JPH09241321A - 変性ポリビニルアルコール - Google Patents

変性ポリビニルアルコール

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JPH09241321A
JPH09241321A JP8051725A JP5172596A JPH09241321A JP H09241321 A JPH09241321 A JP H09241321A JP 8051725 A JP8051725 A JP 8051725A JP 5172596 A JP5172596 A JP 5172596A JP H09241321 A JPH09241321 A JP H09241321A
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JP
Japan
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polyvinyl alcohol
mol
modified polyvinyl
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aqueous solution
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Pending
Application number
JP8051725A
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English (en)
Inventor
Akira Yada
明 矢田
Yoshihiro Kawamori
吉宏 河盛
Hiroshi Nishiguchi
宏 西口
Akira Kitada
明 北田
Yoshiyuki Mori
善幸 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性能に優れ、2価の金属イオンに対して
耐性を有して泥水の脱水減少性能に優れる新規な水溶性
高分子化合物であり、分散剤や掘削用泥水調整剤として
有用な変性ポリビニルアルコールを得る。 【解決手段】 下記構造単位(I)および(II)から
なり、(I)の含有量が3.0〜45.0モル%で、
(II)の含有量が97.0〜55.0モル%であり、
重量平均分子量が3,000〜400,000である変
性ポリビニルアルコール。 【化1】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
ールアンモニウムを示す。) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水溶性の変性ポリビ
ニルアルコールに関し、詳しくはカルボキシアルキル化
ポリビニルアルコールに関する。
【0002】本発明の変性ポリビニルアルコールは、優
れた分散性能を有し、分散剤や分散剤の1種である掘削
用泥水調整剤として有用であるほか、従来のポリビニル
アルコール(PVA)の用途に加えて、紙用添加剤、繊
維用薬剤、土木用薬剤、水溶性フィルム等の種々の用途
に利用できる。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】変性ポリ
ビニルアルコールとしては、例えば、PVAとアクリル
アミド(AM)との反応により得られるカルバモイルエ
チル化ポリビニルアルコール、およびこのカルバモイル
エチル化ポリビニルアルコールの加水分解により得られ
るカルボキシエチル化ポリビニルアルコールが知られて
いる(「工業化学雑誌」第63巻第2号(1960)第
142〜145頁、「紙パ技協誌」第25巻第11号
(1971)第23〜29頁)。工業化学雑誌の方に
は、カルバモイルエチル化35.7モル%でカルボキシ
エチル化2.2モル%の変性ポリビニルアルコールおよ
びカルバモイルエチル化6.82モル%でカルボキシエ
チル化6.34モル%の変性ポリビニルアルコールが記
載されている。一方、紙パ技協誌には、カルバモイルエ
チル化0.6〜5.3モル%でカルボキシエチル化0.
6〜12.5モル%の変性ポリビニルアルコールが記載
されている。
【0004】しかしながら、これらの公知文献には、こ
れらの変性ポリビニルアルコールを分散剤や掘削用泥水
調整剤として用いることは示されておらず、また、これ
らの変性ポリビニルアルコールの分散性能は実用に適す
るほど優れたものではなかった。
【0005】ところで、従来、石油ボーリングまたは土
木掘削において使用される泥水の添加剤として用いられ
る掘削用泥水調整剤としては、例えば、カルボキシメチ
ルセルロース(CMC)、澱粉またはその誘導体、ポリ
アクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド部分加水分解
物、または、無水マレイン酸の共重合体(例えば、無水
マレイン酸とスチレンの共重合体)のアルカリ塩等が挙
げられる。
【0006】これらの薬剤は、水中でアニオン性に帯電
するカルボキシル基をペンダント状に保有しており、泥
水の増粘剤として使用される粘土粒子に吸着して粘土粒
子の表面をアニオン性に帯電させる。そして、その電気
的反発によって粘土粒子を分散させるのである。
【0007】しかしながら、このような従来の泥水調整
剤は、耐塩耐熱性が劣っているため、掘削深度が大きく
なって地層温度が高くなるとともに、高濃度に塩(特に
2価金属イオン)を含有する地層水に汚染されると、化
学劣化とともに、2価金属イオンとカルボキシル基との
反応によって、容易に粘性を喪失し、泥水調整剤として
重要な機能である脱水減少性能が低下する。
【0008】すなわち、従来から一般的に使用されてい
る泥水調整剤、例えば、澱粉においては約100〜12
0℃で劣化が加速し、CMCや合成系のポリマーは16
0℃で劣化が顕著となる。また、2価の金属イオンはポ
リマーのカルボキシル基と結合し、ポリマーが粘性を失
うため、2価の金属イオンを含有する塩水系では劣化が
一層顕著となる。
【0009】本発明の課題は、分散性能に優れ、2価の
金属イオンに対して耐性を有して泥水の脱水減少性能に
優れる新規な水溶性高分子化合物、および該化合物を含
有してなる分散剤(特に無機物質や粉末状殺生剤用の分
散剤)と分散剤の1種である掘削用泥水調整剤を提供す
る処にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者等は、PVAのアクリルアミド付加物また
はメタクリルアミド付加物を加水分解して得られるカル
ボキシアルキル化ポリビニルアルコール(変性ポリビニ
ルアルコール)が、分散剤や分散剤の1種である掘削用
泥水調整剤として機能することを見いだし、本発明に至
った。
【0011】本発明の変性ポリビニルアルコールは、下
記構造単位(I)および(II)からなり、(I)の含
有量が3.0〜45.0モル%で、(II)の含有量が
97.0〜55.0モル%であり、重量平均分子量が
3,000〜400,000である。
【化8】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
ールアンモニウムを示す。)
【化9】 分散剤や掘削用泥水調整剤としては、重量平均分子量が
3,000〜300,000のものが好ましい。
【0012】また、下記構造単位(I)、(II)およ
び(III)からなり、(I)の含有量が3.0〜4
5.0モル%で、(II)の含有量が97.0〜55.
0モル%で、(III)の含有量が10.0モル%以下
であり、重量平均分子量が3,000〜300,000
である変性ポリビニルアルコールも、分散剤や掘削用泥
水調整剤として有用である。
【化10】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
ールアンモニウムを示す。)
【化11】
【化12】 (式中、RはHまたはCHを示す。) 本発明の変性ポリビニルアルコールにおける構造単位
(I)の比率(含有量)は、3.0〜45.0モル%で
ある。構造単位(I)の比率が3.0モル%未満ではポ
リマーのアニオン性が不足し、分散性能が不充分であ
り、凝集を起こし易い。45.0モル%を超えると、製
造が困難である。構造単位(I)の比率は15.0〜4
0.0モル%が好ましい。
【0013】構造単位(II)は、基本的に、構造単位
(I)を除いた残りの全部または大部分を占める。
【0014】構造単位(III)は、製造の都合上含有
されることがあるが、10.0モル%以下の比率であれ
ばかまわない。
【0015】また、構造単位(I)、(II)、(II
I)以外に、下記構造単位(IV)が製造の都合から含
有されることもあるが、性能には特に影響しない。
【化13】 なお、重量平均分子量が3,000未満のものと40
0,000を超えるものは製造困難である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の変性ポリビニルアルコー
ルは、ポリマー濃度4重量%の4%NaCl水溶液の粘
度が、ブルックフィールド型粘度計を用いて、ローター
No.1で60rpm、25℃の条件で、3〜50mP
a・sである。
【0017】本発明の変性ポリビニルアルコールは、ポ
リ酢酸ビニルをけん化して得られるポリビニルアルコー
ルに、例えば下式に示すように、アルカリの存在下でア
クリルアミドやメタクリルアミドをマイケル付加反応さ
せた後、アルカリにて加水分解して得られる。なお、ア
クリルアミドの方が反応性の点で好ましい。
【化14】 本発明の変性ポリビニルアルコールの同定については、
IR(赤外吸収分析)やNMR(核磁気共鳴分析)によ
って、カルバモイルエチル基およびカルボキシエチル基
の付加とその付加モル分率を求めることができる。これ
を、実施例3で得られた変性ポリビニルアルコールの分
析結果を例にして説明する。
【0018】図3は、H−NMRスペクトル図であ
る。2.7ppmのピークはカルボキシル基の結合して
いる炭素に結合するプロトンを示し、2.8ppmのピ
ークはアミド基の結合している炭素に結合するプロトン
を示す。ポリビニルアルコールのプロトンピークとの対
比によって変性率がでる。この変性ポリビニルアルコー
ルのカルボキシエチル化変性率は8.3モル%、カルバ
モイルエチル化変性率は1.0モル%である。
【0019】図4は、IRスペクトル図である。1,6
70cm−1にカルバモイルエチル基のアミド基の吸収
があり、1,570cm−1にカルボキシル基の吸収が
ある。
【0020】また、セミミクロキェルダール法分析によ
る窒素量N(%)とコロイド滴定法によるカルボキシル
基量C(モル/g)とから、次式によりカルバモイルエ
チル化度(CB化度)とカルボキシエチル化度(CO化
度)が計算できる。
【数1】 実施例3で得られた変性ポリビニルアルコールの場合
は、窒素量Nが0.29%で、カルボキシル基量Cが
1.61×10−3モル/gであり、CB化度は1.0
モル%、CO化度は8.1モル%と計算される。
【0021】以上のように、NMR法による結果とセミ
ミクロキェルダール法およびコロイド滴定法からの計算
結果とがほぼ同じであり、反応率の測定にはどの方法を
採用してもよいといえる。
【0022】変性に用いられるベースのポリビニルアル
コールの重合度は50〜10,000であり、好ましく
は200〜3,500である。けん化度については特に
限定されないが、70〜100%けん化物が好ましい。
マイケル付加反応の後にアルカリによって加水分解処理
を行なうため、たとえ酢酸エステル基が残っていても、
最終的には大部分がけん化されるのであるが、アルカリ
の消費量を少なくするためには完全けん化物を用いるの
が好ましい。
【0023】マイケル付加反応の触媒のアルカリとして
は、KOH、NaOHのほか、トリエチルアミン等が好
適に使用できる。
【0024】マイケル反応に際しては、水、炭素数1〜
4の低級アルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド等の溶媒を用いて、1〜50重量%のポリ
ビニルアルコール溶液を作り、ポリビニルアルコールの
水酸基に対し、通常0.5〜20モル%のアルカリ、1
0〜200モル%のアクリルアミドまたはメタクリルア
ミド、さらに必要に応じ、重合禁止剤としてハイドロキ
ノンやハイドロキノンモノメチルエーテル等を少量加
え、20〜80℃の温度で10分〜20時間反応させ
る。
【0025】マイケル反応におけるポリビニルアルコー
ル1モルに対するアクリルアミドまたはメタクリルアミ
ドの反応量は、適当な反応条件を選択することによって
任意に調整することができるが、0.03〜0.45モ
ルである。0.03モル未満では通常の用途範囲で充分
なアニオン性を示さない。0.45モルを超えると付加
反応が困難になり、また大きなアニオン化度の割にはア
ニオン性の効果が上がらない。
【0026】種々の形態の最終製品を得るためには、マ
イケル反応における反応液の濃度を変化させればよく、
例えば粉末形態を目標とする場合は、乾燥を容易にする
ためにできるだけ高濃度で反応を進めることが望まし
い。
【0027】アクリルアミド付加基またはメタクリルア
ミド付加基の加水分解においては、NaOH、KOH、
LiOH、NaCO、NHOH等のアルカリ薬剤
のほか、ジメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエ
タノールアミン等のアルカノールアミン類も使用でき
る。なお、構造単位(I)においてMがアルカノールア
ンモニウムの場合は、アルカノールアミン類を用いた場
合である。
【0028】加水分解反応後、過剰のアセトン、メタノ
ール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール等の
溶媒を用いて反応物を析出させることによって取り出す
ことができる。
【0029】本発明の変性ポリビニルアルコールは、分
散剤(特に無機物質や粉末状殺生剤用の分散剤)や掘削
用(土木掘削用や石油ボーリング用)の泥水調整剤とし
て好適に使用し得る。
【0030】本発明の掘削用泥水調整剤は泥水に対して
0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%の範
囲で使用される。本発明の調整剤を用いて掘削用泥水を
得るには、常法に従って泥水を調整すればよく、例え
ば、ベントナイト、アタパルジャイト等の一般的に使用
される掘削用粘土2〜10%量を、清水または塩水に分
散させた後、ホモディスパー等の分散撹拌機を用いて、
調整剤を添加し、均一分散液とする。
【0031】なお、泥水のpHを調整する必要がある時
は、上記のようにして得られた泥水に水酸化ナトリウム
などのアルカリの水溶液を加えて調整する。
【0032】本発明の掘削用泥水調整剤と、ヘキサメタ
リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リグニ
ンスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロー
ス、アルギン酸ナトリウム、そのほか既知の調整剤を併
用することも可能である。
【0033】本発明の変性ポリビニルアルコールは、掘
削用泥水調整剤として用いると、耐塩耐熱性を示し、優
れた分散性能、脱水減少性能を発揮するが、その作用機
構は下記のように考えられる。
【0034】掘削用泥水を分散する機能については、
ポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基を保有する低
分子量の高アニオン性ポリマーが有効である。これらの
ポリマーのカルボキシル基が水中でアニオン性に帯電
し、カチオン性に帯電した粘土粒子の表面に吸着して荷
電をアニオン性に変換し、そのアニオン荷電とポリマー
のアニオン荷電とが反発することによって、粘土粒子を
分散させるといわれている。本発明の変性ポリビニルア
ルコールも、同様にして粘土粒子を分散することができ
る。
【0035】従来のカルボキシル基を保有するポリマ
ーを用いて粘土粒子を分散させた泥水に、2価の金属イ
オンが混入すると、ポリマーのカルボキシル基と結合
し、水溶性が減少して、ポリマーの分散性能や脱水減少
性能が低下する。これに対し、本発明の変性ポリビニル
アルコールは、カルボキシル基以外に、2価の金属イオ
ンと反応しない水酸基を有し、水溶性を維持するととも
に、分散性能や脱水減少性能を維持できる。そして、こ
の性能は高温においても発揮できる。
【0036】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0037】実施例1 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)300g、100%イソ
プロピルアルコール750gおよび50%NaOH水溶
液85gを入れ、25℃にて2時間撹拌して均一化を行
なった。次いで、50%アクリルアミド水溶液600g
を添加し、25℃にて2時間撹拌して反応させた。反応
終了後、50%NaOH水溶液260gを加え、70℃
に昇温して2時間加水分解を行なった。次いで、5倍量
のイソプロピルアルコールを加え、精製、脱水し、10
5℃で乾燥した。
【0038】得られたポリマーをNMRとIRで分析し
たところ、カルボキシエチル基は20.5モル%、カル
バモイルエチル基は0.0モル%であった。NMR分析
には、主周波数270MHzの日本電子(株)製機器を
使用した。重水溶液で測定した。IR分析においては、
0.2%ポリマー水溶液を105℃で乾燥してフィルム
化し、このフィルムを測定した。
【0039】また、セミミクロキェルダール法分析によ
って得られた窒素量Nは0.0%で、コロイド滴定法に
よって得られたカルボキシル基量Cは3.30×10
−3モル/gであり、これらの値からカルバモイルエチ
ル化度(CB化度)は0.0モル%と、カルボキシエチ
ル化度(CO化度)は19.0モル%と計算された。
【0040】ポリマーの重量平均分子量をゲル浸透クロ
マトグラフィー(GPC)により測定すると、130,
000であった。溶離液として0.1規定NaCl水溶
液を用い、40℃で、東ソー(株)製カラム4本(TS
Kgel G2500PW、G3000PW、G400
0PW、G5000PW)を直列につないで測定した。
検出はRIで行なった。分子量の標準物質としてPEG
−PEO類を用い、検量線を作成した。
【0041】ポリマー濃度4重量%の4%NaCl水溶
液の粘度は、15.0mPa・sであった。粘度の測定
は、ブルックフィールド型粘度計を用いて、ローターN
o.1で60rpm、25℃の条件で実施した。
【0042】実施例2 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)400g、50%NaO
H水溶液50gおよびイソプロピルアルコール1,20
0gを入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルア
ミド水溶液350gを添加した。40℃に昇温し、2時
間撹拌を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水
溶液160gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続
行した。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを
析出させ分別して乾燥した。
【0043】得られたポリマーをNMRで分析した(図
1)ところ、カルボキシエチル基は11.0モル%、カ
ルバモイルエチル基は0.0モル%であった。図2にI
Rスペクトルを示す。GPCによる重量平均分子量は1
40,000であった。また、ポリマー濃度4重量%の
4%NaCl水溶液の粘度は、17.0mPa・sであ
った。
【0044】実施例3 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)400g、50%NaO
H水溶液50gおよびイソプロピルアルコール1,20
0gを入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルア
ミド水溶液350gを添加した。40℃に昇温し、2時
間撹拌を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水
溶液140gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続
行した。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを
析出させ分別して乾燥した。
【0045】得られたポリマーをNMRで分析した(図
3)ところ、カルボキシエチル基は8.3モル%、カル
バモイルエチル基は1.0モル%であった。図4にIR
スペクトルを示す。
【0046】また、セミミクロキェルダール法分析によ
って得られた窒素量Nは0.29%で、コロイド滴定法
によって得られたカルボキシル基量Cは1.61×10
−3モル/gであり、これらの値からカルバモイルエチ
ル化度(CB化度)は1.0モル%と、カルボキシエチ
ル化度(CO化度)は8.1モル%と計算された。
【0047】GPCによる重量平均分子量は125,0
00であった。また、ポリマー濃度4重量%の4%Na
Cl水溶液の粘度は、14.0mPa・sであった。
【0048】実施例4 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)400g、50%KOH
水溶液70gおよびイソプロピルアルコール500gを
入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルアミド水
溶液1,290gを添加した。40℃に昇温し、2時間
撹拌を続行した。次いで、さらに、50%KOH水溶液
954gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続行し
た。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを析出
させ分別して乾燥した。
【0049】得られたポリマーをNMRで分析したとこ
ろ、カルボキシエチル基は32.5モル%、カルバモイ
ルエチル基は1.2モル%であった。GPCによる重量
平均分子量は140,000であった。また、ポリマー
濃度4重量%の4%NaCl水溶液の粘度は、16.0
mPa・sであった。
【0050】実施例5 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が500の粉末ポリビニルアルコール(クラ
レ社製PVA−105)400g、50%NaOH水溶
液50gおよびイソプロピルアルコール1,200gを
入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルアミド水
溶液350gを添加した。40℃に昇温し、2時間撹拌
を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水溶液1
50gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続行し
た。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを析出
させ分別して乾燥した。
【0051】得られたポリマーをNMRで分析したとこ
ろ、カルボキシエチル基は9.5モル%、カルバモイル
エチル基は1.2モル%であった。GPCによる重量平
均分子量は40,000であった。また、ポリマー濃度
4重量%の4%NaCl水溶液の粘度は、5.0mPa
・sであった。
【0052】実施例6 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が2,400の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−124)400g、50%NaO
H水溶液50gおよびイソプロピルアルコール1,20
0gを入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルア
ミド水溶液350gを添加した。40℃に昇温し、2時
間撹拌を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水
溶液150gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続
行した。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを
析出させ分別して乾燥した。
【0053】得られたポリマーをNMRで分析したとこ
ろ、カルボキシエチル基は7.5モル%、カルバモイル
エチル基は0.2モル%であった。GPCによる重量平
均分子量は210,000であった。また、ポリマー濃
度4重量%の4%NaCl水溶液の粘度は、25.0m
Pa・sであった。
【0054】実施例7 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が約88%
で重合度が300の粉末ポリビニルアルコール400
g、50%NaOH水溶液60gおよび水500gを入
れ、2時間撹拌した後、50%アクリルアミド水溶液
1,300gを添加した。40℃に昇温し、2時間撹拌
を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水溶液6
80gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続行して
加水分解を行なった。冷却後、メタノールによって精製
し、乾燥粉末化した。
【0055】得られたポリマーをNMRで分析したとこ
ろ、カルボキシエチル基は28.0モル%、カルバモイ
ルエチル基は1.0モル%であった。GPCによる重量
平均分子量は15,000であった。
【0056】比較例1 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)400g、50%NaO
H水溶液20gおよびイソプロピルアルコール1,20
0gを入れ、2時間均一撹拌した後、50%アクリルア
ミド水溶液77gを添加した。40℃に昇温し、2時間
撹拌を続行した。次いで、さらに、50%NaOH水溶
液23gを加え、70℃に昇温し、2時間撹拌を続行し
た。冷却後、イソプロピルアルコールでポリマーを析出
させ分別して乾燥した。
【0057】得られたポリマーをNMRで分析したとこ
ろ、カルボキシエチル基は2.6モル%、カルバモイル
エチル基は0.1モル%であった。GPCによる重量平
均分子量は110,000であった。また、ポリマー濃
度4重量%の4%NaCl水溶液の粘度は、12.0m
Pa・sであった。
【0058】比較例2 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度が95%以
上で重合度が1,700の粉末ポリビニルアルコール
(クラレ社製PVA−117)400g、50%NaO
H水溶液50gおよびイソプロピルアルコール1,20
0gを入れ、25℃で2時間均一撹拌した後、50%ア
クリルアミド水溶液350gを添加し、そのまま撹拌し
て反応させた。次いで、イソプロピルアルコールでポリ
マーを析出させ分別して乾燥した。
【0059】得られたポリマーをNMRで分析した(図
7)ところ、カルボキシエチル基は4.5モル%、カル
バモイルエチル基は15.6モル%であった。図8にI
Rスペクトルを示す。GPCによる重量平均分子量は1
20,000であった。また、ポリマー濃度4重量%の
4%NaCl水溶液の粘度は、2.9mPa・sであっ
た。
【0060】実施例8〜14、比較例3〜6 水700mlにベントナイト42gを加えて分散させた
後、実施例1〜7のポリマー、比較例1〜2のポリマ
ー、低粘度CMCの各20gを添加し、撹拌して均一に
溶解させた。さらに、NaClを180g、CaCl
を21g加え、均一に溶解させた。一夜間静置した後、
再度撹拌してサンプルを均一に溶解した後、水酸化ナト
リウムにてpHを9.5〜11.0に調整した。次い
で、泥水を2分割し、一方の泥水については、粘度を測
定した後に脱水性試験を実施して脱水量を測定した。他
方の泥水は、耐熱性容器に入れて180℃にて16時間
加熱撹拌し、次いで室温に冷却した後、粘度と脱水量を
測定した。その結果を表1に記載した。
【0061】粘度の測定は、ファン・ブイジー・メータ
(Fann VG Meter)を用いて行なった。
【0062】脱水性試験は、脱水性試験装置を用い、1
kg/cmの加圧下で350mlの泥水を濾過脱水
し、30分後の脱水量を測定した。脱水量の少ない方が
良好な泥水である。
【0063】
【表1】
【0064】実施例15〜21、比較例7 製紙用途に使用される無機顔料の1種である水酸化アル
ミニウムの分散試験を実施した。
【0065】1リットルビーカーに、水酸化アルミニウ
ムに対して0.4%重量の実施例1〜7のポリマーを加
えた水100gを入れ、撹拌下で水酸化アルミニウム微
粉末(平均粒度0.8μm)300gを加えて分散させ
た。次いで、3分間高速撹拌して(4,000rpm)
分散させ、固形分濃度75%の水分散液を得た。この水
分散液の製造直後の粘度と、25℃で1週間静置した後
の粘度を、BM型粘度計によって測定し、ポリアクリル
酸ソーダ(分子量10,000)と対比することによっ
て、分散性能を評価した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】実施例22〜28、比較例8 所定量の分散剤(実施例1〜7のポリマー、ポリアクリ
ル酸ソーダ)と水を加えて均一に撹拌溶解した後、軽質
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)をその含有量が
60重量%となるように加えた。次いで、ホモミキサー
にて10分間撹拌した後、BM型粘度計によって25℃
で粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】実施例29〜35、比較例9 実施例1〜7のポリマーを粉末状殺生剤の分散剤として
用いて、性能評価試験を実施した。
【0070】殺虫剤として使用されるo,o−ジメチル
−s−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオフォス
フェート(ジメトエート)70g、担体としてクレー1
3g、ホワイトカーボン7gおよび分散剤として実施例
1〜7のポリマー10gを混合した後、ボールミルにて
300メッシュ以下に微粉砕して、殺生水和剤組成物を
得た。これらの組成物の水和性、自己分散性および懸濁
安定性について測定し、アルキルナフタレンスルホン酸
Naホルマリン縮合物(分子量13,000)と対比し
て評価した。結果を表4に示す。
【0071】水和性と自己分散性については、100m
lのシリンダーに100mlの10度硬水を入れ、これ
に組成物1gを静かに加えて評価した。水和性は、組成
物が没するまでの時間で評価し、時間が短いほど優れて
いる。自己分散性は、組成物を水に投入した後の分散性
を評価するもので、次の3段階で評価した。 A:投入と同時に均一に分散する。 B:投入後すぐには分散せず、シリンダー水面より1/
2以上沈んだ後に分散を始める。 C:水面上で、フロックになるか、凝集する。 これらのうち、Aが最も自己分散性に優れる。
【0072】懸濁安定性については、次のようにして懸
濁量比率を求めて評価した。まず、試料組成物1.0g
を200ml容の栓付きシリンダーに入れ、これに20
℃の10度硬水200mlを加えて充分混合分散させ
た。次に、30秒間に20回転倒撹拌を行なった後に5
分間静置し、その後、シリンダー中央部より20mlを
ホールピペットによってサンプリングし、ガラスフィル
ターで濾過した後に乾燥した。得られた固形分を測定
し、この固形分と試料組成物の採取量とから、下式によ
り懸濁量比率を算出した。懸濁量比率が大きいほど、懸
濁安定性が良好である。 懸濁量比率(%)={固形分/(試料採取量×(20/
200))}×100
【表4】
【0073】
【発明の効果】本発明の変性ポリビニルアルコールは、
分散性能に優れ、2価の金属イオンに対して耐性を有し
て泥水の脱水減少性能に優れる新規な水溶性高分子化合
物であり、分散剤や掘削用泥水調整剤として有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた変性ポリビニルアルコール
のNMRスペクトル図である。
【図2】実施例2で得られた変性ポリビニルアルコール
のIRスペクトル図である。
【図3】実施例3で得られた変性ポリビニルアルコール
のNMRスペクトル図である。
【図4】実施例3で得られた変性ポリビニルアルコール
のIRスペクトル図である。
【図5】実施例5で得られた変性ポリビニルアルコール
のNMRスペクトル図である。
【図6】実施例5で得られた変性ポリビニルアルコール
のIRスペクトル図である。
【図7】比較例2で得られた変性ポリビニルアルコール
のNMRスペクトル図である。
【図8】比較例2で得られた変性ポリビニルアルコール
のIRスペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08F 216/14 MKZ C08F 216/14 MKZ (72)発明者 森 善幸 滋賀県神崎郡能登川町佐野225

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造単位(I)および(II)から
    なり、(I)の含有量が3.0〜45.0モル%で、
    (II)の含有量が97.0〜55.0モル%であり、
    重量平均分子量が3,000〜400,000である変
    性ポリビニルアルコール。 【化1】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
    金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
    ールアンモニウムを示す。) 【化2】
  2. 【請求項2】 下記構造単位(I)および(II)から
    なり、(I)の含有量が3.0〜45.0モル%で、
    (II)の含有量が97.0〜55.0モル%であり、
    重量平均分子量が3,000〜300,000である変
    性ポリビニルアルコールを含有してなる分散剤。 【化3】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
    金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
    ールアンモニウムを示す。) 【化4】
  3. 【請求項3】 下記構造単位(I)、(II)および
    (III)からなり、(I)の含有量が3.0〜45.
    0モル%で、(II)の含有量が97.0〜55.0モ
    ル%で、(III)の含有量が10.0モル%以下であ
    り、重量平均分子量が3,000〜300,000であ
    る変性ポリビニルアルコールを含有してなる分散剤。 【化5】 (式中、RはHまたはCHを示し、MはH、アルカリ
    金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノ
    ールアンモニウムを示す。) 【化6】 【化7】 (式中、RはHまたはCHを示す。)
  4. 【請求項4】 前記分散剤が掘削用泥水調整剤である請
    求項2または3に記載の分散剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011057769A (ja) * 2009-09-08 2011-03-24 Kuraray Co Ltd 泥水用分散剤

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