JPH09248469A - 触媒の製造方法 - Google Patents

触媒の製造方法

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JPH09248469A
JPH09248469A JP5785396A JP5785396A JPH09248469A JP H09248469 A JPH09248469 A JP H09248469A JP 5785396 A JP5785396 A JP 5785396A JP 5785396 A JP5785396 A JP 5785396A JP H09248469 A JPH09248469 A JP H09248469A
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JP5785396A
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English (en)
Inventor
Kunihiko Sasaki
佐々木  邦彦
Tomiaki Furuya
富明 古屋
Yoshio Hanakada
佳男 羽中田
Toshiyuki Ohashi
俊之 大橋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスタービン等の燃焼触媒が晒される環境下
(〜800℃程度)においても耐剥離性および耐摩耗性
に優れ、また、高い触媒活性を長期にわたり維持可能な
触媒の製造方法を提供すること。 【解決手段】 構造基材に触媒成分を保持させる工程
と、前記構造基材に保持された触媒成分の一部を融解さ
せる工程と、前記融解した触媒成分の一部を凝固させる
工程とを具備したことを特徴とする触媒の製造方法ある
いは両性金属からなる群より選択される少なくとも1つ
の元素を含有する触媒成分を構造基材へ熔射する工程
と、前記構造基材へ熔射した触媒成分から前記両性金属
を除去する工程とを具備したことを特徴とする触媒の製
造方法による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒の製造方法に
係り、特に耐剥離性と触媒活性に優れ、ガスタービン等
の高温条件下においても使用可能な触媒を得るための触
媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、触媒の応用分野が、石油科化学分
野から環境分野にまで拡大するに至って、触媒の使用形
態も多様化してきている。
【0003】例えば、自動車の排気ガス中に含まれ、有
害物質であるNOxの分解や、一酸化炭素あるいは未燃
焼の炭化水素燃料の酸化等を行うため、自動車の排ガス
系においては、触媒が設置され使用されている。また、
ガスタービン燃焼器に触媒を設置し、メタン等の燃料を
燃焼させることにより、NOxの発生を回避する技術も
開発されつつある。
【0004】一般的に、これらの触媒は、通風抵抗を少
なくする必要からハニカム形状となっており、例えば、
コーディェライ卜等の無機質の耐熱性構造基材面に適当
な触媒成分を保持させた構成となっている。そして、こ
うした触媒は、通常、触媒活性成分を含みアルミナなど
を主成分とするスラリーの中にハニカム形の構造基材を
浸漬し、表面に触媒成分からなる触媒層を付着・形成し
た後、乾燥し、焼成することによって製造されている。
【0005】しかしながら、上述したように、スラリー
の中にハニカム形の構造基材を浸漬し、表面に触媒成分
からなる触媒層を付着・形成した後、乾燥、焼成するこ
とにより構造基材上に触媒層を形成した触媒では、構造
基材と触媒層との熱膨張差、構造基材と触媒層との密着
性の不足あるいは多孔質である触媒層自身の強度不足等
に起因する不良を起こしやすく、例えば、使用環境中で
の激しい温度履歴や流体との摩擦等により、構造基材か
ら触媒層が剥離したり、触媒層が著しく磨耗したりする
という問題があった。特に、高温での使用を前提とした
ガスタービンの燃焼器等に使用される燃焼触媒において
は、構造基材からの触媒層の剥離や触媒層の磨耗等の問
題が顕著に現れてきている。
【0006】また、耐剥離性および耐磨耗性を向上させ
るために、触媒活性成分(例えばPd)を含む触媒成分
を粉末とした触媒粉を構造基材面へ熔射し、触媒層を形
成する方法も試みられており、実際、熔射法を用いた触
媒の製造方法によれば、耐剥離性および耐磨耗性に優れ
た触媒を得ることは可能である。
【0007】しかしながら、上述の熔射法による触媒の
製造方法では、触媒層の多孔質化が困難であるため、触
媒活性の高い触媒を得ることが難しいという問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたもので、ガスタービン等の燃焼触媒が晒
される環境下(〜1000℃程度)においても耐剥離性
および耐摩耗性に優れ、また、高い触媒活性を長期にわ
たり維持可能な触媒の製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明に係る触
媒の製造方法は、構造基材に触媒成分を保持させる工程
と、前記構造基材に保持された触媒成分の一部を融解さ
せる工程と、前記融解した触媒成分の一部を凝固させる
工程とを具備したことを特徴としている。
【0010】ここで、本願第1の発明に係る触媒の製造
方法を図1〜図3に模式的に示す。なお、図1〜図3に
おいて同一の構成には同一符号を付しており、符号1、
2、3、4、5、6および7は、それぞれ構造基材、触
媒成分、触媒として機能する物質、耐熱性担体、無機化
合物を含有する骨格形成成分、助触媒として機能する物
質および細孔を示している。
【0011】すなわち、本願第1の発明に係る触媒の製
造方法においては、構造基材1に触媒成分2が保持され
る(図1)。次に、構造基材1に保持された触媒成分2
の一部(骨格形成成分5に含まれる無機化合物)が融解
され、融解した触媒成分2の一部(骨格形成成分5に含
まれる無機化合物)を介して構造基材1に触媒成分2が
密着される(図2)。次に、融解した触媒成分の一部
(骨格形成成分5に含まれる無機化合物)が凝固され、
構造基材1と触媒成分2とは、融解した触媒成分の一部
(骨格形成成分5に含まれる無機化合物)により融着さ
れる(図3)。
【0012】本願第1の発明において、構造基材に対す
る触媒成分の保持法としては、触媒成分を構成する各触
媒原料粉を十分に混合した後、水を添加してスラリーと
し、このスラリーの中にハニカム形の構造基材を浸漬し
て、表面に触媒成分からなる触媒層を付着・形成させる
スラリー法を用いることが望ましい。なお、触媒成分
は、所望の均質な組成をもたせることが容易であること
から、触媒成分を構成する物質の金属塩を溶解した後、
共沈させる共沈法により、製造することが好ましい。
【0013】また、触媒層を構成する触媒成分の一部を
融解する方法は、特に限定はされないが、触媒成分に対
し熱処理を施すことにより触媒成分の一部を融解させる
方法を用いることが好ましい。触媒成分に対し熱処理を
施すことにより、触媒成分の一部を融解させる方法を用
いた場合には、スラリーの付着した構造基材を乾燥させ
た後、触媒活性成分を除く一部の触媒成分が融解する温
度に達するまで熱処理を行う。この熱処理は、通常、触
媒成分からなる触媒層の付着した構造基材をそのまま用
いて行う。熱処理の際の雰囲気は、触媒成分の組成によ
って適宜決定されるが、通常は大気中で行う。なお、前
述の乾燥行程においては、乾燥後、熱処理の前に力焼を
行ってもよい。力焼は、構造基材に対する、触媒成分か
らなる触媒層の結着性を高めるために効果的である。た
だし、力焼温度は、触媒活性成分を除く一部の触媒成分
が融解する温度を超えない程度に制御される。
【0014】さらに、融解した触媒成分の一部を凝固さ
せる方法としては、熱処理された構造基材を室温にまで
冷却することにより行う。冷却速度は特に限定されない
が、一般的に、炉による熱処理を行った場合、自然冷却
(炉冷)でよい。
【0015】また、こうして製造された触媒の反応領域
を増加させる意味から、触媒の製造後に触媒層に対し表
面処理を行うことが望ましい。表面処理としては、水素
還元処理、酸によるエッチング処理、レーザー照射処理
等が挙げられる。図4に、こうして表面処理された触媒
の表面を模式的に示す。なお、図4においても、図1〜
図3に示されたものと同一の構成には同一符号を付して
いる。図4から明らかなように、各触媒成分は構造基材
1に強固に融着しており、さらに触媒成分には細孔7が
無数に形成され、触媒の反応領域の増加に寄与してい
る。
【0016】また、触媒成分は、触媒活性成分と、触媒
活性成分を保持する骨格形成成分とから構成されてい
る。
【0017】触媒活性成分は、耐熱性担体に担持して用
いると、より好ましい。耐熱性担体は、使用時に触媒活
性成分が凝集する現象を防止するとともに、自らの内部
に細孔を有することや骨格形成成分が侵入しにくい領域
を作り出すことに貢献しており、形成された触媒層中に
細孔を形成する効果をも有する。触媒活性成分を耐熱性
担体に担持する方法としては、ミリング法、含浸法、共
沈法あるいはスパッタ法等が挙げられる。
【0018】触媒活性成分と耐熱性担体との割合は特に
限定はされないが、一般的には、触媒活性成分を触媒活
性成分と耐熱性担体からなる全体の1〜70質量%、よ
り好ましくは、10〜60質量%程度に選択され、残り
が耐熱性担体となる。また、触媒活性成分および耐熱性
担体の平均粒径は、0.01〜100μm程度が好まし
く、より好ましくは0.1〜10μm程度である。
【0019】さらに、触媒活性成分の一部として、助触
媒としての機能が期待できる物質を加えておいてもよ
い。例えば、ガスタービン用の燃焼触媒を製造する揚合
には、セリアの粉末を加えるとよい。このとき、触媒活
性成分、耐熱性担体および助触媒との割合は特に限定は
されないが、一般的には触媒活性成分を触媒活性成分、
耐熱性担体および助触媒からなる全体の10〜70質量
%、より好ましくは、30〜60質量%程度に選択さ
れ、耐熱性担体を触媒活性成分、耐熱性担体および助触
媒からなる全体の10〜70質量%、より好ましくは3
0〜60質量%程度に選択される。そして、残りが助触
媒となる。また、助触媒の平均粒径は、0.01〜10
0μm程度が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10
μm程度である。
【0020】触媒活性成分としては、例えば、パラジウ
ム、白金、ルテニウムおよびロジウム等の白金属元素を
はじめとし、ニッケル、マンガン、鉄、コバルト、クロ
ム、銅および亜鉛等の遷移金属ならびにこれらの酸化物
等が挙げられる。
【0021】耐熱性担体として用いる材料としては、材
料の融点が下記に述べる無機化合物よりも高ければ、イ
ットリウム、スカンジウム、ランタン、セレン等からな
る希土類元素、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ
土類元素、アルミニウム、ケイ素およびチタン、ジルコ
ニウム等の遷移金属からなる群より選択される少なくと
も1種類の元素を含む酸化物(La2 3 、MgO、A
2 3 、SiO2 、ZrO2 等)のいずれでもよく、
触媒の使用環境によっては、活性炭や窒化物、炭化物の
使用も可能である。また、上記の物質から選択された2
種類以上の混合系でもよい。
【0022】また、骨格形成成分には無機化合物が含ま
れるが、単に触媒活性成分を保持する骨格形成成分とし
ての役割のみでなく、同時に触媒活性を有していてもよ
い。ここで、無機化合物とは、触媒活性成分が暴露され
る最も高い環境温度から触媒活性成分の融点までの範囲
内に融点をもつ無機化合物のことである。無機化合物の
融点の範囲について説明する。
【0023】はじめに、融点の上限である触媒活性成分
の融点以下という条件についてであるが、この条件は、
触媒活性成分の触媒としての活性維持のために不可欠な
条件である。なぜなら、無機化合物の融点が触媒活性成
分より高かった揚合、触媒の製造の際に無機化合物が融
解する温度まで熱を加えなければならないため、触媒活
性成分までもが融解してしまう。その結果、触媒の表面
積の減少を招くので、触媒活性が低下してしまうのであ
る。
【0024】次に、融点の下限である触媒活性成分が暴
露される最も高い環境温度という条件についてである
が、この条件は、触媒の構造維持の観点から明らかな条
件である。例えば、ガスタービン用の燃焼触媒を想定し
た場合、触媒は1000℃付近の温度に暴露されるの
で、触媒は当然1000℃近くまでの耐熱性を要求され
るのである。したがって、この場合、無機化合物の融点
の下限は、約1000℃に設定される。
【0025】さらに、無機化合物の平均粒径については
0.01〜100μmが好ましく、より好ましくは0.
1〜10μmである。また、骨格形成成分には、例え
ば、ポリエステル、ポリスチレン等の有機物もしくは炭
素等の成分をさらに混合しておくことが望ましい。これ
らの成分は、触媒の製造時における熱処理により、触媒
層の内部から、ガス化・放出され、触媒層の内部に細孔
を形成する。このように形成された細孔は触媒活性物質
の表面と連通し、触媒の表面積ひいては反応領域を増大
させ、触媒活性を上昇させる。
【0026】無機化合物に用いる材料としては、イット
リウム、スカンジウム、ランタン、セレン等からなる希
土類元素、マグネシウム、カルシウム等からなるアルカ
リ土類元素、アルミニウム、ケイ素およびチタン、ジル
コニウム等の遷移金属からなる群より選択される少なく
とも1種類の元素を含む酸化物を好適に用いる。例え
ば、化学式ABO3-X (AおよびBはイットリウム、ス
カンジウム、ランタン、セレン等からなる希土類元素、
マグネシウム、カルシウム等からなるアルカリ土類元
素、アルミニウム、ケイ素およびチタン、ジルコニウム
等の遷移金属からなる群より選択される元素)で表現さ
れる酸化物がこれに該当する。また、室温において酸化
物でなくとも、室温以上触媒の製造時の温度以下におい
て酸化物化する金属を用いてもよい。また、触媒活性に
影響を与えなければ、窒化物あるいは炭化物の使用も可
能であり、上記物質の中から選択された2種類以上の物
質からなる混合系でもよい。
【0027】さらに、触媒の製造時に成分の一部がガス
化・放出されるような酸化物も好ましい。このような酸
化物は、成分の一部をガス化・放出する際に、触媒層の
内部に細孔を形成する。このように形成された細孔は触
媒活性物質の表面と連通し、触媒の表面積ひいては反応
領域を増大させ、触媒活性を上昇させる。例えば、無機
化合物として、La0.2 Ba0.8 Fe0.2 Co0.8
3-X を用いた場合には、触媒の製造時に、成分元素の鉄
やコバルトが放出される。この際、元素の放出による経
路が触媒層の内部に細孔を形成し、触媒活性の向上に寄
与する。以上、述べたように、無機化合物としては、触
媒活性成分が暴露される最も高い環境温度から触媒活性
成分の融点までの範囲内に融点をもつ材料系が適宜用い
られる。例えば、触媒活性成分としてパラジウムを用い
た揚合には、パラジウムの融点が約1550℃であるこ
とから、1550℃以下に融点をもつ化学式ABO3-X
(AおよびBはイットリウム、スカンジウム、ランタ
ン、セレン等からなる希土類元素、マグネシウム、カル
シウム等のアルカリ土類元素、アルミニウム、ケイ素お
よびチタン、ジルコニウム等の遷移金属からなる群より
選択される元素)で表現されるLa0.2 Ba0.8 Fe
0.2 Co0.8 3-X や、コーディェライト、BaO−N
iOあるいはBaO−TiO−SiO2 等を用いればよ
い。
【0028】また、無機化合物をさらに微細化したり、
多孔質化したりすると、無機化合物を熱処理により確実
に融解させられるので好ましい。なお、骨格形成成分に
おける無機化合物の割合は、30〜90質量%、好まし
くは、40〜80質量%に選択される。
【0029】ここで、触媒活性成分と無機化合物との組
み合わせを、ガスタービン用の燃焼触媒を想定した場合
を例として表1および表2に示す。
【0030】
【表1】
【表2】 なお、表中、1)は遷移金属(ニッケル、コバルト、マ
ンガン、鉄、クロム、銅、亜鉛)ならびにこれらの酸化
物の中から選択された物質を成分とする助触媒のうち、
融点の最も低い成分のみを記載しており、助触媒は少な
くともこの成分を含むものである(ただし、金属Zn、
金属CuおよびCuOは、融点が著しく低いため除
く)。また、2)は、融点の下限が1000℃以上で上
限が触媒活性成分の融点以下である無機化合物のうち、
融点の最も低い成分のみを記載しており、無機化合物は
少なくともこの成分を含むものである。
【0031】ここで、表により組み合わせの一例を求め
てみると、触媒として機能する物質がPdとPtの場
合、助触媒としてFeO、Ni、Coを選択すると、無
機化合物としては、例えば、3BeO−2CaO、La
0.2 Ce0.8 Fe0.2 Co0.83-X ,BaO−3Ni
Oを選択することが可能である。
【0032】すなわち、融点に関し、触媒として機能す
る物質の融点<、=、あるいは>助触媒として機能する
物質の融点>無機化合物がなりたつように、表中の範囲
内で組み合わせが適宜決定される。
【0033】さらに、構造基材の材質としては、触媒活
性成分を除く一部の触媒成分(無機化合物)が融解する
温度よりも融点が高いものであれば特に限定はされず、
一般的には金属あるいは金属酸化物を用いる。これらの
金属あるいは金属酸化物は、触媒成分の組成により適宜
選択されるが、一例として、触媒活性成分としてパラジ
ウム、触媒成分のうち融解される成分として無機化合物
質であるLa0.2 Ba0.8 Fe0.2 Co0.8 3-X が含
まれた触媒成分を用いた揚合、金属としては、FeCr
Alやフェライト系ステンレス等が挙げられ、金属酸化
物としてはアルミナやジルコニア等の耐熱性セラミック
ス等を挙げることができる。
【0034】触媒成分における触媒活性成分と骨格形成
成分との割合は、触媒活性成分が触媒成分に対し10〜
70質量%、好ましくは、40〜70質量%に選択さ
れ、残りが骨格形成成分となる。
【0035】また、本願第2の発明に係る触媒の製造方
法は、両性金属からなる群より選択される少なくとも1
つの元素を含有する触媒成分を構造基材へ熔射する工程
と、前記構造基材へ熔射した触媒成分から前記両性金属
を除去する工程とを具備したことを特徴としている。
【0036】本願第2の発明に係る触媒の製造方法にお
いては、両性金属からなる群より選択される少なくとも
1つの元素を含有する触媒成分が構造基材へ熔射され、
触媒成分は構造基材に対し強固に付着する。次いで、触
媒成分はアルカリ溶液で処理され、構造基材に付着した
触媒成分の内部から触媒成分に含まれる両性金属からな
る群より選択される少なくとも1つの元素が除去され
て、触媒成分からなる触媒層の内部に細孔が形成され
る。
【0037】本願第2の発明において、用いられる両性
金属として、アルミニウム、亜鉛あるいは錫等が挙げら
れる。両性金属は、熔射・形成後、構造基材に形成され
た触媒層の内部から除去され、触媒層の内部に細孔を形
成する。こうした細孔は、触媒の反応領域を拡大し、触
媒活性の増加をもたらす。
【0038】また、構造基材に対して触媒成分からなる
触媒粉を熔射するに際し、触媒粉の平均粒径を1〜10
0μm程度とすることが好ましい。触媒成分からなる触
媒粉には、触媒成分以外の物質、例えばアルミニウム、
ジルコニウム、チタニウム、マグネシウムあるいはニッ
ケル等の元素あるいはその酸化物が含まれていてもよい
し、改めて粉末として添加・混合して触媒粉としてもよ
い。さらに、両性金属も、改めて粉末として添加・混合
して触媒粉としてよい。また、触媒粉の流動性を向上さ
せ、触媒粉による熔射装置内部の閉塞が起こらないよう
にするために、ステアリン酸で触媒粉の表面をコーティ
ングしてもよい。
【0039】さらに、熔射方法としては、ガス熔射やプ
ラズマ熔射を用いることができる また、熔射により形成された触媒層と構造基材との剥離
を抑制するために、触媒層と構造基材との間にニッケ
ル、コバルト、鉄およびクロムからなる群より選択され
る少なくとも1種類の元素を含むボンド層を形成するこ
とができる。ボンド層の形成方法としては、緻密なボン
ド層が形成できれば、特に限定するものではない。
【0040】さらに、構造基材に形成された触媒層から
両性金属を除去する方法としては、酸等を用いた処理に
より、両性金属を溶出させる方法もありうるが、両性金
属のみを選択的に除去することが可能であることから、
構造基材に形成された触媒層をアルカリ処理することが
望ましい。すなわち、アルカリ処理により、構造基材に
形成された触媒層から両性金属のみを溶出させるもので
ある。
【0041】両性金属が存在していた場所に細孔を形成
するためのアルカリ処理としては、通常、触媒をアルカ
リ溶液に侵漬することにより行われる。アルカリ処理に
用いられるアルカリ溶液としては、アンモニア水、水酸
化カリウム水溶液あるいは水酸化ナトリウム水溶液等が
挙げられ、pHは8〜12程度に調整される。また、ア
ルカリ溶液を用いたアルカリ処理の条件は、温度は室温
から100℃、処理時間は1時間〜100時間程度に設
定される。
【0042】また、構造基材に形成した触媒層に含まれ
る触媒成分の一部あるいは全部を還元することによっ
て、触媒活性を向上させる処理を行うと好ましい。一般
に、熔射法によれば、触媒活性成分として使用する金属
元素が、熔射時の高温のために触媒成分に含まれる他の
元素と触媒活性の低い化合物を生成ずることがある。そ
こで、生成した触媒活性の低い化合物を水素等を用いて
還元することにより、触媒活性成分である金属元素を活
性状態にするのである。例えば、アルミナやニッケル酸
化物を含有する触媒粉を用いて構造基材に熔射した場合
には、ニッケルとアルミナがスピネルを形成し、触媒活
性が発現されない。したがって、このような場合、還元
処理することによってスピネルの表面に金属ニッケルを
形成することが可能である。なお、これらの還元処理条
件は、場合により適宜決定される。さらに、触媒層の活
性をより増大させるためには、触媒層の微細部分におい
ても、所望の組成を構成する必要があるが、熔射するた
めには、触媒粉の平均粒径を数10μ程度とすることが
操作性の観点からは好ましい。したがって、触媒粉の粒
子内部の均質性が悪いと、触媒層の内部でも不均一な部
分が生じて触媒活性が低下する。そこで、触媒粉を用い
た熔射に際しては、触媒原料粉をそれらの金属塩を溶解
した後、共沈させる共沈法により、所望の均質な組成に
した粒子からなる触媒粉を用いることが好ましい。
【0043】さらに、触媒成分は、両性金属からなる群
より選択される少なくとも1つの元素の他に、触媒活性
成分として本願第1の発明の項で説明したように、例え
ば、パラジウム、白金、ルテニウムおよびロジウム等の
白金属元素をはじめとし、ニッケル、マンガン、鉄、コ
バルト、クロム、銅および亜鉛等の遷移金属ならびにこ
れらの酸化物等を含有している。触媒成分における触媒
活性成分と両性金属との割合は、触媒活性成分が触媒成
分に対し1〜99質量%、好ましくは10〜50質量%
に選択され、残りが両性金属となる。なお、触媒活性成
分を耐熱性担体に担持してもよく、助触媒として機能す
る物質をさらに添加してもよい。また、触媒成分とし
て、骨格形成成分を添加することも可能である。これら
の場合、それぞれの構成成分は、本願第1の発明の項に
よる説明と全く同様の成分、混合比で用いることができ
る。
【0044】また、構造基材の材質としては特に限定は
されないが、一般的には、金属あるいは金属酸化物を用
いる。これらの金属あるいは金属酸化物は、触媒成分の
組成や熔射条件等により適宜選択されるが、例えば、金
属として、FeCrAlやフェライト系ステンレス等が
挙げられ、金属酸化物としてはアルミナやジルコニア等
の耐熱性セラミックス等を挙げることができる。
【0045】本願第1および第2の発明において、構造
基材に形成される触媒層の層厚は、通常、10〜200
μm、好ましくは20〜80μmとなるように形成され
る。本願第1および第2の発明において製造された触媒
は、例えば、炭化水素酸化用触媒として使用することが
できる。触媒層に含まれるパラジウム、白金、ニッケル
等はメタンをはじめとする炭化水素あるいは−酸化炭素
等を酸化することができ、希土類元素、アルカリ土類元
素、ジルコウム、アルミニウムあるいはチタニウム等は
主に酸化物として存在して触媒層の細孔形成に寄与する
とともに、触媒活性を向上させる効果がある。特に、本
願第2の発明においては、これらの成分を複合して用い
るとより高い効果を奏する。
【0046】
【発明の実施の形態】
(実施例1〜2および比較例1〜4) 実施例1 平均粒径1μmの8mol%Y2 3 安定化ΖrO
2 (以後、YSΖと記す)を耐熱性担体とし、触媒活性
成分であるPdを無電解メッキによって1:1の重量比
で担持させたPd/YSZ粉40重量部、助触媒として
平均粒径1μmのCeO2 粉末10重量部および平均粒
径2μmの無機化合物であるLa0.2 Ba0. 8 Fe0.2
Co0.8 3-X と平均粒径10μmのポリエステル粉末
との重量比を2:1とした骨格形成成分50重量部とを
よく混合して触媒原料粉末Aを得た。次に、触媒原料粉
末Aに水を加えてスラリー化し、このスラリーを直径3
0mm、長さ170mm、6.45cm2 (1inch2
あたり100個の燃焼ガス流路を区画・形成して構成さ
れるアルミナのハニカムに塗布し、乾燥後、900℃で
10時間、大気中で焼成を行い、さらに1300℃で5
時間、大気中で熱処理を行って触媒Bを得た。
【0047】さらに、この触媒Bに対し600℃、1時
間の水素還元処理を行った後、200℃で1時間の酸素
処理を行って触媒Cを得た。
【0048】比較例1 実施例1で得られた触媒原料粉末Aに水を加えてスラリ
ー化し、このスラリーを直径30mm、長さ170m
m、6.45cm2 (1inch2 )あたり100個の燃焼
ガス流路を区画・形成して構成されるアルミナのハニカ
ムに塗布し、乾燥後、900℃で24時間、大気中で焼
成を行い触媒Dを得た。
【0049】比較例2 実施例1で得られた触媒原料粉末Aを5wt%ポリビニ
ルアルコール溶液を用いて造粒し、平均粒径50μmの
熔射用触媒粉末Eを得た。次に、熔射用触媒粉末Eを熔
射ガンに充填し、被熔射基材にプロパンを用いたガス熔
射を行った。被熔射基材には、Fe、Cr、Αlを主成
分とする厚さ200μmの耐熱性金属板に、予めNi、
Co、Crを主成分とするボンド層を20μm厚に熔射
・形成したものを用いた。
【0050】熔射の結果、被熔射基材へ到達しない熔射
用触媒紛末Eが多く、10μm程度の触媒層しか形成で
きなかったため、さらに数回に分けて熔射を行い、層厚
が80μmの触媒層を形成した。次いで、得られた触媒
層を空気中、800℃で24時間熱処理し、触媒層から
グラファイトを除去して、細孔を形成した触媒Fを得
た。そして、触媒Fを用いて、ピッチとピッチ高がそれ
それ2mmとなるように加工した波板状触媒と平らなま
まの触媒Eとを重ねた上でロールし、外形寸法が直径3
0mm、流れ方向の長さ170mmとなるように切り出
し、多数のガス流路を有するハニカム形状の触媒Gを得
た。
【0051】比較例3 平均粒径1μmのYSZを耐熱性担体として、触媒活性
成分であるPdを無電解メッキによって1:1の重量比
で担持させたPd/YSZ粉40重量部と、助触媒とし
て平均粒径1μmのCeO2 粉末10重量部とを5wt
%のポリビニルアルコール溶液を用いて造粒し、平均粒
径30μmの触媒原料粉末Hを得た。次に、触媒原料粉
末Hの周囲を、触媒原料粉末Hと等重量部の平均粒径5
μmのコーディェライト粉末に水を加えて作成したスラ
リーでコートして触媒原料粉末Iを得た。次いで、触媒
原料粉末I100重量部、平均粒径25μmのポリエス
テル粉末50重量部および平均粒径50μmのYSΖ5
0重量部とを混合した後、5wt%のポリビニルアルコ
ール溶液を用いて造粒し、平均粒径70μmの熔射用触
媒粉末Jを得た。
【0052】次に、熔射用触媒粉末Jを熔射ガンに充填
し、比較例2と同様の被熔射基材に対してプロパンを用
いてガス熔射を行い、層厚が80μmの触媒層を形成し
た。次いで、得られた触媒層を空気中、800℃で24
時間熱処理し、触媒層からグラファイトを除去して細孔
を形成した触媒Kを得た。そして、触媒Hを用いて、ピ
ッチとピッチ高がそれそれ2mmとなるように加工した
波板状触媒と平らなままの触媒Kとを重ねた上でロール
し、外形寸法が直径30mm、流れ方向の長さ170m
mとなるように切り出し、多数のガス流路を有するハニ
カム形状の触媒Lを得た。
【0053】実施例2 平均粒径1μmの8mol%Y2 3 安定化ΖrO2
耐熱性担体とし、触媒活性成分であるPdを無電解メッ
キによって1:1の重量比で担持させたPd/YSZ粉
40重量部、助触媒として平均粒径1μmのCeO2
末10重量部および平均粒径2μmの無機化合物である
La0.2 Ba0.8 Fe0.2 Co0.8 3- X と平均粒径1
0μmのポリエステル粉末との重量比を2:1とした骨
格形成成分50重量部とをよく混合して、触媒原料粉末
Mを得た。
【0054】次に、触媒原料粉末Mに水を加えてスラリ
ー化し、このスラリーを直径30mm、長さ170m
m、6.45cm2 (1inch2 )あたり100個の燃焼
ガス流路を区画・形成して構成される耐熱性金属構造基
材に塗布し、乾燥後、900℃で10時間、大気中で焼
成を行い、さらに1300℃で5時間、大気中で熱処理
を行って触媒Nを得た。
【0055】さらに、この触媒Nに対し600℃、1時
間の水素還元処理を行った後、200℃で1時間の酸素
処理を行って、触媒Oを得た。なお、耐熱性金属構造基
材とは、Fe、Cr、Alを主成分とする厚さ約300
μmの耐熱性金属板を、ピッチとピッチ高がそれぞれ2
mmとなるように加工した波板状金属板と平らなままの
板状金属板とを重ねた上でロールして作成した、外形寸
法、直径30mm、流れ方向の長さ170mmの、多数
のガス流路を有するハニカム形状の耐熱性金属構造基材
のことである。
【0056】比較例4 実施例2で得られた触媒原料粉末Mに水を加えてスラリ
ー化し、このスラリーを実施例2で用いたものと同様の
耐熱性金属構造基材に塗布し、乾燥後、900℃で24
時間、大気中で焼成を行い触媒Pを得た。
【0057】実施例1〜2および比較例1〜4で得られ
た触媒B、C、D、G、L、OおよびPについて、触媒
層を被熔射基材ごと1cm角に切り出し、この試験片数
枚を用いてΒET被表面積を測定したところ、触媒C、
D、OおよびPが約15m2/g−触媒層、触媒Bが約
12m2 /g−触媒層、触媒Lが約10m2 /g−触媒
層、そして、触媒Gが約8m2 /g−触媒層であった。
【0058】また、試験片数枚を用い、室温にて触媒層
のPdを稀薄水素により還元の後、MSΑ(金属表面
積)を測定したところ、触媒Bは約1.7m2 /g−触
媒層、触媒C、D、OおよびPは約2m2 /g−触媒
層、触媒Lは約1.5m2 /g−触媒層であったが、触
媒Gは約0.2m2 /g−触媒層であった。
【0059】次に、実施例1〜2および比較例1〜4で
得られた触媒B、C、D、G、L、OおよびPをそれぞ
れ反応管に充填し、ガスタービン燃焼器の模擬試験(燃
焼試験)を行った。反応管へは、空気を2N−m3 /m
in、メタンを60N−L/minづつ供給した。ま
た、反応管内の圧力は0.7MPaとし、供給空気の温
度を変えて反応管出口における燃焼効率を測定した。
【0060】その結果、燃焼効率90%を達成するのに
必要な温度は、触媒CおよびOの場合には約400℃で
あり、触媒活性は試験中、常に安定していた。一方、触
媒DおよびPにおいては、初めの数分間こそ、燃焼効率
90%を達成するのに必要な温度は約400℃であった
が、その後、急速に触媒活性を失った。また、触媒Bに
おいては、初めのの数分間は触媒活性が安定しなかった
が、燃焼試験を続行してゆく過程で徐々に触媒活性が安
定し、燃焼効率90%を達成するのに必要な温度は約4
50℃で一定となった。さらに、触媒Gにおいては、温
度が500℃を超えても燃焼が起こらなかった。また、
触媒Lにおいては、燃焼効率90%を達成するのに必要
な温度として約500℃を必要としたものの、触媒活性
は燃焼試験中、安定していた。
【0061】また、実施例1〜2および比較例1〜4で
得られた触媒B、C、D、G、L、OおよびPについ
て、触媒層中の元素分祈を行ったところ、触媒B、C、
D、OおよびPの触媒層中のPd含有量は約20wt%
であり、触媒原料粉末中のPd含有量に相当するPdが
含まれていた。
【0062】一方、触媒Lの触媒層中のPd含有量は約
14wt%であり、触媒GのPd含有量は約3wt%で
あった。触媒LおよびGにおいて、熔射ガンに充填した
触媒原料粉末中のPd含有量は20wt%であった。し
たがって、燃焼試験前における減少分は、熔射時に熔射
基材に到達しなかったPdであると考えられる。
【0063】また、燃焼試験後の触媒についても同様の
元素分析を行ったところ、触媒B、CおよびOの触媒層
中のPd含有量は約20wt%であり、触媒原料粉末中
のPd含有量に相当するPdが含まれていた。同じく、
触媒LおよびGについても、触媒層中のPd含有量は約
14wt%および約3wt%であり、燃焼試験前と比べ
て変化はなかった。
【0064】なお、これらの触媒については、電子顕微
鏡による観察から、燃焼試験後において、触媒層の磨耗
および剥離が生じていないことが確認された。
【0065】一方、燃焼試験前に触媒層中のPd含有量
が約20wt%であった触媒DおよびPは、燃焼試験後
に触媒層中のPd含有量が約3wt%に減少していた。
そして、燃焼試験後の触媒層の電子顕微鏡による観察か
ら、このPd含有量の減少は燃焼試験中の触媒層の磨耗
および剥離によることが確認できた。
【0066】(実施例3〜5および比較例5〜6) 実施例3 平均粒径1μmの8mol%Y2 3 安定化ΖrO
2 (以後YSΖと記す)を耐熱性担体とし、触媒活性成
分であるPdを無電解メッキによって1:1の重量比で
担持させたPd/YSZ粉100重量部と、平均粒径1
μmのAl粉末100重量部とを混合した後、5wt%
ポリビニルアルコール溶液を用いて造粒し、平均粒径7
0μの熔射用触媒粉末Qを得た。次に、熔射用触媒粉末
Qを熔射ガンに充填し、比較例2で用いた被熔射基材に
プロパンを用いてガス溶射して、層厚が100μmの触
媒層を形成した。
【0067】次いで、得られた触媒層を水酸化カリウム
水溶液(pH10)中に侵漬し、80℃、30時間の処
理を行って触媒層よりAl成分を溶出させ、多孔質な触
媒層を有する触媒Rを得た。
【0068】実施例4 実施例3において、添加するAl粉末の量を50重量部
にした以外は、全て実施例3と同様にして触媒Sを製造
した。
【0069】実施例5 実施例3で用いたPd/YSZ粉およびAl粉末を別々
に造粒し、平均粒径70μmの熔射用触媒粉末Tおよび
Al粉末を得た。次に、熔射用触媒粉末TおよびAl粉
末を、実施例3と同様に被熔射基材にガス溶射し、触媒
Uを得た。
【0070】比較例5 実施例3において、アルカリ処理を行わない以外は、全
て実施例3と同様にして触媒Vを製造した。
【0071】比較例6 熔射用触媒粉末Qのかわりに実施例3のPd/YSZ粉
のみを用いた以外は、実施例3と全く同様にして触媒W
を得た。
【0072】実施例3〜5および比較例5〜6で得られ
た触媒R、S、U、VおよびWについて、触媒層を被熔
射基材ごと1cm角に切り出し、この試験片数枚を用い
てΒET被表面積を測定したところ、それぞれ、約15
2 /g−触媒層、約9m2/g−触媒層、約12m2
/g−触媒層、約4m2 /g−触媒層および約5m2
g−触媒層であった。
【0073】次に、それぞれの触媒を10mm×10m
mの寸法に切断し、各サンプルを10個ずつ別々の電気
炉中に設置した石英反応管に充填して、メタンを500
0ppm含有する空気を100cc/minで流通させ
た。また、反応管内の圧力を0.7MPaとし、供給空
気の温度を変え、反応管出口においてメタンの酸化反応
を確認した。
【0074】その結果、触媒R、SおよびUにおいて
は、それぞれ、250℃、300℃、330℃からメタ
ンの酸化反応が確認された。しかしながら、触媒Vおよ
びWにおいては、800℃になるまでメタンの酸化反応
が確認されなかった。
【0075】また、触媒R、S、U、VおよびWにおい
ては、電子顕微鏡による観察から、燃焼試験後において
触媒層の磨耗および剥離が生じていないことが確認され
た。以上の結果から、従来からの触媒の製造方法によっ
て製造された触媒DおよびPと比較して、本願第1の発
明により製造された触媒CおよびOは、耐剥離性および
耐磨耗性に優れ、高い触媒活性を有する触媒であること
がわかる。また、触媒Bについても、触媒CおよびOと
同様に耐剥離性および耐磨耗性に優れた触媒であること
がわかるが、触媒層の形成後、表面処理を行っていない
ことから、燃焼試験においてみられたように触媒活性は
触媒Cと比較して低いものとなった。また、触媒Lおよ
びGは、耐剥離性および耐磨耗性について優れていた
が、熔射法によって製造されたことから、燃焼試験にお
ける触媒活性については、触媒C、OおよびBに劣るも
のであった。
【0076】さらに、触媒R、SおよびUにおいては、
触媒層中に含まれた両性金属であるアルミニウムを溶出
させなかった触媒V、従来の熔射により製造された触媒
Wと比較して、触媒活性が高く、しかも、耐剥離性およ
び耐磨耗性に優れた触媒であることがわかる。
【0077】
【発明の効果】以上、詳述したように、本願による第1
の発明によれば、構造基材に保持された触媒成分の一部
を融解した後、融解した触媒成分の一部を凝固させるの
で、触媒活性成分は構造基材に対して強固に結着され
る。また、このとき、触媒活性成分は融解されないの
で、触媒活性成分の形態は、触媒の製造後においても触
媒原料粉末中のまま維持される。したがって、高い触媒
活性を有するとともに、耐剥離性および耐摩耗性に優れ
た触媒の製造方法を提供することができる。
【0078】また、本願による第2の発明によれば、両
性金属が含有された触媒成分を構造基材へ熔射した後、
両性金属を除去するので、耐剥離性および耐摩耗性に優
れるとともに、高い触媒活性を有する触媒の製造方法を
提供することができる。
【0079】すなわち、本願による第1および第2の発
明の触媒の製造方法によれば、ガスタービン等の燃焼触
媒に要求される高温域(〜800℃程度)においても、
耐剥離性および耐摩耗性に優れ、高い触媒活性を長期に
わたり維持可能な触媒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1の発明に係る触媒の製造方法を模式的
に示した図。
【図2】本願第1の発明に係る触媒の製造方法を模式的
に示した図。
【図3】本願第1の発明に係る触媒の製造方法を模式的
に示した図。
【図4】表面処理された触媒の表面を模式的に示した
図。
【符号の説明】
1……構造基材 2……触媒成分 3……触媒として機
能する物質 4……耐熱性担体 5……無機化合物を含有する骨格形
成成分 6……助触媒として機能する物質 7……細孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 37/18 B01J 37/34 37/34 C23C 4/06 C23C 4/06 B01J 23/56 301M 301A (72)発明者 大橋 俊之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造基材に触媒成分を保持させる工程
    と、 前記構造基材に保持された触媒成分の一部を融解させる
    工程と、 前記融解した触媒成分の一部を凝固させる工程とを具備
    したことを特徴とする触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 両性金属からなる群より選択される少な
    くとも1つの元素を含有する触媒成分を構造基材へ熔射
    する工程と、 前記構造基材へ熔射した触媒成分から前記両性金属を除
    去する工程とを具備したことを特徴とする触媒の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記触媒成分は、共沈法により製造され
    てなることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の触
    媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒成分は、触媒活性成分と前記触
    媒活性成分を保持する骨格形成成分とを有しており、 前記骨格形成成分の少なくとも一部は、前記触媒活性成
    分が暴露される最も高い環境温度から前記触媒活性成分
    の融点までの範囲内に融点をもつ無機化合物であること
    を特徴とする請求項1乃至3に記載の触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記触媒活性成分は、パラジウム、白
    金、ニッケル、希土類元素、アルカリ土類元素、ジルコ
    ニウム、アルミニウムおよびチタニウムからなる群より
    選択される少なくとも1つの元素を含有することを特徴
    とする請求項4に記載の触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記無機化合物は、希土類元素、アルカ
    リ土類元素、遷移金属、ケイ素およびアルミニウムから
    なる群より選択される少なくとも1つの元素を含有する
    ことを特徴とする請求項4に記載の触媒の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記触媒活性成分は、パラジウム、白
    金、ニッケル、希土類元素、アルカリ土類元素、ジルコ
    ニウム、アルミニウムおよびチタニウムからなる群より
    選択される少なくとも1つの元素を含有し、前記無機化
    合物は希土類元素、アルカリ土類元素、遷移金属、ケイ
    素およびアルミニウムからなる群より選択される少なく
    とも1つの元素を含有することを特徴とする請求項4に
    記載の触媒の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011132560A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Toyota Motor Corp 多孔質構造体の製造方法および多孔質構造体

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