JPH09241791A - 熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法

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JPH09241791A
JPH09241791A JP7810196A JP7810196A JPH09241791A JP H09241791 A JPH09241791 A JP H09241791A JP 7810196 A JP7810196 A JP 7810196A JP 7810196 A JP7810196 A JP 7810196A JP H09241791 A JPH09241791 A JP H09241791A
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rolling
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Osamu Kono
治 河野
Hiroshi Abe
博 阿部
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は穴拡げ性の優れた圧延鋼板の先・後
端部での材質の向上を図ると共に、これによってコイル
内材質のバラツキの解消を図ることを目的とするもので
ある。 【解決手段】 特定の化学組成を有し、フェライトとベ
イナイトで構成され、ベイナイト占積率が80%以上で
あり、かつ、コイル内のその占積率変動が10%以内で
あるミクロ組織を有し、引張強さTS(kgf/mm
2 )と穴拡げ比(d/d0 )の積が105以上であり、
かつ、コイル内のTSとd/d0 の積の変動が20未
満、TSの変動が10未満、d/d0 の変動が0.20
未満であることを特徴とする熱延連続化プロセスにより
製造した穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板およびその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打ち抜き等により
形成された穴を所定寸法に広げる加工時に、破断を起こ
すことなく成形を完了しうる穴拡げ性の優れた高強度熱
延鋼板およびその製造方法に関するものであり、特に熱
延連続化プロセスにより、コイル全長にわたり材質特性
を均一にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車産業における自動車の燃費改善対
策として車体の軽量化を目的に、加工性の優れた熱延高
強度鋼板が開発されてきた。その代表例としてはいわゆ
るDual Phase鋼板が知られている。しかし、
該鋼板は軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相
の複合組織で構成されているため、著しく硬度の異なる
両相の界面からボイドが発生しやすく、高度の穴拡げ性
が要求される用途には不向きであった。
【0003】かかる用途に供する従来技術として、特公
昭64−10563号公報に微細フェライトと微細パー
ライトから構成される穴拡げ性の優れた熱延鋼板の製造
方法が開示されている。しかし、パーライトがマルテン
サイトより軟質であるものの、依然フェライトよりは硬
質であるため、引張強さ(TS)×穴拡げ比(d/d
0 )は68〜81にとどまり、ユーザー要求を充分に満
たすとは言い難い。
【0004】特性をさらに改善する技術として、特開昭
59−126719号公報に引張強さ(TS)×穴拡げ
比(d/d0 )=86〜104を有するベイナイト主体
の組織で構成される加工性と溶接性に優れた熱延高強度
鋼板の製造方法が開示されている。しかしながら、自動
車におけるさらなる軽量化指向、意匠の繊細、複雑化等
を背景として、上記技術では対応しきれない高度な加工
性を必要とする部品が出現している。
【0005】かかる状況を背景に本発明者らは、先に特
公平7−74378号としてこれらの解決策を提示し
た。ここで開示した内容は重量%で、C:0.02〜
0.14%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.
30〜2.00%、P≦0.020%、S≦0.010
%、Al:0.005〜0.100%を含み、必要に応
じ、Ca:0.0005〜0.1000%、REM:
0.0050〜0.0500%の何れかを含み、残部F
eおよび不可避的成分からなる鋼片を熱間圧延して、A
3 以上の温度で仕上圧延を終了し、logCR≧2.
83−0.44×Mn−6.73×Cを満たす冷却速度
CR(℃/秒)で冷却し、350〜550℃で巻取るこ
とによってベイナイト組織を生成させることを特徴とす
る穴拡げ性の優れた熱延高強度鋼板の製造方法である。
【0006】しかし、従来の鋼板の熱間圧延は、スラブ
毎での圧延を行うため鋼板の先端部と後端部は、鋼板が
仕上圧延機を出た後に巻取られるまでの間においては、
無張力状態のいわゆる、非定常部とならざるを得なかっ
た。このため、この部分に該当する鋼板は擦り傷、形状
不良、板幅不良、板厚不良等の鋼板表面品位および形状
品位の劣化は避けられなかった。
【0007】また、上記形状品位の変化は鋼板の材質に
ついても大きく影響し、特に無張力状態の鋼板先端部は
上下に波打ち形状となるため、冷却時の冷却むらが生
じ、機械的性質(引張特性、穴拡げ特性等)が大きく変
動(バラツキ)し、定常部分に比し良好な鋼板が得られ
なかった。そのため、不良部分の除去により鋼板歩留り
の低下と共に、精整通板を必要とする等の作業付加があ
った。
【0008】さらに材質については、通板性等の操業上
の理由から、コイル(スラブ単位に熱間圧延後、巻取機
によって巻取られたコイル。以下単にコイルと称す)長
手方向(圧延方向)で圧延速度が異なるため、単一コイ
ル内の定常部であっても長手方向に圧延速度等の熱延条
件が変化し、機械的性質の変動を生じていた。
【0009】このような状況下において、近年粗圧延後
複数のシートバー(以下、粗バーと称す)を順次接合し
て、連続的に所定の速度で熱間圧延処理する、いわゆる
熱延連続化プロセスが試みられている。この熱延連続化
プロセスは、一般に、粗バーを供給する粗圧延工程、こ
の粗バーの先端と後端を切断する工程、走行しながら先
行粗バーの後端部と、後行粗バーの先端部を、各々クラ
ンプして突き合わせて接合する工程、複数のスタンドで
粗バーを所定の圧延スケジュールで、所定のサイズに仕
上げる熱間仕上圧延工程、熱間仕上圧延工程を出た鋼板
を冷却し巻取る工程、熱間仕上圧延工程と巻取り工程と
の間にあって、鋼板を所定の重量または長さ単位で切断
する走間切断分割工程とから構成されている。
【0010】上記熱延連続化プロセスにおける粗バーの
接合方法としては、各種の提案がなされており、例え
ば、特開平4−288906号公報には、先行材後端部
と後行材先端部の端面接触領域を幅方向の少なくとも両
端部域となるよう切断加工を施し、加熱と搬送速度を調
整し両縁部近傍に圧縮応力を発生させて相互に密着させ
ることが開示されており、また、特開平5−10410
7号公報では、先行材後端部と後行材先端部の突き合わ
せ幅方向の両端部域を熱間圧延前に溶接した後、幅方向
中央の未接合部を圧延によって熱間圧接する方法が提案
されている。また、特公平5−62035号公報では、
長手方向で先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部を
重ね合わせて切断し、切断面に直角に圧縮力を加えるこ
とにより、新生面同士の結合領域を拡げスケールの除去
なしで両金属板を溶接し、厚み方向で全面接触して強固
に結合する方法が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記熱延連続
化プロセスを手段として用い、前記した圧延鋼板の先・
後端部(非定常部)での材質品位等の向上と定常部での
材質バラツキの低減を図り、これによってコイル全長で
の材質のバラツキの解消を図ることを目的とした穴拡げ
性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、その手段は下記の通り
である。 (1)重量%で、C:0.02〜0.14%、Si:
0.40〜2.00%、Mn:0.30〜2.00%、
P≦0.020%、S≦0.010%、Al:0.00
5〜0.100%を含み、残部Feおよび不可避的成分
からなり、フェライトとベイナイトで構成され、ベイナ
イト占積率が80%以上であり、かつ、コイル内のその
占積率変動が10%以内であるミクロ組織を有し、引張
強さTS(kgf/mm2 )と穴拡げ比(d/d0 )の
積が105以上であり、かつ、コイル内のTSとd/d
0 の積の変動が20未満、TSの変動が10未満、d/
0の変動が0.20未満であることを特徴とする熱延
連続化プロセスにより製造した穴拡げ性の優れた高強度
熱延鋼板。
【0013】(2)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%に加えて、Ca:0.0
005〜0.1000%、REM:0.0050〜0.
0500%の何れかを含み、残部Feおよび不可避的成
分からなり、フェライトとベイナイトで構成され、ベイ
ナイト占積率が80%以上であり、かつ、コイル内のそ
の占積率変動が10%以内であるミクロ組織を有し、引
張強さTS(kgf/mm2 )と穴拡げ比(d/d0
の積が105以上であり、かつ、コイル内のTSとd/
0 の積の変動が20未満、TSの変動が10未満、d
/d0 の変動が0.20未満であることを特徴とする熱
延連続化プロセスにより製造した穴拡げ性の優れた高強
度熱延鋼板。
【0014】(3)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、残部Feおよび
不可避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスにより
Ar3 以上の温度で仕上圧延を終了し、logCR≧
2.83−0.44×Mn−6.73×Cを満たす冷却
速度CR(℃/秒)で冷却し、350〜550℃で巻取
ることによってベイナイト組織を生成させることを特徴
とする熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強
度熱延鋼板の製造方法。
【0015】(4)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、さらに、Ca:
0.0005〜0.1000%、REM:0.0050
〜0.0500%の何れかを含み、残部Feおよび不可
避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスによりAr
3 以上の温度で仕上圧延を終了し、logCR≧2.8
3−0.44×Mn−6.73×Cを満たす冷却速度C
R(℃/秒)で冷却し、350〜550℃で巻取ること
によってベイナイト組織を生成させることを特徴とする
熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延
鋼板の製造方法。
【0016】(5)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、残部Feおよび
不可避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスにより
Ar3 以上の温度で仕上圧延を終了し、かつ、平均仕上
圧延速度を300mpm超、かつコイル全長における仕
上圧延速度差を100mpm未満とし、logCR≧
2.83−0.44×Mn−6.73×Cを満たす冷却
速度CR(℃/秒)で冷却し、350〜550℃で巻取
ることによってベイナイト組織を生成させることを特徴
とする熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強
度熱延鋼板の製造方法。
【0017】(6)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、さらに、Ca:
0.0005〜0.1000%、REM:0.0050
〜0.0500%の何れかを含み、残部Feおよび不可
避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスによりAr
3 以上の温度で仕上圧延を終了し、かつ、平均仕上圧延
速度を300mpm超で、かつコイル全長における仕上
圧延速度差を100mpm未満とし、logCR≧2.
83−0.44×Mn−6.73×Cを満たす冷却速度
CR(℃/秒)で冷却し、350〜550℃で巻取るこ
とによってベイナイト組織を生成させることを特徴とす
る熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱
延鋼板の製造方法。
【0018】(7)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、残部Feおよび
不可避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスにより
Ar3 以上の温度で仕上圧延を終了し、かつコイル全長
における仕上温度差を100℃未満とし、平均仕上圧延
速度を300mpm超で、かつコイル内仕上圧延速度差
を100mpm未満とし、logCR≧2.83−0.
44×Mn−6.73×Cを満たす冷却速度CR(℃/
秒)で冷却し、350〜550℃で巻取ることによって
ベイナイト組織を生成させることを特徴とする熱延連続
化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製
造方法。
【0019】(8)重量%で、C:0.02〜0.14
%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.30〜
2.00%、P≦0.020%、S≦0.010%、A
l:0.005〜0.100%を含み、さらに、Ca:
0.0005〜0.1000%、REM:0.0050
〜0.0500%の何れかを含み、残部Feおよび不可
避的成分からなる鋼片を熱延連続化プロセスによりAr
3 以上の温度で仕上圧延を終了し、かつコイル全長にお
ける仕上温度差を100℃未満とし、平均仕上圧延速度
を300mpm超で、かつコイル内仕上圧延速度差を1
00mpm未満とし、logCR≧2.83−0.44
×Mn−6.73×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)
で冷却し、350〜550℃で巻取ることによってベイ
ナイト組織を生成させることを特徴とする熱延連続化プ
ロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方
法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は前記特公平7−7437
8号で提示した鋼板の圧延を熱延連続化プロセスで行う
ことを目的とし、それにより従前の圧延法で発生してい
た鋼板の先・後端部の表面品位、形状品位、材質品位の
劣化を回避すると共に、鋼板定常部を含む鋼板コイル全
長での材質のバラツキを防ぐところにその主眼がある。
【0021】以下、本発明の構成要件について説明を行
う。まず、成分の限定理由について述べる。Cは、0.
02%以上添加するので必要な強度は確保されており、
また、0.20%を上限としているので、溶接性、加工
性の劣化は生じない。なお、用心のためには0.14%
を上限とするとよい。Siは、0.40%以上の添加で
穴拡げに有害な炭化物の生成を抑え、穴拡げに適した本
発明特有のベイナイト組織を生成する。Siは本来強化
元素であり、強化作用と上記作用の両作用が相乗的に働
いて、引張強さ(TS)×穴拡げ比(d/d0 )レベル
は向上する。上限を2.00%にするので溶接性、表面
性状の劣化はなく、上記効果の飽和を超えた不経済な添
加も防がれる。Mnは0.3%以上2.0%以下添加す
るので、必要強度が得られると共に、Mn添加による溶
接性、加工性の劣化が防止できる。
【0022】Pは0.020%以下としたので、溶接
性、加工性、二次加工性、靱性の劣化は防止される。用
心のためには0.010%以下とするのが好ましい。た
だし、鋼板表面のスケール疵(赤スケール)防止の観点
からは0.010〜0.020%が好ましい。Sは、
0.010%以下としたので、製鋼上の経済性を維持し
ながら穴拡げ性、溶接性の劣化が防止できる。製鋼上の
経済性が許容できれば0.005%以下に極力低減する
ことが望ましい。
【0023】Caについては0.0005%以上0.0
100%以下、REMについては0.005%以上0.
0500%以下必要に応じて添加するので、硫化物系介
在物は形態制御(球状化)され、穴拡げ性が向上し、介
在物増加による逆効果が避けられる。Alを0.005
〜0.100%の範囲で添加するので、所要の脱酸が行
えると共に、介在物の増加もなく、穴拡げ性への悪影響
もない。
【0024】次に、ミクロ組織の限定理由について述べ
る。良好な穴拡げ性を得るためには、組織の均一性が重
要である。また、組織の均一性はTS変動、TS×d/
0 変動の低減にも効果を有する。TS×d/d0≧1
05を得るにはベイナイト占積率≧80%が必要であ
り、TS×d/d0 変動、TS変動、d/d0 変動を各
々、20未満、10未満、0.20未満とするために
は、ベイナイト占積率の変動を10%以内とすることが
必要である。また本発明においては、熱延鋼板でのコイ
ル全長での材質変動は小さい程好ましいことは云うまで
もないが、これらは何れも下記に述べる熱延連続化プロ
セスを実施することによって達成されるものである。
【0025】そこで次に、本発明の熱延連続化プロセス
を工程順にその特徴部分と、その効果および熱延条件の
限定理由について以下に説明する。図1は本発明を実施
するための設備配置の一例を示した図である。溶接用シ
ャーにおいて、先・後端部を切断された粗バーは溶接装
置(溶接装置については特に限定されないので、ここで
は触れない。また、接合方法についても種々の方法が考
えられるが、ここではレーザー溶接方法を用いた)によ
り順次先行材の後端部と後行材の先端部が接合され仕上
熱間圧延機で圧延されるため、最初の粗バーの先端部と
最後の粗バーの後端部を除いた部分は、仕上圧延におい
て圧延端のない圧延ができる。また、仕上圧延機までの
間も粗バーには速度の変化がなく一定速度で走行し、圧
延鋼板にかかる張力も絶えず安定している。
【0026】さらに、仕上圧延速度を高速(300mp
m超)かつ変動小(100mpm未満)とすることがで
きるため、圧延温度等の熱延条件の変動も小さくでき
る。最適な熱延仕上温度は、Ar3 変態点以上930℃
以下である。熱延仕上温度が、Ar3 変態点未満では加
工フェライトが生成し、穴拡げ性が著しく劣化するため
であり、930℃を超えると表面性状の劣化を来すため
である。ただし、仕上圧延速度を高速かつ変動小とする
ことができるため、コイル全長における仕上温度差を1
00℃未満(好ましくは50℃未満)とすることができ
る。
【0027】また、仕上圧延機間のオーステナイト領域
での圧延で鋼板の先・後端部を含めて張力のバラツキを
一定範囲以内に収めることができるようになり、さら
に、仕上圧延機から巻取機間のランナウトテーブル(R
OT)上においても同様に冷却中に張力の変動を抑える
ことができる。この位置は温度的に丁度鋼のオーステナ
イトからフェライトへの変態が起る部位に該当するの
で、変態が張力均一のなかで進行し、均一性の高い組織
となり、材質的観点からはバラツキのない安定した成品
が得られる。なお、必要張力の下限は仕上圧延機内が
0.1kgf/mm2 以上、ROT内が0.5kgf/
mm2 以上である。
【0028】また、圧延速度を増加することができるた
め圧延中に高歪速度を与えることができ、鋼の変態前の
オーステナイト結晶中に高速圧延のため短時間で大きな
歪の付与ができ、組織の微細化を通じて、材質品位の向
上に寄与する。なお、必要歪速度の下限は40(sec
-1)である。さらにまた、従来はスラブ単位の圧延であ
ったがため、鋼板先端部がコイラーで巻取りを開始する
までは、仕上圧延機を抜け出た鋼板先端部は無張力のま
まROTを走り抜けるため、鋼板先端部の上下は大きく
波打つ状態となり、特に薄鋼板についてはROTにおい
て冷却水の散布によるむらのない冷却を行うことはでき
なかった。また、後端部においても同様仕上圧延機を抜
けると張力が加わらず同様の処置を取らざるを得ず、こ
れらの部分は材質的にみてコイル中央部に比し材質品位
の劣化は避けられず成品歩留りの低下となっていた。
【0029】本発明においては、巻取機前にピンチロー
ルの配設および鋼板切断用の高速シャーを設置すること
により、仕上圧延機とピンチロール間で一定の張力を付
与することが可能となり、上記の不都合な事態を回避で
きると共にコイル全長にわたってのむらのない水冷化が
採用でき、巻取温度の変動を20℃以内とすることも可
能で、コイル全長での材質のバラツキの小さい成品を得
ることができるようになった。
【0030】圧延後の冷却速度(CR)はlogCR≧
2.83−0.44×Mn−6.73×C(CRの単位
は℃/秒、CはMnの単位は重量%)で規制しているの
で、穴拡げに有害なパーライトの生成がなく、また、穴
拡げに好ましくない組織の不均一化(過度のポリゴナル
フェライトの生成)もなく、オーステナイト安定化元素
であるC,Mn量を低下しても、引張強さ(TS)×穴
拡げ比(d/d0 )≧105が安定して得られる。な
お、この冷却速度は実用上可能な限り高い値とすること
が好ましい。
【0031】巻取温度は350℃以上550℃以下に規
制しているので、穴拡げに有害な硬質マルテンサイトの
混入と、パーライトの生成がない。なお、表面のスケー
ル疵防止の観点からは加熱温度は1170℃以下が好ま
しい。本発明において、コイル全長の材質の変動量を規
制したが、これらの値は当然少ない方が鋼板を使用する
需要家からみて好ましい。しかし、従来の圧延法では前
述のようにこのバラツキは避け得なかった。
【0032】本発明では、最近の鋼板製造技術の急速な
進歩に伴い、鋳片での偏析の改善、圧延での制御圧延の
向上と相まって熱延連続化プロセスを採用することによ
り、これらコイル内の材質の変動を極く小さい範囲内に
抑制することができるようになったものであり、それぞ
れの材質特性上での限定値は連続圧延プロセスの実施に
よって得られた実績からその許容範囲を導き出したもの
である。この結果によって、需要家においては同一コイ
ル内ではどの位置に該当する鋼板であっても、その部位
を配慮することなくバラツキの少ない均一な材質の鋼板
の使用が可能となった。
【0033】
【実施例】以下、本発明における前述の効果を実施例に
よって具体的、かつ、詳細に説明する。本発明は先に述
べたように、コイル全長での材質変動が少ないところに
特徴を有するので、その点を明らかにするため特公平7
−74378号のうち3鋼種を選んで供試材としたので
その化学組成を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】この3種の鋼種から鋳造されたスラブを本
発明によって表2に示す条件で鋼板に圧延し、圧延され
た成品について各鋼種毎にコイル1本(ただし、最先
端、最後端コイル以外)を鋼種および圧延条件に応じて
抽出し、コイル全長から5個所(従来の非定常部に該当
する先・後端部から2箇所および定常部に該当する中央
部から均等距離を置いた3箇所の部分)から試料を採取
した。なお、表2中張力1とあるのは仕上圧延機内の張
力で、張力2とあるのはROT上での張力を表わしてい
る。
【0036】
【表2】
【0037】これらの試料について材質およびミクロ組
織の調査をそれぞれ行い、コイル全長での材質特性を表
3にミクロ組織を表4に示した。また、比較のために従
来方法で圧延した先願の特公平7−74378号の鋼板
についても同様に表2に圧延条件を表3に材質の調査結
果をミクロ組織を表4に示した。なお、表中Δとあるの
はコイル全長における変動(バラツキ)を示したもので
最大値−最小値で表わした。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】表3,4から明らかなように、本発明によ
れば全ての材質特性およびミクロ組織においてコイル全
長における変動幅が少なくなっており、均一で安定した
材質の鋼板が得られていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば熱間圧延鋼板のコイル全
長での材質のバラツキが小さく、従来切捨てまたは格落
ちになっていたコイル先・後端部分も成品として採用で
き、同一コイル内での材質上の均一性が確保され、鋼板
の使用に際して材質的な不良品の発生を心配することが
なくなった。また、鋼板先・後端部の切捨て量が低減し
たため、歩留り面からは大きな向上がみられ、さらには
鋼板巻取後の巻戻し精整工程を省略できる等多くの効果
が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための設備配置の一例を示す

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、残部Feおよび不可避的成分からなり、フェラ
    イトとベイナイトで構成され、ベイナイト占積率が80
    %以上であり、かつ、コイル内のその占積率変動が10
    %以内であるミクロ組織を有し、引張強さTS(kgf
    /mm2 )と穴拡げ比(d/d0 )の積が105以上で
    あり、かつ、コイル内のTSとd/d0 の積の変動が2
    0未満、TSの変動が10未満、d/d0 の変動が0.
    20未満であることを特徴とする熱延連続化プロセスに
    より製造した穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% に加えて、 Ca:0.0005〜0.1000% REM:0.0050〜0.0500% の何れかを含み、残部Feおよび不可避的成分からな
    り、フェライトとベイナイトで構成され、ベイナイト占
    積率が80%以上であり、かつ、コイル内のその占積率
    変動が10%以内であるミクロ組織を有し、引張強さT
    S(kgf/mm2)と穴拡げ比(d/d0 )の積が1
    05以上であり、かつ、コイル内のTSとd/d0 の積
    の変動が20未満、TSの変動が10未満、d/d0
    変動が0.20未満であることを特徴とする熱延連続化
    プロセスにより製造した穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼
    板。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、残部Feおよび不可避的成分からなる鋼片を熱
    延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕上圧延を
    終了し、logCR≧2.83−0.44×Mn−6.
    73×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)で冷却し、3
    50〜550℃で巻取ることによってベイナイト組織を
    生成させることを特徴とする熱延連続化プロセスによる
    穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、さらに、 Ca:0.0005〜0.1000% REM:0.0050〜0.0500% の何れかを含み、残部Feおよび不可避的成分からなる
    鋼片を熱延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕
    上圧延を終了し、logCR≧2.83−0.44×M
    n−6.73×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)で冷
    却し、350〜550℃で巻取ることによってベイナイ
    ト組織を生成させることを特徴とする熱延連続化プロセ
    スによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、残部Feおよび不可避的成分からなる鋼片を熱
    延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕上圧延を
    終了し、かつ、平均仕上圧延速度を300mpm超、か
    つコイル全長における仕上圧延速度差を100mpm未
    満とし、logCR≧2.83−0.44×Mn−6.
    73×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)で冷却し、3
    50〜550℃で巻取ることによってベイナイト組織を
    生成させることを特徴とする熱延連続化プロセスによる
    穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、さらに、 Ca:0.0005〜0.1000% REM:0.0050〜0.0500% の何れかを含み、残部Feおよび不可避的成分からなる
    鋼片を熱延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕
    上圧延を終了し、かつ、平均仕上圧延速度を300mp
    m超で、かつコイル全長における仕上圧延速度差を10
    0mpm未満とし、logCR≧2.83−0.44×
    Mn−6.73×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)で
    冷却し、350〜550℃で巻取ることによってベイナ
    イト組織を生成させることを特徴とする熱延連続化プロ
    セスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、残部Feおよび不可避的成分からなる鋼片を熱
    延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕上圧延を
    終了し、かつコイル全長における仕上温度差を100℃
    未満とし、平均仕上圧延速度を300mpm超で、かつ
    コイル内仕上圧延速度差を100mpm未満とし、lo
    gCR≧2.83−0.44×Mn−6.73×Cを満
    たす冷却速度CR(℃/秒)で冷却し、350〜550
    ℃で巻取ることによってベイナイト組織を生成させるこ
    とを特徴とする熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優
    れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 重量%で、 C :0.02〜0.14% Si:0.40〜2.00% Mn:0.30〜2.00% P≦0.020% S≦0.010% Al:0.005〜0.100% を含み、さらに、 Ca:0.0005〜0.1000% REM:0.0050〜0.0500% の何れかを含み、残部Feおよび不可避的成分からなる
    鋼片を熱延連続化プロセスによりAr3 以上の温度で仕
    上圧延を終了し、かつコイル全長における仕上温度差を
    100℃未満とし、平均仕上圧延速度を300mpm超
    で、かつコイル内仕上圧延速度差を100mpm未満と
    し、logCR≧2.83−0.44×Mn−6.73
    ×Cを満たす冷却速度CR(℃/秒)で冷却し、350
    〜550℃で巻取ることによってベイナイト組織を生成
    させることを特徴とする熱延連続化プロセスによる穴拡
    げ性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
JP7810196A 1996-03-07 1996-03-07 熱延連続化プロセスによる穴拡げ性の優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 Withdrawn JPH09241791A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007111708A (ja) * 2005-10-18 2007-05-10 Nippon Steel Corp 冷間圧延後の板厚変動が小さい冷延高張力鋼板用熱延鋼帯及びその製造方法
JP2016060955A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 株式会社神戸製鋼所 熱延鋼板及びその製造方法

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