JPH09237159A - 抵抗膜型透明タッチパネル - Google Patents

抵抗膜型透明タッチパネル

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Publication number
JPH09237159A
JPH09237159A JP34668496A JP34668496A JPH09237159A JP H09237159 A JPH09237159 A JP H09237159A JP 34668496 A JP34668496 A JP 34668496A JP 34668496 A JP34668496 A JP 34668496A JP H09237159 A JPH09237159 A JP H09237159A
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JP
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film
transparent
touch panel
touch
silicon dioxide
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Application number
JP34668496A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Noda
和裕 野田
Koutarou Tanimura
功太郎 谷村
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Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】抵抗膜型透明タッチパネルの全光線に対する透
過性と視認性を向上して、カラーディスプレー画像等を
より鮮明さとコントラストでもって見ることができ、長
時間の凝視でも目の疲れが少ない該タッチパネルを提供
すること。 【解決手段】抵抗膜型透明タッチパネルにおいて、少な
くともタッチ側の透明樹脂フイルム基材(例えば、PE
T フイルム)に設けられる薄膜透明電極(例えばIT
Oによる電極)との間に、ペルヒドロポリシラザンの加
熱により形成される、膜厚20〜55nmの二酸化珪素
コーティング層を設けることによって達成される。尚、
ディスプレー側は透明ガラス板か、又は、透明樹脂板を
基材とするが、かかる基材にも前記の二酸化珪素の中間
コーテング層が設けられてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に透明性と視認
性の改良によって、液晶ディスプレー等からのカラー画
像がより鮮明に見やすく映し出されるようにした抵抗膜
型透明タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に抵抗膜型透明タッチパネル(以
下、単にタッチパネルと呼ぶ。)は、ディスプレー側に
ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極を設けたガラ
ス板を、そして、タッチ側には同様に薄膜透明電極を設
けたフレキシブルな透明樹脂フイルム(例えば、ポリエ
チレンテレフタレートフイルム)を用いて、該電極面を
絶縁スペーサーを介して対向配置して作られた一つのフ
ラットパネルデバイスであり、液晶ディスプレー、CR
Tディスプレー等と組み合わされて使用される場合が増
えている。
【0003】出願人は、先に液晶ディスプレー等からの
ディスプレー画像をタッチパネルを通して目視する場
合、タッチパネル自身の透明性(380〜780nmの
全光線に対する透過率を言う。)が優れている程、その
画像はより鮮明に映し出されることは言うまでもないと
して、その透明性は、特にカラー画像をより鮮明に高コ
ントラストでとらえるとか、長時間使用における目の疲
労という点でも重要視され、また、より低電力化のため
にも重視されてきているとして、その透明性、或いはバ
リヤー性の改良について特願平7ー347309号を提
案した。
【0004】ところで最近、透明性とは別に視認性が話
題となっている。この視認性とは、見やすさ、つまりデ
ィスプレー画像の色調に変化を起こさず鮮明に映し出
し、また、長時間にわたって連続してディスプレー画像
を見続けても、目の疲労が小さいことに関係する。視認
性は官能的な指標であり、各々個人によっても異なる
が、その因子の一つに画面の着色があると言われてい
る。この着色はかすかなもので、微妙な色感として受け
る程度のものであって、はっきりとした色感として認識
できるような着色は、逆に透明性と共に視認性も低下す
る。その望ましい色感の種類としては、一般に無色から
青み系統であり、黄色から赤色系統の範囲では視認性が
良くないと見られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】視認性における色感に
ついては、それを取り入れて透明性と共に改良したタッ
チパネルは実用化されていないのが実状である。本発明
は、透明性のより向上と、新たに視認性の向上を取り入
れた透明タッチパネルの開発を課題として、種々検討し
た結果、遂にこの解決手段を見いだし達成されたもので
ある。つまりこの課題は、次のような手段を講ずること
で容易に解決することができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、各々薄
膜透明電極を有するタッチ側透明樹脂フイルムとディス
プレー側透明板とが絶縁スペーサーを介して、対向配置
してなる抵抗膜型透明タッチパネルにおいて、少なくと
も該タッチ側透明樹脂フイルムと薄膜透明電極との間に
は、中間層としてペルヒドロポリシラザン(以下、単に
ポリシラザンと呼ぶ)の加熱により形成される膜厚20
〜55nm(nmはナノメートルを意味する)の二酸化
珪素コーティング層を有する抵抗膜型透明タッチパネル
を提供するものであり、二酸化珪素コーティング層を有
するタッチ側透明樹脂フイルムの色感が、XYZ表色系
における色度座標で、x=0.3340〜0.340
0、y=0.3340〜0.3400であり、タッチパ
ネルとしての全光線透過率は80.0%以上であること
を特徴とする。以下に該手段をより詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の態様】まず、本発明の対象となるタッチ
パネルについて説明する。これは、一般には、厚さ約
0.1〜0.2mm程度の透明樹脂フイルムを基材とし
て、これに直接又はハードコート剤を表面にコーティン
グしたものに、薄膜形成手段でもって薄膜導電層を形成
し、これをタッチ側の透明電極板とする。そして、一
方、厚さ約0.5〜2mm程度の透明ガラス板、又は、
透明樹脂板を基材として、これに前記同様にして該導電
層を設けて得た透明体をディスプレー側の透明電極板と
してこれら両電極面を絶縁スペーサーを介して対向配置
してタッチパネルとする。
【0008】前記、透明樹脂フイルムの基材となるもの
は、一般には二軸延伸された透明なポリエチレンテレフ
タレートフィルム(以下、PETフィルムと呼ぶ)が使
われるが、他に、例えば、ポリエチレンナフタレートフ
ィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネ
ートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリスルホン
フィルム、非晶性ポリエステルフィルム、非晶性ポリオ
レフィンフィルム等も使用できるので、タッチパネルの
タッチ側基材としての少なくとも必要な特性(透明性と
タッチ性)を有するものであれば、特に制限はない。但
し、選択に際しては、他に耐熱性、機械的特性、耐溶媒
等も考慮して決めるのがよい。
【0009】前記薄膜導電層は、一般に使用されている
ITO(酸化インジウムに錫をドーピングした酸化イン
ジウム錫)に代表されるが、他に、例えば、二酸化錫を
アンチモン又はフッ素でドーピングした酸化錫アンチモ
ン(ATO)、又は、酸化錫フッ素(FTO)、酸化亜
鉛をアルミニウムでドーピングした酸化亜鉛アルミニュ
ウム(AZO)等のドーピング金属酸化物とか、酸化イ
ンジウムと酸化亜鉛の複合酸化物など、ドーピングしな
い金属酸化物等が挙げられるが、これについても特に制
限はない。
【0010】前記薄膜形成手段は、一般に行われている
スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング
法、真空蒸着法等によって、前記透明導電体を各基材面
に、厚さ約100〜400オングストローム程度の薄膜
状で電極膜を形成せしめる方法である。このような薄膜
層でも十分な導電性(一般に表面抵抗値で500Ω/□
程度以下)を得ることができる。このような厚みの範囲
は、より厚層にすると、タッチパネルとしての重要な透
明性を低下させることになるからである。
【0011】前記薄膜導電層を持つ透明体は、タッチパ
ネルとして必要な形状の電極に作製される。この電極
は、一般に電極(導体)パターンの差によって、次の3
つの方式があるので、各々の方式に合わせて作製され
る。つまり、アナログ方式、マトリックス方式と、両者
の混成方式である。具体的にアナログ方式は、電極が面
状パターン、マトリック方式では電極が帯状(ストライ
プ)であり、両方式混成では、タッチ側、又はディスプ
レー側のいずれか一方が帯状で、もう一方が面状の電極
パターンである。尚、各電極パターン化は、一般に行わ
れる写真製版法によって、電極部分をレジストにてマス
クして、非電極部分は酸によってエッチング除去すると
いう方法によって作製される。
【0012】ディスプレー側の透明電極板としての基材
は、タッチ押圧に対して、湾曲したり、凹んだりしない
ことが重要であるために、タッチ側よりも厚い板状であ
り、その厚さは一般に約0.5〜2mm程度ということ
になるが、該基材自身の透明性の低下を防ぐために、可
能な限り薄板であることが望ましい。具体的に該基材と
なるものは、ソーダガラス等の透明ガラス板か、又は、
透明樹脂板であるが、後者の場合の選択に際しては、耐
熱、機械的性質、耐溶剤等も考慮して決めるのがよい。
ここで該樹脂板は、例えば、ポリカーボネート、ジエチ
レングリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメ
タアクリレート、ポリスチレン、メチルメタアクリレー
トとスチレンとの共重合体、スチレンとアクリルニトリ
ルとの共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリスルホ
ン、ポリ(4−メチルベンテン−1)、ポリアリレー
ト、非晶性ポリエステル(一般にA−PETと呼ばれ
る)等による板状成形体が挙げられる。該基材として
は、軽量とか、加工性(成形、切断等)等の点で透明ガ
ラス板よりも透明樹脂板の方が好ましいが、表面の損
傷、透明性の点で劣る。しかし、本発明においては、表
面を保護し、より透明性を向上せしめることから、むし
ろ該樹脂板の選択が好ましくもある。
【0013】絶縁スペーサーはタッチ側の透明電極をデ
ィスプレー側のそれにタッチ動作した際に容易に接触さ
せ、逆に非タッチ時には速やかに絶縁状態を形成せしめ
るために設けられるものである。これは、一般には透明
性の硬化性樹脂(アクリル系が多い)によって微細なド
ット(例えば、接地面積で、約0.001〜0.003m
2、高さ3〜10μm)を約2〜5mmピッチでディ
スプレー側の該電極面に接着固定することでその機能が
果たされる。
【0014】そして、対向配置に関しては、相互の電極
パターンが交叉するようにして、周囲を絶縁性接着剤等
で貼合固定されるが、タッチ信号を外部デバイスに引き
出すための電極が導電性インキ等によって設けられて完
成する。
【0015】以上に説明するタッチパネルに対して、本
発明では、より透明性を高め、ディスプレー画像をはっ
きりと観察できるようにするために、特に、少なくとも
前記タッチ側透明樹脂フイルムと薄膜透明電極との間に
中間層として、ポリシラザンをコーテングし、それを加
熱して得る膜厚20〜55nmの二酸化珪素コーテング
層を設ける必要がある。次に、これについて説明する。
【0016】まず、ポリシラザンによる二酸化珪素コー
テング層は、少なくともタッチ側透明樹脂フイルムの基
材と薄膜透明電極との間に設ける必要がある。これは、
ディスプレー側透明基材側よりも透明性と該電極膜の耐
久性発現においてより効果的であるからである。従っ
て、ディスプレー側の透明基材にも該コーテング層を設
けることを拒むものではなく、両者に該コーテング層を
設けてもよいのは勿論である。特に、基材(種類と厚
さ)の選択の仕方によっては、両側に設ける方が好まし
い場合がある。
【0017】次に、前記二酸化珪素コーテング層形成手
段を具体的に例示するが、まず、出発原料になるポリシ
ラザンについて説明する。ポリシラザンは、基本的に
は、下記化1(nは重合度)で示す如く、−SH2−N
H−を基本単位とする直鎖状無機ポリマであるが、製造
条件においては、化2に示す不規則な環構造のポリマも
共存する。従って、本発明では、化2の環ポリマの共存
も許容されるが、可能な限り化1の直鎖状無機ポリマで
あることが望ましい。これは、加熱による二酸化珪素へ
の化学変化がより円滑に進行するからである。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】分子量は、あまりに高分子量であると有機
溶媒に対する溶解性が低下することと、二酸化珪素への
反応活性も低下するので望ましくない。望ましい分子量
は、約600〜2,000であり、オリゴマーと呼ばれ
る程度のポリマであるのが好ましい。かかるポリシラザ
ンの合成法には、特に制限はない。例えば、ジクロロシ
ランとピリジンとの錯体にアンモニアを注入し、アンモ
ノリシスを行うことで合成できる。尚、化1又は化2に
おいて、水素原子が、例えば、アルキル基によって置換
されたポリオルガノシラザンの若干の共存は許されるに
しても、実質的には除外される。これは、より均質な二
酸化珪素コーテング層形成にとって有効でないからであ
る。
【0021】前記コーテング層の形成は、所定濃度のポ
リシラザン溶液(芳香族炭化水素、脂肪族エステル等を
有機溶媒としたポリシラザンを溶解したもの)を、タッ
チ側の透明樹脂フイルム基材に、又は、場合によって
は、ディスプレー側の透明基材にコーテングする。この
コーテング手段としては、例えば、デップ、フロー、ロ
ール、スプレー、スピン等の各コーテング方法によって
行うが、中でも、コーテング精度とか生産性を考慮する
と、ロールコーテング法かスピンコーテング法が望まし
い。ここで、コーテング条件には特に制限はないが、コ
ーテング回数に関しては、一般には1回で十分である。
これは、所望のコーテング層の厚さは、ポリシラザンの
溶液濃度を変えることで自由に得ることができるからで
ある。尚、これら基材へのコーティングに際しては、該
基材表面に前処理を行なわず使用することもできるが、
脱脂洗浄、コロナ放電、グロー放電、紫外線照射、電子
線照射等の前処理を行ってもよい。
【0022】前記コーテング後は、コーテングされたポ
リシラザンを二酸化珪素に変化せしめるために加熱する
が、その加熱温度は、反応雰囲気によって低温から高
温、例えば、約80〜450℃の広い範囲に変えること
ができる。しかし、コーテングされている基体が透明樹
脂による場合では、その温度に自ら制限があることも加
味し、製造上においてもより低温で行うことが望ましい
ことは言うまでもない。より低温で行う場合には、前
記、化1又は化2のポリシラザンの珪素に結合する水素
又は窒素の、酸化又は加水分解を促進すればよいので、
そのためには、基本的には酸素と湿気の共存下で加熱す
ればよいが、ここで更に促進助剤として、例えば、ナト
リウムアルコラートとか、アセチルアセトナト錯体(例
えば、パラジウム錯体)とかを添加するとよい。この場
合、加熱温度は、80〜150℃程度でよい。この低温
加熱タイプのものとして、例えば、東燃株式会社から低
温加熱型ペルヒドロポリシラザン溶液として上市されて
もいる。
【0023】そして、前記による二酸化珪素コーテング
層の膜厚は、特に20〜55nm、好ましくは30〜5
0nmの範囲以内に限定する必要がある。これは、20
nm未満では透明性に実質的向上が見られないからであ
る。一方55nmを超えると、透明性の低下よりもむし
ろ色感が黄色に変化し視認性が低下する傾向になるの
が、主たる理由である。つまり、本発明における20〜
55nmの範囲では無色から青色の色感があってより鮮
明に画像を見ることができて、視認性に極めて優れてい
ることになる。また、膜厚が約100nm以上のより厚
い該コーティング層になると、長期間の経過につれ非常
に小さなクラックが多数入り、薄膜透明導電極の抵抗が
大きくなってしまうことも、厚い膜厚にしない大きな理
由の一つである。
【0024】後述する本発明の効果は、次のような作用
によって発現するものと考えられる。先ず、ペルヒドロ
ポリシラザンが選択され、これのコーテング加熱により
形成される二酸化珪素膜は、極めて純度が高く、かつ密
度の高いものである。高純度で高密度の二酸化珪素膜で
あるので、極めて低屈折率(n=1.45〜1.5)の
コーテング層が形成される。従って、高い透明性を発現
することになる。また、コーテングによりもたらされる
二酸化珪素膜面は、極めて平滑で鏡面的であるので、表
面の乱反射に基づく透明性の低下が極めて小さい。これ
を、例えば、スパッタリング法等の薄膜形成手段によっ
て、二酸化珪素を同様に中間層として設ける場合には、
一般に、純粋な二酸化珪素層は得られず、SiOx(x=
1〜1.9)の酸化珪素層として得られる。例えば、S
iO2の他にSiOとSi23の共存層である。SiOの屈
折率は約2.0、Si23は1.5〜1.55であるこ
とから考えても、本発明のような高透明性は発現されに
くいことと、スパッタリング等の薄膜成形手段では膜面
が平滑にはなりにくく、微細な凹凸面になりやすいのは
避けられない。この場合での表面の乱反射によっても透
明性の向上が妨げられてもいる。また、色感に関し、本
発明の場合には一般に無色から青み傾向にあるが、前記
真空蒸着法等による場合には、むしろ黄み傾向にある。
これも、形成される酸化珪素膜の酸化度の差に基づくこ
とが考えられる。
【0025】また、本発明の前記二酸化珪素コーテング
層の膜厚範囲において、無色から青みの色感の発現は、
光干渉作用によるためと考えられる。例えば膜厚40〜
50nmの範囲をとり、JIS Z8701によるXY
Z表色系(CIE 1931)における色度座標で、x
=0.3340〜0.3400、y=0.3340〜
0.3400の位置である。色度の測定は、JIS Z
8724に基づく測定器Uー3410型分光光度計(日
立製作所製)により行った。
【0026】尚、本発明による二酸化珪素コーティング
層は、基材及び透明電極膜との密着性も極めて高いが、
これはポリシラザンの珪素又は窒素に結合している活性
水素の一部が基材及び透明電極膜と水素結合を形成する
ためとも考えられる。密着性は、タッチパネルの耐久性
(特に、透明電極膜)にとって、極めて重要な要素であ
る。
【0027】
【実施例】以下に比較例と共に、実施例によって更に詳
述する。尚、該例中全光線透過率(%)は、各々の検体
についてJIS K7105(1981)に基づいて、
株式会社日立製作所製のU−3410型分光光度計によ
って測定した波長300〜800nmの透過量を%で示
したもので、これが大きい程透明性は高い。また、表面
抵抗(Ω/□)は、各基体に形成されているITO電極
膜面を三菱油化社製のロレタスMCP−T500によっ
て測定されたものである。
【0028】(実施例1)要部断面図を図1に示す。タ
ッチ側透明樹脂フイルム基材2として、厚さ175μm
のPETフイルム(全光線透過率87.7%)を、ディ
スプレー側透明基材3とし、一方、厚さ0.7mmの液
晶用ガラス板(全光線透過率95%)を各々準備し、次
の表面加工を行った。
【0029】まず、前記PETフイルムをアルコールで
脱脂洗浄後、その片面に、東燃株式会社製の低温加熱タ
イプのポリシラザンの5重量%キシレン溶液を使って、
スピンコーターにてコーテング(300rpmで5秒間
し、次に4000rpmで10秒間回転)した。そし
て、このポリシラザンコーテング品を120℃の乾燥機
に投入し、120分間加熱した。得られた表面は、極め
て平滑で鏡面的であり、コーテング層の膜厚は45nm
であった。また、これをXPS(X−ray Phot
ospectroscopy)でチェックしたところ、
ポリシラザンの98%が二酸化珪素コーティング層4に
変化していることも確認した。そして、全光線透過率
は、88.6%であった。以下これをC−PETと呼
ぶ。尚、XYZ表色系における色度座標はx=0.33
41、y=0.3344であった。
【0030】次に前記CーPETの二酸化珪素コート面
と前記ガラス板面(アルコールにて脱脂洗浄)とに同時
に次の条件で透明導電膜層を形成せしめた。 手 段・・・・・・・・・直流マグネトロンスパッタリ
ング法 スパッタターゲット・・・ITO焼結体 基板温度・・・・・・・・120℃ 到達真空度・・・・・・・1×10-6torr スパッタガス圧(4.5%酸素含有アルゴン)・・・2
×10-3torr スパッタパワー・・・・・直流0.8kW スパッタ時間・・・・・・6秒
【0031】得られたものは、両方ともに極めて平滑で
鏡面的なITOの導電膜(基体のコーティング面が平滑
であることによる)が形成され、その膜厚は両方とも3
00オングストロームで、表面抵抗値もほぼ同じで32
0Ω/□であった。
【0032】最後に、前記タッチ側とディスプレー側の
ITO薄膜導電膜から所定の面状電極5、7を作製し、
ディスプレー側面状電極の上に絶縁スペーサー6、6、
6・・・を形成し同電極5、7を対向させてアナログ形
式のタッチパネル1を作製し、全体の透明性をチェック
した。ここで、該タッチパネル1は、次のようにして作
製した。まず、各々の該側のITO薄膜導電膜にアクリ
ル系の感光性樹脂を全面コーテングし、これに面状の画
像を持つマスキングフイルムをマスクして、紫外線露光
を行った後、未露光部(周囲の端部)の該樹脂をアルカ
リ現像し除去した。そして、希塩酸によってエッチング
し、該部のITO膜を除去し、引き続き残る該樹脂の硬
化膜を除去(アセトン)し、面状のITO電極5、7を
得た。
【0033】そして、前記に得られた両側の面状電極
5、7に各々引き出し電極線を銀導電ペーストによって
連結して設け、更にディスプレー側の電極7には透明な
アクリル系感光樹脂を使って、マスキング法によって接
地面積0.003mm2、高さ10μmの微少凸起から
なる絶縁スペーサー6、6、6・・・を3mmピッチで
格子状に植設した後、全体を紫外線照射して接着固定し
た。そして、両者を該高さの隔間を持って対向し、周囲
を接着剤で固定しセットし、タッチパネルを得た。 こ
のタッチパネル1における全体の全光線透過率は86.
2%であった。そして、該タッチパネル1をカラー液晶
ディスプレーに連結して、ペンによる種々画像を入力し
て画面から見たところ、入力画像は鮮明で、高コントラ
ストで美麗な画質で映し出されることを確認した。
【0034】(実施例2)要部断面図を図2に示す。実
施例1において、PETフイルムの代わりに厚さ100
μmのポリアリレートフイルム12(全光線透過率90
%)を、そして液晶用ガラス板の代わりに、厚さ1.0
μmのポリメチルメタアクリレート板13(全光線透過
率93%)を各々準備した。そして、これら2つの基材
をアルコールで脱脂洗浄後、各々片面に東燃株式会社製
の低温加熱タイプのポリシラザンの4.5重量%キシレ
ン溶液を使って、実施例1と同様にスピンコーテング、
と120℃での加熱を行なって、二酸化珪素コーティン
グ層14、18を設けた。そして各層の膜厚は、ともに
50nmであった。 また、該コーテング層をXPSで
チェックしたところ、ポリシラザンの99%が二酸化珪
素に変化していることを確認し、そして、全光線透過率
はタッチ側透明樹脂フィルム基材12の方が91.5%
であり、ディスプレー側透明基材13の方が94.3%
であった。
【0035】次に、前記2つの二酸化珪素コーテング層
14、18に、実施例1と同一条件にて、ITOの直流
マグネトロンスパッタリングを行った。該二酸化珪素コ
ーテング層14、18面に形成されたITO透明導電膜
の厚さは同じで300オングストロームであった。色感
としては、若干の青みをもっていた。
【0036】そして、前記2つのタッチ側とディスプレ
ー側のITOの透明導電膜付き透明板を使って、実施例
1と同様に面状電極15、17の作製と、絶縁スペーサ
ー16、・・・を介しての対向セットを行って、全透明
プラスチック製のタッチパネル11を組み立てた。該タ
ッチパネルとしての全光線透過率は、82.2%であっ
た。最後に、該タッチパネルをカラー液晶ディスプレー
に連結して、ペンによる種々の画像を入力して、画面か
ら視認したところ、映し出された画像色には実施例と若
干差はあったが、鮮明さとコントラストとは差はなく、
美麗な画質を見ることができた。
【0037】(比較例1)(本発明における膜厚の範囲
を外れる場合との比較) 実施例1において、コーティングに使用したポリシラザ
ンのキシレン溶液濃度について、1.0重量%と10%
重量の2種類を調整したものを使用する以外は、全く同
一条件にて各々スピンコーティングし、加熱処理法にて
膜厚の異なる2種のPETフィルムを得た。ここで0.
8重量%のポリシラザン溶液をコーティングした場合の
二酸化珪素コーティング層の膜厚は10nm(以下これ
をD−PETと呼ぶ)であり、5.0重量%のポリシラ
ザン溶液をコーティングした場合の該膜厚は67nm
(以下これをE−PETと呼ぶ)であった。
【0038】そして前記得られたD−PETとE−PE
Tについて各々全光線透過率を測定したところ、D−P
ETについては87.9%であり、無コーティングのP
ETフィルム(全光線透過率87.7%)に対して、実
質的な改良が見られないことが判る。一方E−PETに
ついては88.8%でり、実施例1と比較して透明性の
低下はないが、しかし若干の黄から赤の色感が入ってい
た。これをXYZ表色系における色度座標で表現する
と、x=0.3401、y=0.3412であった。
【0039】(比較例2)実施例1でPETフイルムに
中間層として形成したポリシラザンからの二酸化珪素コ
ーテング層の代わりに、次の条件にて二酸化珪素(Si
2)をターゲットとする薄膜形成手段による酸化珪素
膜を中間層として形成した。 手 段・・・・・・・・・・・・・高周波RFマグネト
ロンスパッタリング法 PETフイルム温度・・・・・・・120℃ 到達真空度・・・・・・・・・・・1×10-6トール スパッタ時ガス圧(アルゴン)・・2×10-3トール スパッタ時パワー・・・・・・・・RF3kW スパッタ時間・・・・・・・・・・2分 得られた酸化珪素膜の厚さは、53nmであった。ま
た、該フィルムの全光線透過率は88.8%であった
が、該膜面は、実施例1に比較してやや光沢に欠けてい
た。
【0040】次に前記酸化珪素膜付きPETフイルムと
実施例1の液晶用ガラス板とに、該例と同一条件にてI
TOの直流マグネトロンのスパッタリングを行って、薄
膜の厚さ300オングストロームのITO薄膜導電層を
形成せしめた。これを使って、以後、該例と同一条件に
てタッチパネルに組み立てて全光線透過率を測定したと
ころ、85.0%であった。更に、該タッチパネルをカ
ラー液晶ディスプレーに連結して、ペンにて種々の画像
を入力して画面に映し出される入力画像を見ると、実施
例1に比較して色感において差が見られ、全体に若干色
あせた感じを受け、視認性に問題があった。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0042】タッチパネルの全光線に対する透過性(透
明性)に大きな向上が見られる。(分光透過率曲線と比
視感度曲線との一致部分を大きくさせることができる)
【0043】極めてかすかではあるが、青みの色感を有
し、これと優れた透明性とが相乗的に作用するためか、
特にカラーディスプレー画像を鮮明にかつ高コントラス
トで見ることができ、長時間の凝視でも目の疲れが少な
く、視認性に優れている。
【0044】尚、長期間の使用に対しても、薄膜透明電
極へのクラック等による表面抵抗値の変動が小さく、長
時間のペンタッチ摺動動作に対しても優れた耐久性を維
持し、また、透明電極に対する高いバリヤー性も(酸
素、水分)と密着力のためにタッチ動作と長時間使用に
対する該電極の耐久性も極めて高い等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗膜型タッチパネルの要部断面図で
ある。
【図2】別の実施例の要部断面図である。
【符号の説明】
1 タッチパネル 2 タッチ側透明樹脂フィルム基材 3 ディスプレー側透明基材 4 二酸化珪素コーティング層 5 面状電極 6 絶縁スペーサー 7 面状電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各々薄膜透明電極を有するタッチ側透明樹
    脂フイルムとディスプレー側透明板とが絶縁スペーサー
    を介して、対向配置してなる抵抗膜型透明タッチパネル
    において、少なくとも該タッチ側透明樹脂フイルムと薄
    膜透明電極との間には、中間層としてペルヒドロポリシ
    ラザンの加熱により形成される膜厚20〜55nmの二
    酸化珪素コーティング層を有することを特徴とする抵抗
    膜型透明タッチパネル。
  2. 【請求項2】前記二酸化珪素コーティング層を有するタ
    ッチ側透明樹脂フイルムの色感が、XYZ表色系におけ
    る色度座標で、x=0.3340〜0.3400、y=
    0.3340〜0.3400であり、タッチパネルとし
    ての全光線透過率は、80.0%以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル。
JP34668496A 1995-12-13 1996-12-09 抵抗膜型透明タッチパネル Pending JPH09237159A (ja)

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