JPH09237672A - 自己温度制御発熱体 - Google Patents

自己温度制御発熱体

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JPH09237672A
JPH09237672A JP4307996A JP4307996A JPH09237672A JP H09237672 A JPH09237672 A JP H09237672A JP 4307996 A JP4307996 A JP 4307996A JP 4307996 A JP4307996 A JP 4307996A JP H09237672 A JPH09237672 A JP H09237672A
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JP
Japan
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heating element
self
temperature
phase conversion
resin
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JP4307996A
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Inventor
Kenji Sugiura
健二 杉浦
Masaru Shirouchi
優 城内
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Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋭敏なPTC特性を有し、自己温度制御性が
長期に亘って安定な発熱体を提供する。 【解決手段】 樹脂マトリックスを形成する熱可塑性樹
脂と導電性フィラとの基本組成に、固液相転換する相転
換材料をカプセル化用素材によりカプセル化してなるカ
プセル化相転換材料を配合して形成する。相転換材料が
固体から液体に一次相転移することにより、発熱体が過
剰に発熱した場合の熱が吸収され、それによって、樹脂
マトリックスの融解による抵抗値の減少が防止される。
この相転換材料としては、炭素数が12以上の直鎖の脂
肪族炭化水素等を好適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は面状発熱体等として
具体化される自己温度制御発熱体、即ち、特定の温度領
域に達すると抵抗温度係数が急激に正の方向に増大する
PTC(Positive Temperature
Coefficient)特性を有する発熱体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、有機導電性組成物から形成された
発熱体、即ち、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可
塑性樹脂をマトリックスとし、これにカーボンブラック
やグラファイト等の導電性フィラを分散させた有機質の
電気発熱体に高い注目が集められ、既に面状発熱体等と
して一部では実用化されている。この発熱体によれば、
樹脂の結晶融点近くの温度で抵抗温度係数が急激に増大
するPTC特性を示し、自己温度制御性を有する抵抗発
熱体を形成するからである。
【0003】このようなPTC特性は、マトリックスを
形成する樹脂がガラス転移温度を越え、その結晶融点に
近づくにつれて急激に体積が膨脹し、それによって、導
電性フィラの緊密な接触が引き離されるために生じるも
のである。そのため、通電による発熱はその結晶融点に
近い一定の温度で実質的に停止し、また、発熱体が冷却
されると、樹脂マトリックスが収縮して導電性フィラの
接触が回復する結果、再び発熱する。こうして、連続通
電のもとで一定の温度で発熱する自己温度制御性が得ら
れる。
【0004】しかしながら、これは理想的な場合のこと
であり、そのような有機導電性組成物の発熱体によって
優れた自己温度制御性を得ることは、実際上においては
困難を伴なうことである。即ち、発熱体の抵抗値は樹脂
マトリックスの結晶融点をピークとして増大するが、そ
の温度を越えると、樹脂の溶融による流動によって、そ
れまで引き離されていた導電性フィラの配列が変化し、
それによって抵抗値が再び減少する。そのため、何等か
の原因で一旦樹脂マトリックスが溶融するとその部分の
温度抵抗値が減少し、そして長い間の使用によってその
ような融解が繰り返される結果、次第に発熱体の抵抗値
が減少し、制御温度が増加する。また、このような抵抗
値の減少が極端に進行すると発熱体が焼損することにな
る。
【0005】そこで、このような発熱体については、特
に、その自己温度制御性を長期間に亘って保持する観点
から、組成上の種々の改良が提案されている。例えば、
特開昭62−51184〜7号公報、特開平2−307
02号公報、特開平3−205777号公報、特開平3
−280381号公報、特開平5−234707号公報
等においては、樹脂マトリックスを形成する成分とし
て、融点または軟化点の異なる樹脂または材料の混合使
用が開示されている。また、特殊な例として、特開平5
−47505号公報には、2種の非相溶性の樹脂または
ゴムから海−島構造の組織を形成し、導電性フィラをそ
の島部分に分散させたものが開示されている。更に、導
電性フィラ自体に関して、特開平5−198403号公
報にはスパイク状突起を有する導電性粒子の使用が、ま
た、特開平6−157827号公報には導電性フィラを
カプセル化したものの使用がそれぞれ開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、熱可塑性
樹脂をマトリックスとし導電性フィラが分散された自己
温度制御発熱体においては、そのマトリックスを形成す
る熱可塑性樹脂の融点を越えて加熱されると、抵抗値が
低下する。つまり、その融点以上の温度では、抵抗値が
次第に減少するNTC特性を示す。
【0007】そのため、例えば、上記の特開昭62−5
1187号公報においては、マトリックスを軟化温度が
200℃の熱可塑性樹脂とマイクロクリスタリンワック
スとから形成している。そして、これによれば、PTC
特性は結晶性の高いそのマイクロクリスタリンワックス
によって得られ、また、その融点を越えた場合でも、熱
可塑性樹脂の軟化温度が高く、マトリックスが流動する
ことはないため、抵抗値が実用上低下することはないと
されている。
【0008】しかしながら、この技術を含めて、自己温
度制御発熱体に関する従来知られた技術の多くでは、マ
トリックスを形成する熱可塑性樹脂または高分子材料の
融解自体を防止する点には重点が置かれてはおらず、少
なくとも一部のマトリックスの融解を伴なうものであ
る。そのため、導電性フィラが分散されたマトリックス
の少なくとも一部が融解すると、その流動により導電性
フィラの配列状態が変わり、それによって抵抗値が低下
する。そして、このようなマトリックスの融解は長期の
間には何度も繰返され、それによって、抵抗値の低下が
次第に増加し、また制御温度が上昇する。したがって、
それらの従来の技術は、特に、抵抗値または制御温度の
長期安定性という点では、なお不十分なものであった。
【0009】そこで、本発明は、鋭敏なPTC特性を有
し、また、長期に亘って安定な自己温度制御性を維持す
ることができる自己温度制御発熱体の提供を課題とする
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題に鑑み種々の検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂と導電
性フィラとを基本組成とする発熱体に対して、その溶融
温度で固液一次相転換する相転換材料をカプセル化用素
材によりマイクロカプセル化したカプセル化相転換材料
を混合することによって、鋭敏なPTC特性が得られ、
また、その特性が長期に亘って維持されることを見出
し、また確認した。
【0011】即ち、請求項1にかかる自己温度制御発熱
体は、樹脂マトリックスを形成する熱可塑性樹脂と、導
電性フィラと、固液相転換する相転換材料をカプセル化
用素材によりカプセル化してなるカプセル化相転換材料
とを含むものである。
【0012】この自己温度制御発熱体によれば、カプセ
ル化相転換材料が含まれているため、それの固液相変換
時の吸熱によって、発熱体の過剰な発熱が防止され、樹
脂マトリックスが融解するのを防止することができる。
そのため、樹脂マトリックスの流動に基づく抵抗値の低
下が防止され、鋭敏なPTC特性が得られると共に、長
期の使用によっても抵抗値が実質的変化することがな
く、自己温度制御性が安定に維持される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この自己温度制御発熱体に
ついて更に詳細に説明する。
【0014】以上のように、この自己温度制御発熱体は
熱可塑性樹脂と導電性フィラとの基本組成に更にカプセ
ル化相転換材料を配合した組成物から形成される。これ
らの材料について、また、これらの材料を用いた自己温
度制御発熱体の製造方法について順に説明する。
【0015】〈カプセル化相転換材料〉カプセル化相転
換材料は、一次相変化による相転換を伴う化合物(相転
換材料Phase Change Material:
PCM)を芯物質として内包するマイクロカプセルであ
り、一般に、微粒子化した相転換材料をカプセル化用素
材で被覆して得ることができる。
【0016】そして、この相転換材料としては、融点或
いは凝固点を有する任意の化合物を用いることができる
が、物理化学的に安定であり、かつ実用上融解熱が20
kcal/kg以上のものが好ましい。そのような相転
換材料としては、例えば、塩化カルシウム・6水塩、硫
酸ナトリウム・10水塩、リン酸水素ナトリウム・12
水塩、チオ硫酸ナトリウム・5水塩、硝酸ニッケル・6
水塩等の多量の結晶水を含む無機化合物や、脂肪族炭化
水素、芳香族炭化水素、脂肪酸、高級アルコール、エス
テル化合物、アミド類等の有機化合物が挙げられる。た
だし、これらの中でも、ドデカン、テトラデカン、ペン
タデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン等の
炭素原子数が12以上の直鎖の脂肪族炭化水素(ノルマ
ルパラフィン類)が特に好適に使用される。これらの脂
肪族炭化水素化合物は炭素原子数の増加と共に融点が上
昇するため、目的とする制御温度に応じた融点を有する
ものを選択して、その1種または2種以上を使用するこ
とができる。そして、例えば、樹脂マトリックスが溶融
し抵抗値が低下し始める温度(融点)、またはその温度
より少しだけ低い温度の融点を有するものを相転換材料
として選択することにより、樹脂マトリックスが溶融温
度に到達するか、またはそれ以前に、相転換材料が融解
し、そのとき融解熱として周囲の熱を吸収することによ
って、樹脂マトリックスのそれ以上の昇温を抑制するこ
とができる。
【0017】このような相転換材料を被覆するカプセル
化用素材としては、ある程度十分な耐熱性を有するもの
であれば特に制限されず、この種のマイクロカプセルを
形成するために一般に使用されている任意のものを用い
ることができる。そのようなカプセル化用素材として
は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイソプレン樹
脂、エチルセルロース樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォンア
ミド、尿素樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホ
ルマリン樹脂等の合成樹脂、フッ素ゴム、シリコンゴ
ム、ウレタンゴム、アクリルゴム、アラビアゴム等のゴ
ム、エラストマー、高級脂肪酸、エステル、等が挙げら
れる。そして、これらのカプセル化用素材は、自己温度
制御発熱体の具体的な使用目的、使用条件等に応じて、
或いはマイクロカプセルに要求される堅牢性等の物性に
応じて、更には内包する相転換材料に応じて、適宜選択
して用いることができる。
【0018】そして、カプセル化相変換材料は、これら
の相転換材料を微粒子化し、次いでその微粒子の表面を
このようなカプセル化用素材で被覆し、マイクロカプセ
ル化することによって製造することができる。なお、マ
イクロカプセル化はこの種のマイクロカプセルを形成す
るために一般に用いられる任意の手法によって行うこと
ができる。そのようなマイクロカプセル化方法として
は、相分離(コアセルベーション)法、液中乾燥法、気
中懸濁被覆法、界面重合法、現場(in−situ)
法、液中硬化被覆法、界面反応法等を挙げることがで
き、芯物質とカプセル化用素材との組合せ条件、及び自
己温度制御発熱体の使用目的、使用条件等に応じ、また
はマイクロカプセルに要求される物性等に応じて、適宜
選択することができる。また、必要に応じて、ウェット
スピンプロセスにより、ファイバ状に形成することもで
きる。
【0019】このようにして得られたカプセル化相転換
材料は、内包する相転換材料が相変化に伴って潜熱を吸
収或いは放射するため、優れた蓄熱性(保温性)を有し
ている。
【0020】そして、このカプセル化相転換材料は自己
温度制御発熱体の温度が自己制御温度を越えて上昇する
ことを抑制し、それによってマトリックス樹脂の融解と
それに起因する抵抗値の低下とを防ぐために用いられ
る。即ち、自己温度制御発熱体の温度がその制御温度、
即ち、樹脂マトリックスの融点に近づくと、これに対応
する融点の相転換材料を内包するカプセル化相転換材料
が相転換材料の融解に伴って吸熱し、自己温度制御発熱
体の温度がそれ以上上昇することを抑制する。したがっ
て、自己温度制御発熱体の温度は樹脂マトリックスの融
点以上に上昇しないため、樹脂マトリックスは溶融して
流動性を示すことなく、その結果、抵抗値の低下を防ぐ
ことができる。
【0021】なお、使用するそのカプセル化相転換材料
の大きさとしては、自己温度制御発熱体の使用目的、使
用条件等に応じて適宜選択することができるが、熱交換
の効率性及び自己温度制御発熱体中での均質な分散性等
の点から、1〜200μm程度であることが好ましく、
更に好ましくは5〜100μm程度である。
【0022】そして、このカプセル化相転換材料は、自
己温度制御発熱体全体に対して、一般に5〜50重量%
の配合割合で使用することができる。この割合が余り少
なく、一般に5重量%よりも少ないと、温度上昇の抑制
効果が実用上十分に得られない。また、カプセル化相転
換材料の配合割合が多いほど潜熱量が増加し、温度上昇
の抑制効果は向上するが、余り多く配合してもそれによ
る効果は頭打ち状態となるだけでなく、多大な配合は他
の成分の配合を困難にする。そのため、50重量%を限
度として、それ以下の割合で配合することが好ましい。
【0023】〈熱可塑性樹脂〉熱可塑性樹脂としては、
この種の自己温度制御発熱体を形成するために一般に使
用されている任意のものを使用することができる。
【0024】そのような熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、等のオレフィン系
重合体、またはそれらの塩素化物、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロメチレン等のフッ素系重合体、
ナイロン6、ナイロン11等のポリアミド、ABS樹
脂、AS系樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、熱可塑性ポ
リウレタン、ポリビニルブチラール、ポリ−4−メチル
ペンテイン−1、ポリブテン−1、ポリカーボネート樹
脂、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、
ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、セルロース繊維樹脂、ポリスチレン等の結晶性樹
脂、及び、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メ
チル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、等の非
晶性樹脂を挙げることができる。ただし、これらの中で
も、オレフィン系重合体等の結晶性樹脂が一般に好適に
使用される。なお、このオレフィン系重合体としては、
オレフィン炭化水素の単独重合体のみでなく、他のαオ
レフィン炭化水素、酢酸ビニル等のビニルエステル、ビ
ニルメチルエーテル等のビニルエーテル、アクリル酸ま
たはメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、等のビニ
ル系単量体との共重合体も用いることができる。また、
無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン等のマレイン酸
変性オレフィン系重合体も用いることができる。しか
し、これらのオレフィン系重合体の中でも、熱可塑性樹
脂としては、ポリエチレンが一般に最も好適に使用され
る。
【0025】〈導電性フィラ〉上記の熱可塑性樹脂のマ
トリックス中に分散させる導電性フィラとしては、この
種の自己温度制御発熱体を形成するために一般に使用さ
れている任意のものを用いることができる。
【0026】そのような導電性フィラとしては、例え
ば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等の炭素系材料
や、銀粉末、ニッケル粉末、銅粉末等の金属粉末、酸化
錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム等の金属酸化物の粉末、
窒化チタン、炭化チタン、ホウ素またはリンをドープさ
せたケイ素またはゲルマニウム、チタン酸カリウムウィ
スカ、チタン酸バリウムウィスカ等の導電性粉末等が挙
げられる。そして、これらは、その任意の1種または2
種以上を使用することができる。しかし、これらのなか
でも、導電性カーボンブラックが最も一般的であり、ま
た導電性能、安定性の点からも好ましい。なお、使用す
るこの導電性フィラの大きさとしては、例えば、粒状物
の場合には平均粒径が0.01〜200μm程度である
ことが好ましく、0.02〜20μm程度であることが
より好ましい。また、繊維状物の場合には繊維径が0.
5〜30μm程度、繊維長が0.1〜500μm程度で
あることが好ましい。
【0027】〈その他〉また、本発明の自己温度制御発
熱体には、上記の必須成分の他に、分散剤、粘度調整
剤、着色剤、沈降防止剤、安定剤、架橋剤、充填剤、難
燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等の各
種添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。
【0028】〈自己温度制御発熱体の製造〉本発明にか
かる自己温度制御発熱体は、この種の自己温度制御発熱
体としての通常の方法によって製造することができる。
即ち、例えば、上記のカプセル化相転換材料、熱可塑性
樹脂、及び導電性フィラ等を、ロール、ニーダ等で加熱
混練して均一に混合し、この混合物を予備成形し、電極
を設置した後、その予備成形体を加熱加圧成形する方法
によって面状或いはその他の任意の形状の自己温度制御
発熱体を製造することができる。また、上記の熱可塑性
樹脂を溶剤に溶解し、これに上記のカプセル化相転換材
料及び導電性フィラ等を添加、攪拌して均一に混合した
後、この混合物を電極の設置された基体に塗布または印
刷し、加熱乾燥し硬化することによって製造することも
できる。なお、基体としては、自己温度制御発熱体の使
用目的、使用条件等に応じて、コンクリート基板、セラ
ミックス板、樹脂フィルム及びシート、ゴムシート、
紙、金属、及びこれらに絶縁フィルムをラミネートした
もの等を適宜使用することができる。
【0029】そして、面状発熱体等として形成されたこ
の自己温度制御発熱体は、各種暖房または保温用、融雪
用、或いは結露防止用等の具体的な種々の用途に利用す
ることができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。
【0031】なお、図1は本発明の実施例及び比較例の
自己温度制御発熱体の連続通電試験時の抵抗値の経時的
変化を示す特性図である。
【0032】〔自己温度制御発熱体の作製〕次の表1に
示す配合組成(重量部)で、本発明の実施例1乃至実施
例3の自己温度制御発熱体を試験的に作製した。また、
これらとの比較のために、比較例の自己温度制御発熱体
も併せて作製した。なお、これらの実施例及び比較例の
自己温度制御発熱体は、具体的には、面状発熱体として
形成した。
【0033】
【表1】
【0034】表1のように、これらの実施例及び比較例
の自己温度制御発熱体は、いずれも、主材としてマトリ
ックスを形成する熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂の
マトリックス中に分散される導電性フィラと、カプセル
化相転換材料との混合物から形成されている。ただし、
各実施例及び比較例においては、そのカプセル化相転換
材料の配合量を種々に変えて形成されている。なお、こ
こで使用したこれらの各材料は、次の成分または組成か
らなっている。
【0035】主材である熱可塑性樹脂としては、低密度
ポリエチレン樹脂(『スミカセンE−104』住友化学
(株)製)を使用し、各実施例及び比較例において10
0重量部ずつ配合した。
【0036】また、導電性フィラーとしては、カーボン
ブラック(『デンカブラック』電気化学工業(株)製)
を使用し、各実施例及び比較例において40重量部ずつ
配合した。
【0037】更に、カプセル化相転換材料としては、4
0℃付近に融点または凝固点を有するヘネイコサンを芯
物質として内包し、粒径約30μmの微小球状にマイク
ロカプセル化したカプセル化相転換材料(『アウトラス
ト』ゲートウェーテクノロジー社製)を使用した。
【0038】そして、このカプセル化相転換材料の配合
量を各実施例において変え、実施例1では50重量部、
実施例2では少なくして10重量部、実施例3では逆に
多くして100重量部とした。即ち、カプセル化相転換
材料の配合割合は、発熱体全体に対して、実施例1では
約26重量%、実施例2では約7重量%、実施例3では
約42重量%である。また、比較例ではこのカプセル化
相転換材料を無配合とした。
【0039】このように、カプセル化相転換材料の配合
のみを変え、その他は同じ成分組成として、実施例及び
比較例の自己温度制御発熱体を作製した。なお、これら
の自己温度制御発熱体は、通常の方法によって、具体的
には次のように作製した。即ち、熱可塑性樹脂を溶剤に
溶解した後、これに導電性フィラ及びカプセル化相転換
材料を添加し、攪拌して十分均一に分散させた。次い
で、このカプセル化相転換材料を含むまたは含まない上
記の配合の発熱体原料の混合物の溶液を、電極を貼付け
たポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗
布し、風乾した。そして、これを更に熱処理して加熱乾
燥した後、所定の寸法にカットして、面状発熱体として
の自己温度制御発熱体を得た。
【0040】〔評価試験〕次に、こうして相転換材料の
配合を変えて作製した実施例及び比較例の各自己温度制
御発熱体について、その温度制御性の経時的安定性を評
価するために、連続通電試験を行ない、そのときの抵抗
値の経時的変化を測定した。
【0041】具体的には、作製した実施例及び比較例の
各自己温度制御発熱体について、約20℃の一定の温度
に調整された室内において、その両電極間に一定の電圧
を印加して、1000時間の連続通電試験を行った。そ
して、所定の時間毎に、各自己温度制御発熱体の抵抗値
を測定し、試験開始時の抵抗値に基づいてその変化率を
算出した。
【0042】この試験結果を、図1に示す。
【0043】〔試験結果〕図1のように、まず、従来か
らの一般的な自己温度制御発熱体に相当し、カプセル化
相転換材料を含まない比較例では、長時間の連続通電に
よって抵抗値が徐々に低下している。つまり、発熱量が
増加し、制御温度が上昇している。そして、1000時
間後には、20%を越える抵抗値の減少が見られる。こ
の抵抗値の低下は、マトリックスを形成する熱可塑性樹
脂がその融点以上の温度に加熱されて溶解し、そしてそ
の流動によって、それまで互いに引き離されていた導電
性フィラの配列状態が変動し、それらが互いに接触する
結果、抵抗値が低下したものと考えられる。
【0044】これに対して、カプセル化相転換材料を含
有させた実施例1乃至実施例3では、1000時間の連
続通電によっても、抵抗値の変動は実質的になく、初期
の抵抗値がそのまま維持されている。即ち、制御温度は
初期から一定に維持され、温度制御性における優れた経
時安定性を示している。また、この結果は、比較例の場
合とは異なり、マトリックスを形成する熱可塑性樹脂が
その融点以上の温度に加熱され、それによって抵抗値が
減少すること(NTC特性)が防止されること、つま
り、鋭敏なPTC特性が得られることを示している。し
かも、このような優れた特性は、カプセル化相転換材料
の配合割合が全体に対して約7重量%と僅かである実施
例2の場合でも、その割合がそれぞれ約26重量%、約
42重量%である実施例1及び実施例3と同様に得られ
ている。
【0045】そこで、この試験結果から、熱可塑性樹脂
と導電性フィラとを基本組成とする自己温度制御発熱体
に、固液相転換材料をマイクロカプセル化したカプセル
化相転換材料を配合することによって、鋭敏なPTC特
性が得られると共に、長期間の使用によっても、制御温
度及び抵抗値に変動がない優れた経時的安定性が得られ
ることが分かる。
【0046】なお、面状発熱体として形成した具体的な
実施例を比較例と共に説明したが、本発明を実施する場
合には、面状発熱体としてだけでなく、棒状或いは線状
等の適宜の形状に形成することができる。また、熱可塑
性樹脂、導電性フィラ、カプセル化相転換材料について
も、実施例で使用した具体的材料に限定されるものでは
なく、既に説明したように、その他の適宜の材料を使用
することができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる自己温
度制御発熱体は、樹脂マトリックスを形成する熱可塑性
樹脂と、導電性フィラと、固液相転換する相転換材料を
カプセル化用素材によりカプセル化してなるカプセル化
相転換材料とを含むものである。
【0048】したがって、この自己温度制御発熱体によ
れば、カプセル化相転換材料が配合されているので、こ
の発熱体が過度に発熱した場合の熱を、その相転換材料
の固液相転換によって吸収することができ、それによっ
て、樹脂マトリックスの融解及び流動による抵抗値の低
下または変動を防止することができる。即ち、この自己
温度制御発熱体によれば、発熱体の温度が樹脂マトリッ
クスの融解温度を越えることが防止されるため、鋭敏な
PTC特性が得られ、また、長期間の使用によっても温
度抵抗値が実質的に変化することがなく、経時的に安定
な温度制御性を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例の自己温度制
御発熱体の連続通電時の抵抗値変化を示す特性図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂マトリックスを形成する熱可塑性樹
    脂と、 導電性フィラと、 固液相転換する相転換材料をカプセル化用素材によりカ
    プセル化してなるカプセル化相転換材料とを含むことを
    特徴とする自己温度制御発熱体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011049162A (ja) * 2009-07-31 2011-03-10 Iwasaki Dannetsu Kk Ptc面状発熱体成形用組成物、ptc面状発熱体の製造方法及びptc面状発熱体
JP2012181956A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Hokuto Co Ltd Ptc導電性塗料の製造方法、ptc面状発熱体の製造方法、ptc導電性塗料及びptc面状発熱体
JPWO2016063815A1 (ja) * 2014-10-20 2017-04-27 フェリック株式会社 温度制御剤ならびにそれを用いた発熱組成物、包材及び温熱材

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