JP2005021715A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】 気体流を利用することによりミシン針に対して糸を円滑に挿通でき、糸通し時の作業性を向上できるようにする。
【解決手段】 ミシン本体1のヘッド部3に針軸5を介して設けたミシン針6に対して上糸43を挿通するために、ヘッド部3の前面側には糸道形成機構13,19等を設け、ミシン針6の前,後には糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを設ける。そして、糸道形成機構13,19側から供給される上糸43を糸姿勢矯正器25により糸姿勢を矯正し、上糸43をミシン針6の針孔に向けて直線状に伸長させた状態で、この上糸43を糸吸引器32により吸引してミシン針6の針孔に糸を挿通する。また、位置決めモータ34により揺動アーム39を介して糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを糸吸引位置と退避位置とに進退させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば布等の縫製機または刺繍機として好適に用いられるミシンに関し、特に、ミシン針の針孔に対し上糸等を気体流により挿通できるようにしたミシンに関する。
一般に、ミシン本体と、該ミシン本体に設けられたヘッド部と、該ヘッド部の下端側に設けられ運針時に往復動されるミシン針とを備え、該ミシン針の運針時に布等を前,後または左,右に移動させつつ、布に対してミシン針を往復動させ縫い目を形成するようにした縫製機または刺繍機等のミシンは知られている。
また、この種の従来技術によるミシンとしては、前記ヘッド部の下端側に複数本のミシン針を設け、ヘッド部上に配設した糸収納部からの各糸を各ミシン針に予め手動操作等で個別に挿通しておき、この状態で各ミシン針のうちいずれか一のミシン針を針選択機構で選択しつつ、選択したミシン針をヘッド部で運針させることにより布等に縫製を施すようにしたものもある。
一方、他の従来技術によるミシンでは、例えばヘッド部に設けた1本のミシン針に対して複数の糸のいずれかを選択的に挿通できるようにし、ヘッド部全体の小型化を図るようにする提案がなされている(例えば、特許文献1,2,3,4参照)。
特開昭61−89365号公報 特開平6−154453号公報 特開平6−182077号公報 特開平7−671号公報
ところで、上述した従来技術にあっては、ミシン本体のヘッド部に設けたミシン針に対して上糸等予め手動等で糸通しするようにしており、縫製作業や刺繍作業等を自動化する上で大きな障害になるという問題がある。
また、ヘッド部の下端側に複数本のミシン針を設け、該各ミシン針のいずれかを針選択機構で選択する構成とした場合には、ヘッド部全体が大型化するばかりでなく、ヘッド部に設けた複数本のミシン針には予め特定の上糸をそれぞれ手作業で挿通しておく必要があり、作業性が非常に悪くなるという問題がある。
一方、前述した他の従来技術によるミシンでは、例えばヘッド部に設けた1本のミシン針に対して複数の糸のいずれかを選択的に挿通できるようにし、ヘッド部全体の小型化を図るようにする提案がなされている。
しかし、このような他の従来技術にあっても、縫製作業の途中で糸切れが発生したときに、ミシン針から古い糸を抜き取って新しい糸をミシン針に自動的に糸通しするのが難しく、必ずしも高い確率で糸通しを実行することができないという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は気体流等を利用することによってミシン針に対し糸を円滑に挿通でき、糸通し時の作業性を大幅に向上できるようにしたミシンを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ミシン本体と、該ヘッド部を有するミシン本体と、該ミシン本体のヘッド部に設けられ運針時に往復動されるミシン針と、該ミシン針の針孔に向けて直線状に延びるノズル状糸道を有し該ミシン針の針孔にノズル状糸道を介して糸を供給する糸供給手段と、該糸供給手段との間で前記ミシン針の針孔を挟むように対向配設され前記ノズル状糸道からの糸を吸引して前記ミシン針の針孔に通す糸吸引手段とを備える構成を採用している。
また、請求項2に記載の発明では、前記糸供給手段を、衝合、離間可能に形成されその衝合面側に前記ノズル状糸道が形成された一対のノズル半割体と、該各ノズル半割体を互いに衝合、離間させるアクチュエータと、前記ノズル状糸道内に気体を供給し該ノズル状糸道から前記ミシン針の針孔に向う気体流を発生させる気体供給部と、該気体供給部からノズル状糸道内に供給された気体のうち余剰となった気体を外部に排出する余剰気体排出孔とから構成している。
さらに、請求項3に記載の発明では、前記各ノズル半割体のうち少なくともいずれか一方のノズル半割体に、相手方のノズル半割体に対する衝合面側に位置し微少深さの凹溝状に形成された気体逃げ溝を設け、該気体逃げ溝は前記ノズル状糸道から下流側に向けて斜めに延び、該ノズル状糸道内の気体に渦流が発生するのを防止するため該気体の一部を外部に流出させる構成としている。
さらにまた、請求項4に記載の発明では、前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針に対して対向配置するように該糸供給手段と糸吸引手段とを一体的に連結する連結部材と、該連結部材を駆動することにより糸通し時に前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針の位置に進出させ、前記ミシン針への糸通し後には前記糸供給手段と糸吸引手段とを前記ミシン針の位置から後退させる進退機構とを備える構成としている。
一方、請求項5に記載の発明では、前記糸吸引手段は、ミシン針の針孔に対向する一端側が小径の糸吸引孔となって開口し他端側が糸の引出部となった糸吸引器からなり、該糸吸引器の長さ方向中間部には、前記引出部側に向けて気体を流通させるように該糸吸引器内に気体を導入する気体導入部を設ける構成としている。
また、請求項6に記載の発明では、前記糸吸引器の引出部側に、該引出部から糸が引き出されたか否かにより前記ミシン針への糸通しを検出する糸通し検出手段を設けてなる構成としている。
上述した通り、請求項1に記載の発明では、ミシン針の針孔に向けて直線状に延びるノズル状糸道を有した糸供給手段により、ミシン針の針孔にノズル状糸道を介して糸を供給すると共に、該糸供給手段との間で前記ミシン針の針孔を挟むように糸吸引手段を対向配設し、前記ノズル状糸道からの糸を糸吸引手段で吸引してミシン針の針孔に糸を通す構成としたから、糸供給手段のノズル状糸道に沿って糸を供給するときに、この糸をミシン針の針孔に向けて直線状に伸長させるように糸姿勢を矯正でき、この状態で糸吸引手段により前記ノズル状糸道からの糸を吸引して前記ミシン針の針孔に糸を円滑に挿通することができる。従って、気体流等を利用することによりミシン針に対し糸を円滑に挿通でき、糸通し時の作業性を大幅に向上できる。
また、請求項2に記載の発明では、前記糸供給手段を、衝合、離間可能に形成されその衝合面側に前記ノズル状糸道が形成された一対のノズル半割体と、該各ノズル半割体を互いに衝合、離間させるアクチュエータと、前記ノズル状糸道内に気体を供給し該ノズル状糸道から前記ミシン針の針孔に向う気体流を発生させる気体供給部と、該気体供給部からノズル状糸道内に供給された気体のうち余剰となった気体を外部に排出する余剰気体排出孔とで構成したから、ミシン針への糸通し時には一対のノズル半割体を互いに衝合させた状態で、気体供給部からノズル状糸道内に気体を供給して該ノズル状糸道からミシン針の針孔に向う気体流を発生でき、この気体流によりノズル状糸道に沿って糸を直線状に伸長させるように供給できる。また、このときに余剰気体排出孔によって前記気体供給部からノズル状糸道内に供給された気体のうち余剰となった気体を外部に排出できるから、ノズル状糸道内に円滑な気体の流れを形成でき、糸をミシン針の針孔に向けて直線状に伸長させるように糸姿勢を効果的に矯正することができ、この糸をミシン針の針孔に向けて気体流により誘導できる。
さらに、請求項3に記載の発明では、前記各ノズル半割体のうち少なくともいずれか一方のノズル半割体に、相手方のノズル半割体に対する衝合面側に位置し微少深さの凹溝状をなす気体逃げ溝を設け、該気体逃げ溝を前記ノズル状糸道から下流側に向けて斜めに延ばす構成としているから、前記気体供給部からノズル状糸道内に供給した気体の一部が該ノズル状糸道内に滞留して渦流傾向となった場合でも、ノズル半割体の衝合面側に微少深さの凹溝として形成された気体逃げ溝により、この気体をノズル状糸道から下流側へと斜め外方に流出させることができ、ノズル状糸道内の気体流に渦流が発生するのを効果的に防止できる。従って、糸供給手段の一端側からノズル状糸道27内へと導入されてくる糸を、気体流によりノズル状糸道の下流側へと円滑に誘導でき、糸の糸端側がノズル状糸道の途中で反り返ったり、糸端の撚りがほつれたりする不具合をなくすことができると共に、糸がノズル状糸道に沿って直線状に伸長するように糸姿勢を確実に矯正でき、糸吸引手段と協働してミシン針に糸を効率良く糸通しすることができる。
さらにまた、請求項4に記載の発明では、前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針に対して対向配置するように該糸供給手段と糸吸引手段とを一体的に連結し、糸通し時には前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針の位置に進出させ、ミシン針への糸通し後には前記糸供給手段と糸吸引手段とを前記ミシン針の位置から後退させる構成としたから、ミシン針への糸通し後には糸供給手段と糸吸引手段とを前記ミシン針の位置から退避させ、これらの糸供給手段や糸吸引手段がミシン針の運針動作に邪魔になったりするのを確実に防止でき、ミシン針への糸供給を円滑に行うことができる。
一方、請求項5に記載の発明では、前記糸吸引手段を、ミシン針の針孔に対向する一端側が小径の糸吸引孔となって開口し他端側が糸の引出部となった糸吸引器とし、該糸吸引器の長さ方向中間部には、前記引出部側に向けて気体を流通させるように該糸吸引器内に気体を導入する気体導入部を設けているから、気体導入部からの気体を糸吸引器の引出部側に向けて流通させることにより、一端側の糸吸引孔を負圧傾向することができ、前記ノズル状糸道からの糸を糸吸引孔内へと吸引して前記ミシン針の針孔に糸を円滑に挿通することができる。
また、請求項6に記載の発明では、前記糸吸引器の引出部側に、該引出部から糸が引き出されたか否かにより前記ミシン針への糸通しを検出する糸通し検出手段を設けてなる構成としたから、糸吸引器の糸吸引孔を介して引出部から糸が引き出されたときにはミシン針に対し糸が挿通されたものとして糸通し検出手段で検出でき、該糸通し検出手段からの信号に基づいてミシン針への糸通しを確認することにより、前記一対のノズル半割体をアクチュエータで離間させつつ、前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針の位置から進退機構で退避させ、これによって前記ノズル状糸道内から糸を離脱できると共に、ミシン動作時には糸供給手段や糸吸引手段に邪魔されることなくミシン針に糸を円滑に給糸し、円滑な糸供給を続けることができる等の効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
ここで、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態によるミシンを、刺繍機として用いた場合を例に挙げて示している。
図において、1は刺繍機の本体部を構成するミシン本体を示し、該ミシン本体1は、基台2と、該基台2上に設けられたヘッド部3とから構成されている。そして、ミシン本体1のヘッド部3は図2および図3に示す如く、基台2上に固着された大端部3Aと、該大端部3Aの上端側から基台2と略平行に延びた腕部3Bと、該腕部3Bの先端側から下向きに突出し基台2上の刺繍枠(図示せず)と対向する小端部3Cとから大略構成されている。
4はヘッド部3の腕部3B基端側に設けられた弾み車を示し、該弾み車4はヘッド部3の腕部3B内を小端部3C側に向けて伸長する主軸(図示せず)に連結され、この主軸は基台2側に設けた主軸モータ(図示せず)によって弾み車4と共に回転駆動される。
ここで、ヘッド部3の小端部3C内には主軸の回転を上,下の往復運動に変換する駆動部(図示せず)が設けられ、この駆動部は後述の天秤11を上,下に揺動させると共に、小端部3Cの下端側から基台2側に向けて図1に示す如く突出した針軸5およびミシン針6を上,下に駆動する構成となっている。また、基台2内にはミシン針6の先端と対向する位置に針板7および下糸(図示せず)が巻回された下糸ボビン8等が配設されている。
9は腕部3Bの先端側に位置してヘッド部3の前面側に設けられた糸調子を示し、該糸調子9は図3および図4に示すように、外周側に後述の上糸43を引っ掛けることにより上糸43に張力を与える糸取りばね10を備え、上糸43を天秤11側に向けて低摩擦給糸による糸補給を行うものである。そして、糸調子9は上糸43に、例えば25〜50g程度の張力を与え、ミシン針6等により上糸43がこの張力を越えて引っ張られるときに、天秤11側に向けて上糸43が給糸されるのを許すようになっている。
11はヘッド部3の小端部3C前面側に配設された天秤を示し、該天秤11はヘッド部3の駆動部によりミシン針6とほぼ同期して上,下に揺動され、下向きに揺動するときにはミシン針6との間で上糸43に僅かなたるみを与え、上糸43をミシン針6側に給糸させる。また、天秤11は上向きに揺動されるときに、ミシン針6により刺繍布上に形成した縫い目(いずれも図示せず)と糸調子9等との間で上糸43を引っ張り上げるようにして該上糸43に張力を与え、前記縫い目の糸締めと上糸43の繰り出しとを行うようになっている。
12は天秤11よりも下側の位置でヘッド部3の小端部3C前面に固定して設けられた糸掛けで、該糸掛け12は天秤11の糸穴11Aに挿通された上糸43を小端部3Cの下端前面側に摺動可能に掛止めし、天秤11の糸穴11Aからミシン針6の針孔6Aに向けて上糸43を円滑に給糸させるものである。
13は腕部3Bの先端側および小端部3Cの前面側に設けられた糸道形成機構を示し、該糸道形成機構13は図3ないし図5等に示す如く、ヘッド部3の小端部3Cに固定して設けられた固定部としての固定板14と、該固定板14に対してガイド15,15,…を介して衝合、離間可能に配設された可動部としての可動板16とからなり、該可動板16には固定板14との衝合面側に位置して糸道としての蛇行状糸道17が形成されている。そして、該蛇行状糸道17は可動板16の衝合面に、例えば0.5〜1mm程度の深さをもった断面U字状の凹溝を刻設することにより天秤11等の前,後に亘って曲線状または直線状に延びる細溝として形成されている。
ここで、蛇行状糸道17は図4に示すように、後述する糸導入検知器63の位置から下向きに延びる直線状糸道部17Aと、該直線状糸道部17Aの下端側から糸調子9の周囲に沿って曲線状に延び、糸取りばね10等に上糸43を挿通するための糸調子用糸道部17Bと、該糸調子用糸道部17Bの先端側から天秤11の前,後に亘り略U字状またはV字状をなして延び、天秤11の糸穴11Aに上糸43を挿通させるための天秤用糸道部17Cとからなり、該天秤用糸道部17Cの先端側は糸掛け12の位置へと下向きに開口している。
この場合、糸道形成機構13の可動板16は後述のアクチュエータ18等により図5中の矢示A1 方向に押動され、固定板14の衝合面上に可動板16の衝合面を気密状態で密着させることにより、蛇行状糸道17を固定板14との間にエア通路として形成する。また、糸道形成機構13の固定板14と可動板16とには、天秤11等が上,下に揺動するのを許す後述の天秤用ガイド穴70等が形成されている。
18は糸道形成機構13の固定板14と可動板16との間に設けられた糸道開放手段としてのアクチュエータを示し、該アクチュエータ18は外部からエア圧が給排されることにより可動板16を各ガイド15に沿って矢示A1 ,A2 方向に駆動し、該可動板16を固定板14に対して衝合または離間させる。そして、アクチュエータ18は図5に示す如く、可動板16を固定板14から矢示A2 方向に離間させることにより蛇行状糸道17を開放し、上糸43を蛇行状糸道17からフリーな状態とする。
ここで、蛇行状糸道17は可動板16の衝合面側に断面U字状の細溝として形成しているから、ミシン針6への糸通し後にアクチュエータ18で可動板16を矢示A2 方向に移動させ固定板14から離間させるときに、蛇行状糸道17内から上糸43を自動的に離脱させることができ、ミシン針6の駆動時に上糸43が蛇行状糸道17に引っ掛かったりするのを防止するようになっている。そして、この状態では天秤11の揺動に応じて糸調子9等により上糸43に張力が付与され、該上糸43はミシン針6側に向けて低摩擦給糸される。
19はヘッド部3の小端部3C前面側に設けられた他の糸道形成機構を示し、該糸道形成機構19は図3ないし図5に示す如く、小端部3Cの下端側に固定されミシン針6の位置まで下向きに延びた固定部としての固定板20と、該固定板20に対しガイド21,21を介して衝合、離間可能に配設された可動部としての可動板22とからなり、該可動板22には固定板20との衝合面側に位置して下向きに延びる中継糸道23が、例えば0.5〜1mm程度の深さをもった断面U字状の凹溝からなる細溝として形成されている。
ここで、中継糸道23は図5に示すように、上端側が天秤用糸道部17Cの先端(下端)側に対向して開口し下端側が下向きに延びる直線状糸道部23Aと、該直線状糸道部23Aの下端側から一定の曲率をもって略L字状に屈曲し後述の糸姿勢矯正器25に向けて水平方向に延びる曲線状糸道部23Bとから構成されている。なお、糸道形成機構19の固定板20および可動板22は細長い平板状に形成され、その下端側は中継糸道23の曲線状糸道部23Bに沿って略L字状に湾曲している。
24は糸道形成機構19の固定板20と可動板22との間に設けられた糸道開放手段としてのアクチュエータを示し、該アクチュエータ24は外部からエア圧が給排されることにより可動板22を各ガイド21に沿って駆動し、該可動板22を固定板20に対して衝合または離間させる。そして、アクチュエータ24により可動板22を固定板20に図4に示す如く衝合させたときには、可動板22と固定板20との間に中継糸道23がエア通路として形成され、可動板22を固定板20から図4中の矢示B方向に離間させたときには、中継糸道23が開放され上糸43を中継糸道23からフリーな状態とする。
25は糸道形成機構19の下端側とミシン針6との間に進退可能に配設された糸供給手段としての糸姿勢矯正器を示し、該糸姿勢矯正器25は図5ないし図8に示す如く、後述する揺動アーム39の延長部39A上に設けられ上,下に2分割されるノズル半割体26A,26Bと、該ノズル半割体26A,26Bの衝合面間に形成されミシン針6の針孔6Aに向けて直線状に延びるノズル状糸道27と、ノズル半割体26A,26Bに隣接して揺動アーム39の延長部39A上に設けられ、上側のノズル半割体26Bをノズル半割体26Aに対して上,下に相対移動させることにより該ノズル半割体26A,26Bを衝合、離間させるアクチュエータとしての矯正シリンダ28等とからなり、該矯正シリンダ28はエアシリンダにより構成されている。
そして、該矯正シリンダ28は図5に示す如くノズル半割体26A,26Bを互いに衝合させたときに該ノズル半割体26A,26B間にノズル状糸道27を形成し、該ノズル状糸道27はこの状態で一端側が曲線状糸道部23Bの先端側に正対し他端側がミシン針6の針孔6Aと正対する。また、矯正シリンダ28によってノズル半割体26A,26Bを上下方向へと互いに離間させたときにはノズル状糸道27が開放され、該ノズル状糸道27から上糸43をフリーな状態とする。
29はノズル半割体26Aに形成された気体供給部としてのエア導入口で、該エア導入口29は図6に示すように、ノズル半割体26Aの一端側よりに位置して径方向外向きに開口し、外部の圧気源にエア給排弁(いずれも図示せず)等を介して接続されている。また、該エア導入口29はノズル半割体26A,26Bの一端側で環状凹部29Aを介してエア噴出孔29B,29Bに連通し、該各エア噴出孔29Bは環状凹部29Aの底部側からノズル状糸道27の下流側に向け一定の傾斜角をもって延びる上,下一対の小孔として形成されている。
ここで、前記圧気源から気体としてのエアをエア給排弁等を介して糸姿勢矯正器25のエア導入口29に供給すると、このエアはエア導入口29の環状凹部29A内に導かれつつ、各エア噴出孔29Bからノズル状糸道27の下流側に向けて噴出される。そして、糸姿勢矯正器25の一端側からノズル状糸道27内へと図6中の矢示a方向に導入された上糸43は、各エア噴出孔29Bから噴出してくるエア流によりノズル状糸道27の下流側へと誘導され、このときに上糸43はノズル状糸道27内を直線状に伸長するように糸姿勢が矯正させる。
30,30はノズル半割体26A,26Bに形成された一対の余剰気体排出孔としてのエア排出孔で、該各エア排出孔30は基端側がノズル状糸道27の中間部位に連通し、先端側が上下方向に一定の傾斜角をもってノズル半割体26A,26Bの他端側へと延びノズル半割体26A,26Bの外部に開口している。そして、各エア排出孔30は各エア噴出孔29Bからノズル状糸道27内に供給(噴出)されたエアのうち、余剰となってノズル状糸道27の途中に滞留しているエアをノズル半割体26A,26Bの外部に排出させることによりノズル状糸道27内での円滑なエアの流れを補償している。
31,31は下側のノズル半割体26Aに形成された一対の気体逃げ溝としてのエア逃げ溝を示し、該各エア逃げ溝31は上側のノズル半割体26Bに対するノズル半割体26Aの衝合面上に、例えば上糸43の太さよりも小さい0.1mm程度の微少深さtをもった幅広の凹溝として形成され、基端側がノズル状糸道27の中間部位に連通し、先端側がノズル半割体26Aの他端側へとノズル状糸道27の左右方向で斜め外向きに延びノズル半割体26A,26Bの外部に開口している。
ここで、各エア逃げ溝31は図7および図8に示す如く、各エア排出孔30とはほぼ90度異なる方向に配向され、ノズル状糸道27の位置からノズル半割体26Aの衝合面上を斜め外向きに左右対称な形状をなして延びている。そして、各エア逃げ溝31は各エア噴出孔29Bからノズル状糸道27内に供給(噴出)されたエアのうち、一部のエアをノズル状糸道27の途中部位から薄いスライス状のエア流として外部に流出させることにより、ノズル状糸道27内のエアに渦流等が発生するのを抑制し、各エア排出孔30と共にノズル状糸道27の下流側に向けてエアが勢いよく円滑に流れるのを補償している。
32はミシン針6の針孔6Aを挟んで糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27と対向するように揺動アーム39に取付けられた糸吸引手段としての糸吸引器で、該糸吸引器32は図6および図7に示す如く、一端側がミシン針6の針孔6Aに対向するように小径の糸吸引孔32Aとなって開口し、他端側は上糸43の引出部32Bとなっている。
また、糸吸引器32の長さ方向中間部には気体導入部としてのエア導入口32Cが形成され、該エア導入口32Cは前記圧気源からのエアを各エア噴出孔32D等を介して引出部32B側に向け流通させる。そして、このときのエア流により糸吸引孔32A側には負圧が発生し、これによって糸姿勢矯正器25からの上糸43はミシン針6の針孔6Aに挿通されつつ、糸吸引孔32Aを介して図7中の矢示a方向へと引出部32Bの位置まで導かれる。
ここで、糸姿勢矯正器25および糸吸引器32は前記糸道形成機構13,19と共に糸道形成手段を構成し、糸姿勢矯正器25の矯正シリンダ28は糸道開放手段の一部を構成しているものである。また、エア導入口29,32C、各エア排出孔30および各エア逃げ溝31は後述の給排ノズル66〜69等と共に上糸43の糸誘導手段を構成し、気体としてのエア流により上糸43をミシン針6の針孔6Aに向けて誘導するものである。
33は糸吸引器32の引出部32Bに対向して揺動アーム39に設けられた糸通し検出手段としての糸通し検知器を示し、該糸通し検知器33は光センサ等からなり、糸吸引器32の引出部32Bから上糸43の先端側が引出されているか否かを検知することによって、ミシン針6に上糸43が挿通されたか否かを検出するものである。そして、糸通し検知器33はミシン針6に上糸43が挿通されたことを検出すると、糸通し完了信号をコントローラ(図示せず)に出力し、後述の位置決めモータ34等を作動させる。
34はヘッド部3の小端部3C背面側に支持プレート35を介して取付けられた位置決めモータを示し、該位置決めモータ34はステッピングモータ等からなり、回転軸34Aの一端側には駆動ギヤ36が固着されている。また、回転軸34Aの他端側には手動つまみ34Bが設けられ、該手動つまみ34Bは位置決めモータ34の回転軸34Aを手動で適宜に回転できるようになっている。
37は位置決めモータ34の下側にブラケット等を介して取付けられた軸受装置、38は該軸受装置37に回転可能に支持された従動ギヤを示し、該従動ギヤ38は駆動ギヤ36に噛合し位置決めモータ34によって回転される。
39は基端側が従動ギヤ38に固着され、先端側が下方に延びた連結部材としての揺動アームを示し、該揺動アーム39の先端側には図5に示す如く、ミシン針6の下側を水平方向に延びた延長部39Aが一体に設けられ、該延長部39Aは糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを一体的に支持する構成となっている。そして、揺動アーム39は位置決めモータ34により図9に示す矢示C方向に揺動され、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを図9中に実線で示す糸吸引位置と二点鎖線で示す退避位置とに進退させるものである。
ここで、位置決めモータ34は駆動ギヤ36および従動ギヤ38等と共に糸姿勢矯正器25、糸吸引器32の退避機構としての糸道開放機構40を構成し、該糸道開放機構40はミシン針6への糸通し後に前記蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状糸道27等を開放する糸道開放手段を前記アクチュエータ18,24と共に構成している。
41,42は揺動アーム39の揺動位置を検出する位置検出器を示し、位置検出器41は糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とが図9中に実線で示す糸吸引位置に達したか否かを揺動アーム39を介して検出し、位置検出器42は糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とが図9中に二点鎖線で示す退避位置に達したか否かを揺動アーム39を介して検出するものである。
43,43,…はミシン針6の針孔6Aに選択的に糸通しされる糸としての上糸を示し、該各上糸43はヘッド部3の上方に配設されたチーズケース(図示せず)等にそれぞれボビンを介して巻回状態で収納され、これらの各上糸43は互いに種類(色)の異なる糸等で構成されている。なお、前記各チーズケース内に収納した各上糸43のうち使用頻度の高い上糸43については同一種類(色)のものを、例えば2本のチーズケース内にボビンを介して収納している。
44は前記各チーズケースから離間してヘッド部3の上方に配設された糸案内手段としての上糸43用のガイドホルダを示し、該ガイドホルダ44には図1に示す如く、各上糸43に対応した本数の糸調子45,45,…が列設されると共に、糸案内チューブ46,46,…の先端側が取付けられ、該各糸案内チューブ46の基端側は前記各チーズケースに接続されている。そして、各チーズケースからの上糸43は各糸案内チューブ46を介して各糸調子45へと案内され、該各糸調子45により一定の張力が付与された状態で後述の各糸保持器55側に導かれる。
47,47,…は各糸調子45の下側に位置してガイドホルダ44に取付けられた糸費消検出手段としての糸費消センサを示し、該各糸費消センサ47は光センサ等からなり、図1に示すように各糸調子45に対応する個数をもってガイドホルダ44の長さ方向に列設されている。また、各糸費消センサ47の前,後には上下方向に離間して平板状の糸掛け48,48が配設され、各糸調子45からの上糸43は前,後の糸掛け48,48等を介して張力を与えた状態で各糸費消センサ47内に挿通されている。
ここで、各糸費消センサ47はそれぞれの内部に上糸43が挿通されているか否かを検知することにより、前記各チーズケース内に収納したそれぞれの上糸43がミシン動作により完全に消費されたか、即ち上糸43がミシン動作で順次消費され使い終った状態になったか否かを糸導入検知器63よりも上流側で検出するものである。この結果、ミシン本体1のヘッド部3側で上糸43に糸切れが発生したとしても、この場合には各糸費消センサ47内には上糸43が挿通されたまま保持されるから、糸切れ時と糸費消(使い終り)時とを前記コントローラ側で確実に識別できるようになる。
49は各糸案内チューブ46から導かれる各上糸43のうち、いずれか一の上糸43を選択する糸選択手段としての上糸選択機構で、該上糸選択機構49は図1ないし図3に示す如く、ガイドホルダ44と糸導入検知器63との間に位置してミシン本体1のヘッド部3上に移動可能に配設されたスライダ50と、該スライダ50をラック51、ピニオン52等を介してヘッド部3の横方向(図2中の矢示D方向)にスライドさせる糸選択モータ53とから大略構成されている。
ここで、糸選択モータ53はステッピングモータ等からなり、スライダ50をラック51、ピニオン52等を介してヘッド部3の横方向(矢示D方向)に定ピッチでスライドさせることにより、前記各上糸43のうちいずれか一の上糸43を後述する送出しローラ57の位置に選択的に移動させる。
54はスライダ50に回転可能に設けられたガイドローラで、該ガイドローラ54は後述の押付シリンダ60により図3中に実線で示す作動位置と点線で示す非作動位置とに進退され、作動位置では送出しローラ57に従動して回転することにより該送出しローラ57との間で選択した上糸43が後述の糸導入器62側に向けて送り出されるのを補償するものである。また、ガイドローラ54は非作動位置に後退したときに送出しローラ57から離間し、該送出しローラ57による上糸43の送り出しを停止させるようになる。
55,55,…は糸案内チューブ46から導かれる各上糸43の先端側を一時的に保持する糸保持手段としての糸保持器を示し、該各糸保持器55は図1に例示するようにスライダ50上に糸案内チューブ46(各糸調子45)に対応する個数をもって一列に配設されている。そして、各糸保持器55は前記各上糸43のうち、上糸選択機構49で選択した上糸43が糸導入器62側に送り出されるのを許すと共に、残余の各上糸43を待機状態に保持する構成となっている。
56は上糸選択機構49で選択した上糸43を糸導入器62側に送り出す糸送出手段としての上糸送出機構を示し、該上糸送出機構56は図3に示す如く、ガイドローラ54との間で上糸43の先端側を挟持する送出しローラ57と、該送出しローラ57をベルト58等を介して回転駆動する駆動モータ59とから大略構成されている。
ここで、駆動モータ59はステッピングモータ等からなり、前記ガイドローラ54が作動位置にあるときに送出しローラ57を一定の回転量をもって回転駆動する。そして、該送出しローラ57はこのときにガイドローラ54との間で上糸43を挟持しつつ、該ガイドローラ54と共に定回転することにより、前記上糸43を糸導入器62側に向けて予め決められた送り量分だけ送り出す構成となっている。
60は前記ガイドローラ54を送出しローラ57に対して進退させる押付シリンダを示し、該押付シリンダ60は図3に示す如く、ロッド60Aを上,下に伸縮させるエアシリンダ等によって構成され、ロッド60Aの伸長時にはアーム61を介してガイドローラ54を作動位置へと揺動させる。そして、ガイドローラ54はこのときに送出しローラ57へと押付けられ、送出しローラ57に従動して回転する。また、押付シリンダ60のロッド60Aが縮小したときには、ガイドローラ54がアーム61を介して図3中に点線で示す非作動位置へと後退し、このときにガイドローラ54は送出しローラ57から離間して該送出しローラ57による上糸43の送出しを停止させる。
62,62,…はミシン本体1のヘッド部3と送出しローラ57との間に配設された糸導入器を示し、該各糸導入器62は図1中に例示する如く、各糸保持器55と上,下で対向するように各糸保持器55に対応する個数をもって一列に配設されている。そして、各糸導入器62は上糸43の選択時に上糸選択機構49のスライダ50と共に矢示D方向に移動され、各糸導入器62のうちいずれか一の糸導入器62(選択した上糸43に対応した糸導入器62)が糸導入検知器63と上,下で対向するようになる。
また、各糸導入器62は外部からエアが給排されることにより、該糸導入器62内に糸導入検知器63側に向けたエア流を発生させ、このときのエア流によって上糸43が糸導入器62内に挿通(誘導)される。そして、送出しローラ57から一定の送り量をもって送り出された上糸43の先端側は糸導入器62内に挿通された状態で、さらに下向きに送り出されることにより糸導入検知器63を介して糸道形成機構13の直線状糸道部17A内へと導入されるようになる。
63は糸導入器62と糸道形成機構13の直線状糸道部17Aとの間に配設された糸導入検知器を示し、該糸導入検知器63は光センサ等からなり、前記上糸43の先端側が糸導入器62を介して直線状糸道部17A内に導入されたか否かを検出する。
64は糸導入検知器63の下側に位置して直線状糸道部17Aの上端側に進退可能に配設された糸端整形手段としての糸切り機構を示し、該糸切り機構64は糸導入検知器63により上糸43の先端側を検出したときに、図4に示す作動位置へと矢示E1 方向に進出し、直線状糸道部17A内に導入された上糸43の先端側を強制的に切断するものである。
ここで、糸切り機構64はソレノイド等の電磁アクチュエータによって駆動され、直線状糸道部17A内で上糸43の先端側を切断することにより、この上糸43の先端側にエッジ状の糸端を形成(整形)する。また、糸切り機構64は上糸43の先端側に糸端を形成(整形)した後に、図4に示す矢示E2 方向へと後退し給排ノズル66,67等からのエアにより上糸43が蛇行状糸道17内へと円滑に誘導されるのを補償する。
65は糸切り機構64の下側に位置して糸道形成機構13の固定板14と可動板16との間に配設された糸吸引除去手段としての糸吸取り器を示し、該糸吸取り器65は図3および図4に示すように、一端側が給排ノズル66の近傍位置に開口し他端側が糸道形成機構13の外部に開口するノズル筒として構成されている。そして、糸吸取り器65は糸切り機構64の作動時等に前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア流を発生させ、前記上糸43の先端側から糸切り機構64により切断された糸屑を矢示F方向に外部へと排出させる。
また、ミシン動作の途中等で糸切れや糸費消(上糸43の使い終り)が発生したときにも、糸吸取り器65は前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア流を発生させることにより、例えばミシン動作時に糸道形成機構13の固定板14と可動板16との間を通過してミシン針6側に供給されていた糸(これまで使用していた古い糸)を矢示F方向に吸取るように吸引し、糸道形成機構13内に残った古い糸を外部へと排出させる。
66,67は蛇行状糸道17の途中に配設された糸誘導手段としての給排ノズルを示し、該給排ノズル66,67は前記圧気源からのエアをエア給排弁等を介して蛇行状糸道17内に給排することにより、該蛇行状糸道17内に負圧または正圧を発生させ、前記糸端が整形された上糸43を蛇行状糸道17に沿って一端(上流端)側から他端(下流端)側へと誘導するものである。
ここで、給排ノズル66は直線状糸道部17Aの一端(上端)側に配設され、前記圧気源からのエアにより上糸43を直線状糸道部17Aおよび糸調子用糸道部17Bの下流側へと誘導する。また、給排ノズル67は天秤用糸道部17Cの途中部位に配設され、給排ノズル66からのエア流により天秤用糸道部17Cへと誘導されてきた上糸43を該天秤用糸道部17Cの下流側へと給排ノズル67からのエア流によって誘導する。
68,69は中継糸道23の途中に配設された糸誘導手段としての給排ノズルを示し、該給排ノズル68,69は前記圧気源からのエアをエア給排弁等を介して中継糸道23内に給排することにより該中継糸道23内に負圧または正圧を発生させ、前記糸端が整形された上糸43を中継糸道23に沿って一端(上流端)側から他端(下流端)側へと誘導するものである。
ここで、給排ノズル68,69は直線状糸道部23Aの一端(上端)側と他端(下端)側とに離間して配設され、前記給排ノズル67からのエア流により直線状糸道部23A内へと誘導されてきた上糸43を下端側の曲線状糸道部23Bに向けて誘導する。そして、給排ノズル69は曲線状糸道部23Bに向けてエアを給排することにより、この上糸43を曲線状糸道部23Bから糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27内へと誘導する。
70は糸道形成機構13の固定板14および可動板16に形成された天秤用ガイド穴で、該天秤用ガイド穴70は図4等に示す如く天秤11の揺動軌跡に沿って上下方向に一定の長さで延び、ミシン動作時に天秤11が上,下に揺動するのを許すようになっている。また、糸道形成機構13の固定板14および可動板16には、上部側が天秤用ガイド穴70の上端まで該天秤用ガイド穴70に沿って延び、下部側が天秤用ガイド穴70から一定の曲率をもって分岐した円弧状のレバー用ガイド穴70Aが形成されている。そして、該レバー用ガイド穴70Aは後述する糸さばきレバー71の糸掛け部71B側が図4中の矢示G方向に揺動されるのを許す構成となっている。
71は糸道形成機構13と共にミシン本体1のヘッド部3に設けられた糸さばきレバーを示し、該糸さばきレバー71は基端側が回動中心71Aとなって糸さばきモータ72の出力軸に連結され、先端側がレバー用ガイド穴70A内に挿入された糸掛け部71Bとなっている。そして、糸さばきレバー71は糸掛け部71Bがミシン針6への糸通し時に、図4中に実線で示す如く天秤11に接近して糸穴11Aと左,右で対面するように天秤用糸道部17Cの途中部位に配置され、ミシン針6への糸通し後には図4中に点線で示す如く糸さばきモータ72により矢示G方向に回動され天秤11から大きく離間される。
この結果、糸道形成機構13の蛇行状糸道17等を開放した状態で、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤11から大きく離間させることにより、曲線状の蛇行状糸道17等に沿ってたるみ状態にある上糸43を、天秤11の糸穴11Aと糸さばきレバー71の糸掛け部71Bとの間で引っ張ることができ、その後のミシン動作に先立って上糸43のたるみを確実に吸収することができる。
本実施の形態による刺繍機の糸通し装置は上述の如き構成を有するもので、次にその糸通し動作について説明する。
まず、刺繍機の運転準備作業として前記各チーズケース内に収納した各上糸43の先端側を各糸案内チューブ46を介して各糸調子45へと案内し、該各糸調子45により各上糸43に一定の張力を付与しつつ、この状態でそれぞれの上糸43を各糸費消センサ47等を介して各糸保持器55へと導くようにする。
そして、各糸保持器55を通過した各上糸43を送出しローラ57によりガイドローラ54を介して各糸導入器62側へと送り出しつつ、このときに各糸導入器62に外部からエアを給排して該各糸導入器62内に糸導入検知器63側に向けたエア流を発生させることにより、各上糸43をそれぞれの糸導入器62内に挿通(誘導)し、この状態で各上糸43を各糸保持器55で保持させる待機状態におく。
次に、この状態で前記主軸モータをゆっくりと駆動して天秤11を上死点位置まで揺動させ、天秤11をミシン針6の針先と共に予め決められた糸通し位置に移動させる。そして、糸姿勢矯正器25のノズル半割体26A,26Bを互いに衝合させてノズル状糸道27を形成すると共に、糸道開放機構40の位置決めモータ34で揺動アーム39を揺動させることにより、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを図9に実線で示す糸吸引位置とし、糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27と糸吸引器32の糸吸引孔32Aとをミシン針6の針孔6Aに対向(正対)させるようにする。
また、糸道形成機構13の可動板16を固定板14に衝合(密着)させ、該固定板14と可動板16との間に蛇行状糸道17を形成すると共に、糸道形成機構19の可動板22を固定板20に衝合(密着)させ、該固定板20と可動板22との間に中継糸道23を形成する。そして、該中継糸道23の曲線状糸道部23B先端側を糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27に正対させるようにする。さらに、このときに糸さばきモータ72により糸さばきレバー71を図4に実線で示す糸通し位置まで上昇させ、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤11の糸穴11Aと左,右で正対させるようにする。
次に、上糸選択機構49の糸選択モータ53でスライダ50をラック51、ピニオン52等を介してヘッド部3の横方向(図1中の矢示D方向)にスライドさせることにより、各糸保持器55でスライダ50上に保持された各上糸43のうち、いずれか1本の上糸43の先端を上糸送出機構56の送出しローラ57とガイドローラ54との間に挟持可能な状態に導く。
そして、この状態で押付シリンダ60のロッド60Aを伸長させ、ガイドローラ54を図3に実線で示す作動位置にアーム61を介して揺動させることにより、ガイドローラ54を送出しローラ57に押付けるようにする。次に、この状態で上糸送出機構56の駆動モータ59を作動させ、送出しローラ57を一定の回転量をもって回転駆動することにより、前記上糸43の先端側を糸導入器62を介して糸導入検知器63内へと予め決められた送り量(例えば2cm程度)分だけ送り出す。
かくして、この上糸43の先端側が糸導入検知器63を介して糸道形成機構13の直線状糸道部17A内に導入されてくると、これを糸導入検知器63で検知することにより糸切り機構64を作動させ、直線状糸道部17A内で上糸43の先端側を切断し、この上糸43の先端側にエッジ状の糸端を形成(整形)する。そして、次には糸吸取り器65によって前記圧気源からのエアで矢示F方向のエア流を発生させ、前記上糸43の先端側から糸切り機構64により切断された糸屑を図4中の矢示F方向に吸引除去し、この糸屑を直線状糸道部17Aの外部へと矢示F方向に排出させる。
次に、この状態で糸道形成機構13,19の給排ノズル66〜69からエアを給排することにより、蛇行状糸道17および中継糸道23内に負圧または正圧によるエア流を発生させ、先端側にエッジ状の糸端が形成された上糸43を蛇行状糸道17の直線状糸道部17Aから糸調子用糸道部17B、天秤用糸道部17Cおよび中継糸道23の直線状糸道部23A、曲線状糸道部23Bへと円滑に誘導する。
この場合、エア流により上糸43を蛇行状糸道17および中継糸道23等に沿って誘導すると、上糸43は過剰に速い速度で誘導される傾向にあるので、前記上糸送出機構56の送出しローラ57でガイドローラ54を従動させつつ、上糸43を糸導入器62側に向けて徐々に送り出し、蛇行状糸道17および中継糸道23内等における上糸43の移動速度を所望の速さに抑えるようにする。
そして、上糸43の糸端側が糸調子用糸道部17Bを通過するときに、糸調子9の周囲および糸取りばね10に上糸43を挿通させると共に、上糸43の糸端側が天秤用糸道部17Cを通過するときに、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bおよび天秤11の糸穴11A内に上糸43を糸端側から挿通し、この上糸43を中継糸道23の曲線状糸道部23Bから糸姿勢矯正器25へと誘導する。
さらに、糸姿勢矯正器25および糸吸引器32側では圧気源からのエアをエア導入口29、各エア噴出孔29Bを介してノズル状糸道27の下流側に向け噴出させると共に、エア導入口32Cからは糸吸引器32の引出部32B側に向けてエアを流通させ、このときのエア流によって糸吸引孔32A側に負圧を発生させる。そして、糸姿勢矯正器25はこの状態でノズル状糸道27の一端側が曲線状糸道部23Bの先端側に正対し、他端側がミシン針6の針孔6Aと正対しているから、各エア噴出孔29Bからのエアをノズル状糸道27の下流側に向けて噴出させることにより、上糸43の糸姿勢をノズル状糸道27内で直線状に矯正しつつ、糸吸引器32と協働して上糸43をミシン針6の針孔6Aに挿通させる。
また、糸吸引器32側では糸吸引孔32A内に発生した負圧により、糸姿勢矯正器25からの上糸43をミシン針6の針孔6Aを介して糸吸引孔32A内に吸引し、ミシン針6の針孔6Aに挿通された上糸43の先端側を糸吸引孔32Aを介して引出部32Bの位置へと導くようにする。そして、糸吸引器32の引出部32Bから上糸43の先端側が引出されるようになると、これを糸通し検知器31で検知することにより、自動糸通しを完了させる。
次に、ミシン針6への糸通しが完了すると、前記糸導入器62、給排ノズル66〜69およびエア導入口29,32C等へのエア供給を停止する。そして、糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27を矯正シリンダ28で開放すると共に、糸道開放機構40の位置決めモータ34で揺動アーム39を図9中の矢示C方向に揺動させることにより、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを図9に実線で示す糸吸引位置から二点鎖線で示す退避位置に退避させる。
さらに、糸道形成機構13の可動板16をアクチュエータ18により図5に示す如く固定板14から離間させ、ミシン針6への糸通し後に蛇行状糸道17を開放すると共に、糸道形成機構19の可動板22をアクチュエータ24で図4に示す矢示B方向に移動させ、該可動板22を固定板20から離間させることによって中継糸道23を開放する。この結果、ミシン針6への糸通し時に蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状糸道27内に導かれた上糸43はこれらの糸道17,23,27等に対してフリーな状態となる。
次に、この状態で糸さばきレバー71を糸さばきモータ72により円弧状のレバー用ガイド穴70Aに沿って下向きに下降(揺動)させ、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤11から大きく離間させる。そして、糸道形成機構13の蛇行状糸道17等を開放した状態で、糸さばきレバー71の糸掛け部71Bを天秤11から大きく離間させることにより、曲線状の蛇行状糸道17等に沿ってたるみ状態にある上糸43を、図4中に二点鎖線で示す如く天秤11の糸穴11Aと糸さばきレバー71の糸掛け部71Bとの間で引っ張り、その後のミシン動作に先立って上糸43のたるみを吸収しておくようにする。
次に、この状態で前記主軸モータおよび刺繍枠の枠移動機構等を刺繍データに基づいて駆動し、ミシン針6を運針させることによるミシン動作(刺繍作業)を実行させる。そして、ミシン針6の運針時には上糸43がこれらの糸道17,23,27等に対してフリーな状態に保持され、この上糸43は天秤11の揺動に応じて糸調子9等により張力が付与されつつ、ミシン針6側に向け低摩擦給糸されるから、通常のミシン動作時等には上糸43が蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状糸道27等に引っ掛かったりするのを確実に防止できる。
かくして、本実施の形態によれば、ミシン本体1のヘッド部3に蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状糸道27等を形成する糸道形成機構13,19、糸姿勢矯正器25および糸吸引器32等を設けると共に、ヘッド部3上には各チーズケースからの各上糸43を上糸選択機構49のスライダ50上に案内する各糸案内チューブ46、該各糸案内チューブ46によりスライダ50上の各糸保持器55側に導かれた各上糸43のうち、いずれか一の上糸43を選択する上糸選択機構49、該上糸選択機構49で選択した上糸43を前記蛇行状糸道17側に向け予め決められた送り量をもって送り出す上糸送出機構56および該上糸送出機構56で送り出された上糸43の先端側を切断して糸端の形状を整える糸切り機構64を設ける構成としている。
この結果、各糸案内チューブ46で導かれる複数の上糸43のうち、いずれか1本の上糸43を上糸選択機構49で選択でき、この選択した上糸43を上糸送出機構56によって蛇行状糸道17に向け一定の送り量分だけ正確に送り出すことができると共に、この一定量分だけ送り出された上糸43の先端側を糸切り機構64により確実に切断でき、該上糸43の先端側にエッジ状の糸端を形成(整形)することができる。
そして、前記蛇行状糸道17、中継糸道23およびノズル状糸道27等には圧気源からのエアを流通させることにより、前記糸端が整えられた上糸43をこれらの糸道17,23,27等の一端側から他端側に向けて誘導し、この上糸43を糸端側からミシン針6の針孔6A内に挿通させる構成としたから、糸端が整形された上糸43を糸道17,23,27等の一端側から他端側に向けてエア流により円滑に誘導でき、この上糸43を糸端側からミシン針6の針孔6Aに安定させて挿通することができる。
さらに、少なくとも天秤11に上糸43を挿通するため該天秤11の前,後に亘って曲線状または直線状に延びる蛇行状糸道17と、該蛇行状糸道17の下側に中継糸道23を介して配設され、ミシン針6の針孔6Aに上糸43を直線状に供給する糸姿勢矯正器25と、該糸姿勢矯正器25とミシン針6の針孔6Aを介して対向するように配設され、糸姿勢矯正器25からの上糸43を吸引してミシン針6の針孔6Aに通す糸吸引器32とを備える構成としている。
この結果、前記糸道17,23,27等にエアを流通させることによって、糸端の形状が整えられた上糸43を蛇行状糸道17に沿って誘導しつつ、天秤11に円滑に挿通できると共に、糸姿勢矯正器25ではミシン針6の針孔6Aに向けて上糸43を直線状に供給でき、糸姿勢矯正器25からの上糸43を糸吸引器32で吸引することにより、この上糸43を糸端側からミシン針6の針孔6Aに確実に挿通することができる。
この場合、糸姿勢矯正器25のノズル半割体26Bには、圧気源からのエアを各エア噴出孔29B等を介してノズル状糸道27の下流側に向け噴出させるエア導入口29を設けると共に、ノズル状糸道27の途中部位にはノズル半割体26A,26Bの他端側に向けて斜め外向きに開口する各エア排出孔30と各エア逃げ溝31とを設けているから、各エア噴出孔29Bからノズル状糸道27内に供給(噴出)されたエアのうち、余剰となってノズル状糸道27の途中に滞留するエアをノズル半割体26A,26Bの外部へと速やかに排出でき、ノズル状糸道27内での円滑なエアの流れを形成することができる。
特に、各エア逃げ溝31は図7および図8に示す如く、ノズル上糸道27の位置からノズル半割体26Aの衝合面上を斜め外向きに左右対称な形状をなして延びているから、各エア噴出孔29Bからノズル状糸道27内に供給(噴出)されたエアのうち、一部のエアを各エア逃げ溝31によりノズル状糸道27の途中部位から薄いスライス状のエア流として外部に流出させることができ、ノズル状糸道27内のエアに渦流等が発生するのを効果的に防止できる。
この結果、糸姿勢矯正器25の一端側からノズル状糸道27内へと図6中の矢示a方向に導入されてくる上糸43を、各エア噴出孔29Bから噴出してくるエア流によりノズル状糸道27の下流側へと円滑に誘導でき、該上糸43の糸端側がノズル状糸道27の途中で反り返ったり、糸端の撚りがほつれたりする不具合をなくすことができると共に、上糸43がノズル状糸道27に沿って直線状に伸長するように糸姿勢を確実に矯正でき、糸吸引器32と協働してミシン針6の針孔6Aに上糸43を効率良く糸通しすることができる。
従って、本実施の形態によれば、ヘッド部3に設けたミシン針6の針孔6Aに対してエア流を利用することにより上糸43を円滑に挿通でき、糸通し時の作業性を大幅に向上できると共に、ミシン針6の針孔6Aに対して複数本の上糸43,43,…のいずれか1本を選択的に挿通でき、糸選択や糸通しを自動的に行うことができる。そして、ヘッド部3側に従来技術のような針選択機構等を設ける必要がなくなり、ヘッド部3の構造を簡素化して全体を小型化でき、ミシン針6の針孔6Aに向けて上糸43を円滑に誘導することができる。
また、糸吸引器32の引出部32B側にはミシン針6に上糸43が挿通されたか否かを検知する糸通し検知器33を設け、該糸通し検知器33からの信号に基づきミシン針6への糸通し後には給排ノズル66〜69等からのエア流を停止させ、アクチュエータ18,24等により糸道形成機構13,19の蛇行状糸道17、中継糸道23等を開放する構成としているから、糸通し検知器33でミシン針6に対する上糸43の挿通を検出したときには、アクチュエータ18,24等を自動的に作動させ糸道形成機構13,19の蛇行状糸道17、中継糸道23等を開放できると共に、糸さばきレバー71で上糸43のたるみを自動的に吸収でき、この状態でミシン動作を行わせることによりミシン針6への上糸43の供給を円滑に行うことができる。
さらに、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを揺動アーム39の延長部39A等を介して一体化し、ミシン針6への糸通し後には糸道開放機構40の位置決めモータ34により、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とをミシン針6の針孔6Aと対向する位置から図9に示す如く退避させる構成としているから、これらの糸姿勢矯正器25や糸吸引器32等がミシン針6の運針動作に邪魔になったりするのを確実に防止できる。
さらにまた、糸切り機構64の下側には糸道形成機構13の固定板14と可動板16との間に位置して糸吸取り器65を設けているから、例えばミシン針6の運針動作の途中で糸切れや糸費消等が発生したとしても、糸切れや糸費消の発生した古い糸を糸吸取り器65で蛇行状糸道17の外部に吸引でき、該蛇行状糸道17内に残った古い糸を外部へと確実に排出することができる。
従って、刺繍柄の作成(ミシン動作)途中で糸切れや糸費消等が発生しても、ミシン針6や天秤11等から古い糸を自動的に抜き取りつつ、コントローラによる糸位置の記憶内容に基づいて必要に応じた上糸43の糸選択を自動的に行うことができ、この場合でも新しい上糸43の先端側に糸端を整形(形成)しつつ、整形した糸端側をミシン針6の針孔6Aに向けて円滑に誘導でき、非常に高い確率で糸通しを行うことができる等の効果を奏する。
次に、図10は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付しその説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、ヘッド部3の小端部3C背面側に支持プレート35を介して軸受ユニット81を設け、該軸受ユニット81に回転可能に設けた回動軸82を手動つまみ83で回動することにより、揺動アーム39を駆動ギヤ36および従動ギヤ38等を介して揺動させ、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを糸吸引位置と退避位置とに手動操作で進退させる構成としたことにある。
ここで、軸受ユニット81を設け、該軸受ユニット81は前記第1の実施の形態で述べた位置決めモータ34に替えて支持プレート35に取付けられ、該軸受ユニット81に回転可能に設けられた回動軸82には、一端側に駆動ギヤ36が固着され他端側には手動つまみ83が設けられている。
また、ヘッド部3の小端部3C前面側にあっては、前記第1の実施の形態で述べた糸道形成機構13,19等が廃止(省略)され、糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27内には上糸43が矢示a方向から手動で挿入される。そして、糸姿勢矯正器25のノズル状糸道27内に挿入された上糸43は前記第1の実施の形態と同様にエア流によって糸姿勢矯正器25から糸吸引器32側に誘導され、ミシン針6に対する円滑な糸通しが行われる。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、前記第1の実施の形態で述べた糸道形成機構13,19等をヘッド部3の小端部3C前面側から取り除くことによって糸通し装置の全体構造を大幅に簡略化でき、ミシン針6への糸通しを半自動で円滑に実施することができる。
なお、前記第1の実施の形態では、ミシン針6に対する糸通し後に糸吸引器32の糸吸引孔32A等から上糸43が自動的に抜け出すものとして、糸吸引器32は糸姿勢矯正器25のように2分割構造を採らない場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、例えば糸通し検知器33側に糸掴み等を設ける構成とした場合には糸吸引器32を2分割構造とするのがよい。
また、前記第1の実施の形態では、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを揺動アーム39の延長部39A等を介して一体化し、ミシン針6への糸通し後には糸道開放機構40の位置決めモータ34により、糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とをミシン針6の針孔6Aと対向する位置から退避させる構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば糸姿勢矯正器25と糸吸引器32とを別々に退避させる構成とし、糸姿勢矯正器25のみを退避させた状態で糸吸引器32により上糸43の先端側をさらに吸引して、蛇行状糸道17側での上糸43のたるみ等を吸収し、その後に糸吸引器32を退避させる構成としてもよい。
さらに、前記第1の実施の形態では、矯正シリンダ28および押付シリンダ60等をエアシリンダで構成するものとして述べたが、これに替えて、例えば電磁ソレノイド等のアクチュエータを用いてもよい。また、揺動アーム39の揺動位置を検出する位置検出器41,42に替えて、例えば位置決めモータ34にロータリエンコーダ等を付設し、これによって、揺動アーム39の揺動位置を検出する構成としてもよい。
さらにまた、前記各実施の形態では、糸通し装置を単頭式の刺繍機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば多頭式の刺繍機または通常の縫製機としての工業用ミシン等に適用してもよいものである。
本発明の第1の実施の形態による刺繍機の糸通し装置等を示す一部破断の正面図である。 刺繍機のヘッド部上に設けた上糸選択機構等を示す図1中の矢示II−II方向断面図である。 刺繍機のヘッド部に設けた糸道形成機構等の一部を破断して示す図1の右側面図である。 図3の要部拡大図である。 図1の要部拡大図である。 図5中の糸姿勢矯正器および糸吸引器等を拡大して示す縦断面図である。 図6中の矢示 VII−VII 方向拡大断面図である。 図7中の矢示VIII−VIII方向拡大断面図である。 刺繍機のヘッド部に設けた糸道開放機構等を示す図5の左側面図である。 本発明の第2の実施の形態による刺繍機の糸通し装置を示す一部破断の正面図である。
符号の説明
1 ミシン本体
2 基台
3 ヘッド部
5 針軸
6 ミシン針
9,45 糸調子
10 糸取りばね
11 天秤
12 糸掛け
13,19 糸道形成機構(糸道形成手段)
14,20 固定板(固定部)
16,22 可動板(可動部)
17 蛇行状糸道
18,24 アクチュエータ(糸道開放手段)
23 中継糸道
25 糸姿勢矯正器(糸供給手段)
26A,26B ノズル半割体
27 ノズル状糸道
28 矯正シリンダ(アクチュエータ)
29 エア導入口(気体供給部)
29B エア噴出孔
30 エア排出孔(余剰気体排出孔)
31 エア逃げ溝(気体逃げ溝)
32 糸吸引器(糸吸引手段)
32A 糸吸引孔
32B 引出部
32C エア導入口(気体導入部)
33 糸通し検知器(糸通し検出手段)
34 位置決めモータ
39 揺動アーム(連結部材)
40 糸道開放機構(糸道開放手段)
43 上糸
44 ガイドホルダ
46 糸案内チューブ
49 上糸選択機構
55 糸保持器
56 上糸送出機構
62 糸導入器
63 糸導入検知器
64 糸切り機構
65 糸吸取り器
66,67,68,69 給排ノズル
70 天秤用ガイド穴
70A レバー用ガイド穴
71 糸さばきレバー
72 糸さばきモータ
81 軸受ユニット
82 回動軸
83 手動つまみ

Claims (6)

  1. ヘッド部を有するミシン本体と、該ミシン本体のヘッド部に設けられ運針時に往復動されるミシン針と、該ミシン針の針孔に向けて直線状に延びるノズル状糸道を有し該ミシン針の針孔にノズル状糸道を介して糸を供給する糸供給手段と、該糸供給手段との間で前記ミシン針の針孔を挟むように対向配設され前記ノズル状糸道からの糸を吸引して前記ミシン針の針孔に通す糸吸引手段とを備える構成としてなるミシン。
  2. 前記糸供給手段は、衝合、離間可能に形成されその衝合面側に前記ノズル状糸道が形成された一対のノズル半割体と、該各ノズル半割体を互いに衝合、離間させるアクチュエータと、前記ノズル状糸道内に気体を供給し該ノズル状糸道から前記ミシン針の針孔に向う気体流を発生させる気体供給部と、該気体供給部からノズル状糸道内に供給された気体のうち余剰となった気体を外部に排出する余剰気体排出孔とから構成してなる請求項1に記載のミシン。
  3. 前記各ノズル半割体のうち少なくともいずれか一方のノズル半割体には、相手方のノズル半割体に対する衝合面側に位置し微少深さの凹溝状に形成された気体逃げ溝を設け、該気体逃げ溝は前記ノズル状糸道から下流側に向けて斜めに延び、該ノズル状糸道内の気体に渦流が発生するのを防止するため該気体の一部を外部に流出させる構成としてなる請求項2に記載のミシン。
  4. 前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針に対して対向配置するように該糸供給手段と糸吸引手段とを一体的に連結する連結部材と、該連結部材を駆動することにより糸通し時に前記糸供給手段と糸吸引手段とをミシン針の位置に進出させ、前記ミシン針への糸通し後には前記糸供給手段と糸吸引手段とを前記ミシン針の位置から後退させる進退機構とを備える構成としてなる請求項1,2または3に記載のミシン。
  5. 前記糸吸引手段は、ミシン針の針孔に対向する一端側が小径の糸吸引孔となって開口し他端側が糸の引出部となった糸吸引器からなり、該糸吸引器の長さ方向中間部には、前記引出部側に向けて気体を流通させるように該糸吸引器内に気体を導入する気体導入部を設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のミシン。
  6. 前記糸吸引器の引出部側には、該引出部から糸が引き出されたか否かにより前記ミシン針への糸通しを検出する糸通し検出手段を設けてなる請求項5に記載のミシン。
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