JP2540864B2 - 感熱記録紙 - Google Patents

感熱記録紙

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JP2540864B2
JP2540864B2 JP62141715A JP14171587A JP2540864B2 JP 2540864 B2 JP2540864 B2 JP 2540864B2 JP 62141715 A JP62141715 A JP 62141715A JP 14171587 A JP14171587 A JP 14171587A JP 2540864 B2 JP2540864 B2 JP 2540864B2
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    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/20Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein using electric current

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱及び電場により可逆的に着色状態が変わ
る感熱記録紙に関するものである。 〔発明の概要〕 本発明は、酸化・還元反応により着色状態の変わる色
素と支持電解質とを含み加熱冷却により固液変化を行う
材料層とこの材料層に電流を印加する電極を形成するこ
とにより、この材料層の固液変化及び電流の印加による
色素の酸化・還元反応を利用して着色状態を熱的,電気
的に制御可能となし、 実用的な速度で発色,消色あるいは変色せしめること
が可能で、しかも必要に応じて前記発色,消色あるいは
変色状態を定着することが可能な新規な感熱記録紙を提
供しようとするものである。 〔従来の技術〕 感熱記録紙の分野においては、表示材料としてロイコ
色素を顕色剤とともに微結晶状態でバインダ中に分散し
たものが用いられており、その熱溶融によりこれら色素
と顕色剤とを分子レベルで接触させ、発色させるように
している。したがって、従来感熱記録紙としては、ロイ
コ色素とフェノール性顕色化合物の微結晶を親水性バイ
ンダとともに合成紙等の基紙(支持体)に分散・塗布し
たものが広く用いられている。 しかしながら、かかる構成の従来の感熱記録紙では、
製造上のプロセス等から考えて、どうしてもいわゆる地
カブリ(印字前の若干の発色)が発生してしまってい
る。すなわち、ロイコ色素とフェノール性顕色化合物の
微結晶が親水性バインダ中への混練工程,塗布工程,乾
燥工程等で若干反応してしまうことは避けられず、結果
として感熱記録紙全体が印字前であるにもかかわらず若
干灰色に発色してしまい、良好な白色状態の感熱記録紙
を得ることは難しいのが現状である。また、前述の従来
の感熱記録紙は、不用意な加熱による発色を抑えること
ができず、例えば保存中あるいは印字後であっても熱を
加えるとさらに発色し、印字情報が判読不可能になった
り、著しい画像品位の低下を招いている。 あるいは、近年、事務処理における書類の量は増加の
一途をたどり、省スペース,省資源の観点から、繰り返
し使用可能な感熱記録紙が要望されている。さらには、
書類の視認性を良好なものとするために、感熱記録紙の
多色化等も検討されている。 ところが、従来の感熱記録紙では、これらの要望に対
処することは難しく、わずかに昇華転写方式や熱融着方
式等が知られているにすぎず、感熱ヘッドによる高速フ
ルカラー画像作製を考えた場合には充分なものとは言い
難く、また再生による繰り返し使用はほとんど不可能で
ある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このように、従来の感熱記録紙は、安定性に欠けるこ
と,繰り返し使用が難しいこと,多色化が難しいこと等
の問題を有しており、これらを解消する新しい感熱記録
紙の実現が待たれている。 そこで本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案され
たものであって、実用的な速度で発色,消色あるいは変
色せしめることが可能で、しかも必要に応じて前記発
色,消色あるいは変色状態を定着し,あるいは再生する
ことが可能な感熱記録紙を提供することを目的とする。 さらに本発明は、不用意な発色がなく、多色化が容易
で、発色も鮮やかな感熱記録紙を提供することを目的と
する。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者は、熱的,電気的に発消色状態を制御可能な
新規な感熱記録紙を開発せんものと長期に亘り鋭意研究
を重ねた結果、固液変化を示す材料層において当該材料
層の加熱溶融により色素の酸化還元を誘発する電極反応
を起こすことができるとの知見を得るに至った。 本発明の感熱記録紙は、かかる知見に基づいて完成さ
れたものであって、色素と支持電解質を含み加熱冷却に
より固液変化を行う材料層と、上記材料層に電流を印加
する電極よりなり、上記色素は上記材料層が液化された
状態で上記電極により電流を印加することにより酸化及
び/又は還元反応を生ぜしめて発消色することを特徴と
するものである。 ここで、材料層に使用する色素は、電気的な酸化・還
元反応により発色,消色あるいは変色するものであれば
いずれも使用でき、またこれら発色,消色あるいは変色
は可逆的,不可逆的であるかを問わない。前記発消色が
可逆的であれば繰り返し使用が可能となり、不可逆的で
あれば追記型(いわゆるライトワンスタイプ)の感熱記
録紙として使用することができる。 かかる色素としては、トリフェニルメタンフタリド類
やフルオラン類、チオフルオラン類、インドリルフタリ
ド類、ローダミンラクタム類、アザフタリド類等のラク
トン環を有するロイコ色素が挙げられ、以下の化合物が
例示される。 先ず、トリフェニルメタンフタリド類としては、クリ
スタルバイオレットラクトン,マラカイトグリーンラク
トン等が挙げられ、フルオラン類としては3−ジエチル
アミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン,3−ジエチ
ルアミノ−7−メトキシフルオラン,3−ジエチルアミノ
−6−ベンジルオキシフルオラン,1,2−ベンズ−6−ジ
エチルアミノフルオラン,3,6−ジ−p−トルイジノ−4,
5−ジメチルフルオラン−フェニルヒドラジド−γ−ラ
クタム,3−アミノ−5−メチルフルオラン,2−メチル−
3−アミノ−6−メチル−7−メチルフルオラン,2,3−
ブチレン−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン,3−ジ
エチルアミノ−7−アニリノフルオラン,3−ジエチルア
ミノ−7−(パラトルイジノ)−フルオラン,7−アセト
アミノ−3−ジエチルアミノフルオラン,2−ブロム−6
−シクロヘキシルアミノフルオラン,2,7−ジクロロ−3
−メチル−6−n−ブチルアミノフルオラン等が挙げら
れる。 また、チオフルオラン類としては3−ジエチルアミノ
−6−メチル−7−ジメチルアミノ−チオフルオラン,3
−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノ−チオフルオ
ラン等が挙げられ、インドリルフタリド類としては8−
(4−ジエチルアミノフェニル)−8−(1−エチル−
2−メチルインドール−8−イル)フタリド,3,3−ビス
(1−エチル−2−メチル−8−イル)フタリド,3,3−
ビス(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド,3
−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−3−(2−
フェニルインドール−3−イル)フタリド,8−〔4−
(ジメチルアミノ)フェニル〕−3−〔N,N−ビス−
(4−オクチルフェニル)アミノ〕フタリド等が挙げら
れる。 さらに、ローダミンラクタム類としてはローダミンラ
クトン等が、アザフタリド類としては3,3−ビス(1−
エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザ
フタリド等が挙げられる。 その他、ロイコベーシックシアニン、ロイコマラカイ
トグリーン、ロイコクリスタルバイオレット、p,p′−
テトラジメチルジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケト
ン)、オキサジン系ロイコ感熱色素(保土ヶ谷化学社
製,商品名CSB−12等)、スピロピラン系ロイコ感熱色
素(保土ヶ谷化学社製,商品名CSR−13等)、キノリン
系ロイコ感熱色素(保土ヶ谷化学社製,商品名CSY−13
等)遠も使用可能である。 これらのなかで、フルオラン系化合物やフタリド系化
合物等、ラクトン環を有するロイコ色素であることが好
ましい。このラクトン環を有するロイコ色素を使用すれ
ば、良好に可逆的に酸化,還元反応が起こり、したがっ
て可逆的に発消色が繰り返される。 なお、これら色素は単独で用いてもよいし、あるいは
2種類以上を混合して用い色調等をコントロールするよ
うにしてもよい。 上述の色素の材料層中への添加濃度は、必要とする発
色濃度に応じて適宜設定すればよい。ただし、前記色素
は材料層中に完全に溶解している必要があるので、その
濃度の上限は必然的に後述の絶縁性媒体,支持電解質等
への溶解限度となる。下限については特に制約はない
が、発消色時のコントラスト等を考慮すると、材料層中
に重量比で1/107以上含まれることが好ましい。 一方支持電解質は、材料層が溶融したときの導電性を
確保し前記色素の酸化・還元反応を促進するために添加
されるもので、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチ
ルアンモニウム,過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム,セチルトリメチルアンモニウムブロマイド,ジオ
クタデシルジメチルアンモニウムクロライド等の脂肪族
4級アンモニウム塩や、ミリスチルジメチルベンジルア
ンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩、ベンジ
ルジメチル
【2−[2−(p−1,1,3,3−テトラ
メチルブチルフェノキシ)エトキシ]エチル】アンモニ
ウムクロライド等の塩化ベンゼドニウム類、アルキルピ
リジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が使用可能であ
る。 その他、アニオン性界面活性剤等のイオン性界面活性
剤も前記支持電解質として使用可能である。アニオン性
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン,パルミチン酸ナ
トリウム,ステアリン酸カリウム,アルキルエーテルカ
ルボン酸等に代表されるカルボン酸塩類や、ラウリルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスル
ホン酸塩,ナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルナフタレンスルホン酸塩,ナフタレンスルホン酸ナト
リウム・ホルマリン縮合物,ジアルコキシスルホコハク
酸エステル塩等に代表されるスルホン酸塩類、アルキル
硫酸塩,アルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸塩,アルキルフェニルエーテル硫
酸塩等に代表される硫酸エステル塩類、アルキルリン酸
エステル塩,アルキルエーテルリン酸エステル塩等に代
表されるリン酸エステル塩類等が例示される。 ただし、これらイオン性界面活性剤を支持電解質とし
て使用した場合には、酸性物質による熱発色等が懸念さ
れるので、前述のアンモニウム塩を支持電解質として使
用するのが好ましい、 この支持電解質の濃度としては、後述のように固液変
化する絶縁性媒体中に相溶して用いる場合には、使用す
る絶縁性媒体に完全に溶融する必要があるので、その上
限は自ずと融解限度になる。下限は、色素の酸化還元を
電極で行うにたる電導度を与える最低の濃度である。し
たがって、絶縁性媒体の種類にも依存するが、材料層中
の前記支持電解質の濃度範囲としては、10-10モル/
〜溶解限度であることが好ましい。より好ましくは10-3
モル/〜10-1モル/である。ただし、上記支持電解
質自体が固液変化を示し絶縁性媒体を用いない場合に
は、前述の濃度範囲は適用されず、支持電解質に相溶さ
れる色素の濃度のみを所定の範囲に設定すればよい。 上述の色素及び支持電解質は、絶縁性媒体中に相溶し
て材料層とされるが、使用する絶縁性媒体には前記色素
や支持電解質を溶解すること、加熱冷却により固液変化
すること等が要求される。 かかる要求を満たす絶縁性媒体であれば如何なる材質
であってもよいが、例示するならばポリエチレン,ポリ
アクリレート,ポリメタクリレート,ポリアクリルアミ
ド等が挙げられ、これらのホモポリマーあるいはコポリ
マーが使用可能である。なかでも、長鎖のアルキルを側
鎖に有する高分子量体が好適である。これらポリマー
は、例えばラジカル重合やラジカル共重合等の手法によ
り、アクリル酸あるいはメタクリル酸の高級脂肪酸エス
テルを単独で,あるいは他のモノマーの存在下で直鎖状
に重合して高分子量化を図ることにより、合成すること
ができる。あるいは、シアノビフェニル系ポリマーや、
シアノフェニルベンゾエートとメトキシビフェニルベン
ゾエートの共重合系ポリマー、フェニルベンゾエート・
アゾメチン系ポリマー、アゾメチン系ポリマー等、液晶
性高分子材料も使用可能である。 また、本発明の感熱記録紙を書き換え可能な感熱記録
紙とする場合には、エステル,ケトン等に代表されるカ
ルボニル基(C=0)を少なくとも1以上分子骨格中に
有するポリマーを使用し、ロイコ色素の可逆的還元を熱
的反応を補助する機構とすることが好ましい。 さらに、この絶縁性媒体は固体状態もしくは少なくと
も液体状態で前述の支持電解質が相溶しなければエレク
トロクロミック特性が発現されないが、この絶縁性媒体
の相溶性の目安としては比誘電率があり、例えば4級ア
ンモニウム塩(支持電解質)の溶解性を考慮すると前記
比誘電率が10以上の材料を使用することが好ましい。 なお、前述の支持電解質自体が固液変化を示す場合に
は、この絶縁性媒体を必ずしも用いる必要はなく、支持
電解質に色素を相溶して材料層を形成するようにしても
よい。 上述の材料層は、紙,合成紙,プラスチックフィルム
等の支持体上に被膜として形成され、さらに薄膜状の電
極を形成することによって感熱記録紙とされる。なお、
必要に応じて保護層等を形成してもよい。 上記電極は、上記材料層の両面もしくは少なくとも一
方の面に積層形成すればよい。この場合、少なくとも材
料層を目視する側に設けられる電極は、透明であること
が望ましい。また、支持体側の電極は、当該支持体に導
電性材料あるいは導電性材料を混入したプラスチックフ
ィルムを用いる等して、支持体にその役割を担わせるよ
うにしててもよい。 本発明の感熱記録紙においては、前述の色素,支持電
解質,絶縁性媒体等からなる材料層を液体状態としたと
きに電極により電流印加することによって色素の酸化還
元反応が起こり、発消色する。したがって、加熱手段と
電流印加手段とを組み合わせることによって画像や印字
を前記材料層に形成することが可能となる。 加熱手段と電流印加手段の組合せとしては種々の組合
せが採用される。 先ず第1に、材料層の両面全面に電極を形成し、これ
ら電極間に電流を印加しておき、選択的加熱手段によっ
て画像,印字を形成する方法である。この場合には、材
料層のうち前記選択的加熱手段により溶融された部分で
のみ色素の酸化還元反応が起こり、この部分が発色,あ
るいは消色して画像,印字が形成される。選択的加熱手
段としては、サーマルヘッドやレーザ光等が挙げられ、
さらにはジュール熱等を利用する手法であってもよい。
ただし、特にレーザ光等の光熱変換作用によって選択加
熱を行う場合には、前記材料層に当該レーザ光を効率的
に吸収する増感色素,例えば半導体レーザの場合には赤
外光増感色素を混入しておき、前記光熱変換効率を高め
るようにすることが好ましい。 次に挙げられるのが、前述の方法とは逆に、材料層の
全面を加熱しながら当該材料層に選択的に電流を印加す
る方法である。材料層に選択的に電流を印加する方法と
しては、材料層の両面に透明電極のX−Yマトリックス
を形成しておく方法等が挙げられる。この場合には、全
面加熱手段によって材料層を熱溶融しておき、前記選択
的電流印加手段に所定の電気信号を供給すれば、この電
気信号に応じて画像,印字等が書き込まれる。また、書
き込み終了後に前記全面加熱手段による加熱を止め、前
記材料層を冷却すれば前記材料層が固化して画像,印字
が定着される。 さらには、選択的な加熱手段と選択的な電流印加手段
とを組み合わせることも可能である。選択的な加熱手段
及び選択的な電流印加手段としては、前述の各方法と同
様の手法を採用することができる。すなわち、例えば材
料層の一側面にのみ全面に電極を形成しておき、サーマ
ルヘッドと針状対向電極により熱及び電流を供給すれば
よい。この場合、前記サーマルヘッドが針状方向電極の
少なくとも一方の画像信号や印字信号に応じて駆動して
やればこれに応じて画像や印字が形成される。 いずれの場合においても、数種類の色素を選択して発
色状態をコントロールすることが可能であり、さらには
異なる発色の色素を含有する材料層を積層し多色化,カ
ラーすることも可能である。 〔作用〕 通常の有機物は固体状態では絶縁性と考えられ、これ
を媒体として電解質を相溶させても導電性の飛躍的な向
上は期待できない。したがって、これらは酸化還元色素
を相溶させたとしても、電気的酸化による発色は望めな
い。これは、固体状態では分子が凍結されて拡散定数が
低く、電解質(キャリヤ)がほとんど動けないことによ
る。 ところが、媒体である有機物が液化すると、前記拡散
定数が103〜105も高くなり、電解質の拡散,熱運動によ
るイオン電導が発現する。その結果、これらの相溶系
(すなわち材料相)の導電性が大幅に向上し、色素の可
逆的発消色(言い換えれば酸化還元反応)が外的な電流
の印加により制御可能となる。 すなわち、本発明の感熱記録紙では、材料層が固体状
態では電流の印加の有無に関わらず発消色状態が定着さ
れる。これに対して、何らかの加熱手段により材料層を
溶融し液体状態とし、電極より電圧を印加してやると系
内に結果として電流が流れ、プラス極側では電子が奪わ
れて色素の酸化反応が起こり、当該プラス極近傍の色素
が発色(場合によっては消色もしくは変色)する。さら
にこの液体状態で、先に印加したのとは逆極性の電圧を
印加すると、前記酸化された色素に電子が与えられて還
元反応が起こり、当該色素は消色(場合によっては発色
もしくは変色)する。 以上の材料層における発消色機構をまとめると次式の
通りである。 〔実施例〕 以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明す
る。 実施例の説明に先立って、本発明の感熱記録紙におい
て材料層に使用される表示材料に関する実験結果を説明
する。 実験例1 先ず、ロイコ色素が電流の印加によって酸化・還元反
応を起こし、着消色を繰り返すことを確認した。 すなわち、以下の組成を有する表示材料溶液を調製
し、サイクリックボルタモグラフィにより用いたロイコ
色素の酸化電位を測定した。測定に際しては、作用電極
として白金線を用い、対電極はPtとした。 組成 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン(ロイコ色素)〔保土ヶ谷化学社
製,商品名TH107〕 …0.54重量部 過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(支持電解
質) …3.4 重量部 アセトニトリル(溶液) …100 重量部 なお、使用したロイコ色素の構造式は下記の(I)式
に示す通りである。 アセトニトリル中、Ag/AgCl電極を基準とするサイク
リックボルタモグラムを第1図に示す。この第1図よ
り、前記ロイコ色素の酸化電位は約0.85Vであることが
確認された。 なお、前述のサイクリックボルタモグラフィにおい
て、複数回の走査を繰り返しても第1図と同様のパター
ンが得られ、前記ロイコ色素の酸化還元反応が可逆的で
あることを見出した。 次に、この溶液中に作用電極として白金線の代わりに
ITO(Indium Tin Oxide)を蒸着したプレート電極を浸
し、このプレート電極に基準(参照)電極に対して1.0V
の電圧を印加して(結果として電流が印加されたことに
なる。)プレート電極表面上の吸収スペクトル変化を測
定した。結果を第2図に示す。なお、第2図中、実線は
電圧印加時(酸化時)の吸収スペクトルを示し、破線は
電圧無印加時(還元時)の吸収スペクトルを示す。 この第2図より、電圧(電流)の印加により着色濃度
が増加することは明らかであり、エレクトロクロミック
表示素子として適用可能であることが示唆された。 また、発色は赤紫〜赤黒色であり、逆極性の電圧印加
により消色し、可逆性を呈した。 実験例2 次に、表示材料の多色化を検討するために以下の実験
を行った。 以下に示す3種類のロイコ色素を用い、実験例1に準
じた方法で表示材料溶液を調製した。使用したロイコ色
素の種類は下記の通りである。 ロイコ色素A…フタリド骨格に置換基を導入してシアン
に発色するフタリド化合物(保土ヶ谷化学社製,商品名
HC−1) ロイコ色素B…フルオラン骨格の置換基を変えることに
よって得られマゼンタに発色するフルオラン化合物(保
土ヶ谷化学社製,商品名HM−1) ロイコ色素C…フルオラン骨格の置換基を変えることに
よって得られイエローに発色するフルオラン化合物(保
土ヶ谷化学社製,商品名HY−1) これら表示材料溶液について、先の実験例1と同様に
サイクリックボルタモグラフィにより酸化電位を測定し
た。その結果、各ロイコ色素の酸化電位は次の通りであ
った。 ロイコ色素A…0.8V ロイコ色素B…0.9V ロイコ色素C…1.7V 各表示材料溶液のサイクリックボルタモグラムを第3
図〜第5図に示す。第3図はロイコ色素Aを使用した表
示材料溶液のサイクリックホルタモグラム、第4図はロ
イコ色素Bを使用した表示材料溶液のサイクリックホル
タモグラム、第5図はロイコ色素Cを使用した表示材料
溶液のサイクリックボルタモグラムである。いずれのロ
イコ色素も反応は実験例1と同様に可逆的であった。 さらに、各表示材料溶液について、先の実験例1と同
様にプレート電極上の吸収スペクトル変化を測定した。
結果を第6図〜第8図に示す。なお、これら第6図〜第
8図において、実線は電圧印加時(酸化時)の吸収スペ
クトルを示し、破線は電圧無印加時(還元時)の吸収ス
ペクトルを示す。 各表示材料溶液は、各ロイコ色素をアクリル酸系ポリ
マー中でフェノール性顕色剤によって発色させた状態と
同様のスペクトル特性を示し、電圧の印加により含まれ
るロイコ色素の種類に応じてシアン,マゼンタ,イエロ
ーにそれぞれ発色し、逆極性の電圧の印加により消色し
た。 したがって、これら第6図〜第8図,さらには第3図
〜第5図より、ほぼ理想的なイエロー,マゼンタ,シア
ンの発消色が電気的に制御可能であることが判明した。 実験例3 以上の実験例により、ロイコ色素の発色,消色,変色
を電気的に制御できることが明らかとなった。ただし、
前記実験例では、表示材料が室温で溶液状態であるの
で、実際に表示素子等としての応用を考えた場合に、溶
媒の揮発,取り扱い性,着色した色素の分散等が問題と
なる。 そこで本実施例では、これらの問題を考慮して、未使
用時に固体としての取り扱いを可能とならしめるべく、
固液変化を伴う表示材料について検討を加えた。 先ず、以下の組成を有する組成物を100℃で1時間攪
拌し、各成分が互いに相溶した相溶物を得た後、この相
溶物を100℃に保ちながら同様に100℃に予熱したITO蒸
着膜被着ガラス板の間に挾み、冷却して室温に保った。
ガラス板間にはスペーサとしてポリエチレンフィルムを
使用し、前記相溶物の厚みが約50μmとなるように設定
した。 組成 p−ドデシルオキシシアノビフェニル(固液変化絶縁性
媒体) …50重量部 ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(支持
電解質) …50重量部 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン(ロイコ色素)〔保土ヶ谷化学社
製,商品名TH107〕 …15重量部 上記組成を有する相溶物は、室温では固体であり、約
50℃で液化し、可逆的に固液変化を繰り返した。 次に、室温(相溶物の固体状態)で両ガラス板に被着
形成した電極(ITO蒸着膜)間に直流9Vを印加したとこ
ろ、何ら色変化は認められなかった。このときの電極間
の抵抗値は約400kΩであった。 次いで前記ガラス板からなるガラスセル全体を60℃に
加熱し、この加熱状態(相溶物は液体状態)を保ちなが
ら同様に直流9Vを印加したところ、即座に暗緑色に着色
(プラス側界面が着色)し、電圧(電流)の印加方向を
逆にすると消色した。さらにこの状態(印加する電圧の
極性を逆にした状態)で電圧の印加を続けると、こんど
は反対側の界面が発色した。この電気的着消色は、少な
くとも十回は繰り返し可能であった。 また、この熱溶融時の電極間の電気抵抗を測定したと
ころ、10kΩ程度に低下していた。 実験例4 先の実験例3は、固液変化を有し支持電解質との相溶
性に優れる媒体として液晶性物質(p−ドデシルオキシ
シアノビフェニル)を用いた例であるが、本実験例は支
持電解質自体が固液変化を示す例である。したがって本
例では絶縁性媒体は使用していない。 本例では次の組成物を用いて以下の実験を行った。 組成 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン(ロイコ色素)〔保土ヶ谷化学社
製,商品名TH107〕 …1重量部 ミリスチルベンジルメチルアンモニウムブロマイド(支
持電解質) …50重量部 上述の組成を有する混合物を100℃で一時間攪拌し、
淡黄色の均一溶液を得た。 次に、この溶液を全量ビーカに移し、ITO透明電極被
着ガラス板とPt板とからなる電極対(電極間距離10mm)
を挿入し、100℃に保ったままITO透明電極側にプラス電
位が印加されるようにして直流12Vを5秒間印加したと
ころ、ITO透明電極表面が暗緑色に着色した。さらに、
印加される電位の極性を反転させたところ、前記ITO透
明電液表面の着色は速やかに消色した。 また、この組成物は、実験例3と同様に、室温(固体
状態)では全く着色反応を示さなかった。 実験例5 以上の実験例により、固液変化する表示材料において
液体状態でのみ着消色を制御できることがわかった。そ
こで本実験例では、前記の着消色状態の保存性について
検討を加えた。 組成 エチレンカーボネート(固液変化絶縁性媒体) …100
重量部 テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム
(支持電解質) …5 重量部 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン(ロイコ色素)〔保土ヶ谷化学社
製,商品名TH107〕 …0.7重量部 上述の組成を有する混合物を100℃で1時間攪拌し、
淡桃色の均一溶液を得た。なお、絶縁性媒体自体の融点
は36℃であるが、この相溶物は凝固点降下により室温以
下に融点を有した。 この相溶物を全量ビーカに移し、先の実験例4と同様
の電極対を挿入し、50℃に保ちながら直流10Vを1秒間
印加した。その結果、ITO透明電極表面が赤黒色に着色
した。 そこで、前記電圧を保ったまま前記相溶物を0℃に急
冷した。すると、0℃の状態を保つ限り,言い換えれば
相溶物が固体状態を保つ限り前記着色状態は保持され
た。例えば、冷蔵庫中で2ヶ月間保存した後にも前記着
色状態は保持された。 また、上記相溶物を0℃に保ったままの状態で直流10
0Vを印加しても何ら色変化は認められなかった。 実験例6 本実験例も着消色状態の保存性についての実験例であ
る。 先ず、以下の組成を有する組成物を100℃で1時間攪
拌し、各成分が互いに相溶した相溶物を得た。 組成 p−ドデシルオキシシアノビフェニル(固液変化絶縁性
媒体) …50重量部 ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(支持
電解質) …50重量部 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン(ロイコ色素)〔保土ヶ谷化学社
製,商品名TH107〕 …15重量部 次いで、この相溶物をITO透明電極を画像パターンに
従って被着形成したガラス電極とITO当面電極を全面に
被着したガラス電極とからなるガラスセル間に厚み40μ
mとなるように挾み込んだ。 そして、このガラスセル全体を60℃に保ちながら上記
ガラス電極間に直流6Vを印加したところ、応答速度約50
msecでITO透明電極パターン部分が暗緑色に着色した。
(この時、背景は無色透明であった。) 次に、そのまま(電圧を印加したまま)室温に戻した
ところ、背景は白色散乱性となり、前記ITO透明電極パ
ターン部分の着色と相俟って、非常にコントラスト,解
像性に優れた画像が得られた。 この画像は、室温で6ヶ月経過した後でも殆ど同じ着
色状態を保ち続けた。 実験例7 先の実験例6では電極パターンによって画像を形成す
る方法を示した。本実験例は、逆に固液変化をレーザ光
で制御し画像形成を試みたものである。 なお、出力10mW程度の半導体レーザを熱源として固液
変化を行わせようとした場合には、ロイコ色素が所望の
波長域(半導体レーザの波長域)に吸収を有せず光熱変
換効率が低いことから実用的な書き込み速度を得ること
は困難である。そこで本実験例では、半導体レーザの波
長域に大きな吸収を有する色素を増感色素として添加
し、前記の問題を解消した。 先ず、以下の組成を有する組成物を100℃で1時間攪
拌し、各成分が互いに相溶した相溶物を得た。 組成 p−ドデシルオキシシアノビフェニル(固液変化絶縁性
媒体) …50 重量部 ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(支持
電解質) …30 重量部 クリスタルバイオレットラクトン(ロイコ色素)…20
重量部 スクアリウム系色素(増感色素) …0.2重量部 なお、使用したスクアリウム系色素の構造は次式(I
I)に示す通りである。 得られた相溶物は電圧無印加時には淡黄緑色を呈し
た。 次に、第9図に示すように、この相溶物(1)を全面
にITO透明電極を被着した一対のガラス電極からなるガ
ラスセル(2)内に充填した。このガラスセル(2)は
充填される相溶物(1)の融点以下の温度,ここではお
よそ40℃に保っておき、また両ガラス電極間には電源
(3)を接続し、直流4Vを印加しておいた。(これだけ
では全く発色しない。) 上記ガラスセル(2)は、タングステンランプ(4)
を光源として、前記相溶物(1)に形成される画像を投
影レンズ(5)を介してスクリーン(6)上に投影する
ように設置した。なお、前記タングステンランプ(4)
からの光は、赤外線遮断フィルタ(7)を通して赤外光
を除去し、集光レンズ(8)によりガラスセル(2)に
照射した。 次いで、電源ユニット(9)やパターン発生器(10)
に接続されるレーザダイオード(11)からのレーザ光
(出力10mW度,波長780nm)をガルバノスキャナミラー
(12)や集光レンズ(13),ハーフミラー(14)を介し
て前記ガラスセル(2)内の相溶物(1)に照射した。
照射したレーザ光のスポット径は10μm程度、照射パル
ス幅は100μsecとした。 その結果、相溶物(1)のレーザ光が照射された部分
は溶融して着色し、照射を止めて急冷したところ着色状
態が固定された。スクリーン(6)上にはこの着色状態
に応じた画像が映しだされた。 さらに、ガラスセル(2)全体を60℃に加熱して前記
画像形成時と逆極性の電圧(0.5V)を印加したところ、
前記相溶物(1)は全体が無色の状態となった。これを
放冷すると前記無色状態が固定された。 ところで、前述の方法では、相溶物(1)のうちレー
ザ光が照射された部分が発色するように設定したが、逆
にガラスセル(2)内の相溶物(1)全体を予め熱電的
に発色(青色)に発色させておき、融点以下の温度に設
定した後、逆極性の電圧を印加しながら同様にレーザ光
を照射し、光照射された部分が消色するようにしてもよ
い。この場合にも冷却により消色による画像が固定され
る。 以上の表示材料に関する実験結果を基に、感熱記録紙
を作製した。 実施例1 無色もしくは白色の導電性物質(例えばITO被膜を付
着したTiO2粒子等。)を混練したポリエチレンテレフタ
レートフィルム等の白色化フィルムを支持体(21)と
し、この支持体(21)上に第10図に示すように下記の組
成を有する相溶物を潤滑塗布・乾燥して固体被膜(22)
を形成し、さらに片面全面にITOの蒸着膜(24)を設け
た耐熱ポリエチレンテレフタレートフィルム(23)を前
記固体被膜(22)の融点以上の温度で熱圧着して感熱記
録フィルムを得た。 組成 ポリステアリルアクリレート(融点48℃) …200重量部 2−(2′−クロロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブ
チルアミノフルオラン〔保土ヶ谷化学社製,商品名TH10
7〕 …2重量部 ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド…50重
量部 テトラヒドロフラン …500重量部 ここで使用されるポリステアリルアクリレートは、造
膜性,可撓性に優れロイコ色素や支持電解質を相溶でき
るだけの比誘電率を有するものであり、さらに熱溶融性
もしくは相転移性のものである。 このようにして作製した感熱記録フィルムの支持体
(21)とITOの蒸着膜(24)間にロイコ色素の酸化に必
要な電圧(この場合には1V程度以上であり、本例では10
Vに設定した。)を印加しておき、耐熱ポリエチレンテ
レフタレートフィルム(23)上から感熱ヘッドにより印
字(あるいは印画)を行った。 その結果、固体被膜(22)の融点以上の温度に到達す
るとその部分が発色し、さらに室温に冷却(放置)する
ことにより印字(あるいは印画)が定着された。 電圧印加を止めた状態では、非印字部(非画像部)を
加熱しても発色は起こらず、また顕色剤が存在しないこ
とから保存中の発色も全く認められなかった。 次に、感熱記録フィルムの全面を固体被膜(22)の融
点以上に加熱しながら、発色には至らない程度の微弱な
反対極性(前記印字,印画時に印加した電圧と反対の極
性)の電圧を印加し、既に形成された印字や画像を消去
した。これを冷却(放置)して固化させることにより画
像未形成状態に戻すことができた。 なお、前記消去操作時には必ずしも反対極性の電圧を
印加する必要はなく、例えば熱のみでも消去は可能であ
るが、本例では実用的な迅速性を考慮して前記反対極性
の電圧を印加して消去することとした。 実施例2 本例では、カラー画像形成用の感熱記録紙の作製を試
みた。 先の応用例1と同様に白色化フィルム支持体(31)と
し、第11図に示すように、この支持体(31)上にイエロ
ー色感電熱層(32),マゼンタ色感電熱層(33)及びシ
アン色感電熱層(34)をITOよりなる透明電極層(3
5),(36)を介して積層形成し、さらに片面全面にITO
の蒸着膜(37)を設けた耐熱ポリエチレンテレフタレー
トフィルム(38)を前記各感電熱層(32),(33),
(34)の融点以上の温度で熱圧着して感熱記録フィルム
を得た。 なお、上記各感電熱層(32),(33),(34)は、そ
れぞれの発色に応じてロイコ色素を選択した以外は先の
応用例1と同様の組成を有する相溶物を用い、これら相
溶物の湿潤塗布・乾燥することにより固体被膜として形
成した。また、使用したロイコ色素は、先の実験例2で
使用したのと同様のもので、シアン色感電熱層(34)に
てロイコ色素A〔フタリド骨格に置換基を導入してシア
ンに発色するフタリド化合物(保土ヶ谷化学社製,商品
名HC−1)〕を、マゼンタ色感電熱層(33)にはロイコ
色素B〔フルオラン骨格の置換基を変えることによって
得られマゼンタに発色するフルオラン化合物(保土ヶ谷
化学社製,商品名HM−1)〕を、イエロー色感電熱層
(32)にはロイコ色素C〔フルオラン骨格の置換基を変
えることによって得られイエローに発色するフルオラン
化合物(保土ヶ谷化学社製,商品名HY−1)〕をそれぞ
れ使用した。 上述のようにイエロー,マゼンタ,シアンに発色する
3種類の感電熱層を透明電極層を挾んで3構造に構成し
てなる感熱記録紙に対し、以下のような手法により画像
形成を施した。 先ず、イエロー色感電熱層(32)にのみ〔すなわち支
持体(31)と透明電極層(35)間にのみ〕必要電圧を印
加しておき、感熱ヘッドにより熱潜像を与え、顕色化し
た後に冷却(放置)した。これによって、イエロー色感
電熱層(32)のみが前記熱潜像に応じて発色し、その発
色状態が定着された。 次に、マゼンタ色感電熱層(33)のみに〔すなわち透
明電極層(35),(36)間のみに〕必要電圧を印加して
おき、先のイエロー色感電熱層(32)と同様感熱ヘッド
により熱潜像を与え、顕色化した後に冷却(放置)し
た。これによって、マゼンタ色感電熱層(33)のみが前
記熱潜像に応じて発色し、その発色状態が定着された。 さらに、シアン色感電熱層(34)のみに〔すなわち透
明電極層(36)とITOの蒸着膜(37)間のみに〕必要電
圧を印加し、同様の操作によってこのシアン色感電熱層
(34)を発色させ定着した。 以上の操作により、フルカラー画像が形成された。 なお、前述のイエロー色,マゼンタ色,シアン色のみ
では黒濃度が不足する場合には、さらに黒色に発色する
黒色感電熱層を積層形成すればよい。 また、本例では3層構造によりカラー化を達成してい
るので、各感電熱層(32),(33),(34)に用いる固
液変化絶縁媒体は光学的に透明であることが望ましい。
勿論、各感電熱層(32),(33),(34)に多少の光散
乱があったとしても、厚みを制御することによりその影
響を実用的なレベルにまで下げることはできるが、例え
ばステアリルアクリレート−ステアリルメタクリレート
共集合体等を使用すれば優れた透明性を得ることができ
る。 〔発明の効果〕 以上の説明からも明らかなように、本発明の感熱記録
紙においては、酸化・還元反応により着色状態の変わる
色素と支持電解質とを含み加熱冷却により固液変化を行
う材料層と電極を形成し、この材料層の固液変化及び上
記電極からの電流の印加による酸化・還元反応を利用し
て色素の着色状態を熱的,電気的に制御可能としている
ので、実用的な速度で発色,消色あるいは変色せしめる
ことが可能で、しかも必要に応じて前記発色,消色ある
いは変色状態を定着,あるいは再生することが可能であ
る。 また、本発明の感熱記録紙は、不用意な加熱等によっ
て発色することはなく、保存性,安定性に優れること、
カラー化が容易であり発色も鮮やかであること等の利点
も有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は黒色に発色するフルオラン系ロイコ色素のサイ
クリックボルタモグラムを示す特性図、第2図はその吸
収スペクトルを示す特性図、第3図はシアン色に発色す
るフタリド系ロイコ色素のサイクリックボルタモグラム
を示す特性図、第4図はマゼンタ色に発色するフルオラ
ン系ロイコ色素のサイクリックボルタモグラムを示す特
性図、第5図はイエロー色に発色するフルオラン系ロイ
コ色素のサイクリックボルタモグラムを示す特性図、第
6図はシアン色に発色するフタリド系ロイコ色素の吸収
スペクトルを示す特性図、第7図はマゼンタ色に発色す
るフルオラン系ロイコ色素の吸収スペクトルを示す特性
図、第8図はイエロー色に発色するフルオラン系ロイコ
色素の吸収スペクトルを示す特性図である。 第9図は半導体レーザの光熱変換作用により画像表示す
る表示装置の構成例を示す模式図である。 第10図は本発明を適用した感熱記録紙の一構成例を示す
要部概略断面図、第11図は本発明を適用した感熱記録紙
の他の構成例を示す要部概略断面図である。 21,31……支持体 22……固体被膜(材料層) 24,37……ITO蒸着膜(電極) 32,33,34……感電熱層(材料層) 35,36……透明電極(電極)
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/18 101C 111

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】色素と支持電解質を含み加熱冷却により固
    液変化を行う材料層と、 上記材料層に電流を印加する電極よりなり、 上記色素は上記材料層が液化された状態で上記電極によ
    り電流を印加することにより酸化及び/又は還元反応を
    生ぜしめて発消色することを特徴とする感熱記録紙。
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