JPH09239183A - ミシン - Google Patents

ミシン

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JPH09239183A
JPH09239183A JP7515696A JP7515696A JPH09239183A JP H09239183 A JPH09239183 A JP H09239183A JP 7515696 A JP7515696 A JP 7515696A JP 7515696 A JP7515696 A JP 7515696A JP H09239183 A JPH09239183 A JP H09239183A
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孝 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸選択や糸通しを自動化し、ミシン動作の途
中で糸を使い終ったような場合でも次なる糸を円滑に糸
通しできるようにする。 【解決手段】 ミシン本体1のヘッド部3には糸道形成
機構13と共に糸さばきレバー71を設け、ミシン針へ
の糸通し時には糸さばきレバー71を天秤11に接近さ
せ、糸通し後には糸さばきレバー71を糸さばきモータ
72により下向きに回動し、天秤11から大きく離間さ
せる。また、ガイドホルダ44には各糸調子45の下側
に位置して各糸費消センサ47を列設し、上糸43がミ
シン動作で順次消費され使い終った状態になったか否か
を各糸費消センサ47により検出する。そして、同一種
類の上糸43を各チーズケース41内に予め収納してお
くことにより、糸の費消後にも同一種類の上糸43を必
要に応じて円滑に補給できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば布等の縫製
機または刺繍機として好適に用いられるミシンに関し、
特に、ミシン針の針孔に対して上糸等を自動的に挿通で
きるようにしたミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ミシン本体と、該ミシン本体に
設けられミシン針を往復動させつつ、天秤を揺動させる
ヘッド部と、該ヘッド部上に設けられ、複数の上糸をそ
れぞれ個別に収納する糸収納部とからなり、該糸収納部
の各上糸に対応して前記ヘッド部の下端側には複数本の
ミシン針を設け、該各ミシン針に対して糸収納部からの
各糸を予め個別に挿通(糸通し)した状態で該各ミシン
針のうちいずれか一のミシン針を針選択機構により選択
的に駆動するようにした縫製機または刺繍機等のミシン
は知られている。
【0003】そして、この種の従来技術によるミシンで
は、前記ヘッド部の下端側に設けた複数本のミシン針に
対して、前記糸収納部からの各糸を予め手動操作等によ
って個別に糸通しを行い、この状態で各ミシン針のうち
いずれか一のミシン針を針選択機構で選択しつつ、選択
したミシン針をヘッド部で運針させることにより布等に
縫製を施すようにしている。
【0004】この場合、前記糸収納部には複数本の上糸
用ボビンが回転可能に配設され、該各ボビンには互いに
種類の異なる上糸がそれぞれ巻回されると共に、使用頻
度の高い上糸が2〜3本程度のボビンに巻回され、これ
らの各ボビンが前記糸収納部内に収められている。そし
て、前記針選択機構でミシン針の選択を行ったときに
は、これらの各ボビンから上糸が個別に繰り出され、前
記布等に対して縫製による縫い目を形成することにな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術にあっては、ミシン本体のヘッド部に複数のミシ
ン針を設け、該各ミシン針に対して糸収納部からの各糸
を予め手動等で個別に糸通しを行った後に、縫製作業に
先立って各ミシン針のいずれかを針選択機構で選択する
構成としているから、ヘッド部全体が大型化するばかり
でなく、ヘッド部に設けた複数本のミシン針には予め特
定の上糸をそれぞれ手作業で挿通しておく必要があり、
縫製作業または刺繍作業等を自動化する上で大きな障害
になるという問題がある。
【0006】また、例えば特開昭61−89365号公
報、特開平6−154453号公報、特開平6−182
077号公報および特開平7−671号公報等に記載さ
れたミシン(以下、他の従来技術という)では、例えば
ヘッド部に設けた1本のミシン針に対して複数の糸のい
ずれかを選択的に挿通できるようにし、ヘッド部全体の
小型化を図るようにする提案がなされている。
【0007】しかし、このような他の従来技術にあって
も、縫製作業の途中で糸切れが発生したときに、ミシン
針から古い糸を抜き取って新しい糸をミシン針に自動的
に糸通しするのが難しく、特に、新しい糸の先端側に糸
端を整形(形成)しつつ、整形した糸端側をミシン針の
針孔に向けて円滑に誘導し高い確率で糸通しするのが難
しいという問題がある。
【0008】また、縫製作業の途中で使用中の糸が完全
に消費され、糸を使い終ったような場合には、糸張力が
低下することにより糸切れとしては検出できるが、糸が
完全に消費されたことにより糸切れが生じたのか否かは
判別できず、その後の縫製作業を効率的に行うことが難
しくなるという問題がある。
【0009】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明はヘッド部に設けたミシン針に対
して複数の糸のいずれかを選択的に挿通でき、ヘッド部
全体を小型化できると共に、ミシン動作の途中で糸を使
い終ったような場合でも円滑に対処でき、糸選択や糸通
しを自動化できるようにしたミシンを提供することを目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1に記載の発明は、ミシン本体と、該ミ
シン本体に設けられミシン針を往復動させつつ、天秤を
揺動させるヘッド部と、該ヘッド部に設けられ少なくと
も前記天秤およびミシン針に糸を挿通するための糸道を
形成する糸道形成手段と、複数の糸をそれぞれ個別に収
納する糸収納手段と、該糸収納手段に収納した複数の糸
を前記糸道形成手段による糸道の一端側に向けてそれぞ
れ個別に導くための糸案内手段と、該糸案内手段により
導かれた複数の糸のうち、いずれか一の糸を選択する糸
選択手段と、該糸選択手段で選択した糸を前記糸道の一
端側に向け予め決められた送り量をもって送り出す糸送
出手段と、該糸送出手段で送り出された糸の先端側を切
断して糸端の形状を整える糸端整形手段と、前記糸道内
に気体を流通させることにより前記糸を糸道の他端側に
向けて誘導し該糸を糸端側から前記ミシン針に挿通する
糸誘導手段と、前記糸収納手段に収納した複数の糸うち
少なくともいずれか一の糸を前記ミシン本体のミシン動
作により使い終えたか否かを糸の費消として検出する糸
費消検出手段とからなる構成を採用している。
【0011】このように構成することにより、糸収納手
段から糸案内手段を介して導かれる複数の糸のうち、い
ずれか一の糸を糸選択手段で選択したときに、この選択
した糸を糸送出手段によって糸道の一端側に向け予め決
められた送り量分だけ送り出しつつ、糸端整形手段によ
り糸送出手段で送り出された糸の先端側を切断して糸端
の形状を整えることができる。そして、この状態で前記
糸道内に気体を流通させることにより、糸端が整形され
た糸を糸道の他端側に向け糸誘導手段で円滑に誘導で
き、この糸を糸端側からミシン針の針孔に挿通すること
ができる。また、ミシン本体のミシン動作により使用中
の糸を使い終ったような場合には、これを糸の費消とし
て糸費消検出手段で検出でき、例えば糸収納手段に収納
した同一種類の糸を前記糸選択手段で選択しつつ、この
糸をミシン針に自動糸通しすることができる。
【0012】さらに、請求項2に記載の発明では、前記
糸案内手段で導かれる各糸の糸位置を予め記憶すること
によりその記憶内容に基づいて前記糸選択手段を作動さ
せる糸選択制御手段を備え、該糸選択制御手段は、前記
糸費消検出手段で糸の費消を検出したときに、前記糸位
置の記憶内容に基づき次なる糸を前記糸選択手段で選択
させつつ前記糸送出手段、糸端整形手段および糸誘導手
段を順次作動させる構成としている。
【0013】これにより、糸選択制御手段では糸案内手
段で導かれる各糸の糸位置を予め記憶しているから、前
記糸費消検出手段で糸の費消を検出したときに、前記糸
位置の記憶内容に基づき次なる糸を前記糸選択手段で選
択させつつ前記糸送出手段、糸端整形手段および糸誘導
手段を順次作動させることができ、例えば同一種類の糸
を糸収納手段に予め収納しておくことにより、糸の費消
後にも同一種類の糸を必要に応じて円滑に補給すること
ができる。
【0014】さらにまた、請求項3に記載の発明では、
前記糸端整形手段と糸道との間に、前記糸誘導手段で新
しい糸を糸道に沿って誘導する前に、前記糸道形成手段
側に残った古い糸を該糸道形成手段の外部に吸引する糸
吸引除去手段を設け、該糸吸引除去手段は、前記糸費消
検出手段により糸の費消を検出したときに前記糸道形成
手段側に残留した糸を外部に吸引除去する構成としてい
る。
【0015】これにより、ミシン動作の途中で使用中の
糸を費消して使い終った場合でも、これを糸費消検出手
段で検出しつつ、前記糸道形成手段側に残留した糸の一
部を糸吸引除去手段で外部に吸引除去することができ、
その後に糸誘導手段で新しい糸を糸道に沿って誘導する
ときに、前回の古い糸が糸道の途中等に挟まって滞留し
たりするのを確実に防止できる。
【0016】一方、請求項4に記載の発明では、前記ミ
シン針に糸が挿通されたか否かを検出する糸通し検出手
段と、該糸通し検出手段からの信号に基づき前記ミシン
針への糸通し後に前記糸誘導手段による気体の流通を停
止させ、前記糸道形成手段による糸道を開放する糸道開
放手段とを備える構成としている。
【0017】これにより、糸通し検出手段でミシン針に
対する糸の挿通を検出したときには糸道開放手段を自動
的に作動させることができ、前記糸誘導手段による気体
の流通を停止できると共に、糸道形成手段による糸道を
自動的に開放でき、この状態でミシン動作を行わせるこ
とにより、ミシン針への糸供給を円滑に行うことができ
る。
【0018】また、請求項5に記載の発明では、前記糸
道形成手段は、前記ヘッド部に固定して設けられた固定
部と、該固定部に対して衝合、離間可能に設けられた可
動部と、前記固定部に対する該可動部の衝合面側に断面
U字状の細溝として形成され少なくとも前記天秤の前,
後に亘って曲線状または直線状に延びる糸道とからな
り、前記糸道開放手段は、前記固定部に対して衝合状態
にある可動部を該固定部から離間させることにより前記
糸道を開放する構成としている。
【0019】これにより、糸道形成手段で糸道を形成し
たときには、互いに衝合状態となる可動部と固定部との
間に少なくとも天秤の前,後に亘って曲線状または直線
状に延びる糸道を形成でき、該糸道に沿って糸を誘導す
ることによりミシン針に対する糸通しを円滑に行うこと
ができる。特に、この場合の糸道は可動部の衝合面側に
断面U字状の細溝として形成しているから、前記糸誘導
手段で糸道内に気体を流通させたときに、可動部側の糸
道(断面U字状の細溝)と固定部の衝合面(壁面)との
間で、該固定部の壁面に沿って気体を噴流のように流が
すことができ、このときの噴流により糸道のほぼ中心位
置に沿って糸を下流側へと円滑に誘導することができ
る。また、ミシン針への糸通し後に糸道開放手段で前記
可動部を移動させ固定部から離間させるときには、前記
可動部の衝合面側に形成した断面U字状の糸道内から糸
を自動的に離脱させることができる。
【0020】さらに、請求項6に記載の発明では、前記
ヘッド部には、前記ミシン針に対する糸通し後に糸のた
るみを吸収するため、先端側が前記天秤に対して接近,
離間する糸掛け部となり基端側が回動中心となった糸さ
ばきレバーを設け、該糸さばきレバーは、前記糸誘導手
段によるミシン針への糸通し時に予め前記糸掛け部を天
秤に接近した前記糸道の途中位置に配置し、前記ミシン
針への糸通し後には前記糸掛け部を天秤から離間させる
ように回動し前記糸のたるみを吸収する構成としてい
る。
【0021】これにより、糸通し検出手段でミシン針に
対する糸の挿通を検出したときには糸道開放手段を作動
させ、前記糸道形成手段による糸道を自動的に開放でき
ると共に、糸さばきレバーを回動して糸掛け部を天秤か
ら離間させることにより、前記曲線状の糸道等に沿って
たるみ状態にある糸を、前記天秤と糸さばきレバーの糸
掛け部との間で引っ張ることができ、その後のミシン動
作時には糸に張力を与えてミシン針への糸供給を円滑に
行うことができる。
【0022】さらにまた、請求項7に記載の発明では、
前記糸案内手段の途中位置に、前記糸収納手段から前記
糸道形成手段の糸道へと導かれる糸に対して予め決めら
れた張力を与える糸張力調整手段を設け、該糸張力調整
手段は、前記ミシン本体のミシン動作時に前記天秤と協
働して縫い目の糸締めと糸の繰り出しとを行う構成とし
ている。
【0023】これにより、糸案内手段側に設けた糸張力
調整手段で糸に対して張力を付与できるから、例えば前
記糸道形成手段による糸道の途中等に糸調子等の糸張力
調整手段を別途設ける必要がなくなり、糸道形成手段に
よる糸道の形状をきわめて単純な形状にすることができ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0025】ここで、図1ないし図10は本発明の第1
の実施例によるミシンを、刺繍機として用いた場合を例
に挙げて示している。
【0026】図において、1は刺繍機の本体部を構成す
るミシン本体を示し、該ミシン本体1は、基台2と、該
基台2上に設けられたヘッド部3とから構成されてい
る。そして、ミシン本体1のヘッド部3は、基台2上に
固着された大端部3Aと、該大端部3Aの上端側から基
台2と略平行に延びた腕部3Bと、該腕部3Bの先端側
から下向きに突出し基台2上の刺繍枠(図示せず)と対
向する小端部3Cとから大略構成されている。
【0027】4はヘッド部3の腕部3B基端側に設けら
れた弾み車を示し、該弾み車4はヘッド部3の腕部3B
内を小端部3C側に向けて伸長する主軸(図示せず)に
連結され、この主軸は基台2側に設けた後述の主軸モー
タ73(図8参照)によって弾み車4と共に回転駆動さ
れる。
【0028】ここで、ヘッド部3の小端部3C内には主
軸の回転を上,下の往復運動に変換する駆動部(図示せ
ず)が設けられ、この駆動部は後述の天秤11を上,下
に揺動させると共に、小端部3Cの下端側から基台2側
に向けて図2に示す如く突出した針軸5およびミシン針
6を上,下に駆動する構成となっている。また、基台2
内にはミシン針6の先端と対向する位置に針板7および
下糸(図示せず)が巻回された下糸ボビン8等が配設さ
れている。
【0029】9は腕部3Bの先端側に位置してヘッド部
3の前面側に設けられた糸調子を示し、該糸調子9は図
4および図6に示すように、外周側に後述の上糸43を
引っ掛けることにより上糸43に張力を与える糸取りば
ね10を備え、上糸43を天秤11側に向けて低摩擦給
糸による糸補給を行うものである。そして、糸調子9は
上糸43に、例えば25〜50g程度の張力を与え、ミ
シン針6等により上糸43がこの張力を越えて引っ張ら
れるときに、天秤11側に向けて上糸43が給糸される
のを許すようになっている。
【0030】11はヘッド部3の小端部3C前面側に配
設された天秤を示し、該天秤11はヘッド部3の駆動部
によりミシン針6とほぼ同期して上,下に揺動され、下
向きに揺動するときにはミシン針6との間で上糸43に
僅かなたるみを与え、上糸43をミシン針6側に給糸さ
せる。また、天秤11は上向きに揺動されるときに、ミ
シン針6により刺繍布上に形成した縫い目(いずれも図
示せず)と糸調子9等との間で上糸43を引っ張り上げ
るようにして該上糸43に張力を与え、前記縫い目の糸
締めと上糸43の繰り出しとを行うようになっている。
【0031】12は天秤11よりも下側の位置でヘッド
部3の小端部3C前面に固定して設けられた糸掛けで、
該糸掛け12は天秤11の糸穴11Aに挿通された上糸
43を小端部3Cの下端前面側に摺動可能に掛止めし、
天秤11の糸穴11Aからミシン針6の針孔6Aに向け
て上糸43を円滑に給糸させるものである。
【0032】13は腕部3Bの先端側および小端部3C
の前面側に設けられた糸道形成機構を示し、該糸道形成
機構13は図4ないし図6等に示す如く、ヘッド部3の
小端部3Cに固定して設けられた固定部としての固定板
14と、該固定板14に対してガイド15,15,…を
介して衝合、離間可能に配設された可動部としての可動
板16とからなり、該可動板16には固定板14との衝
合面側に位置して糸道としての蛇行状糸道17が形成さ
れている。そして、該蛇行状糸道17は可動板16の衝
合面に、例えば0.5〜1mm程度の深さをもった断面
U字状の凹溝を刻設することにより天秤11等の前,後
に亘って曲線状または直線状に延びる細溝として形成さ
れている。
【0033】ここで、蛇行状糸道17は図6に示すよう
に、後述する糸導入検知器63の位置から下向きに延び
る直線状糸道部17Aと、該直線状糸道部17Aの下端
側から糸調子9の周囲に沿って曲線状に延び、糸取りば
ね10等に上糸43を挿通するための糸調子用糸道部1
7Bと、該糸調子用糸道部17Bの先端側から天秤11
の前,後に亘り略U字状またはV字状をなして延び、天
秤11の糸穴11Aに上糸43を挿通させるための天秤
用糸道部17Cとからなり、該天秤用糸道部17Cの先
端側は糸掛け12の位置へと下向きに開口している。
【0034】この場合、糸道形成機構13の固定板14
と可動板16とはそれぞれの衝合面が平滑面として形成
され、互いに気密状態で衝合可能となっている。そし
て、糸道形成機構13の可動板16は後述のアクチュエ
ータ18等により図5中の矢示A1 方向に押動され、固
定板14の衝合面上に可動板16の衝合面を気密状態で
密着させることにより、蛇行状糸道17を固定板14と
の間にエア通路として形成する。また、糸道形成機構1
3の固定板14と可動板16とには、天秤11等が上,
下に揺動するのを許す後述の天秤用ガイド穴70等が形
成されている。
【0035】18は糸道形成機構13の固定板14と可
動板16との間に設けられた糸道開放手段としてのアク
チュエータを示し、該アクチュエータ18は外部からエ
ア圧が給排されることにより可動板16を各ガイド15
に沿って矢示A1 ,A2 方向に駆動し、該可動板16を
固定板14に対して衝合または離間させる。そして、ア
クチュエータ18は図5に示す如く、可動板16を固定
板14から矢示A2 方向に離間させることにより蛇行状
糸道17を開放し、上糸43を蛇行状糸道17からフリ
ーな状態とする。
【0036】ここで、蛇行状糸道17は可動板16の衝
合面側に断面U字状の細溝として形成しているから、ミ
シン針6への糸通し後にアクチュエータ18で可動板1
6を矢示A2 方向に移動させ固定板14から離間させる
ときに、蛇行状糸道17内から上糸43を自動的に離脱
させることができ、ミシン針6の駆動時に上糸43が蛇
行状糸道17に引っ掛かったりするのを防止するように
なっている。そして、この状態では天秤11の揺動に応
じて糸調子9等により上糸43に張力が付与され、該上
糸43はミシン針6側に向けて低摩擦給糸される。
【0037】19はヘッド部3の小端部3C前面側に設
けられた他の糸道形成機構を示し、該糸道形成機構19
は図4ないし図6に示す如く、小端部3Cの下端側に固
定されミシン針6の位置まで下向きに延びた固定部とし
ての固定板20と、該固定板20に対しガイド21,2
1を介して衝合、離間可能に配設された可動部としての
可動板22とからなり、該可動板22には固定板20と
の衝合面側に位置して下向きに延びる中継糸道23が、
例えば0.5〜1mm程度の深さをもった断面U字状の
凹溝からなる細溝として形成されている。
【0038】ここで、中継糸道23は図5および図6等
に示すように、上端側が天秤用糸道部17Cの先端(下
端)側に対向して開口し下端側が下向きに延びる直線状
糸道部23Aと、該直線状糸道部23Aの下端側から一
定の曲率をもって略L字状に屈曲し後述の糸姿勢矯正器
25に向けて水平方向に延びる曲線状糸道部23Bとか
ら構成されている。なお、糸道形成機構19の固定板2
0および可動板22は細長い平板状に形成され、その下
端側は中継糸道23の曲線状糸道部23Bに沿って略L
字状に湾曲している。また、糸道形成機構19の固定板
20および可動板22についてもそれぞれの衝合面が平
滑面として形成され、互いに気密状態で衝合可能となっ
ている。
【0039】24は糸道形成機構19の固定板20と可
動板22との間に設けられた糸道開放手段としてのアク
チュエータを示し、該アクチュエータ24は外部からエ
ア圧が給排されることにより可動板22を各ガイド21
に沿って駆動し、該可動板22を固定板20に対して衝
合または離間させる。そして、アクチュエータ24によ
り可動板22を固定板20に図6に示す如く衝合させた
ときには、可動板22と固定板20との間に中継糸道2
3がエア通路として形成され、可動板22を固定板20
から図6中の矢示B方向に離間させたときには、中継糸
道23が開放され上糸43を中継糸道23からフリーな
状態とする。
【0040】25は糸道形成機構19の下端側とミシン
針6との間に進退可能に配設された糸姿勢矯正部として
の糸姿勢矯正器を示し、該糸姿勢矯正器25は図5ない
し図9に示す如く、後述する揺動アーム37の延長部3
7A上に設けられ上,下に2分割されるノズル半割体2
6A,26Bと、該ノズル半割体26A,26B間に形
成されミシン針6の針孔6Aに向けて直線状に延びるノ
ズル状糸道27と、ノズル半割体26A,26Bに隣接
して揺動アーム37の延長部37A上に設けられノズル
半割体26A,26Bを上下方向で衝合、離間させるエ
アシリンダ等の矯正シリンダ28とから構成されてい
る。
【0041】そして、該矯正シリンダ28は図5に示す
如くノズル半割体26A,26Bを互いに衝合させたと
きに該ノズル半割体26A,26B間にノズル状糸道2
7を形成し、該ノズル状糸道27はこの状態で一端側が
曲線状糸道部23Bの先端側に正対し他端側がミシン針
6の針孔6Aと正対する。また、矯正シリンダ28によ
ってノズル半割体26Bをノズル半割体26Aから上方
に離間させたときにはノズル状糸道27が開放され、該
ノズル状糸道27から上糸43をフリーな状態とする。
【0042】さらに、ノズル半割体26Aの一端側には
エア導入口26Cが形成され、該エア導入口26Cは外
部の圧気源からのエアをエア給排弁(いずれも図示せ
ず)等を介してノズル状糸道27の下流側に向け噴出さ
せる。そして、糸姿勢矯正器25はノズル状糸道27の
一端側を曲線状糸道部23Bの先端側に正対させ、他端
側をミシン針6の針孔6Aと正対させた状態で、エア導
入口26Cからのエアをノズル状糸道27の下流側に向
けて噴出させることにより、上糸43の糸姿勢をノズル
状糸道27内で直線状に矯正しつつ、後述の糸吸引器3
0と協働して上糸43をミシン針6の針孔6Aに挿通さ
せる。
【0043】29,29,…はノズル半割体26A,2
6Bに形成されたエア逃し孔で、該各エア逃し孔29は
一端側がノズル状糸道27の中間部位に連通し、他端側
が一定の傾斜角をもってノズル半割体26A,26Bの
下流側へと延び外部に開口している。そして、該各エア
逃し孔29はノズル状糸道27内に前記エアが滞留する
と、このエアをノズル半割体26A,26Bの外部に排
出させることによりノズル状糸道27内での円滑なエア
の流れを補償している。
【0044】30はミシン針6の針孔6Aを挟んで糸姿
勢矯正器25のノズル状糸道27と対向するように揺動
アーム37に取付けられた糸吸引部としての糸吸引器
で、該糸吸引器30は一端側が小径の糸吸引孔30Aと
なってミシン針6の針孔6Aに対向し、他端側は上糸4
3の引出部30Bとなっている。また、糸吸引器30の
長さ方向中間部にはエア導入口30Cが形成され、該エ
ア導入口30Cは前記圧気源からのエアを引出部30B
側に向けて流通させる。そして、このときのエア流によ
り糸吸引孔30A側には負圧が発生し、これによって糸
姿勢矯正器25からの上糸43はミシン針6の針孔6A
に挿通されつつ、糸吸引孔30Aを介して引出部30B
の位置まで導かれることになる。
【0045】ここで、糸姿勢矯正器25および糸吸引器
30は前記糸道形成機構13,19と共に糸道形成手段
を構成し、糸姿勢矯正器25の矯正シリンダ28は糸道
開放手段の一部を構成しているものである。また、エア
導入口26C,30Cおよび各エア逃し孔29は後述の
給排ノズル66〜69等と共に上糸43の糸誘導手段を
構成し、気体としてのエア流により上糸43をミシン針
6の針孔6Aに向けて誘導するものである。
【0046】31は糸吸引器30の引出部30Bに対向
して揺動アーム37に設けられた糸通し検出手段として
の糸通し検知器を示し、該糸通し検知器31は光センサ
等からなり、糸吸引器30の引出部30Bから上糸43
の先端側が引出されているか否かを検知することによっ
て、ミシン針6に上糸43が挿通されたか否かを検出す
るものである。そして、糸通し検知器31はミシン針6
に上糸43が挿通されたことを検出すると、糸通し完了
信号を後述のコントローラ76(図示せず)に出力し、
後述の位置決めモータ32等を作動させる。
【0047】32はヘッド部3の小端部3C背面側に支
持プレート33を介して取付けられた位置決めモータを
示し、該位置決めモータ32はステッピングモータ等か
らなり、回転軸32Aの一端側には駆動ギヤ34が固着
されている。また、回転軸32Aの他端側には手動つま
み32Bが設けられ、該手動つまみ32Bは位置決めモ
ータ32の回転軸32Aを手動で適宜に回転できるよう
になっている。
【0048】35は位置決めモータ32の下側にブラケ
ット等を介して取付けられた軸受装置、36は該軸受装
置35に回転可能に支持された従動ギヤを示し、該従動
ギヤ36は駆動ギヤ34に噛合し位置決めモータ32に
よって回転される。
【0049】37は基端側が従動ギヤ36に固着され、
先端側が下方に延びた連結部材としての揺動アームを示
し、該揺動アーム37の先端側には図5に示す如く、ミ
シン針6の下側を水平方向に延びた延長部37Aが一体
に設けられ、該延長部37Aは糸姿勢矯正器25と糸吸
引器30とを一体的に支持する構成となっている。そし
て、揺動アーム37は位置決めモータ32により図7に
示す矢示C方向に揺動され、糸姿勢矯正器25と糸吸引
器30とを図7中に実線で示す糸吸引位置と二点鎖線で
示す退避位置とに進退させるものである。
【0050】ここで、揺動アーム37は位置決めモータ
32等と共に糸姿勢矯正器25、糸吸引器30の糸道開
放機構38を構成し、該糸道開放機構38はミシン針6
への糸通し後に前記蛇行状糸道17、中継糸道23およ
びノズル状糸道27等を開放する糸道開放手段を前記ア
クチュエータ18,24と共に構成している。
【0051】39,40は揺動アーム37の揺動位置を
検出する位置検出器を示し、位置検出器39は糸姿勢矯
正器25と糸吸引器30とが図7中に実線で示す糸吸引
位置に達したか否かを揺動アーム37を介して検出し、
位置検出器40は糸姿勢矯正器25と糸吸引器30とが
図7中に二点鎖線で示す退避位置に達したか否かを揺動
アーム37を介して検出するものである。
【0052】41,41,…はミシン本体1のヘッド部
3から離間して所定位置に配設された糸収納手段となる
チーズケースを示し、該各チーズケース41は図1に示
す如くヘッド部3の上方に合計10〜15個程度設けら
れ、その上端側には後述する各糸案内チューブ46の基
端側が接続されている。そして、各チーズケース41内
にはそれぞれボビン42を介して糸としての上糸43が
巻回状態で収納され、これらの各上糸43は互いに種類
(色)の異なる糸等で構成されている。なお、各チーズ
ケース41内に収納した各上糸43のうち使用頻度の高
い上糸43については同一種類(色)のものを、例えば
2本のチーズケース41内にボビン42を介して収納し
ている。
【0053】44は各チーズケース41から離間してヘ
ッド部3の上方に配設された糸案内手段としての上糸4
3用のガイドホルダを示し、該ガイドホルダ44には図
1および図2に示す如く、各チーズケース41に対応し
た個数の糸調子45,45,…と糸案内チューブ46,
46,…の先端側とが取付けられ、該各糸案内チューブ
46の基端側は各チーズケース41の上端側に接続され
ている。そして、各チーズケース41からの上糸43は
各糸案内チューブ46を介して各糸調子45へと案内さ
れ、該各糸調子45により一定の張力が付与された状態
で後述の各糸保持器55に導かれる。
【0054】47,47,…は各糸調子45の下側に位
置してガイドホルダ44に取付けられた糸費消検出手段
としての糸費消センサを示し、該各糸費消センサ47は
光センサ等からなり、図2に示すように各糸調子45に
対応する個数をもってガイドホルダ44の長さ方向に列
設されている。また、各糸費消センサ47の前,後には
上下方向に離間して平板状の糸掛け48,48が配設さ
れ、各糸調子45からの上糸43は前,後の糸掛け4
8,48等を介して張力を与えた状態で各糸費消センサ
47内に挿通されている。
【0055】ここで、各糸費消センサ47はそれぞれの
内部に上糸43が挿通されているか否かを検知すること
により、各チーズケース41内に収納したそれぞれの上
糸43がミシン動作により完全に消費されたか、即ち上
糸43がミシン動作で順次消費され使い終った状態にな
ったか否かを糸導入検知器63よりも上流側で検出する
ものである。この結果、ミシン本体1のヘッド部3側で
上糸43に糸切れが発生したとしても、この場合には各
糸費消センサ47内には上糸43が挿通されたまま保持
されるから、糸切れ時と糸費消(使い終り)時とをコン
トローラ76側で確実に識別できるようになる。
【0056】49は各チーズケース41から導かれる各
上糸43のうち、いずれか一の上糸43を選択する糸選
択手段としての上糸選択機構で、該上糸選択機構49は
図2ないし図4に示す如く、ガイドホルダ44と糸導入
検知器63との間に位置してミシン本体1のヘッド部3
上に移動可能に配設されたスライダ50と、該スライダ
50をラック51、ピニオン52等を介してヘッド部3
の横方向(図3中の矢示D方向)にスライドさせる糸選
択モータ53とから大略構成されている。
【0057】ここで、糸選択モータ53はステッピング
モータ等からなり、スライダ50をラック51、ピニオ
ン52等を介してヘッド部3の横方向(矢示D方向)に
定ピッチでスライドさせることにより、前記各上糸43
のうちいずれか一の上糸43を後述する送出しローラ5
7の位置に選択的に移動させる。
【0058】54はスライダ50に回転可能に設けられ
たガイドローラで、該ガイドローラ54は後述の押付シ
リンダ60により図4中に実線で示す作動位置と点線で
示す非作動位置とに進退され、作動位置では送出しロー
ラ57に従動して回転することにより該送出しローラ5
7との間で選択した上糸43が後述の糸導入器62側に
向けて送り出されるのを補償するものである。また、ガ
イドローラ54は非作動位置に後退したときに送出しロ
ーラ57から離間し、該送出しローラ57による上糸4
3の送り出しを停止させるようになる。
【0059】55,55,…は各チーズケース41から
導かれる各上糸43の先端側を一時的に保持する糸保持
手段としての糸保持器を示し、該各糸保持器55は図2
に例示するようにスライダ50上に各チーズケース41
(各糸調子45)に対応する個数をもって一列に配設さ
れている。そして、各糸保持器55は前記各上糸43の
うち、上糸選択機構49で選択した上糸43が糸導入器
62側に送り出されるのを許すと共に、残余の各上糸4
3を待機状態に保持する構成となっている。
【0060】56は上糸選択機構49で選択した上糸4
3を糸導入器62側に送り出す糸送出手段としての上糸
送出機構を示し、該上糸送出機構56は図4に示す如
く、ガイドローラ54との間で上糸43の先端側を挟持
する送出しローラ57と、該送出しローラ57をベルト
58等を介して回転駆動する駆動モータ59とから大略
構成されている。
【0061】ここで、駆動モータ59はステッピングモ
ータ等からなり、前記ガイドローラ54が作動位置にあ
るときに送出しローラ57を一定の回転量をもって回転
駆動する。そして、該送出しローラ57はこのときにガ
イドローラ54との間で上糸43を挟持しつつ、該ガイ
ドローラ54と共に定回転することにより、前記上糸4
3を糸導入器62側に向けて予め決められた送り量分だ
け送り出す構成となっている。
【0062】60は前記ガイドローラ54を送出しロー
ラ57に対して進退させる押付シリンダを示し、該押付
シリンダ60は図4に示す如く、ロッド60Aを上,下
に伸縮させるエアシリンダ等によって構成され、ロッド
60Aの伸長時にはアーム61を介してガイドローラ5
4を作動位置へと揺動させる。そして、ガイドローラ5
4はこのときに送出しローラ57へと押付けられ、送出
しローラ57に従動して回転する。また、押付シリンダ
60のロッド60Aが縮小したときには、ガイドローラ
54がアーム61を介して図4中に点線で示す非作動位
置へと後退し、このときにガイドローラ54は送出しロ
ーラ57から離間して該送出しローラ57による上糸4
3の送出しを停止させる。
【0063】62,62,…はミシン本体1のヘッド部
3と送出しローラ57との間に配設された糸導入器を示
し、該各糸導入器62は図2中に例示する如く、各糸保
持器55と上,下で対向するように各糸保持器55に対
応する個数をもって一列に配設されている。そして、各
糸導入器62は上糸43の選択時に上糸選択機構49の
スライダ50と共に矢示D方向に移動され、各糸導入器
62のうちいずれか一の糸導入器62(選択した上糸4
3に対応した糸導入器62)が糸導入検知器63と上,
下で対向するようになる。
【0064】また、各糸導入器62は外部からエアが給
排されることにより、該糸導入器62内に糸導入検知器
63側に向けたエア流を発生させ、このときのエア流に
よって上糸43が糸導入器62内に挿通(誘導)され
る。そして、送出しローラ57から一定の送り量をもっ
て送り出された上糸43の先端側は糸導入器62内に挿
通された状態で、さらに下向きに送り出されることによ
り糸導入検知器63を介して糸道形成機構13の直線状
糸道部17A内へと導入されるようになる。
【0065】63は糸導入器62と糸道形成機構13の
直線状糸道部17Aとの間に配設された糸導入検知器を
示し、該糸導入検知器63は光センサ等からなり、前記
上糸43の先端側が糸導入器62を介して直線状糸道部
17A内に導入されたか否かを検出する。
【0066】64は糸導入検知器63の下側に位置して
直線状糸道部17Aの上端側に進退可能に配設された糸
端整形手段としての糸切り機構を示し、該糸切り機構6
4は糸導入検知器63により上糸43の先端側を検出し
たときに、図6に示す作動位置へと矢示E1 方向に進出
し、直線状糸道部17A内に導入された上糸43の先端
側を強制的に切断するものである。
【0067】ここで、糸切り機構64はソレノイド等の
電磁アクチュエータによって駆動され、直線状糸道部1
7A内で上糸43の先端側を切断することにより、この
上糸43の先端側にエッジ状の糸端を形成(整形)す
る。また、糸切り機構64は上糸43の先端側に糸端を
形成(整形)した後に、図6に示す矢示E2 方向へと後
退し給排ノズル66,67等からのエアにより上糸43
が蛇行状糸道17内へと円滑に誘導されるのを補償す
る。
【0068】65は糸切り機構64の下側に位置して糸
道形成機構13の固定板14と可動板16との間に配設
された糸吸引除去手段としての糸吸取り器を示し、該糸
吸取り器65は図4および図6に示すように、一端側が
給排ノズル66の近傍位置に開口し他端側が糸道形成機
構13の外部に開口するノズル筒として構成されてい
る。そして、糸吸取り器65は糸切り機構64の作動時
等に前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア流を発生
させ、前記上糸43の先端側から糸切り機構64により
切断された糸屑を矢示F方向に外部へと排出させる。
【0069】また、ミシン動作の途中等で糸切れや糸費
消(上糸43の使い終り)が発生したときにも、糸吸取
り器65は前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア流
を発生させることにより、例えばミシン駆動時に糸道形
成機構13の固定板14と可動板16との間を通過して
ミシン針6側に供給されていた糸(これまで使用してい
た古い糸)を矢示F方向に吸取るように吸引し、糸道形
成機構13内に残った古い糸を外部へと排出させる。
【0070】66,67は蛇行状糸道17の途中に配設
された糸誘導手段としての給排ノズルを示し、該給排ノ
ズル66,67は前記圧気源からのエアをエア給排弁等
を介して蛇行状糸道17内に給排することにより、該蛇
行状糸道17内に負圧または正圧を発生させ、前記糸端
が整形された上糸43を蛇行状糸道17に沿って一端
(上流端)側から他端(下流端)側へと誘導するもので
ある。
【0071】ここで、給排ノズル66は直線状糸道部1
7Aの一端(上端)側に配設され、前記圧気源からのエ
アにより上糸43を直線状糸道部17Aおよび糸調子用
糸道部17Bの下流側へと誘導する。また、給排ノズル
67は天秤用糸道部17Cの途中部位に配設され、給排
ノズル66からのエア流により天秤用糸道部17Cへと
誘導されてきた上糸43を該天秤用糸道部17Cの下流
側へと給排ノズル67からのエア流によって誘導する。
【0072】68,69は中継糸道23の途中に配設さ
れた糸誘導手段としての給排ノズルを示し、該給排ノズ
ル68,69は前記圧気源からのエアをエア給排弁等を
介して中継糸道23内に給排することにより該中継糸道
23内に負圧または正圧を発生させ、前記糸端が整形さ
れた上糸43を中継糸道23に沿って一端(上流端)側
から他端(下流端)側へと誘導するものである。
【0073】ここで、給排ノズル68,69は直線状糸
道部23Aの一端(上端)側と他端(下端)側とに離間
して配設され、前記給排ノズル67からのエア流により
直線状糸道部23A内へと誘導されてきた上糸43を下
端側の曲線状糸道部23Bに向けて誘導する。そして、
給排ノズル69は曲線状糸道部23Bに向けてエアを給
排することにより、この上糸43を曲線状糸道部23B
から糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27内へと誘導す
る。
【0074】70は糸道形成機構13の固定板14およ
び可動板16に形成された天秤用ガイド穴で、該天秤用
ガイド穴70は図6等に示す如く天秤11の揺動軌跡に
沿って上下方向に一定の長さで延び、ミシン動作時に天
秤11が上,下に揺動するのを許すようになっている。
また、糸道形成機構13の固定板14および可動板16
には、上部側が天秤用ガイド穴70の上端まで該天秤用
ガイド穴70に沿って延び、下部側が天秤用ガイド穴7
0から一定の曲率をもって分岐した円弧状のレバー用ガ
イド穴70Aが形成されている。そして、該レバー用ガ
イド穴70Aは後述する糸さばきレバー71の糸掛け部
71B側が図6中の矢示G方向に揺動されるのを許す構
成となっている。
【0075】71は糸道形成機構13と共にミシン本体
1のヘッド部3に設けられた糸さばきレバーを示し、該
糸さばきレバー71は基端側が回動中心71Aとなって
糸さばきモータ72の出力軸に連結され、先端側がレバ
ー用ガイド穴70A内に挿入された糸掛け部71Bとな
っている。そして、糸さばきレバー71は糸掛け部71
Bがミシン針6への糸通し時に、図6中に実線で示す如
く天秤11に接近して糸穴11Aと左,右で対面するよ
うに天秤用糸道部17Cの途中部位に配置され、ミシン
針6への糸通し後には図6中に点線で示す如く糸さばき
モータ72により矢示G方向に回動され天秤11から大
きく離間される。
【0076】この結果、糸道形成機構13の蛇行状糸道
17等を開放した状態で、糸さばきレバー71の糸掛け
部71Bを天秤11から大きく離間させることにより、
曲線状の蛇行状糸道17等に沿ってたるみ状態にある上
糸43を、天秤11の糸穴11Aと糸さばきレバー71
の糸掛け部71Bとの間で引っ張ることができ、その後
のミシン動作に先立って上糸43のたるみを確実に吸収
することができる。
【0077】73はミシン本体1の基台2側に設けられ
る駆動源としての主軸モータで、該主軸モータ73は図
8に示す如くコントローラ76の出力側に接続され、コ
ントローラ76からの駆動信号により前記ヘッド部3側
の主軸等を回転駆動する。
【0078】74は主軸モータ73の回転位置を検出す
る回転位置検出手段としての回転センサで、該回転セン
サ74は主軸モータ73の回転角(位置)を検出し、そ
の検出信号をコントローラ76に出力する。そして、コ
ントローラ76は回転センサ74からの検出信号に基づ
いてミシン針6の針先位置や天秤11の揺動位置等を監
視するようになっている。
【0079】75はミシン本体1のヘッド部3等に設け
られる糸切れセンサを示し、該糸切れセンサ75は通常
のミシン動作(刺繍作業)の途中で上糸43または下糸
に糸切れが発生するとこれを検出し、その検出信号をコ
ントローラ76に出力することによってミシン動作を自
動的に停止させる。
【0080】さらに、76はマイクロコンピュータ等に
よって構成されたコントローラを示し、該コントローラ
76は図8に示す如くその入力側が糸通し検知器31、
位置検出器39,40、糸費消センサ47、糸導入検知
器63、回転センサ74および糸切れセンサ75等に接
続され、出力側が糸道開放用のアクチュエータ18,2
4、矯正シリンダ28、位置決めモータ32、糸選択モ
ータ53、駆動モータ59、糸切り機構64、糸吸取り
器65、糸さばきモータ72、主軸モータ73および刺
繍枠の枠移動機構(図示せず)等に接続されている。
【0081】そして、コントローラ76はその記憶回路
内に図9および図10に示すプログラム等を格納し、自
動糸通し制御処理等を行うようになっている。また、コ
ントローラ76の記憶回路にはその記憶エリア76A内
に、糸通しを行うときに予め天秤11を揺動配置すべき
天秤11の上死点位置に対応した主軸モータ73の回転
位置と、各チーズケース41から各糸案内チューブ46
等を介して各糸保持器55へと導かれたそれぞれの上糸
43,43,…の糸位置等とが更新可能に格納されてい
る。
【0082】本実施例による刺繍機の自動糸通し装置は
上述の如き構成を有するもので、次に図9および図10
等を参照してコントローラ76による自動糸通し制御処
理等について説明する。
【0083】まず、刺繍機の運転準備作業として各チー
ズケース41内に収納した各上糸43の先端側を各糸案
内チューブ46を介して各糸調子45へと案内し、該各
糸調子45により各上糸43に一定の張力を付与しつ
つ、この状態でそれぞれの上糸43を各糸費消センサ4
7等を介して各糸保持器55へと導くようにする。
【0084】そして、各糸保持器55を通過した各上糸
43を送出しローラ57によりガイドローラ54を介し
て各糸導入器62側へと送り出しつつ、このときに各糸
導入器62に外部からエアを給排して該各糸導入器62
内に糸導入検知器63側に向けたエア流を発生させるこ
とにより、各上糸43をそれぞれの糸導入器62内に挿
通(誘導)し、この状態で各上糸43を各糸保持器55
で保持させるようにする。また、コントローラ76の記
憶エリア76A内には各糸保持器55でクランプされ待
機状態にある各上糸43の糸位置を、キーボード(図示
せず)等の手動操作で予め記憶させるようにする。
【0085】次に、この状態で処理動作をスタートさせ
ると、ステップ1では回転センサ74から出力される主
軸モータ73の回転位置信号(検出信号)に基づいて天
秤11の揺動位置を読込む。そして、ステップ2では天
秤11が糸通し位置となる上死点位置まで揺動している
か否かを判定し、「NO」と判定する間はステップ3に
移って主軸モータ73を回転駆動し、天秤11を上死点
位置まで揺動させる。このとき、ミシン針6は天秤11
の動きにほぼ連動するように主軸モータ73で駆動(移
動)され、ミシン針6は針先が予め決められた糸通し位
置(針板7上から一定寸法だけ離れた高さ位置)に達す
るようになる。
【0086】そして、ステップ2で「YES」と判定し
たときには天秤11が上死点位置となり、該天秤11は
ミシン針6の針先と共に予め決められた糸通し位置に達
しているから、主軸モータ73の回転を停止させて次な
るステップ4に移り、糸道形成処理を実行し糸姿勢矯正
器25のノズル半割体26A,26Bを互いに衝合させ
てノズル状糸道27を形成すると共に、糸道開放機構3
8の位置決めモータ32で揺動アーム37を揺動させる
ことにより、糸姿勢矯正器25と糸吸引器30とを図7
に実線で示す糸吸引位置とし、糸姿勢矯正器25のノズ
ル状糸道27と糸吸引器30の糸吸引孔30Aとをミシ
ン針6の針孔6Aに対向(正対)させるようにする。
【0087】さらに、ステップ4の糸道形成処理では糸
道形成機構13の可動板16を固定板14に衝合(密
着)させ、該固定板14と可動板16との間に蛇行状糸
道17を形成すると共に、糸道形成機構19の可動板2
2を固定板20に衝合(密着)させ、該固定板20と可
動板22との間に中継糸道23を形成する。そして、該
中継糸道23の曲線状糸道部23B先端側を糸姿勢矯正
器25のノズル状糸道27に正対させるようにする。ま
た、このときに糸さばきモータ72により糸さばきレバ
ー71を図6に実線で示す糸通し位置まで上昇させ、糸
さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤11の糸穴1
1Aと左,右で正対させるようにする。
【0088】次に、ステップ5では上糸43の選択処理
を実行すべく、上糸選択機構49の糸選択モータ53で
スライダ50をラック51、ピニオン52等を介してヘ
ッド部3の横方向(図3中の矢示D方向)にスライドさ
せることにより、各糸保持器55でスライダ50上に保
持された各上糸43のうち、いずれか1本の上糸43の
先端を上糸送出機構56の送出しローラ57とガイドロ
ーラ54との間に挟持可能な状態に導く。また、このと
きに対応する糸導入器62にエアを送り込み、糸保持器
55でクランプされている上糸43の先端(下端)側を
エア流で真直ぐに伸長させ、糸導入検知器63内へと上
糸43の先端側を導くことにより糸導入を検知できるよ
うにする。
【0089】そして、この状態で次なるステップ6に移
って押付シリンダ60のロッド60Aを伸長させ、ガイ
ドローラ54を図4に実線で示す作動位置にアーム61
を介して揺動させることにより、ガイドローラ54を送
出しローラ57に押付けるようにする。次に、この状態
で糸保持器55による上糸43の保持を解除しつつ、上
糸送出機構56の駆動モータ59を作動させ、送出しロ
ーラ57を一定の回転量をもって回転駆動することによ
り、前記上糸43の先端側を糸導入検知器63を介して
蛇行状糸道17内へと予め決められた送り量(例えば2
cm程度)分だけ送り出す。
【0090】かくして、この上糸43の先端側が糸導入
検知器63を介して糸道形成機構13の直線状糸道部1
7A内に導入されてくると、ステップ7では糸導入検知
器63からの検知信号に基づいて糸切り機構64を作動
させ、直線状糸道部17A内で上糸43の先端側を切断
し、この上糸43の先端側にエッジ状の糸端を形成(整
形)する。
【0091】そして、次なるステップ8では糸吸取り器
65によって前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア
流を発生させ、前記上糸43の先端側から糸切り機構6
4により切断された糸屑を図4中の矢示F方向に吸引除
去し、この糸屑を直線状糸道部17Aの外部へと矢示F
方向に排出させる。
【0092】次に、この状態でステップ9に移って自動
糸通し処理を実行し、糸道形成機構13,19の給排ノ
ズル66〜69からエアを給排することにより、蛇行状
糸道17および中継糸道23内に負圧または正圧による
エア流を発生させ、先端側にエッジ状の糸端が形成され
た上糸43を蛇行状糸道17の直線状糸道部17Aから
糸調子用糸道部17B、天秤用糸道部17Cおよび中継
糸道23の直線状糸道部23A、曲線状糸道部23Bへ
と円滑に誘導する。
【0093】この場合、エア流により上糸43を蛇行状
糸道17および中継糸道23等に沿って誘導すると、上
糸43は過剰に速い速度で誘導される傾向にあるので、
前記上糸送出機構56の送出しローラ57でガイドロー
ラ54を従動させつつ、上糸43を糸導入器62側に向
けて徐々に送り出し、蛇行状糸道17および中継糸道2
3内等における上糸43の移動速度を所望の速さに抑え
るようにする。
【0094】そして、上糸43の糸端側が糸調子用糸道
部17Bを通過するときに、糸調子9の周囲および糸取
りばね10に上糸43を挿通させると共に、上糸43の
糸端側が天秤用糸道部17Cを通過するときに、糸さば
きレバー71の糸掛け部71Bおよび天秤11の糸穴1
1A内に上糸43を糸端側から挿通し、この上糸43を
中継糸道23の曲線状糸道部23Bから糸姿勢矯正器2
5へと誘導する。
【0095】さらに、糸姿勢矯正器25および糸吸引器
30側では圧気源からのエアをエア導入口26Cを介し
てノズル状糸道27の下流側に向けて噴出させると共
に、エア導入口30Cからは糸吸引器30の引出部30
B側に向けてエアを流通させ、このときのエア流により
糸吸引孔30A側に負圧を発生させる。そして、糸姿勢
矯正器25はこの状態でノズル状糸道27の一端側が曲
線状糸道部23Bの先端側に正対し、他端側がミシン針
6の針孔6Aと正対しているから、エア導入口26Cか
らのエアをノズル状糸道27の下流側に向けて噴出させ
ることにより、上糸43の糸姿勢をノズル状糸道27内
で直線状に矯正しつつ、糸吸引器30と協働して上糸4
3をミシン針6の針孔6Aに挿通させる。
【0096】また、糸吸引器30側では糸吸引孔30A
内に発生した負圧により、糸姿勢矯正器25からの上糸
43をミシン針6の針孔6Aを介して糸吸引孔30A内
に吸引し、ミシン針6の針孔6Aに挿通された上糸43
の先端側を糸吸引孔30Aを介して引出部30Bの位置
へと導くようにする。そして、糸吸引器30の引出部3
0Bから上糸43の先端側が引出されるようになると、
これを糸通し検知器31で検知することにより、ステッ
プ10で「YES」として自動糸通しの完了を判定処理
する。
【0097】次に、ミシン針6への糸通しが完了する
と、前記糸導入器62へのエア供給を停止すると共に、
給排ノズル66〜69およびエア導入口26C,30C
等へのエア供給を停止する。そして、図10に示すステ
ップ11に移って糸道の開放処理を実行し、糸姿勢矯正
器25のノズル状糸道27を矯正シリンダ28で開放す
ると共に、糸道開放機構38の位置決めモータ32で揺
動アーム37を矢示C方向に揺動させることによって、
糸姿勢矯正器25と糸吸引器30とを図7に実線で示す
糸吸引位置から二点鎖線で示す退避位置に退避させるよ
うにする。
【0098】さらに、糸道形成機構13の可動板16を
アクチュエータ18により図5に示す如く固定板14か
ら離間させ、ミシン針6への糸通し後に蛇行状糸道17
を開放すると共に、糸道形成機構19の可動板22をア
クチュエータ24で図6に示す矢示B方向に移動させ、
該可動板22を固定板20から離間させることによって
中継糸道23を開放する。この結果、ミシン針6への糸
通し時に蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状
糸道27内に導かれた上糸43はこれらの糸道17,2
3,27等に対してフリーな状態となる。
【0099】次に、この状態でステップ12に移って糸
さばきレバー71を糸さばきモータ72により、円弧状
のレバー用ガイド穴70Aに沿って下向きに下降(揺
動)させ、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤
11から大きく離間させる。そして、糸道形成機構13
の蛇行状糸道17等を開放した状態で、糸さばきレバー
71の糸掛け部71Bを天秤11から大きく離間させる
ことにより、曲線状の蛇行状糸道17等に沿ってたるみ
状態にある上糸43を、図6中に二点鎖線で示す如く天
秤11の糸穴11Aと糸さばきレバー71の糸掛け部7
1Bとの間で引っ張り、その後のミシン動作に先立って
上糸43のたるみを吸収しておくようにする。
【0100】次に、この状態でガイドローラ54を押付
シリンダ60により図4中に点線で示す非作動位置まで
後退させ、ミシン動作時に上糸43の円滑な給糸が可能
な状態にする。なお、この場合に糸通しが終った段階
で、糸通しを行った上糸43を対応する糸保持器55で
クランプした後に、前述の糸道開放処理、ガイドローラ
54の後退動作および糸さばきレバー71による上糸4
3のたるみ吸収処理等を行い、その後に糸保持器55に
よるクランプを解除するようにしてもよい。
【0101】次に、ステップ13に移って主軸モータ7
3および刺繍枠の枠移動機構等を刺繍データに基づいて
駆動し、ミシン針6を運針させることによるミシン動作
(刺繍作業)を実行させる。そして、ミシン針6の運針
時には上糸43がこれらの糸道17,23,27等に対
してフリーな状態に保持され、この上糸43は天秤11
の揺動に応じて糸調子9等により張力が付与されつつ、
ミシン針6側に向け低摩擦給糸されるから、通常のミシ
ン動作時等には上糸43が蛇行状糸道17、中継糸道2
3およびノズル状糸道27等に引っ掛かったりするのを
確実に防止できる。
【0102】一方、ステップ14ではミシン針6の駆動
途中等で糸切れが発生したか否かを糸切れセンサ75か
らの信号に基づいて判定し、「YES」と判定したとき
には上糸43等に糸切れが発生しているから、ステップ
15に移って糸吸取り器65を作動させ、前記圧気源か
らのエアで矢示F方向のエア流を発生させつつ、上糸4
3を糸切り機構64で切断することにより、例えば糸道
形成機構13の固定板14と可動板16との間等から糸
切れの発生した古い糸を糸吸取り器65で矢示F方向に
吸引し、糸道形成機構13内に残った古い糸を外部へと
排出させる。
【0103】また、ステップ14で「NO」と判定した
ときにはステップ16に移って、例えば使用中の上糸4
3が完全に消費された糸費消の状態であるか否かを糸費
消センサ47からの信号に基づいて判定し、「YES」
と判定したときには前記各チーズケース41内に収納し
た同一種類の上糸43をミシン針6に自動糸通しすべ
く、使用済み(糸の費消状態)となった上糸43を糸切
り機構64およびカッター(図示せず)等で切断し、こ
の切断された古い糸をステップ15に移って糸吸取り器
65により外部へと排出させる。
【0104】そして、ステップ15の排出処理を実行し
た後には、図9に示すステップ1に戻ってこれ以降の処
理を再開させ、例えば前記糸費消の場合には前回と同一
種類の上糸43をステップ5で上糸選択機構49により
選択し、ステップ5では選択した上糸43を上糸送出機
構56の送出しローラ57で糸導入検知器63側に向け
て一定の送り量(例えば2cm程度)分だけ送り出す。
【0105】また、次なるステップ7で糸切り機構64
を作動させて上糸43の先端側に糸端を形成し、ステッ
プ8で糸屑を吸引しつつ、ステップ9以降に移って自動
糸通しを再び実行する。なお、図10に示すステップ1
7で「YES」と判定したときにはミシン動作(刺繍)
の完了時であるから、処理動作を終了させる。
【0106】かくして、本実施例によれば、ミシン本体
1のヘッド部3に蛇行状糸道17、中継糸道23および
ノズル状糸道27等を形成する糸道形成機構13,1
9、糸姿勢矯正器25および糸吸引器30等を設けると
共に、ヘッド部3上には各チーズケース41からの各上
糸43を上糸選択機構49のスライダ50上に案内する
各糸案内チューブ46、該各糸案内チューブ46により
スライダ50上の各糸保持器55側に導かれた各上糸4
3のうち、いずれか一の上糸43を選択する上糸選択機
構49、該上糸選択機構49で選択した上糸43を前記
蛇行状糸道17側に向け予め決められた送り量をもって
送り出す上糸送出機構56および該上糸送出機構56で
送り出された上糸43の先端側を切断して糸端の形状を
整える糸切り機構64を設ける構成としている。
【0107】この結果、各糸案内チューブ46で導かれ
る複数の上糸43のうち、いずれか1本の上糸43を上
糸選択機構49で選択でき、この選択した上糸43を上
糸送出機構56によって蛇行状糸道17に向け一定の送
り量分だけ正確に送り出すことができると共に、この一
定量分だけ送り出された上糸43の先端側を糸切り機構
64により確実に切断でき、該上糸43の先端側にエッ
ジ状の糸端を形成(整形)することができる。
【0108】そして、前記蛇行状糸道17、中継糸道2
3およびノズル状糸道27等には圧気源からのエアを流
通させることにより、前記糸端が整えられた上糸43を
これらの糸道17,23,27等の一端側から他端側に
向けて誘導し、この上糸43を糸端側からミシン針6の
針孔6A内に挿通させる構成としたから、糸端が整形さ
れた上糸43を糸道17,23,27等の一端側から他
端側に向けてエア流により円滑に誘導でき、この上糸4
3を糸端側からミシン針6の針孔6Aに安定させて挿通
することができる。
【0109】この場合、糸道形成機構13の可動板16
にはその衝合面側に蛇行状糸道17を断面U字状の細溝
として形成し、固定板14の衝合面は平滑面となってい
るから、給排ノズル66,67から蛇行状糸道17内に
エアを吹き付けると、このエアの流れは可動板16の蛇
行状糸道17と固定板14の平滑面との間で固定板14
の壁面に沿って噴流の如く流がれるようになり、このと
きの噴流により蛇行状糸道17のほぼ中心位置に沿って
上糸43を下流側へと円滑に誘導することができる。ま
た、糸道形成機構19の中継糸道23側でもこれと同様
の作用を得ることができ、中継糸道23の下流側へと上
糸43を円滑に誘導できる。
【0110】さらに、少なくとも天秤11に上糸43を
挿通するため該天秤11の前,後に亘って曲線状または
直線状に延びる蛇行状糸道17と、該蛇行状糸道17の
下側に中継糸道23を介して配設され、ミシン針6の針
孔6Aに上糸43を直線状に供給する糸姿勢矯正器25
と、該糸姿勢矯正器25とミシン針6の針孔6Aを介し
て対向するように配設され、糸姿勢矯正器25からの上
糸43を吸引してミシン針6の針孔6Aに通す糸吸引器
30とを備える構成としている。
【0111】この結果、前記糸道17,23,27等に
エアを流通させることによって、糸端の形状が整えられ
た上糸43を蛇行状糸道17に沿って誘導しつつ、天秤
11に円滑に挿通できると共に、糸姿勢矯正器25では
ミシン針6の針孔6Aに向けて上糸43を直線状に供給
でき、糸姿勢矯正器25からの上糸43を糸吸引器30
で吸引することにより、この上糸43を糸端側からミシ
ン針6の針孔6Aに確実に挿通することができる。
【0112】一方、糸道形成機構13,19の可動板1
6,22には固定板14,20との衝合面側に蛇行状糸
道17,中継糸道23をそれぞれ断面U字状の細溝とし
て形成しているから、ミシン針6への糸通し後にアクチ
ュエータ18,24で可動板16,22を移動させ固定
板14,20から離間させるときに、可動板16,22
の移動により上糸43に振動を加えるようにして可動板
16,22の蛇行状糸道17,中継糸道23内から上糸
43を確実に離脱させることができる。
【0113】また、ミシン本体1のヘッド部3には糸道
形成機構13と共に糸さばきレバー71を設け、該糸さ
ばきレバー71の糸掛け部71Bをミシン針6への糸通
し時には、図6中に実線で示す如く天秤11の糸穴11
Aと左,右で正対するように天秤用糸道部17Cの途中
部位に配置し、ミシン針6への糸通し後には糸さばきレ
バー71の糸掛け部71Bを、図6中に点線で示す如く
糸さばきモータ72により矢示G方向に回動し、天秤1
1から大きく離間させる構成としている。
【0114】この結果、糸通し検知器31でミシン針6
に対する糸通しを検出したときにはアクチュエータ1
8,24を作動させ、蛇行状糸道17および中継糸道2
3等を自動的に開放できると共に、糸さばきレバー71
を回動して糸掛け部71Bを天秤11から離間させるこ
とにより、曲線状をなす蛇行状糸道17等に沿ってたる
み状態にある上糸43を、天秤11と糸さばきレバー7
1の糸掛け部71Bとの間で引っ張ることができ、その
後のミシン動作時には上糸43に張力を与えてミシン針
6への糸供給を円滑に行うことができる。
【0115】さらに、ガイドホルダ44には各糸調子4
5の下側に位置して該各糸調子45に対応する個数をも
った各糸費消センサ47を列設し、該各糸費消センサ4
7により上糸43がミシン動作で順次消費され、使い終
った状態になったか否かを糸導入検知器63よりも上流
側で検出する構成としたから、糸切れセンサ75による
上糸43の糸切れ時と上糸43の糸費消による使い終り
時とをコントローラ76側で確実に識別でき、上糸43
の糸切れ時と糸費消時とを区別してその後の自動糸通し
を円滑に行うことができる。
【0116】そして、コントローラ76の記憶エリア7
6A内には各糸案内チューブ46等から導かれる各上糸
43の糸位置を予め記憶しているから、各糸費消センサ
47で糸の費消を検出したり、糸切れセンサ75で上糸
43の糸切れを検出したりしたときに、前記糸位置の記
憶内容に基づき次に選択すべき上糸43を上糸選択機構
49で間違いなく選択でき、例えば同一種類の上糸43
をチーズケース41内に予め収納しておくことにより、
糸の費消後にも同一種類の上糸43を必要に応じて円滑
に補給することができる。
【0117】さらにまた、糸切り機構64と蛇行状糸道
17との間には、給排ノズル66,67等で新しい上糸
43を蛇行状糸道17に沿って誘導する前に、糸道形成
機構13の固定板14と可動板16との間に残った古い
糸を糸吸取り器65で外部に吸引する構成としているか
ら、ミシン動作の途中で使用中の上糸43を費消して使
い終った場合でも、これを糸費消センサ47で検出しつ
つ、糸道形成機構13側に残留した使用済みの上糸43
を糸吸取り器65で外部に吸引除去でき、その後に蛇行
状糸道17に沿って新しい上糸43を誘導するときに、
前回の古い糸が蛇行状糸道17の途中等に挟まって滞留
したりするのを確実に防止できる。
【0118】従って、本実施例によれば、ヘッド部3に
設けたミシン針6の針孔6Aに対して複数本の上糸4
3,43,…のいずれか1本を選択的に挿通でき、糸選
択や糸通しを自動化できると共に、ヘッド部3側に従来
技術のような針選択機構等を設ける必要がなくなり、ヘ
ッド部3の構造を簡素化して全体を小型化でき、ミシン
針6の針孔6Aに向けて上糸43を円滑に誘導すること
ができる。
【0119】また、糸吸引器30の引出部30B側には
ミシン針6に上糸43が挿通されたか否かを検知する糸
通し検知器31を設け、該糸通し検知器31からの信号
に基づきミシン針6への糸通し後には給排ノズル66〜
69等からのエア流を停止させ、アクチュエータ18,
24等により糸道形成機構13,19の蛇行状糸道1
7、中継糸道23等を開放する構成としているから、糸
通し検知器31でミシン針6に対する上糸43の挿通を
検出したときには、アクチュエータ18,24等を自動
的に作動させ糸道形成機構13,19の蛇行状糸道1
7、中継糸道23等を開放することができると共に、糸
さばきレバー71で上糸43のたるみを自動的に吸収で
き、この状態でミシン動作を行わせることによりミシン
針6への上糸43の供給を円滑に行うことができる。
【0120】さらに、糸姿勢矯正器25と糸吸引器30
とを揺動アーム37の延長部37A等を介して一体化
し、ミシン針6への糸通し後には糸道開放機構38の位
置決めモータ32により、糸姿勢矯正器25と糸吸引器
30とをミシン針6の針孔6Aと対向する位置から図1
0に示す如く退避させる構成としているから、これらの
糸姿勢矯正器25や糸吸引器30等がミシン針6の運針
動作に邪魔になったりするのを確実に防止できる。
【0121】さらにまた、糸切り機構64の下側には糸
道形成機構13の固定板14と可動板16との間に位置
して糸吸取り器65を設けているから、例えばミシン針
6の運針動作の途中で糸切れや糸費消等が発生したとし
ても、糸切れや糸費消の発生した古い糸を糸吸取り器6
5で蛇行状糸道17の外部に吸引でき、該蛇行状糸道1
7内に残った古い糸を外部へと確実に排出することがで
きる。
【0122】従って、刺繍柄の作成(ミシン動作)途中
で糸切れや糸費消等が発生しても、ミシン針6や天秤1
1等から古い糸を自動的に抜き取りつつ、コントローラ
76による糸位置の記憶内容に基づいて必要に応じた上
糸43の糸選択を自動的に行うことができ、この場合で
も新しい上糸43の先端側に糸端を整形(形成)しつ
つ、整形した糸端側をミシン針6の針孔6Aに向けて円
滑に誘導でき、非常に高い確率で糸通しを行うことがで
きる等の効果を奏する。
【0123】なお、前記第1の実施例では、図9および
図10に示すプログラムのうちステップ5の処理が、本
発明の特徴事項の一部をなす糸選択制御手段の具体例を
示すものである。
【0124】次に、図11は本発明の第2の実施例を示
し、本実施例では前記第1の実施例と同一の構成要素に
同一の符号を付しその説明を省略するものとする。しか
し、本実施例の特徴は、各チーズケース41から離間し
てヘッド部3の上方に配設した上糸43用のガイドホル
ダ81に、第1の各糸調子82と第2の各糸調子83と
をそれぞれ上,下に直列に設け、これらの各糸調子8
2,83により糸張力調整手段を構成するようにしたこ
とにある。
【0125】ここで、ガイドホルダ81および各糸調子
82は前記第1の実施例で述べたガイドホルダ44およ
び各糸調子45とほぼ同様に構成され、該各糸調子82
は各チーズケース41に対応した個数をもってガイドホ
ルダ81上に1列に配設されている。また、各糸調子8
3は各糸調子82の下側に該各糸調子82と同一の個数
をもって列設され、各糸調子83は前記第1の実施例で
述べた糸調子9と同様に糸取りばね(図示せず)をそれ
ぞれ備えることにより、例えば25〜50g程度の張力
を各上糸43に付与する構成となっている。
【0126】さらに、糸道形成機構13の可動板16に
は固定板14との衝合面側に位置して蛇行状糸道84が
形成され、該蛇行状糸道84は前記第1の実施例で述べ
た蛇行状糸道17に比較して単純な形状となっている。
そして、蛇行状糸道84は、糸導入検知器63の位置か
ら下向きに延びる直線状糸道部84Aと、該直線状糸道
部84Aの下端側から天秤11の前,後に亘って略S字
状に延びる天秤用糸道部84Bからなり、該天秤用糸道
部84Aの先端(下端)側は糸掛け12の位置へと下向
きに開口している。
【0127】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、各上糸43用のガイ
ドホルダ81に第1の各糸調子82と第2の各糸調子8
3と直列に設ける構成としたから、第1の実施例のよう
に糸道形成機構13による蛇行状糸道17の途中に糸調
子9等を設ける必要がなくなり、糸道形成機構13によ
る蛇行状糸道84の形状を大幅に簡略化でき、給排ノズ
ル66,67からのエア流により上糸43を蛇行状糸道
84に沿ってきわめて円滑に誘導することができる。
【0128】なお、前記第1の実施例では、ミシン針6
に対する糸通しを行うときに、主軸モータ73の回転位
置を制御することにより、例えば天秤11が上死点位置
となる所定の糸通し位置に配置するものとして述べた
が、本発明はこれに限るものではなく、例えば弾み車4
に定位置センサ等を設け、この定位置センサからの検出
信号に基づき天秤11およびミシン針6の針先を所定の
糸通し位置に自動停止させるようにしてもよい。
【0129】また、前記第1の実施例では、ミシン針6
に対する糸通し後に糸吸引器30の糸吸引孔30A等か
ら上糸43が自動的に抜け出すものとして、糸吸引器3
0は糸姿勢矯正器25のように2分割構造を採らない場
合を例に挙げて説明したが、これに替えて、例えば糸通
し検知器31側に糸掴み等を設ける構成とした場合には
糸吸引器30を2分割構造とするのがよい。
【0130】さらに、前記各実施例では、糸姿勢矯正器
25と糸吸引器30とを揺動アーム37の延長部37A
等を介して一体化し、ミシン針6への糸通し後には糸道
開放機構38の位置決めモータ32により、糸姿勢矯正
器25と糸吸引器30とをミシン針6の針孔6Aと対向
する位置から図7中の矢示C方向に退避させる構成とし
たが、本発明はこれに限らず、例えば糸姿勢矯正器25
と糸吸引器30とを別々に退避させる構成とし、糸姿勢
矯正器25のみを退避させた状態で糸吸引器30により
上糸43の先端側をさらに吸引して、蛇行状糸道17
(84)側での上糸43のたるみ等を吸収し、その後に
糸吸引器30を退避させる構成としてもよい。
【0131】一方、前記第1の実施例では、矯正シリン
ダ28および押付シリンダ60等をエアシリンダで構成
するものとして述べたが、これに替えて、例えば電磁ソ
レノイド等のアクチュエータを用いてもよい。また、揺
動アーム37の揺動位置を検出する位置検出器39,4
0に替えて、例えば位置決めモータ32にロータリエン
コーダ等を付設し、これによって、揺動アーム37の揺
動位置を検出する構成としてもよい。
【0132】さらに、前記各実施例では、自動糸通し装
置を単頭式の刺繍機に適用した場合を例に挙げて説明し
たが、本発明はこれに限らず、例えば多頭式の刺繍機ま
たは通常の縫製機としての工業用ミシン等に適用しても
よいものである。
【0133】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に記載の発
明では、ミシン本体のヘッド部に天秤およびミシン針に
糸を挿通するための糸道を形成する糸道形成手段を設け
ると共に、糸収納手段からの複数の糸を該糸道形成手段
による糸道の一端側に向けて導くための糸案内手段と、
該糸案内手段により導かれた複数の糸のうちいずれか一
の糸を選択する糸選択手段と、該糸選択手段で選択した
糸を前記糸道の一端側に向け予め決められた送り量をも
って送り出す糸送出手段と、該糸送出手段で送り出され
た糸の先端側を切断して糸端の形状を整える糸端整形手
段と、前記糸道内に気体を流通させることにより前記糸
を糸道の他端側に向けて誘導し該糸を糸端側から前記ミ
シン針に挿通する糸誘導手段と、ミシン動作により使用
中の糸を使い終えたか否かを糸の費消として検出する糸
費消検出手段とを備える構成としたので、糸収納手段か
ら糸案内手段を介して導かれる複数の糸のうち、いずれ
か一の糸を糸選択手段で選択したときに、この選択した
糸を糸送出手段によって糸道の一端側に向け予め決めら
れた送り量分だけ送り出しつつ、糸端整形手段により糸
送出手段で送り出された糸の先端側を切断して糸端の形
状を確実に整えることができる。
【0134】そして、この状態で前記糸道内に気体を流
通させることにより、糸端が整形された糸を糸道の他端
側に向け糸誘導手段で円滑に誘導でき、この糸を糸端側
からミシン針の針孔に円滑に挿通することができる。ま
た、ミシン本体のミシン動作により使用中の糸を使い終
ったような場合には、これを糸の費消として糸費消検出
手段で検出でき、例えば糸収納手段に収納した同一種類
の糸を前記糸選択手段で選択しつつ、この糸をミシン針
に自動糸通しすることができる。従って、ヘッド部に設
けたミシン針に対して複数の糸のいずれかを選択的に挿
通でき、ヘッド部全体を小型化できると共に、ミシン動
作の途中で糸を使い終ったような場合でも円滑に対処で
き、糸選択や糸通しを確実に自動化することができる。
【0135】また、請求項2に記載の発明では、前記糸
案内手段で導かれる各糸の糸位置を糸選択制御手段によ
り予め記憶し、前記糸費消検出手段で糸の費消を検出し
たときに、前記糸位置の記憶内容に基づき次なる糸を前
記糸選択手段で選択させつつ前記糸送出手段、糸端整形
手段および糸誘導手段を順次作動させる構成としている
から、例えば同一種類の糸を糸収納手段に予め収納して
おくことにより、糸の費消後にも同一種類の糸を糸選択
手段で新しく選択させることができ、糸選択や糸通しを
自動的に行うことができる。
【0136】さらに、請求項3に記載の発明では、前記
糸端整形手段と糸道との間に、前記糸誘導手段で新しい
糸を糸道に沿って誘導する前に、前記糸道形成手段側に
残った古い糸を該糸道形成手段の外部に吸引する糸吸引
除去手段を設ける構成としたから、ミシン動作の途中で
使用中の糸を費消して使い終った場合でも、これを糸費
消検出手段で検出しつつ、前記糸道形成手段側に残留し
た糸の一部を糸吸引除去手段で外部に吸引除去でき、そ
の後に糸誘導手段で新しい糸を糸道に沿って誘導すると
きに、前回の古い糸が糸道の途中等に挟まって滞留した
りするのを確実に防止できると共に、糸端整形手段で整
形した糸の糸端側をミシン針の針孔に向けて円滑に誘導
でき、非常に高い確率で糸通しを行うことができる。
【0137】さらにまた、請求項4に記載の発明では、
糸通し検出手段でミシン針に対する糸の挿通を検出した
ときには糸道開放手段を自動的に作動させることがで
き、前記糸誘導手段による気体の流通を自動的に停止で
きると共に、糸道形成手段による糸道を自動的に開放で
き、この状態でミシン動作を行わせることにより、ミシ
ン針への糸供給を円滑に行うことができる。
【0138】また、請求項5に記載の発明では、糸道形
成手段で糸道を形成したときに、互いに衝合状態となる
可動部と固定部との間に少なくとも天秤の前,後に亘っ
て曲線状または直線状に延びる糸道を形成でき、該糸道
に沿って糸を誘導することにより天秤やミシン針等に対
する糸通しを円滑に行うことができる。そして、前記糸
道を可動部の衝合面側に断面U字状の細溝として形成し
ているから、糸誘導手段で糸道内に気体を流通させたと
きに、可動部側の糸道(断面U字状の細溝)と固定部の
衝合面(壁面)との間で、該固定部の壁面に沿って気体
を噴流のように流がすことができ、このときの噴流によ
り糸道のほぼ中心位置に沿って糸を下流側へと円滑に誘
導できる。また、ミシン針への糸通し後に糸道開放手段
で前記可動部を移動させ固定部から離間させるときに
は、前記糸道内から糸を自動的に離脱させることがで
き、実際のミシン動作時に糸道が糸供給に邪魔になった
りするのを確実に防止し、ミシン針への糸供給を円滑に
行うことができる。
【0139】さらに、請求項6に記載の発明では、前記
ヘッド部には、前記ミシン針に対する糸通し後に糸のた
るみを吸収するため、先端側が前記天秤に対して接近,
離間する糸掛け部となり基端側が回動中心となった糸さ
ばきレバーを設ける構成としたから、糸通し検出手段で
ミシン針に対する糸の挿通を検出したときには糸道開放
手段を作動させ、前記糸道形成手段による糸道を自動的
に開放できると共に、糸さばきレバーを回動して糸掛け
部を天秤から離間させることにより、前記曲線状の糸道
等に沿ってたるみ状態にある糸を、前記天秤と糸さばき
レバーの糸掛け部との間で引っ張ることができ、その後
のミシン動作時には糸に張力を与えてミシン針への糸供
給を円滑に行うことができる。
【0140】さらにまた、請求項7に記載の発明では、
前記糸案内手段の途中位置に、前記糸収納手段から前記
糸道形成手段の糸道へと導かれる糸に対して予め決めら
れた張力を与える糸張力調整手段を設け、該糸張力調整
手段は、前記ミシン本体のミシン動作時に前記天秤と協
働して縫い目の糸締めと糸の繰り出しとを行う構成とし
たから、例えば前記糸道形成手段による糸道の途中等に
糸調子等の糸張力調整手段を別途設ける必要がなくな
り、糸道形成手段による糸道の形状をきわめて単純な形
状にすることができ、この糸道に沿って糸をきわめて円
滑に誘導できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による刺繍機の自動糸通
し装置等を示す一部破断の正面図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向断面図である。
【図3】図1中の矢示 III−III 方向断面図である。
【図4】図1中の要部拡大図である。
【図5】図2中の要部拡大図である。
【図6】図1中の糸道形成機構等を拡大して示す一部破
断の正面図である。
【図7】糸吸引器等を糸吸引位置に配置した状態を示す
図5の左側面図である。
【図8】刺繍機のコントローラ等を示す制御ブロック図
である。
【図9】図8中のコントローラによる自動糸通し制御処
理等を示す流れ図である。
【図10】図9に続く自動糸通し制御処理等を示す流れ
図である。
【図11】本発明の第2の実施例による刺繍機の自動糸
通し装置を示す一部破断の正面図である。
【符号の説明】
1 ミシン本体 2 基台 3 ヘッド部 5 針軸 6 ミシン針 9,45 糸調子 10 糸取りばね 11 天秤 12 糸掛け 13,19 糸道形成機構(糸道形成手段) 14,20 固定板(固定部) 16,22 可動板(可動部) 17,84 蛇行状糸道 18,24 アクチュエータ(糸道開放手段) 23 中継糸道 25 糸姿勢矯正器(糸姿勢矯正部) 26C,30C エア導入口(糸誘導手段) 27 ノズル状糸道 28 矯正シリンダ(糸道開放手段) 30 糸吸引器(糸吸引部) 31 糸通し検知器(糸通し検出手段) 32 位置決めモータ 37 揺動アーム(連結部材) 38 糸道開放機構(糸道開放手段) 41 チーズケース 42 ボビン 43 上糸 44,81 ガイドホルダ 46 糸案内チューブ(糸案内手段) 47 糸費消センサ(糸費消検出手段) 49 上糸選択機構(糸選択手段) 55 糸保持器(糸保持手段) 56 上糸送出機構(糸送出手段) 62 糸導入器 63 糸導入検知器 64 糸切り機構(糸端整形手段) 65 糸吸取り器(糸吸引除去手段) 66,67,68,69 給排ノズル(糸誘導手段) 70 天秤用ガイド穴 70A レバー用ガイド穴 71 糸さばきレバー 72 糸さばきモータ 73 主軸モータ 74 回転センサ 75 糸切れセンサ 76 コントローラ 82,83 糸調子(糸張力調整手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシン本体と、該ミシン本体に設けられ
    ミシン針を往復動させつつ、天秤を揺動させるヘッド部
    と、該ヘッド部に設けられ少なくとも前記天秤およびミ
    シン針に糸を挿通するための糸道を形成する糸道形成手
    段と、複数の糸をそれぞれ個別に収納する糸収納手段
    と、該糸収納手段に収納した複数の糸を前記糸道形成手
    段による糸道の一端側に向けてそれぞれ個別に導くため
    の糸案内手段と、該糸案内手段により導かれた複数の糸
    のうち、いずれか一の糸を選択する糸選択手段と、該糸
    選択手段で選択した糸を前記糸道の一端側に向け予め決
    められた送り量をもって送り出す糸送出手段と、該糸送
    出手段で送り出された糸の先端側を切断して糸端の形状
    を整える糸端整形手段と、前記糸道内に気体を流通させ
    ることにより前記糸を糸道の他端側に向けて誘導し該糸
    を糸端側から前記ミシン針に挿通する糸誘導手段と、前
    記糸収納手段に収納した複数の糸うち少なくともいずれ
    か一の糸を前記ミシン本体のミシン動作により使い終え
    たか否かを糸の費消として検出する糸費消検出手段とか
    ら構成してなるミシン。
  2. 【請求項2】 前記糸案内手段で導かれる各糸の糸位置
    を予め記憶することによりその記憶内容に基づいて前記
    糸選択手段を作動させる糸選択制御手段を備え、該糸選
    択制御手段は、前記糸費消検出手段で糸の費消を検出し
    たときに、前記糸位置の記憶内容に基づき次なる糸を前
    記糸選択手段で選択させつつ前記糸送出手段、糸端整形
    手段および糸誘導手段を順次作動させる構成としてなる
    請求項1に記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記糸端整形手段と糸道との間には、前
    記糸誘導手段で新しい糸を糸道に沿って誘導する前に、
    前記糸道形成手段側に残った古い糸を該糸道形成手段の
    外部に吸引する糸吸引除去手段を設け、該糸吸引除去手
    段は、前記糸費消検出手段により糸の費消を検出したと
    きに前記糸道形成手段側に残留した糸を外部に吸引除去
    する構成としてなる請求項1または2に記載のミシン。
  4. 【請求項4】 前記ミシン針に糸が挿通されたか否かを
    検出する糸通し検出手段と、該糸通し検出手段からの信
    号に基づき前記ミシン針への糸通し後に前記糸誘導手段
    による気体の流通を停止させ、前記糸道形成手段による
    糸道を開放する糸道開放手段とを備える構成としてなる
    請求項1,2または3に記載のミシン。
  5. 【請求項5】 前記糸道形成手段は、前記ヘッド部に固
    定して設けられた固定部と、該固定部に対して衝合、離
    間可能に設けられた可動部と、前記固定部に対する該可
    動部の衝合面側に断面U字状の細溝として形成され少な
    くとも前記天秤の前,後に亘って曲線状または直線状に
    延びる糸道とからなり、前記糸道開放手段は、前記固定
    部に対して衝合状態にある可動部を該固定部から離間さ
    せることにより前記糸道を開放する構成としてなる請求
    項4に記載のミシン。
  6. 【請求項6】 前記ヘッド部には、前記ミシン針に対す
    る糸通し後に糸のたるみを吸収するため、先端側が前記
    天秤に対して接近,離間する糸掛け部となり基端側が回
    動中心となった糸さばきレバーを設け、該糸さばきレバ
    ーは、前記糸誘導手段によるミシン針への糸通し時に予
    め前記糸掛け部を天秤に接近した前記糸道の途中位置に
    配置し、前記ミシン針への糸通し後には前記糸掛け部を
    天秤から離間させるように回動し前記糸のたるみを吸収
    する構成としてなる請求項4または5に記載のミシン。
  7. 【請求項7】 前記糸案内手段の途中位置には、前記糸
    収納手段から前記糸道形成手段の糸道へと導かれる糸に
    対して予め決められた張力を与える糸張力調整手段を設
    け、該糸張力調整手段は、前記ミシン本体のミシン動作
    時に前記天秤と協働して縫い目の糸締めと糸の繰り出し
    とを行う構成としてなる請求項1,2,3,4,5また
    は6に記載のミシン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN103643409A (zh) * 2013-12-17 2014-03-19 苏州鑫帛泰纺织科研有限公司 缝纫用过线装置
JP6222683B1 (ja) * 2017-08-02 2017-11-01 九州オーテック株式会社 ミシン用針糸送り装置

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