明 細 書
アンテナ
技術分野
[0001] 本発明は、アンテナに関し、より詳細には、高周波帯域における指向性の向上と、 所望の広い遮断域をより正確に形成できるアンテナに関するものである。
背景技術
[0002] 近年、無線通信機能を備えた携帯型の情報処理装置の普及がめざま 、。このよ うな情報処理装置における無線通信には、情報処理装置へのアンテナの搭載が必 須である。特に、携帯型の情報処理装置の小型軽量ィ匕に伴って、小型のアンテナの 開発、および、そのアンテナ性能の向上を実現するための技術開発が渴望されてい る。
[0003] これまでに、小型化の要求に対応した様々なアンテナが提案されており、例えば、 高さ寸法の短縮が容易で小型化を促進できるモノポールアンテナ等がある。このモノ ポールアンテナの一般的な構造としては、接地面上で起立する誘電体基板と、この 誘電体基板の表面に上下方向に沿って設けられた放射導体とから構成されており、 同軸ケーブル等の給電線が放射導体の下端部に接続されて!、る t 、うものである。
[0004] 上記のようなモノポールアンテナは、例えば、 UWB (Ultra Wide Band)技術を利用 した Broadband— PAN (Personal Area Network)などの通信システムに用いることが でき、周波数帯域 3. 1〜: LO. 6GHzの広帯域の電波に対応することができる。
[0005] また、上記と同様、広帯域の電波に対応可能なアンテナとして、特開 2003— 2736 38号公報(2003年 9月 26日公開)に開示されて 、る構造のアンテナ(広帯域アンテ ナ装置)がある。以下に、この広帯域アンテナ装置について図 28に基づいて説明す る。
[0006] 図 28は、広帯域アンテナ装置 100の構成を示す斜視図である。広帯域アンテナ装 置 100は、円形平板の放射導体 11を、導体地板 12の面上に対してほぼ垂直となる ように配置したものである。導体地板 12と放射導体 11との間には、任意の高さ dの空 隙が設けられ、図 28に示すように、導体地板 12へのグラウンド給電点 12f、放射導
体 11への信号給電点 1 Ifが設けられている。さらに、円形平板の放射導体 11には、 図 28に示すように、その外周部の 2箇所に長方形状の切り欠き (ノッチ) 11Nが設け られている。切り欠き 11Nは、放射導体 11の外周部分に放射導体 11を貫通するよう に設けられており、外周の外側方向に解放口を有した形状を有して ヽる。
[0007] し力しながら、上記の広帯域アンテナ装置 100には、指向性に関して以下のような 問題がある。この問題を、図 29 (a) · (b)を用いて説明する。
[0008] 図 29 (a) · (b)は、上記広帯域アンテナ装置 100の指向性を調べるために行った放 射特性解析について示した図である。図 29 (a)は、放射特性解析を行うにあたり広 帯域アンテナ装置 100に設けた 3次元方向を模式的に示した図である。また、図 29 ( b)は、図 29 (a)に示した 3次元方向に基づいて広帯域アンテナ装置 100の放射特 性解析結果を示した図である。なお、この放射特性解析は、図 29 (a)において示し た Y軸および Z軸カゝら構成される YZ面と、 X軸および Z軸カゝら構成される XZ面と、 X 軸および Y軸カゝら構成される XY面とのそれぞれの場合について行っており、この YZ 面と XZ面と XY面とに関して、以下の(1)〜(3)のような偏波を放射電波として用いた 。すなわち、(1)YZ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏 波(Η偏波)、(2) ΧΖ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏 波(Η偏波)、(3) ΧΥ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏 波(Η偏波)、を放射電波として用いた。さらに、各面につき、 3GHz, 4GHz、 6GHz の 3種類の周波数の放射電波を用いて行った。なお、図 29 (b)の解析結果において 、細線で示したものが H偏波の解析結果であり、太線で示したものが V偏波の解析結 果である。
[0009] 図 29 (b)から、上記の(1)YZ面では、放射電波は Η偏波に限定されていることがわ かる。同じぐ上記の(2) ΧΥ面についても、放射電波は Η偏波に限定されている。こ の解析結果から、広帯域アンテナ装置 100は、アンテナの設置角度の変化により通 信品質が変動し易 、と 、える。
[0010] すなわち、広帯域アンテナ装置 100は、設置の自由度に制限があるといえる。
[0011] さらに、上記の(1)ΥΖ面、および(2) ΧΥ面における 6GHzの周波数における解析 結果から、これらの場合、導体地板 12の背面への放射が抑制されていることがわか
る(図 29 (b)中の破線内)。これは、導体地板 12があるためである。したがって、上記 のような構成の広帯域アンテナ装置 100では、特に高周波帯域において導体地板 背面への放射レベルが抑制されてしまい、その方向への通信領域が確保できない。 すなわち、広帯域アンテナ装置 100は指向性に乏しぐ良好な通信品質を実現する ことができないといえる。
[0012] また、図 28および図 29 (a) · (b)に示したとおり、広帯域アンテナ装置 100は、放射 導体 11が導体地板 12に対して起立した構成となっているため、必然的にアンテナ自 体が立体形状となり、サイズが大きぐ扱い難い場合がある。また、その製造において も、放射導体 11を導体地板 12上に自立させる、すなわち、自動的に導体地板 12上 に放射導体 11を実装することは困難である。そのため、導体地板 12上に放射導体 1 1を起立させるためには、手動によって半田付けする必要があった。したがって、この ような煩雑な工程を必要とするため、広帯域アンテナ装置 100は量産性に欠ける。
[0013] そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好 な指向性を有し、良好な通信品質を実現することができる、かつ、簡易に製造できる アンテナを提供することにある。
発明の開示
[0014] 本発明のアンテナは、上記課題を解決するために、互いに異なる形状を有する第 1 導体および第 2導体と、当該第 1導体および第 2導体に給電を行う給電部とを備えて おり、当該第 1導体および第 2導体は、それぞれの表面が互いに平行となるように配 設されて!/、ることを特徴として!/、る。
[0015] 上記の構成によれば、第 1導体と第 2導体とが平行に構成されている。これにより、 従来技術と比較して、高周波帯域においても指向性が良好となる。したがって、本発 明のアンテナは、設置の自由度を向上させることができるとともに、設置角度が変動 した場合であっても、通信品質も良好に維持することができる。
[0016] 本発明の構成を、従来技術における広帯域アンテナ装置の構成に対応させると、 本発明の第 1導体は従来技術における導体地板とすることができ、また、この場合、 第 2導体を従来技術における円形の放射導体とすることができる。このように対応さ せた場合、本発明の構造は、従来技術の構造は異なり、第 1導体 (導体地板)と第 2
導体(円形の放射導体)とが同一面上に構成されている。第 1導体と第 2導体とが同 一面上に構成されていることによって、詳細な解析結果は後述する実施形態に示す 力 従来技術において問題となっていた第 1導体 (導体地板)背面への電波放射の 抑制が生じず、したがって、従来において放射が抑制されていた方向への通信領域 を確保することができる。
[0017] すなわち、本発明のアンテナは、従来技術と比較して指向性が良い (無指向に近 づく)と言える。
[0018] したがって、本発明のアンテナは、従来の広帯域アンテナ装置と比較して、設置の 自由度を向上させることができるとともに、設置角度が変動した場合であっても、通信 品質が変動しにく 、と 、う効果を奏する。
[0019] また、本発明によれば、従来技術の構造とは異なり、平面構造であることから、薄型 化を実現することができる。また、薄型化を実現できることによって、モパイル機器等 の薄型の機器に搭載させることや、その他の機器等の狭い隙間にでも設置すること が可能となる。さらに、他の回路との基板一体化も可能となる。
[0020] また、本発明のアンテナであれば、従来技術のようにその製造過程において起立さ せるような煩雑な工程を必要としない。したがって、量産性を向上させることができ、こ れに伴 、製造コストの低減を実現することができる。
[0021] また、本発明に係るアンテナは、上記第 1導体と第 2導体とが、上記給電部を介して
、面一となるように構成されていることが好ましい。
[0022] なお、面一とは、完全に面一である状態および実質的に面一である状態を含むも のである。
[0023] また、本発明に係るアンテナでは、上記第 1導体および第 2導体は、基板上に形成 されており、上記基板の誘電率よりも高!ヽ誘電率を有する誘電材料からなる誘電体 層が、少なくとも上記第 2導体を被覆するように設けられていることが好ましい。
[0024] 上記の構成とすることにより、基板を汎用的な誘電率材料から構成することができる
[0025] すなわち、基板の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電材料からなる誘電体によつ て、少なくとも上記第 2導体を被覆した構成とすることにより、基板は汎用的な誘電率
材料力も構成することができる。これにより、本発明のアンテナを低コストで実現する ことができる。
[0026] また、このように高誘電率な誘電体層を被覆させることによって、汎用的な誘電率材 料カゝら基板を構成した場合であっても波長短縮効果を利用することができるので、本 発明のアンテナの小型化を実現することができる。なお、波長短縮効果とは、誘電体 中を伝わる電磁波の波長が誘電率の値に従って短くなる効果のことである。
[0027] また、本発明に係るアンテナでは、上記第 1導体は、第 1基板の表面に形成されて おり、上記第 2導体は、第 1基板の表面と互いに面一となるように構成された、当該第 1基板の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電材料からなる第 2基板の表面に形成 されていることが好ましい。
[0028] 上記の構成とすることにより、第 2導体が形成される部分の基板 (第 2基板)のみを 高 ヽ誘電率を有する誘電材料からなる誘電体によって構成し、その他の部分の基板 (第 1導体が形成される第 1基板)を汎用的な誘電率材料から構成することができる。
[0029] これにより、本発明のアンテナを低コストで実現することができる。
[0030] また、このように高誘電率な誘電材料を用いることによって、波長短縮効果を利用 することができるので、本発明のアンテナの小型化を実現することができる。
[0031] また、本発明に係るアンテナでは、上記第 1導体は、第 1基板の表面に形成されて おり、上記第 2導体は、第 1基板の表面と互いに面一となるように構成された、当該第
1基板の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電材料からなる第 2基板の表面に形成 されていることが好ましい。
[0032] これにより、上記の効果に加えて、第 1導体および第 1基板と、第 2導体および第 2 基板とを別体で製造することが可能となる。これにより、一方の構成 (例えば第 1導体 の形状)が変化した場合であっても、製造ラインを大きく変える必要がなぐ効率的に 対応することができる。
[0033] また、本発明に係るアンテナでは、上記第 1導体は、第 1基板の表面に形成されて おり、上記第 2導体は、上記第 1導体よりも面積が小さぐ当該第 1基板よりも面積が 小さい第 2基板の表面に形成されており、上記第 2基板は、上記第 1基板の表面にお ける上記第 1導体が形成されていない表面に積層された、当該第 1基板の誘電率よ
りも高 、誘電率を有する誘電材料力もなることが好ま 、。
[0034] これにより、上記の効果に加えて、第 1導体および第 1基板と、第 2導体および第 2 基板とを別体で製造することが可能となる。これにより、一方の構成 (例えば第 1導体 の形状)が変化した場合であっても、製造ラインを大きく変える必要がなぐ効率的に 対応することができる。
[0035] また、本発明に係るアンテナは、上記第 1導体が、隣接する 2辺のうちの一方の辺 が他方の辺よりも長い矩形形状を有しており、上記給電部は、当該第 1導体における 一方の長辺に設けられて 、ることが好ま U、。
[0036] また、本発明に係るアンテナは、上記第 2導体は、第 1導体よりも面積が小さぐ上 記給電部は、当該第 2導体が第 1導体の一方の長辺における何れか一方の端領域 に配設するように設けられて 、ることが好ま 、。
[0037] 上記の構成とすることにより、第 2導体を、第 1導体の長辺における何れか一方の端 領域に配設する、すなわち、第 2導体を第 1導体の長辺の中心に対して横方向にォ フセット配置することができる。これにより、第 1導体上に長辺方向の電流分布を生じ させ、第 2導体だけでなぐ第 1導体もアンテナとして動作させることができる。
[0038] 具体的には、従来技術における広帯域アンテナ装置の構成に対応させて本発明 のアンテナに 3次元方向を模式的に形成すると、 YZ面に垂直な偏波成分力 YZ面 内で無指向に放射できる。これは第 1導体上に長辺方向に生じる電流分布によって 放射されている偏波成分である。この偏波成分は、上述のモノポールアンテナや、広 帯域アンテナ装置では生じさせることのできない偏波成分である。
[0039] よって、このような構成とすることにより、アンテナ設置角度が変化した場合の極端 な通信品質の劣化を防ぐことが可能となり、結果としてアンテナ設置の自由度をさら に向上させることができる。
[0040] また、本発明に係るアンテナは、上記第 2導体が、円形形状を有していることが好ま しい。
[0041] 第 2導体を円形形状とすることによって、本発明のアンテナは、広帯域特性を得るこ とがでさる。
[0042] また、本発明に係るアンテナは、上記第 1導体および第 2導体の少なくとも一方に、
切り欠き部が設けられて 、ることが好ま 、。
[0043] 上記の構成によれば、本発明のアンテナは、上記の効果に加えて、第 1導体上の 高周波電流の流れを適切に制御して、当該アンテナの周波数特性を調整することが できる。これにより、不必要な周波数帯域力もの被干渉、目的外の周波数帯域への 与干渉が低減される。
[0044] すなわち、上記の構成によれば、不必要な周波数帯域や、目的外の周波数帯域を 遮断することができる。
[0045] 具体的には、上述したように、 UWBのような通信方式の場合、他の無線システムと の共存が必要であり、他の無線システム力 受ける被干渉や他の無線システムに与 える与干渉に対する考慮が必要である。
[0046] このような被干渉 ·与干渉を低減するために、一般的なアンテナには、アンテナ後 段にバンドエリミネーシヨンフィルタやバンドパスフィルタと 、つた、何らかのフィルタ手 段が必要とされていた。し力しながら、フィルタを付加することは、無線通信装置の小 型化、低価格ィ匕に対する要求に相反するものであった。また、挿入したフィルタ自体 の帯域内挿入損失により受信感度の低下など、特性の劣化も引き起こされていた。 そこで、本発明のアンテナによれば、上記第 1導体および第 2導体の少なくとも一方 に、切り欠き部が設けられていることから、目的とする周波数特性に合わせ込み、不 必要な周波数帯域からの被干渉、目的外の周波数帯域への与干渉を低減させるこ とがでさる。
[0047] また、周波数特性が目的とする特性に合わせ込むことができることにより、帯域制限 用フィルタの不必要化、あるいは、帯域制限用フィルタのへの要求仕様の緩和が実 現でき、本発明のアンテナを実装する無線通信装置等の小型化、低価格化、高性能 化を実現することができる。
[0048] また、本発明に係るアンテナは、上記切り欠き部が、円形形状を有していることが好 ましい。
[0049] 上記の構成とすることにより、周波数帯域の広い範囲を遮断することができる。
[0050] 具体的には、 UWBの規格では 3. lGHz〜10. 6GHzのすベての帯域(フルバン ド(Full Band) )を使って通信を行う方式の他に、 5GHz無線 LANで既に使用されて
いる帯域を避けて、 3. lGHz〜4. 9GHzの帯域(ローバンド(Low Band) )、 5. 8GH z〜10. 6GHz (ハイバンド (High Band) )に帯域を分割して通信を行うことも検討され ている。
[0051] ローバンドでの UWB通信を行う場合、アンテナは 3〜5GHzが通過域、それ以外 の帯域が遮断域となるような特性を持ち、通過域と遮断域の境である 3GHz及び 5G Hz付近では急峻な立ち上がり特性を持つことが望ましい。
[0052] ローバンドの通信では、 3. lGHz〜4. 9GHz帯以外の信号はノイズとなるため受 信回路へ入り込むのをフィルタリングして除去する必要がある。
[0053] フルバンド(3〜: LOGHz)用のアンテナを用いる場合、受信回路にフィルタを挿入 する必要が生じるが、上記のような特性をもつアンテナによれば、アンテナ自身がフィ ルタリグ機能を有するので、別途フィルタ部材を挿入する必要がなくなり、高周波モジ ユール構成の簡易ィ匕、低コスト化につながるメリットがある。
[0054] 従来技術の広帯域アンテナ装置では、例として広帯域特性をもつ円形の放射導体 に長方形の切り欠きを設けることにより、ある特定の周波数 (切り欠く長方形の長さに 依存)を遮断できることが示されている。しかしながら、この方法では遮断できる帯域 が狭 、ため、ローバンド用のアンテナとして必要となる広 、遮断域(5〜: LOGHz程度 )を形成するのは実現的に困難である。
[0055] これに対して、本願発明者らによって、切り欠き部を円形にすることよって遮断域を 広くすることができることがわ力つた。
[0056] また、本発明に係るアンテナは、互いに面積の異なる複数の上記切り欠き部が設け られていることが好ましい。
[0057] 上記の構成とすることにより、上記の効果に加えて、所望の広い遮断域をより正確 に形成することができる。
[0058] 具体的には、上記のようなローバンドでの UWB通信を行う場合、アンテナは 3. 1G Hz〜4. 9GHz以外の帯域の信号はノイズとなるため、これを正確に遮断域とする必 要が生じる。そこで、上記の構成によれば、本発明のアンテナは、面積の異なる複数 の上記切り欠き部が設けられて 、ることから、 3〜5GHz以外の帯域の信号を確実に 遮断することができる。よって、アンテナが実装される無線機器等に対して、 目的の周
波数帯域を正確に提供することができる。
[0059] 本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十 分判るであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になる であろう。
図面の簡単な説明
[0060] [図 1]本発明に係る実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である。
[図 2]図 1に示したアンテナの A—A'線矢視断面図である。
[図 3(a)]図 1に示したアンテナの指向性について解析した図であり、放射特性解析を 行うにあたりアンテナに設けた 3次元方向を模式的に示した斜視図である。
[図 3(b)]図 1に示したアンテナの指向性について解析した図であり、図 3 (a)において 示した 3次元方向に基づ ヽたアンテナの放射特性解析の解析結果を示した図である
[図 4]本発明に係る他の実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である。
[図 5(a)]図 4に示したアンテナの指向性について解析した図であり、放射特性解析を 行うにあたりアンテナに設けた 3次元方向を模式的に示した斜視図である。
[図 5(b)]図 4に示したアンテナの指向性について解析した図であり、図 5 (a)において 示した 3次元方向に基づ ヽたアンテナの放射特性解析の解析結果を示した図である
[図 6(a)]アンテナの変形例を示した図であり、放射特性解析を行うにあたり当該アン テナに設けた 3次元方向を模式的に示した斜視図である。
[図 6(b)]アンテナの変形例を示した図であり、図 6 (a)において示した 3次元方向に基 づいたアンテナの放射特性解析の解析結果を示した図である。
[図 7]図 4に示したアンテナのサイズの一例を示した斜視図である。
[図 8]図 4に示したアンテナに設けられる放射導体の変形例を示した斜視図である。
[図 9]図 4に示したアンテナに設けられる矩形導体の変形例を示した斜視図である。
[図 10]本発明に係る他の実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である
[図 11]図 10に示したアンテナの S 11特性にっ 、て測定した結果を示すグラフである
[図 12(a)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、切り欠き部 の配置を示した斜視図である。
[図 12(b)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、図 12 (a) にお 、て示したアンテナの S11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである。
[図 13(a)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、切り欠き部 の配置を示した斜視図である。
[図 13(b)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、図 13 (a) にお 、て示したアンテナの S11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである。
[図 14(a)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、切り欠き部 の配置を示した斜視図である。
[図 14(b)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の特性を解析した図であり、図 14 (a) にお 、て示したアンテナの S11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである。
[図 15(a)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の変形例を示した斜視図である。
[図 15(b)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の変形例を示した斜視図であり、図 15 (a)にお 、て示したアンテナの S 11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである
[図 16(a)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の変形例を示した斜視図であり、 (b)は (a)にお 、て示したアンテナの S 11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである
[図 16(b)]図 10に示したアンテナの切り欠き部の変形例を示した斜視図であり、図 16 (a)にお 、て示したアンテナの S 11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである
[図 17]図 10に示したアンテナの切り欠き部の変形例を示した斜視図である。
[図 18]図 10に示したアンテナにおいて誘電体基板に異なる誘電率を有する場合の それぞれの S 11特性を測定した結果を示すグラフである。
[図 19]図 10に示したアンテナにおいて誘電体基板に汎用的な材料を用いた場合の S 11特性にっ 、て測定した結果を示したグラフである。
[図 20]本発明に係る他の実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である
[図 21]図 20に示すアンテナの S11特性を測定した結果を示すグラフである。
[図 22]本発明に係る他の実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である
[図 23]図 22に示すアンテナの構成を分解した斜視図である。
[図 24]図 22に示すアンテナの S11特性を測定した結果を示すグラフである。
[図 25]本発明に係る他の実施の形態におけるアンテナの構成を示した斜視図である
[図 26]図 25に示すアンテナの構成を分解した斜視図である。
[図 27]図 25に示すアンテナの S 11特性を測定した結果を示すグラフである。
[図 28]従来の広帯域アンテナ装置の構成を示す斜視図である。
[図 29(a)]従来の広帯域アンテナ装置の指向性について解析した図であり、放射特性 解析を行うにあたり広帯域アンテナ装置に設けた 3次元方向を模式的に示した斜視 図である。
[図 29(b)]従来の広帯域アンテナ装置の指向性について解析した図であり、図 29 (a) にお 、て示した 3次元方向に基づ 、た広帯域アンテナ装置の放射特性解析の解析 結果を示した図である。
発明を実施するための最良の形態
[0061] 本発明の一実施形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこ れに限定されるものではな 、。
〔実施の形態 1〕
本発明に係る実施の形態について、図 1〜図 3に基づいて説明すれば以下のとお りである。
[0062] なお、以下では、説明の便宜上、アンテナ laを用いて電磁波を送信する場合を想 定してアンテナの特性等について説明する力 この特性等は、アンテナ laを用いて 電磁波を受信する場合についてもほぼ同様に成り立つ。すなわち、アンテナ laは、 電磁波の送信用にも受信用にも使用することができる。
[0063] 図 1は、本実施の形態におけるアンテナ laの構成を示した斜視図である。図 1に示 すように、アンテナ laは平板形状を有している。
[0064] なお、本明細書においては、アンテナ laから電磁波が放射される空間(外部空間、 通常は空気層)の誘電率 ε 0に対する、誘電体基板 (基板) 2の誘電率 ε 1の比、す なわち ε 1/ ε 0を、誘電体基板 2の比誘電率と定義する。
[0065] アンテナ laの構成について、図 1に基づいて具体的に説明する。
[0066] 図 1に示すように、本実施の形態におけるアンテナ laは、誘電体基板 2と、第 2導体 3と、第 1導体 4と、給電端子領域 (給電部) 5とを備えている。
[0067] 第 2導体 3と第 1導体 4とは、誘電体基板 2の一方の表面上に、互いに同一平面上 に構成されるように形成されて 、る。
[0068] 上記の誘電体基板 2は、誘電体力 なり、この外形力 アンテナ laの大きさを規定 している。図 1に示すように、本実施の形態の誘電体基板 2 (アンテナ la)は、矩形の 平板形状を有している。
[0069] また、誘電体基板 2に用いられる材料としては、例えば、比誘電率 ε r= 15のような 高誘電率のものがある。誘電体基板 2として高誘電率の材料を用いることによって、 波長短縮効果が得られる。この波長短縮効果とは、誘電体中を伝わる電磁波の波長 が誘電率の値に従って短くなる効果である。この効果を使えば、同一周波数で動作 するアンテナを考えた場合、基板誘電率の高いアンテナの方力 誘電率の低いアン テナよりもサイズを小さくすることができる。したがって、高誘電率の材料を用いるアン テナ laは小型化が可能になる。
[0070] また、誘電体基板 2は、例えば榭脂から形成することができる。榭脂としては、ポリエ 一テルサルフォン(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、シンジオタクチックポリスチレン(SP S)、ポリカーボネート (PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ榭脂 (EP) 、ポリイミド榭脂(PI)、ポリエーテルイミド榭脂(PEI)、フエノール榭脂(PF)などを用 いることができる。誘電体基板 2を比誘電率 ε r= 15のような高誘電率材料力も構成 する場合は、 PPSまたは LCPと 、つた高誘電率を有することができる材料を用いるこ とが好ましい。
[0071] 上記の第 1導体 4は、導体カゝらなる電極である。第 1導体 4は、 2対の対向辺のうち、
一方が他方よりも長い構成となった、いわゆる長方形形状を有している。この第 1導 体 4の長いほうの辺(以下、長辺とする)のうちの一方の中心部分には、上記給電端 子領域 5と連結する領域 4Vが設けられている。第 1導体 4は、例えば金属材料を用 いて構成することができる。
[0072] 上記の第 2導体 3は、導体からなる電極であり、円形形状を有している。第 2導体 3 は、領域 3Vにおいて、第 1導体 4の長辺のうちの一方の辺の中心部分に設けられた 給電端子領域 5と連結している。第 2導体 3が円形形状であることによって、アンテナ laは広帯域特性を有することができる。なお、第 2導体 3としては、例えば金属材料を 用!/、ることができる。
[0073] 第 2導体 3および第 1導体 4では、それぞれの形状、寸法に応じた電流分布が各導 体上に生じ、その電流分布によって決まるパターンの電波が照射される。
[0074] 図 2は、図 1における線分 A—A'でアンテナ laを切断し、矢印の方向からみた状態 を示した矢視断面図である。図 2に示すように、上記第 2導体 3の領域 3Vと、上記第 1導体 4の領域 4Vとの間に上記の給電端子領域 5が設けられている。この給電端子 領域5には、図示しな!ヽ給電端子および給電線に接続されて!ヽる。
[0075] 以上のように、アンテナ laは、図 1および図 2に示されるように、誘電体基板 2上に 第 2導体 3および第 1導体 4が、同一面上に形成されている。これにより、従来技術の 広帯域アンテナやモノポールアンテナとは異なり、平面(平板)構造であることから、 薄型化を実現することができる。
[0076] また、薄型化を実現できることによって、モパイル機器等の薄型の機器に搭載させ ることや、その他の機器等の狭い隙間にでも設置することが可能となる。さらに、他の 回路との基板一体化も可能となる。
[0077] 次に、本実施の形態におけるアンテナ laの指向性について、図 3 (a) · (b)に基づ いて説明する。
[0078] 図 3 (a) · (b)は、上記の構成を備えたアンテナ laの指向性を調べるために行った 放射特性解析の解析結果を示した図である。
[0079] 図 3 (a)は、放射特性解析を行うにあたりアンテナ laに設けた 3次元方向を模式的 に示した斜視図である。図 3 (a)に示すように、給電端子領域 5を始点として第 2導体
3の直径方向に Y軸を形成し、給電端子領域 5を始点として第 1導体 4の長辺方向に X軸を形成し、上記 Υ軸と X軸カゝら構成される ΧΥ面カゝら垂直方向に Ζ軸を形成して ヽ る。
[0080] また、図 3 (b)は、図 3 (a)において示した 3次元方向に基づいたアンテナ laの放射 特性解析の解析結果を示した図である。なお、この放射特性解析では、図 3 (a)にお V、て示した Y軸および Z軸力も構成される YZ面と、 X軸および Z軸力も構成される XZ 面と、 X軸および Y軸力も構成される XY面とのそれぞれの場合について行っており、 この YZ面と XZ面と XY面とに関して、以下の(1)〜(3)のような偏波を放射電波とし て用いた。すなわち、(1)YZ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および 水平な偏波(Η偏波)、(2) ΧΖ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および 水平な偏波(Η偏波)、(3) ΧΥ面については、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および 水平な偏波 (Η偏波)、を放射電波として用いた。さらに、各面につき、 3GHz, 4GHz 、 6GHzの 3種類の周波数の放射電波を用いて行った。また、図 3 (b)の解析結果に おいて、細線で示したものが H偏波の解析結果であり、太線で示したものが V偏波の 解析結果である。
[0081] 図 3 (b)の解析結果から、図 29 (b)に示した従来の広帯域アンテナ装置にお!、て 問題となっていた電波放射の抑制は発生していないことがわかる。すなわち、上述し たように、上記の従来技術の場合、図 29 (b)に示した解析結果のうち、(1)YZ面、お よび(2) ΧΥ面における 6GHzの周波数の放射電波を用いた場合、導体地板 12 (図 28)があるために、導体地板 12の背面への放射が抑制されている(図 29 (b)中の破 線内)。よって、上記のような構成の広帯域アンテナ装置 100では、特に高周波帯域 において導体地板 12背面への放射レベルが抑制されてしまい、その方向への通信 領域が確保できていない。そこで、本実施の形態のアンテナ laを用いて従来技術と 同じ放射特性解析を行ったところ、図 3 (b)に示すように、(1)YZ面、および(3)ΧΥ 面における 6GHzの高周波帯域にぉ 、ても、従来の広帯域アンテナ装置にお!、て 放射が抑制されて ヽた方向にも電波が放射される。
[0082] これにより、本発明のアンテナは、従来において放射が抑制されていた方向への通 信領域を確保することができる。すなわち、本発明のアンテナは、従来技術に比べ、
指向性が良い (無指向に近づく)と言える。
[0083] また、従来では、図 29 (b)に示されるように、上記の(1)YZ面では、放射電波は水 平偏波に限定されていることがわかる。同じぐ上記の(3) ΧΥ面についても、放射電 波は水平偏波に限定されている。これにより、広帯域アンテナ装置 100 (図 28)は、 アンテナの設置角度の変化により通信品質が変動し易いといえる。すなわち、広帯 域アンテナ装置 100は、設置の自由度に制限がある。これに対して、本実施形態の アンテナ 1は、例えば(3)ΧΥ面において見られるように、放射電波は、従来のものと は異なり、垂直偏波も放射されている。
[0084] 以上のことから、本実施の形態におけるアンテナ laは、従来の広帯域アンテナ装 置 100 (図 28)と比較して、設置の自由度を向上させることができるとともに、設置角 度が変動した場合であっても、通信品質も良好に維持することができる。
[0085] このようなアンテナ laを製造するためには、誘電体基板 2を所定の形状に成形する 工程と、メツキする工程と、マスクカ卩ェする工程、電解メツキする工程、マスク除去する 工程、エッチングする工程による従来の製造技術を用いることができる。
[0086] したがって、従来技術における広帯域アンテナ装置 100 (図 28)では、上述したよう な導体地板 12上に放射導体 11を起立させる際の手動による半田付け工程といった 煩雑な工程が必要であった力 これに対し、本発明のアンテナは、平面構造であるこ とから、上述のような煩雑な工程を用いることなぐ容易に製造することができる。その ため、量産性を向上させることができ、これに伴い製造コストの低減を実現することが できる。
[0087] なお、上述したアンテナ laは、説明の便宜上、誘電体基板 2上に第 2導体 3と第 1 導体 4と給電端子領域 5のみが設けられた構成となっているが、本発明はこれに限定 されるものではなぐ例えば、第 2導体 3と第 1導体 4と給電端子領域 5とを保護するよ うな保護層が設けられて 、てもよ!、。
[0088] 〔実施の形態 2〕
本発明にかかるアンテナの他の実施形態について、図 4から図 9に基づいて説明 すれば、以下の通りである。
[0089] なお、本実施の形態では、上記実施の形態 1との相違点について説明するため、
説明の便宜上、実施の形態 1で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一 の番号を付し、その説明を省略する。
[0090] 図 4は、本実施の形態におけるアンテナ lbの構成を示した斜視図である。上記実 施の形態 1では、第 1導体 4の長辺の中心に給電端子領域 5が設けられている。すな わち、第 2導体 3は、第 1導体 4の長辺の中心に配設されている。これに対し、図 4に 示す本実施の形態のアンテナ lbでは、給電端子領域 5が、第 1導体 4の長辺の中心 から何れか一方の端領域に設けられており、その給電端子領域 5に、第 2導体 3が連 結されている。すなわち、本実施の形態におけるアンテナ lbでは、第 2導体 3を、第 1 導体 4の長辺の中心カゝら何れか一方の端領域にずらして備えた構成となっている。
[0091] 第 2導体 3を、第 1導体 4の長辺の中心から何れか一方の端領域にずらして備えた 構成とすることによって、第 1導体 4上に長辺方向の電流分布を生じさせることができ 、この電流に起因した放射電波を生じさせることができる。すなわち、第 2導体 3だけ でなぐ第 1導体 4もアンテナとして動作させることができる。
[0092] 次に、本実施の形態のアンテナ lbの指向性について、図 5 (a) · (b)に基づいて説 明する。
[0093] 図 5 (a) · (b)は、上記の構成を備えたアンテナ lbの指向性を調べるために行った 放射特性解析の結果を示した図である。
[0094] 図 5 (a)は、放射特性解析を行うにあたりアンテナ lbに設けた 3次元方向を模式的 に示した斜視図である。上記実施の形態 1と同様に、第 1導体 4の長辺の中心を始点 として第 2導体 3の直径方向に Y軸を形成し、第 1導体 4の長辺の中心を始点として 第 1導体 4の長辺方向に X軸を形成し、上記 Y軸と X軸カゝら構成される XY面カゝら垂直 方向に Z軸を形成している。
[0095] また、図 5 (b)は、図 5 (a)において示した 3次元方向に基づいたアンテナ lbの放射 特性解析の解析結果を示した図である。
[0096] この放射特性解析では、図 5 (a)にお 、て示した Y軸および Z軸力も構成される YZ 面と、 X軸および Z軸カゝら構成される XZ面と、 X軸および Y軸から構成される XY面と のそれぞれの場合について行っており、この YZ面と XZ面と XY面とに関して、以下 の(1)〜(3)のような偏波を放射電波として用いた。すなわち、(1)YZ面については
、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏波(H偏波)、(2) XZ面については 、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏波(H偏波)、(3) XY面については 、この面に垂直な偏波 (V偏波)、および水平な偏波 (H偏波)、を放射電波として用 いた。さらに、各面につき、 3GHz, 4GHz、 6GHzの 3種類の周波数の放射電波を 用いて行った。また、図 5 (b)の解析結果において、細線で示したものが H偏波の解 析結果であり、太線で示したものが V偏波の解析結果である。
[0097] 図 5 (b)の解析結果から、上記実施の形態 1の図 3 (b)に示した解析結果と比較して 、(1)YZ面における垂直な偏波成分力 ΥΖ面内で無指向に放射できていることがわ かる。この放射は第 1導体 4上に長辺方向に生じる電流分布によって放射されて ヽる 偏波成分である。この偏波成分は、従来における上述したモノポールアンテナや、広 帯域アンテナ装置では生じさせることのできない偏波成分である。
[0098] ここで、アンテナ lbとの比較として、図 6 (a) · (b)に示すアンテナについて説明する 。上記実施の形態 1 (図 1)および本実施の形態(図 4)の給電端子領域 5および第 2 導体 3は、第 1導体 4の長辺側に設けられていたのに対し、図 6 (a)に示すアンテナの 斜視図では、給電端子領域 50および第 2導体 30を、第 1導体 40の短い辺(以下、短 辺とする)に備えている。図 6 (b)は、図 5 (b)と同様に、図 6 (a)に示すアンテナの指 向性を調べるために行った放射特性解析の結果を示した図である。解析結果から、 図 6 (b)の(1) YZ面の垂直偏波の成分が、図 5 (b)のそれに比べ小さくなつて 、るこ と力ゝら、図 6 (a)に示すように、第 1導体 4の短辺に第 2導体 3を構成した場合では、図 6 (a)に示した X軸方向に十分な電流分布が生じず、この電流に起因する偏波成分も 図 5 (b)の(1)YZ面の垂直偏波の成分と比較して小さくなつていることがわかる。
[0099] すなわち、 X軸方向に十分な電流分布が生じさせて、この電流に起因する、上述し たモノポールアンテナや広帯域アンテナ装置では生じさせることのできない偏波成分 を生じさせるためには、図 4のように、第 2導体 3を、第 1導体 4の長辺の中心力 何れ か一方の端領域にずらして備えた構成とすればょ 、。
[0100] このように構成することにより、上記の偏波成分を生じさせることができるとともに、こ の偏波成分があることによって、アンテナ設置角度が変化した場合の極端な通信品 質の劣化を防ぐことが可能となる。したがって、結果として、アンテナ設置の自由度を
さらに向上させることができる。
[0101] 本実施の形態におけるアンテナ lbの大きさは、実装する機器との関係力 適宜設 定することができるが、一例を図 7に示す。図 7に示すように、アンテナ lb (誘電体基 板 2)の外形を 20mm X 30mmとすることができ、誘電体基板 2の厚みを lmmとする ことができる。この場合、第 2導体 3の直径を 10mmとし、第 2導体 3の中心力 アンテ ナ lbの 20mmの辺力 約 5mmのところに配置されるように構成することが好ましい。
[0102] また、第 2導体 3を円形とすることにより、上記実施の形態 1と同じぐアンテナ lbの 広帯域ィ匕を実現することができる。し力しながら、本実施の形態は、第 2導体 3の形状 を円形としている力 本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図 8に (a)〜 (o)として例示したような形状を有するものであってもよい。なお、図 8に示す形状の 放射導体は、上記実施の形態 1における放射導体にも適用することが可能である。な お、図 8には、説明の便宜上、給電端子部は設けていない。また、第 2導体 3のみの 部材番号を付している。
[0103] なおまた、第 1導体 4についても、本実施の形態では長方形を有しているが、上述し たように、第 1導体 4上に長辺方向の電流分布を生じさせて、この電流に起因した放 射電波を生じさせることができるならば、その形状に制限はない。したがって、例えば 、図 9の(a)〜(i)に示した形状を有する第 1導体 4であってもよい。なお、図 9には、 説明の便宜上、第 1導体 4のみの部材番号を付している。
[0104] 〔実施の形態 3〕
本発明に力かるアンテナの他の実施形態について、図 10および図 17に基づいて 説明すれば、以下の通りである。
[0105] なお、本実施の形態では、上記実施の形態 1との相違点について説明するため、 説明の便宜上、実施の形態 1で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一 の番号を付し、その説明を省略する。
[0106] 図 10は、本実施の形態におけるアンテナ lcの形状を示した斜視図である。上記実 施の形態 1および実施の形態 2では、第 2導体 3が、円形形状を有した平板である。こ れに対し、図 10に示す本実施の形態のアンテナ lcは、給電端子領域 5が、第 1導体 4の長辺の中心からオフセットしており、さらに、この第 2導体 3"に切り欠き部 6a〜6c
が設けられている。
[0107] 上記切り欠き部 6a〜6cは、円形形状を有している。また、切り欠き部 6aと、切り欠き 部 6bと、切り欠き部 6cとは、それぞれ異なる径を有している。
[0108] 次に、本実施の形態におけるアンテナ lcの S11特性について、図 11に基づいて 説明する。図 11は、本実施の形態におけるアンテナ lcの S11特性を測定した結果 を示すグラフである。
[0109] S11とは、アンテナの入力反射係数であり、 S 11が小さい(一∞)ほどアンテナ入力 端からの反射が小さぐ電力がロス無くアンテナに伝達されることを意味し、逆に S11 が OdBである場合には、アンテナ入力端で完全に反射され、アンテナには伝達され ないことを意味する。 S11が— 10dBよりも小さければ、アンテナとして大きな支障なく 機能するといえる。
[0110] 図 11の結果から、本実施の形態のアンテナ lcでは、周波数 3. OGHz付近〜 5. 0 付近の帯域において S 11が— 10dB以下となっている。すなわち、本実施の形態の アンテナ lcは、この帯域においてアンテナとして大きな支障なく機能することができる といえる。言い換えると、本実施の形態のアンテナ lcでは、周波数 3. OGHz付近〜 5 . 0付近以外の帯域では、アンテナ入力端において反射が生じている。すなわち、本 実施の形態のアンテナ lcは、この周波数 3. OGHz付近〜 5. 0付近以外の帯域を遮 断しているということになる。
[0111] 第 2導体 3"には、上記の実施の形態 1と同様に、例えば、比誘電率 ε r= 15のよう な高誘電率の材料を用いることできる。
[0112] それぞれの切り欠き部 6a〜6cについて、以下に、図 12 (a) · (b)〜図 14 (a) · (b)を 用いて具体的に説明する。
[0113] 図 12 (a)は、第 2導体 3"が、第 1導体 4の長辺の中心力 オフセットしており、かつ、 切り欠き部 6aのみが設けられた構成を示した斜視図である。図 12 (b)は、図 12 (a) のアンテナ lcの S 11特性について測定した結果を示した図である。また、図 13 (a) は、第 2導体 3"が、第 1導体 4の長辺の中心力 オフセットしており、かつ、切り欠き部 6bのみが設けられた構成を示した斜視図である。図 13 (b)は、図 13 (a)のアンテナ 1 cの S 11特性について測定した結果を示した図である。図 12 (b)から、切り欠き部 6a
のみが設けられた第 2導体 3"を備えたアンテナ lcでは、周波数 5. OGHz付近〜 7. 0付近の帯域において S11が— 10dB以上となっている。すなわち、本実施の形態の アンテナ lcは、この帯域において、アンテナ入力端において反射が生じているという ことであり、この帯域を遮断しているといえる。また、図 13 (b)から、切り欠き部 6bのみ が設けられた第 2導体 3"を備えたアンテナ lcでは、周波数 8. OGHz付近〜 10. OG Hz付近の帯域において S11が— 10dB以上となっている。すなわち、本実施の形態 のアンテナ lcは、この帯域において、アンテナ入力端において反射が生じていると いうことであり、この帯域を遮断しているといえる。図 14 (a)には、第 2導体 3"が、第 1 導体 4の長辺の中心からオフセットしており、かつ、切り欠き部 6aおよび切り欠き部 6b を備えた構成とした場合について、そのアンテナ lcの S 11特性を測定する。図 14 (b )は、切り欠き部 6aおよび切り欠き部 6bが設けられた第 2導体 3"を備えたアンテナ lc の SI 1特性測定結果を示した図である。図 14 (b)から、図 14 (a)に示したアンテナ 1 cでは、周波数 5. OGHz以上の帯域において S11が— 10dB以上となっている。す なわち、本実施の形態のアンテナ lcは、この帯域において、アンテナ入力端におい て反射が生じて 、ると 、うことであり、この帯域を遮断して 、ると 、える。
[0114] ここで、図 14 (b)の 5. 5GHz付近において S 11特性が低下している帯域 Pがある( 図中、破線で示した箇所)。図 11に示したように、切り欠き部 6cも備えた本実施の形 態のアンテナ lcであれば、この帯域 Pにおける低下も存在しない。
[0115] 以上のように、本実施の形態のアンテナ lcは、周波数 3. OGHz付近〜 5. 0付近の 帯域以外を遮断することができる。
[0116] UWBのような通信方式の場合、他の無線システムとの共存が必要であり、他の無 線システム力 受ける被干渉や他の無線システムに与える与干渉に対する考慮が必 要である。
[0117] このような被干渉 ·与干渉を低減するために、一般的なアンテナには、アンテナ後 段にバンドエリミネーシヨンフィルタやバンドパスフィルタと 、つた、何らかのフィルタ手 段が必要とされていた。し力しながら、フィルタを付加することは、無線通信装置の小 型化、低価格ィ匕に対する要求に相反するものであった。また、挿入したフィルタ自体 の帯域内挿入損失により受信感度の低下など、特性の劣化も引き起こされていた。
そこで、本実施の形態のアンテナによれば、特定の帯域を遮断することができるため 、アンテナ lcを UWBのような通信方式に用いた際に、他の無線システムとの共存が 必要となった場合であっても、他の無線システム力 受ける被干渉や他の無線システ ムに与える与干渉を抑制することができる。
[0118] ところで近年では、上述したように、 3. lGHz〜10. 6GHzのすベての帯域(フル バンド(Full Band) )を使って通信を行う方式の他に、 5. OGHz無線 LANで既に使用 されている帯域を避けて、 3. lGHz〜4. 9GHzの帯域(ローバンド(Low Band) )、 5 . 8GHz〜10. 6GHz (ハイバンド(High Band) )に帯域を分割して通信を行うことも検 討されている。
[0119] そこで、本実施の形態のアンテナ lcを用いれば、ローバンドでの UWB通信を行う 場合、アンテナは 3. lGHz〜4. 9GHzを通過域することができ、それ以外の帯域を 遮断域とすることができる。
[0120] さらに、本実施の形態のアンテナ lcでは、図 11に示すように、通過域と遮断域の境 界である 3. OGHzおよび 5. OGHz付近において、 S11が急峻に立ち上がつている。 上述のように、ローバンドでの UWB通信を行う場合、 3. 1GHzおよび 4. 9GHz付近 で急峻な立ち上がり特性を持つことにより、受信回路へのノイズ(3. lGHz〜4. 9G Hz以外の帯域の信号)の混入を正確に遮断することができるため、通信品質を良好 にすることができる。
[0121] このように、アンテナ lcによれば、第 2導体 3"に切り欠き部が設けられていることか ら、目的とする周波数特性に合わせ込み、不必要な周波数帯域力 の被干渉、目的 外の周波数帯域への与干渉を低減させることができる。
[0122] また、周波数特性を目的とする特性に合わせ込むことができることにより、帯域制限 用フィルタの不必要化、あるいは、帯域制限用フィルタのへの要求仕様の緩和が実 現でき、アンテナを実装する無線通信装置等の小型化、低価格化、高性能化を実現 することができる。
[0123] また、図 10に示したように、本実施の形態におけるアンテナ lcは、切り欠き部 6a〜 6cが設けられた第 2導体 3"力 第 1導体 4の長辺の中心力もオフセットしている。これ により、第 1導体 4上に長辺方向の電流分布を生じさせ、この電流に起因した放射電
波ち生じさせることがでさる。
[0124] 図 10に示したように、本実施の形態におけるアンテナ lcは、切り欠き部 6a〜6cが 円形形状を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図 15 ( a)および図 16 (a)に示すような形状の切り欠き部であってもよい。図 15 (a)は、六角 形の切り欠き部 6a'〜6c 'を有しており、図 16 (a)は、楕円形の切り欠き部 6a"〜6c" を有している。図 15 (a)および図 16 (a)に示すような形状の切り欠き部を備えた場合 のアンテナ lcの S 11特性を測定すると、図 15 (b)および図 16 (b)のようになる。
[0125] 図 15 (b)および図 16 (b)から、円形形状を有した切り欠き部 6a〜6cを備えた本実 施の形態におけるアンテナ lcと同様の S 11特性を示すことがわかる。
[0126] したがって、アンテナ lcの切り欠き部 6cは、上記と同様の S 11特性を示すことがで きれば、その形状に制限はない。また、上記の他にも、図 17 (a)に示すような形状の 切り欠き部を有していてもよい。なお、図 17 (a)は、切り欠き部の形状について示した ものであり、切り欠き部の数については、 1対(2個)に限定されるものではない。
[0127] また、第 2導体 3を、第 1導体 4の長辺の中心から、何れか一方の端領域にずらして 備えた構成にして、第 1導体 4上に長辺方向の電流分布を生じさせて、この電流に起 因した放射電波も生じさせることができるため、上記切り欠き部 6a〜6cは、図 17 (b) に示すように、第 1導体 4に設けてもよい。
[0128] また、第 2導体 3"を円形とすることにより、上記実施の形態 1と同じぐアンテナ lcの 広帯域ィ匕を実現することができる。し力しながら、上記実施の形態 2において説明し たとおり、本実施の形態の第 2導体 3"の形状も、図 8に示す (a)〜(o)の形状とするこ とも可能である。
[0129] なおまた、本実施の形態の第 1導体 4も、上記実施の形態 2と同様、その形状に制 限はなぐ例えば、図 9に示す (a)〜(i)の形状を有する導体であってもよい。
[0130] 〔実施の形態 4〕
本発明に力かるアンテナの他の実施形態にっ 、て、図 18から図 21に基づ 、て説 明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態 3との相違 点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態 3で説明した部材と同様の機 能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
[0131] 上記実施の形態 3では、比誘電率 ε r= 15のような高誘電率の材料を誘電体基板 2として用いている。ところが、このような高誘電率の材料は汎用的なものではない。 そのため、比誘電率がこれほど高くない汎用的な材料を用いれば、コストの更なる低 減を実現することができる。
[0132] そこで、本願発明者らは、上記実施の形態 3における構成のアンテナ lcについて、 誘電体基板 2の比誘電率の違いによるそれぞれの遮断域を、 S 11特性として測定し た。
[0133] 図 18は、上記実施の形態 3における構成のアンテナ lcについて、誘電体基板 2の 誘電率の違 、による遮断域を S 11特性として測定した結果を示すグラフである。図 1 8において、比誘電率 ε r= 15の誘電体基板で構成されたアンテナ lcを実線で示し 、比誘電率 ε r= 12の誘電体基板で構成されたアンテナ lcを破線で示し、比誘電率 ε r= 8の誘電体基板で構成されたアンテナ lcを 1点鎖線で示している。図 18から、 誘電体基板の比誘電率を下げる(比誘電率 ε r= 8の場合)と、ローバンド(3. 1GHz 〜4. 9GHz)での UWB通信を行う場合に、 5. OGHz以上の帯域を正確に遮断する ことができな 、ことがわかる。
[0134] そこで、本願発明者らは、汎用的な材料( ε r=4程度)からなる誘電体基板 2を用 いた場合であっても、ローバンド(3. lGHz〜4. 9GHz)での UWB通信を行う際に 良好な通信ができるアンテナ Idについて検討した。上記実施の形態 3の構成のアン テナであって、誘電体基板 2に汎用的な材料( ε r=4程度)を用いた場合における 遮断域を S 11特性として測定し、その測定結果を図 19に示す。図 19に示すように、 上記実施の形態 3の構成において、汎用的な材料( ε r =4程度)からなる誘電体基 板 2を設けたアンテナでは、 5〜7GHzの帯域において S 11特性が— 10dB以上にな つているものの、アンテナ入力端において反射が完全に行われてはおらず、すなわ ち、この帯域を完全に遮断しているとはいえない。また、 7〜7. 5GHzの帯域におい ては、 S 11特性が一 10dB以下となっており、すなわち、通過域となっていることがわ かる。このような S 11特性をもつアンテナでは、ローバンド通信に必要な S 11特性(3 . lGHz〜4. 9GHzが通過域、それ以外では遮断域)を得ることができなくなる。
[0135] そこで、図 20に、本実施の形態におけるアンテナ Idの構成を示す。図 20は、本実
施の形態におけるアンテナ Idの構成を示した斜視図であり、その一部は透視図とな つている。
[0136] 図 20に示すように、アンテナ Idは、上記実施の形態 3の構成に加えて、榭脂層(誘 電体層) 7を備えている。アンテナ Idは、上記実施の形態 3と同様に、第 2導体 3と第 1導体 4とが、誘電体基板 2上に同一平面になるように構成されており、さらに、この第 2導体 3を被覆するように、榭脂層 7が配設されて 、る。
[0137] 誘電体基板 2は、汎用的な材料である FR4 (比誘電率 ε r=4. 7)によって構成さ れている。このように、上記実施の形態 3とは異なり、このような汎用的な材料を用い ることによって、上記実施の形態 3と比較して、アンテナのコスト低減を実現することが できる。
[0138] 上記榭脂層 7は、比誘電率 ε r= 15程度の高誘電率の材料によって構成される。
[0139] 以上のような構成を備えた本実施の形態のアンテナ Idにおける S 11特性を測定す る。この測定結果を図 21のグラフに示す。
[0140] 図 21から、本実施の形態のアンテナ Idが、上記実施の形態 3における図 11に示し た S 11特性と同等の特性を有して!/ヽることがゎカゝる。
[0141] これにより、上記のような汎用的な材料を誘電体基板 2として用いた場合であっても
、ローバンド(3. lGHz〜4. 9GHz)での UWB通信を行う際に良好な通信ができる アンテナ Idを提供することができる。
[0142] また、この構成にすることによって、上記実施の形態 1〜3における比誘電率の高い 材料から構成された誘電体基板において得られていたのと同様の波長短縮効果が 得られる。したがって、図 7に示したような比較的小さなサイズのアンテナを提供する ことができる。
[0143] さらに、通常では他の回路も汎用的な材料 (例えば、 FR4)であるため、それらと本 実施の形態におけるアンテナを同一基板上に構成することができる。
[0144] 上記榭脂層 7は、少なくとも第 2導体 3を被覆するように配設されていればよい。第 2 導体 3部分だけに榭脂層 7を配設すれば、榭脂層 7の使用量を抑えることができ、コ ストの低減を実現することができる。
[0145] 上記榭脂層 7としては、例えば、ポリエーテルサルフォン (PPS)、液晶ポリマー (LC
P)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレ フタレート(PET)、エポキシ榭脂 (EP)、ポリイミド榭脂(PI)、ポリエーテルイミド榭脂( PEI)、フエノール榭脂(PF)などを用いることができる力 PPSまたは LCPは、榭脂の 中でも高 ヽ誘電率を有することができるため、特に好ま 、。
[0146] なお、本実施の形態においても、上記実施の形態 3と同様に、切り欠き部 6a〜6c の形状は円形に限定されるものではなぐ図 15 (a)や図 16 (a)や図 17に示すような 形状であってもよい。
[0147] また、第 2導体 3"を円形とすることにより、上記実施の形態 1〜3と同じぐアンテナ 1 cの広帯域ィ匕を実現することができる。なお、上記実施の形態 2において説明したと おり、本実施の形態の第 2導体 3"の形状も、図 8に示す (a)〜(o)の形状とすることも 可能である。
[0148] また、本実施の形態の第 1導体 4も、上記実施の形態 2と同様、その形状に制限は なぐ例えば、図 9に示す (a)〜(i)の形状を有する第 1導体 4であってもよい。
[0149] なお、本実施の形態および上記実施の形態 1〜3は、上記実施の形態 1にお!/、て 説明したエッチング工程等を含む製造工程によって製造することができるほか、予め 、第 1導体と第 2導体とを形成しておき、誘電体基板となる榭脂とともに一体成形する ことによって製造することも可會である。
[0150] また、本実施の形態および上記実施の形態 1〜3にお ヽて、誘電体基板 2を構成す る榭脂は一種類に限定されるものではなぐ複数の種類の榭脂から構成されるもので あってもよぐこれらの榭脂の比誘電率は同一であっても異なるものであってもよい。
[0151] 〔実施の形態 5〕
本発明に力かるアンテナの他の実施形態について、図 22および図 24に基づいて 説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態 3および 4との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態 3で説明した部材と 同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
[0152] 上記実施の形態 3では、比誘電率 ε r= 15のような高誘電率の材料を誘電体基板 2として用いている。ところが、このような高誘電率の材料は汎用的なものではない。 そのため、比誘電率がこれほど高くない汎用的な材料を用いれば、コストの更なる低
減を実現することができる。
[0153] ここで、上記実施の形態 4では、図 20に示したように、第 2導体 3"と第 1導体 4とが、 誘電体基板 2上に同一平面になるように構成されており、この第 2導体 3"を被覆する ように、榭脂層 7が配設されている。この構成とすれば、汎用的ではない高誘電率の 材料は、第 2導体 3"を被覆する榭脂層 7にのみ使用するため、使用量を抑えて、コス トの低減を実現することができる。
[0154] そこで、本実施形態におけるアンテナ leは、汎用的ではない高誘電率の材料の使 用量を抑えた、他の形態について説明する。
[0155] 図 22は、本実施形態におけるアンテナ leの構成を示した斜視図であり、その一部 は透視図となっている。
[0156] アンテナ leは、図 22に示すように、 L字型の誘電体基板 2'を備えており、当該誘 電体基板 2'と同じ層に、榭脂基板 9を備えている。すなわち、誘電体基板 2'と榭脂 基板 9とは、それぞれの表面が互いに面一となつている。なお、ここで「表面が互いに 面一」とは、完全に面一である場合の他に、実質的に面一である場合も含まれる。そ して、アンテナ leは、榭脂基板 9の表面に、第 2導体 3"が設けられており、第 2導体 3 と、誘電体基板 2'に設けられている第 1導体 4とが、同一平面になるように構成されて いる。
[0157] 上記誘電体基板 2'は、汎用的な材料である FR4 (比誘電率 ε r=4. 7)によって構 成されている。このように、上記実施の形態 3とは異なり、このような汎用的な材料を 用いることによって、上記実施の形態 3と比較して、アンテナのコスト低減を実現する ことができる。
[0158] 上記榭脂基板 9は、比誘電率 ε r= 15程度の高誘電率の材料によって構成される
[0159] 以上のような構成を備えた本実施の形態のアンテナ leは、誘電体基板 2'と榭脂基 板 9とを別体として製造することができる。具体的には、図 23に示すように、アンテナ leは、第 1導体 4を形成した誘電体基板 2'と、第 2導体 3"を形成した榭脂基板 9とは 、それぞれ独立した構造体から構成することができる。図 23に示すように第 2導体 3" の給電端子 3"aが、榭脂基板 9の外部に配設されている。よって、第 1導体 4を形成し
た誘電体基板 2'と、第 2導体 3"を形成した榭脂基板 9とをそれぞれ製造して、給電 端子 3"aを、誘電体基板 2'に設けられた給電端子領域 5に接続することによって図 2 2に示した本実施形態のアンテナ leを製造することができる。これにより、例えば、図 15 (a)や図 16 (a)に示した切り欠き部 6a'〜6c' ' 6a"〜6c"を設ける場合であっても 、製造ラインのうち、第 2導体 3"および榭脂基板 9を製造するラインを変更するのみで 対応することができるため、多様な形状を有するアンテナを効率よく製造することが可 能である。
[0160] 以上のような構成を備えた本実施の形態のアンテナ leにおける S11特性を測定す る。この測定結果を図 24のグラフに示す。
[0161] 図 24から、本実施の形態のアンテナ leが、上記実施の形態 3における図 11に示し た S 11特性と同等の特性を有して!/ヽることがゎカゝる。
[0162] これにより、本実施形態の構成であっても、ローバンド(3. lGHz〜4. 9GHz)での UWB通信を行う際に良好な通信ができるアンテナを提供することができる。
[0163] 〔実施の形態 6〕
本発明に力かるアンテナの他の実施形態について、図 25および図 27に基づいて 説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態 3および 4との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態 4で説明した部材と 同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
[0164] 上記実施の形態 4では、図 20に示したように、第 2導体 3と第 1導体 4とが、誘電体 基板 2上に同一平面になるように構成されており、この第 2導体 3を被覆するように、 榭脂層 7が配設されている。これに対して、本実施形態におけるアンテナ Ifは、誘電 体基板 2上に積層基板 10を積層し、当該積層基板 10の上に第 2導体 3が形成され ている。すなわち、第 2導体 3と第 1導体 4とは、それぞれの表面が互いに平行となる ように配設されている。なお、ここで「それぞれの表面が互いに平行」とは、それぞれ の表面が完全に平行である場合に加えて、製造上、完全に平行である状態から逸脱 した「実質的に平行」である場合も含まれる。
[0165] 図 25は、本実施形態におけるアンテナ Ifの構成を示した斜視図であり、その一部 は透視図となっている。
[0166] 上記積層基板 10は、図 25に示すように、誘電体基板 2上に、第 2導体 3と誘電体基 板 2との間に挟持されるように設けられている。積層基板 10は、比誘電率 ε r= 15程 度の高誘電率の材料によって構成される。積層基板 10の大きさ(表面積)は、少なく とも、第 2導体 3が積層基板 10の表面に配設される大きさであればよい。
[0167] 図 26に、アンテナ Ifの構成を分解した状態を示す。図 26は、第 2導体 3および積 層基板 10の構成を示す斜視図であり、その一部は透視図となっている。第 2導体 3 の給電端子 3"bが、図 26に示すように、積層基板 10の外部に配設されている。よつ て、第 1導体 4を形成した誘電体基板 2'と、第 2導体 3"を形成した積層基板 10とをそ れぞれ製造して、給電端子 3"bを、誘電体基板 2に設けられた給電端子領域 5に接 続することによって、アンテナ Ifを製造することができる。これにより、例えば、図 15 (a )や図 16 (a)に示した切り欠き部 6a,〜6c, ' 6a"〜6c"を設ける場合であっても、製 造ラインのうち、第 2導体 3"および積層基板 10を製造するラインを変更するのみで対 応することができるため、多様な形状を有するアンテナを効率よく製造することが可能 である。
[0168] 上記誘電体基板 2は、汎用的な材料である FR4 (比誘電率 ε r=4. 7)によって構 成されている。このように、上記実施の形態 3とは異なり、このような汎用的な材料を 用いることによって、上記実施の形態 3と比較して、アンテナのコスト低減を実現する ことができる。
[0169] このように、本実施形態におけるアンテナ Ifは、高誘電率の材料を、積層基板 10と いう限られた領域のみに用いることから、上記実施の形態 3と比較して、アンテナのコ スト低減を実現することができる。
[0170] 以上のような構成を備えた本実施の形態のアンテナ Ifにおける S11特性を測定す る。この測定結果を図 27のグラフに示す。
[0171] 図 27から、本実施の形態のアンテナ If力 上記実施の形態 3における図 11に示し た S 11特性と同等の特性を有して!/ヽることがゎカゝる。
[0172] これにより、本実施形態の構成であっても、ローバンド(3. lGHz〜4. 9GHz)での
UWB通信を行う際に良好な通信ができるアンテナを提供することができる。
[0173] なお、積層基板 10の厚みは、アンテナ Ifがローバンド(3. lGHz〜4. 9GHz)で
の UWB通信を行う場合には、 3. 0〜5. OGHz帯域において S11特性が— 10dB以 下となる範囲で適宜設定することができる。一例を挙げると、アンテナ If (誘電体基板 2)の外形が 20mm X 30mm X厚み lmmとして、第 2導体 3"の直径を 10mmとし、 第 2導体 3"の中心がアンテナ Ifの 20mmの辺力も約 5mmのところに配置されるよう に構成した場合、積層基板 10の厚みを 0. 5〜2. 0mmとすることによって、 S11特性 を一 10dB以下とすることができる。
[0174] なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなぐ請求項に示した 範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手 段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれ る。
産業上の利用の可能性
[0175] 本発明に係るアンテナは、放射導体と矩形導体とを同一平面上に構成することによ つて、広帯域を遮断することができる。よって、 5. OGHz無線 LANで既に使用されて いる帯域を避けて、 3. lGHz〜4. 9GHzの帯域(ローバンド(Low Band) )、または 5 . 8GHz〜10. 6GHz (ハイバンド(High Band) )の帯域の通信を行う場合であっても 、目的以外の帯域を正確に遮断することができる。さらに、良好な指向性を有し、良 好な通信品質を実現したアンテナを提供することができる。
[0176] したがって、例えば、携帯電話、 PDA等の情報端末や PCカード'、型無線機、 CF ( コンパクトフラッシュ (登録商標))型無線機、 IEEE1394型無線機等の薄型機器に 広く適用することができる。