JPH09249515A - 歯科用知覚過敏治療剤 - Google Patents

歯科用知覚過敏治療剤

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JPH09249515A
JPH09249515A JP8059671A JP5967196A JPH09249515A JP H09249515 A JPH09249515 A JP H09249515A JP 8059671 A JP8059671 A JP 8059671A JP 5967196 A JP5967196 A JP 5967196A JP H09249515 A JPH09249515 A JP H09249515A
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therapeutic agent
aqueous solution
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hyperesthesia
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JP8059671A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Tomiyama
潔 富山
Yoshiharu Mukai
義晴 向井
Shiyuusaku Okada
周策 岡田
Toshio Teranaka
敏夫 寺中
Tsugio Iwamoto
次男 岩本
Hideyuki Negishi
秀幸 根岸
Tsutomu Fujiwara
努 藤原
Masahiko Ueda
正彦 植田
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Taihei Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Taihei Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 象牙細管の封鎖性が従来法よりも一層良好で
あり、しかも生体への親和性が良く、且つ耐久性があっ
て治療効果が永続的であり、更に歯へフッ素を持続的に
取り込ませることができる知覚過敏治療剤を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 成分a:酸性フッ素リン酸−タンニン酸
溶液,成分b:塩化ランタン水溶液,及び成分c:フル
オロアパタイト系ガラス粉末を有する。実際の治療に際
しては、成分a水溶液6を塗布後、成分b水溶液4と成
分cの粉体5を塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科治療分野にお
ける知覚過敏症の治癒促進,症状の緩和の為に用いる知
覚過敏治療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】知覚過敏症は、露出した象牙質の表面
に、冷気や冷水或いは擦過性の刺激等が作用したときに
一過性の疼痛を生じるという疾患である。象牙質の露出
はエナメル質の消失や歯肉の退縮等により起こり、該露
出した象牙質が、機械的な摩耗や酸等の作用による石灰
分の溶出によって象牙細管を開口し、該象牙細管を通し
て物理化学的刺激が歯髄に伝達されて知覚神経を刺激し
痛みを感じさせるのである。そこで、従来より知覚過敏
症の治療として、前記象牙細管を閉塞する手法が種々考
えられている。
【0003】その手法としては、例えば:30w/v %
シュウ酸カリウム水溶液及び3w/v%シュウ酸水素カリ
ウム水溶液を歯面に塗布する方法(Archs oral Biol.,V
ol.30,No.10,第731 〜737 頁,1985 年)、:フッ化ナ
トリウムを歯面に塗布する方法(日本歯科評論,173,3
9,1959 年)、:フッ化ジアミン銀を歯面に塗布する
方法(日本歯科保存誌vol.10, 第31頁,1967 年)、:
水溶性アルミニウム化合物及びフッ化物で歯を処理する
方法(特開平5-155745)、:水溶性アルミニウム化合
物,フッ化物及び水溶性カルシウムで歯を処理をする方
法(特開平5-155746)がある。また、:水溶性リン酸
塩と水溶性フッ化物とからなる液と、水溶性カルシウム
塩からなる液を順次歯面に塗布することにより、歯面上
にフルオロアパタイトを生成させる方法(特開平5-2550
29)も提案されている。また他に、:酸性フッ素リン
酸溶液及び塩化ランタン水溶液を順次歯に塗布し、歯面
上でフッ化ランタンを生成させる方法(日本歯科保存誌
vol.35(1) ,第59〜68頁,1992年)も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例〜では上記象牙細管の封鎖性が不充分であり、
しかも封鎖物質と生体との親和性が劣り、封鎖物質が剥
がれ易いという問題があり、この他上記従来例の様に
銀化合物を使用するものは歯質を黒く変色させる問題が
ある。
【0005】上記従来例は、生体親和性において優れ
てはいるものの、封鎖性が良いとは言い難く、加えて酸
性環境下における耐久性に劣り、その為、折角生成・付
着しているフルオロアパタイトの脱落や溶解が起こっ
て、知覚過敏症状が再発するという危険性がある。上記
従来例は、歯表面部における封鎖性は良く、また耐久
性も優れているが、この封鎖は表層部のみであり、象牙
細管深部までの確実な封鎖が困難であり、また材質的な
面から生体親和性が十分満足できるとは言えないもので
ある。
【0006】以上の様に従来例でも一応良好な象牙細
管の封鎖性を示すが、本発明の目的は、封鎖性が上記従
来例よりも一層良好な歯科用知覚過敏治療剤を提供す
る点にあり、具体的には生体への親和性が良く、且つ耐
久性があって治療効果が永続的であり、更に歯へフッ素
を持続的に取り込ませることができ、加えて臨床治療現
場において簡易に治療を実施することのできる知覚過敏
治療剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る歯科用知覚
過敏治療剤は、成分a:酸性フッ素リン酸−タンニン酸
溶液,成分b:塩化ランタン水溶液,及び成分c:フル
オロアパタイト系ガラス粉末を有することを要旨とす
る。尚、フルオロアパタイト系ガラスとは、ガラス中に
フルオロアパタイトの結晶構造を有するものである。
【0008】中でも、前記成分aが、NaF:0.7〜
3.7重量部,リン酸:0.5〜2.5重量部,タンニ
ン酸:2.0〜8.0重量部を含有する水溶液であるも
のが望ましい。また、前記成分bが、LaCl3 :0.
2〜3重量%の塩化ランタン水溶液であるものが望まし
い。加えて、前記成分cが、1重量%以上のフッ素をF
2 として含有したフルオロアパタイト結晶を有するガラ
ス粉末であるものが好ましい。
【0009】更に、前記成分a,b,cを非混合状態で
夫々保存するものであることが好ましい。例えば成分
a,b,cを夫々別々の容器に保存し、実際の治療に際
しては、成分a、成分c、成分bを順次歯面に塗布する
か、若しくは成分aを歯面に塗布後、成分b,成分cを
重ね付けした例えば綿棒によりこれを歯面に塗布する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の上記成分aの酸性フッ素
リン酸−タンニン酸溶液中の酸性フッ素リン酸は、成分
bの塩化ランタンと共同して、前記従来例と同様に、
耐酸性及び封鎖性に優れたフッ化ランタンを生成する。
また本発明の成分cのフルオロアパタイト系ガラスの粉
体は、その表面が成分aの酸と反応して、例えばリン酸
カルシウムやタンニン酸カルシウム等といった歯に対し
て親和性の良好な生成物を生成し、該生成物を介して象
牙細管内及び歯表面部に接着する。更に上記フルオロア
パタイト系ガラス粉末は、上記フッ化ランタンのバイン
ダーとしての働きによっても、粉末同士及び象牙細管内
や歯表面部へ接着し、象牙細管を強く封鎖する。尚、こ
れら封鎖物、即ちフッ化ランタンや、フルオロアパタイ
ト系ガラスを核とした反応生成物を、以下において不溶
性反応物と称す。
【0011】上記不溶性反応物の形成に先立って各成分
a,b,cが塗布された際に、上記成分aに含まれるタ
ンニン酸は、溶液の浸透性を向上させるから、直径数μ
m の細い象牙細管であっても、各成分a,b,cを速や
かに細管内に浸透させ、深部まで到達させる。従って、
上記フッ化ランタンの生成や、上記フルオロアパタイト
系ガラス粉末が接着する為の化学反応が、象牙細管内の
表層部だけでなく奥深いところでも起こり、象牙細管内
を不溶性反応物で埋めることができ、象牙細管を極めて
良好に封鎖できる。例えば、本発明における上記不溶性
反応物の歯面表層部における厚みは、ある実施例では数
μm から10数μm 、象牙細管の侵入深度は10数μm
に達することを確認している。またタンニン酸は、上記
不溶性反応物を短時間に生成させることができる。更に
タンニン酸は即効的な疼痛緩和の作用が期待される。
【0012】加えて、フルオロアパタイト系ガラスは生
体親和性に優れる上に、歯にフッ素を持続的に供給する
ことができるので、長期間に亘る歯質強化を図ることが
できる。
【0013】本発明に係る知覚過敏治療剤の保存方法と
しては、成分a,b,cを混合状態で、若しくは成分
a,bを、成分a,cを、成分b,cを夫々混合状態で
保存すると、保存容器内でこれらが反応してしまうか
ら、例えば別々の容器に入れる等、非混合状態で保存す
ることが好ましい。
【0014】本発明に係る知覚過敏治療剤の使用方法と
しては、まず成分aを含む溶液を歯の表面に塗布し、そ
の後、成分c、成分bの順に塗布するか、若しくは成分
b,cの混合物(使用直前に混合するのが好ましい)を
塗布する。この様に、先に成分aを塗布することによ
り、タンニン酸の作用によって象牙細管内部への各成分
a〜cの浸透を促すことができ、従って上記不溶性反応
物の生成が表面部分のみに止まらず、象牙細管の深部に
至るまで上記不溶性反応物を生成することができる。
【0015】成分a、成分b、成分cの順に塗布した場
合は、先に成分aと成分bが反応してフッ化ランタンを
生成し、次に塗布した成分cが象牙細管内に十分侵入で
きないから、塗布順序としては上記の様に塗布するのが
好ましい。次に本発明に係る知覚過敏治療剤の、好まし
い成分範囲について述べる。
【0016】 NaFやリン酸が上記範囲を越えて過剰となった場合
は、酸刺激が強くなりすぎて歯質を溶解する等し、歯を
痛める恐れがあり、また生成するフッ化ランタン(不溶
性反応物)が過剰となって、均質な皮膜が形成されなく
なる。一方、上記範囲以下ではフッ化ランタンの生成が
少なすぎて、象牙細管を充分に封鎖することができなく
なる。従って上記範囲とした。
【0017】<成分aのタンニン酸:2.0〜8.0重
量部>2.0重量部未満では、前述した各成分の細管内
への浸透促進効果が充分に現れず、一方8.0重量部超
ではタンニン酸の持つ収斂作用が過剰となって歯髄の神
経を刺激する為、上記範囲とした。成分aにおけるNa
F,リン酸,タンニン酸の存在量は、夫々上記した重量
部比であることが必要であり、この条件を満足さえすれ
ば、成分aの水溶液における濃度は特に限定しない。但
しもっとも好ましくは該重量部を重量%と読み替えた濃
度である。
【0018】<成分bのLaCl3 :0.2〜3重量%
>前記成分aと成分bが反応してフッ化ランタン(不溶
性反応物)を生成するに際して、未反応分が残ると酸刺
激等による有害な作用を示す恐れがあるから、この様な
未反応部分が残らない様にする為に上記範囲の中から、
NaF及びリン酸の配合量を考慮してLaCl3 配合量
を適切に設定することが望まれる。例えばNaFが0.
7重量%,リン酸0.5重量%の場合には、LaCl3
は0.2重量%である。また、NaFが3.7重量%,
リン酸が2.5重量%では、LaCl3 は3重量%とな
る。
【0019】尚、上述の成分aと成分bのバランスに関
しては、下記の実験により確認している。 実験:成分aとしてNaFを2重量%,リン酸を1.5
重量%,タンニン酸を5重量%含有する水溶液を用い、
人抜去象牙質に3分間作用させ、この人抜去象牙質に対
して0重量%,0.25重量%,1重量%,5重量%の
各濃度の塩化ランタン水溶液を3分間作用させた。その
後、0.2M酢酸緩衝液に1時間浸漬し、該酢酸緩衝液
に溶出したカルシウム量を、原子吸光法により定量し
た。この結果を統計処理したところ、塩化ランタン濃度
が0重量%のものと0.25重量%以上のものとの間で
は危険率5%で有為差が認められ、一方1重量%のもの
と5重量%のものとの間には危険率5%で有為差が認め
られず、上記組成の成分aの場合における塩化ランタン
の濃度は0.25〜5重量%の範囲で良好であるという
結果を得た。また1重量%のものが最も好ましい濃度で
あった。
【0020】<成分c>成分cとしては、歯に対するフ
ッ素供給の持続性を確保する為に1%以上のF 2 を含有
していることが望ましく、フルオロアパタイトを主たる
結晶相として有するものであれば他はどの様なガラス組
成であっても良い。また象牙細管内部へ容易に入ること
ができる為には、成分cは平均粒径1μm 以下の粒子で
あることが望ましい。
【0021】
【実施例】
<実施例1>蒸留水100mlにNaFを2.2g 、85
%リン酸を1.73g 、タンニン酸を5g 溶解し、成分
aの水溶液を調製した。尚、この成分aは1%のフッ素
を含有し、pH3.4であった。蒸留水100mlにLa
Cl3 を1.8g 溶解し、成分bの水溶液を調製した。
尚、この成分bは1%のランタンを含有し、pH4.3
であった。
【0022】試薬特級品の炭酸カルシウム,二酸化珪
素,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,フッ化
カルシウム,炭酸ストロンチウムをボールミルによって
粉砕混合し、白金坩堝に入れて1000℃で仮焼の後、
1550℃で30分間保持することによって溶融し、水
中急冷してガラスカレットを得た。該ガラスカレットを
ボールミルによって粉砕し、分級機により分級し、平均
粒径0.8μm 以下の成分cを調製した。尚、この成分
cに含まれる成分組成は、CaO:38.5wt%,P2O5:14.3wt
%,SiO2:22.6wt%,Al2O3:19.1wt %,F2:5.0wt %,MgO:
0.5wt%である。
【0023】<比較例1>30w/v %のシュウ酸カリウ
ム水溶液(pH7.0)、及び3w/v %のシュウ酸水素
カリウム水溶液(pH2.0)を調製した。尚、この比
較例1は、現在臨床治療において汎用されている知覚過
敏治療剤と同一組成を企図したものである。
【0024】<比較例2>蒸留水100mlにNaFを
2.2g 、85%リン酸を1.73g 溶解し、1%のフ
ッ素を含有する水溶液を調製した(pH3.4)。尚、
以下、この水溶液をAPF液と称す。ランタン水溶液と
して、上記実施例1の成分bと同様の水溶液を調製し
た。尚、比較例2は上記従来例と同様の知覚過敏治療
剤である。
【0025】<実験>前記実施例1と前記比較例1,2
について、ウシ歯根象牙質を用いて象牙細管の封鎖に関
する実験を行った。図3は、被検材料であるウシ歯根象
牙質の調整方法を示すフロー図である。
【0026】該被検材料の調整としては、まず凍結保存
したウシ永久歯下顎中切歯1のセメント質を除去し、歯
根象牙質を歯頚部直下(図中A−Aで示す点線部分)と
根尖側(図中B−Bで示す点線部分)の2箇所で水平に
切断し、更に長軸方向(図中C−Cで示す点線部分)に
2分割し、歯髄を除去した。次いで象牙細管を露出させ
る目的で、0.1M過塩素酸溶液に浸漬し、超音波処理を1
分行い、これを被検材料2とした。次に、前記実施例1
と前記比較例1,2の知覚過敏治療剤を、下述の様に、
夫々上記被検材料に塗布した。
【0027】図1は、実施例1の第1の塗布方法を示す
フロー図であり、まず上記実施例1の成分a水溶液6に
綿棒3aを浸し(図1の(a) 参照)、被検材料2に塗布
し(図1の(b) 参照)、3分間放置して空気乾燥を行っ
た。上記実施例1の成分b水溶液4に綿棒3b(綿棒3
aとは異なる綿棒である)を浸し(図1の(c) 参照)、
次いで該綿棒3bに上記実施例1の成分cの粉体5をま
ぶし(図1の(d) 参照)、該綿棒3bを用いて上記空気
乾燥後の被検材料2に15秒間擦り込む様にして塗布を
行い(図1の(e) 参照)、2分30秒間放置した。その
後肉眼的に残留物がなくなるまで充分に水洗を行った。
【0028】図2は、実施例1の第2の塗布方法を示す
フロー図である。まず上記第1の塗布方法と同様に、上
記実施例1の成分a水溶液6に綿棒3aを浸し(図2の
(a)参照)、被検材料2に塗布し(図2の(b) 参照)、
3分間放置して空気乾燥を行った。次に、成分cの粉体
5を綿棒3cに付け(図2の(c) 参照)、上記空気乾燥
後の被検材料2に30秒間擦り込み(図2の(d) 参
照)、次に成分b水溶液4に綿棒3dを浸し(図2の
(e) 参照)、被検材料2に塗布し(図2の(f) 参照)、
2分30秒間放置した。その後肉眼的に残留物がなくな
るまで充分に水洗を行った。
【0029】比較例1の塗布方法としては、まず30w/
v %シュウ酸カリウム水溶液を綿棒で被検材料に塗布
後、2分間放置し、乾いた綿棒で拭き取って乾燥し、次
に3w/v %シュウ酸水素カリウム水溶液を綿棒により塗
布し、2分間放置後、充分に水洗を行った。
【0030】比較例2の塗布方法としては、まず上記A
PF液を綿棒により被検材料に塗布し、3分間放置して
空気乾燥を行い、次いで比較例2のランタン水溶液を綿
棒によって30秒間擦り込んだ後、2分30秒間放置し
た。その後肉眼的に残留物がなくなるまで充分に水洗を
行った。
【0031】上述の様に象牙細管の封鎖処理を行った上
記各被検材料について、表面及び割断面のSEM観察を
行い、またX線マイクロアナライザーにより表面の元素
分析を行った(EPMA分析)。
【0032】また上記細管封鎖処理済みの上記各被検材
料を、人工唾液のRem液に1昼夜浸漬した後、更に人
工脱灰液のDem液に6日間浸漬し、この被検材料につ
いて前記と同様に、表面及び割断面のSEM観察、及び
EPMA分析を行った。
【0033】尚、Rem液は、0.1 %カルボキシメチル
セルロース,3.0mM カルシウム,1.8mM リンを含む水溶
液である。Dem液はRem液に更に乳酸が0.1Mとなる
様に加えられた水溶液である。以上の結果を表1に示
す。尚、封鎖性の判定は、象牙細管の開口部の発現状態
の良否をもって判定した。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1からも分かる様に、人工唾液浸漬
前(象牙細管の封鎖処理の後すぐのもの)の場合は、比
較例1,2による処理の被検材料については、象牙細管
の開口は認められなかったものの、象牙細管の開口を示
唆する様な裂隙が観察され、封鎖性があまり良いもので
はなかった。一方実施例1による処理の被検材料は、表
面が厚い生成物(不溶性反応物)層で覆われ、また割断
面の観察では象牙細管の15μm 内部にまで生成物が密
に侵入し、象牙細管を完全に封鎖していることが観察さ
れた。
【0036】また人工脱灰液浸漬後の場合は、比較例1
については象牙細管の開口が認められ、形成した生成物
の膜厚も少なくなり、生成物の脱落が推察された。一
方、実施例1による処理の被検材料は、人工唾液浸漬前
と同様に、表面が厚い生成物層で覆われた状態を保持
し、また象牙細管内に侵入していた生成物も影響を受け
ずに残存していた。
【0037】
【発明の効果】本発明に係る知覚過敏治療剤によれば、
不溶性反応物によって歯の表面を従来よりも一層緻密に
被覆するのみならず、象牙細管の内部深くまで不溶性反
応物が侵入し、象牙細管を確実に封鎖することができ
る。しかも上記不溶性反応物は歯に対する親和性が良好
である。従って、知覚過敏症による疼痛が消失若しくは
緩和するという効果がある。しかも、歯質に接着した不
溶性反応物は耐久性があるから、治療効果に永続性があ
る。
【0038】更に、歯へフッ素を持続的に取り込ませる
ことができるから、歯質の強化が期待できる。加えて、
本発明の知覚過敏治療剤を用いた治療手法は簡便であ
り、日常の臨床治療への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る知覚過敏治療剤の第1
の塗布方法を示すフロー図。
【図2】本発明の実施例1に係る知覚過敏治療剤の第2
の塗布方法を示すフロー図。
【図3】被検材料であるウシ歯根象牙質の調整方法を示
すフロー図。
【符号の説明】
1 ウシ永久歯下顎中切歯 2 被検材料 3a,3b,3c,3d 綿棒 4 成分b水溶液 5 成分cの粉体 6 成分a水溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺中 敏夫 神奈川県横須賀市稲岡町82 神奈川歯科大 学内 (72)発明者 岩本 次男 神奈川県横須賀市稲岡町82 神奈川歯科大 学内 (72)発明者 根岸 秀幸 神奈川県横須賀市稲岡町82 神奈川歯科大 学内 (72)発明者 藤原 努 神奈川県横須賀市稲岡町82 神奈川歯科大 学内 (72)発明者 植田 正彦 大阪府貝塚市窪田48番地

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の成分a,b及びcを有することを特
    徴とする歯科用知覚過敏治療剤。 成分a:酸性フッ素リン酸−タンニン酸溶液 成分b:塩化ランタン水溶液 成分c:フルオロアパタイト系ガラス粉末
  2. 【請求項2】 前記成分aが、NaF:0.7〜3.7
    重量部,リン酸:0.5〜2.5重量部,タンニン酸:
    2.0〜8.0重量部を含有する水溶液である請求項1
    に記載の歯科用知覚過敏治療剤。
  3. 【請求項3】 前記成分bが、LaCl3 :0.2〜3
    重量%の塩化ランタン水溶液である請求項1または2に
    記載の歯科用知覚過敏治療剤。
  4. 【請求項4】 前記成分cが、1重量%以上のフッ素を
    2 として含有したフルオロアパタイト結晶を有するガ
    ラス粉末である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用
    知覚過敏治療剤。
  5. 【請求項5】 前記成分a,b,cを夫々非混合状態で
    保存するものである請求項1〜4のいずれかに記載の歯
    科用知覚過敏治療剤。
JP8059671A 1996-03-15 1996-03-15 歯科用知覚過敏治療剤 Withdrawn JPH09249515A (ja)

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