JPH09243697A - 直流地絡検出装置 - Google Patents

直流地絡検出装置

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JPH09243697A
JPH09243697A JP8073145A JP7314596A JPH09243697A JP H09243697 A JPH09243697 A JP H09243697A JP 8073145 A JP8073145 A JP 8073145A JP 7314596 A JP7314596 A JP 7314596A JP H09243697 A JPH09243697 A JP H09243697A
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winding
voltage
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JP8073145A
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Inventor
Kouichi Jinkai
光一 神開
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Takaoka Toko Co Ltd
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Takaoka Electric Mfg Co Ltd
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の角形ヒステリシス特性をもつ環状鉄心
を応用した直流地絡検出装置は、微小地絡電流に対する
感度が低く、小型化が難しいという問題がある。 【解決手段】 環状鉄心12に、第1、第2の巻線1
3, 14を施すとともに、直流電路17を錯交させ、第
1の巻線13に交流励磁電流を印加する励磁回路部18
と、第1の巻線13の誘導起電力を直流地絡信号に変換
する地絡判定回路部22と、第2の巻線14に正負交互
に減衰する矩形波電流を印加する消磁回路部27と、第
1、第2の巻線13, 14の接続を切替える切替え回路
部41からなる。直流電路17の直流地絡に起因して環
状鉄心12が直流励磁され、第1の巻線13の誘導起電
力の半波幅を変化させる。地絡判定回路部22はこの半
波幅を直流地絡信号に変換する。環状鉄心に残留磁気が
ある場合、第1の巻線13から第2の巻線14へ接続を
切替え、消磁回路部27を動作させて消磁を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流回路の地絡検
出を行なう直流地絡検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】直流地絡検出装置の一つに、角形ヒステ
リシス特性を持つ環状鉄心を応用したものがある。角形
ヒステリシス特性とは、鉄心のヒステリシス曲線がわず
かな起磁力によって飽和する特性をいう。その角形ヒス
テリシス特性を応用した従来の直流地絡検出装置の基本
的な結線を図13に示す。図13において、1は環状鉄
心に巻線をn回巻いた第1の検出部で、2は第1の検出
部1と同じ構造をもつ第2の検出部である。第1の検出
部1と第2の検出部2は、直列に逆接続されている。3
は交流電源、4はダイオードフルブリッジ、5は検出抵
抗である。そして、第1および第2の検出部1, 2の貫
通穴には、直流電源6と負荷7を結ぶ直流電路8が貫通
する。
【0003】いま、直流電路8のG点に地絡が発生し
て、地絡電流Ig が流れると、直流電路8の陽極側と陰
極側に電流差Id が生じる。この電流差Id は、地絡電
流Igと同じ大きさである。そして、電流差Id は、第
1の検出部1の環状鉄心と第2の検出部2の環状鉄心を
直流励磁する。電流差Id が生じているとき、第1の検
出部1の環状鉄心の磁束−電流起磁力特性は、図14に
示す曲線となる。第2の検出部2の環状鉄心の磁束−電
流起磁力特性も同様の曲線となるが、図示を省略する。
図14上には、交流電源3の電圧Vf 、第1の検出部1
の環状鉄心の磁束φ1 、第2の検出部2の環状鉄心の磁
束φ2 および交流電源3から流れ出す電流If による電
流起磁力nIf の波形を併せて示した。交流電源3の電
圧Vf に平衡する正弦波電圧を誘導するためには、第1
の検出部1の環状鉄心の磁束φ1 および第2の検出部2
の環状鉄心の磁束φ2 は、交互に半波整流波形状の変化
をしなければならない。角形ヒステリシス特性の環状鉄
心では、磁束が変化しうるのは電流起磁力が零の場合だ
けであるから、電流起磁力は長方形波状に変化し、した
がって交流電源3から長方形波状の電流If が流れ出
す。
【0004】電流差Id と交流電源3から流れ出す電流
If は、電流起磁力が等しくなる必要があり、Id =n
If の関係となる。電流If は半周期毎に極性を入れ替
えるので、これをダイオードフルブリッジ4で整流し、
検出抵抗5で電圧Vo に変換する。よって、電圧Vo を
測定すれば、電流If 、電流差Id が順に分かり、地絡
電流Ig を知ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の直
流地絡検出装置においては、第1および第2の検出部
1,2に合計2個の環状鉄心を使用しなければならな
い。また、鉄心の角形ヒステリシス特性が完全でないた
め、微小直流電流を検出するには、直流電路8を環状鉄
心に複数回巻いて電流起磁力を大きくしなければならな
い。このため、装置の小型化に問題がある。本発明は上
記のような事情に鑑みてなされたものであって、直流電
路の巻数を増やさなくても微小な直流地絡電流の検出が
可能で、しかも環状鉄心が1個でよいことから、高感度
でかつ小型化に適した直流地絡検出装置を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を達
成するために、一つの環状鉄心に、第1の巻線および第
2の巻線を施すとともに、負荷に電力を供給する往復の
直流電路を錯交させた磁気回路部を設ける。そして、正
弦波発振器、第1の抵抗および第1のコンデンサを直列
接続した励磁回路部を設ける。そして、前記第1の巻線
の誘導起電力を入力とし、正負判別回路、平滑化回路、
レベル検知回路および出力回路を経て、地絡信号を出力
する地絡判定回路部を設ける。
【0007】また、矩形波電圧を発生する矩形波発振器
と、基準電源、スイッチ、第2の抵抗および第2のコン
デンサを直列接続したコンデンサ充電回路と、前記第2
のコンデンサの充電電圧の極性を反転する反転増幅器
と、前記矩形波発振器の出力と前記第2のコンデンサの
充電電圧との差分を増幅検出する第1の差動増幅器と、
前記矩形波発振器の出力と前記反転増幅器の出力との差
分を増幅検出する第2の差動増幅器と、前記第1の差動
増幅器の出力から負側電圧を取り出す第1のダイオード
と、前記第2の差動増幅器の出力から正側電圧を取り出
す第2のダイオードと、これら2つのダイオードの出力
を合成した電圧を増幅する増幅回路と、この増幅回路の
出力電圧を電流に変換する第3の抵抗とからなる消磁回
路部を設ける。
【0008】さらに、前記第1の巻線と前記励磁回路部
との接続を入り切りする第1および第2のリレーと、前
記第2の巻線と前記消磁回路部との接続を入り切りする
第3および第4のリレーと、これら第1ないし第4のリ
レーを制御する制御器とからなる切替え回路部を設け
る。
【0009】本発明はこのように構成され、次のように
作用する。直流地絡検出動作中においては、励磁回路部
側の第1および第2のリレーを閉じ、正弦波発振器、第
1の抵抗および第1のコンデンサからなる励磁回路部か
ら第1の巻線に励磁電流を印加している。この際、切替
え回路部の制御器によって消磁回路部側の第3および第
4のリレーは開いておく。ここで、環状鉄心に鎖交した
直流電路に地絡が発生すると、直流電路の正側と負側と
の間に電流差が生じ、環状鉄心に直流の電流起磁力が加
わる。第1の巻線の誘導起電力波形は、この直流の電流
起磁力の作用によって、正の半波幅と負の半波幅に電気
角の差を生じる。この第1の巻線の誘導起電力の正負の
半波幅の差を、正負判別回路、平滑化回路、レベル検知
回路、出力回路からなる一連の地絡判定回路部によって
変換処理し、直流地絡信号を出力する。
【0010】ところが、前記地絡時の電流差が大きい
と、環状鉄心は直流の電流起磁力によって磁化され、地
絡が回復しても残留磁気が残ってしまう。このようなと
き、切替え回路部の制御器にて、励磁回路部側の第1、
第2のリレーを開き、消磁回路部側の第3、第4のリレ
ーを閉じることにより、消磁回路部に接続を切替える。
消磁回路部は、矩形波電圧とコンデンサ充電電圧を、反
転増幅器、差動増幅器、ダイオートで組み合わせた回路
によって、しだいに減衰する矩形波電圧に変換し、増幅
回路から第3の抵抗を介して第2の巻線に対し、しだい
に減衰する矩形波電流を流し込む。これにより、環状鉄
心の残留磁気が取り除かれる。
【0011】こうして消磁が終了した後、切替え回路部
の制御器が第3のリレーと第4のリレーを開き、第1の
リレーと第2のリレーを閉じて、再び直流地絡検出動作
に戻す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12に基づき本発
明の実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例とし
ての直流地絡検出装置の主要構成を示している。図1に
おいて、11は磁気回路部を指し、環状鉄心12に第1
の巻線13と第2の巻線14を施してあり、その貫通穴
には直流電源15につながる主線P、N上の点p1、p2か
ら分岐して、負荷16とを結ぶ直流電路17が貫通す
る。18は励磁回路部を指し、第1の巻線13を励磁す
るための回路であり、正弦波発振器19、第1の抵抗2
0および第1のコンデンサ21を直列接続している。2
2は地絡判定回路部で、正負判別回路23、平滑化回路
24、レベル検知回路25および出力回路26を順次接
続した演算回路である。この地絡判定回路部22には、
励磁回路部18のp3、p4点が入力としてつながる。
【0013】27は消磁回路部を指し、次の構成であ
る。矩形波発振器28の出力を第1の差動増幅器29の
負入力側端子p5および第2の差動増幅器30の負入力側
端子p7に接続する。31はコンデンサ充電回路であり、
基準電源32、スイッチ33、第2の抵抗34、第2の
コンデンサ35を直列接続してコンデンサ充電電圧が得
られるようにしている。コンデンサ充電回路31のp9点
から導線を引き出し、一つは第1の差動増幅器29の正
入力側端子p6へ、もう一つは反転増幅器36を介して第
2の差動増幅器30の正入力側端子p8へと接続する。第
1の差動増幅器29の出力側には第1のダイオード37
のカソードをつなぎ、第2の差動増幅器30の出力側に
は第2のダイオード38のアノードをつなぐ。そして、
第1のダイオード37のアノードと第2のダイオード3
8のカソードを共に増幅回路39の入力側へ接続する。
増幅回路39の出力側は、第3の抵抗40を介し、第2
の巻線14へ電流が流れるように接続する。
【0014】41は切替え回路部を指す。磁気回路部1
1と励磁回路部18との間に、第1のリレー42と第2
のリレー43を設ける。また、磁気回路部11と消磁回
路部27との間に、第3のリレー44と第4のリレー4
5を設ける。第1ないし第4のリレー42〜45は、制
御器46で開閉を制御する。
【0015】次に、動作を説明する。図2は、励磁回路
部18の動作を説明するためのもので、図1の実施例か
ら磁気回路部11と励磁回路部18を抜粋してある。こ
こで、第1のリレー42と第2のリレー43は閉じ、第
3のリレー44と第4のリレー45は開いているものと
する。また、第1の巻線13の励磁電流をIs 、環状鉄
心12に発生する磁束をφs とする。
【0016】巻線のインダクタンスLは、L=n・dφ
/dIの関係式で表される。ここで、nは巻線数、φは
鉄心の磁束、Iは巻線を通る電流である。この関係式よ
り、巻線のインダクタンスLは、磁束φと電流Iの関係
を示す曲線の傾きに比例する。図3は、磁気回路部11
の磁束−電流起磁力特性を示す曲線(以下、φ−I曲線
と記す)の概念図である。第1の巻線13を流れる励磁
電流Is は正弦波状であり、励磁電流の最大値に第1の
巻線の巻数を掛け合わせた電流起磁力がφ−I曲線の最
大動作点を与える。直流地絡が発生していない場合、図
3の点47, 48が最大動作点であり、この二つの点4
7, 48は原点対称の位置にある。点47の接線を47
a、点48の接線を48aとすると、両接線47a, 4
8aの傾きは等しい。よって、傾きの等しい47、48
点では、そのインダクタンスも等しい。
【0017】変わって、直流電路17のG点で直流地絡
が発生し、地絡電流Ig が流れている状態を考える。地
絡電流Ig が流れると、G点より直流電源15側の直流
電路17の正側と負側との間に電流差Id が生じる。電
流差Id は、地絡電流Ig と同じ大きさである。この電
流差Id が環状鉄心12を励磁し、φ−I曲線を直流重
畳させる。このため、図2の最大動作点は点49および
点50へ移動する。点49の接線49aは、直流地絡が
無いときの点47の接線47aに比べ、その傾きが小さ
くなる。一方、点50の接線50aは、直流地絡が無い
ときの点48の接線48aに比べ、その傾きが大きくな
る。二つの接線49a, 50aの傾きが変わるので、最
大動作点49、50におけるインダクタンスはそれぞれ
直流地絡が無いときと異なった値となる。
【0018】図4は、励磁回路部18から第1の巻線1
3に至る閉回路を、簡略化して等価回路に示したもので
ある。図4では、第1のリレー42および第2のリレー
43を省略してある。また、第1の巻線13をリアクト
ルで、正弦波発振器19を交流電源で等価回路化してい
る。Es , Vr , Vc , Vi は、それぞれ正弦波発振器
19の出力電圧、第1の抵抗20の端子電圧、第1のコ
ンデンサ21の端子電圧、第1の巻線13の誘導起電力
であり、矢印の向きを正とする。図5は、図4の等価回
路をベクトル図に描いたものである。es , vr , vc,
vi は、それぞれ正弦波発振器19の出力電圧ベクト
ル、第1の抵抗20の端子電圧ベクトル、第1のコンデ
ンサ21の端子電圧ベクトル、第1の巻線13の誘導起
電力ベクトルを表す。また、θは、正弦波発振器19の
出力電圧ベクトルes と第1の巻線13の誘導起電力ベ
クトルvi との位相差を表す。
【0019】正弦波発振器19の出力電圧ベクトルes
を基準にして第1の巻線13の誘導起電力ベクトルvi
を式に表すと、数1となる。そして、位相差θは数2の
式となる。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】数1、数2は、第1の抵抗20のインピー
ダンスをR、第1のコンデンサ21の容量をC、第1の
巻線13のインダクタンスをLとし、正弦波発振器24
の発振周波数をfとしたときの式である。直流地絡が生
じている場合、φ−I曲線の最大動作点49, 50での
インダクタンスは互いに異る値となったから、49, 5
0点での位相差θは数2で与えられるそれぞれ異なった
値となる。
【0023】図6は、磁気回路部11のφ−I曲線と、
環状鉄心12の磁束波形51および第1の巻線13の誘
導起電力波形52を同時に示した図である。図6では、
直流地絡による直流電流起磁力が励磁回路部18からの
励磁電流に重畳して、最大動作点が原点に対して非対称
となった状態を表している。磁束φs と第1の巻線13
の誘導起電力Vi の関係は、第1の巻線13の巻数をn
a とすれば、Vi =na ・dφs /dtである。これよ
り、磁束φs がピーク値φp 、φq となるときは誘導起
電力Vi はゼロとなる。そして、φ−I曲線の正側の最
大動作点49は、第1の巻線13の誘導起電力Vi が正
から負に変わるときにゼロとなる点ta に対応する。反
対に、負側の最大動作点50は、誘導起電力Vi が負か
ら正に変わるときのゼロの点tb に対応する。
【0024】次に、誘導起電力Vi 波形がta 、tb 点
にあるときの正弦波発振器19の出力電圧Es との位相
の関係を考える。図7に、正弦波発振器19の出力電圧
Esと第1の巻線13の誘導起電力Vi の波形を示す。
図7には、極座標による表示を同時に示している。53
で示した波形が正弦波発振器19の出力電圧Es であ
り、極座標上の円55がこれに対応する。誘導起電力V
i は、波形54で示した。誘導起電力Vi は歪みを持つ
ので、極座標上では完全な円とはならない。そのため、
極座標上の誘導起電力Vi は56で示す点線で表示し
た。いま、誘導起電力Vi の波形54がta 点にあると
き、正弦波発振器19の出力電圧Es は極座標上の円5
5のTa で示す点にある。ゆえに、誘導起電力Viの波
形54がta 点にあるときの位相差は、θp で示す電気
角となる。同様に、誘導起電力Vi の波形54がtb 点
にあるとき、正弦波発振器19の出力電圧Es は円55
のTb 点にあるので、その位相差はθq で示す電気角と
なる。
【0025】したがって、誘導起電力Vi 波形がtb →
ta となる正の半波幅は、λp で示す電気角であり、t
a →tb となる負の半波幅は、λq で示す電気角とな
る。図7の極座標を参照し、誘導起電力Vi の正の半波
幅λp および負の半波幅λq を、位相差θp , θq を使
って表すと、λp =π−(θp −θq )、λq =π+
(θp −θq )となる。そして、正負の半波幅λp 、λ
q の差dλを求めると、dλ=λp −λq =−2(θp
−θq )となる。本発明の実施例は、この正負の半波幅
の差dλを電圧信号に変換して直流地絡の有無を判断す
るものであり、地絡判定回路部22でこの変換処理を行
なう。
【0026】次に、地絡判定回路部22を説明する。図
8は、図1の実施例から地絡判定回路部22を抜粋した
ものである。図8において、Vi は第1の巻線13の誘
導起電力、Vo は地絡判定回路部22の出力信号であ
り、e1 , e2 , e3 は、それぞれ正負判別回路23、
平滑化回路24、レベル検知回路25の出力電圧であ
る。このうち、第1の巻線13の誘導起電力Vi 、正負
判別回路23の出力電圧e1 および平滑化回路24の出
力電圧e2 の波形を図9に示した。正負判別回路23
は、主としてコンパレータで構成され、入力電圧となる
誘導起電力Vi が正であるときに負の一定電圧、入力電
圧となる誘導起電力Vi が負であるときに正の一定電圧
を出力する働きをする。よって、正負判別回路23の出
力電圧e1 の波形は、先の図7で説明した正負の半波幅
λp 、λq を持ち正負の大きさがEk で等しい矩形波で
ある。
【0027】平滑化回路24は、主としてフィルタ回路
で構成され、正負判別回路23の出力電圧e1 の波形を
平滑化するものである。平滑化回路24の出力電圧e2
は、正負判別回路23の出力電圧e1 波形の正側の面積
と負側の面積との差を示す直流波形となり、その大きさ
はe2 =Ka ・(λp −λq )・Ek の式で表すことが
できる。ここで、Ka は、平滑化回路24の回路定数に
よって決まる係数である。そして、レベル検知回路25
では、入力e2 があらかじめ定めた基準電圧−Ez から
+Ez の範囲にあるか否かを判断し、基準電圧範囲内で
あればゼロを出力し、基準電圧範囲を越えた場合は一定
直流電圧Er を出力する。ゆえに、レベル検知回路25
の出力電圧e3 は、ゼロかEr のいづれかの状態をとる
二値信号である。最終段にある出力回路26は、レベル
検知回路25の出力電圧e3 を、本発明の直流地絡検出
装置の外部にある図示しない表示回路または継電器を駆
動するのに必要な電圧、電流をもつ出力信号Vo に変換
するものである。以上が直流地絡検出を行なう際の各部
の作用である。
【0028】次に、異常時の動作である消磁回路部27
の動作を説明する。実施例の直流地絡検出装置は、微小
直流地絡電流の検出が可能であるが、直流地絡電流Ig
が大きい場合に本装置の性能上の問題が生じる。大きな
直流地絡電流Ig によって生じた直流電路17の正側と
負側との電流差Id が環状鉄心12を磁化し、地絡が回
復しても残留磁気が残ってしまうために、直流地絡検出
に誤差を生じるという問題である。
【0029】図10は、残留磁気が生じているときの環
状鉄心12のφ−I曲線を示す概念図である。実線57
が、残留磁気が生じているときのφ−I曲線で、φg が
残留磁束の大きさを表す。比較のため、残留磁気が無い
ときのφ−I曲線を点線58で示した。ここで、図10
は、直流地絡が回復し、直流電路17の正側と負側に電
流差Id が全く無い状態か、または、直流電路17の通
電が止まっている状態でのφ−I曲線を仮定しており、
横軸の電流起磁力は励磁回路部18からの励磁電流Is
によるもののみとする。残留磁気がある場合の実線57
のように、磁束φs の絶対値が大きくなると、環状鉄心
12の飽和特性によって磁束の発生が制限され、φ−I
曲線の傾きが小さくなる。このため、一方の最大動作点
59における接線59aの傾きは、反対側の最大動作点
60における接線60aの傾きに比べ小さくなる。点5
9と点60の接線59a, 60aの傾きが異なってしま
うので、二つの最大動作点におけるインダクタンスが異
なり、第1の巻線13の誘導起電力Vi の半波幅が変化
する。
【0030】そして、地絡判定回路部22が、正負の半
波幅が異なる誘導起電力Vi を変換処理し、実際には地
絡電流が無いにも拘わらず、出力信号Vo に地絡信号が
出てしまうという可能性がある。地絡信号が出るかどう
かは残留磁気の大きさによるが、残留磁気が検出精度に
誤差を生じさせるので、残留磁気を持ったまま直流地絡
検出動作をさせるのは問題である。消磁回路部27は、
このように磁化してしまった環状鉄心12を元の残留磁
気の無い状態に戻すことを目的としたものである。一般
に、消磁を行なう場合、巻線に対し減衰するAC電流を
流す方式がとられるが、本実施例では減衰するAC電流
に代わって減衰する矩形波電流を巻線に印加する方式と
している。
【0031】本実施例で消磁を行なう場合、磁気回路部
11から励磁回路部18を切り離し、消磁回路部27を
接続するため、第1のリレー42と第2のリレー43を
開き、第3のリレー44と第4のリレー45を閉じる。
また、環状鉄心12に貫通する直流電路17の通電を止
め、直流電路17から直流の電流起磁力が環状鉄心12
に印加しないようにしておく。
【0032】図11は、本発明の実施例を示す図1から
消磁回路部27を抜粋したものである。ここで、第1の
差動増幅器29、第2の差動増幅器30および反転増幅
器36は、増幅率を1とする。図12は消磁回路部27
の各部の電圧波形である。矩形波発振器28の出力電圧
Eu は、(A)のように正負で大きさおよびパルス幅が
等しい矩形波である。そして、基準電源32、スイッチ
33、第2の抵抗34、第2のコンデンサ35を直列接
続したコンデンサ充電回路31において、スイッチ33
が閉じると、第2のコンデンサ35の電位出力端子p9に
は、(B)に示すコンデンサ充電電圧Ev が現れる。
【0033】第1の差動増幅器29の入力には、負入力
側端子p5に矩形波電圧Eu が、正入力側端子p6にコンデ
ンサ充電電圧Ev が入力されるので、その出力Ecaは、
Eca=−(Eu −Ev )である。Ecaは、(D)の波形
となる。反転増幅器36は、(C)のようにコンデンサ
充電電圧Ev の符号を反転した−Ev を出力し、その出
力は第2の差動増幅器30の正入力側端子p8に入力され
る。第2の差動増幅器30の負入力側端子p7には、矩形
波電圧Eu が入力されるので、その出力Ecbは、Ecb=
−(Eu +Ev )である。Ecbは、(E)の波形とな
る。
【0034】第1のダイオード37は負側電圧Ecaを、
第2のダイオード38は正側電圧Ecbを後段に通すの
で、それを加え合わせた電圧Eccは(F)のように正負
交互にしだいに減衰する矩形波となる。この正負交互に
しだいに減衰する矩形波を増幅回路39で増幅し、その
出力電圧Vccを第3の抵抗40を通して、第2の巻線1
4に与える。このとき第2の巻線14を流れる電流Icc
は、第3の抵抗40の抵抗値をRccとすれば、Icc=V
cc/Rccである。この正負交互にしだいに減衰する電流
起磁力により環状鉄心12は消磁される。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の直流地絡検
出装置は、巻線の誘導起電力の位相の変化を直流地絡信
号に変換するので、微少な直流電流を検出できること、
環状鉄心が1個であるため小型化に向いているなどの利
点がある。また、地絡事故時などで生じた鉄心の残留磁
気を除去する消磁回路を持つので、実用上有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の直流地絡検出装置の主要構成
を示す図である。
【図2】励磁回路部18の動作を説明するため、図1の
実施例から磁気回路部11および励磁回路部18を抜粋
した図である。
【図3】磁気回路部11の磁束−電流起磁力特性を示す
曲線の概念図である。
【図4】励磁回路部18から第1の巻線13に至る閉回
路を簡略化して等価回路に示した図である。
【図5】図4の等価回路をもとにしてベクトル図を描い
たものである。
【図6】磁気回路部11の磁束−電流起磁力特性曲線
と、環状鉄心12の磁束φs 波形、第1の巻線13の誘
導起電力Vi 波形を同時に示した図である。
【図7】第1の巻線13の誘導起電力Vi 波形の正負半
波幅を求めるため、正弦波発振器19の出力電圧Es 波
形と第1の巻線13の誘導起電力Vi 波形を示した図で
ある。
【図8】第1の巻線13の誘導起電力Vi が地絡判定回
路部22に入力されてから直流地絡信号Vo として出力
される過程を説明するため、図1の実施例から地絡判定
回路部22を抜粋したものである。
【図9】第1の巻線13の誘導起電力Vi 波形、正負判
別回路23の出力電圧e1 波形、平滑化回路24の出力
電圧e2 波形を示す図である。
【図10】残留磁気が生じているときの磁気回路部11
の磁束−電流起磁力特性曲線の状態を示す概念図であ
る。
【図11】消磁回路部27の動作を説明するため、図1
の実施例から消磁回路部27を抜粋したものである。
【図12】消磁回路部27の各部の電圧波形を示す図で
ある。
【図13】従来の角形ヒステリシス特性を持つ環状鉄心
を応用した直流地絡検出装置の基本的な結線を示した図
である。
【図14】その環状鉄心の磁束−電流起磁力特性曲線の
概念図である。同図上に、交流電源3の電圧Vf 、第1
の検出部1の環状鉄心の磁束φ1 、第2の検出部2の環
状鉄心の磁束φ2 および交流電源3から流れ出す電流I
f による電流起磁力nIfの波形を併せて示している。
【符号の説明】
11 磁気回路部 12 環状鉄心 13 第1の巻線 14 第2の巻線 15 直流電源 16 負荷 17 直流電路 18 励磁回路部 19 正弦波発振器 20 第1の抵抗 21 第1のコンデンサ 22 地絡判定回路部 23 正負判別回路 24 平滑化回路 25 レベル検知回路 26 出力回路 27 消磁回路部 28 矩形波発振器 29 第1の差動増幅器 30 第2の差動増幅器 31 コンデンサ充電回路 32 基準電源 33 スイッチ 34 第2の抵抗 35 第2のコンデンサ 36 反転増幅器 37 第1のダイオード 38 第2のダイオード 39 増幅回路 40 第3の抵抗 41 切替え回路部 42 第1のリレー 43 第2のリレー 44 第3のリレー 45 第4のリレー 46 制御器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一つの環状鉄心に、第1の巻線および第2
    の巻線を施すとともに、負荷に電力を供給する往復の直
    流電路を錯交させた磁気回路部と、 正弦波発振器、第1の抵抗および第1のコンデンサを直
    列接続した励磁回路部と、 前記第1の巻線の誘導起電力を入力とし、正負判別回
    路、平滑化回路、レベル検知回路および出力回路を経
    て、地絡信号を出力する地絡判定回路部と、 矩形波電圧を発生する矩形波発振器と、基準電源、スイ
    ッチ、第2の抵抗および第2のコンデンサを直列接続し
    たコンデンサ充電回路と、前記第2のコンデンサの充電
    電圧の極性を反転する反転増幅器と、前記矩形波発振器
    の出力と前記第2のコンデンサの充電電圧との差分を増
    幅検出する第1の差動増幅器と、前記矩形波発振器の出
    力と前記反転増幅器の出力との差分を増幅検出する第2
    の差動増幅器と、前記第1の差動増幅器の出力から負側
    電圧を取り出す第1のダイオードと、前記第2の差動増
    幅器の出力から正側電圧を取り出す第2のダイオード
    と、これら2つのダイオードの出力を合成した電圧を増
    幅する増幅回路と、この増幅回路の出力電圧を電流に変
    換する第3の抵抗とからなる消磁回路部と、 前記第1の巻線と前記励磁回路部との間の接続を入り切
    りする第1および第2のリレーと、前記第2の巻線と前
    記消磁回路部との間の接続を入り切りする第3および第
    4のリレーと、これら第1ないし第4のリレーを制御す
    る制御器とからなる切替え回路部と、 を備えることを特徴とした直流地絡検出装置。
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