JPH07109055B2 - 模様付織物製造用の中空針を備えたタフティング装置 - Google Patents

模様付織物製造用の中空針を備えたタフティング装置

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JPH07109055B2
JPH07109055B2 JP4290218A JP29021892A JPH07109055B2 JP H07109055 B2 JPH07109055 B2 JP H07109055B2 JP 4290218 A JP4290218 A JP 4290218A JP 29021892 A JP29021892 A JP 29021892A JP H07109055 B2 JPH07109055 B2 JP H07109055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、カーペット、ソファ
ーの表地等の模様付織物製品製造用のタフティング装置
に関し、より具体的には各針と連動する糸交換器を備
え、この糸交換器の入口に複数の糸を待機状態に保持し
ておき、選択された糸を一本ずつ針に供給できるように
しておくとともに、使用済みの糸を針から抜き取ること
ができるようになっているタフティング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】１９８５年１０月２９日発行のＫｉｌｅ
に与えられたアメリカ特許Ｎｏ．４５４９４９６には、
色および材質のことなる糸を用いてタフテッド製品を製
造するのに非常に便利なタフティング装置が開示されて
いる。この装置は糸を基布に植え込むことによって、こ
れまでは織機や印刷技法などによってしかできなかった
模様やデザインを作り出すことができる。この特許を与
えられた装置は基布の幅方向に間隔をおいて設けられた
複数のヘッドを備えている。各ヘッドには往復運動する
中空の針、すなわち基布差し込み用チューブを一本ずつ
設け、この針を基布に突き刺した後、空気圧を利用して
タフト糸を針に送り込むことによって糸を基布に植え込
むようになっている。針は糸交換器に接続されており、
糸交換器にはたとえば色の異なる複数の糸が供給されて
おり、さらにこの糸交換器は針が基布に突き刺される毎
に、１本以上の糸を選択して針に送って基布に植え込む
ための機構を備えている。複数のヘッドを基布の幅方向
に隣合うヘッドの距離に相当する長さだけ一斉に移動さ
せることによって、横断方向に１列分のタフト糸を植え
込むようになっている。次に基布を次の横断方向の列を
形成すべき位置まで前進させた後、上記の工程を繰り返
し次の糸の列を形成する。基布に針を突き刺す毎の糸の
選択はコンピューターによって制御されているので、所
望の模様の付いた製品を簡単に製造できる。
【０００３】Ｋｉｌｅ特許に基づいて実際に製造された
装置の製造速度大きな影響を及ぼす要因は、タフティン
グヘッドの数である。ヘッドの数が多いほど、各ヘッド
の横断方向の移動量は小さくてすむ。しかしヘッドの数
が多いと別の問題が生じる。すなわち、ヘッドの数が多
いとヘッド全体の重さが大きくなり、ヘッドの正確な移
動およびヘッド相互間の位置決めが難しくなる。そこで
Ｉｎｇｒａｍのアメリカ特許Ｎｏ．４９９１５２３で
は、中空針を取りつけたヘッドを基布の幅方向に移動さ
せる代わりに、ヘッドよりもずっと軽量の基布を幅方向
に移動させることを提案している。こうすることによっ
て横断方向移動装置の構造を簡素化できるばかりでな
く、糸植え込みの速度および位置精度の向上が図れる。
【０００４】このようなタフティング装置のコストや精
度に影響を与える要因は、糸を中空針に供給する方法で
ある。糸の供給は確実に行わなければならない。また各
針の糸を交換する場合は、その針によって基布にすでに
植え込まれている糸の残りの部分を針から確実に抜き取
って、この糸が新たに送り込まれる糸のじゃまをしない
ようにする必要がある。すでに植え込んだ糸の残りの部
分を抜き取らないと、次の糸を針に送り込むのにかなり
大きな空気圧が必要になる。さらに糸を針から抜き取る
とき、この抜き取りの動作を制御して行わないと、次回
にこの糸を針に供給するときの供給長さを正確にコント
ロールできなくなってしまう。このためたとえば供給長
さが短すぎた場合には充分な長さの糸を引き出すために
余計な空気圧が必要になる。一方針に供給される糸が長
すぎた場合は、余分の糸を切断しなければならなくな
る。
【０００５】この問題の解決策は１９９０年１２月１１
日発行のＩｎｇｒａｍの特許出願Ｎｏ．６２５９４９に
示されている。すなわちこの出願では糸引き戻し機構を
糸送りローラーと中空針との間に設け、この機構によっ
て糸を針から所定の量だけ引き戻すことによって、新し
い糸を植え込む際にすでに縫い込まれている糸によって
針に形成された糸供給通路が塞がれないようにしてい
る。さらに糸引き戻し機構によって、糸供給側すなわち
送りローラーの側からではなく、針の側から糸が確実に
引っ張り出されるようにするために、クランプ装置を糸
送りローラーと糸引き戻し機構との間に設け、糸交換作
業中は糸をこの装置で挟み付けるようにしている。その
後で糸引き戻し機構を作動させると糸送りローラーから
の糸の供給は停止する。こうして糸引き戻し機構によっ
て所定の長さの糸が針から引き戻され、次に使用するま
でこの糸は待機状態に保持される。また糸送りローラー
は、糸の送り動作停止中に、所定の長さの糸を糸供給装
置から引っ張り出しておいて、必要なときすぐに針に向
けて糸を送り出せるようになっている。針による所定の
糸の縫い込み動作が開始される前に、糸供給ローラーが
作動し、糸クランプ装置の作動は停止する。
【０００６】また上記装置の能率、コスト、作用等は、
各針に対応する糸の全てを受け取って、これを別々の通
路から糸交換器に送るための１つまたは２つの糸送り出
し器から、選択された糸を送り出すのに必要な空気圧の
量に大きく左右される。また装置の能率は製品の外観に
も影響を及ぼす。上記アメリカ特許Ｎｏ．４５４９４９
６では、空気を高圧室に送り、ここから糸交換器までの
びる糸供給管に続くテーパー状スペースに空気を送って
いる。このように空気を高圧室に連続的に供給すること
によって、糸送りローラーから送られてくる糸を針に向
けて送り出すようになっている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】この装置には大量の圧
縮空気が無駄になるという問題があったので、さらに改
良が加えられた。すなわち上で述べたアメリカ特許出願
においては、高圧空気は針に向けて送り出すべき糸が入
っている通路にだけ供給し、他の通路には低圧の空気を
供給するように空気の流れを制御している。これによっ
て圧縮空気の消費量を削減できたばかりでなく、針に送
る糸をより正確に制御できるようになり、また装置の動
作が速くなった。しかしこれによって一つの問題が生じ
た。すなわちその問題とは、恐らく高圧と低圧の空気が
糸交換器の漏斗状部に送り込まれるために乱流あるいは
渦巻流が発生し、その結果糸交換器の出口付近で糸が絡
まり合い、針が引っ掛かって動けなくなってしまいやす
いという問題である。針が引っ掛かると、糸の供給がで
きなくなり、縫い込み作業がストップしてしまう。本発
明はこの問題を効果的に能率的に解決するためのもので
ある。
【０００８】そこで本発明の第１の目的は、中空の針を
備えたタフテッド織物製品製造用の装置において、複数
の糸の内から選ばれた１本の糸を空気力を利用してこの
針に通し、針を基布に突き刺すことによって糸を基布に
植え込むようになっており、さらに前記針に接続された
糸交換器を設け、この交換器に続く複数の通路から空気
力を利用して糸を交換器に送るようになっており、この
糸交換器に糸のもつれを防止する手段を設けた装置を提
供することである。
【０００９】本発明の２番目の目的は、中空の針を備え
たタフテッド織物製品製造用の装置において、複数の糸
の内から選ばれた１本の糸を空気力を利用してこの針に
通し、針を基布に突き刺すことによって糸を基布に植え
込むようになっており、さらに針に接続された漏斗形の
糸交換器を設け、この交換器に続く複数の通路から空気
力を利用して糸を交換器に送るようになっており、この
糸交換器内の針の入口から少し離れた位置に、針に向け
て空気を噴射するためのノズルを設けることによって、
糸が互いにもつれ合うのを防ぐようにした装置を提供す
ることである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明におけるタフティング装置においては、入口
と先鋭端側に設けた出口とを有する中空の針と、針を往
復運動させて針の先鋭端を基布に突き刺し糸を植え込む
ための手段と、入口および針の入口に連通する出口を有
する糸交換器とを備え、複数の異なる糸を糸交換器に送
るための複数の糸供給管が糸交換器の入口までのびてお
り、各糸供給管から糸交換器に圧縮空気を送るための圧
縮空気供給手段を有し、糸供給管の少なくとも一つに送
られる空気の圧力を、他の供給管に送られる空気の圧力
よりも高く設定することによって、少なくとも一つの供
給管内に糸があるときに、その糸を糸交換器に向けて送
り出すようになっており、さらに少なくとも一つの供給
管に糸を供給する手段を備え、この手段によって糸は糸
交換器から針に送られ、針が基布に差し込まれる毎に糸
が基布に植え込まれるようになっており、さらに糸供給
管とは別の経路から糸交換器を通って針の入口に圧縮空
気を送る圧縮空気供給手段を設け、これによって糸交換
器内での糸のもつれを防止するようにしたものである。
【００１１】また、上記の糸交換器は大きな開口端と小
さな開口端を有する漏斗状の内部形状を有し、小さな開
口端が糸交換器の出口となっており、空気圧供給手段は
大きな開口端から漏斗状内部空間に突出する導管を備
え、導管の出口を針の入口の近くに設けたものとする。
【００１２】針を往復運動させる手段としては、往復運
動するプッシュロッド手段と、プッシュロッド手段に固
定した取付バーと、糸交換器を取付バーに固定するため
の手段とからなり、取付バーに糸供給管を糸交換器と連
通させるための手段と、導管を取り付けるための手段を
設ける。
【００１３】糸供給管に送られる圧縮空気とは別に糸交
換器に送られる圧縮空気の圧力を、少なくとも一つの糸
供給管に送られる空気の圧力にほぼ等しくなるように定
めてもよい。
【００１４】
【作用】本発明では、複数の糸を中空針に接続されてい
る糸交換器の入口に挿入し、圧縮空気供給手段を備えた
送り手段によって選択的に糸を１本ずつ糸供給器から針
に送るようになっており、糸交換器に針の入口近くに針
の入口に向けて空気を噴射するための噴射手段を設け
て、選択された糸の送り方向が曲がって他の糸ともつれ
合うのを防ぐようにした装置を提供する。糸交換器は漏
斗の形をしており、各糸は別々の通路を通って送られ、
漏斗状部の大径側端部から交換器内に入る。上記空気噴
射手段はノズルの形状をしており、漏斗状部の出口付近
に設けられ、選択された糸を針に向けて送り出す役割を
果たす。選択された糸は糸供給通路内を高圧空気によっ
て針に向けて送られる。他の通路には低圧空気が送られ
る。ノズルから噴射された空気によって空気の流れの乱
れを防止することができるので、選択された糸は他の糸
ともつれ合ったり、針の入口で詰まったりする恐れなし
に交換器から針に送ることができる。
【００１５】
【実施例】上で述べたように、本発明は上記アメリカ特
許Ｎｏ．４５４９４９６およびＮｏ．４９９１５２３に
開示されている種類の、カーペット、壁カバー、ソファ
ーの表地等のタフテッド製品製造用の装置に応用するも
のであり、上記特許の開示内容は参考用として本願明細
書の一部を成すものとする。本願のタフティング装置の
構造および作用の内、本願の主題とは直接関連のない部
分であって、本明細書中に記載されていない内容は上記
特許の明細書に記載されている。
【００１６】図１のタフティング装置は複数の基布差し
込み用チューブすなわち針１０を備えている（図示して
いるのは１本だけ）。これらの針は中空の針であり、主
基布１２にタフト糸１４を植え込むために基布に差し込
まれるので、以降の説明では基布差し込みチューブと称
することもある。長い帯状の主基布１２は１対のピンロ
ーラー２０、２２からなる基布送り装置によって、往復
運動する針を通過して長手方向に（すなわち図１の矢印
で示すように左向きに）送られる。ピンローラー２０、
２２は（図示省略したモーター等によって）互いに少し
異なる速度で回転させることによって、基布が往復運動
する針を通過する部分ではぴんと張った状態で通過でき
るようにする。基布送り装置はさらにピンローラー２
０、２２と連動して基布をガイドするための１対のガイ
ドローラー２４、２６を備えている。以下に詳しく説明
する理由により、図示のようにピンローラー２０、２２
よりも直径の小さい第２のピンローラー３０、３２を、
往復運動する針１０の近くで、基布の反対側に設ける。
ピンローラー３０、３２は基布のタフト糸を植え込む部
分での移動を正確に制御する役目を果たす。図示のよう
にピンローラー３０は、針が基布に差し込まれる部分の
近くで、基布の下側に設けた支持板３４に取り付けられ
ている。ピンローラー３２は往復運動する針の少し下流
側で、基布の上側に設けた別の板３６に取り付けられて
いる。板３４、３６は以下に示す理由により、基布の進
行方向に直角の方向に移動できるようにする。
【００１７】ピンローラー２０、２２も図示のように可
動板３４、３６に取り付けられている。板３４、３６が
横断方向に移動できるように、各板は装置のフレームの
固定部４２に支持された１対の横断方向にのびる軸４０
に取り付けられている。板３４、３６は相互に連結する
とともに、板およびピンローラー、ピンローラーの駆動
装置を、基布の長手方向、すなわち送り方向に直角の方
向に一斉に移動させるための横断方向一決め機構（図示
省略）に連結させる。この板の移動によって、基布も横
断方向に同じ距離だけ移動し、これによって各針は基布
の横断方向の複数の地点に糸を植え込むことができる。
横断方向位置決め機構としては、市販の装置、たとえば
高い精度で非常に短い距離を移動することができる空気
圧あるいは油圧シリンダーやボールネジ駆動装置などを
用いることができる。位置決め機構としては、１／１０
インチ以下の距離の移動が正確にできるものが望まし
い。ローラー２４、２６も第２の精度はそれほど高くな
い移動機構を用いて、ピンローラー２０、２２とともに
横断方向に移動できるようにする。
【００１８】針１０は、各針に対応するリンク部材５２
を介して針に連結された１個以上のカム部材５０によっ
て往復運動させる。カム装置はヨーク部材５６と軸受を
介してヨーク部材の環状部分に回転自在に取り付けられ
た円形のカムローブ部材５４からなる。カムローブ部材
は、カムローブ部材の中心を外れたところで、好ましく
は図示のように軸受を介してフレームの固定部６０に取
り付けられた横断方向にのびる回転軸５８に支持される
とともにこの軸によって駆動される。リンク部材５２は
６４の部分でヨーク部材５６に回動自在に連結された連
結部すなわちクレビス６２と、連結部６２に接続されて
おり、フレームの固定部６９に支持されたブッシングま
たは軸受けによって垂直方向に往復運動できるようにガ
イドされている垂直方向にのびるプッシュロッド６６と
からなる。プッシュロッド６６の下端は糸交換器７０が
取り付けてある取り付けバー７１に接続されている。各
糸交換器には針１０が１本ずつ取り付けられている。軸
５８が回転すると、カム部材５４が回転し、ヨーク部材
５６が往復運動し、リンク部材を介してヨーク部材と連
結している針も同様に往復運動し、針が基布に繰り返し
差し込まれ引き抜かれる。
【００１９】図１のタフティング装置は、基布に植え込
む糸を制御して供給する機構も備えている。この機構は
所定の長さの選択された糸を各針に対応する糸交換器に
確実に供給するための糸供給装置を備えている。糸供給
装置は、送りローラー８２と連動する駆動ローラー８０
を備えている。送りローラー８２は、フレーム部６９に
取り付けたジャーナル軸受８６に回動自在に支持された
可動部材８４に取り付けられている。図示の例では各針
すなわち基布差し込み用チューブ１０に送られる各糸に
対応する部材８４一つに付、ローラー８２は１個ずつ設
けられている。各送りローラー８２は、対応する空気圧
アクチュエーター９０等によって対応する駆動ローラー
８０に押し付けられている。駆動ローラー８０は複数個
の送りローラーにつき１個ずつ設けてもよい。アクチュ
エーター９０はアクチュエーターに対して伸縮自在のロ
ッド９１を介して回動部材８４に接続され、部材８４を
回動させることによって各ローラー８２をローラー８０
に押圧するようになっている。クリール（図示省略）の
糸巻コーン９３等の糸供給部から送られる糸９２は、ロ
ーラー８２の外周に巻きつきローラー８０、８２の間に
挟み込まれる。駆動ローラー８０は少しずつ増加しなが
ら回転する駆動軸９４に取り付けられており、ローラー
８０、８２が係合した状態で軸が回転すると、糸は糸引
き戻し機構９６、糸排出装置９８を通って糸交換器７０
に確実に送られる。このように糸は曲がりくねった経路
に沿って送られるので、部材８４が回動してローラー８
２がローラー８０から離れたときには所定の長さの糸が
糸供給部から引き出されている。こうして糸供給部から
引き出された糸は、部材８４が再び回動してローラー８
２がローラー８０に係合すると、各針に向かって送られ
る。
【００２０】各針に対応する糸引き戻し機構９６は、１
対の糸ガイド１０３、１０４の間に設けられ、ガイド１
０３、１０４に対して移動可能な、通路すなわち鳩目が
形成されたロッドまたはプランジャー９９を備えてい
る。この機構は糸の縫い込みの１サイクルが終了し、ア
メリカ特許Ｎｏ．４９９１５２３に詳しく記載されてい
る後述のカッター装置によって糸が切断されてから、糸
を針１０から引き抜くためのものである。このとき糸は
糸交換器７０の内部に引き戻すようにする。各針につき
１個以上の糸排出装置９８がプッシュロッドに固定され
た取付バー９７に取り付けられている。排出装置には複
数の糸（図面では１本の糸９２だけを示す）が、空気圧
供給装置から送られる圧縮空気によって別々の通路を通
って送られる。好ましくは針１本につき排出装置を１個
ずつ設け、各装置に６種類の異なる糸を送るようにす
る。隣接する針に取り付けた排出装置は互いに千鳥状に
配列する、すなわち図２に示すように（図１にはわかり
にくくなるのでこの配列は示していない）一つの排出装
置がバー９７の前部にある場合、その隣の装置はバーの
裏側に位置させるのが好ましい。圧縮空気供給装置１０
０は針すなわち基布差し込み用チューブに送るべき糸が
入っている通路には高圧の空気を、他の通路には低圧の
空気を送るようになっている。この圧力の選択は圧力調
節器および制御手段（図示省略）によって行う。排出装
置９８に送られたそれぞれの糸のストランドは、排出装
置から糸交換器に続いている別々の供給管１０２を通っ
て糸交換器７０に送られる。各糸供給管１０２に付１本
ずつ設けた空気供給ライン１０４が排出装置９８に接続
されており、このラインを通って圧縮空気が各糸供給通
路に送り込まれ、選択された糸が高圧空気により供給管
から基布差し込み用チューブに送られる。排出装置９８
および残りの空気供給管には低圧空気が送られているの
で、別の糸が選択されたときその糸をすばやく針すなわ
ち基布差し込み用チューブに送ることができる。また前
記空気圧供給装置と同じか、あるいはより好ましくはそ
れとは異なる空気圧供給源１０７から、アクチュエータ
ー９０および糸引き戻し機構９６に圧縮空気を供給す
る。
【００２１】糸排出装置９８、糸供給チューブ１０２、
糸交換器７０からなる構造は、合衆国特許Ｎｏ．４５４
９４９６に記載の糸交換器に構造および作用が似てい
る。しかし前記の特許の場合、糸交換器と糸排出装置は
単一のユニットであるのに対し、本発明の装置では管１
０２は各糸排出装置から取付バー７１に形成された各通
路孔１０６の中まで延びており、この孔は糸交換器７０
の漏斗状内部１０８に連通している。このため各空気圧
アクチュエーター９０に空気を制御して送ることによ
り、選択された糸に対応する部材８４を回動させて、対
応する送りローラー８２を駆動ローラー８０に押し付
け；次に糸引き戻し機構９６に空気を制御して送ること
によって、プランジャー９９を伸長させて、糸供給部か
ら引き出されている糸を離し；さらにアクチュエーター
９０が作動してロッド９１が伸長されてから、圧縮空気
供給源１００から糸排出装置９８に圧縮空気を制御して
送って、選択された糸を糸交換器に送ることによって、
選択された糸を基布に植え込むことができる。すなわち
部材８４を回動させてローラー８２をローラー８０に押
し付けることによって、保持状態にあった糸９２は各針
すなわち基布差し込み用チューブに送られる。またプラ
ンジャー９９が糸引き戻し機構９６から伸びて、プラン
ジャーに形成された通路すなわち鳩目がガイド１０３、
１０５を結ぶ線上に達し、糸は針に向けて送られる。ロ
ッド９１およびプランジャー９９の伸長動作と、選択さ
れた糸に対する空気の供給圧力を低圧から高圧へ切り換
える操作はほぼ同時に行われる。アクチュエーター９０
によってロッド９１が収縮すると、部材８４が回動して
ローラー８２がローラー８０から離れ糸の供給がストッ
プする。またプランジャー９９が糸引き戻し機構内に引
っ込み、針に送られたが基布には縫い込まれずに貯蔵タ
ンクすなわちプレナムに残っていた糸が引き戻される。
この糸は次回針に送られるときまでこの状態に保持され
る。このように糸引き戻し機構９６によって針に供給さ
れた糸を確実に糸引き戻し機構７０の近く、好ましくは
その内部に引き戻すことによって、針１０の中で糸が絡
まって新しい糸が供給しにくくなるという問題が防ぐこ
とができる。このような構造にすることによって糸を糸
交換器から針に送るのに必要な空気圧を小さくすること
ができる。また糸引き戻し機構と送りローラー８２の間
に糸固定手段（図示省略）を設けることにより、送りロ
ーラー８０が駆動ローラー８２と係合していなくても糸
を糸供給側から引き出してしまう恐れはなく、確実に針
の側から引き戻すことができる。またローラー８２がロ
ーラー８０から離れたときにローラー８２の周囲で糸が
弛んだ状態にあるので、この部分の糸を針に容易に供給
することができる。
【００２２】上で述べたように、新しい糸を針に供給す
る場合は、すでに針に送られている糸は糸交換器の漏斗
状部１０８内、好ましくは通路１０６の出口と漏斗状部
１０８の入口との境界部付近まで引き戻しておく。また
漏斗状部１０８中を流れる空気、すなわち管１０２から
通路１０６を通り、漏斗状部に入り、糸交換器と取付バ
ー７１および糸交換器と針保持部またはクランプ１１０
の境界部に形成された開口部１０９を通って流れる空気
により漏斗状部１０８内には乱流が発生する。このよう
な乱流が発生すると漏斗状部１０８内で糸がもつれ、そ
の結果針が動けなくなって、糸の供給ができなくなって
しまうことがある。この問題を解決するために本発明で
は漏斗状部の針の孔の入口から離れた部分に高圧空気源
を設ける。すなわち本発明ではカラー１１１をチューブ
１１２に接続するとともに取付バー７１の孔に嵌め込
む。チューブ１１２の空気出口１１４は、漏斗状部内の
針１０の孔の入口から少し離れた位置に形成されてい
る。チューブ１１２は空気供給ライン１１６を介して高
圧空気源１１８に接続されており、ここから送られる高
圧空気が針の入口の上方に位置する漏斗状部出口に向け
て噴射される。選択された糸が入っている供給管１０２
に送られる圧縮空気とほぼ同じ圧力の圧縮空気をチュー
ブ１１２に供給することによって、漏斗状部内で糸がも
つれたり針が動けなくなってしまったりする問題を防ぐ
ことができることがわかった。選択された糸が入ってい
る通路およびチューブ１１２に送る空気の圧力は８０ｐ
ｓｉ、他の通路の送る空気の圧力は３０ｐｓｉ程度とす
る。
【００２３】図１のタフティング装置は、複数の横断方
向には移動できない針と、基布の幅方向に間隔をおいて
配置され軸５８に取り付けられた数個のカム部材５０を
用い、カム部材によって針を同時に基布に差し込むよう
になっている。各針によって、糸の供給および他の装置
の部品の制御を行うコンピューター等の制御装置によっ
て選ばれた１本以上の糸が植え込まれる。横断方向に一
列の糸を植え込むために、上で説明したように基布を隣
接する針の間隔に相当する短い距離だけ横断方向に移動
させる。多数の針を用いれば隣接する針の間隔を例えば
２．５インチ程度と比較的小さくできるので、横断方向
に一列の糸を植え込むために必要な基布の横断方向移動
量も小さくすることができる。
【００２４】図１に示すとともに、上述の米国特許Ｎ
ｏ．４９９１５２３で詳しく説明しているように、タフ
ティング装置は、各針に一本ずつ別々に設けたナイフ１
２０からなるカッター機構を備えている。ナイフは図１
に示すように、針および針を往復運動させる機構に対し
て基布の反対側にもう設けられており、図２、３に示す
ように中空針の先鋭端を形成しているテーパー面１１９
に沿ってスライドすることによって、針から突出してい
る糸を切断するようになっている。図１に示すように、
ナイフ１２０は平坦なスチール等の金属製の板状部材で
あり、横断方向にのびるフレーム部材１２８に接続され
た横断方向に間隔をおいて配列されたブラケット１２６
（図面では１つだけ示している）に取り付けたナイフブ
ロック１２２に固定されている。ブラケット１２６は普
段はシャフト１２４に強固に固定しておくことによりシ
ャフトを回転できない状態に保持するとともに、シャフ
トを回転させるための手段を別に設け、この手段を用い
てシャフトを回転させることによって、必要に応じてナ
イフの針に対する角度を変えたり、ナイフを横断方向に
移動させることができる。フレーム部材１２８は好まし
くは、装置の横断方向に間隔をおいて配列したネジ式ジ
ャッキ１３２（図では１台だけを示す）を介して、装置
のフレームの固定部材１３０に支持させる。ジャッキの
制御軸１３４を制御ロッドで互いに連結することによ
り、ナイフの基布に対する相対位置を調節する際に、ジ
ャッキを一斉に上げ下げできるようにする。
【００２５】当業者ならここに開示して構造に様々な変
更を加えることが可能と思われる。しかしここで開示し
た実施例はあくまで例であって本発明の範囲を制限する
ものでは決してない。本発明の思想から外れない変更は
添付の請求の範囲に包含されるものとする。
【００２６】
【発明の効果】本発明のタフティング装置によれば、複
数の糸を中空針に接続されている糸交換器の入口に挿入
し、圧縮空気供給手段を備えた送り手段によって選択的
に糸を１本ずつ糸供給器から針に送り、糸交換器に針の
入口に向けて空気を噴射するためのノズルを設けたの
で、選択された糸の送り方向が曲がって他の糸ともつれ
合うのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のタフティング装置の一部を
切り欠き、一部を概略的に示す側面図
【図２】図１に示す装置の糸交換器および排出装置の拡
大部分側面図
【図３】図２に示す糸交換器の一部を断面で示す後面図
【図４】図３の４−４線に沿った横断面図
【符号の説明】
１０ 針 １２ 基布 ７０ 糸交換器 １０２ 糸供給管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 入口と先鋭端側に設けた出口とを有する
    中空の針１０と、前記針を往復運動させて前記針の先鋭
    端を基布１２に突き刺し糸を植え込むための手段と、入
    口および前記針の入口に連通する出口を有する糸交換器
    ７０とを備え、複数の異なる糸を前記糸交換器に送るた
    めの複数の糸供給管１０２が前記糸交換器の入口までの
    びており、前記各糸供給管から前記糸交換器に圧縮空気
    を送るための圧縮空気供給手段を有し、前記糸供給管の
    少なくとも一つに送られる空気の圧力を、他の供給管に
    送られる空気の圧力よりも高く設定することによって、
    前記少なくとも一つの供給管内に糸があるときに、その
    糸を前記糸交換器に向けて送り出すようになっており、
    さらに前記少なくとも一つの供給管に糸を供給する手段
    を備え、この手段によって糸は前記糸交換器から前記針
    に送られ、前記針が基布に差し込まれる毎に糸が基布に
    植え込まれるようになっており、さらに前記糸供給管と
    は別の経路から前記糸交換器を通って前記針の入口に圧
    縮空気を送る圧縮空気供給手段を設け、これによって前
    記糸交換器内での糸のもつれを防止するようにしたこと
    を特徴とする模様付タフテッド織物製造用のタフティン
    グ装置。
  2. 【請求項２】 前記糸交換器７０は大きな開口端と小さ
    な開口端を有する漏斗状の内部形状を有し、前記小さな
    開口端が前記糸交換器の出口となっており、前記空気圧
    供給手段は前記大きな開口端から前記漏斗状内部空間に
    突出する導管を備え、前記導管の出口を前記針１０の前
    記入口の近くに設けた請求項１に記載の装置。
  3. 【請求項３】 前記針１０を往復運動させる手段が、往
    復運動するプッシュロッド手段と、前記プッシュロッド
    手段に固定した取付バーと、前記糸交換器７０を前記取
    付バーに固定するための手段とからなり、前記取付バー
    に前記糸供給管１０２を前記糸交換器と連通させるため
    の手段と、前記導管を取り付けるための手段を設けた請
    求項２に記載の装置。
  4. 【請求項４】 前記糸供給管１０２に送られる圧縮空気
    とは別に前記糸交換器７０に送られる圧縮空気の圧力
    を、前記少なくとも一つの糸供給管に送られる空気の圧
    力にほぼ等しくなるように定めた前記請求項のいずれか
    ひとつに記載の装置。
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