JPH09238698A - ビタミンb▲12▼の製造方法 - Google Patents

ビタミンb▲12▼の製造方法

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JPH09238698A
JPH09238698A JP8051387A JP5138796A JPH09238698A JP H09238698 A JPH09238698 A JP H09238698A JP 8051387 A JP8051387 A JP 8051387A JP 5138796 A JP5138796 A JP 5138796A JP H09238698 A JPH09238698 A JP H09238698A
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vitamin
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acetobacterium
methanothrix
bacterium
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JP8051387A
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Shiro Nagai
史郎 永井
Yuushin Jiyou
勇進 常
Naomichi Nishio
尚道 西尾
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Daicel Corp
Yaegaki Biotechnology Inc
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Daicel Chemical Industries Ltd
Yaegaki Biotechnology Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物を利用したビタミンB12の工業的な大
量生産に適した製造方法を確立する。 【解決手段】 メタノール資化性能を有し且つビタミン
12を菌体内に蓄積するアセトバクテリウム属に属する
細菌、および酢酸資化性能を有し且つ炭酸ガスを産生す
るメタノスリックス属に属する細菌を、メタノールを含
む培養培地に接種して、嫌気的に混合培養する。 培養
したアセトバクテリウム属に属する細菌が菌体内に蓄積
したビタミンB12を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物を用いたビ
タミンB12の製造方法に関する。 具体的には、メタノ
ール資化性能を有し且つビタミンB12を菌体内に蓄積す
るアセトバクテリウム(Acetobacterium)属に属する細
菌の培養系に、酢酸資化性能を有し且つ炭酸ガスを産生
するメタノスリックス(Methanothrix)属に属する細菌
を導入したビタミンB12の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンB12は、肝臓に含まれる抗悪性
貧血因子であり、別名「コバラミン」とも称されてい
る。 このビタミンB12は、多くの動物種の正常な発育
において不可欠なものであり、核酸代謝、蛋白質代謝、
脂質代謝及び炭水化物の代謝における必須因子である。
また、ビタミンB12欠乏に起因する巨赤芽球性貧血、
赤色舌、運動失調、および昏睡などの症状、ならびに造
血機能障害、肝機能障害、神経疾患などの治療薬(医薬
品)や飼料添加物など、ビタミンB12の用途は多様化
し、その需要も増大している。
【0003】一方、ビタミンB12は、その化学構造が非
常に複雑であるため、化学合成法による工業的合成例は
未だ報告されておらず、専ら天然物からの単離による方
法に依存しているのが実情である。 現在のところ、Sm
ith 法による肝臓からの単離、または微生物による発酵
法でのみ製造されているに過ぎず、今後とも生化学的方
法によるビタミンB12の製造が主流をなすものと考えら
れる。
【0004】微生物によるビタミンB12の生産として、
従来、糖質を炭素源とした培養培地に、放線菌あるいは
細菌を接種・培養する発酵生産法がある。 そして、こ
の発酵生産法に適用可能な放線菌あるいは細菌として、
プロピオニバクテリュウム(Propionibacterium) 属、バ
チルス(Bacillus)属、コリネバクテリュウム(Corynebac
terium) 属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ロド
シュドモナス(Rhodopseudomonas)属、シュードモナス(P
seudomonas) 属、ストレプトマイセス(Streptomyces)
属、ロドスピリナム(Rhodosprinum)属、アクチノマイセ
ス(Actinomyces)属、セレノモナス(Selenomonas) 属、
ノカルジア(Nocardia)属、およびクロストリジューム(C
lostridium) 属に属する放線菌あるいは細菌が知られて
いる。
【0005】また、近年、炭素源として工業的に比較的
安価に入手可能なメタノールを用いた培養方法が、ビタ
ミンB12の工業的製造方法として生産効率上極めて有利
であることから注目されている。 具体的には、プロタ
ミノバクター(Protaminobacter) 属、メタノモナス(Met
hanomonas)属、メタノバチルス(Methanobacillus) 属、
シュードモナス(Pseudomonas) 属、ブチリバクテリュウ
ム(Butyribacterium)属、およびアセトバクテリウム(Ac
etobacterium)属に属するメタノール資化性能を有する
細菌を用いたビタミンB12の発酵生産法が提案されてい
る(米国特許第4,430,429号等参照)。
【0006】上掲した細菌の中でも、特に、偏性嫌気性
細菌であり且つメタノール資化性能を有するアセトバク
テリウム(Acetobacterium)属に属する細菌は、嫌気的条
件下で培養できるため撹拌や酸素供給も必要でなく、ま
た菌体当たりのビタミンB12の含有量が非常に高いの
で、発酵生産法によるビタミンB12の製造に適している
として注目されている。 この種の細菌として、例え
ば、アセトバクテリウムウッディ(Acetobacterium wood
ii) DSM 2396株が、メタノール含有培地にて2.7mg/l の
ビタミンB12を産生したことが報告されている(特公平
5− 61915号、特開平3− 65179号、特開平3− 87194
号等参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、メタノール
資化性能を有するアセトバクテリウム(Acetobacterium)
属に属する細菌〔以下、「アセトバクテリウム属細菌」
と称する〕は、菌体内に高濃度のビタミンB12を蓄積
し、メタノールと炭酸ガスを基質とする培養培地で増殖
し、酢酸を産生する。 しかしながら、アセトバクテリ
ウム属細菌が基質とする炭酸ガスは、常温・常圧の条件
下では気体(ガス)であることから、培養液への溶解が
困難なため、工業生産工程に組み込みにくいという欠点
がある。 しかも、産生される酢酸は、アセトバクテリ
ウム属細菌の増殖を著しく阻害する物質でもある。 従
って、アセトバクテリウム属細菌は、酢酸の存在によっ
てその増殖が阻害されるため、菌体を高濃度にまで培養
することは困難であった。 かような事情から、アセト
バクテリウム属細菌を培養し、培養した菌体からビタミ
ンB12を回収する工程からなる方法は、ビタミンB12
工業的大量生産には不向きとされていた。
【0008】このように、当該技術分野では、菌体内に
高濃度のビタミンB12を蓄積するアセトバクテリウム属
細菌を利用した、極めて高濃度のビタミンB12を工業的
に大量生産できる製造方法が切望されているのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑みて発明されたものであり、その要旨とするところ
は、メタノール資化性能を有し且つビタミンB12を菌体
内に蓄積するアセトバクテリウム属細菌、および酢酸資
化性能を有し且つ炭酸ガスを産生するメタノスリックス
(Methanothrix)属に属する細菌〔以下、「メタノスリ
ックス属細菌」と称する〕を、主要炭素源としてメタノ
ールを含む培養培地に接種して、嫌気的に混合培養し、
そして混合培養により得られたアセトバクテリウム属細
菌の菌体内に蓄積したビタミンB12を回収する、ことを
特徴としたビタミンB12の製造方法である。
【0010】すなわち、本発明者等は、アセトバクテリ
ウム属細菌の増殖を阻害する酢酸を除去でき、さらにア
セトバクテリウム属細菌の増殖のための基質として必須
の炭酸ガスを産生できる菌に関して鋭意検索と研究を行
った結果、前述したメタノスリックス属細菌を知見する
に至ったものである。
【0011】すなわち、アセトバクテリウム属細菌とメ
タノスリックス属細菌を嫌気的条件下にて混合培養す
る。 これにより、アセトバクテリウム属細菌が産生し
た酢酸を、メタノスリックス属細菌が基質として消費し
て炭酸ガスを産生し、一方で、メタノスリックス属細菌
が産生した炭酸ガスと培地中のメタノールを、アセトバ
クテリウム属細菌が基質として消費するという代謝サイ
クルが形成される。 このサイクルによって、アセトバ
クテリウム属細菌の増殖の阻害要素(酢酸の形成・蓄
積)が解消されるのである。
【0012】従って、本発明により、菌体内に高濃度の
ビタミンB12を蓄積するアセトバクテリウム属細菌を利
用した、極めて高濃度のビタミンB12を工業的に大量生
産できる製造方法が構築されるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、メタノール資化性能を
有し且つビタミンB12を菌体内に蓄積するアセトバクテ
リウム属細菌、および酢酸資化性能を有し且つ炭酸ガス
を産生するメタノスリックス属細菌を、メタノールを含
む培養培地に接種して、嫌気的に混合培養し、そして培
養したアセトバクテリウム属細菌が菌体内に蓄積したビ
タミンB12を回収する、ことを特徴としたビタミンB12
の製造方法である。
【0014】本発明の製造方法にて使用される微生物の
内、ビタミンB12を産生するアセトバクテリウム属細菌
とは、その細菌の突然変異株ならびに組換株をも包含す
るものである。 そして、このアセトバクテリウム属細
菌の例として、アセトバクテリウム ウッディ(Acetoba
cterium woodii) [ATCC 29683]、アセトバクテリウムウ
ッディ(Acetobacterium woodii)[Deutsche Sammulung v
on Mikroorganismen(DSM) 2396]、アセトバクテリウム
ウッディ(Acetobacterium woodii) BME-76[FERM P-107
96] 、アセトバクテリウム ウッディ(Acetobacterium
woodii) BME-69、アセトバクテリウム ウッディ(Aceto
bacterium woodii) BME-69-7 [FERMP-12730]、アセトバ
クテリウム ウッディ(Acetobacterium woodii) BME-69
-23[FERM P-12731]などがある。 なお、前記アセトバ
クテリウム ウッディ(Acetobacterium woodii) BME-69
は、本出願人によって、平成7年11月16日に、茨城県つ
くば市東町1丁目1番3号に所在の通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所にて寄託され、受託番号 FER
M P-15298 が付与されている。
【0015】一方で、メタノスリックス属細菌とは、そ
の細菌の突然変異株ならびに組換株をも包含するもので
ある。 そして、このメタノスリックス属細菌の例とし
て、学会発表時のメタノスリックス ソーエンゲニイ(M
ethanothrix soehngenii) MTKO [DSM 6752] 、メタノス
リックス コンシリイ(Methanothrix concilii) [DSM36
71]、メタノスリックス サーモアセトフィラ(Methanot
hrix thermoacetophila) [DSM 4774]などがある。
【0016】本発明によれば、安定かつ高速度で酢酸を
除去するメタノスリックス属細菌を得るために、先ず、
メタノスリックス属細菌を付着させた固定床の調製を行
う。つまり、バイアル瓶での嫌気的純粋培養で得たメタ
ノスリックス属細菌の菌体を、多孔性担体などからなる
固定床に循環させて付着させた後、酢酸濃度を上方調整
できる下記表1に記載の組成を有するメタノスリックス
培地を固定床に流すことによって実施する。 この場
合、培養温度 37 ℃、培地pH 6.5〜7.2 程度の窒素嫌気
条件を採用する。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】次に、アセトバクテリウム属細菌を、窒素
嫌気条件下で連続撹拌培養を行い、このアセトバクテリ
ウム属細菌の培養液を、連続的にメタノスリックス固定
床に循環させ、混合培養を行う。 この場合、アセトバ
クテリウム属細菌の連続培養の培地供給速度は、ウオッ
シュアウトを考慮すれば、0.01〜0.05h-1(時間-1)が
好ましく、またアセトバクテリウム属細菌の培養液の循
環速度は、 0.5〜 2.0day -1(日-1)とするのが好まし
い。 なお、この場合の培養法としては実質的に酸素を
含まない嫌気的条件で行えば良く、例えば、窒素、二酸
化炭素などからなる気相中で、静置培養、振とう培養な
どにより行うことができる。 また、培養方式として
は、回分培養、連続培養のいずれであっても良い。 そ
して、培養条件としては、ビタミンB12の生産性が損な
われない範囲で適宜設定できるが、好ましくは、培地pH
7.0〜7.4 、培養温度28〜32℃程度の条件が用いられ
る。
【0021】また、アセトバクテリウム属細菌の連続撹
拌培養に用いる培地としては、主要炭素源としてメタノ
ールを含み、通常用いられる窒素源、無機塩類、微量元
素およびビタミン混合液を使用する。 この場合、炭素
源として用いるメタノールの濃度としては、生成する酢
酸による増殖阻害を避けるため、 100〜 300mMとするの
が好ましく、培地中のメタノール濃度を 250mMとするの
が好ましい。
【0022】前記窒素源としては、硫酸アンモニウム、
塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのアンモニ
ア塩類、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩類、尿素等の無機
窒素や、麦芽エキス、ペプトン、肉エキス、コーンステ
ィーブリカー、カゼイン分解物、フィッシュミールなど
の窒素性有機物を用いることができる。
【0023】また、無機塩類としては、塩化コバルトな
どのコバルト塩類、リン酸カリウムなどのリン酸塩類、
塩酸マグネシウムなどのマグネシウム塩類、塩化マンガ
ンなどのマンガン塩類の他、亜鉛塩類、カルシウム塩
類、モリブデン塩類、鉄塩類、ナトリウム塩類等を用い
ることができる。
【0024】さらに、微量元素としては、硫酸マグネシ
ウム、硫酸マンガン、食塩等が用いられ、ビタミンとし
ては、ビオチン、ニコチン酸、葉酸、ビタミンB1 、ビ
タミンB2 、ビタミンB6 、パントテン酸、p-アミノ安
息香酸、リポ酸などが使用できる。
【0025】なお、ビタミンB12の生産性を促進するた
めに、培地に、5,6-ジメチルベンズイミタゾール、イミ
ダゾール、コリン、ベタインなどの前駆物質を添加する
ことも可能である。
【0026】このように、アセトバクテリウム属細菌と
メタノスリックス属細菌を、メタノールを主要炭素源と
して含む培地中で嫌気的に混合培養することによって、
アセトバクテリウム属細菌が産生した酢酸を、メタノス
リックス属細菌が基質として消費して炭酸ガスを産生
し、一方で、メタノスリックス属細菌が産生した炭酸ガ
スと培地中のメタノールを、基質としてアセトバクテリ
ウム属細菌が消費するという代謝サイクルが形成され、
アセトバクテリウム属細菌の増殖の阻害要素(酢酸の形
成・蓄積)が解消されるのである。 これにより、菌体
内に高濃度のビタミンB12を蓄積するアセトバクテリウ
ム属細菌を利用した、炭酸ガスの供給を必要としない、
極めて高濃度のビタミンB12を工業的に大量生産できる
製造方法が構築されるのである。
【0027】なお、培養物からのビタミンB12を回収
は、従来法と同様に行うことができる。 すなわち、ビ
タミンB12は菌体内に蓄積されるので、遠心分離などに
よって培養物中の菌体をまず捕集する。 そして、安定
型であるシアノ型ビタミンB12として培養物から分離す
る場合には、シアン化カリウム(KCN) 等のシアンイオン
を菌体に添加し、塩酸などの酸でpH4〜5に調整して後
に煮沸するか、またはシアン化カリウムを含むエタノー
ル等によって抽出することができる。 また、補酵素型
ビタミンB12、ヒドロキソ型ビタミンB12、メチル型ビ
タミンB12として培養物から分離する場合には、常法に
従って、例えば、80%エタノールを用いた沸点での抽
出、50%冷アセトンを用いた抽出、20%ピリミジンを用
いた抽出など、溶剤を用いて暗所で菌体から抽出するこ
とができる。 さらに、かようにして培養物から抽出さ
れたビタミンB12の精製は、フェノール抽出、カラムク
ロマトグラフィー、各種イオン交換樹脂、活性炭吸着な
どを適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0028】実施例 pH 7.4に調整した、下記表4に記載の組成を有する 250
mMメタノール含有培地900ml を1lの培養フラスコに入
れ、窒素80%、炭酸ガス20%の雰囲気下で嫌気状態とし
た。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】そして、121 ℃にて、18分間、培地を加熱
滅菌した。 この培地に、予め30℃で4日間、同じ組成
の培地で静置培養したアセトバクテリウム ウッディ(A
cetobacterium woodii) BME-69 [FERM P-15298] 〔以
下、「BME-69株」と称する〕の懸濁液を 100ml植菌し、
30℃で静置培養した。
【0033】一方、メタノスリックス ソーエンゲニイ
(Methanothrix soehngenii) MTKO[DSM 6752]〔以下、
「MTKO株」と称する〕を、表1に記載の組成を有する培
地にて、37℃で、静置培養することによって得、これを
固定床に循環させることによって、多孔性担体からなる
固定床に付着させた。 そして、培養したMTKO株を、酢
酸濃度を上方調整できる表1に記載の組成を有する培地
にて、37℃、pH6.9 、窒素嫌気条件下で固定床に流すこ
とによって、メタノスリックス固定床の調製を行った。
【0034】BME-69株を4日間培養した後、炭酸ガスを
供給しない窒素嫌気条件下で、BME-69株を連続撹拌培養
(表4の培地供給速度:0.02時間-1、培養温度30℃)
し、このBME-69株の培養液を、0.56日-1の循環速度の条
件で連続的にメタノスリックス固定床に循環させ、MTKO
株が副生する炭酸ガスを炭素源としたBME-69株との混合
培養を行った。 これにより、蓄積した酢酸濃度はほぼ
零(0)にまで抑えることができた。
【0035】結果として、菌体濃度と蓄積したビタミン
12の濃度は、それぞれ0.75g/l 、4.4mg/g菌体であっ
た。 従って、ビタミンB12の生産速度は 1.58g/l/day
であった。 なお、ビタミンB12の蓄積量は高速液体ク
ロマトグラフィで測定した。比較例 BME-69株のみを、同じく8 g/lメタノールを含む培地
(表4)にて、炭酸ガスを十分に供給する条件下で、5
日間回分培養(30℃、pH 7.4) した結果、菌体濃度と蓄
積したビタミンB12の濃度は、それぞれ0.57g/l、3.88
mg/g菌体であった。 従って、ビタミンB12の生産速度
は0.44g/l/day であり、先の実施例の1/3以下の生産効
率しか得られなかった。
【0036】
【発明の効果】すなわち、アセトバクテリウム属細菌と
メタノスリックス属細菌を、メタノールを主要炭素源と
して含む培地中で嫌気的に混合培養することを特徴とし
た本発明のビタミンB12の製造方法によれば、アセトバ
クテリウム属細菌が産生する(アセトバクテリウム属細
菌の増殖阻害物質である)酢酸を、メタノスリックス属
細菌が基質として消費して炭酸ガスを産生し、一方で、
この産生した炭酸ガスと培地中のメタノールをアセトバ
クテリウム属細菌が基質として消費して細菌の増殖を行
うという理想的な代謝サイクルが形成される。
【0037】これにより、アセトバクテリウム属細菌の
増殖阻害物質である酢酸を除去できると共に、培養液へ
の溶解が困難な炭酸ガスの供給が不必要となり、菌体内
にビタミンB12を蓄積するアセトバクテリウム属細菌の
大量培養、その培養物からの高濃度のビタミンB12の回
収が可能となり、ビタミンB12の工業的大量生産を実現
せしめる等の優れた効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 尚道 広島県東広島市八本松町飯田388−10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンB12の製造方法であって、以下
    の工程、すなわち; (1) メタノール資化性能を有し且つビタミンB12を菌体
    内に蓄積するアセトバクテリウム(Acetobacterium)属
    に属する細菌、および酢酸資化性能を有し且つ炭酸ガス
    を産生するメタノスリックス(Methanothrix)属に属す
    る細菌を、主要炭素源としてメタノールを含む培養培地
    に接種し、 (2) 前記アセトバクテリウム属に属する細菌と前記メタ
    ノスリックス属に属する細菌を、前記培地中で嫌気的に
    混合培養し、および (3) 前記混合培養により培養された前記アセトバクテリ
    ウム属に属する細菌の菌体内に蓄積したビタミンB12
    回収する、 工程を含むことを特徴とするビタミンB12の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アセトバクテリウム属の種が、アセ
    トバクテリウム ウッディ(Acetobacterium woodii) で
    ある請求項1に記載のビタミンB12の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アセトバクテリウム ウッディ(Ace
    tobacterium woodii) が、アセトバクテリウム ウッデ
    ィ(Acetobacterium woodii) BME-69 [FERM P-15298] で
    ある請求項2に記載のビタミンB12の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記メタノスリックス属の種が、メタノ
    スリックス ソーエンゲニイ(Methanothrix soehngeni
    i) 、メタノスリックス コンシリイ(Methanothrix con
    cilii) 、およびメタノスリックス サーモアセトフィ
    ラ(Methanothrix thermoacetophila) からなるグループ
    から選択される種である請求項1ないし3のいずれかに
    記載のビタミンB12の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記メタノスリックス ソーエンゲニイ
    (Methanothrix soehngenii) が、メタノスリックス ソ
    ーエンゲニイ(Methanothrix soehngenii)MTKO [DSM 675
    2] である請求項4に記載のビタミンB12の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018153152A (ja) * 2017-03-21 2018-10-04 積水化学工業株式会社 有機化合物生産システム、並びに、有機化合物の生産方法

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JP2018153152A (ja) * 2017-03-21 2018-10-04 積水化学工業株式会社 有機化合物生産システム、並びに、有機化合物の生産方法

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