JPH09233787A - 交流発電機 - Google Patents

交流発電機

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JPH09233787A
JPH09233787A JP4266496A JP4266496A JPH09233787A JP H09233787 A JPH09233787 A JP H09233787A JP 4266496 A JP4266496 A JP 4266496A JP 4266496 A JP4266496 A JP 4266496A JP H09233787 A JPH09233787 A JP H09233787A
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brushes
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリップリング41、42を摺動するブラシ
51、52に適度の接触面積と接触圧を与えることによ
り、ブラシ51、52の振動による異常磨耗を抑える。 【解決手段】 スリップリング41、42を炭素質部材
で製作し、ブラシ51、52を金属質部材で製作した。
そして、刷子保持器53のボックス67a、67b内に
格納されたコイルスプリング54、55によってブラシ
51、52をスリップリング41、42の外周面に押圧
することにより、ブラシ51、52の小型、軽量化を図
りながらも、スリップリング41、42を摺動するブラ
シ51、52に適度の接触面積と接触圧を与えることに
より、スリップリング41、42とブラシ51、52と
の摺動部分の長寿命化を達成すると共に、ロータコイル
への安定した給電状態を確保して三相のステータコイル
の出力効率の低下を防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロータコアに巻
装されたロータコイル、このロータコイルを給電する2
個の集電環、およびこれらの集電環の外周を摺動する2
個の固定側刷子を備えた発電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用交流発電機100は、図
9に示したように、三相整流装置101と、発電電圧を
調整する電圧調整装置102と、ハウジング103内に
回転自在に支持されたシャフト104と、ハウジング1
03の内面に固定されたステータ105と、このステー
タ105と相対回転するロータ106と、シャフト10
4の端部外周に固定された集電装置107と、この集電
装置107の外周を摺動する刷子装置108とを備えて
いる。
【0003】ここで、三相整流装置101は、発電した
交流電流を正極側ダイオード111および負極側ダイオ
ード112で整流し、直流に変える三相整流回路を備え
ている。シャフト104は、その先端外周にポリVベル
ト用プーリ113が組み付けられている。ステータ10
5は、ステータコア114および三相のステータコイル
115等からなる。ロータ106は、ランデル型のポー
ルコア116およびロータコイル117等からなる。
【0004】そして、集電装置107は、2個のスリッ
プリング121および2個のコネクションバー122等
から構成されている。なお、これらのスリップリング1
21は、銅合金やステンレス鋼等の金属質部材で環状に
作られており、樹脂により成形固定されてロータ106
のシャフト104の端部外周に圧入または直接成形さ
れ、シャフト104と一体的に回転する構造を持つ。
【0005】一方、刷子装置108は、2個のブラシ1
23、これらのブラシ123を収容するブラシホルダ1
24、および2個のブラシ123を2個のスリップリン
グ121の外周に押圧して電気的に接続させるコイルス
プリング125等から構成されている。なお、2個のブ
ラシ123は、炭素質部材により作られている。また、
2個のブラシ123は、外部接続端子(図示せず)と銅
線よりなるピグテール126により結線されている。ま
た、ブラシホルダ124は、外部接続端子を電気絶縁性
樹脂質部材によりインサート成形し、ゴムパッキン12
7と共に2個のスリップリング121を保護するスリッ
プリングカバー128を一体成形した構造を持つ。
【0006】近年、車両のエンジンルームの小型化に伴
う補機類の取付スペースの狭小化と燃料消費の規制によ
る小型、軽量化、および車両寿命の保証期間の延長化に
よる長寿命化を図った車両用交流発電機が望まれてい
る。なお、車両用交流発電機の小型、軽量化の一手段と
しては、一般に車両用交流発電機の体格の縮径および車
両用交流発電機の軸方向寸法の短縮が要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の車両
用交流発電機100においては、ロータコイル117に
励磁電流を供給する励磁回路の電圧ドロップを小さくし
て発電出力の低下を防止するために、図9に示したよう
に、ロータコイル117への励磁電流を制御する電圧調
整装置102に近接してブラシホルダ124を設置して
いる。このため、2個のブラシ123の長寿命化のため
に、ブラシホルダ124の軸方向に直交する径方向寸法
を大きく、長く設定できなかった。したがって、ブラシ
ホルダ124と2個のスリップリング121の軸方向寸
法が車両用交流発電機100の全軸長に対して大きな割
合を占めることになり、車両用交流発電機100の小型
化の大きな妨げになっているという問題が生じている。
【0008】また、ブラシ123が炭素質部材で作られ
ていることから、ブラシ123においてスリップリング
121の外周に接触する接触部分の電気抵抗を小さくす
るため、適度の接触面積(大きさ)とコイルスプリング
125の押圧力(バネ荷重、接触圧)とが必要であり、
小型化のために、ブラシ123の接触面積を小さくする
と、電流密度が大きくなり、ブラシ123の温度が上昇
して耐久寿命が短くなるという問題が生じてしまう。
【0009】さらに、ブラシ123の材質として炭素質
部材を使用した場合には、接触電気抵抗を小さくするた
めに、カーボン粉末中に銅粉等の金属粉末を混合して接
触電気抵抗とブラシ123の摩耗寿命によりその配合比
を決めていた。そして、銅粉等の金属粉末をカーボン粉
末に配合することにより、ブラシ123の重量が重たく
なるため、スリップリング121とブラシ123とが片
磨耗等の異常磨耗を発生する等の振動による不具合を考
慮しなければならなかった。
【0010】ここで、小型直流回転電機(例えばモータ
ー類)においては、ブラシを金属質部材(薄い金属板を
重ねたものまたは銅線)で作り、回転側コンミテータを
銅合金で作った例があるが、回転側コンミテータの段差
によりブラシがジャンピングするので、ブラシとコンミ
テータとの接触面積が少なくなって接触部分に電流の集
中が発生したり、ブラシとコンミテータとが離れてその
間にアークが発生したりする。これにより、コンミテー
タの表面が荒れたり、ブラシが片磨耗したりするので、
このような振動による不具合を生じないようにすると、
低電圧で定速回転の場合しか使用できず、車両用交流発
電機のような低速回転から高速回転までの幅広い範囲で
使用されるものには上記の構造は採用されなかった。
【0011】
【発明の目的】この発明の目的は、小型、軽量化を図り
ながらも、集電環に摺動するブラシに適度の接触面積と
接触圧を与えることによりブラシの振動による異常磨耗
を抑えてブラシと集電環との摺動部分の長寿命化を達成
することのできる交流発電機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、ブラシを金属で作ることにより、磨耗し難くな
るので、従来技術のように磨耗部材で作ったブラシのよ
うに予め磨耗を予測した大きさと長さに設定する必要は
ない。それによって、ブラシを薄くすることができるの
で、刷子装置を大幅に軽量化することができ、且つ刷子
装置の径方向寸法および軸方向寸法を短縮できる。そし
て、刷子装置の軸方向寸法を短縮できるので、集電環の
軸方向寸法を短縮できる。したがって、交流発電機の径
方向寸法を縮径化でき、且つ交流発電機の全軸長を短縮
化できるので、交流発電機を軽量、小型化することがで
きるという効果が得られる。
【0013】また、ブラシの少なくとも先端部をコイル
スプリングによって集電環の外周面に押圧することによ
り、集電環の外周面を摺動するブラシに適度の接触面積
と接触圧を与えることができる。このため、保持部材に
保持されたブラシとロータと一体的に回転する集電環と
が摺動する際に、ブラシの振動による異常磨耗を抑える
ことができるので、ブラシと集電環との摺動部分の長寿
命化を達成することができる。また、ロータコイルに安
定した電力を供給できるので、ロータの回転に伴ってス
テータコイルに安定した交流出力を得ることができ、ス
テータコイルの出力効率の低下を防止することができる
という効果が得られる。
【0014】そして、ブラシが金属で作られていること
により、ブラシにおいて集電環の外周面に接触する先端
部の電気抵抗を小さくするために、ブラシの先端部の表
面積を小さくしても電流密度が変化しないので、ブラシ
の温度上昇が抑えられてブラシの耐久寿命が延びるとい
う効果が得られる。さらに、ブラシを集電環の外周面に
押圧する押圧部材としてコイルスプリングを利用するこ
とにより、バネ荷重を最適なものに設定した圧縮コイル
スプリングを利用することができる。したがって、集電
環の外周面を摺動するブラシに適度の接触面積と適度の
接触圧を与えることができるので、ロータコイルへの安
定した給電状態を確保することができるという効果が得
られる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、保持部材
によりブラシおよびコイルスプリングを保持し、且つブ
ラシと電圧調整装置の外部接続端子とを溶接等の接合手
段を用いて電気的に接続することにより、ブラシと電圧
調整装置の外部接続端子との接続強度を向上できるとい
う効果が得られる。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、ブラシの
先端部をコの字状の断面形状となるように形成すること
により、先端部材の先端部の強度を向上できる。それに
よって、集電環より振動を受けるブラシの先端部の耐久
寿命を長期化することができるという効果が得られる。
【0017】請求項4に記載の発明によれば、ブラシと
して従来のスプリングとピグテールおよび黒鉛質刷子を
兼ねたバネ鋼よりなる金属質ブラシを利用することによ
り、ブラシを大幅に軽量化できるので、ブラシのバネ荷
重を軽減することができる。これにより、集電環および
ブラシの磨耗量が大幅に少なくなり、且つブラシの振動
による異常磨耗を抑えてブラシと集電環との摺動部分の
長寿命化を達成することができるという効果が得られ
る。
【0018】請求項5に記載の発明によれば、集電環と
して炭素粉末を円環状の型に入れて焼成した炭素質部材
を使用した炭素質集電環を利用することにより、集電環
自身が自己潤滑性を備えるため、集電環自身の摩擦係数
を軽減できる。そして、集電環が炭素質部材で作られて
いるので、金属により作られたブラシを集電環の外周に
高速で摺動させても安定した磨耗とロータコイルへの安
定した給電状態を確保することができるという効果が得
られる。
【0019】請求項6に記載の発明によれば、ブラシの
先端部に面取り形状の飛び出し部を設けることにより、
ブラシの先端部が集電環の外周面をシャフトの軸方向に
滑らかに移動させることができるので、交流発電機の分
解作業時または組付作業時の引っ掛かりを防止でき、分
解作業または組付作業をスムーズに行うことができる。
したがって、分解作業性および組付作業性(生産性)を
向上できるので、作業コストを低減できるという効果が
得られる。
【0020】請求項7に記載の発明によれば、保持部材
によりブラシおよびコイルスプリングを保持し、且つブ
ラシと電圧調整装置の外部接続端子を刷子固定部によっ
て、バネ特性を利用した方法で電気的、且つ機械的に固
定することにより、ブラシと電圧調整装置の外部接続端
子との接続強度を向上できるという効果が得られる。
【0021】請求項8に記載の発明によれば、ブラシを
保持する保持部材、電圧調整装置の外部接続端子を保持
するケーシング、および軸受部材を保持する軸受保持部
を電気絶縁性の樹脂質部材により一体成形することによ
り、成形型の型数を低減できるので、交流発電機の製品
コストを低減することができるという効果が得られる。
【0022】また、保持部材と軸受保持部とを一体化す
ることにより、ハウジングと軸受保持部との隙間をなく
して、ハウジング内に侵入する水や埃等の異物をシール
することができ、且つ軸受部材と軸受保持部との組付誤
差、および保持部材と軸受保持部との組付誤差によるシ
ャフトの軸芯ずれをなくすことができるという効果が得
られる。さらに、刷子装置と電圧調整装置の小型化を図
ることができるので、交流発電機の径方向寸法を縮径化
でき、交流発電機を軽量、小型化することができるとい
う効果が得られる。
【0023】請求項9に記載の発明によれば、送風装置
と分割された第1、第2保持部材との間にラビリンスシ
ールを形成することにより、ブラシと集電環との摺動部
分への水や埃等の異物の侵入を防止することができると
いう効果が得られる。また、ゴム製のパッキンを廃止す
ることにより、シール不良を防止することができるとい
う効果が得られる。さらに、第1保持部材と第2保持部
材との接合面がラビリンスシール内に設けられているの
で、第1保持部材と第2保持部材との接合面をシールす
るために新たにシール部材を設ける必要はなく、部品点
数を軽減できるので、交流発電機の製品コストを低減す
ることができるという効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例の構成〕図1ないし図3はこの発明の交流
発電機を車両用交流発電機に適用した第1実施例を示し
たもので、図1は車両用交流発電機の主要部構造を示し
た図であり、図2は車両用交流発電機の全体構造を示し
た図で、図3はリヤハウジングに三相整流装置、電圧調
整装置および刷子装置を組み付けた状態を示した図であ
る。
【0025】車両用交流発電機1は、ポリVベルト(図
示せず)を介してエンジンで駆動され、発電した交流電
流を三相整流装置9で整流し、直流に変換して、車両に
搭載されたバッテリ(図示せず)の充電と電気負荷へ必
要な電力の供給とを行うオルタネータである。この車両
用交流発電機1は、ハウジング2、ステータ3、ロータ
4、シャフト5、集電装置6、送風装置7、刷子装置
8、三相整流装置9および電圧調整装置10等から構成
されている。
【0026】〔ハウジングの説明〕次に、ハウジング2
について図1ないし図3に基づいて説明する。このハウ
ジング2は、2個のアルミニウムダイカスト製のフロン
トハウジング(ドライブフレーム)11およびリヤハウ
ジング(リヤフレーム)12からなり、複数のスタッド
ボルト13およびナット14によって締結されている。
【0027】そして、フロントハウジング11には、シ
ャフト5のフロント側(先端側)を回転自在に支持する
フロントベアリング(前側軸受部材)15が円筒形状の
軸受保持部16に圧入およびかしめによって固定されて
いる。また、リヤハウジング12にはシャフト5のリヤ
側(後端側)を回転自在に支持する軸受部材としてのリ
ヤベアリング(後側軸受部材)17が円筒形状の軸受保
持部18に圧入によって固定されている。
【0028】そして、ハウジング2内に冷却風を吸い込
むべく、フロントハウジング11には多数の通風口19
が、リヤハウジング12には多数の通風口20および多
数の排気口21が、略円環状に周設されている。さら
に、フロントハウジング11の上部にはエンジンの上側
ブラケット(図示せず)に締結固定されるステー部22
が、下部にはエンジンの下側ブラケット(図示せず)に
締結固定されるステー部23が一体成形されている。ま
た、リヤハウジング12には、エンジンの下側ブラケッ
トに締結固定されるステー部24が一体成形されてい
る。これらのステー部22〜24には、ボルトが挿通す
るボルト穴25〜27が貫通している。
【0029】〔ステータの説明〕次に、ステータ3につ
いて図2に基づいて説明する。このステータ3は、ハウ
ジング2の内面に固定されたステータコア31、および
このステータコア31に巻装された三相のステータコイ
ル32により構成された固定子である。
【0030】ステータコア31は、電機子鉄心を構成す
るもので、磁性材料製の薄鋼板を複数積層してなる積層
コアよりなり、フロントハウジング11の内周面に圧入
固定されて一体化されている。ステータコア31の内周
側には、多数のスロット(図示せず)が等間隔で形成さ
れている。
【0031】三相のステータコイル32は、Y結線また
はΔ結線により接続され、ロータ4の回転に伴って三相
交流出力が誘起する三相の電機子巻線である。これらの
ステータコイル32の巻線端は、三相整流装置9の三相
整流回路に半田付け等を用いて電気的に接続されてい
る。
【0032】〔ロータの説明〕次に、ロータ4について
図1および図2に基づいて説明する。このロータ4は、
界磁として働く部分で、シャフト5と一体的に回転する
回転子である。ロータ4は、シャフト5、このシャフト
5に固定されたランデル型のポールコア33、このポー
ルコア33に巻装された界磁コイル34、この界磁コイ
ル34に励磁電流を供給するための集電装置6、および
冷却風を発生させる送風装置7等から構成されている。
【0033】ポールコア33は、本発明のロータコア
(界磁極、界磁鉄心または回転子鉄心)であって、中央
に界磁コイル34が巻かれ、強磁性材料により作られて
いる。このポールコア33は、界磁コイル34に励磁電
流が流れると一方の爪状磁極部が全てN極になり、他方
の爪状磁極部が全てS極になる。そして、他方の爪状磁
極部のリヤ側壁面には、ハウジング2内に冷却風を吸い
込む送風装置7が溶接等の手段を用いて取り付けられて
いる。
【0034】界磁コイル34は、本発明のロータコイル
であって、ポールコア33の中央部にコイルボビン35
を介して巻回され、励磁電流が流れるとポールコア33
を磁化する励磁巻線(回転子巻線)である。この界磁コ
イル34は、両端の端末線がコネクションバー(図示せ
ず)に半田付け等を用いて電気的に接続されている。な
お、コイルボビン35は、界磁コイル34とポールコア
33とを電気的に絶縁する電気絶縁性の樹脂質部材で作
られている。
【0035】〔シャフトの説明〕次に、シャフト5につ
いて図1および図2に基づいて説明する。このシャフト
5は、ハウジング2の軸受保持部16、18にフロン
ト、リヤベアリング15、17を介して回転自在に支持
されている。このシャフト5の一端部(先端部、フロン
ト側端部)には、エンジンの回転動力をシャフト5に伝
達するためのVリブドプーリ(ポリVベルト用プーリ)
36が座付きナット37とフロントベアリング15との
間に締結固定されている。
【0036】このVリブドプーリ36は、ポリVベルト
等の伝動手段(図示せず)を介してエンジンの出力軸
(クランク軸)に装着されたポリVベルト用プーリ(図
示せず)に駆動連結されている。なお、シャフト5とV
リブドプーリ36との間に電磁クラッチ等のクラッチ手
段を配しても良い。
【0037】〔集電装置の説明〕次に、集電装置6につ
いて図1、図2および図4に基づいて説明する。この集
電装置6は、バッテリおよび電圧調整装置10と界磁コ
イル34とを刷子装置8を通して接続するために使われ
る2個の炭素質集電環(以下スリップリングと呼ぶ)4
1、42、およびこれらのスリップリング41、42の
各々に接続される2個のコネクションバー(スリップリ
ング端子)43、44等から構成されている。
【0038】2個のスリップリング41、42は、シャ
フト5の他端部(後端部、リヤ側端部)の外周に設けら
れている。これらのスリップリング41、42の材質と
して、銅とカーボンとを混合した炭素粉末を円環状の型
に入れて焼成した炭素(カーボン)質部材が使用されて
いる。
【0039】なお、スリップリング41は正極側炭素質
集電環であり、スリップリング42は負極側炭素質集電
環である。また、2個のコネクションバー43、44の
他端部には、図2に示したように、界磁コイル34の端
末線38、39が半田付け等の手段により電気的に接合
されている。そして、2個のスリップリング41、42
の材質として、例えば銅合金の発泡骨格金属を金属母体
とした炭素粉末、天然黒鉛、電気黒鉛または金属黒鉛等
を用いても良い。
【0040】〔送風装置の説明〕次に、送風装置7につ
いて図1および図2に基づいて説明する。この送風装置
7は、電気絶縁性の樹脂質部材で一体成形され、2個の
スリップリング41、42と2個のコネクションバー4
3、44を樹脂質部材にてインサート成形している。こ
の送風装置7は、2個のスリップリング41、42の配
線部と2個のコネクションバー43、44との接続箇所
を保護する端子保護部材でもある。
【0041】送風装置7は、遠心式ファンを構成する複
数の翼部(ブレード)45、これらの翼部45を支持す
る円環板状の翼固定部46、およびスリップリング4
1、42をインサート成形した円筒状の集電環固定部4
7等から構成されている。翼固定部46は、ポールコア
33の後端側の側面に固定され、刷子装置8と対向する
対向面(後端面)に嵌合部としての凹状部48を設けて
いる。
【0042】集電環固定部47は、2個のスリップリン
グ41、42および2個のコネクションバー43、44
と一体化されてシャフト5の他端部外周に圧入固定され
ている。なお、樹脂質部材としては、例えば電気絶縁性
および耐熱性に優れ、高強度で寸法安定性に優れる、例
えばポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)を使
用することが望ましい。
【0043】〔刷子装置の説明〕次に、刷子装置8につ
いて図1ないし図3に基づいて説明する。この刷子装置
8は、2個のスリップリング41、42の各々の外周を
摺動して各々と電気的に接続する2個の金属質刷子(以
下ブラシと呼ぶ)51、52、これらのブラシ51、5
2を支持固定する刷子保持器53、2個のブラシ51、
52に所定の接触圧を与えるコイルスプリング54、5
5、および刷子保持器53にインサート成形された2個
の接続ターミナル56、57等から構成されている。
【0044】2個のブラシ51、52は、板厚が例えば
0.5〜2.0mmの金属板をプレス加工のみにより折
り曲げることにより一体成形され、2個のスリップリン
グ41、42を介して界磁コイル34に励磁電流を供給
する固定側刷子である。これらのブラシ51、52の材
質としては、金属質部材(例えば銅合金等の薄板導電
材、あるいは銅合金等の導電性の薄板弾性材)が使用さ
れている。なお、ブラシ51は正極側固定刷子であり、
ブラシ52は負極側固定刷子である。
【0045】2個のブラシ51、52の先端部は、2個
のスリップリング41、42の外周面を接触する接点部
(刷子本体)であって、コの字状の断面を有するように
プレス成形されている。また、2個のブラシ51、52
の後端部は、接続ターミナル56、57に2個のピグテ
ール(正極側ピグテールは図示せず)58を介して電気
的に接続される接続部(突出片)であって、一文字状の
断面を有するようにプレス成形されている。
【0046】2個のピグテール58は、銅線等の導電性
金属線の搓り線であり、外側を電気絶縁性部材により覆
われている。これらのピグテール58は、一端部が2個
のブラシ51、52の後端部にろう付け等の接合手段を
用いて接合され、他端部が2個の接続ターミナル56、
57の先端部にろう付け等の接合手段を用いて接合され
ている。
【0047】刷子保持器53は、本発明の保持部材であ
って、2個のブラシ51、52を保持固定する刷子(ブ
ラシ)ホルダーのことで、電気絶縁性の樹脂質部材(例
えばPPS樹脂等)よりなる。この刷子保持器53は、
第1刷子保持部材61と第2刷子保持部材62に2分割
されている。第1刷子保持部材61は、本発明の第1保
持部材であって、刷子保持部(ブラシホルダー部、ブラ
シホルダー本体)63、刷子保持部63の前端側より軸
方向へ延長された円筒状の集電環被覆部(スリップリン
グカバー部)65、および後記する電圧調整装置10の
ケーシング66を一体成形している。
【0048】刷子保持部63は、接続ターミナル56、
57をインサート成形しており、接続ターミナル56、
57の各々の先端部を突出した状態で接続ターミナル5
6、57を保持している。刷子保持部63の内周面の一
部には、ブラシ51、52、コイルスプリング54、5
5およびピグテール58を格納するための角筒形状のボ
ックス(刷子収納部)67a、67bが一体成形されて
いる。集電環被覆部65は、送風装置7と共に、2個の
スリップリング41、42と2個のブラシ51、52と
の摺動部分の周囲を略L字状に覆っている。
【0049】第2刷子保持部材62は、本発明の第2保
持部材であって、第1刷子保持部材61と同一の樹脂質
部材により略円筒形状に一体成形され、第1刷子保持部
材61の外周面に溶着等の接合手段を用いて接合されて
いる。第2刷子保持部材62は、送風装置7の翼固定部
46と対向する先端部(前端部)に、翼固定部46の凹
状部48に嵌め合わされる被嵌合部としての凸状部68
を有している。この凸状部68は、第1刷子保持部材6
1の集電環被覆部65の前端部よりも前方側に突出して
いる部分である。
【0050】このため、第1刷子保持部材61の集電環
被覆部65および第2刷子保持部材62の凸状部68
は、翼固定部46の凹状部48との間に断面形状が略U
字形状のラビリンスシール60が形成される。このラビ
リンスシール60は、全周切れ目なく円環状に形成され
ている。また、第2刷子保持部材62は、第1刷子保持
部材61の集電環被覆部65との接合部がラビリンスシ
ール60内に設けられている。
【0051】また、第1刷子保持部材61の刷子保持部
63の後端部および第2刷子保持部材62の後端部と
は、リヤベアリング17を保持する軸受保持部18の前
端部に圧入固定され、刷子保持器53とリヤハウジング
12の軸受保持部18との間に形成される隙間をシール
している。したがって、2個のスリップリング41、4
2と2個のブラシ51、52との摺動部分が存する円筒
状空隙Sは、送風装置7および刷子保持器53により気
密的にシールされることになる。
【0052】2個のコイルスプリング54、55は、2
個のブラシ51、52を2個のスリップリング41、4
2の外周面にそれぞれ押圧させる圧縮コイルスプリング
である。2個のコイルスプリング54、55は、先端部
が2個のブラシ51、52の先端部の背面に保持され、
他端部が第1刷子保持部材61のボックス67a、67
bの底面に保持されている。
【0053】接続ターミナル56、57は、アルミニウ
ム合金や銅合金等の金属質部材により製作されている。
接続ターミナル56は、断面形状が略逆L字状に形成さ
れ、三相整流装置9の直流出力ターミナル71に固定ね
じ72により締結固定されて電気的に接続された正極側
給電端子である。接続ターミナル57は、刷子装置8の
外部接続端子であって、本発明の電圧調整装置の外部接
続端子であって、接続ターミナル56に対して逆側に延
びるように断面形状が略L字状に形成され、電圧調整装
置10の励磁電流出力端子(図示せず)と一体的に設け
られた負極側給電端子である。
【0054】〔三相整流装置の説明〕次に、三相整流装
置9について図2および図3に基づいて説明する。この
三相整流装置9は、所謂レクティファイヤであって、直
流出力ターミナル71、正極側冷却フィン73、負極側
冷却フィン74、3個の正極側ダイオード75、3個の
負極側ダイオード76および端子台77等から構成され
ている。
【0055】直流出力ターミナル71は、三相整流装置
9の外部接続端子であって、一端部に図示しない導電線
を介してバッテリの正極に電気的に接続され、他端部が
刷子装置8の接続ターミナル56および正極側冷却フィ
ン73に固定ねじ72を締め付けることにより電気的に
接続されている。この直流出力ターミナル71は、バッ
テリに充電電流を供給するターミナル(直流出力正極側
ターミナル)で、車両用交流発電機1のB端子を構成す
る。
【0056】正極側冷却フィン73は、負極側冷却フィ
ン74と共に刷子保持器53を囲むように所定の形状に
一体成形され、リヤハウジング12の側面に沿うように
配されている。正極側冷却フィン73は、図示しない絶
縁部材を介してリヤハウジング12の内側面に固定され
ている。負極側冷却フィン74は、リヤハウジング12
を介してボディアース(接地)されている。すなわち、
正極側冷却フィン73はバッテリの正極(+)側に電気
的に接続され、負極側冷却フィン74はバッテリの負極
(−)側に電気的に接続されている。そして、正極側、
負極側冷却フィン73、74は、それぞれ熱伝導性に優
れる導電性金属板(例えばアルミニウム板)で作られて
おり、3個の正極側、負極側ダイオード75、76の発
熱を放熱する放熱フィンであると共に、3個の正極側、
負極側ダイオード75、76を保持固定する整流素子保
持手段でもある。
【0057】3個の正極側、負極側ダイオード75、7
6は、三相のステータコイル32の交流出力を整流して
直流出力に変換(整流)する正極側、負極側整流素子で
ある。3個の正極側、負極側ダイオード75、76は、
一端側(リード線)がそれぞれ3個の交流入力端子78
に半田付けにより電気的に接続され、他端側がそれぞれ
正極側、負極側冷却フィン73、74に半田付けにより
電気的に接続されている。なお、直流出力ターミナル7
1、正極側、負極側冷却フィン73、74、3個の正極
側、3個の負極側ダイオード75、76および3個の交
流入力端子78等から三相整流回路が構成される。
【0058】端子台77は、電気絶縁性の樹脂質部材
(例えばPPS樹脂等)で所定の形状に作られ、3個の
交流入力端子78をインサート成形して保持すると共
に、正極側冷却フィン73と負極側冷却フィン74とを
電気的に絶縁する。この端子台77は、固定ねじ79に
より正極側、負極側冷却フィン73、74を固定してい
る。
【0059】〔電圧調整装置の説明〕次に、電圧調整装
置10について図2および図3に基づいて説明する。こ
の電圧調整装置10は、本発明の通電制御回路であっ
て、励磁電流出力端子等の各種外部接続端子(図示せ
ず)、集積回路(図示せず)およびケーシング66等か
ら構成されたICレギュレータである。励磁電流出力端
子は、電圧調整装置10の外部接続端子であって、前述
したように銅合金等の金属質部材により接続ターミナル
57と一体成形され、リヤハウジング12に固定される
ケーシング66に保持され、且つ2個のブラシ51、5
2に機械的に接続されている。
【0060】集積回路は、界磁コイル34に供給する励
磁電流を制御して三相のステータコイル32の発電電圧
を調整する電圧調整手段である。この集積回路には、界
磁コイル34の通電および通電停止を制御するスイッチ
ング素子としてのパワートランジスタや、界磁コイル3
4に流れる励磁電流を減衰させる逆起電力吸収用ダイオ
ード等が組み込まれている。
【0061】ケーシング66は、電気絶縁性の樹脂質部
材(例えばPPS樹脂等)により刷子保持器53と一体
成形され、リヤハウジング12に固定ねじ80により締
結固定される複数のブラケット81を有している。これ
により、ケーシング66は、刷子保持器53および2個
のブラシ51、52をリヤハウジング12に固定する刷
子固定手段として働く。また、ケーシング66の内部に
は、集積回路等の電子部品がエポキシ樹脂系の樹脂質部
材によりモールド成形されている。
【0062】〔第1実施例の作用〕次に、この実施例の
車両用交流発電機1の作用を図1ないし図4に基づいて
簡単に説明する。
【0063】車両に搭載されたエンジンが始動すると、
エンジンの回転動力がポリVベルト等の伝動手段を介し
てVリブドプーリ36に伝達され、ハウジング2にフロ
ント、リヤベアリング15、17を介して回転自在に支
持されているシャフト5が回転することによりロータ4
が回転する。このとき、シャフト5と一体的にポールコ
ア33、界磁コイル34および2個のスリップリング4
1、42が回転する。
【0064】そして、電圧調整装置10が界磁コイル3
4の給電を開始すると、バッテリ→直流出力ターミナル
71→接続ターミナル56→ピグテール(図示せず)→
スリップリング41→コネクションバー43→界磁コイ
ル34→コネクションバー44→スリップリング42→
ブラシ52→ピグテール58→接続ターミナル57(励
磁電流出力端子)→電圧調整装置10→リヤハウジング
12→ボディのように励磁電流が流れる。
【0065】したがって、界磁コイル34にバッテリよ
り電圧が印加されて界磁コイル34に励磁電流が流れる
ことによりポールコア33の2個の爪状磁極部が磁化す
る。これにより、一方の爪状磁極部が全てN極になり、
他方の爪状磁極部が全てS極になる。
【0066】そして、ロータ4と相対回転するステータ
3のステータコア31に巻装された三相のステータコイ
ル32に順次交流電流が誘起し、発電電圧が急速に立ち
上がる。この三相の交流電流は、3個の交流入力端子7
8を経て三相整流回路に入力される。すなわち、3個の
正極側ダイオード75および3個の負極側ダイオード7
6に入力されることにより、三相の交流電流が整流され
直流電流に変換される。
【0067】そして、三相のステータコイル32の発電
電圧(直流出力ターミナル71の電圧、B端子電圧)が
バッテリ電圧を越えると、整流された直流電流、すなわ
ち、充電電流は、3個の正極側ダイオード75→正極側
冷却フィン73→直流出力ターミナル71→導電線を経
てバッテリに供給される。これにより、バッテリに充電
電流が流れることによってバッテリが充電されると共
に、車両に搭載された電気負荷に電力が供給される。
【0068】ここで、車両用交流発電機1の三相のステ
ータコイル32、界磁コイル34、三相整流装置9およ
び電圧調整装置10の各電気部品が通電されることによ
り発熱する。この熱は、ロータ4が回転することによ
り、ポールコア33に固定された複数の翼部45が回転
することにより、ハウジング2内に冷却風が吸い込まれ
ることにより冷却される。
【0069】具体的には、ステータ3の三相のステータ
コイル32およびロータ4の界磁コイル34は、図2に
示したように、フロントハウジング11およびリヤハウ
ジング12に形成された多数の通風口19および多数の
通風口20を通って送り込まれる複数の翼部45の冷却
風によって直接冷却される。
【0070】また、3個の正極側、負極側ダイオード7
5、76で発生した熱は、正極側、負極側冷却フィン7
3、74にリヤハウジング12の通風口20を通って送
り込まれた冷却風が当たることで正極側、負極側冷却フ
ィン73、74が冷やされることにより、正極側、負極
側冷却フィン73、74を介して放熱する。
【0071】なお、ハウジング2内に冷却風が吸い込ま
れる際に、水や埃等の異物もハウジング2内に侵入す
る。特に、リヤハウジング12の通風口20を通って異
物が侵入すると、スリップリング41、42とブラシ5
1、52との摺動部分に入り込む可能性がある。しか
し、この実施例では、刷子保持器53の軸受保持部64
によってスリップリング41、42とブラシ51、52
との摺動部分が存する円筒状空隙Sのリヤハウジング1
2側がシールされている。
【0072】さらに、刷子保持部63および集電環被覆
部65によって円筒状空隙Sの外周側がシールされ、翼
固定部46の凹状部48と刷子保持器53の凸状部68
との間のラビリンスシール60によって円筒状空隙Sの
ポールコア33側がシールされている。これによって、
スリップリング41、42とブラシ51、52との摺動
部分で発生する磨耗粉がハウジング2内に飛散すること
を防止できる。
【0073】また、水や埃等の異物がハウジング2内に
侵入しても、送風装置7と刷子保持器53とで囲まれた
空間内、すなわち、スリップリング41、42とブラシ
51、52との摺動部分が存する円筒状空隙S内に水や
埃等の異物が侵入することを防ぐこともできる。
【0074】そして、車両用交流発電機1を長期間運転
することにより、シャフト5の外周に一体的に設けられ
た2個のスリップリング41、42と刷子保持器53に
保持された接続ターミナル56、57に機械的に固定さ
れた2個のブラシ51、52とが高速回転で摺動して摩
耗する。
【0075】しかるに、2個のスリップリング41、4
2が炭素質部材で作られているので、自己潤滑性を備え
ている。すなわち、スリップリング41、42自身の摩
擦係数を軽減することにより、従来の銅合金製のスリッ
プリング121と比較してスリップリング41、42の
摩耗量が大幅に軽減される。
【0076】また、2個のブラシ51、52が金属質部
材で作られているので、軽量化されバネ荷重が軽減する
ことにより2個のブラシ51、52の摩耗量が大幅に軽
減される。したがって、2個のスリップリング41、4
2および2個のブラシ51、52の耐久寿命を長期化す
ることができる。
【0077】〔第1実施例の効果〕以上により、この実
施例の車両用交流発電機1は、ブラシ51、52の先端
部をコイルスプリング54、55によってスリップリン
グ41、42の外周面に押圧することにより、スリップ
リング41、42の外周面を摺動するブラシ51、52
に適度の接触面積と接触圧を与えることができる。この
ため、保持部材に保持されたブラシ51、52とシャフ
ト5と一体的に回転するスリップリング41、42とが
摺動する際に、ブラシ51、52の振動による異常磨耗
を抑えることができるので、ブラシ51、52とスリッ
プリング41、42との摺動部分の長寿命化を達成する
ことができる。
【0078】また、界磁コイル34に安定した電力を供
給できるので、ロータ4のポールコア33の回転に伴っ
て三相のステータコイル32に安定した交流出力を発生
させることができることにより、車両用交流発電機1の
出力効率の低下を防止することができる。なお、この実
施例では、金属製のブラシ51、52をコイルスプリン
グ54、55の付勢力を利用してスリップリング41、
42に押圧している。コイルスプリング54、55を利
用した理由は、板バネ単体と比較してバネ荷重に対する
バネ変形量を大きくとれる点、バネ定数の異なるコイル
スプリングに変更することにより接触圧の変更がし易い
という点などが挙げられる。
【0079】次に、スリップリング41、42を炭素質
部材により製作し、ブラシ51、52を金属質部材によ
り製作した場合の効果について説明する。従来の構造の
場合は、ブラシの材質が摩耗部材(炭素質部材)である
ために予め摩耗を予測した大きさと長さを設定する必要
があり、さらに電圧調整装置の励磁回路のドロップ電圧
を小さくするために電圧調整装置を刷子装置の近傍に配
置している。このため、図9に示したように、車両用交
流発電機100の体格の縮小化ができず車両用交流発電
機100のコンパクト化の妨げとなっている。
【0080】しかし、この実施例のようにブラシ51、
52を金属質部材で製作することにより、ブラシ51、
52が摩耗し難くなるので、従来の摩耗部材で製作した
ブラシのように予め摩耗を予測した大きさと長さに設定
する必要はない。これにより、ブラシ51、52を極め
て薄くすることができる。すなわち、ブラシ51、52
を薄板導電材または薄板弾性材により製作できるので、
ブラシ51、52および刷子保持器53等から構成され
る刷子装置8を大幅に軽量、小型化することができる。
したがって、ブラシ51、52の近傍に電圧調整装置1
0を設置した場合でも、車両用交流発電機1の体格を縮
径でき、且つ軸方向寸法も縮小化できるので、車両用交
流発電機1を軽量、小型化することができる。
【0081】また、本発明のように、スリップリング4
1、42を炭素質部材で製作して、スリップリング4
1、42自身の自己潤滑性(摩擦係数の軽減)、および
ブラシ51、52との接触確率が大幅に少なくなること
により、従来の金属質集電環(図9のスリップリング1
21)と比較して摩耗量を大幅に低減することができ
る。また、ブラシ51、52の軽量化のためにブラシ5
1、52のバネ荷重が低減することによりスリップリン
グ41、42の摩耗量を更に低減することができるの
で、スリップリング41、42の長寿命化を達成でき
る。したがって、車両用交流発電機1の長寿命化を達成
することができる。
【0082】そして、ブラシ51、52が金属質部材で
製作されていることにより、ブラシ51、52において
スリップリング41、42の外周に接触する接触部分の
電気抵抗を小さくするために、ブラシ51、52の接触
部分の表面積を小さくしても電流密度が変化しないの
で、ブラシ51、52の温度上昇が抑えられてブラシ5
1、52の耐久寿命が延びる。一方、スリップリング4
1、42を炭素質部材で製作しているが、円環状のスリ
ップリング41、42のうちブラシ51、52に接触す
る部分は円周方向寸法の一部であるため、スリップリン
グ41、42の温度上昇も抑えられてスリップリング4
1、42の耐久寿命が延びる。したがって、車両用交流
発電機1の長寿命化を達成することができる。
【0083】そして、スリップリング41、42が炭素
質部材で製作されていることにより、ブラシ51、52
を金属質部材で製作して、そのブラシ51、52をスリ
ップリング41、42の外周に高速運転(例えば100
00rpm以上)で摺動させても安定した摩耗と界磁コ
イル34への通電を確保することができるので、ロータ
4のポールコア33の回転に伴って三相のステータコイ
ル32に安定した交流出力を発生させることができるこ
とにより、車両用交流発電機1の出力効率の低下を防止
することができる。
【0084】次に、送風装置7および刷子保持器53に
よるシール性能について説明する。上記のように、ロー
タ4がステータ3内を回転すると、2個のスリップリン
グ41、42および2個のブラシ51、52からは、両
者の摺動による摩耗粉が発生して、ハウジング2内の電
気部品(例えば三相整流装置9の電気部品、電圧調整装
置10の電子部品、三相のステータコイル32および界
磁コイル34等)に付着して、絶縁劣化やアース不良等
の不具合をもたらす可能性がある。一方、車両の走行時
に車両用交流発電機1が被水した時、ハウジング2内に
浸入した水が、2個のスリップリング41、42および
2個のブラシ51、52に触れると、これらのスリップ
リング41、42およびブラシ51、52を異常摩耗さ
せて、車両用交流発電機1の寿命を縮める可能性があ
る。
【0085】しかるに、この実施例の車両用交流発電機
1は、ロータ4のスリップリング41、42を送風装置
7に樹脂質部材によりインサート成形し、送風装置7の
翼固定部46と刷子保持器53の集電環被覆部65との
互いの対向面に形成した凹状部48と凸状部68との間
に円環状のラビリンスシール60を設けている。
【0086】したがって、2個のスリップリング41、
42と2個のブラシ51、52との摺動部分が存する円
筒状空隙Sは、前端側(ポールコア33の後端壁側)が
ラビリンスシール60により気密化(シール)され、外
周側が刷子保持器53の集電環被覆部65により気密化
(シール)され、後端側(リヤハウジング12の側壁
側)が刷子保持器53の刷子保持部63および軸受保持
部18により気密化(シール)されることになる。この
結果、2個のスリップリング41、42と2個のブラシ
51、52との摺動により発生する摩耗粉が円筒状空隙
Sより外部に飛散しないため、ハウジング2内の電気部
品(例えば三相整流装置9の電気部品、電圧調整装置1
0の電子部品、三相のステータコイル32および界磁コ
イル34等)に付着して絶縁劣化やアース不良等の不具
合を回避することができる。
【0087】また、ハウジング2内に侵入した水や埃等
の異物が、2個のスリップリング41、42と2個のブ
ラシ51、52との摺動部分が存する円筒状空隙S内に
侵入することを妨げることができるため、2個のスリッ
プリング41、42および2個のブラシ51、52の異
常摩耗を抑えることができる。すなわち、2個のスリッ
プリング41、42および2個のブラシ51、52を外
部から侵入する水や埃等の異物から保護することができ
るので、2個のスリップリング41、42および2個の
ブラシ51、52を長寿命化できる。これにより、車両
用交流発電機1を長寿命化できる。
【0088】次に、刷子保持器53の刷子保持部63と
電圧調整装置10のケーシング66とを一体化した場合
の効果について説明する。刷子保持部63とケーシング
66とは、従来より樹脂質部材よりなる樹脂成形品であ
り、両者を一体成形することにより、成形型の型数を低
減することができる。
【0089】また、刷子保持部63とケーシング66と
を別体で製作すると、刷子装置8の接続ターミナル56
と電圧調整装置10の励磁電流出力端子とを電気的に結
合するためにねじ締めや溶接等のスペースが必要とな
り、刷子装置8および電圧調整装置10が大型化してし
まう。しかし、この実施例の車両用交流発電機1では、
ねじ締めや溶接等のスペースが必要がないので、刷子装
置8および電圧調整装置10の小型化を図ることができ
る。したがって、車両用交流発電機1の小型化を図るこ
とができる。
【0090】次に、送風装置7の複数の翼部45および
翼固定部46と集電環固定部47とを一体化した場合の
効果について説明する。送風装置7の複数の翼部45お
よび翼固定部46と集電環固定部47とを電気絶縁性の
樹脂質部材により一体成形することにより、1個の成形
型で送風装置7と集電環固定部47とを作り出すことが
できるので、成形型の型数を低減できる。また、送風装
置7および集電環固定部47をポールコア33の後端面
およびシャフト5の後端部外周に圧入固定する際に、同
時にスリップリング41、42とコネクションバー4
3、44のシャフト5への組付作業も行うことができ
る。したがって、これらをロータ4およびシャフト5に
組み付ける際の作業工数を減少できるので、作業時間が
短縮する。これにより、車両用交流発電機1の生産性を
向上できるので、車両用交流発電機1の製品コストを低
減することができる。
【0091】〔第2実施例の構成〕図4ないし図8はこ
の発明の交流発電機を車両用交流発電機に適用した第2
実施例を示したもので、図4はその車両用交流発電機の
全体構造を示した図で、図5は刷子装置、三相整流装置
および電圧調整装置を示した図である。
【0092】この実施例の刷子装置8は、2個のスリッ
プリング41、42の各々の外周を摺動して各々と電気
的に接続する2個のブラシ51、52、これらのブラシ
51、52を支持固定する刷子保持器53、2個のブラ
シ51、52に所定の接触圧を与えるコイルスプリング
54、55、および刷子保持器53にインサート成形さ
れた2個の接続ターミナル56、57等から構成されて
いる。
【0093】2個のブラシ51、52は、材質として金
属質部材(例えば銅合金のバネ鋼である燐青銅またはベ
リリウム銅等の導電性の薄板弾性材)が使用されてお
り、板厚が例えば0.5〜2.0mmの金属板をプレス
加工のみにより折り曲げることにより一体成形されてい
る。これらのブラシ51、52は、図6および図7に示
したように、2個のスリップリング41、42の各々を
1/4円弧状に囲むように設けられた略円弧形状の刷子
本体(アーム部、腕状部)90、およびこの刷子本体9
0より刷子保持器53側に突出した刷子固定部91がそ
れぞれ形成されている。この刷子本体90の先端部に
は、スリップリング41、42の外周面とそれぞれ接触
する接点部92が一体成形されている。
【0094】接点部92は、各スリップリング41、4
2の外周面を摺動する摺動部分で、刷子本体90自身の
バネ特性により各スリップリング41、42との接触圧
を確保している。これらの接点部92の3辺からは、3
個の延長片(飛び出し部)93が突き出している。3個
の延長片93は、各スリップリング41、42の軸方向
両端よりそれぞれ軸方向の両側に向けて延長され、ある
いは各スリップリング41、42の周方向先端よりそれ
ぞれ周方向の外側に向けて延長され、且つ各接点部92
の軸方向または周方向に対して外側に反った形状(面取
り形状)に形成されている。
【0095】刷子固定部91は、ブラシ51、52の材
質として銅合金のバネ鋼を使用していることから、つま
りバネ鋼の特徴であるバネ特性を利用した方法で接続タ
ーミナル56、57と電気的、機械的に固定されてい
る。このため、この実施例の刷子固定部91は、性能上
および製造上の最小スペースとなるファストン形状に形
成されている。すなわち、刷子固定部91は、図6に示
したように、刷子本体90の後端部(頂端部)より軸方
向に突出した突出片94、およびこの突出片94の両側
を断面形状が略長円形状の円周を描くように折り曲げた
弾性変形可能な2個の係止片95を有している。そし
て、刷子固定部91は、接続ターミナル56、57の先
端部が突出片94と2個の係止片95との間に挿入され
ることにより、突出片94と係止片95との弾性力で接
続ターミナル56、57の先端部を挟持する。
【0096】刷子保持器53は、本発明の保持部材であ
って、図6および図8に示したように、第1刷子保持部
材61と第2刷子保持部材62に2分割されている。第
1刷子保持部材61は、刷子保持部63、この刷子保持
部63の内周側に設けられた円筒形状の軸受保持部(ベ
アリングホルダー部)64、刷子保持部63の前端側よ
り軸方向へ延長された円筒状の集電環被覆部65、およ
び電圧調整装置10のケーシング66を一体成形してい
る。軸受保持部64は、リヤハウジング12の軸受保持
部18内に圧入され、内周側にリヤベアリング17が圧
入によって固定されている。
【0097】第2刷子保持部材62は、第1刷子保持部
材61の刷子保持部63および集電環被覆部65との接
合部分と共に、ブラシ51、52およびコイルスプリン
グ54、55を格納するための角筒形状のボックス(刷
子収納部)67a、67bを形成している。また、第2
刷子保持部材62の後端側の環状部分には、接続ターミ
ナル56、57が貫通する貫通孔62bが形成されてい
る。第1、第2刷子保持部材61、62は、送風装置7
の翼固定部46と対向する先端部(前端部)に、翼固定
部46の凸状部49に嵌め合わされる被嵌合部としての
凹状部69を有している。
【0098】このため、第1、第2刷子保持部材61、
62の凹状部69は、翼固定部46の凸状部49との間
に断面形状が略U字形状のラビリンスシール60が形成
される。このラビリンスシール60は、全周切れ目なく
円環状に形成されている。また、第2刷子保持部材62
は、第1刷子保持部材61の刷子保持部63および集電
環被覆部65との接合部がラビリンスシール60内に設
けられている。
【0099】また、第1刷子保持部材61の軸受保持部
64は、リヤベアリング17を保持する軸受保持部18
の前端部の内周に圧入固定され、刷子保持器53とリヤ
ハウジング12の軸受保持部18との間に形成される隙
間をシールしている。したがって、2個のスリップリン
グ41、42と2個のブラシ51、52との摺動部分が
存する円筒状空隙Sは、送風装置7および刷子保持器5
3により気密的にシールされることになる。
【0100】2個のコイルスプリング54、55は、本
発明のコイルスプリングであって、2個のブラシ51、
52の接点部92を2個のスリップリング41、42の
外周面にそれぞれ押圧させる圧縮コイルスプリングであ
る。2個のコイルスプリング54、55は、先端部が2
個のブラシ51、52の接点部92の背面に保持され、
他端部が第1、第2刷子保持部材61、62のボックス
67a、67bの底面に保持されている。接続ターミナ
ル56、57の先端部は、各ブラシ51、52の刷子固
定部91の突出片94と係止片95との間に挿入し易い
ようにテーパー形状に形成されている。
【0101】〔第2実施例の効果〕この実施例の車両用
交流発電機1は、第1実施例と同様の効果を備え、さら
に次の効果を備える。先ず、車両用交流発電機1のブラ
シ51、52の材質として銅合金のバネ鋼を使用した場
合の効果について説明する。従来のようにブラシとして
炭素質刷子を使用した場合には、接触電気抵抗を小さく
するために、カーボン粉末中に銅粉等の金属粉末を混合
して接触電気抵抗とブラシの摩耗寿命によりその配合比
を決めていた。そして、銅粉等の金属粉末をカーボン粉
末に配合することにより、ブラシの重量が重たくなるた
め振動による不具合(例えばブラシとスリップリングと
の過剰な磨耗等)を考慮しなければならなかった。な
お、ブラシの耐振動は、一般に機械設計書の文献による
と下記の数1の式で表される。
【0102】
【数1】耐振動∝{(k×バネ荷重)/(刷子重さ)}
+{スプリング重さ} 上記の数1の式から、ブラシの重量を軽量化すると、ブ
ラシのバネ荷重を小さくできることが分かる。
【0103】この発明では、ブラシとしてスプリングお
よびピグテールを兼ねたブラシ51、52を使用し、こ
のブラシ51、52の材質として銅合金のバネ鋼(実施
例では燐青銅またはベリリウム銅)を使用することによ
り、ブラシ51、52の重量、特に刷子本体90の重量
を大幅に軽量化している。
【0104】これにより、ブラシ51、52のバネ荷重
を従来の炭素質刷子(図9のブラシ123)と比較して
大幅に低減できるので、ブラシ51、52の摩耗量が大
幅に低減でき、且つブラシ51、52の振動による不具
合を抑制できることによりブラシ51、52の寿命を長
期化できる。したがって、車両用交流発電機1の長寿命
化を達成することができる。
【0105】次に、刷子保持器53の刷子保持部63と
軸受保持部64とを一体化した場合の効果について説明
する。上記のように、シール性の効果以外に、リヤベア
リング17(シャフト5の後端部)を保持する軸受保持
部64とブラシ51、52を接続ターミナル56、57
を介して保持する刷子保持部63とを樹脂質部材により
一体成形することにより、刷子保持部63と軸受保持部
64との位置関係が一定となり、リヤベアリング17と
軸受保持部64との組付け誤差および刷子保持部63と
軸受保持部64との組付け誤差によるシャフト5の軸芯
ずれをなくすことができる。
【0106】したがって、2個のスリップリング41、
42と2個のブラシ51、52との摺動部分が存する円
筒状空隙Sは、前端側(ポールコア33の後端壁側)が
ラビリンスシール60により気密化(シール)され、外
周側が刷子保持器53の集電環被覆部65により気密化
(シール)され、後端側(リヤハウジング12の側壁
側)が刷子保持器53の刷子保持部63および軸受保持
部64により気密化(シール)されることになる。この
結果、2個のスリップリング41、42と2個のブラシ
51、52との摺動により発生する摩耗粉が円筒状空隙
Sより外部に飛散しないため、ハウジング2内の電気部
品(例えば三相整流装置9の電気部品、電圧調整装置1
0の電子部品、三相のステータコイル32および界磁コ
イル34等)に付着して絶縁劣化やアース不良等の不具
合を回避することができる。
【0107】また、図6に示したように、ブラシ51、
52の刷子本体90の形状を1/4円弧形状に形成する
ことにより、ブラシ51、52がスリップリング41、
42の外周に接触する時の接触圧の合成ベクトルが小さ
くなるので、接続ターミナル56、57に機械的に固定
される刷子固定部91にその接触圧の力が加わらない構
造となる。
【0108】そして、図6に示したように、ブラシ5
1、52の接点部92の軸方向の両側に面取り形状の延
長片93を設けることにより、接点部92が軸方向に滑
らかに移動することができるので、ブラシ51、52を
スリップリング41、42の外周に組付けたり、ブラシ
51、52をスリップリング41、42の外周から取り
外して分解したりすることが非常に容易となる。これに
より、車両用交流発電機1の生産性が向上するので、車
両用交流発電機1の製品コストを低減できる。
【0109】また、本発明のブラシ51、52は導電性
の薄板弾性材(板金)でありプレス加工だけで図6の形
状に成形加工できるので、ブラシ51、52の材料であ
る金属質部材の摩耗寿命に影響する素材の硬さを十分に
高くできる。これにより、ブラシ51、52の長寿命化
を達成できる。
【0110】次に、ブラシ51、52の固定方法(支持
構造)による効果について説明する。ブラシ51、52
の刷子固定部91と接続ターミナル56、57は、コス
ト的に異種金属を設定することにより、車両用交流発電
機1の製造コストを低減できる。また、接続ターミナル
56、57と一体で電気絶縁性の樹脂質部材にて刷子保
持器53を一体成形する場合には、接続ターミナル5
6、57のインサート成形時の樹脂温度により金属特性
が変質し、ブラシ51、52の耐摩耗性が低下する可能
性があるので、インサート成形後に接続ターミナル5
6、57と刷子固定部91とを機械的に固定して両者の
電気的な接続を行う必要がある。接続ターミナル56、
57と刷子固定部91の固定方法としては、溶接、かし
め等のような固定方法を用いることができるが、ブラシ
51、52の材質が銅合金のバネ鋼であることから性能
上および製造上の最小スペースとなるファストン形状
(図6参照)による固定方法が最適である。
【0111】〔変形例〕この実施例では、本発明を車両
用交流発電機(所謂オルタネータ)1に適用したが、本
発明を建物内の電力供給を行う定置式の交流発電機に適
用しても良い。また、本発明を発電電動機に適用しても
良い。そして、シャフト5をエンジンの出力軸に直接連
結しても良い。この場合には、プーリは不要となる。ま
た、シャフト5とエンジンの出力軸との間に一段以上の
歯車変速機やVベルト式無断変速機等の伝動手段を連結
しても良い。さらに、シャフト5を、本発明を車両搭載
用エンジンを除く内燃機関、電動モータ、水車または風
車等の駆動源により回転駆動しても良い。
【0112】この実施例では、スリップリング41、4
2の材質として炭素質部材を使用したが、スリップリン
グ41、42の材質としてカーボン単体よりも高強度で
且つ導電率(導電性)が高い金属粉末を使用しても良
い。なお、この場合でも、ブラシ51、52の材質とし
て金属質部材(例えば銅合金のバネ鋼である燐青銅また
はベリリウム銅等)を使用する。
【0113】この実施例では、集電環(スリップリン
グ)としてスリップリング41、42を利用したが、集
電環として銅合金やステンレス鋼等の金属質集電環を利
用しても良い。また、この実施例では、金属製のブラシ
として金属質部材よりなるブラシ51、52を利用した
が、2個のブラシのうち一方のブラシとして炭素粉末、
天然黒鉛、電気黒鉛または金属黒鉛等よりなる炭素質刷
子を利用しても良い。さらに、ブラシ51、52にピグ
テールをそれぞれ一体成形しても良い。
【0114】この実施例では、複数の翼部45、これら
の支持する翼固定部46およびスリップリング41、4
2をインサート成形した集電環固定部47を樹脂質部材
により一体成形したが、これらを別体で製作しても良
い。また、複数の翼部45または翼固定部46を金属質
部材で製作して集電環と共に樹脂質部材によりインサー
ト成形しても良い。
【0115】この実施例では、刷子保持器(ブラシホル
ダー)53と電圧調整装置(レギュレータ)10のケー
シング66と軸受保持部64を樹脂質部材により一体成
形したが、これらを別体で製作しても良い。また、刷子
保持器53および電圧調整装置10のみ一体成形しても
良い。
【0116】この実施例では、送風装置7の複数の翼部
45および翼固定部46で遠心式ファンを構成したが、
送風装置の複数の翼部および翼固定部で軸流式ファンを
構成しても良い。なお、フロントハウジング11内、す
なわち、ハウジング2内のポールコア33の前端側に集
電装置6、送風装置7および刷子装置8を設けても良
い。この実施例では、コイルスプリングとしてコイルス
プリング54、55を利用したが、コイルスプリングと
して板バネ、エアクッションまたはゴム等を利用しても
良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用交流発電機の主要部構造を拡大
した断面図である(第1実施例)。
【図2】本発明の車両用交流発電機の全体構造を示した
断面図である(第1実施例)。
【図3】本発明の刷子装置、三相整流装置および電圧調
整装置を示した側面図である(第1実施例)。
【図4】本発明の車両用交流発電機の全体構造を示した
断面図である(第2実施例)。
【図5】本発明の刷子装置、三相整流装置および電圧調
整装置を示した側面図である(第2実施例)。
【図6】本発明の集電装置と刷子装置を示した斜視図で
ある(第2実施例)。
【図7】本発明の刷子装置を示した側面図である(第2
実施例)。
【図8】本発明の刷子保持器を示した断面図である(第
2実施例)。
【図9】従来の車両用交流発電機の全体構造を示した断
面図である(従来例)。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機 2 ハウジング 3 ステータ 4 ロータ 5 シャフト 6 集電装置 7 送風装置 8 刷子装置 10 電圧調整装置 17 リヤベアリング(軸受部材) 31 ステータコア 32 ステータコイル 33 ポールコア(ロータコア) 34 界磁コイル(ロータコイル) 41 スリップリング(集電環) 42 スリップリング(集電環) 51 ブラシ 52 ブラシ 53 刷子保持器(保持部材) 54 コイルスプリング 55 コイルスプリング 56 接続ターミナル(外部接続端子) 58 ピグテール 60 ラビリンスシール 61 第1刷子保持部材(第1保持部材) 62 第2刷子保持部材(第2保持部材) 63 刷子保持部 64 軸受保持部 65 集電環被覆部 66 ケーシング 90 刷子本体 91 刷子固定部 92 接点部 93 延長片(飛び出し部)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ハウジングの内面に固定されたステ
    ータコアと、 (b)このステータコアに巻装されたステータコイル
    と、 (c)前記ステータコアの内側において前記ステータコ
    アと相対回転するロータコアと、 (d)前記ロータコアの中心部を貫通するシャフトと、 (e)このシャフトの外周に設けられ、前記ロータコイ
    ルに電気的に接続する集電環と、 (f)この集電環の外周面を摺動して、前記集電環を介
    して前記ロータコイルを給電する金属製のブラシ、この
    ブラシの少なくとも先端部を前記集電環の外周面に押圧
    するコイルスプリングを有する刷子装置とを備えた交流
    発電機。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の交流発電機において、 前記交流発電機は、前記刷子装置の近傍に、前記ブラシ
    と接続する外部接続端子を有する電圧調整装置を備え、 前記刷子装置は、前記ブラシおよび前記コイルスプリン
    グを保持する保持部材、および前記ブラシと前記電圧調
    整装置の外部接続端子とを溶接等の接合手段を用いて電
    気的に接続されるピグテールを有することを特徴とする
    交流発電機。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の交流発電
    機において、 前記ブラシは、先端部がコの字状の断面を有することを
    特徴とする交流発電機。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の交流発電機において、 前記ブラシは、燐青銅またはベリリウム銅等の銅合金を
    主体とするバネ鋼を材料とし、自己の弾性力によっても
    前記集電環の外周面に接触する金属質ブラシであること
    を特徴とする交流発電機。
  5. 【請求項5】請求項1または請求項4に記載の交流発電
    機において、 前記集電環は、材質として銅とカーボンとを混合した炭
    素粉末を円環状の型に入れて焼成した炭素質部材を使用
    した炭素質集電環であることを特徴とする交流発電機。
  6. 【請求項6】請求項1、請求項4または請求項5に記載
    の交流発電機において、 前記ブラシは、先端部に、前記集電環の軸方向に延長さ
    れた面取り形状の飛び出し部を有することを特徴とする
    交流発電機。
  7. 【請求項7】請求項1、請求項4ないし請求項6のいず
    れかに記載の交流発電機において、 前記交流発電機は、前記刷子装置の近傍に、前記ブラシ
    と接続する外部接続端子を有する電圧調整装置を備え、 前記刷子装置は、前記ブラシおよび前記コイルスプリン
    グを保持する保持部材、および前記ブラシと前記電圧調
    整装置の外部接続端子とをバネ特性を利用した方法で電
    気的、且つ機械的に固定する刷子固定部を有することを
    特徴とする交流発電機。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の交流発電機において、 前記交流発電機は、前記シャフトの端部を回転自在に支
    持する軸受部材を備え、 前記保持部材は、材質として電気絶縁性の樹脂質部材が
    使用され、前記電圧調整装置の外部接続端子を保持する
    ケーシング、および前記軸受部材を保持する軸受保持部
    を一体成形したことを特徴とする交流発電機。
  9. 【請求項9】請求項7または請求項8に記載の交流発電
    機において、 前記交流発電機は、前記ハウジング内に前記ステータコ
    イルや前記ロータコイルを冷却するための冷却風を発生
    させる送風装置を備え、 前記保持部材は、前記送風装置との間に、前記集電環と
    前記ブラシとの摺動部分への異物の侵入を防止するラビ
    リンスシールを形成する第1保持部材と第2保持部材と
    に分割され、 前記第1保持部材と前記第2保持部材との接合部は、前
    記ラビリンスシール内に設けられたことを特徴とする交
    流発電機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008093393A1 (ja) * 2007-01-30 2008-08-07 Mitsubishi Electric Corporation 電動機、電動送風機並びに電気掃除機
JP2013106361A (ja) * 2011-11-10 2013-05-30 Mitsubishi Electric Corp 制御装置一体型回転電機

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