト法や熱転写法、熱昇華法であり、これらの方法で
は、インクリボンやドナーフィルムなど色素分子が分散
されたシートと紙等を重ね合わせ、力学的なインパクト
や熱により紙上に色素を転写する。これらの方法では、
したがって、つねに消耗品が必要であり、高速化が困難
でエネルギー的にも効率が低くランニングコストが高
く、熱昇華法を除く他の方法では得られる製品の品質も
悪い。
【0004】一方、第2の分類に含まれるインクジェッ
ト法では紙上にヘッドからインクが直接転写されるの
で、インク以外の消耗品はなくランニングコストは低
い。しかし、インクジェット法ではすべてのドットを電
気的に制御しかつ紙幅のヘッドを形成するのが困難なた
め高速化がむずかしい。またインクジェット法では画像
の最小単位がヘッドの大きさや間隔により規定され、印
刷品質を向上させるほど印刷速度は低下すると共にエネ
ルギー的にも効率は高くない。
【0005】さらに、第3の分類に含まれるレーザープ
リンターなどの電子写真法は、中間転写体を通して画像
形成がなされる。電子写真法では、レーザースポットに
より形成される感光体上の静電像に対してトナーが吸着
し、これを紙に転写して画像を形成する。このため、電
子写真法では、比較的繊細な像を形成することが可能で
あり、また消耗するのはトナーだけなのでランニングコ
ストは低い。しかし、電子写真法では、静電像を形成し
たりトナーが吸着・転写するのには高電圧が必要で、消
費電力が大きく、オゾンや窒素酸化物を発生するという
問題点がある。また、上記したいずれのプリンティング
方法も作動音がかなり大きいのが問題である。
【0006】一方、他の画像形成方法として、印刷法や
銀塩写真法等が古くから知られており、これらは品質の
よい像を与える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、印刷法では版
を形成するため、大量に同一の画像を形成する場合には
ランニングコストは低いが、一般的な用途には不向きで
ある。また銀塩写真法等では写真フィルム・印画紙の様
な再利用できない媒体を使用しなければならずランニン
グコストが高く、高速化も望めない。
【0008】前記した、電気信号や光学信号から紙等の
記録媒体に画像を転写する方法では、従来技術に記載し
たように、品質が高く、比較的高速で、ランニングコス
トが低く、省エネルギー・省資源な環境にも使用者にも
優しい方法がない。
【0009】上記の課題を解決するための1つの手段と
して対象画像を反映したトナーあるいはインクなどの画
像形成要素による画像分布を、被転写媒体(紙など)と
同じスケール(同じ紙幅)で形成・転写あるいは直接転
写形成する画像形成媒体を利用することが考えられる。
また、この媒体は画像形成要素の一時的な保持体として
機能するが、その取込み・放出(受け渡し)が比較的低
エネルギーで連続階調をもって行われ、さらに画像形成
要素の単位を小さくできる機能も求められる。
【0010】このような機能を達成する画像形成媒体と
して、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等
に代表される導電性高分子層を用いることが考えられ
る。これらのポリマー膜は酸化・中性・還元の3状態を
化学的・電気的および電気化学的に制御することがで
き、これに伴い対イオンをドーピング・脱ドーピングす
ることが知られている。このような特性は例えば吉村進
著「導電性ポリマー」(高分子学会)、山下和男・木谷
晧「導電性有機薄膜の機能と設計」(日本表面科学
会)、吉野勝美著「導電性高分子の基礎と応用」(アイ
ピーシー)に詳しく書かれている。つまり、導電性高分
子層にドーピング・脱ドーピングするイオン自体が、何
らかの画像形成要素であれば、前記の要件を満たす画像
形成要素の一時的な保持体としての媒体能力を発揮する
ことが期待される。
【0011】しかしながら、従来、導電性高分子に対イ
オンとしてドーピング・脱ドーピングするものとしては
一般的な金属や低分子の電解質アニオン並びにカチオン
のような、画像形成要素として期待出来ないものが利用
されている。また、例えば高分子アニオンなどと共に導
電性高分子の合成を行った場合には、そのようなアニオ
ンを脱ドーピングできないことも知られている。
【0012】なお、可逆的にドーピング・脱ドーピング
できるイオンの大きさに関しては、導電性高分子層のミ
クロな構造が特性を決定し、例えばこれがモノマーから
導電性高分子を重合するときに共存させる対イオンのサ
イズにより制御できることが篠原寛明らによりJ.Ch
em.Soc.,Chem,Commun.,p87,
(1986)に報告されている。ただ、この論文におい
ても、検討されたイオンの分子量はたかだか100程度
で分子量を大きいほどドーピング・脱ドーピング特性が
悪いという結果を示している。比較的大きな分子の可逆
的ドーピング・脱ドーピング特性を示した例としては、
同篠原らによる日本化学会誌、1986年、No3、P
465のグルタミン酸があるが、これでも分子量は15
0を超えない。一方、画像形成要素として期待出来る、
一般的な色素分子はその分子量が500〜1500程度
のものが多い。これまではこの程度の分子量のものは可
逆的にドーピング・脱ドーピングできるとは考えられて
いなかった。
【0013】反面、前記のような分子量の小さいイオン
を、導電性高分子層でドーピング・脱ドーピングさせ、
それに伴う色変化を利用することは、従来、考えられて
いる。しかし、それは、バッテリーや太陽電池の保護膜
およびエレクトロクロミック表示素子等への応用等を中
心として検討されてきたにすぎず、従来技術に記載した
ような画像形成方法に代わるものとしては、利用されて
いない。
【0014】ただし、導電性高分子層自体をマーキング
関連の材料として利用した技術は、皆無ではなく、特開
平2−142835号で、「高分子薄膜表面のぬれ性制
御方法ならびにその方法を利用した画像形成方法および
画像形成材料」として開示されている。しかし、この技
術では、導電性高分子層の酸化状態と中性状態でのぬれ
性の違いを電気的にスイッチングし、印刷の版を形成す
る。したがって、導電性高分子層内にドーピングという
形式で画像形成要素(インク等)が保持される訳でな
く、インク等の染料の吸着量や転写量については全く制
御性がない。
【0015】そのため、従来の各種の画像形成法を克服
し、且つ画像形成媒体材料として想定した導電性高分子
を利用した画像形成方法が期待される。
【0016】かくして、本発明の第1の目的は、上記し
た特性、すなわち、品質が高く、比較的高速で、ランニ
ングコストが低く、省エネルギー・省資源な環境にも使
用者にも優しい等の特性を有する画像形成方法を提供す
ることである。
【0017】本発明の第2の目的は、上記方法に好適に
利用できる画像形成媒体を提供することにある。
【0018】本発明の第3の目的は、上記方法に好適に
利用できる被転写媒体を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性高分子
層におけるイオン性の色素分子の挙動に着目し、探究し
た結果を得られたものであり、本発明の第1の目的は、
導電性高分子を用いた画像形成方法であって、(1)
酸化状態、中性状態又は還元状態のうち少なくとも二つ
の状態変化に伴って、イオン性色素を取り込み、保持す
ることができる導電性高分子層が導電性基板上に形成さ
れた画像形成媒体であって、イオン性色素を保持した状
態の画像形成媒体を用意する工程と、(2) 前記導電
性高分子層に保持されているイオン性色素の極性と同一
極性のイオンを含有する被転写媒体を、前記導電性高分
子層に接触させる工程と、(3) 前記導電性高分子層
に保持されているイオン性色素と、前記被転写媒体中の
イオンを交換させることにより当該被転写媒体にイオン
性色素の画像パタ−ンを形成する工程と、を有する画像
形成方法によって達成される。
【0020】本発明の画像形成方法では、工程(1)で
用意された、イオン性色素が取り込まれた画像形成媒体
から、工程(2)、工程(3)を経て、被転写媒体に対
し、イオン交換によって、イオン性色素が転写し、その
結果、被転写媒体に画像が記録される。
【0021】なお、工程(3)は、工程(2)を実施す
ることによって、自発的にイオン交換が進行する場合は
勿論、その他の任意の作用・処理(例えば、通電、光照
射)を加えて、イオン交換を進行又は促進させる場合も
含む。
【0022】本発明の第2の目的は、酸化状態、中性状
態又は還元状態のうち少なくとも二つの状態変化に伴っ
て、イオン性色素を取り込み、保持することができる導
電性高分子層が導電性基板上に形成された、上記画像形
成方法に利用するための画像形成媒体によって、本発明
の第3の目的は、電解質溶液に溶解したイオンを含有し
得る、上記画像形成方法に利用するための被転写媒体に
よって達成可能である。これらは、上記画像形成方法に
好適に利用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0024】本発明の画像形成方法では、最初の必須工
程(1)において、酸化状態、中性状態又は還元状態の
うち少なくとも二つの状態変化に伴って、イオン性色素
を取り込み、保持(ドーピング)することができる導電
性高分子層が導電性基板上に形成された画像形成媒体で
あって、イオン性色素を保持した状態の画像形成媒体を
用意する。
【0025】イオン性色素は、画像形成媒体を形成する
と同時に、又はその後に、画像形成媒体に保持させる。
【0026】上記画像記録媒体に使用できる導電性高分
子層は電気化学的に酸化又は還元して、イオン性色素
が、少なくともドーピングされ得るものであれば全ての
ものが使用可能である。例えば、ポリアセチレン系・ポ
リジアセチレン系・ポリヘプタジエン系・ポリピロール
系・ポリチオフェン系・ポリアニリン系・ポリフェニレ
ンビニレン系・ポリチオフェニレンビニレン系・ポリイ
ソチアネフテン系・ポリイソナフトチオフェン系・ポリ
パラフェニレン系・ポリフェニレンスルフィド系・ポリ
フェニレンオキシド系・ポリフラン系・ポリフェナンセ
レン系・ポリセレノフェン系・ポリテルロフェン系・ポ
リアズレン系・ポリインデン系・ポリインドール系・ポ
リフタロシアニン系・ポリアセン系・ポリアセノアセン
系・ポリナフチレン系・ポリアントラセン系・ポリペリ
ナフタレン系・ポリピフェニレン系・ポリピリジノピリ
ジン系・ポリシアンジェン系・ポリアレンメタノイド系
など各種一次元導電性高分子層やラダーポリマー、パイ
ロポリマーと呼ばれるものさらにはグラファイトのよう
な二次元系の導電性高分子が使用できる。
【0027】なお、導電性高分子層は、電気化学的に酸
化又は還元して、イオンが、ドーピングされるだけでな
く、脱ドーピング(放出)もされ得ることが好ましい。
【0028】画像形成媒体に保持させる色素分子として
は、イオン性を有する色素分子はそのほとんどを利用す
ることができる。例えば、アクリジン系、アザフタリド
系、アジン系、アズレニウム系、アゾ系、アゾメチン
系、アニリン系、アミジニウム系、アリザリン系、アン
トラキノン系、イソインドリノン系、インジゴ系、イン
ジゴイド系、インドアニリン系、インドリルフタリド
系、オキサジン系、カロチノイド系、キサンチン系、キ
ナクリドン系、キナゾリン系、キノフタロン系、キノリ
ン系、キノン系、グアニジン系、クロームキレート系、
クロロフィル系、ケトンイミン系、ジアゾ系、シアニン
系、ジオキサジン系、ジスアゾ系、ジフェニルメタン
系、ジフェニルアミン系、スクエアリリウム系、スピロ
ピラン系、チアジン系、チオインジゴ系、チオピリリウ
ム系、チオフルオラン系、トリアリルメタン系、トリス
アゾトリフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、ト
リフェニルメタンフタリド系、ナフタロシアニン系、ナ
フトキノン系、ナフトール系、ニトロソ系、ビスアゾオ
キサジアゾール系、ビスアゾ系、ビスアゾスチルベン
系、ビスアゾヒドロキシペリノン系、ビスアゾフルオレ
ノン系、ビスフェノール系、ビスラクトン系、ビラロゾ
ン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシ
アニン系、フルオラン系、フルオレン系、フルギド系、
ペリノン系、ペリレン系、ベンズイミダゾロン系、ベン
ゾピラン系、ポリメチン系、ポルフィリン系、メチン
系、メロシアニン系、モノアゾ系、ロイコオーラミン
系、ロイコキカンテン系、ローダミン系、等の合成色素
や、ウコン、クチナシ、ピプリカ、紅麹、ラック、ブド
ウ、ビート、シソ、ベリー、コーン、キャベツ、カカオ
等に代表される天然色素が挙げられる。その際、高分子
膜の特性やプロセスを行う媒質等の環境に応じて色素分
子の溶解性等により選択する必要がある。
【0029】上記のような特性を有する導電性高分子層
は、電界重合法を利用して調製できる。一般に電解重合
法では導電性高分子層の原料であるモノマー、代表的に
は、芳香族低分子化合物を電気化学的に重合して電極基
板上に導電性高分子層が形成される。また、一部の芳香
族ハロゲン化合物では電解還元重合することができる。
このような電解重合による導電性高分子層は、重合時に
対イオンを取り込んだ形態で電気的な中性を保って成長
する。したがって、例えば、電極電位を正にし、電界酸
化重合で、導電性高分子層を合成した場合には、その膜
は、酸化状態にあるアニオンをドーピングした状態で電
極基板上に形成される。この導電性高分子層は電位を負
にすると中性化し、電気的な中性を保つために取り込ま
れていたアニオンを放出、つまり脱ドーピングする(こ
のことは、本発明にとって必須ではないが、前記したよ
うに好ましい)。また、ポリチオフェン等幾つかの導電
性高分子層はさらに電位を負にすると、還元状態とな
り、電気的な中性を保つためにカチオンをドーピングす
る。取り込まれたカチオンは電位を正にし中性状態に戻
してやることにより脱ド−ピングされる。
【0030】本発明において利用する、イオン性の色素
分子を少なくともド−ピング可能な導電性高分子層は、
代表的には、イオン性の色素分子又はそれを色素イオン
に匹敵する性質・分子量の共存下で、導電性高分子を構
成するモノマーを重合することによって製造することが
できる。この重合に際しては、電解重合法は最も好まし
く適用される。例えば、イオン性(置換基)、立体構造
・分子量等がイオン性色素分子に近似したものを、導電
性高分子を構成するモノマーと共に共存させて重合する
と、イオン性色素分子をドーピング・脱ドーピングする
膜を形成することもできる。
【0031】このようにして重合した導電性高分子層は
電気化学的な酸化・還元に伴ない他の分子量の小さなイ
オンの共存下で作製したものに比べ、多くのイオン性の
色素分子をより可逆的にドーピング・脱ドーピングする
ことができる。したがって、薄膜として、導電性基板
(基板電極)上に形成された以外の状態で導電性高分子
(粉末又は溶液)を薄膜化する場合、必ずしも導電性高
分子層にイオン性色素分子がドーピングされている必要
はない。
【0032】導電性高分子層の形成には上記した電気化
学的な電解重合の他に触媒等の重合開始剤を使った気相
・液相・固相での化学重合およびそれに続く各種の塗布
法や触媒や焼結を利用したパイロ化等の変性法など、任
意の方法が利用される。
【0033】導電性高分子層が設けられる導電性基板
は、電極として機能し、その材質は、一般に酸化や還元
がされにくい材料であれば任意の材料が利用できる。例
えば、ITO、Au、Pt、Si、GaP、フタロシア
ニン、ペリレン等である。
【0034】基板上に導電性高分子層が形成された画像
形成媒体であって、色素分子を少なくとも保持可能な媒
体を、具体的を挙げて説明する。
【0035】図1はNaCl下、ITO(インジウムテ
ィンオキサイド)上に重合した導電性高分子層(ポリピ
ロール膜)の吸収スペクトル、図2はローズベンガル水
溶液の吸収スペクトル、図3はローズベンガル中で重合
した導電性高分子層(ポリピロール膜)の吸収スペクト
ルである。図3には、図1にない560nmの吸収ピー
クが認められ、ポリピロール膜中にローズベンガルが取
り込まれていることを示している。
【0036】図4は、ローズベンガル中で重合した導電
性高分子層(ポリピロール膜)の吸収スペクトル(実
線)と、この膜に対して、ITO上で−1.0V、30
secの条件で印加した後の吸収スペクトル(破線)を
それぞれ示している。したがって、図4中、実線は導電
性高分子層にローズベンガルがドーピングされている状
態を示しており、破線は、導電性高分子層からローズベ
ンガルが脱ドーピングされている状態を示している。図
4からローズベンガルは約50%程度脱ドーピングして
いることが分かる。ただし、より安定で抵抗の低い白金
上で−1.0V、30secの条件で印加した場合に
は、ほぼ全てのローズベンガルが脱ドーピングされる。
定量的な評価では、ポリピロールのモノマーユニット5
個に対し、1個のローズベンガル分子がドーピングされ
ることも確認している。
【0037】図5は、ローズベンガル中で重合した導電
性高分子層(ポリピロール膜)のローズベンガル水溶液
中でのサイクリックボルタムグラムを示したものであ
り、白金上でポリピロール膜をローズベンガル水溶液中
に入れ、飽和カロメル電極(基準)に対して繰り返し、
正と負に掃引したときの電流を見たものである。図6
は、NaCl中で重合した導電性高分子層(ポリピロー
ル膜)のローズベンガル水溶液中でのサイクリックボル
タムグラムを示したものであり、電位を同じ掃引速度で
繰り返し化させ、流れる電流を表示したものである。
【0038】図5では、−0.07Vに酸化に伴う電流
ピークが認められ、−0.43Vに還元に伴う電流ピー
クが認められる。図5からローズベンガル中で重合した
膜がローズベンガル溶液中で可逆的に酸化・中性化(還
元)していることを示し、ローズベンガルが可逆的にド
ーピング・脱ドーピングしていることを示している。一
方、図6は、ほとんど脹らみのないサイクリックボルタ
モグラフを示しており、このことは、NaCl中で重合
した導電性高分子層(ポリピロール膜)はローズベンガ
ル水溶液中では、充分に酸化・還元できないことを示し
ている。すなわち、ローズベンガルがポリマーマトリッ
クス内に出入りするドーピング・脱ドーピングの特性は
前者に比べ低いことを示している。したがって、サイク
リックボルタモグラフいう手法によって導電性高分子層
のアニオン性色素分子のドーピング・脱ドーピングとい
う物性の違いが明瞭となる。
【0039】次に、本発明の画像形成方法における必須
工程(2)について説明する。この工程(2)では、図
7に例示するように、画像形成媒体70の導電性高分子
層内に保持されているイオン性色素の極性と同一極性の
イオンを含有する被転写媒体71を、導電性高分子層に
接触させる。
【0040】被転写媒体は、イオン性色素が転写され、
その色素による画像が観察されるものであるから、言う
までもなく、その機能を有しているものである。
【0041】被転写媒体としては、例えば、紙、織布、
不織布等の親水性の材質のものが挙げられる。
【0042】被転写媒体は、好ましくは、電解質溶液を
塗布または含浸させる。こうすることによって、後のイ
オン交換工程(3)がスムーズに進行する。
【0043】被転写媒体が含有している、導電性高分子
層に保持されているイオン性色素の極性と同一極性のイ
オンは、好ましくは、被転写媒体よりも、導電性高分子
に親和性が高いものを利用する。これは、後のイオン交
換工程(3)を自発的に進行させるためである。
【0044】導電性高分子層が、アニオン性色素を保持
している場合には、被転写媒体中のイオンは、OH-
あり、被転写媒体をpH7以上に制御することが好まし
い。一方、導電性高分子層が、カチオン性色素を保持し
てる場合には、被転写媒体中のイオンは、H+ であり、
被転写媒体をpH7以下に制御することが好ましい。
【0045】次に、本発明の画像形成方法の第3の必須
工程(3)について説明する。この工程(3)では、導
電性高分子層に保持されているイオン性色素と、被転写
媒体中の前記イオンを交換させることによって、被転写
媒体にイオン性色素の画像パタ−ンを形成する。
【0046】例えば、図8に示すように、アニオン性の
OH- イオンを含んでいる被転写媒体71を、導電性基
板1上に形成され且つアニオン性色素分子3を保持する
導電性高分子層2に接触させると、図9に示すように、
OH- イオンと、イオン状態のアニオン性色素分子3と
がイオン交換する。一方、図10に示すように、カチオ
ン性のH+ イオンを含んでいる被転写媒体71を、導電
性基板1 上に形成され且つカチオン性色素分子4を保持
する導電性高分子層2に接触させると、図11に示すよ
うに、H+ イオンと、イオン状態のカチオン性色素分子
とがイオン交換する。
【0047】導電性高分子層2に保持されているイオン
性色素分子3又は4の種類に応じて、被転写媒体71の
形態(例えば、含ませる電解質溶液、当該色素分子と交
換すべきイオン)や、そのpH等を適宜選択することに
よって、イオン交換をできるだけスムーズに進行させ得
る。例えば、ローズベンガル色素を含むポリピロール薄
膜では中性(pH=7)の緩衝液や酸性(4.5〜7)
の緩衝液では何も起きないが、アルカリ性の緩衝液では
ローズベンガルイオンと緩衝液中のOH- イオンとがイ
オン交換されてポリピロール膜から外部に出てくる。
【0048】上記のように、イオン交換が自発的に起き
ることは、画像形成の操作方法の簡便さの観点から好ま
しいが、電気化学的に酸化又は還元して、イオンのドー
ピング(保持)のみならず脱ドーピング(放出)も可能
な導電性高分子層を利用する場合、画像形成の際に、イ
オン交換による転写だけでなく、通電による転写も併用
すれば、より容易に転写が可能であり、また転写スピー
ドも向上するので、好ましい。
【0049】そこで、この形態に関して次に説明する。
この形態は、イオン交換による転写と、通電による転写
とを組み合わせたものに他ならないから、ここまで説明
した、イオン交換による転写の改良と見なすこともでき
るし、また、通電による転写の発明(本願出願人が、既
に平成7年11月6日、特願平7−287491号とし
て出願)の改良と見なすこともできる。したがって、イ
オン交換による転写技術のみならず、通電による転写技
術の理解が重要となることに鑑み、後者の通電による転
写技術も、以下説明する(この説明は、上記特願平7−
287491号の内容に準ずる)。
【0050】この技術では、導電性高分子層の酸化・中
性および還元の少なくとも二状態間で異なる、イオンの
ドーピング状態そのものを利用する。つまり、ドーピン
グ・脱ドーピングするアニオンやカチオンをアニオン性
色素分子やカチオン性色素分子にすることにより、可逆
的にイオン性の色素分子を導電性高分子層に取込み保持
し、また上記のイオン性の色素分子を導電性高分子層か
ら放出させ、紙等の被転写媒体に転写する。導電性高分
子層へのイオンのドーピング量は電位と通電時間すなわ
ち電荷量に依存する。
【0051】したがって、色素のドーピング発生を、あ
る閾値を越える電位に設定し電荷量をコントロールする
ことにより導電性高分子層中の色素分子濃度を連続的に
制御することができる。また導電性高分子層中からの脱
ドーピングも、ある閾値を越える電位に設定し電荷量を
コントロールすることにより導電性高分子層から放出す
るイオン性の色素分子濃度を連続的に制御することがで
きる。また導電性高分子層あるいは基板電極に電位分布
を持たせることにより限定的にイオン性の色素イオンを
導電性高分子層に取り込んだり導電性高分子層から放出
したりすることができる。
【0052】このようにして得られた導電性高分子層に
おけるイオン性の色素分子イオンのドーピング・脱ドー
ピングの原理をアニオン性色素分子とカチオン性色素分
子に分けてそれぞれ図12及び図13に示す。図12に
おいて、1は導電性基板(基板電極)、2は導電性高分
子層(π−共役系高分子)、3はアニオン性色素分子を
示している。例えば、電極電位を正にし導電性高分子層
2を電解酸化重合で作った場合には、導電性高分子層2
は酸化状態にありアニオン性色素分子3をドーピングし
た状態で電極基板1上に形成される。この導電性高分子
層2は電位を負にすると中性化し、電気的な中性を保つ
ために取り込まれていたアニオン性色素分子3を放出つ
まり脱ドーピングする。逆に電位を正にすると導電性高
分子層2は酸化状態になり電気的な中性を保つためにア
ニオン性色素分子3を取り込む。
【0053】図13において、1は導電性基板(基板電
極)、2は導電性高分子層(π−共役系高分子)、4は
カチオン性色素分子を示している。この場合、導電性高
分子層2として、例えば、ポリチオフェンなどいくつか
の導電性高分子層を使用すると、電位を負にすると還元
状態になり電気的な中性を保つために導電性高分子層2
は、カチオン性色素分子4をドーピングする。取り込ま
れたカチオン性色素分子は電位を正にし、中性状態に戻
すと導電性高分子層2から脱ドーピングされる。
【0054】色素分子イオンのドーピング量は電解質溶
液中の色素分子イオン濃度・導電性高分子層基板電極の
電位・および電圧印加時間により制御することができ、
基本的にはドーピングに伴い流れる電荷量に比例する。
したがって、色素分子イオンを含む電解質溶液中で導電
性高分子層を基板電極の電位を制御して酸化あるいは還
元することにより色素分子イオンを高濃度に含む導電性
高分子層を得ることができる。この際、基板電極の電位
や導電性高分子層の酸化あるいは還元状態を部分的に制
御することにより任意の画像に対応した色素分子イオン
濃度像を導電性高分子層中にドーピング濃度分布として
形成することができる。
【0055】一方、色素分子イオンを取り込んだ導電性
高分子層はドーピング時とは逆方向の電圧を印加するこ
とにより放出される。この際にも、電極の電位、放出対
象の電気的負荷および放出時間により色素分子イオンの
放出量は制御できる。
【0056】さらに導電性高分子層の酸化あるいは還元
状態に部分的な分布を持たせることにより任意の画像に
対応した導電性高分子層から放出された色素分子イオン
の濃度像を被転写媒体の対象表面に形成することができ
る。図14〜図17は、導電性高分子層の駆動による画
像形成方法を示す説明図である。図14は導電性高分子
層が形成されたマトリックス電極基板を示す。マトリッ
クス電極基板5には、任意の面積単位毎に独立して電位
を変化させることができるマトリックス電極が形成され
ている。このマトリックス電極基板5では、各々のマト
リックス電極に対して、例えば、ローズベンガルを脱ド
ーピングできる電圧を印加する電極領域6a、ローズベ
ンガルがドーピングされている電極領域6bとがある。
すなわち、ローズベンガルがドーピングされている電極
領域6bは、マトリックス電極基板6全面を占めてお
り、その中でローズベンガルを脱ドーピングできる電圧
を印加する電極領域6aは目的の画像に対応した領域を
占めている。すなわち、図中では、ローズベンガルを脱
ドーピングできる電圧を印加する電極領域6aはF文字
を反転した文字領域である。
【0057】次にマトリックス電極基板5に対して、転
写紙等の被転写媒体7を接触させ、電極領域6aに所定
の電圧を印加すると、図15に示すように、被転写媒体
7上に電極領域6aの配置に対応してローズベンガルが
転写された領域8からなる画像(F文字)を形成するこ
とができる。
【0058】図16は導電性高分子層が形成されたマト
リックス電極基板を示す。マトリックス電極基板9に
は、任意の面積単位毎に独立して電位を変化させること
ができるマトリックス電極が形成されている。このマト
リックス電極基板9では、各々のマトリックス電極に対
して、例えば、ローズベンガルをドーピングできる電圧
を印加する電極領域10a、ローズベンガルがドーピン
グされている電極領域10bとがある。すなわち、ロー
ズベンガルをドーピングできる電圧を印加する電極領域
10aがローズベンガルがドーピングされている電極領
域10bとなっている。図中、電極領域10a、10b
は、F文字を反転した文字領域である。
【0059】次にマトリックス電極基板9に対して、転
写紙等の転写サンプル7を接触させ、電極領域10aに
脱ドーピング可能な所定の電圧を印加すると、図17に
示すように、転写サンプル7上に電極領域10aに対応
してローズベンガルが転写された領域8からなる画像
(F文字)を形成することができる。
【0060】このように、画像形成にはドーピング時に
ドーピング濃度分布を持たせること、放出時に放出濃度
分布を持たせること、ならびにその両方の利用という3
つの手法が適用される。
【0061】図18は、連続的な転写に好適な画像形成
装置を一実施例を示している。図18において、表面に
導電性高分子層11が形成されたマトリックス電極筒1
2の内部には、イオン性の色素分子を導電性高分子層中
に取込むための取込み電位駆動電極13と、導電性高分
子層に取り込まれたイオン性の色素分子を放出するため
の転写電位駆動電極14が設けられている。マトリック
ス電極筒12の下方には、イオン性の色素分子が溶解さ
れた色素電解質溶液15が貯留された槽16が配置され
ており、この槽16内に取込み電位駆動電極13に対向
して取込み対向電極17が配置されている。また、マト
リックス電極筒12の表面と所定の間隙をおいて、転写
用対向電極18が配置されており、マトリックス電極筒
12と転写用対向電極18との間に転写紙19が挿通可
能となっている。さらにマトリックス電極筒12に接触
する状態でクリーニングブレード20が配置されてい
る。
【0062】この画像形成装置では、取込み電位駆動電
極13と取込み用対向電極17との間にイオン性の色素
分子を取込み可能な電圧が印加され、これによってマト
リックス電極筒12上の所定領域の導電性高分子層11
内に色素電解質溶液15中のイオン性の色素分子が取り
込まれる。ついでマトリックス電極筒12の表面の余分
な液はクリーニングブレード20により除去される。マ
トリックス電極筒12の回転に伴い、転写電位駆動電極
14と転写用対向電極18との間に導電性高分子層11
に取り込まれたイオン性の色素分子を放出可能な電圧が
印加され、これによって転写紙19の表面の所定領域に
イオン性の色素分子が転写して画像が形成される。
【0063】この画像形成装置では、マトリックス電極
筒12に配置された電極中の任意の電極にイオン性の色
素分子を導電性高分子層11にドーピングさせ、かつ、
イオン性の色素分子を導電性高分子層11から脱ドーピ
ングすることによって所定の画像を得ることができ、か
つ槽16内に色素分子を含む電解質溶液を常時滞留でき
るように補給すれば、連続的な画像の形成が可能とな
る。
【0064】以上、通電による転写技術を説明したが、
この技術と、それ以前の箇所で説明したイオン交換によ
る転写技術を参酌すれば、当業者には、イオン交換と、
通電とを併用した転写による画像形成が容易に実施可能
なはずである。この形態は、例えば、図19に示すよう
に、画像形成媒体70に被転写媒体71を接触させ、そ
れに、画像形成媒体70の導電性基板(電極として機能
する)と、対向基板72とによって電圧を印加すること
によって、実施可能である。
【0065】また、通電による転写技術の説明から、イ
オン交換単独に基づく転写による画像形成の実施方法
も、より明確に理解できるはずである。その方法では、
例えば、図14〜16に示した方法や、図18に示した
方法・装置(転写電位駆動電極14は存在しなくてもよ
い)が転用できる。
【0066】更に、本発明の1つの好ましい形態につい
て次に説明する。画像形成に、通電による転写(色素の
放出、つまり脱ドーピング)を利用する場合、電気が流
れやすいように電解質溶液を被転写媒体に塗布または含
浸させるのがよい。ところが一般に色素分子や導電性高
分子の電気化学的な特性は、共存する水溶液の水素イオ
ン濃度によって大きく異なる。例えば、ローズベンガル
などに代表されるカルボキシル機を持つ色素などは水素
イオン濃度がpH=4.5以下では、退色することが知
られている。また、電気化学反応時には電極の近辺で局
所的に溶液の水素イオン濃度が変化することも知られて
いる(藤島ら:ポリピロール被服電極を利用する水溶液
のpHコントロール、日本化学会誌、1986,
(3),p.451〜456)。このことは、例えば色
素の脱ドーピング時に加える電圧によってはローズベン
ガルなどの色素では溶液のpHが酸性になり、紙等の被
転写媒体に転写したときに退色が起きることになる。そ
こで、本発明の1の好ましい形態では、少なくとも導電
性高分子と接触させる表面近傍においては、pHが実質
的に維持される被転写媒体を利用する。なお、ここで、
「実質的に維持」とは、上記の退色等の欠点を、所望の
程度に抑えることができる範囲内にpHを維持すること
である。
【0067】被転写媒体として、上記したように電解質
溶液を含んだものを利用する場合、電圧を印加してもp
Hが実質的に維持できる電解質をその媒体に含ませる。
これには、例えば中性の緩衝液に浸した紙などの被転写
媒体が使用できる。利用する色素の特性変化を起こさな
い範囲であれば中性でなくても利用できる。このように
すれば、電界によるpHの変化をおさえることができ被
転写媒体に転写した後の色素を安定に保つことができ
る。
【0068】利用できる緩衝液としては、利用する色素
によって最適なpH領域が選択される。緩衝液は一般に
塩と酸、塩とアルカリ、あるいは塩と塩との組合せたも
のであるため、さまざまな物質の組合せが考えられる
が、代表的には酸性の緩衝液としてはシュウ酸塩標準溶
液、酒石酸塩標準溶液、フタル酸塩標準溶液、塩酸−塩
化カリウム緩衝液、フタル酸水素カリウム−塩酸緩衝
液、フタル酸水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、
グリシン・塩化ナトリウム−塩酸緩衝液、クエン酸ナト
リウム−塩酸緩衝液、クエン酸ナトリウム−水酸化ナト
リウム緩衝液、クエン酸カリウム−クエン酸、クエン酸
二水素カリウム−塩酸緩衝液、クエン酸二水素カリウム
−水酸化ナトリウム緩衝液、コハク酸−四ホウ酸ナトリ
ウム緩衝液、クエン酸二水素カリウム−四ホウ酸ナトリ
ウム緩衝液、酒石酸−酒石酸ナトリウム緩衝液、乳酸−
乳酸ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液な
どがある。中性の緩衝液としてはリン酸標準溶液のほ
か、リン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、
リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム緩衝
液、リン酸二水素カリウム−四ホウ酸ナトリウム緩衝
液、ジエチルバルビツル酸ナトリウム・酢酸ナトリウム
−塩酸緩衝液、ジエチルバルビツル酸ナトリウム−塩酸
緩衝液、2,4,6−トリメチルピリジン−塩酸緩衝
液、HEPES緩衝液などがある。アルカリ性の緩衝液
としてはホウ酸塩標準溶液、炭酸塩標準溶液、ホウ酸・
塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、グリシン・塩
化ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、四ホウ酸ナト
リウム−塩酸緩衝液、四ホウ酸ナトリウム−水酸化ナト
リウム緩衝液、四ホウ酸ナトリウム−炭酸ナトリウム緩
衝液、塩酸−炭酸ナトリウム緩衝液、リン酸水素二ナト
リウム−水酸化ナトリウム緩衝液、塩化アンモニウム−
アンモニア緩衝液、N,N−ジエチルグリシンナトリウ
ム塩−塩酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン−塩酸緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1,3
−プロパンジオール−塩酸緩衝液、ホウ酸−水酸化ナト
リウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム−水酸化ナトリウム
緩衝液、水酸化ナトリウム−塩化カリウム緩衝液などが
ある。
【0069】但し、本発明では、上記のような緩衝液を
利用しなくても、pH値を初期の値に実質的に維持でき
るようにした被転写媒体であれば任意の種類を使用でき
る。
【0070】以上は、通電による転写を利用した場合の
好ましい態様の説明ではあるが、転写にイオン交換を単
独で利用した場合にも、少なくとも、導電性高分子と接
触させる表面近傍において、pHが実質的に維持される
被転写媒体を利用することは、好ましい。イオン交換の
進行状況を実質的に一定に保つことができるからであ
る。
【0071】以上説明したように、本発明では、画像形
成媒体から、被転写媒体に色素の転写が実施される。
【0072】なお、工程(1)での、画像記録媒体への
色素の取り込み・保持(ドーピング)する方法について
は、特に制限はなく、各種採り得るので、以下でより具
体的に説明する。
【0073】例えば、i)画像形成媒体を製造する際
に、予め色素を取り込ませる方法、ii) 図16で説明し
たように、電極パターンを利用する方法、iii)画像形成
媒体の電位を電解質溶液中で制御することによって、そ
の導電性高分子層を電気化学的に酸化又は還元し、これ
によって、イオン性色素を予め所定の画像パターンにド
ーピングさせておく方法、iv) 導電性高分子層が設けら
れる導電性基板として、無機または有機の半導体の基板
又は膜を有するものを利用した画像形成媒体に、光を照
射することによって光起電力を発生させ、その部分だけ
選択的にドーピングさせる方法等が利用できる。
【0074】上記 iii) 及びiv) の方法に関してより具
体的に説明する。iii) の方法は、例えば、針状の電極
を利用し、電界集中によって、電界の広がりを抑える方
法がある。この場合には、電解質溶液の抵抗値を高くし
て、電気力線の広がりを抑える必要がある。iv) の方法
で利用する半導体としては、基本的には光照射により電
力を発生する半導体(光半導体)であれば全て使用でき
る。具体的には、無機半導体又は有機半導体があり、典
型的には無機の半導体としてSi,Ge,GaAs,C
dSe,CdS,CdTe,InP,AlSb,GaP
などがあり、また、有機の光半導体としてフタロシアニ
ン、ペリレン、PVKなど多種多様な材料がある。ま
た、n型半導体又はp型は半導体のいずれも使用可能で
ある。
【0075】このような半導体基板または膜上に形成さ
れた導電性高分子層に、色素をドーピングするために、
光起電力を用いる。光照射による起電力がイオン色素分
子のドーピングに足りる程度に発生することが望ましい
が、この起電力が不足している場合には、外部からドー
ピングの閾値に僅かに足りない電位を加え、光照射によ
りドーピングの閾値を超えるようにすればよい。
【0076】ただし、n型半導体とp型半導体とでは、
電気特性が逆になるため、ドーピング及び脱ドーピング
も逆になり、利用の仕方が異なる。n型半導体を使用し
た場合には、バイアス電圧を加えて更に光を照射すると
アニオン性性色素分子のドーピングが起こり、カチオン
性色素分子の場合には脱ドーピングが起こる。一方、p
型半導体を使用した場合には、バイアス電圧を加えて更
に光を照射するとカチオン性色素分子のドーピングが起
こり、アニオン性色素分子の場合には脱ドーピングが起
こる。
【0077】画像形成媒体を、イオン性色素分子を含む
電解質溶液中に浸した場合、その色素分子のドーピング
量は、当該溶液中の色素分子イオン濃度、導電性高分子
層の導電性基板(基板電極に当たる)の電位、照射光
量、印加電圧、および光照射時間によって制御すること
ができ、基本的にはドーピングに伴い流れる電荷量に比
例する。したがって、色素分子イオンを含む電解質溶液
中で導電性高分子層を、導電性基板(基板電極)の電位
を制御して、酸化あるいは還元することにより色素分子
イオンを高濃度に保持した導電性高分子層を得ることが
できる。
【0078】n型の光半導体を導電性基板(基板電極)
として利用する場合、導電性高分子層の酸化状態をn型
光半導体の光起電力を利用することにより変化させ、導
電性高分子層の、光が照射された部分のみに、光強度に
応じたアニオン性色素分子のドーピング量濃度分布を画
像パターンとして形成することができる。このようにア
ニオン性色素分子イオンを取り込んだ導電性高分子層
は、ドーピング時とは逆方向の電圧を印加することによ
り放出される。p型の光半導体を基板電極として利用す
る場合は、導電性高分子層の酸化状態をp型光半導体の
光起電力を利用することにより変化させ、導電性高分子
層の、光が照射された部分のみに、光強度に応じたカチ
オン性色素分子ドーピング濃度分布を画像パターンとし
て形成することができる。このようにカチオン性色素分
子イオンを取り込んだ導電性高分子層は、ドーピング時
とは逆方向の電圧を印加することにより放出される。
【0079】上記の方法を、図20を参照して、具体的
に説明する。ローズベンガル色素のピロール水溶液80
を含み、n−Si又はp−Siの作用電極81、白金の
対向電極82、参照電極としての飽和カロメル電極83
が浸漬されている容器を用意し、作用電極81および対
向電極82に通電しつつ、作用電極81上に、ガルバノ
スキャナのような照射装置からレーザ光84をパターン
状に照射する。こうすることによって、光照射された部
分のみにローズベンガル色素を含んだポリピロール薄膜
が作用電極81上に形成される。こうして、画像パター
ンを有する画像形成媒体が作製される。
【0080】上記のようなドーピングを工程(1)で利
用した場合、工程(3)における画像転写のための脱ド
ーピングには、光起電力の作用が、イオン交換作用、又
はイオン交換と通電との作用に組み合わせて、利用でき
る。この場合には、電気化学的にアニオン性色素分子や
カチオン性の色素分子イオンを取り込んだ導電性高分子
層では、イオン交換作用が一定に働くならば、光量に応
じた脱ドーピングを行うことができる。つまり、カチオ
ン性色素分子イオンを取り込んだ導電性高分子層をn型
の光半導体上に形成しておき、導電性高分子層の酸化状
態をn型光半導体の光起電力を利用することにより変化
させ、導電性高分子層の、光が照射された部分のみに、
光強度に応じたカチオン性色素分子の脱ドーピング量濃
度分布を、転写パターンとして利用できる。また、アニ
オン性色素分子イオンを取り込んだ導電性高分子層はp
型の光半導体上に形成しておき、導電性高分子層の酸化
状態をp型光半導体の光起電力を利用することにより変
化させ、導電性高分子層の、光が照射された部分のみ
に、光強度に応じたアニオン性色素分子の脱ドーピン濃
度分布を、転写パターンとして利用できる。
【0081】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。 〔実施例1〕第21図に示すように電気化学で一般的な
三極式の配置のセットを作製した。即ち、ポテンシオス
タット90に連結した、作用電極(白金板電極)91、
対向電極(白金板電極)92及び参照電極(飽和カロメ
ル電極)93を、ピロール0.06M、ローズベンガル
0.02Mを含む水溶液94に浸漬して、三極式の配置
のセットを作製した。
【0082】ピロール0.06M、ローズベンガル0.
02Mを含む水溶液94中で、飽和カロメル電極93に
対し白金板電極91を30秒間+0.8Vにしたとこ
ろ、白金電極91上にピロールの電解酸化重合によるポ
リピロール薄膜を得た。こうして得た画像形成媒体を、
純粋で洗浄した後、第7図に示すようにpH10のアル
カリ性の緩衝液を浸した紙(被転写媒体)を接触させた
ところアルカリ性の緩衝液中のOH- とローズベンガル
アニオンがイオン交換されて通電しなくても紙にローズ
ベンガル色素が付着した。 〔実施例2〕実施例1と同様にピロール0.06M、ロ
ーズベンガル0.02Mを含む水溶液中で、飽和カロメ
ル電極に対し白金電極を30秒間+0.8Vにしたとこ
ろ、白金電極上にピロールの電解酸化重合によるポリピ
ロール薄膜を得た。こうして得た画像形成媒体を純粋で
洗浄した後、第19図に示すようにpH10のアルカリ
性の緩衝液を浸した紙を接触させ、さらに紙の裏面に対
向電極を置いて白金電極を−1.0Vにしたところロー
ズベンガルアニオンが脱ドーピングするスピードが向上
し、紙に付着するまでの速度が増した。 〔実施例3〕n−Si基板は、アセトン、及びイソプロ
ピルアルコール中で超音波洗浄を施し、水洗した後バー
ファードフッ酸に浸して酸化膜を除去した。この基板に
抵抗加熱による真空蒸着方法によりAlを蒸着し、オー
ミックコンタクトを取った。図20に示したように、こ
のn−Si基板を作用電極81として使用し、さらに白
金の対向電極を対向電極82にして、ピロール0.06
M、ローズベンガル0.02Mを含む水溶液80中で、
飽和カロメル電極83に対しn−Si基板の作用電極8
1を+0.4Vにして、外部からガルバノスキャナ装置
からのレーザ光84で画像パターンを書かせたところ、
光が照射された所のみn−Si基板上にローズベンガル
を含んだポリピロール薄膜が得られ、画像が形成され
た。この画像が書かれた画像形成媒体(薄膜付きn−S
i基板)を純粋で洗浄した後、pH10のアルカリ性の
緩衝液を浸した紙を接触させたところ通電しなくても紙
にローズベンガル色素が付着し、画像が転写された。ま
た、この画像が書かれた画像形成媒体を純粋で洗浄した
後、図19に示したように、pH10のアルカリ性の緩
衝液を浸した紙を接触させ、さらに対向電極をこの紙に
接触させn−Si基板に対して−1.0Vの電圧を印加
したところ紙にローズベンガル色素が付着して画像が形
成されたが、このときに画像形成のスピードが増した。 〔実施例4〕p−Si基板は、アセトン、及びイソプロ
ピルアルコール中で超音波洗浄を施し、水洗した後バー
ファードフッ酸に浸して酸化膜を除去した。この基板に
抵抗加熱による真空蒸着方法によりAlを蒸着し、オー
ミックコンタクトを取った。
【0083】実施例1と同様にピロール0.06M、ロ
ーズベンガル0.02Mを含む水溶液中で、飽和カロメ
ル電極に対しp−Siを作用電極81として利用し、作
用電極を30秒間+0.8Vにしたところ、p−Si基
板上にローズベンガルを含んだポリピロール薄膜が得ら
れた。こうして得られた画像形成媒体のポリピロール薄
膜はローズベンガルをドーピングした状態で形成されて
いるので均一な赤紫色を呈している。これを純粋で洗浄
した後、図20に示したように、このp−Si基板を作
用電極81として使用し、さらに白金の対向電極82を
カウンター電極にして、ピロール0.06M、ローズベ
ンガル0.02Mを含む水溶液80中で、飽和カロメル
電極83に対しp−Si基板の作用電極を−0.4Vに
して、外部からガルバノスキャナ装置からのレーザ光8
4で画像パターンを書かせたところ、光が照射された所
のみp−Si基板上のローズベンガルが脱ドーピングさ
れて、ネガの画像が形成された。この画像が書かれた画
像形成媒体(薄膜付きp−Si基板)を純粋で洗浄した
後、pH10のアルカリ性の緩衝液を浸した紙を接触さ
せたところ紙にローズベンガル色素が付着し、ネガの画
像が転写された。p−Si基板を純粋で洗浄した後、p
H10のアルカリ性の緩衝液を浸した紙を接触させたと
ころ紙にローズベンガル色素が付着し、ネガの画像が転
写された。
【0084】通常、p−Si基板は負の電流を流すのが
困難であり、光を当てたり過大な電圧を印加する必要が
ある。ところが、アルカリ性の緩衝液を浸した紙を接触
させると電圧の印加なしに画像の転写ができた。 〔参考例1〕ピロール0.06M、ローズベンガル0.
02Mを含む水溶液中で、飽和カロメル電極に対し白金
板電極を30秒間+0.8Vにしたところ、白金電極上
にピロールの電解酸化重合によるポリピロール薄膜を得
た。このポリピロール薄膜はローズベンガルをドーピン
グした状態で形成されているので赤紫色を呈していた。
これを純粋で洗浄した後、0.1MのNaCl水溶液に
浸した紙を接触させ紙の裏面に対向電極を置いて、ロー
ズベンガルを含むポリピロール膜被覆白金電極を30秒
間−1.0Vにしたところローズベンガルアニオンが脱
ドーピングして紙に付着した。しかし、数日後にはロー
ズベンガルが退色して転写したパターンの色が薄くなっ
た。 〔参考例2〕図22に示すように、容器内101 のNaC
l水溶液102 に浸漬した参照電極103 と、容器内104 の
NaCl水溶液105 に浸漬したの対向電極106 の間を塩
橋107 で結び、さらに対向電極106 と、容器内108 のN
aCl水溶液109 に浸漬した作用電極110 との間を塩橋
111 で結ぶことで各電極間を分離した配置の装置におい
て、参考例1と同様にして白金基板上に形成したローズ
ベンガルを含むポリピロール膜被覆電極を作用電極110
として利用し、0.1MのNaCl水溶液中で飽和カロ
メル参照電極103 に対し作用電極110 を10分間−1.
0Vにしたところ、最初ローズベンガルがポリピロール
から脱ドーピングして水溶液が赤色を呈していた。しか
し、しばらくすると色が無色になった。このとき、初期
のNaCl水溶液のpHは5.79であったが、10分
後では対向電極106 側の水溶液のpHは5.98に作用
電極110 側の水溶液のpHは4.11であった。従っ
て、通電により、ローズベンガルが退色・沈殿するpH
=4.5以下になることがわかった。 〔実施例5〕参考例2と同様にピロール0.06M、ロ
ーズベンガル0.02Mを含む水溶液中で、飽和カロメ
ル参照電極に対し白金板作用電極を30秒間+0.8V
にし、白金電極上にローズベンガルを含むポリピロール
薄膜を得た。これを純粋で洗浄した後、図19に示した
ようにpH7.0のリン酸標準溶液に浸した紙を接触さ
せ、紙の裏面に対向電極を置いてポリピロール膜被覆白
金電極を30秒間−1.0Vにしたところローズベンガ
ルアニオンが脱ドーピングして紙に付着した。ところ
が、この場合には時間が経過しても色素の色が薄くなら
なかった。このように中性の緩衝液を用いることで色素
を安定に保つことができた。
【0085】
【発明の効果】本発明の画像形成方法によれば、導電性
高分子薄膜に保持されているイオン性の被転写媒体への
放出・転写によって画像が形成されるから、イオン性の
色素分子をのみを消耗し、省資源的である。イオン性の
色素分子は、食品添加物に使用されるような極めて安全
性の高いものが多く、基本的に有害な物質が発生しな
い。また、画像の分解能に関しても、原理的には色素イ
オン1つまで理想的に達成可能であり、正確に電位分布
が形成できるため画像の階調性等に優れている。
【0086】しかも、本発明の画像形成方法によれば、
転写に際して、通電を必須としないので、転写プロセス
が極めて簡易であり、経済的である。更に、p−型半導
体又はn−型半導体のように一方向にしか電流を流せな
い材料を画像形成媒体の材料に使用した場合でも、画像
形成媒体への色素分子保持および放出の両方が可能であ
り、汎用性の高い画像形成方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】NaCl下でITO上に重合したポリピロール
膜の吸収スペクトルである。
【図2】ローズベンガル水溶液の吸収スペクトルであ
る。
【図3】ローズベンガル中でITO上に重合したポリピ
ロール膜の吸収スペクトルである。
【図4】ローズベンガル中で重合したポリピロール膜の
ローズベンガルのドーピング・脱ドーピングを示すグラ
フである。
【図5】ローズベンガル中で重合したポリピロール膜の
ローズベンガル水溶液中でのサイクリックボルタムグラ
ムである。
【図6】NaCl中で重合したポリピロール膜のローズ
ベンガル水溶液中でのサイクリックボルタムグラムであ
る。
【図7】本発明の画像形成方法の第2の必須工程の一例
を示す模式図である。
【図8】本発明の画像形成方法の第3の必須工程の一例
の経過を示す模式図である。
【図9】図8に示した工程が終了した場合を示す模式図
である。
【図10】本発明の画像形成方法の第3の必須工程の他
の一例の経過を示す模式図である。
【図11】図10に示した工程が終了した場合を示す模
式図である。
【図12】通電に基づく導電性高分子層の酸化によるア
ニオン性色素のドーピングと導電性高分子層の還元によ
るアニオン性色素の脱ドーピングの説明図である。
【図13】通電に基づく導電性高分子層の還元によるカ
チオン性色素のドーピングと導電性高分子層の酸化によ
るカチオン性色素の脱ドーピングの説明図である。
【図14】マトリクッス電極上に形成したマーキング用
ポリピロール膜による画像形成を示す説明図である。
【図15】図14の画像を転写した像を示す説明図であ
る。
【図16】マトリクス電極上に形成したマーキング用ポ
リピロール膜による画像形成の他の例を示す説明図であ
る。
【図17】図16の画像の転写した像を示す説明図であ
る。
【図18】本発明の方法に適用可能な画像形成装置の一
実施例を示す概略的構成図である。
【図19】通電とイオン交換とを利用して転写を実施す
る、本発明の方法の一形態を示す説明図である。
【図20】光半導体を利用した画像形成媒体へ画像パタ
ーンを形成する過程を示す模式図である。
【図21】本発明の実施例1において利用した画像形成
媒体作製装置を示す模式図である。
【図22】本発明の実施例5において利用した画像形成
媒体作製装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 導電性基板(基板電極) 2 導電性高分子層 3 アニオン性色素分子 4 カチオン性色素分子 5,9 マトリックス電極基板 6,10 マトリックス電極 7 転写サンプル 8 転写領域(画像領域) 11 導電性高分子層 12 マトリックス電極筒 13 取り込み電位駆動電極 14 転写電位駆動電極 15 色素電解質溶液 16 槽 17 取り込み用対向電極 18 転写用対向電極 19 転写紙 20 クリーニングブレード 70 被転写媒体 71 画像形成媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 友野 孝夫 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 夫 龍淳 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性高分子を用いた画像形成方法であ
    って、 (1) 酸化状態、中性状態又は還元状態のうち少なく
    とも二つの状態変化に伴って、イオン性色素を取り込
    み、保持することができる導電性高分子層が導電性基板
    上に形成された画像形成媒体であって、イオン性色素を
    保持した状態の画像形成媒体を用意する工程と、 (2) 前記導電性高分子層に保持されているイオン性
    色素の極性と同一極性のイオンを含有する被転写媒体
    を、前記導電性高分子層に接触させる工程と、 (3) 前記導電性高分子層に保持されているイオン性
    色素と、前記被転写媒体中のイオンを交換させることに
    より当該被転写媒体にイオン性色素の画像パタ−ンを形
    成する工程と、 を有する画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(3)中に、前記導電性基板と
    前記被転写媒体との間に、通電させる請求項1に記載の
    画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記被転写媒体のpHを、少なくとも導
    電性高分子層と接触させる表面近傍において、実質的に
    維持する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記被転写媒体は、少なくとも導電性高
    分子層と接触させる表面近傍において、その部分のpH
    変化を緩和させる緩衝液を含む請求項1〜3のいずれか
    に記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 前記被転写媒体は、電解質溶液を含有す
    る媒体である請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成
    方法。
  6. 【請求項6】 前記電解質溶液は、アルカリ性溶液であ
    り、前記導電性高分子層に保持されているイオン性色素
    は、アニオン性であってOH- イオンとイオン交換する
    請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記電解質溶液は、酸性溶液であり、前
    記導電性高分子層に保持されているイオン性色素は、カ
    チオン性であってH+ イオンとイオン交換する請求項5
    に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 画像形成媒体を電解質溶液に接触させ、
    画像形成媒体の導電性基板の電位を制御することによっ
    て、請求項1の工程(1)で、イオン性色素を画像形成
    媒体に選択的に保持させる請求項1〜7のいずれかに記
    載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記導電性基板は、有機又は無機の半導
    体基板又は膜を有していて、前記導電性高分子層は、そ
    の上に形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の
    画像形成方法。
  10. 【請求項10】 有機又は無機の半導体基板又は膜に、
    部分的に起電力を発生させることによって、請求項1の
    工程(1)で、イオン性色素を画像形成媒体に選択的に
    保持させる請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方
    法。
  11. 【請求項11】 酸化状態、中性状態又は還元状態のう
    ち少なくとも二つの状態変化に伴って、イオン性色素を
    取り込み、保持することができる導電性高分子層が導電
    性基板上に形成された、請求項1に記載の方法に利用す
    るための画像形成媒体。
  12. 【請求項12】 電解質溶液に溶解したイオンを含有し
    得る、請求項1に記載の方法に利用するための被転写媒
    体。
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