JPH09229663A - 触針式膜厚測定方法及び測定装置 - Google Patents

触針式膜厚測定方法及び測定装置

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JPH09229663A
JPH09229663A JP3382796A JP3382796A JPH09229663A JP H09229663 A JPH09229663 A JP H09229663A JP 3382796 A JP3382796 A JP 3382796A JP 3382796 A JP3382796 A JP 3382796A JP H09229663 A JPH09229663 A JP H09229663A
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moving
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JP3382796A
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Akira Miyake
明 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料にたわみを発生させることなく、片面の
測定だけで、試料の相対的な厚さの分布のみならず厚さ
の絶対値を測定することのできる触針式膜厚測定方法及
びその装置を提供する。 【解決手段】 測定試料11を保持して3次元方向に移
動可能な試料移動用ステージ15と、固定された固定触
針12と、移動触針13と、移動触針を測定試料の厚さ
方向に弾性的に支持する支持機構14と、測定試料の厚
さ方向に支持機構を移動可能な移動用ステージ16と、
固定触針と測定試料との接触を検知する検知機構18
と、移動触針の位置を測定する光学的距離測定装置19
とを備える。移動触針の支持機構14は、移動触針を、
移動触針の移動方向の離れた2ヶ所で、移動方向と直角
の方向に略等間隔の角度で支持するそれぞれ3本のワイ
ヤで構成されており、ワイヤの張力は調整可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は種々の振動体や可視
光あるいは放射線の透過膜などに用いられる薄膜の厚さ
の分布を測定するための触針式の膜厚測定方法およびそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の振動体や可視光あるいは放射線の
透過膜などに金属や結晶体やセラミクスなどの薄膜が用
いられる。これらは通常、フランジやフレーム等に周辺
部が固定され、それ以外の部分は固定されずに自立した
薄膜という形態となっている。この様な薄膜の厚さの分
布を測定するには従来は図4に示す様な膜厚測定装置を
用い、以下の手順によっていた。
【0003】図4は、従来例の触針式膜厚測定装置の模
式的正面図であり、図中符号41は測定試料、42は触
針式形状測定機構、43は試料移動用ステージ、44は
定盤を示す。また図5は従来例の測定原理を説明するグ
ラフで、図中符号51は試料断面形状、52は表面形
状、53は裏面形状、54は厚さ分布を示す。
【0004】まず、測定試料41を試料移動用ステージ
43に固定し、測定試料41を試料移動用ステージ43
で移動させながら触針式の形状測定機構42を用いて試
料の片面の表面形状を測定する。次に、試料を反転し、
試料の反対側の面の表面形状を同様に測定する。この様
にして得られた両面それぞれの表面形状のデータ52、
53を図5に示す様に加算処理して、試料断面形状51
の測定試料の厚さの分布54が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来の厚さ分布
の測定方法には以下のような問題点があった。
【0006】(1)両面それぞれの表面形状のデータを
加算して厚さの分布を得る方法では、相対的な厚さの分
布を知ることができるが、厚さの絶対値は得られない。
厚さの絶対値を知るには、別の方法に依らなければなら
ない。
【0007】(2)試料の片面の表面形状を測定するた
めに試料表面に触針を接触させる場合、触針の圧力によ
って試料にたわみが発生する。そのため試料の表面形状
が実際とは異なって測定されてしまい、測定誤差が発生
するおそれがある。
【0008】(3)触針の圧力によって試料にたわみが
発生するという問題を回避するために、図6に示す様
に、薄膜試料61の測定面の裏側を接着剤62や樹脂等
で固定する方法が用いられる場合もあった。測定面の裏
側を固定した場合には試料61の変形が抑制され、それ
による測定誤差の発生が避けられる。しかし、接着剤6
2などが固化する際に体積変化を起こして試料の変形を
引き起こし、測定誤差が発生しやすかった。またこの方
法では、試料を固定したり剥がしたりする際に試料に熱
を加えたり溶剤に浸したりする必要があり、その際薄膜
試料の破損や変質を招きやすい。
【0009】(4)両面の表面形状の測定位置と向きと
を正確に一致させて形状データを加算する必要があり、
試料の測定位置を合わせるための精度が高いことが必要
である。このため、測定試料を高精度に移動できるステ
ージなどが必要であり測定装置が大がかりになる上、試
料を裏返して2回測定する必要があるので、測定のため
に、多大な手間と時間がかかる。
【0010】本発明の目的は、試料にたわみを発生させ
ることなく、片面の測定だけで、試料の相対的な厚さの
分布のみならず厚さの絶対値を測定することのできる触
針式膜厚測定方法及びその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の触針式膜厚測定
方法は、触針を測定試料に接触させて膜厚を測定する触
針式膜厚測定方法において、2個の触針を用い、測定試
料の両面に、測定試料を挟んで2個の触針の先端を接触
させ、2個の触針の先端を相互に直接接触させた場合と
の触針の移動距離の差により、測定試料の膜厚を測定す
る。
【0012】2個の触針は、固定された固定触針と、測
定試料の厚さ方向に移動可能な移動触針とで構成され、
固定触針の先端に接触させた測定試料の反対面に移動触
針を移動して先端を接触させることが好ましい。固定触
針と測定試料との接触は、測定試料の移動装置の測定試
料の厚さ方向の移動と、光学的距離測定装置で計測され
た測定試料の測定試料の厚さ方向の移動との差異により
検知してもよく、固定触針と測定試料との電気的導通に
より検知してもよい。移動触針と測定試料との接触は、
移動触針の移動装置の測定試料の厚さ方向の移動と、該
移動装置に移動方向に対して弾性的に支持されている移
動触針の、光学的距離測定装置で計測された測定試料の
厚さ方向の移動との差異により検知することが好まし
い。
【0013】本発明の触針式膜厚測定装置は、測定試料
を保持して3次元方向に移動可能な試料移動用ステージ
と、固定可能な固定触針と、移動触針と、移動触針を測
定試料の厚さ方向に弾性的に支持する支持機構と、測定
試料の厚さ方向に支持機構を移動可能な移動用ステージ
と、固定触針と測定試料との接触を検知する検知機構
と、移動触針の位置を測定する光学的距離測定装置とを
備える。
【0014】移動触針の支持機構は、移動触針を支持す
る複数のワイヤを有することが望ましく、複数のワイヤ
は、移動触針を、移動触針の移動方向の離れた2ヶ所
で、移動方向と直角の方向に略等間隔の角度で支持する
それぞれ3本以上のワイヤで構成されていてもよく、ワ
イヤの張力は調整可能であってよい。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態
について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1
の実施の形態の触針式膜厚測定装置の模式的正面図であ
り、図2は図1の支持機構の構成を説明する模式的斜視
図である。図中符号11は測定試料、12は固定触針、
13は移動触針、14は支持機構、14aは触針支持
棒、14bはワイヤ、14cは支持枠、14dは光反射
板、15は試料移動用ステージ、16は支持機構移動用
ステージ、17は定盤、18は測定試料距離測定機構、
19は移動触針用距離測定機構を示す。
【0016】本実施の形態の膜厚測定装置は固定触針1
2及び移動触針13の2個の触針が上下に対向した構造
をしている。下に位置する固定触針12は水平面内に移
動可能であるあが計測時には定盤17上に固定され、上
に位置する移動触針13はワイヤ14bに支持され、上
下方向にはある程度可動である。これらの固定触針12
及び移動触針13の間に薄膜の測定試料11を挟み、こ
の時の移動触針13の位置を移動触針用距離測定機構1
9により測定して、試料の厚さを測定する。測定試料1
1は水平面内(X,Y)、垂直方向(Z)に微動ができ
る3軸の微動可能な試料移動用ステージ15に載ってい
る。厚さ分布の測定を行っている間は装置の基盤となる
部分(定盤17)に固定触針12と移動触針用距離測定
機構19は固定され、これに対して測定試料11と移動
触針13が移動する。
【0017】測定試料11はX、Y、Z三軸の微動可能
な試料移動用ステージ15に載っている。移動触針13
は、触針支持棒14aの下端に固定されている。この触
針支持棒14aは6本のワイヤ14bによって懸架され
ている。ワイヤ14bの他端は枠状の支持枠14cに固
定されている。ワイヤ14bの張力の方向は、移動触針
13の移動方向すなわち測定試料11の厚さ方向に対し
て垂直になっている。
【0018】支持枠14cは支持機構14内に固定さ
れ、支持機構14は上下(Z)に微動可能な支持機構移
動用ステージ16に載っている。触針支持棒14aはワ
イヤ14bの張力によって支持枠14cに対して垂直方
向にはゆるく、水平面内方向にはきつく拘束されてい
る。触針支持棒14aの上下位置を測定するために、光
学的な三角測量の原理を用いた移動触針用距離測定機構
19が設けてある。触針支持棒14aの上端には光を反
射する光反射板14dが設けてあり、移動触針用距離測
定機構19からのレーザー光を反射する。移動触針用距
離測定機構19は測定装置本体の定盤17に固定されて
いる。
【0019】この測定装置による薄膜試料の厚さ分布の
測定手順は、次の通りである。
【0020】(1)初期設定 (2)厚さ測定(必要な測定点数だけ繰り返し) (3)データ処理 さらに、(2)の厚さ測定のプロセスは (2−1)試料位置設定 (2−2)移動触針位置設定 (2−3)移動触針位置測定 からなり、これを必要な測定点数だけ繰り返し行う。以
下、これらの内容を詳細に説明する。
【0021】(1)初期設定 まず、移動触針13を支持枠14cから吊って支持する
6本のワイヤ14bの張力を調整し、上下方向の剛性を
設定する。移動触針13の触針支持棒14aはワイヤ1
4bの張力によって垂直方向にはゆるく、水平面内方向
にはきつく拘束されている。ここで、移動触針13の上
下方向の振動の固有振動数から上下方向の剛性(バネ定
数)を求めることができる。移動触針用距離測定機構1
9の出力から固有振動数fを測定する。移動触針13と
触針支持棒14aまでを一体とした質量をmとする。こ
のとき、バネ定数kは k=4×π2 ×m×f2 で与えられる。例えば、m=1.0×10-3(kg)、
f=100Hzとすると、k=4.0×102 (N/
m)=40(mgf/μm)となる。
【0022】移動触針13の先端は数十〜数百μm程度
の小さな曲率半径を持った球面形状をしている。移動触
針13先端の材質は、ダイアモンドやシリコンカーバイ
ド、タングステン、焼入れ鋼など硬度が高い材料が用い
られる。小さな曲率半径の移動触針13とほぼ平面であ
る測定試料11との接触面積は非常に小さいので、わず
かな力で移動触針13を測定試料11に押し付けた場合
でも、両者の接触面では大きな面圧が発生する。接触面
であまり大きな面圧が発生した場合には、試料が塑性変
形したり、割れなどの破損を起こす恐れがある。試料の
変形や破損を防止するためには、移動触針13を押し付
ける力は非常に小さな力でなければならない。平面に球
面を接触させた時の応力や変形量は「Hertzの公
式」として知られた数式によって計算することができ
る。この公式によれば、接触面で発生する応力は加重の
1/3乗に比例し、球面半径の2/3乗に反比例する。
【0023】押し付け力はワイヤ14bのたわみで測定
し制御する。支持枠14cを動かして移動触針13を測
定試料11のサンプルに近付け、移動触針13がサンプ
ルに接触してから更に一定の距離だけ支持枠14cを近
付ける。この距離がワイヤのたわみ量になる。この距離
に先に求めたバネ定数の値kを掛ければ押し付け力が求
められる。実際には適当な移動距離で押し付け力が適当
な値になるようにバネ定数kを決め、この時の固有振動
数fを算出する。固有振動数がこのfになるようにワイ
ヤ14bの張力を調整する。このとき6本のワイヤ14
bそれぞれの張力がほぼ等しくなるように調整すること
が望ましい。
【0024】移動触針13の上下方向の剛性が高いすな
わちバネ定数が大きい場合には、小さな押し付け力を実
現するためには支持枠14cの移動距離を非常に小さく
する必要があり、支持枠14cの位置制御を非常に精密
に行うことが必要になる。移動触針13の上下方向の剛
性が低い場合には、支持枠14cの位置制御をそれほど
精密に行わないでも小さな押し付け力を実現できる。従
って移動触針13の上下方向の剛性は小さい方が望まし
い。
【0025】移動触針13の水平方向の剛性が小さい場
合には、凹凸をもった試料表面に移動触針13が接触し
た場合に移動触針13の先端が滑るなどして、測定位置
がずれてしまう恐れがある。したがって移動触針13の
水平方向の剛性は大きい方が望ましい。
【0026】本実施の形態では、触針支持棒14aは6
本のワイヤ14bによって懸架されていて、ワイヤ14
bの張力の方向は、移動触針13の移動方向すなわち測
定試料11の厚さ方向に対して垂直になっている。この
場合、垂直方向の剛性はワイヤ14bの張力によってき
まり、水平方向の剛性はワイヤ14bの伸び剛性によっ
てきまる。すなわち垂直方向と水平方向の剛性を独立に
設定することができる。剛性が大きいワイヤを張力を小
さくして用いることによって、移動触針13の垂直方向
の剛性は小さく、水平方向は剛性を大きくすることがで
きる。
【0027】次に、固定触針12と移動触針13の2個
の触針の水平面内での位置合わせを行う。測定試料11
を間に挟まないで、2個の触針を接触させる。移動触針
13の支持枠14cを支持機構14と支持機構移動ステ
ージ16を介して上下に移動させながら移動触針用距離
測定機構19で移動触針13の動きを観測する。移動触
針13が固定触針12に接触しないでいる場合には、移
動触針13は支持機構14の動きと同じ距離だけ上下す
る。移動触針13が固定触針12に接触している場合に
は、移動触針13は支持機構14の動きによらずほぼ一
定の位置となる。この時の移動触針13の高さ方向の位
置は2個の触針の相対位置を反映したものになる。つま
り、2個の触針が水平面内で一致している場合には移動
触針13の位置が最も高くなる。したがって、固定触針
12を水平面内で移動しながら、移動触針13が接触し
た時の高さが最も高くなる位置を求めれば、2個の触針
の先端の位置が水平面内で一致することになる。
【0028】実際に、移動触針13が接触した時の高さ
が最も高くなる位置を求めるには、球面フィッティング
の方法を行い、精度を高める。この方法によれば、ま
ず、固走触針12の位置を水平面内の様々な位置とし
て、移動触針13の支持機構14を上下に移動し、移動
触針13が接触する位置(高さ)の分布を求める。この
高さの分布は両方の触針の先端が同じ半径の球面である
場合にはその半径の2倍の半径の球面状になる。そこ
で、この高さの測定結果を球面でフィッティングして球
面の頂点(最も高い点)の位置を求める。この位置に固
定触針12を合わせれば、2個の触針の水平面内での位
置合わせができたことになる。このようにして、上下の
触針の水平面内での位置合わせを高い精度で行うことが
できる。
【0029】次に、厚さ測定値の初期値(オフセット)
を求める。上下2個の触針の水平面内の位置合わせをし
た後に、測定試料11を間に挟まない状態で、2個の触
針を接触させ、移動触針用距離測定機構19の測定値を
求める。この値を初期値として、厚さ測定の際の測定値
からオフセットとして差し引き、試料の厚さの絶対値を
得る。
【0030】(2−1)試料位置設定 ここでは、試料の厚さを測定しようとする位置を、固定
触針12の先端の位置に一致させる。まず、測定試料1
1を固定触針12から垂直方向に離れた位置で水平面内
を移動して、測定しようとする点の水平位置を固走触針
12の先端の位置に一致させる。次に、測定試料11を
固定触針12に近付け、接触させる。
【0031】測定試料11と固定触針12との接触は、
測定試料11の裏面の高さを測定する測定試料距離測定
機構18によって検出する。即ち、測定試料11が固定
触針12に接触していない時は、測定試料11を移動し
た距離だけ測定試料面の高さを測定する測定機構18の
測定値が変化するが、測定試料11が固定触針12に接
触している時は、測定試料11を移動してもその測定値
は殆ど変化しない。このようにして測定試料11と固定
触針12との接触を検出することができる。
【0032】測定試料面の高さを測定する測定機構とし
ては、測定試料11に光ファイバから光を照射し、測定
試料11で反射して別の光ファイバに戻ってくる光の光
量を検出する方式のいわゆる光ファイバ型近接センサ
や、静電容量型のセンサ、光学的な三角測量の原理を用
いたセンサなどを用いることができる。
【0033】(2−2)移動触針位置設定 固定触針12の先瑞に接触した測定試料11の反対側位
置に移動触針13の先端を一致させる。支持機構14を
支持機構移動用ステージ16で移動して移動触針13を
測定試料11に次第に近付ける。このとき、光学的位置
測定方式を用いた移動触針用距離測定機構19によって
移動触針13の動きを観測する。移動触針13が測定試
料11に接触していない場合には、移動触針13の動き
は支持機構14の動きと同じであるが、接触している場
合には、移動触針13は支持機構14が動いてもほとん
ど動かない。支持機構14を少しずつ測定試料11に近
付けていって、移動触針13が測定試料11に接触した
位置からある一定の距離だけ更に近付けた位置に設定す
る。このときの接触部にかかる力の大きさは、[接触し
てからの移動距離×縦方向バネ定数]として与えられ
る。接触してからの移動距離を適当な値にすることで、
移動触針13が測定試料11を押し付ける力を設定す
る。例えば、先の例ではk=4.0×102 (N/m)
=40(mgf/μm)であり、移動距離を1μmとす
れば、押し付ける力は4.0×10-4(N)となる。接
触してからの移動距離を一定にすれば、試料を押し付け
る力を一定にすることができる。
【0034】(2−3)移動触針位置測定 光学的な三角測量の原理を用いた移動触針用距離測定機
構19を用いて非接触で触針支持棒14aの位置を測定
する。この測定値から先に求めた初期値(オフセット)
を引き、試料の厚さの値を得る。
【0035】以上の測定手順を必要な位置について繰返
し実施し、データ処理を行なうことによって測定試料の
相対的な厚さの分布のみならず厚さの絶対値を測定する
ことができる。
【0036】次に、本発明の第2の実施の形態について
図面を参照して説明する。図3は本発明の第2の実施の
形態の触針式膜厚測定装置の模式的正面図である。図中
符号31は測定試料、32は固定触針、33は移動触
針、34は支持機構、35は試料移動用ステージ、36
は支持機構移動用ステージ、37は定盤、38aは電流
検出機構、38bは導線、39は移動触針用距離測定機
構を示す。
【0037】本実施の形態では、測定試料31の位置を
設定する際に、測定試料31と固定触針32との接触を
両者の電気的な導通によって検出する。従って、本実施
の形態では測定試料31と固定触針32が共に導電性で
ある場合に限定される。
【0038】本実施の形態の膜厚分布測定装置は第1の
実施の形態の膜厚分布測定装置とほぼ同じ構成をしてい
る。ただし本実施の形態では固定触針32と測定試料3
1にそれぞれ導線38bが接続されており、さらにこれ
に電流検出機構38aが接続されている。
【0039】本実施の形態の膜厚分布測定装置による薄
膜試料の厚さ分布の測定手順は、第1の実施の形態のそ
れと同じであり、 (1)初期設走 (2)厚さ測定(必要な測定点数だけ繰り返し) (2−1)試料位置設定 (2−2)移動触針位置設定 (2−3)移動触針位置測定 (3)データ処理 となる。本実施の形態では、(2−1)の試料位置設定
のプロセスにおいて、電気的な導通によって測定試料3
1と固定触針32との接触の判定を行う。詳細は以下の
通りである。
【0040】まず、測定試料31を固定触針32から離
れた位置で水平面内に移動して、測定しようとする点の
水平位置を固定触針32の先端の位置に一致させる。次
に、測定試料31を固定触針32に近付け接触させる。
【0041】測定試料31と固定触針32との接触は、
両者の電気的な導通によって検出する。すなわち、測定
試料と固定触針32との間に電圧を印加して両者の間に
流れる電流を観測し、接触を判定する。接触部の面積は
非常に小さく、電気抵抗が大きい。この接触部に大きな
電流が流れた場合には局所的に発熱が起こり、測定試料
31や固定触針32が損傷する恐れがある。従って、印
加する電圧はできるだけ小さいほうが望ましい。
【0042】本実施例では、電源と電流検出装置のみで
試料位置を検出することができるので、第1の実施の形
態で得られた効果に加えて、厚さ分布測定装置がさらに
簡略化されるという効果がある。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の膜厚測定
方法及びその装置によれば、 (1)試料の相対的な厚さの分布ばかりでなく厚さの絶
対値を測定することができる。
【0044】(2)2個の触針で薄膜試料の両面を同時
に挟んで厚さの分布を測定することができるので、触針
の圧力によって試料にたわみが発生することがないの
で、試料の測定面の裏側を接着剤や樹脂等で固定する必
要がなく、薄膜試料の破損や変質を招く恐れがない。
【0045】(3)試料の両面の同じ位置を同時に測定
するので、試料を裏返して2回測定する必要がないの
で、測定のための手間と時間が大幅に低減される。
【0046】(4)試料の測定位置を合わせる精度が高
い必要がなく、高精度の試料ステージなどを用いる必要
がなく、測定装置が簡略化される。
【0047】(5)測定試料と固定触針が共に導電性で
ある場合には、試料位置設定のプロセスを電気的な導通
により行なうことができるので、更に測定装置の簡略化
が可能になる。という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の触針式膜厚測定装
置の模式的正面図である。
【図2】図1の支持機構の構成を説明する模式的斜視図
である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の触針式膜厚測定装
置の模式的正面図である。
【図4】従来例の触針式膜厚測定装置の模式的正面図で
ある。
【図5】従来例の測定原理を説明するグラフである。
【図6】従来例の薄膜試料を接着剤で固定した構造の模
式的断面図である。
【符号の説明】
11、31、41 測定試料 12、32 固定触針 13、33 移動触針 14、34 支持機構 14a 触針支持棒 14b ワイヤ 14c 支持枠 14d 光反射板 15、35 試料移動用ステージ 16、36 支持機構移動用ステージ 17、37、44 定盤 18 測定試料距離測定機構 19、39 移動触針用距離測定機構 38a 電流検出機構 38b 導線 42 触針式形状測定機構 43 試料移動用ステージ 51 試料断面形状 52 表面形状 53 裏面形状 54 厚さ分布 61 薄膜試料 62 接着剤

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触針を測定試料に接触させて膜厚を測定
    する触針式膜厚測定方法において、 2個の触針を用い、前記測定試料の両面に、前記測定試
    料を挟んで2個の前記触針の先端を接触させ、2個の前
    記触針の先端を相互に直接接触させた場合との前記触針
    の移動距離の差により、前記測定試料の膜厚を測定する
    ことを特徴とする触針式膜厚測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の触針式膜厚測定方法に
    おいて、 前記2個の触針は、固定された固定触針と、前記測定試
    料の厚さ方向に移動可能な移動触針とで構成され、前記
    固定触針の先端に接触させた前記測定試料の反対面に前
    記移動触針を移動して先端を接触させることを特徴とす
    る触針式膜厚測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の触針式膜厚測定方法に
    おいて、 前記固定触針と前記測定試料との接触は、前記測定試料
    の移動装置の前記測定試料の厚さ方向の移動と、光学的
    距離測定装置で計測された前記測定試料の前記測定試料
    の厚さ方向の移動との差異により検知することを特徴と
    する触針式膜厚測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の触針式膜厚測定方法に
    おいて、 前記固定触針と前記測定試料との接触は、前記固定触針
    と前記測定試料との電気的導通により検知することを特
    徴とする触針式膜厚測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の触針式膜厚測定方法に
    おいて、 前記移動触針と前記測定試料との接触は、前記移動触針
    の移動装置の前記測定試料の厚さ方向の移動と、該移動
    装置に移動方向に対して弾性的に支持されている前記移
    動触針の、光学的距離測定装置で計測された前記測定試
    料の厚さ方向の移動との差異により検知することを特徴
    とする触針式膜厚測定方法。
  6. 【請求項6】 触針を測定試料に接触させて膜厚を測定
    する触針式膜厚測定装置であって、 前記測定試料を保持して3次元方向に移動可能な試料移
    動用ステージと、 固定可能な前記固定触針と、 前記移動触針と、 前記移動触針を前記測定試料の厚さ方向に弾性的に支持
    する支持機構と、 前記測定試料の厚さ方向に前記支持機構を移動可能な移
    動用ステージと、 前記固定触針と前記測定試料との接触を検知する検知機
    構と、 前記移動触針の位置を測定する光学的距離測定装置と、
    を備えた触針式膜厚測定装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の触針式膜厚測定装置に
    おいて、 前記移動触針の前記支持機構は、前記移動触針を支持す
    る複数のワイヤを有することを特徴とする触針式膜厚測
    定装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の触針式膜厚測定装置に
    おいて、 前記複数のワイヤは、前記移動触針を、前記移動触針の
    移動方向の離れた2ヶ所で、前記移動方向と直角の方向
    に略等間隔の角度で支持するそれぞれ3本以上のワイヤ
    で構成されていることを特徴とする触針式膜厚測定装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8に記載の触針式
    膜厚測定装置において、 前記ワイヤの張力は調整可能であることを特徴とする触
    針式膜厚測定装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009162675A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Mitsutoyo Corp 接触式一軸変位センサ
CN103175458A (zh) * 2011-12-20 2013-06-26 旺宏电子股份有限公司 测量装置与测量薄膜的厚度的方法
CN103217133A (zh) * 2012-01-19 2013-07-24 昆山思拓机器有限公司 一种立柱式手动smt网板厚度测量设备
CN105466373A (zh) * 2015-12-23 2016-04-06 烟台开发区精越达机械设备有限公司 一种用于校验器件精度的检测装置及测试仪

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