JPH09239782A - 極薄部分を有する樹脂成形品の射出成形方法及びその装置 - Google Patents

極薄部分を有する樹脂成形品の射出成形方法及びその装置

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JPH09239782A
JPH09239782A JP5164096A JP5164096A JPH09239782A JP H09239782 A JPH09239782 A JP H09239782A JP 5164096 A JP5164096 A JP 5164096A JP 5164096 A JP5164096 A JP 5164096A JP H09239782 A JPH09239782 A JP H09239782A
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cavity
injection molding
pocket
molded product
resin material
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JP5164096A
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Yasuhiro Matsumoto
康洋 松本
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CCI Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】肉厚が0.7mm以下である極薄部分210を
有する樹脂成形品200を、その極薄部分210に全く
残留応力も損傷もないものとして成形することのできる
射出成形方法を提供すること。 【解決手段】キャビティ60を構成する型の、少なくと
も極薄部分に対応する合わせ面に、キャビティ60内を
減圧するための減圧ポケットを形成しておくとともに、
キャビティ60を形成したときにこのキャビティ60と
減圧ポケット22とを連通させる2〜3μmの通気スリ
ットを形成できるようにしておいて、キャビティ60を
完成する直前に通気スリット及び減圧ポケット22を介
してキャビティ60内の脱気を開始するとともに、キャ
ビティ60完成直後に樹脂材料を注入させて、溶融した
樹脂材料が極薄部分に対応するキャビティ60内にも充
填されるようにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形方法及び
装置に関し、特に極薄部分を有する樹脂成形品を射出成
形するのに適した方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融させた樹脂材料をキャビティ内に強
制注入することにより、キャビティと同じ形状の樹脂成
形品を形成する射出成形方法あるいは射出成形装置にお
いて重要なことは、このキャビティ内に溶融した樹脂材
料が完全に充填されるようにすることである。そのため
に、樹脂成形品を成形するための、この種の射出成形方
法あるいは射出成形装置においては、例えば特開平5−
31563号公報において示されるような「射出式金型
鋳造機の金型内のガス抜き方法及び装置」が提案されて
いる。
【0003】この特開平5−31563号公報のガス抜
き方法及び装置は、「射出式金型鋳造機におけるこれま
での金型内のガス抜きは、上下金型の間にキャビティか
ら金型外に向けて形成された厚さ約0.2mmのガス抜
きスリット(以下スリットと言う)により自然放出的に
行われてきた。しかし、このようなスリットによる自然
放出的なガス抜き方法では、給湯管から射出スリーブ内
へ溶湯時および射出スリーブから金型キャビティ内への
溶湯射出時のように溶湯が比較的高速で移動する時は、
キャビティ内の背圧を無くすようにガスを抜くには限界
があり、そのため給湯量に変動を生じたり、得られた鋳
物中にガス欠陥が見られた。また背圧を減少し易くする
ためにスリットを多く設けると湯ふきの問題を起こすこ
とがあった。」点に着目して、「上下型開き時に散布す
る離型剤によるガスベントの目づまりを極力少なくし、
吸引による金型キャビティ内のガス抜きを支障なく行う
ことができる射出式金型鋳造機の金型内のガス抜き方法
およ装置を提供すること」を目的としてなされたもので
ある。
【0004】そして、上記公報に示されたガス抜き方法
及び装置では、金型の、可動型と固定型の間に形成され
たガス抜きスリットにガスボンベを取付けるとともに、
このガスボンベに、電磁三方弁より電磁三方弁を経て吸
引装置、および電磁三方弁を介して高圧エアラインを接
続し、型開き時には電磁三方弁を操作してエア吹き出し
状態とし、型締め開始と同時に電磁三方弁及びを操作し
て給湯時背圧がゼロとなるように一定量の1次吸引を行
ない、射出チップが給湯孔を閉じた後、さらに吸引量を
増すように2次吸引を行なう」という構成を採用するこ
とにより、「製品品質の均一性が高まり、ガス欠陥発生
が防止された鋳造品が得られる」という効果を発揮する
ものであると考えられる。
【0005】しかしながら、本発明者等の検討による
と、以上のような方法・装置では、例えば、図6に示し
たような極薄部分210を有する樹脂成形品200の成
形は行えないことが判明したのである。図6に示した極
薄部分210は、例えば鉄心とコイルとの間に介在され
て電磁石等を構成するための筒状絶縁体なのであるが、
この極薄部分210の筒状部分は、非常に薄肉のものと
する必要がある。何故なら、このような極薄部分210
は、鉄心とコイルとの間の絶縁性を確保しながら磁場や
電界の遮蔽物となってはならないからであり、その意味
では、この極薄部分210の樹脂成形品200はできれ
ば0.7mm以下である必要があるものである。
【0006】また、図6に示したような樹脂成形品20
0では、極薄部分210と同時に極薄ではない部分も同
時に形成しなければならないのが普通である。何故な
ら、極薄部分210のみで必要な機能を有する樹脂成形
品200とすることができないからであり、図6に示し
たような電磁石の構成部品であれば、コイルの端部を接
続・保持するための剛性の高い部分も必要となるからで
ある。極薄部分210を有する樹脂成形品200として
は、他に携帯電話のカバーや、その他の電子部品を組込
んだ機器等があり、いずれの場合も、極薄部分210に
よって音や電波等を十分通しながら絶縁性を確保するよ
うにしなければならないのである。
【0007】以上のような極薄部分210を有する樹脂
成形品200を、従来のガス抜き方法を採用して射出成
形しようとすると、極薄部分210以外の部分のガス抜
きは十分行えても、キャビティの極薄部分210となる
部分のガス抜きが十分行えないことになり、このキャビ
ティの極薄部分210となる部分に樹脂材料を注入する
ことは殆ど不可能なのである。特に、このような樹脂成
形品200を短時間(例えば十数秒)内に成形すること
は、従来の技術では、殆ど不可能であったのである。
【0008】そこで、本発明者等は、0.7mm以下の
極薄部分210を有する樹脂成形品200を射出成形す
るにあたって、極薄部分210にも十分樹脂材料が行き
わたるようにするにはどうしたらよいかについて種々検
討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の経緯
に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題
は、肉厚が0.7mm以下である極薄部分210を有す
る樹脂成形品200を、その極薄部分210に全く残留
応力も損傷もないものとして成形することのできる射出
成形方法及び射出成形装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、請求項1に係る発明の採った手段は、以下の実施
形態の説明中において使用する符号を付して説明する
と、「溶融させた樹脂材料を加圧してキャビティ60内
に注入することにより、肉厚が0.7mm以下となる極
薄部分210を有する樹脂成形品200を成形する射出
成形方法であって、キャビティ60を構成する型の、少
なくとも極薄部分210に対応する合わせ面に、キャビ
ティ60内を減圧するための減圧ポケット22を形成し
ておくとともに、キャビティ60を形成したときにこの
キャビティ60と減圧ポケット22とを連通させる2〜
3μmの通気スリットを形成できるようにしておいて、
キャビティ60を完成する直前に通気スリット及び減圧
ポケット22を介してキャビティ60内の脱気を開始す
るとともに、キャビティ60完成直後に樹脂材料を注入
させて、溶融した樹脂材料が極薄部分210に対応する
キャビティ60内にも充填されるようにしたことを特徴
とする射出成形方法」である。
【0011】すなわち、この請求項1に係る発明の射出
成形方法では、基本的には従来から行われてきているキ
ャビティ60内のガス抜きを行いながら射出成形するも
のではあるが、肉厚が0.7mm以下の極薄部分210
を有する樹脂成形品200を射出成形しようとするもの
なのである。そのために、この発明の射出成形方法で
は、可動型20を突き合わせてキャビティ60を構成す
る際に、キャビティ60の極薄部分210となる直近に
間隔が2〜3μmの通気スリットを形成するようにして
おき、成形時にキャビティ60内の空気及び注入された
樹脂材料から発生するガスを、当該通気スリット及びこ
れによりキャビティ60と連通する通気路23から抜く
ようにして、極薄部分210を有する樹脂成形品200
を射出成形するようにしたものなのである。
【0012】そして、この請求項1に係る射出成形方法
では、各可動型20を突き合わせてキャビティ60を構
成する直前からキャビティ60内のガス抜きを開始する
ことにより、キャビティ60内は勿論のこと、通気スリ
ットやシール材50の周囲にある空気やガス等の気体を
十分抜きとっておき、完成されたキャビティ60内に樹
脂材料が注入されるときには、キャビティ60内の余分
な気体が通気スリットを通ってキャビティ60外に十分
かつ短時間内に排気されるようにしているのである。
【0013】以上のように構成した本発明の射出成形方
法によれば、キャビティ60やこれに連通する部分の脱
気が短時間内に十分行われていることになるから、キャ
ビティ60内への溶融した樹脂材料の充填が速やかに行
われることになる。また、キャビティ60内に樹脂材料
が充填され始めると、この樹脂材料から生じたガス等は
通気スリットを介してキャビティ60外に抜き止められ
ることになるから、樹脂材料はキャビティ60内全体に
均一に充填されることになる。しかも、この通気スリッ
トはその隙間が2〜3μmのものであるから、余分な気
体の排出はされるけれども、樹脂材料がその粘性抵抗に
よって2〜3μmという狭い通気スリット内に入り込む
ことは全くない。ここに、通気スリットの隙間を2〜3
μmとした重要な意味がある。
【0014】また、この射出成形方法においては、通気
スリットを各可動型20の突き合わせ面に形成してある
から、仮りに射出成形時に溶融した樹脂材料の一部が僅
かに入り込んだとしても、各可動型20を開けばその除
去を簡単に行えることは言うまでもない。しかも、各可
動型20を突き合わせてその突き合わせ面に2〜3μm
である通気スリットを形成・維持するのは、各可動型2
0の突き合わせ面の大部分を占める通気スリットとはな
らない部分の当接によってであるから、これらの突き合
わせ面の大部分が磨耗しない限り、通気スリットの隙間
2〜3μmは完全に維持される。換言すれば、本発明の
射出成形方法では、ガス抜きのための通気スリットの隙
間が2〜3μmであることは、長期にわたって維持する
ことができるのである。
【0015】上述した課題を解決するために、請求項2
に係る発明の採った手段は、実施形態の説明中で使用す
る符号を付して説明すると、「溶融させた樹脂材料を加
圧してキャビティ60内に注入することにより、肉厚が
0.7mm以下となる極薄部分210を有する樹脂成形
品200を成形するための射出成形装置100であっ
て、キャビティ60を形成するための型の合わせ面に、
キャビティ60の少なくとも極薄部分210を形成する
部分のすぐ外側に位置したキャビティ形成壁21と、こ
のキャビティ形成壁21の外側に位置した減圧ポケット
22とを形成するとともに、この型の合わせ面の、キャ
ビティ形成壁21より外側になる部分を、キャビティ形
成壁21の端面より1〜1.5μm高くすることによ
り、キャビティ60を完成した型間にキャビティ60と
減圧ポケット22とを連通させる2〜3μmの通気スリ
ットを形成するようにしたことを特徴とする射出成形装
置100」である。
【0016】すなわち、この請求項2に係る射出成形装
置100では、上記請求項1に係る射出成形方法を具現
化するものであるが、上述した通気スリットを構成する
ために、各可動型20の突き合わせ面であって、キャビ
ティ60の、樹脂成形品200における極薄部分210
を形成する部分の直近に、キャビティ形成壁21と減圧
ポケット22とを形成しておき、かつキャビティ形成壁
21の高さを、図4に示したように、各可動型20の突
き合わせ面を構成する部分よりも1〜1.5μm低くし
たのである。
【0017】以上のように構成した射出成形装置100
によれば、キャビティ60内へ溶融した樹脂材料を注入
する際には、キャビティ60内は十分脱気されており、
しかもキャビティ60内に樹脂材料が流れ込む際にはキ
ャビティ60内の気体は通気スリットから減圧ポケット
22側へ完全に吸気されるから、射出成形方法はキャビ
ティ60全体に均一に注入されることになる。従って、
完成された樹脂成形品200においては、その極薄部分
210に全くの不良が生じないのであり、所望の樹脂成
形品200とすることができるのである。
【0018】また、キャビティ60内やその周囲の脱気
を行うための通気スリットは、各可動型20の突き合わ
せ面に、周囲部分より1〜1.5μm低い高さのキャビ
ティ形成壁21を形成し、このキャビティ形成壁21の
外側に通気路23に連通することになる減圧ポケット2
2を形成すれば構成することができるのであるから、各
樹脂成形品200に応じた可動型20を形成することも
非常に容易となっているのである。しかも、上記の射出
成形方法で述べたように、通気スリットを構成するため
のキャビティ形成壁21は、周囲より1〜1.5μm低
くしてあるから、各可動型20を突き合わせたときに、
各可動型20のキャビティ形成壁21が互いに当接し合
うことがないのであり、また、このキャビティ形成壁2
1上を樹脂材料が流れることものないのであるから、磨
耗することは全くない。従って、本発明に係る射出成形
装置100では、耐久性にも優れていて、樹脂成形品2
00を安価に製造することができるのである。
【0019】以上のことは、各可動型20が2分割のも
の、あるいは3分割以上のものであっても同様に言える
ことである。また、通気スリットを構成するためのキャ
ビティ形成壁21を、その周囲より1〜1.5μm低く
することは、単に研磨によっても実施できるのであり、
通気スリットが気体のみを通過させるものであることか
らすれば、周囲と同じ高さのキャビティ形成壁21であ
っても、その頂面に1〜1.5μmの深さの多数の細溝
であってもよい。勿論、この細溝は、キャビティ60と
減圧ポケット22とを連通させるものであることは必要
である。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、各発明を、図面に示した実
施の形態に基づいて説明するが、請求項1に係る射出成
形方法は、請求項2に係る射出成形装置100中に化体
されているから、以下では、この射出成形装置100を
中心にして説明することにする。
【0021】図1には、本発明に係る射出成形装置10
0を構成する型を中心に示した断面図が示してあり、図
示中央のキャビティ60内に樹脂材料が充填された状態
が示してある。この型は、キャビティ60の上側に配置
される固定型10と、この固定型10の下方で2分割以
上の分割がなされていて、キャビティ60の図示両側を
包み込む可動型20と、これらの可動型20を下から支
えているベース型30と、先端の中子43がキャビティ
60の中心に入り込みベース型30側に移動されるスラ
イドブロック40とから主として構成したものである。
【0022】固定型10の図示上方にはランナー取付板
11が開閉自在に組付けてあり、これらの固定型10及
びランナー取付板11にはキャビティ60内への溶融し
た樹脂材料を注入するための樹脂通路12が形成してあ
る。この樹脂通路12の図示下端には、キャビティ60
内に連通することになる注入口13が形成してあって、
樹脂通路12を通して送られてきた樹脂材料はこの注入
口13からキャビティ60内に強制的に注入されること
になるのである。なお、この樹脂通路12内への溶融し
た樹脂材料の供給は、図示しない装置によって行われる
ことは、一般的な射出成形装置と同様である。
【0023】さて、キャビティ60の大部分を形成する
可動型20であるが、これは図2に示したように形成し
てある。すなわち、この可動型20の突き合わせの略中
央部には、図6に示した樹脂成形品200に対応するキ
ャビティ60(凹所)が形成してあり、このキャビティ
60の両側には、図4にも示すように、キャビティ形成
壁21をおいて減圧ポケット22が形成してある。各減
圧ポケット22には、図2及び図4に示したように、各
可動型20に形成した通気路23が連通溝を介して連通
させてあり、通気路23は、図1に示したように、ベー
ス型30側の真空ポケット31に連通させてある。
【0024】キャビティ形成壁21は、各可動型20を
突き合わせてキャビティ60を形成したときに、このキ
ャビティ60と減圧ポケット22とを連通させる2〜3
μmの通気スリットを形成するためのものであるから、
図4にも示したように、その外側に位置している他の突
き合わせ面から1〜1.5μm低くなるように形成して
ある。このキャビティ形成壁21の高さを、他の部分よ
り1〜1.5μm低くする方法としては、キャビティ形
成壁21の頂面を研磨したり、あるいはキャビティ形成
壁21の頂面に細溝を形成したりすることであり、これ
により、各キャビティ形成壁21の形成が簡単に行える
ことは前述した通りである。
【0025】また、このキャビティ形成壁21は、樹脂
成形品200の極薄部分210を成形するものであるか
ら、ある程度の剛性を有するものとしなければならない
が、通気スリットを形成したときのガスの通り道の長さ
を決定するものであるから、ガス抜き効率を良好にしな
ければならないことを考慮すると、その幅を0.5mm
から7mm程度のものとするのがよい。その理由は、幅
が0.5mmより小さくなるキャビティ形成壁21で
は、樹脂成形品200を高速でかつ大量に成形するもの
としての剛性が不足するからであり、幅が7mmより大
きくなると、剛性は確保できてもこれによって形成され
る通気スリットの幅も大きくなって、脱気時に大きな抵
抗を生じないため好ましくないからである。
【0026】勿論、この他より高さの低いキャビティ形
成壁21は、図2に示したように、キャビティ60にお
ける樹脂成形品200の極薄部分210となる部分の直
近全体に位置させた方が、キャビティ60内の脱気とい
う意味では好ましいといっても、これらの各キャビティ
形成壁21が互いに突き合って隙間が2〜3μmの通気
スリットを形成しなければならないのであるから、他よ
りも高さの低いキャビティ形成壁21としては、樹脂成
形品200の極薄部分210の全長の2/3〜1/2程
度までに部分化しておくことで済ますのが好ましいもの
である。なお、これらのキャビティ形成壁21は、各可
動型20を互いに突き合わせたときに、その頂面同士が
当接し合うことにはならないのであるから、耐久性が非
常に高くなっていることは前述した通りである。
【0027】以上のようなキャビティ形成壁21の直ぐ
外側にある減圧ポケット22も、図2に示すように、キ
ャビティ60の極薄部分210に該当する部分の外側全
体に延在するように形成してある。この減圧ポケット2
2内は、後述する真空ポケット31に連通しているか
ら、キャビティ60形成時及びこのキャビティ60内へ
の樹脂材料の注入時においてはその全体が真空に近い状
態に減圧されている。このようにすることにより、キャ
ビティ60が完成される直前からキャビティ60内に樹
脂材料の注入が完了するまでの全工程において、キャビ
ティ60の極薄部分210を形成する部分の狭い空間内
の脱気と、この狭い空間内を流れてくる樹脂材料から生
ずるガスの脱気とを効率良く行うことになるのである。
【0028】これらの減圧ポケット22及びキャビティ
形成壁21を形成した可動型20は、本実施形態では2
つ割したものであるが、これを3つ割以上のものとして
形成して実施してもよいことは当然であるが、分割され
た各可動型20には、上記の条件を備えたキャビティ形
成壁21及び減圧ポケット22を形成しなければならな
いことは言うまでもない。
【0029】また、各減圧ポケット22内を減圧したと
しても、外部から空気が流入するようでは何にもならな
い。そのために、本実施形態の可動型20では、図2に
も示すように、その各突き合わせ面の通気路23の外側
になる部分にシール材50を配置することにより、減圧
ポケット22内の減圧状態を確実に確保するようにして
いる。図1に示した型では、この可動型20と固定型1
0との間、可動型20と後述するスライドブロック40
との間にもそれぞれシール材50を配置するようにし
て、キャビティ60の周囲全体をこれらのシール材50
により包み込むようにしてある。これにより、外気が各
減圧ポケット22内の減圧状態を阻害することがないよ
うにしているのであり、またこの射出成形装置100に
よる樹脂成形品200の成形を常圧下で行えるようにし
ているのである。
【0030】以上のような各可動型20は、図1に示す
ように、その図示下側にあるベース型30によって支持
されることになるものであるが、このベース型30に
は、図示しない真空ポンプによって定常的に真空状態に
されている真空ポケット31が形成してある。この真空
ポケット31には、後述するスライドブロック40側の
通気路41を介して、前述した各可動型20側の通気路
23に連通することになる通気路32が形成してあり、
キャビティ60が完成したときには、この真空ポケット
31とキャビティ60内とが完全に連通するようにして
ある。
【0031】また、各通気路32の例えば真空ポケット
31側端部にはそれぞれ開閉弁33が配置してあって、
これら各開閉弁33は、当該射出成形装置100の図1
に示した型が開放され始める前に閉じ、また型が閉じら
れてキャビティ60が完了する直前に開くものにしてあ
る。これらの開閉弁33は、キャビティ60内の減圧の
みを効率良くするためのものであるから、スライドブロ
ック40と真空ポケット31との間であればどこに設け
てもよいものである。なお、各開閉弁33の閉止動作
は、本実施形態に係る射出成形装置100では、固定型
10側の樹脂通路12内での樹脂材料に流れが停止した
ときに行うようにしている。
【0032】完成すべき樹脂成形品200に極薄部分2
10を形成するためには、当然スライドブロック40が
必要になる。本実施形態のスライドブロック40は、図
3に示したようなもので、図示上端にある中子43がキ
ャビティ60の中央に入ることにより樹脂成形品200
に極薄部分210を形成するのである。この中子43の
下端にはキャビティ60の下端を閉じるものとなる基台
が一体的に形成してあり、この基台には各可動型20側
の通気路23とベース型30側の通気路32とを連通さ
せるための通気路41が形成してある。そして、図1に
も示したように、これらの通気路41を囲むような状態
で基台の周面に円環状のシール溝42が三本形成してあ
って、これら各シール溝42内にはシール材50が装着
されるのである。
【0033】なお、このスライドブロック40の中子4
3及び基台の軸心には給気路43aが形成されることが
ある。すなわち、完成後の樹脂成形品200は中子43
の周囲に取付けられた状態で当該スライドブロック40
とともに型外に出されるのであるが、この樹脂成形品2
00は中子43から取り外さなければならない。この樹
脂成形品200が図6の(イ)に示したような両端が開
口したものであれば、中子43からの取り外しは簡単に
行えるのであるが、樹脂成形品200が図6の(ロ)に
示したような有底筒状のものである場合には、樹脂成形
品200と中子43との間に外気を入れないと簡単には
取り外せない。このため、図6の(ロ)のような有底筒
状の樹脂成形品200を成形する場合には、中子43や
基台の中心に給気路43aを形成しておいて、この給気
路43aから樹脂成形品200内に外気を導入しながら
樹脂成形品200の中子43からの取り外しを行えるよ
うにしているのである。
【0034】図5には、キャビティ60を横おきにする
場合の可動型20の部分斜視図が示してあり、この可動
型20では、図1で示した樹脂通路12及び注入口13
が当該可動型20側に形成してあるものである。すなわ
ち、この図5に示した可動型20では、樹脂成形品20
0にランナーが一体的に形成されるものなのである。
【0035】
【発明の効果】以上詳述した通り、まず請求項1に係る
発明においては、上記実施形態において例示した如く、
「溶融させた樹脂材料を加圧してキャビティ60内に注
入することにより、肉厚が0.7mm以下となる極薄部
分210を有する樹脂成形品200を成形する射出成形
方法であって、キャビティ60を構成する型の、少なく
とも極薄部分210に対応する合わせ面に、キャビティ
60内を減圧するための減圧ポケット22を形成してお
くとともに、キャビティ60を形成したときにこのキャ
ビティ60と減圧ポケット22とを連通させる2〜3μ
mの通気スリットを形成できるようにしておいて、キャ
ビティ60を完成する直前に通気スリット及び減圧ポケ
ット22を介してキャビティ60内の脱気を開始すると
ともに、キャビティ60完成直後に樹脂材料を注入させ
て、溶融した樹脂材料が極薄部分210に対応するキャ
ビティ60内にも充填されるようにした」ことにその特
徴があり、これにより、肉厚が0.7mm以下である極
薄部分210を有する樹脂成形品200を、その極薄部
分210に全く残留応力も損傷もないものとして成形す
ることのできる射出成形方法を提供することができるの
である。
【0036】また、請求項2に係る発明においては、
「溶融させた樹脂材料を加圧してキャビティ60内に注
入することにより、肉厚が0.7mm以下となる極薄部
分210を有する樹脂成形品200を成形するための射
出成形装置100であって、キャビティ60を形成する
ための型の合わせ面に、キャビティ60の少なくとも極
薄部分210を形成する部分のすぐ外側に位置したキャ
ビティ形成壁21と、このキャビティ形成壁21の外側
に位置した減圧ポケット22とを形成するとともに、こ
の型の合わせ面の、キャビティ形成壁21より外側にな
る部分を、キャビティ形成壁21の端面より1〜1.5
μm高くすることにより、キャビティ60を完成した型
間にキャビティ60と減圧ポケット22とを連通させる
2〜3μmの通気スリットを形成するようにした」こと
にその構成上の特徴があり、これにより、上記請求項1
に係る発明を具現化することができて、肉厚が0.7m
m以下である極薄部分210を有する樹脂成形品200
を、その極薄部分210に全く残留応力も損傷もないも
のとして成形することのできる射出成形装置100を提
供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出成形装置の型部分を示した断
面図である。
【図2】図1の型を構成している1つの可動型の斜視図
である。
【図3】同スライドブロックの斜視図である。
【図4】図2の1−1線に沿ってみた部分拡大横断面図
である。
【図5】キャビティを横方向にした場合の取り方例を示
す可動型の部分斜視図である。
【図6】本発明の射出成形装置によって成形される極薄
部分を有した樹脂成形品を示すもので、(イ)は単なる
筒状のものの縦及び横断面図、(ロ)は有底筒状の樹脂
成形品の縦及び横断面図である。
【符号の説明】
100 射出成形装置 10 固定型 11 ランナー取付板 12 樹脂通路 13 注入口 20 可動型 21 キャビティ形成壁 22 減圧ポケット 30 ベース型 31 真空ポケット 32 通気路 33 開閉弁 40 スライドブロック 41 通気路 42 シール溝 43 中子 43a 給気路 50 シール材 60 キャビティ 200 樹脂成形品 210 極薄部分

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融させた樹脂材料を加圧してキャビティ
    内に注入することにより、肉厚が0.7mm以下となる
    極薄部分を有する樹脂成形品を成形する射出成形方法で
    あって、 前記キャビティを構成する型の、少なくとも前記極薄部
    分に対応する合わせ面に、前記キャビティ内を減圧する
    ための減圧ポケットを形成しておくとともに、前記キャ
    ビティを形成したときにこのキャビティと前記減圧ポケ
    ットとを連通させる2〜3μmの通気スリットを形成で
    きるようにしておいて、 前記キャビティを完成する直前に前記通気スリット及び
    減圧ポケットを介して前記キャビティ内の脱気を開始す
    るとともに、前記キャビティ完成直後に前記樹脂材料を
    注入させて、溶融した前記樹脂材料が前記極薄部分に対
    応するキャビティ内にも充填されるようにしたことを特
    徴とする射出成形方法。
  2. 【請求項2】溶融させた樹脂材料を加圧してキャビティ
    内に注入することにより、肉厚が0.7mm以下となる
    極薄部分を有する樹脂成形品を成形するための射出成形
    装置であって、 前記キャビティを形成するための型の合わせ面に、前記
    キャビティの少なくとも前記極薄部分を形成する部分の
    すぐ外側に位置したキャビティ形成壁と、このキャビテ
    ィ形成壁の外側に位置した減圧ポケットとを形成すると
    ともに、 この型の合わせ面の、前記キャビティ形成壁より外側に
    なる部分を、前記キャビティ形成壁の端面より1〜1.
    5μm高くすることにより、前記キャビティを完成した
    型間に前記キャビティと減圧ポケットとを連通させる2
    〜3μmの通気スリットを形成するようにしたことを特
    徴とする射出成形装置。
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CN108437356A (zh) * 2018-03-13 2018-08-24 苏州精锐精密机械有限公司 注塑模具

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108437356A (zh) * 2018-03-13 2018-08-24 苏州精锐精密机械有限公司 注塑模具
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