JPH09232855A - 電子部品 - Google Patents

電子部品

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JPH09232855A
JPH09232855A JP3227696A JP3227696A JPH09232855A JP H09232855 A JPH09232855 A JP H09232855A JP 3227696 A JP3227696 A JP 3227696A JP 3227696 A JP3227696 A JP 3227696A JP H09232855 A JPH09232855 A JP H09232855A
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JP
Japan
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antenna
electronic component
resin
fibrous
high dielectric
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Application number
JP3227696A
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English (en)
Inventor
Yasuto Imanishi
康人 今西
Koichi Taketomi
浩一 武富
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】任意の誘電率を持つ誘電体の作製を可能にし、
アンテナ等の部品の電気特性の微調整を行えるようにす
る。これにより、アンテナパターンや樹脂の形状の変更
を伴わなくとも所望の共振周波数を得ることができ、短
期間で安価な部品を製造することが出来る。 【解決手段】繊維状高誘電性充填材と樹脂を任意の比率
で配合した樹脂組成物に電気特性を考慮してメッキ等を
施してアンテナを構成する。このアンテナを実際に使用
される環境に設置して共振周波数を測定した後、所望の
共振周波数となるように配合比率を変える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車・携
帯電話システム、PHS(Personal Hand
yphone System)に代表される移動体通信
システムやGPS(Global Positioni
ng System)受信システム等で使用される通信
機器に搭載される電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、急速に利用者の拡大している移動
体通信システム等で使用される通信機器においては、機
器の小型化が一つの大きな課題となっている。そのため
の有力な手段として、筺体の内面に回路を形成し、回路
基板と外装部を一体的に形成することが提案されてい
る。また、従来の回路基板やアンテナも、小型化される
と同時に収納容器内の限られたスペースに配置されるた
めに、三次元的な形状とすることが試みられている。
【0003】一方、アンテナ回路の小型化のために基板
の誘電率を上げることが提案されている。これは基板上
の回路を流れる電気信号の伝達速度が基板の比誘電率に
反比例して遅延する性質を利用して回路の小型化を図る
ものである。しかしながら、こうした試みには未だ解決
されるべき問題が多い。ここでは、このような通信機器
に搭載される電子部品の一例として、携帯電話機等に使
用されるアンテナを取り上げ、従来技術の問題点を説明
してゆく。
【0004】一般に携帯電話機等に使用されるアンテナ
では、その基体部分に誘電体が用いられる。このような
誘電体には、以下に述べるような材料性能上の特性が要
求される。 1.電気特性に優れていること。 (1) 使用周波数帯域において、損失の要因となる誘電正
接が、十分低いこと。(10−4のオーダー以下であるこ
とが望ましい。) (2) 使用周波数帯域において、誘電率、誘電正接が、周
波数特性を持たないこと。 (3) 使用環境条件において、誘電率、誘電正接が、温度
特性、湿度特性、その他のばらつきを持たないこと。 (4) 成形品内で材料の不均一がおこり、誘電率のばらつ
きを起こすことがないこと。 2.機械特性に優れていること。 (1) 成形収縮係数および線熱膨張係数が小さいこと。 (2) 材料の配合比により誘電率を変化させたときに係数
が変わり、金型の変更を伴わないこと。 (3) 剛性が十分であること。 3.軽量であること。 4.熱特性に優れていること。 (1) 半田耐熱性があること。 5.加工性が良いこと。 (1) 材料の流動性がよく、微細加工に優れていること。
(これにより薄型部品が製作でき、また金型に圧力をか
けすぎないので金型のメンテナンスが少なくて済み、金
型の寿命が延びる。) (2) 特別の設備を導入することなく成形が可能であるこ
と。 6.安価であること。 7.成形品の表面にメッキ加工ができること。(携帯無
線機用の平面アンテナ等は、使用周波数の波長に対して
小さいために狭帯域である。そこでアンテナ放射板の工
作精度を上げて所望の共振周波数から共振がずれないよ
うにするために、アンテナ放射板をこれまで主流であっ
た金属板から金属メッキとして、工作精度をあげること
が必要となる。)
【0005】上記要求に対応するため、従来、例えば特
公平6−60416号公報に記載されているような方法
(2色成形法)が用いられてきた。この方法では、誘電
体としての電気性能に加え、メッキに適しているか否か
が誘電体樹脂材料選定上重要な要素となっており、例え
ば液晶ポリマー(ヘキストセラニーズ社製”VECTR
A”)等が用いられている。この材料を用いた部品成形
工程は、次のようになる。 まず、メッキ適合材料(液晶ポリマー)を用いてア
ンテナ放射板のパターンを形成してある一次成形品を金
型を用いて成形する。 次に、メッキ密着性能向上のため、触媒を用いてこ
の一次成形品のメッキを施す面(メッキ面)を粗化す
る。 その後、一次成形とは異なる材料を用いて、一次成
型品のメッキ面が表面に露出するよう、金型により二次
成形を行い、アンテナの基体を形成する。 最後に、この二次成型品にメッキ処理を施す。これ
により、二次成型品表面に現れた一次成形部の露出して
いる部分のみにメッキが付き、アンテナ放射板が形成さ
れる。
【0006】上記工程において、通常、一次成形、二次
成形には異なる種類の液晶ポリマーが使用される。これ
は、メッキの付く一次成形の材料が高価格であり、二次
成形の材料にはより低価格の材料を用い、部品全体とし
ての価格を低く抑えるためである。従って一次成形部、
二次成形部では誘電率が異なり、部品全体としての誘電
率は、その部品内の一次成形部、二次成形部の材料の比
率により変わるため、その値を正確に求めることは困難
となる。このことは、誘電率に基づいた、アンテナ放射
板の設計を、精度よく実施できないことを意味する。ま
たこの材料は、メッキ適合性からくる材料選定上の制約
から材料中の含有成分の比率を自由に変更することはで
きず、誘電率の変更が容易には行えない。一般に製造さ
れたアンテナの特性は、アンテナ単体でも設計値からず
れている。さらにこのアンテナが製品に組み込まれた状
態では、アンテナ周辺の部品類(金属、誘電物等)の影
響を受けるためそのずれはさらに大きくなる。そのた
め、できあがったアンテナの共振周波数が所望の値から
ずれている場合に、アンテナ放射板等を削ったり、増や
したりすることで所望の共振周波数特性を得るようにす
るという調整作業が必要となる。この調整作業を経た後
に、所望の共振周波数特性を与えるアンテナ放射板の形
状、およびその成形を行う一次成形、二次成形用の金型
の形状が最終的に決まる。
【0007】つまり、上述のアンテナに代表される複雑
な形状を有する電子部品においては、その電気的特性は
わずかな形状や回路の変化、さらに周囲環境の影響によ
り大きく変動するため、その電気性能を製造前に予測す
ることは極めて困難である。そのため、量産電子部品用
の最終的な金型が決まるまでには、「金型による(試
作)電子部品の成形・製造/その電気特性の評価/その
評価結果に基づく電子部品の形状変更、電極面積の変更
等による所望特性への調整」という試作工程が必要であ
り、試作の都度金型の変更が必要で、そのための費用が
発生していた。また、特性調整における形状変更は、試
行錯誤によるところが大きく時間を要する作業であっ
た。
【0008】一方、上述の2色成形法の問題点に対処す
る手段として、成形可能な樹脂に誘電体を配合し、配合
量を調整することによって誘電率を変え、電子部品の電
気特性を調整する方法がある。例えば特開平6−138
14号公報には樹脂に無機誘電体粉末及びガラスフィラ
ーを配合してなる成形材料が開示されている。しかしな
がら同公報記載の技術には誘電体として粉末を用いてい
るために、成形体の耐熱性及び強度を確保するためにガ
ラスフィラーを併用する必要があった。そのため配合成
分が複数となり、所定の誘電率を発現させるための配合
設計を著しく困難にするという問題点があった。
【0009】すなわち、同公報に記載されるように、基
体の誘電率εは、成形樹脂の誘電率をε1、無機誘電体
粉末の誘電率をε2、ガラスフィラーの誘電率をε3と
し、それぞれの体積分率をV1、V2、V3、とすると
logε=V1・logε1+V2・logε2+V3
・logε3で算出することが知られているが、同式か
らはlogεを設定しても一義的な誘電体配合量(V
2)を求めることはできない。ところで、無機誘電体粉
末の配合量(V2)が多くなると材料強度の低下が引き
起こされる。つまり、V1、V2、V3は強度について
も相互に依存する関係にある。そのために強度も考慮に
いれてガラスフィラー配合量(V3)との間の配合比率
の調整という要素を考慮しなければならない。従って、
従来、所望の誘電率と強度を有する材料を得ようとする
場合に簡便な設計方法はなく、試行錯誤的に配合を変え
て誘電率及び強度等の測定を繰り返す等の繁雑な作業に
拠らなければならないという困難が生じていた。本願は
斯かる困難の解消を課題とする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子部品は以上
のような材料、工程で製造されているので、電子部品の
電気性能の調整を基体、電極等の形状変更等で行う場合
には、複数回にわたる金型の変更、試行錯誤的な調整工
程により、多大なコスト、労力が必要であるという問題
があった。また、電子部品の電気性能の調整を基体の誘
電率の変更で行う場合には、所望の誘電率と強度を有す
る材料を得るために、試行錯誤的に配合を変えて誘電率
及び強度等の測定を繰り返す等の繁雑な作業に拠らなけ
ればならないという問題があった。
【0011】この発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたもので、本発明者等が鋭意検討した結
果、無機誘電体フィラーを繊維状物とすることにより、
耐熱性向上及び強度向上の効果を誘電率調整効果と併せ
て発現させることができ、それにより極めて簡便な方法
により所定の形状の材料に所望の誘電率を発現させた材
料を得ることに成功した。さらにこのような材料を用い
ることにより、極めて簡便な製造工程を生みだし(特
に、本発明者等はこの材料の前記特性(他の機械的特性
等に影響を与えず、誘電率特性を容易に変えれる)か
ら、同一形状の誘電率を変えた複数のサンプルが容易に
製造でき、その電気特性が極めて容易に測定可能となる
ことに気づき、その測定を実施し、本材料の誘電率と本
材料を使用した電子部品の共振周波数特性との間に極め
て特徴的な関係(線形性)があることを発見し)、その
工程により所望の電気特性を持つ電子部品を従来に比べ
格別に容易に製造することに成功し、本発明を完成させ
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電子部品
においては、繊維状高誘電性充填材と樹脂とからなる樹
脂組成物で成形される基体により構成され、前記繊維状
高誘電性充填材の樹脂組成物に対する配合量を変更し、
前記基体の誘電率を調整することにより、所望の電気特
性を得るようにしたものである。
【0013】また、繊維状高誘電性充填材の配合量を変
化させた場合の樹脂組成物の誘電率の変化特性および該
電子部品と同一の形状の供試用電子部品の基体の誘電率
を変化させた場合の前記供試用電子部品の共振周波数の
変化特性を用いることにより、所望の電気特性を与える
前記繊維状高誘電性充填材の前記樹脂組成物に対する配
合量を設定するようにしたものである。
【0014】また、基体の平面部に形成され、その外周
が共振周波数における波長の略2分の1であるアンテナ
放射板と、このアンテナ放射板の周辺の一端に位置する
給電部と、この給電部の近傍に位置し、前記アンテナ放
射板に接続された短絡部とを備えたものである。
【0015】また、アンテナ放射板の形成された平面部
の基体が、階段状の構造を有するようにしたものであ
る。
【0016】また、アンテナ放射板に隣接する基体の一
面に形成されたシールドパターンを有するようにしたも
のである。
【0017】また、給電部に給電点を特定する複数個の
溝を設けるようにしたものである。
【0018】また、繊維状高誘電性充填材として、少な
くとも1種の繊維状チタン酸アルカリ土類金属を用いる
ようにしたものである。
【0019】また、繊維状高誘電性充填材として、少な
くとも1種の、一般式MO・TiO2(MはBa、S
r、Ca、Mg、Co、Pd、Zn、Be、Cdからな
る群より選ばれる1種または2種以上の金属を示す。)
で表されるチタン酸金属塩の繊維状物および/またはこ
のチタン酸金属塩を非結晶質酸化チタンが包み込んだ態
様で複合一体化した複合繊維であって、この複合繊維中
のMとTiのモル比が1:1.005〜1:1.5の範
囲にある複合繊維を用いるようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】まず本発明の電子部品に使用され
る、樹脂組成物について説明を行う。本発明に用いられ
る樹脂としては、熱可塑性樹脂又は、熱硬化性樹脂があ
り、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル系
樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、5−メチルペ
ンテン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、耐熱性ABS樹
脂、ポリアミド−4,6、ポリアミド−6T、変性ポリ
アミド−6/6T、等の耐熱性ポリアミド樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリサルホン系樹
脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン系樹
脂、ポリエーテルニトリル樹脂、サーモトロピック液晶
ポリエステル樹脂、熱溶融性フッ素樹脂、熱可塑性ポリ
イミド樹脂等を例示でき、これらの中でも、ポリフェニ
レンエーテル樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、
5−メチルペンテン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリエーテルケトン系樹脂、サーモトロピック液晶
ポリエステル樹脂、熱溶融性フッ素樹脂、熱可塑性ポリ
イミド樹脂等を特に好ましく使用出来る。本発明では、
これらの中から1種単独で又は2種以上混合して使用さ
れる。
【0021】また熱硬化性樹脂としては、例えばトリア
ジン樹脂、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂等
のトリアジン系樹脂、熱硬化変性を施した熱硬化性ポリ
フェニレンエーテル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることが出来
る。これらの中でもトリアジン系樹脂、熱硬化性ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。
【0022】本発明で使用される繊維状高誘電性充填材
としては、一般式MO・TiO2(MはBa、Sr、C
a、Mg、Co、Pd、Zn、Be、Cdからなる群よ
り選ばれる一種又は二種以上の金属元素を示す)で表さ
れる繊維状チタン酸金属塩(以下、繊維Aと称し、Mが
単独の金属であるものを繊維A−1と称し、Mが二種以
上の金属であるものを繊維A−2と称する)及び一般式
MO・TiO2(MはBa、Sr、Ca、Mg、Co、
Pd、Zn、Be、Cdからなる群より選ばれる一種又
は二種以上の金属元素を示す。)で表される組成を持つ
繊維状チタン酸金属塩を非結晶質酸化チタンが包みこん
だ態様で複合一体化した複合繊維であって、金属MとT
iのモル比が1:1.005〜1.5の範囲にあるもの
(以下繊維Bと称し、Mが単独の金属であるものを繊維
B−1、Mが二種以上の金属であるものを繊維B−2と
称する)が好ましく用いられる。繊維A及び繊維Bにお
ける金属元素Mとしては、少なくとも2種以上の2価金
属であるものが好ましい。Mが単独の金属である場合に
比べて高周波数帯域における誘電正接が低いという好ま
しい特徴を有しているからである。
【0023】また、繊維Bはアモルファス酸化チタンに
より繊維Aより一般に高い強度を有するという利点をも
つため、配合時の形状保持率が高くより好ましく用いる
ことが出来る。尚、繊維Bにおける金属MとTiのモル
比が1.5を超えるものは比誘電率が劣るため好ましく
ない。
【0024】本発明に用いることの出来る繊維A−1及
び繊維A−2は、一般式TiO2・mH2O(式中mは
0≦m<8)で表されるチタニア化合物やルチルサンド
等のチタン源化合物と加熱することにより金属Mの酸化
物となりうる物質の一種又は二種以上を混合し、アルカ
リ金属ハロゲン化物等のフラックスの存在下600〜9
00℃程度の温度で加熱反応させることにより得ること
が出来る。
【0025】前記繊維の好ましい製造方法の一例として
は、繊維状チタニア化合物の表面に、チタン成分が金属
成分に対して過剰となるような所定の割合で、一種又は
二種以上の金属元素の炭酸塩を沈着させ、その後加熱処
理することによって得ることが出来る。このものは結晶
質であるチタン酸金属塩(金属が二種以上の場合はチタ
ン酸金属塩の固溶体となる)の粒状物が非結晶質酸化チ
タンからなるマトリックスに包み込まれた態様の複合繊
維である。
【0026】前記繊維の好ましい製造方法を更に詳しく
説明すると、原料の繊維状チタニア化合物としては、繊
維長と繊維径の比が3以上、好ましくは3以上10未満
であり繊維形状を有する一般式TiO2・nH2O(式
中nは0≦n≦10)で表される成分が90%以上であ
るものが好ましく用いられる。このような繊維状チタニ
ア化合物は、例えば、繊維状チタン酸アルカリ金属塩を
酸性溶液中で処理して、脱アルカリ反応を行うことによ
って容易に得ることが出来る。尚、チタニア化合物とし
て、n=0である針状もしくは繊維状の酸化チタンを用
いてもよい。
【0027】まず、前記繊維状チタニア化合物を水もし
くは各種有機溶媒等の分散媒に分散させてスラリーとし
た後、一種又は二種以上の金属元素の化合物溶液を該ス
ラリーに添加する。斯かる金属元素の化合物としては、
金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸
塩、シュウ酸塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩
等を例示でき、これらは各々の金属に対して一種又は二
種以上を併せて用いてもよい。これらの金属元素の化合
物が液状でない場合には溶解させて溶液とすることが出
来る。その際に用いることの出来る溶媒としては、水又
は各種の有機溶媒を用いることが出来る。添加量とし
て、繊維状チタニア化合物1モルに対して、一種又は二
種以上の金属Mの合計モル数が1.005〜1.5とな
るように添加する場合には、繊維Bを得ることができ、
1となるように添加する場合には繊維Aを得ることが出
来る。
【0028】次に炭酸イオンを含有する溶液を攪拌しな
がら添加するか、又は攪拌下の溶液に炭酸ガスを吹き込
むことにより原料の繊維状チタニア化合物の表面に金属
化合物の炭酸塩を沈着することが出来る。この際、反応
中の溶液のpHはアンモニア等のアルカリ性溶液を用い
て8〜10の弱アルカリ性に調整することができ、これ
により生成した炭酸塩の溶解を防止して仕込み比に応じ
た最終目的物を得ることが出来る。
【0029】次に、上記炭酸塩が沈着せしめられた繊維
状チタニア化合物を、適宜識別、水洗、乾燥した後、5
00〜1300℃、好ましくは700〜1100℃程度
の温度で3分〜24時間程度加熱処理することにより目
的の繊維を得ることが出来る。
【0030】なお、本発明に用いられる繊維状物は、1
種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲でチタン酸バリウ
ム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロ
ンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛等の粉末状の高誘電体
を併用してもよい。
【0031】本発明に用いられる上記繊維状物のアスペ
クト比(繊維長/繊維径)としては、好ましくは3以
上、更に好ましくは6〜100程度のものがよい。ま
た、繊維径は、好ましくは0.01〜10μm、さらに
好ましくは0.1〜5μmのものがよい。繊維径が10
μmを超える太い繊維状物を用いた場合、成形品表面の
平滑性が劣り、特に高周波域での信号伝達速度の遅延を
起こす恐れがあり、また、成形品内の誘電率、誘電正接
等のバラツキを大きくするため好ましくない。
【0032】本発明における樹脂に対する繊維状高誘電
性充填材の配合割合は、使用目的に応じて広い範囲から
選択することが可能であるが、上記樹脂及び上記充填材
の合計量を基準として通常5〜80重量%の範囲とする
のがよい。配合量が5重量%を下回るとアンテナの誘電
率向上効果に乏しいため好ましくなく、また80重量%
を超えると成形が困難になり且つ強度が著しく低下する
ため好ましくない。
【0033】なお、本発明は斯かる配合比率を調整する
ことにより、耐熱性向上及び、強度向上の効果を誘電率
調整効果と併せて発現させることができ、また、金型の
変更をすることなく、極めて簡便な方法により所望の特
性を持った電子部品材料を製造することが出来るという
優れた効果を有する。
【0034】本発明においては、上記の必須成分に加え
て本発明の効果を妨げない範囲で(1)ポリマーと繊維
状物の界面の親和性や接合性を向上させ、機械的強度を
改良するために、シラン系カップリング剤、チタネート
系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング
剤等のカップリング剤を、(2)メッキ性を改良するた
めに、タルク、ピロリン酸カルシウム等の微粒子性充填
剤を、(3)熱安定性を一層改善するために、酸化防止
剤を、(4)耐光性を改良するために紫外線吸収剤等の
光安定剤を、(5)難燃性を一層改善するために、ハロ
ゲン系もしくはリン系等の難燃剤及びアンチモン系化合
物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化ジルコニウ
ム等の難燃助剤を、(6)耐衝撃性を改良するために耐
衝撃性付与剤を、(7)潤滑性を改良するために、滑
剤、摺動性改良剤(固体潤滑剤、液体潤滑剤)を、
(8)着色するために、染料、顔料などの着色剤を、
(9)物性を調整するために可塑剤、架橋剤等の添加剤
をそれぞれ配合することが出来る。
【0035】本発明の樹脂組成物を製造するに当たって
は、従来公知の方法を広く採用出来る。例えば該樹脂に
必要に応じて、上記添加剤をタンブラ一又はリボンミキ
サー等を用いて混合した後、二軸押出機を用いて溶融混
練しながら途中で上記繊維状物を所定量供給混練し、ペ
レット化するのがよい。
【0036】本発明組成物は、例えば、射出成形、押出
成形、圧縮成形、注型成形等の公知の方法に従って、所
望の形状の成形品とすることが出来る。
【0037】本発明組成物を用いて、例えば、回路基板
を製造するには、公知の方法が採用出来る。例えば、本
発明組成物の成形品に必要に応じてエッチングを施した
り及び/又は銅等の金属箔を貼着又はメッキした後、そ
の表面に回路を形成すればよい。回路の形成は、例え
ば、メッキ、スパッタリング、イオンプレーティング、
真空蒸着、印刷等の公知の方法に従って行うことが出来
る。
【0038】以下に上記樹脂組成物を用いた電子部品に
ついて具体的な実施形態を述べる。
【0039】発明の実施の形態1.図1は、この発明の
一実施形態に係わるアンテナの構成を示す。図におい
て、1はサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂と、繊
維状高誘電性充填剤としてチタン酸バリウムストロンチ
ウムとからなる樹脂組成物を成形して作成された平面上
の誘電体の基体、2はアンテナへの給電部、3は基体1
の一方の面に形成された矩形上のアンテナ放射板であ
り、長手方向の長さ(図中のL)が共振周波数における
波長の略2分の1(従って放射板の周囲長は1波長以
上)となっている。4は基体1のアンテナ放射板3が形
成された面に対する他方の面に形成されたアースパター
ンである。図2は、前記樹脂組成物中の繊維状高誘電性
充填材の配合量を変化させた場合の樹脂組成物の誘電率
の変化特性を示す。図3は、図1に示した構成のアンテ
ナにおいて、その基体となる樹脂組成物の誘電率を変化
させた場合のアンテナの共振周波数(VSWR(Vol
tage StandingWave Ratio;電
圧定在波比)が極小となり、アンテナに接続される回路
系との整合が最も良い状態である周波数)の変化特性を
示す。この共振周波数の変化特性は次のようにして得る
ことができる。 誘電率の異なる樹脂材料を用い、図1のアンテナの
成形に用いられるのと同一の金型により、同一の基体形
状、同一のアンテナ放射板形状を有する、誘電率の異な
る複数の供試用のアンテナ(以下、図3の特性を測定す
るためのアンテナを「供試用アンテナ」という)を作成
する。 この供試用アンテナの共振周波数を、例えばネット
ワークアナライザ等の測定器を用い、VSWRが極小値
となる周波数として測定する。 横軸に誘電率、縦軸に共振周波数をとり、上記の測
定した共振周波数をプロットし変化特性のグラフを作成
する。この場合、誘電率の調整は図2に示すごとく、樹
脂組成物中の繊維状高誘電性充填材の配合量のみを調整
することにより可能である。この図3の共振周波数の変
化特性を測定した結果、本誘電体樹脂材料においては、
共振周波数と、誘電率との間に極めて(1次)線形的な
関係があることがわかった。さらにこの関係を利用する
ことにより、本材料がアンテナをはじめとする電子部品
製造工程を、従来に比べ極めて簡略にできる可能性があ
ることを確認することができた。発明者等は、この樹脂
材料を使用し、周波数1.5GHzのアンテナ(実使用
時に共振周波数1.5GHzとなるアンテナ)を製作し
た。以下に、図2、3を用いた、このアンテナの製作手
順を説明する。 共振周波数を1.5GHzとするために、図3より
樹脂組成物の誘電率をε=5.1とする。 図2よりε=5.1を与える繊維状高誘電性充填材
の配合量10wt%の樹脂組成物を用い、図1の構成の
アンテナ(以下、この段階のアンテナを「試作アンテ
ナ」という。)を作製する。 このアンテナを筺体に実装し、実使用環境での電気
特性を測定する。(この場合には、共振周波数が1.6
GHzにシフトしていた。) 図3を用いて、そのグラフの傾きから設計時と実測
時との共振周波数のシフト量を誘電率のシフト量に置換
し、実装時に共振周波数が1.5GHzとなるよう樹脂
組成物の誘電率を変更する。(この場合には、ε=5.
6に変更した。) 図2よりε=5.6を与える繊維状高誘電性充填材
の配合量12wt%の樹脂組成物を用い、図1の構成の
アンテナを作製する。 と同様の測定をし、実使用時に共振周波数が1.
5GHzとなるアンテナを得た。 以上のように、本樹脂材料および製造手法を用いること
により金型の修正、アンテナ放射板の修正をすることな
く、所望のアンテナ特性を得ることが出来た。
【0040】なお、上記実施形態のアンテナの製作手順
の説明では、所望の共振周波数特性を備えたアンテナを
得る前に、試作アンテナを用い、設計時と実測時との共
振周波数のシフト量を求める手順(手順〜)が必要
であった。これは供試用アンテナを用いた図3の共振周
波数特性を、(筺体に実装した状態ではなく、)アンテ
ナ単体で測定したことによる。従って、筺体に実装した
実使用環境で、供試用アンテナの共振周波数特性を測定
しておけば、手順〜における試作アンテナによる共
振周波数のシフト量を測定することなく、所望の共振周
波数特性を備えたアンテナを直接(手順、のみで)
製作することができる。
【0041】また、図2の繊維状高誘電性充填材の配合
量に対する樹脂組成物の誘電率の変化特性と、図3の樹
脂組成物の誘電率に対するアンテナの共振周波数の変化
特性とを、誘電率をパラメータとして融合すれば、繊維
状高誘電性充填材の配合量に対するアンテナの共振周波
数の変化特性が作成できる。この特性を求めておけば、
配合量から共振周波数を直接求めることができ、設計負
荷の軽減に供することができる。
【0042】発明の実施の形態2.実施形態1で使用し
たものより誘電率の高い高誘電タイプの誘電体樹脂を使
用することにより、図1と同じ構成で、アンテナ放射板
が実施形態1より小さい、周波数1.5GHzのアンテ
ナ(実使用時に共振周波数1.5GHzとなるアンテ
ナ)を製作した。図4は上記高誘電率タイプの樹脂を用
いた場合の実施形態1における図3に対応する供試用ア
ンテナの共振周波数の変化特性を示す。以下に、図2、
4を用いた、このアンテナの製作手順を説明する。 共振周波数を1.5GHzとするために、図4より
樹脂組成物の誘電率をε=8.8とする。 図2よりε=8.8を与える繊維状高誘電性充填材
の配合量26wt%の樹脂組成物を用い、図1の構成の
アンテナを作製する。 このアンテナを筺体に実装し、実使用環境での電気
特性を測定する。(この場合には、共振周波数が1.6
GHzにシフトしていた。) 図4を用いて、そのグラフの傾きから設計時と実測
時との共振周波数のシフト量を誘電率のシフト量に置換
し、実装時に共振周波数が1.5GHzとなるよう樹脂
組成物の誘電率を変更する。(この場合には、ε=9.
3に変更した。) 図2よりε=9.3を与える繊維状高誘電性充填材
の配合量29wt%の樹脂組成物を用い、図1の構成の
アンテナを作製する。 と同様の測定をし、実使用時に共振周波数が1.
5GHzとなるアンテナを得た。 以上のように、本樹脂材料および製造手法を用いること
により金型の修正、アンテナ放射板の修正をすることな
く、所望のアンテナ特性を得ることが出来た。
【0043】発明の実施の形態3.携帯電話機用の内蔵
アンテナへ適用した場合の実施形態について述べる。図
5は、本アンテナの構成を示すものであり、(a)と
(b)とはそれぞれ別の方向から見たときの斜視図であ
る。また図6は本アンテナの携帯電話機内での設置状況
を説明するための図である。図において、1はサーモト
ロピック液晶ポリエステル樹脂と、繊維状高誘電性充填
剤としてチタン酸バリウムストロンチウムとからなる樹
脂組成物を成形して作成された誘電体の基体、2はアン
テナへの給電部であり、最適な給電点が設定できるよう
位置決め用の複数の溝が設けられている。3は基体1の
表面に形成されたアンテナ放射板、5は基体1の側面に
形成されたシールドパターンであり、筺体アースに接続
されている。6は前記給電部2の近傍にあり、アンテナ
放射板3をアースへ短絡するための短絡部である。7は
このアンテナと受信回路を含む無線回路部(図示せず)
との間でインピーダンスのマッチングを図る整合回路部
である。8は無線回路部をその内部に収めるシールドケ
ースであり、その表面に筺体アース用の金属メッキが施
されている。この金属メッキによるアース面が前記アン
テナ放射板と組み合わされ、所望のアンテナとしての機
能を果たす。9は携帯電話機の前面および後面の筺体ケ
ースである。
【0044】本アンテナの構造について少し詳しく説明
する。本アンテナは、その構造から逆F型アンテナと呼
ばれているもので、アンテナ放射板の周囲長がその共振
周波数における波長の略2分の1である小型のアンテナ
である。このアンテナは携帯電話機に内蔵され、別のも
う一つのアンテナであるホイップアンテナ15とともに
ダイバーシティ受信の目的に使用される。このアンテナ
は、ダイバーシティ受信のための、前記ホイップアンテ
ナとの相対的な位置関係からの必要性と、携帯電話機本
体の小型・軽量化からの必要性とから、筺体内部の非常
に限られた場所に設置されている。従ってその形状は図
5、6に示されるように周辺部品16、シールドケース
8および筺体ケース9との干渉を避けつつ、後述するア
ンテナ性能としての要求とから、大変複雑な形状となっ
ている。従ってこの形状を成形する金型も複雑な構造と
なる。前記給電部2には、複数の位置決め用の溝が設け
られている。一般に逆F型アンテナでは、短絡部と給電
点との間隔が、その電気特性(特に整合特性)に微妙に
影響する。従って、所望の電気特性を得るため、試作・
調整時に給電点の位置を試行錯誤的に求め、量産時には
その位置に正確に給電する必要がある。この溝は上記調
整過程で決定された位置を示す目盛りの役目をし、量産
時の作業性を向上させるためのものである。シールドパ
ターン5は、周辺回路・部品(特に基体1と同程度の高
さを有し、基体に隣接する周辺回路・部品)によるアン
テナ特性への影響を軽減するためのものである。このシ
ールドパターンは、周辺回路・部品が配設された側の基
体1の側面に、アンテナ放射板と離隔され、形成されて
いる。整合回路部7は、例えばチップコンデンサ、パタ
ーンインダクタンス等の整合用部品を組合せ、線路パタ
ーンで接続し構成した小型の基板回路であり、アンテナ
放射板3近傍の基体1上に設置されている。またこの整
合回路部は、基体1が誘電体であることから基体1上に
接続パターンを作成し、上記部品類を直接基体1上に搭
載して一体構成としてもかまわない。このようにすれ
ば、上記基板回路が不要となり、またこの基板回路の基
体1への設置作業が不要となるので、組立工数の低減を
図ることが可能となる。
【0045】一般にこのような逆F型アンテナでは、ア
ンテナの効率(アンテナ性能を表す指標であり、ダイポ
ールアンテナを基準とした空間全周にわたる平均的なア
ンテナゲイン)を高めるため、そのアンテナ放射板の面
積を広くおよび図7に示すようにアンテナ放射板のアー
ス面からの高さ(d1)を高くすることが望まれる。一
方、携帯電話では、その通話に際して、使用者が手で握
り、頭部に接近させて使用するため、高周波回路部が人
体からの影響を受け本来の性能が出なくなることがあ
る。(以下、「人体効果」という)。特にこのような内
蔵アンテナでは図7に示すように筺体ケースを挟んでア
ンテナ放射板と手のひらが相対するため、人体効果が強
く現れる。従ってこの人体効果を低減させるためには、
アンテナ放射板と筺体ケースとの距離(d2)を大きく
し、人体からなるべく離す必要がある。上記、アンテナ
の効率向上と人体効果の低減とからくる、アンテナ形状
に対する相反する要求を満たすため、本アンテナの基体
は、図5、6に示すような階段状の構造となっている。
【0046】従来の材料(VECTRA)を用いた2色
成型法では、アンテナ材料としてはほぼ要求性能を満た
しているが、その製法が特殊なために、2度の成形過程
が必要であり、また一次成形と二次成形とでは別種の誘
電体を用いる必要があった。さらに、アンテナ放射板の
大きさを変更する(一般には削って小さくする)ことで
しか所望の共振周波数への調整が行えなかった。しか
し、このように放射板の大きさを変更することは、先に
述べたように、アンテナの効率の劣化をもたらすことと
なる。さらにこのような放射板の調整を反映させた金型
の変更が必要となる。
【0047】一方、本実施形態の製法では、誘電率の変
更が極めて容易に行える単一の材料を用い、一度の金型
成形過程で、基体が製造できる。そのため、共振周波数
は、アンテナ放射板の大きさの変更ではなく、誘電率を
変更することにより、調整可能となる。従って、アンテ
ナ放射板の面積をアンテナ効率が最大となるよう、基体
1上で最大限確保できるとともに、放射板の大きさの変
更がないので、金型の変更も不要である。さらに本実施
形態の材料は、従来の材料と同じ誘電率を持つものとし
て比較した場合、誘電正接が低く、また比重が少さく優
れている。特にこの比重は、部品重量ひいては携帯電話
機重量に影響するため、重要な要素となる。
【0048】本実施形態では、このような材料を用いる
ことにより、先の実施形態1、2で述べたような供試サ
ンプルによる共振周波数の変化特性をあらかじめ測定し
ておくことにより、アンテナ効率の最適化の要求から、
アンテナ放射板を最大限確保した状態で、基体の誘電率
の調整のみで共振周波数を所望値に設定できた。
【0049】なお、本実施形態では、アンテナとして逆
F型アンテナを例に説明を行ったが、他の平面アンテナ
(例えばパッチアンテナ、ショートパッチアンテナ、逆
L型アンテナ、M型アンテナ等)に対して本発明が適用
できることはいうまでもない。
【0050】発明の実施の形態4.携帯電話機用のアン
テナとして、固定式のヘリカルアンテナへ適用した場合
の実施形態について述べる。図8は、本実施形態のアン
テナの構成を示す。図において、1は本発明による樹脂
組成物を成形して作成された誘電体の基体、10は基体
1に施された螺旋状の溝、11はこの溝10に固定され
るアンテナ線材、12はアンテナ線材11が固定された
基体1全体を覆う、誘電材料を成形して作成されたモー
ルド体である。
【0051】一般に、ヘリカルアンテナにおいては、ア
ンテナ線材をアンテナとして許される最大の長さとする
ことが、人体効果の削減に大きな効果をもたらす。従
来、このアンテナ線材を固定する溝を施してある基体
1、およびモールド体12の誘電材料は誘電率が固定で
あった。そのため、アンテナの共振周波数を所望の値と
するには、試作の過程で、金型を変更し、溝の間隔を変
更した基体を複数種類作ったり、アンテナ線材の長さを
調整する必要があり、経済的及び時間的に多くのロスを
もたらしていた。しかし本発明の材料を用いれば、誘電
率の変更が容易に行え、波長短縮量を任意に変化させる
ことが出来るので所望の共振周波数を容易に得ることが
出来る。これにより金型を変更する必要が無く、またア
ンテナとして許される最大長を確保することができ、安
価で性能の良いアンテナを短時間で供給することができ
る。
【0052】なお、基体1に直接、螺旋状のアンテナ放
射線路をメッキ等により形成しても、上記実施形態と同
様のヘリカルアンテナを構成できる。この場合には、基
体1への溝10の形成およびアンテナ線材11は不要と
なる。
【0053】発明の実施の形態5.メアンダアンテナへ
適用した場合の実施形態について述べる。図8は、本実
施形態のアンテナの構成を示す。図において、1は本発
明による樹脂組成物を成形して作成された誘電体の基
体、13は基体1上にメッキ、印刷等の方法に従って形
成されたメアンダ状のアンテナ放射線路である。
【0054】このアンテナにおいても、上記実施形態と
同様に、アンテナの設置場所の周囲環境(カバー、電気
部品、筐体構造等)によって共振周波数が所望の共振周
波数から外れる。共振周波数が低くずれている時には、
従来はこれを所望値に合わせるため、アンテナ放射線路
のパターンカットをすることが必要であった。一方、共
振周波数が高くずれているときには、従来はアンテナ放
射線路を作りなおし、長くすることが必要であった。し
かし本発明の材料を用いることによりアンテナ放射線路
の長さを変更することなく、基体の誘電率の調整のみ
で、安定して所望の共振周波数を持つアンテナを作製す
ることが出来る。
【0055】発明の実施の形態6.これまで述べてきた
ように、携帯電話機やGPS等のアンテナはアンテナを
設置する場所、周囲の環境によってその共振周波数は大
きく変化する。そこで図10に示すようにアンテナの基
体となる誘電体の一部をくり抜き、そのくり抜いた場所
に本発明の材料を用いて誘電率を細かく振った誘電率調
整ブロック14を挿入して共振周波数を所望の値にする
という方法が考えられる。また図11に示すようにGP
Sアンテナ等アンテナを誘電体で覆う物(レドーム)が
ある場合は、その誘電体の誘電率を本発明の材料で調整
しても同じ効果が得られる。
【0056】発明の実施の形態7.アンテナ以外の誘電
体を基体とする電子部品に対しても本発明が適用できる
ことは言うまでもない。例えば、導波管の位相調整用に
挿入する誘電体ブロックとして、本発明の材料を用いれ
ば、誘電体ブロックを一定の大きさを保ったまま、その
誘電率を変化させることにより、位相変化量を可変にす
ることが可能となる。
【0057】また、誘電体フィルター等は誘電率を上げ
ることにより部品のサイズの縮小化を図っているが、所
望の特性を持った量産品を作り上げるまでには細かい配
線パターンの変更や誘電体の形状を変える必要がある。
本発明の材料を用いることにより金型、配線パターン等
を変更することなく所望の特性へ微調整することができ
るので時間的、経済的に効果がある。
【0058】また、λ/4波長分岐線路方向性結合器、
ハイブリッドリングマジックT等伝送線路を応用した電
子部品では、その特性インピーダンスZ0はマイクロス
トリップライン同様、回路パターン線幅、誘電体の厚
さ、誘電率等で決定される。そしてこのようなマイクロ
波の回路では、特性インピーダンスZ0を所望の値とす
るために、回路パターン線幅を試行錯誤的に微調整する
必要がある。本発明の材料を使用することによりパター
ン線幅の微調整無しで所望の特性インピーダンスZ0を
得ることができ、その時間を大幅に短縮できる。
【0059】また、基板上にパターンによって作られた
パターンインダクタ、パターンコンデンサ等の電子部品
の定数の微調整をするために、基板に本発明の材料を用
いればパターンを変更することなく所望の特性の電子部
品を作り上げることができる。このような電子部品を高
周波回路部の入出力の整合用に用いると、整合調整が容
易になり短時間で製品化できる。
【0060】また、本発明の材料は、電波の波面を球面
波から平面波に変換する誘電体レンズに用いることもで
きる。誘電体レンズに本発明の材料を用いることにより
位相変化量を微調整できるので従来のような形状の変更
をしなくても良い。
【0061】なお、上記の各実施形態では、対象とする
電子部品の電気特性としては、主として共振周波数特性
としていたが、これに限ったものではなく、個々の電子
部品の使用状況に応じた所望の電気特性(インピーダン
ス特性、損失(または利得)特性等)であってかまわな
い。
【0062】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば繊維状
高誘電性充填材と樹脂の配合割合を任意に変化させるこ
とにより、所望の誘電率を持つ樹脂組成物を作り出し、
電子部品の特性の微調整を行う事ができるので金型、回
路パターン等の設計をやり直す必要が無く、安価な電子
部品を短期で製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態1によるアンテナの構成
を示す図である。
【図2】 この発明の実施形態1で用いた誘電材料の配
合量と誘電率εの関係を示す特性図である。
【図3】 この発明の実施形態1で用いた誘電材料の誘
電率εとアンテナ共振周波数の関係を示す特性図であ
る。
【図4】 この発明の実施形態2で用いた誘電材料の誘
電率εとアンテナ共振周波数の関係を示す特性図であ
る。
【図5】 この発明の実施形態3による逆F型アンテナ
の構成を示す図であり、(a)、(b)はそれぞれ別方
向から見た場合の斜視図である。
【図6】 この発明の実施形態3による逆F型アンテナ
の筺体内での配置を説明する図である。
【図7】 この発明の実施形態3による逆F型アンテナ
の形状を説明する図である。
【図8】 この発明の実施形態4によるヘリカルアンテ
ナの構成を示す図である。
【図9】 この発明の実施形態5によるメアンダアンテ
ナの構成を示す図である。
【図10】 この発明の実施形態6による誘電体ブロッ
クを説明する図である。
【図11】 この発明の実施形態7によるレドームを説
明する図である。
【符号の説明】
1 基体 2 給電部 3 アンテナ放射板 4 アースパターン 5 シールドパターン 6 短絡部 7 整合回路部 8 シールドケース 9 筺体ケース 10 溝 11 アンテナ線材 12 モールド体 13 アンテナ放射線路 14 誘電率調整ブロック 15 ホイップアンテナ 16 周辺部品

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状高誘電性充填材および樹脂を有す
    る樹脂組成物により構成され、前記繊維状高誘電性充填
    材の配合量によって上記樹脂組成物の誘電率を変更させ
    て、所望の共振周波数特性としたことを特徴とする電子
    部品。
  2. 【請求項2】 繊維状高誘電性充填材の配合量を変化さ
    せた場合の樹脂組成物の誘電率の変化特性および該電子
    部品と同一の形状の供試用電子部品の基体の誘電率を変
    化させた場合の前記供試用電子部品の共振周波数の変化
    特性を用いることにより、所望の電気特性を与える前記
    繊維状高誘電性充填材の前記樹脂組成物に対する配合量
    を設定することを特徴とする請求項1記載の電子部品。
  3. 【請求項3】 繊維状高誘電性充填材および樹脂を有す
    る樹脂組成物により構成されたアンテナ基体と、このア
    ンテナ基体上に設けられ、外周長が共振周波数における
    波長の略2分の1としたアンテナ放射板と、このアンテ
    ナ放射板に電気的に接続された給電部とを備えたことを
    特徴とする電子部品。
  4. 【請求項4】 前記基体を階段状の構造としたことを特
    徴とする請求項3記載の電子部品。
  5. 【請求項5】 前記基体の側面に前記アンテナ放射板と
    離隔して設けられ、近傍に配設された電子回路に対して
    シールドするシールド部を備えたことを特徴とする請求
    項3記載の電子部品。
  6. 【請求項6】 前記給電点の位置を特定する溝を前記ア
    ンテナ基体に設けたことを特徴とする請求項3記載の電
    子部品。
  7. 【請求項7】 繊維状高誘電性充填材として、少なくと
    も1種の繊維状チタン酸アルカリ土類金属を用いること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子部
    品。
  8. 【請求項8】 繊維状高誘電性充填材として、少なくと
    も1種の、一般式MO・TiO2(MはBa、Sr、C
    a、Mg、Co、Pd、Zn、Be、Cdからなる群よ
    り選ばれる1種または2種以上の金属を示す。)で表さ
    れるチタン酸金属塩の繊維状物またはチタン酸金属塩を
    非結晶質酸化チタンが包み込んだ態様で一体化した複合
    繊維であって、この複合繊維中のMとTiのモル比が
    1:1.005〜1:1.5の範囲にある複合繊維を用
    いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    電子部品。
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