JPH09233878A - バックラッシュ振動抑制方法 - Google Patents

バックラッシュ振動抑制方法

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JPH09233878A
JPH09233878A JP8067331A JP6733196A JPH09233878A JP H09233878 A JPH09233878 A JP H09233878A JP 8067331 A JP8067331 A JP 8067331A JP 6733196 A JP6733196 A JP 6733196A JP H09233878 A JPH09233878 A JP H09233878A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸捩れシステムを一次遅れシステムの組合せと
して線形近似要素に特化させたバックラッシュ等価補償
手法を用いたバックラッシュ振動抑制方法を提供するも
のである。 【解決手段】電動機慣性にバックラッシュ部慣性を加算
した等価慣性を求め、トルク指令と等価慣性より推定速
度を算出し、電動機速度と推定速度の偏差積分値を線形
要素に与え、線形要素出力に等価バネ定数を乗算のうえ
バックラッシュ推定トルクを得るとともに、トルク指令
が得られる前段にフィ−ドバック補償するように構成し
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラント設備用ド
ライブ装置のような軸捩りと変速機構やカップリングに
付随するバックラッシュを有するシステムの制御方法に
係り、特にバックラッシュ現象の抑制を図るバックラッ
シュ振動抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多慣性軸捩れ系にバックラッシュを含む
伝達系を有するシステムの制御における振動の抑制は、
ドライブ装置の性能向上による生産上の向上,製品品質
の向上等の目標達成には、必須の技術である。特に、磨
耗や機構の劣化より生ずるバックラッシュ現象がドライ
ブ装置自体の破壊の原因となることは知られており、バ
ックラッシュ問題は実用上重要な課題である。システム
でのバックラッシュ対策としては、バックラッシュの機
構を改善してバックラッシュを発生させなくする方法
と、バックラッシュを含む系を制御で抑制する方法と
に、大別される。そのバックラッシュの機構による例と
しては、バックラッシュのあるギャを複数としてその間
にバネ機構を設けたり、電磁作用によりバックラッシュ
を抑制したりしている。
【0003】また、制御により方法の例としては、特開
平4−109890号公報「ノンバックラッシュ制御の速度制
御真装置」が提案されている。これは、バックラッシュ
機構のある前と後段に設けた駆動系の各々の速度を検出
し、各駆動系を、バックラッシュが介在する捩れ剛性を
相殺するように制御することにより、ノンバックラッシ
ュが図られたものである。さらに、後述する如き平成6
年電気学会シンポジュウムにてバックラッシュ対策につ
いて検討されているものの、実用例は未だ少ない。さら
には、従来の古典制御においても課題であったバックラ
ッシュの点では、最近の軸捩れ振動抑制上、あまりうま
くいっていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】軸捩れ振動抑制問題に
ついては、平成6年電気学会産業応用部門全国大会のシ
ンポジュウムにて、「軸ねじれ系の最新制御技術」のテ
ーマより、さまざまな制御法が提案されている。例え
ば、PI制御,速度微分フィードバック,モデル追従制
御,外乱オブザーバ,状態フィードバック,H∞制御と
μシンセシス等がある。しかしながら、これらの制御は
設計法が難解,現場の調整が難しい,制御器の次数が高
い,バックラッシュに弱いなどの点、が指摘されてい
る。これらの制御法の中には、バックラッシュの影響が
考慮されているものもあるが、バックラッシュを積極的
に抑制する方策は見当らない。その要因として、バック
ラッシュ現象を評価するモデルが明らかでない点,衝突
現象をも含む特異な非線形特性であって従来の線形補償
アルゴリズムが取り扱い難い点、などがある。
【0005】バックラッシュの制御モデルとして、軸捩
れ角とトルクの関係から、不感帯要素がよく使われる。
この不感帯要素での振動解折に記述関数が使われている
が、これは、線形要素の周波数伝達関数の概念を非線形
要素に拡張したものである。その記述関数は出力信号の
基本波成分だけを問題にしており、非線形要素の一種の
線形近似としている。不感帯の記述関数および記述関数
曲線から線形化して、軸捩れ振動解折やバックラッシャ
の物理的挙動を、解折することは容易でない。また、後
述するバックラッシュ現象の過程における三つの状態
を、この不感帯要素では無視されており、正弦波入力の
基本波である最小次数のみの近似を考えているために、
現実とはそぐわない。
【0006】しかして本発明の目的とするところは、バ
ックラッシュのあるとき軸捩れ角がバックラッシュ幅以
内であれば非線形となって軸トルクが伝達されずに、軸
捩れ角がバックラッシュ幅に至ったとき、衝突という現
象発生よりインパルス的に軸トルクが伝達される現象に
着眼するとともに、システム全体における軸捩れシステ
ムを一次遅れシステムの組合せとして、線形近似要素に
特化させたバックラッシュ等価補償手法を用いるように
したバックラッシュ振動抑制方法を、提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述したような
点に鑑みなされたものであって、つぎの如くに構成した
ものである。すなわち、第1に、多慣性軸捩れ系にバッ
クラッシュを含む伝達系を有するシステムの制御方法に
おいて、電動機慣性(Jm)にバックラッシュ部慣性
(Jg)を加算した等価慣性(JNmg)を求め、トル
ク指令(T*)と等価慣性(JNmg)より推定速度
(ωNg)を算出し、電動機速度(ωm)と推定速度
(ωNg)の偏差を積分して線形要素に与えるととも
に、線形要素出力に等価バネ定数(K2 )を乗算のうえ
バックラッシュ推定トルク(T1 )を演算し、バックラ
ッシュ推定トルク(T1 )をトルク指令(T*)が得ら
れる前段にフィードバック補償するバックラッシュ等価
補償手法を、用いるようにしたものである。第2に、電
動機部入力側のトルク指令(T*)および電動機部出力
側の電動機速度(ωm)間に、等価外乱オブザーバによ
る外乱補償手法を用いた補償系を具備するようにしたも
のである。第3に、前述の線形要素に代えて飽和要素と
なしたものである。
【0008】これを、さらに説明する。さて、通常の軸
捩れ振動系の振動抑制制御に比べ、バックラッシュを含
む系においては、動力の伝達に軸捩り現象と絡み合って
複雑な挙動をする。これは、バックラッシュが存在する
とつぎのように分けられる。 (イ) 電動機側とドライブ側が接触していない(力の
伝達がない状態)。 (ロ) ドライブ側と負荷側の接触時に発生する衝突の
状態であって、このときの軸トルクはインパルス状でそ
の繰り返し頻度は機械系の共振周波数に比べて非常に高
い周波数となり、リミットサイクルとなる。 (ハ) 接触状態で力の伝達は行われ、非線形性のない
安定なトルク伝達が可能な状態。
【0009】このようなバックラッシュ現象を表現する
非線形要素として、前述したように、図1(a)の如き
不感帯要素が使われていた。ただし、δは軸捩れ角Δθ
に対するバックラッシュ幅である。ところで、バックラ
ッシュが存在すると電動機側とドライブ側が非接触時に
力の伝達はなされないが、ここで、僅な力が伝達される
と仮定のうえ、図1(b)の如き線形要素とする。ま
た、実システムにおいては後述の図2に示されるように
不感帯要素の後段にバネ定数K1 があり、そこで、前述
の線形要素の後段に、バネ定数K1 に対して数十分の一
の大きさの等価バネ定数(K2 )が、設けられている。
【0010】まず、バックラッシュが存在しなく電動機
側とギャが一体として回転していると考えると、電動機
慣性Jmとバックラッシュ部慣性Jgより、全慣性量は
つぎの如くである。ただし、JNmgは等価慣性であ
る。 JNmg=Jm+Jg
【0011】ここで、求められた等価慣性JNmgと、
電動機のトルク指令T*の入力とから、ギャの速度ωN
gを推定する。さらに、電動機速度ωmと推定速度ωN
gとの差の積分より、推定捩れ角ΔθNを求める。これ
を図1(b)の如き線形要素に与え、等価バネ定数K2
を掛けて推定トルク(T1 )を得る。この推定トルク
(T1 )を、例えばPI制御器出力段に、フィードバッ
クしている。かようにして、微小の推定トルクのフィー
ドバックが与えられるため、実システムにおいては衝突
時のインパルストルクを軽減して振動を抑制することが
できる。これを、さらに図面を参照して、詳細説明す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】図2は本発明が適用された一例を
示すものであって、1は三慣性捩れ軸系実システム例の
システム、2はバックラッシュ等価補償部である。ここ
で、システム1はPI制御系を有する一例であって、電
動機部,バックラッシュ部および負荷部を有して構成さ
れ、また、そのバックラッシュは不感帯要素としてい
る。なお角部の慣性定数を、電動機慣性Jm、ギャ,カ
ップリング等のバックラッシュ部慣性Jg,負荷部慣性
JLとする。
【0013】バックラッシュを含む三慣性捩れ軸系シス
テムを速度制御する場合、速度指令ω*と電動機速度ω
mとの偏差を、PI速度制御器を通してトルク指令T*
が得られる。このトルク指令T*を電動機に与えること
により、電動機速度ωmとなる。その電動機速度ωmと
バックラッシュ部速度ωgとの偏差積分値がバックラッ
シュ捩れ角Δθとなり、バックラッシュ(不感帯要素)
のバネ定数K1 倍されて、バックラッシュ部捩りトルク
Tθが軸を介して電動機新入力側にフィードバックされ
る。負荷部も同様に、バックラッシュ部速度ωgと負荷
部速度ωLの偏差積分値が捩り軸の捩り角となり、捩り
バネ定数K3 倍されて捩り軸トルクとしてバックラッシ
ュ部の入力側にフィードバックされる。TLは負荷部へ
の外乱である。
【0014】さてシステム1を制御するに当たり、図2
においては、入力がトルク指令T*および電動機速度ω
mのみのバックラッシュ等価補償部2が設けられてな
る。バックラッシュ等価補償部2において、21は推定速
度演算部、22は比較部、23は積分部、24は線形要素部、
25は等価バネ定数部である。すなわち、バックラッシュ
等価補償部2においては、電動機慣性Jmにバックラッ
シュ部慣性Jgを加算して等価慣性JNmgが求めら
れ、推定速度演算部21にて、トルク指令T*と等価慣性
JNmgより、推定速度ωNgを算出する。さらに、比
較部22にて電動機速度ωmと推定速度ωNgとの比較よ
り偏差を得て、積分部23にてその偏差の積分値を得る。
積分部23出力が線形要素部24に与えられ、線形要素部24
出力を等価バネ定数部25を通して推定トルクT1 を得
る。この推定トルクT1 が、PI速度制御器の後段に、
フィードバックされてなる。
【0015】ここでは、等価慣性JNmgをシステム1
のバックラッシュがなく剛結合された場合の慣性和と
し、このときの速度を、(T*/JNmg・s)で求め
て推定していることになる。バックラッシュを有するシ
ステム1の電動機速度ωmと推定速度ωNgとの偏差積
分は、バックラッシュの有無のバックラッシュ部捩り角
の差にほぼ相当し、この推定捩り角ΔθNの値を線形モ
デルを通し、その出力にバックラッシュ部の等価バ定数
K2 を掛けることにより、バックラッシュの推定トルク
T1 が得られる。ここで、バネ定数関係においては
{(K2 /K1 ≪1)}とし、実システムではバックラ
ッシュによりトルク伝達がなされていない区間にあって
も、微小のトルクフィードバックが連続してあるものと
している。
【0016】さらに、バックラッシュ本来の非線形特性
を、図1(c)の如く不感帯と線形が合成されたバック
ラッシュ等価要素として、電動機の外乱トルクと考え
る。すなわち、バックラッシュ捩り部捩りトルクTθ
は、不感帯出力,推定トルクT1 は推定出力とし、(T
θ+T1 )が外乱トルクとすることにより、バックラッ
シュ起因するインパルストルクによる振動を、抑制する
働きをさせる。かようにして、バックラッシュ等価補償
部を従来の多慣性軸捩れ制振制御と組合せ用い、バック
ラッシュに対する補償制御における今迄の不具合を解消
し得るものであって、バックラッシュがないとしたとき
の等価慣性を得、かつバックラッシュの線形要素を駆使
し、バックラッシュ等価近似要素出力を電動機の外乱入
力として、バックラッシュの非線形特性は連続線形化さ
れた扱いが可能になり、極めて制御し易いものとするこ
とができる。
【0017】つぎに、従来のバックラッシュを考慮して
いない多慣性捩れ制振制御系に、バックラッシュ等価補
償部を付加することで、バックラッシュに起因する振動
を改善できる具体例を、挙げる。PI制御方式に用いた
場合の一例は図2の如くであって、これは、前述した通
りである。さらに、外乱オブザーバ制御方式に実施した
例を、図3および図4に示す。
【0018】図3において、3は等価外乱オブザーバ補
償部である。すなわち、図3においては、システム1お
よびバックラッシュ等価補償部2からなる構成は図2と
同じであり、図2構成にさらに等価外乱オブザーバ補償
部3が付加されてなるものである。さて、本出願人は、
先に特開平3−25505 号公報「多機能制御装置」記載の
技術を提案している。これに等価外乱オブザーバが記述
されているところであって、その基本技術思想の理解を
容易にするため、ここでは要点のみを図4に示す。つま
り、トルク指令T*と検出速度ωの情報を活用して等価
外乱を算出し、これを、トルク指令T*に加算する如く
に構成される。ただし、Tθは電動機外乱、Ktはトル
ク発生係数、Nは各値のノミナル値である。
【0019】なお、図2および図3におけるバックラッ
シュ等価補償部2にて線形要素24を図1(b)の如き線
形要素としたが、かような線形要素に代えて、バックラ
ッシュ捩り角がある程度大きな値となるときに飽和特性
を有する如き飽和要素としてもよい。これは、図5
(a)の如く示される。また、このときのバックラッシ
ュによる捩り角と発生トルクの関係は、非線形と飽和特
性から、図5(b)の如く示されることは明らかであ
る。
【0020】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、バ
ックラッシュが存在する捩れ軸システムの制振制御の際
に、不感帯のような非線形となって制御する上で使いず
らい弊害が解消され、線形特性を付加することによりバ
ックラッシュの影響を軽減し、かつ制振効果を向上して
バックラッシュに強い制御系を構成した格別なバックラ
ッシュ振動抑制方法を、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b),(c)は本発明の理解を
容易にするための不感帯要素,線形要素,合成等価要素
を示す図である。
【図2】図2は本発明によるPI制御系適用の一例を示
す系統ブロック図である。
【図3】図3は本発明による外乱オブザーバ制御方式に
組合せ適用された他の一例を示す系統ブロック図であ
る。
【図4】図4は図3の等価オブザーバ補償部を示す要部
系統ブロック図である。
【図5】図5(a),(b)は本発明における飽和特性
を有する別な例の飽和要素,合成等価要素を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 システム 2 バックラッシュ等価補償部 3 等価外乱オブザーバ補償部 Δθ 軸捩れ角 δ バックラッシュ幅 ω* 速度指令 T* トクル指令 ωm 電動機速度 ωg バックラッシュ部速度 ωL 負荷部速度 ωNg 推定速度 ΔθN 推定捩り角 K2 等価バネ定数 T1 推定トルク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多慣性軸捩れ系にバックラッシュを含む
    伝達系を有するシステムの制御方法において、 電動機慣性(Jm)にバックラッシュ部慣性(Jg)を
    加算した等価慣性(JNmg)を求め、トルク指令(T
    *)と該等価慣性(JNmg)より推定速度(ωNg)
    を算出し、電動機速度(ωm)と該推定速度(ωNg)
    の偏差を積分して線形要素に与えるとともに、該線形要
    素出力に等価バネ定数(K2 )を乗算のうえバックラッ
    シュ推定トルク(T1 )を演算し、該バックラッシュ推
    定トルク(T1 )を前記トルク指令(T*)が得られる
    前段にフィードバック補償するバックラッシュ等価補償
    手法を、 用いるようにしたことを特徴とするバックラッシュ振動
    抑制方法。
  2. 【請求項2】 電動機部入力側のトルク指令(T*)お
    よび電動機部出力側の電動機速度(ωm)間に、等価外
    乱オブザーバによる外乱補償手法を用いた補償系を具備
    するようにした請求項1記載のバックラッシュ振動抑制
    方法。
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