JPH0922799A - 加速器用電磁石 - Google Patents

加速器用電磁石

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JPH0922799A
JPH0922799A JP16982695A JP16982695A JPH0922799A JP H0922799 A JPH0922799 A JP H0922799A JP 16982695 A JP16982695 A JP 16982695A JP 16982695 A JP16982695 A JP 16982695A JP H0922799 A JPH0922799 A JP H0922799A
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JP
Japan
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coil
accelerator
electromagnet
iron core
exciting coil
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Application number
JP16982695A
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Inventor
Tomoo Chiba
知雄 千葉
Mitsuru Saeki
満 佐伯
Hiroaki Sakurahata
広明 桜畠
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】加速器用電磁石において、実際の使用状況に見
合った安価で合理的なコイル構造とする。 【構成】鉄心23の磁極部22,22に巻かれるコイル
20は絶縁処理された素線8を層状に巻線し、接着層4
1の接着剤で接合して構成され、接着層41には隙間4
2があり、素線30間の接着はこの隙間42で断続的と
なっている。素線8間の接着層41の接着剤としてエポ
キシ樹脂が使用されている。コイル20は素線同士を密
着させる必要がないため、製作が容易なようにコイル全
周に渡って連続的に徐々に段落としを行っており全周に
わたって断面形状が変化している。従来用いてきたコイ
ル製作の手順が合理化され、大幅なコスト削減となる。
常温硬化のコイル接着材を使う方法では従来コイル成型
に用いてきた加熱機器、モールド用金型が不要となり、
加熱等の制作工程が省ける効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子群(以下ビーム
と称す)を取り扱う線型加速器、ビーム輸送系加速器、
リング系用電磁石等を有する放射光発生装置、医療専用
加速器、物理実験用大型加速器、電磁顕微鏡製品や半導
体の製造装置等のビームをハンドリングする装置等に用
いる加速器用電磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】近年加速器は医療用、放射光発生用、物
理実験用、放射物処理用等幅広い分野で使用されるよう
になっている。その中で加速器用電磁石は荷電粒子を曲
げる、もしくは収束させる等の重要な役割をなしてい
る。
【0003】加速器用電磁石は主に磁力線の通路である
複数の磁極部を持つ鉄心と、鉄心の当該磁極部もしくは
リターン部に巻かれる励磁用のコイルからなっている。
荷電粒子の運動に影響を及ぼす磁場分布を磁極部の形状
によって決定している加速器用電磁石を鉄心型加速器用
電磁石と呼び、ほとんどの加速器用電磁石がこのタイプ
である。
【0004】また、従来の加速器用電磁石の励磁用コイ
ルは、図10及び図11に示すように、対地絶縁を施す
ため素線(コイル導体)40間は接着層41で連続的に
密着して接合されており、コイルの外側には対地耐電圧
用の絶縁層(対地絶縁)45が存在していた。また、素
線40間の連続的な密着を得るため、コイル断面形状は
周方向に均一断面になっていた。素線40は、冷却水を
流すための穴9が開けられたコイル導体7のまわりに絶
縁フィルム材5を巻回しラップ絶縁した構成である。
【0005】更に、従来の励磁用コイルは、図12に示
すように素線絶縁したコイル全体にプリプレグを巻き込
みこのプリプレグを加熱加圧成形するか(プリプレグ
法)、素線絶縁したコイルに真空脱気でワニスを注入し
加熱加圧成形するか(モールド法)で対地絶縁を実施し
ており、いずれも加熱加圧成形してコイルを一体化して
いた。また、プリプレグ法では、加熱加圧成形時にプリ
プレグとコイルの段違い部との間に隙間があかないよう
にするため、当該隙間にスペーサ43を挟んで加熱加圧
成形し、当該段違い部での対地絶縁を実施していた。
【0006】なお、コイルの層間絶縁及び対地絶縁に関
する公知例としては例えば特開昭51−89996号公
報があり、モールド法に関する公知例としては例えば特
開昭55−145308号公報があり、プリプレグ法に
関する公知例としては例えば特開昭55−107206
号公報が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の加
速器用電磁石では、励磁用コイルに対地絶縁を行うた
め、素線間を連続的に密着させたコイルの外側に対地絶
縁専用の絶縁層を設け、当該絶縁層のコイル導体への密
着性を良くするため加熱加圧成形を行い、かつ加熱加圧
成形時に大きな加圧力で成形していた。このため、加速
器用電磁石の実際の使用状況からすると必要以上に強固
なコイルが完成していた。
【0008】本発明の目的は、実際の使用状況に見合っ
た安価で合理的なコイル構造を持つ加速器用電磁石を提
供することである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明は、複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発
生させる励磁用コイルよりなる加速器用電磁石におい
て、前記励磁用コイルの素線間を断続的に接合した構成
とする。
【0010】また、上記目的を達成するために、本発明
は、複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発生させる励磁
用コイルよりなる、通常運転時は直流運転する水冷型加
速器用電磁石において、前記励磁用コイルの素線間を2
0cm以下の間隔で断続的に接合した構成とする。
【0011】更に、上記目的を達成するため、本発明
は、複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発生させる励磁
用コイルよりなる、通常運転時は交流運転する水冷型加
速器用電磁石において、前記励磁用コイルの素線間を1
0cm以下の間隔で断続的に接合した構成とする。
【0012】好ましくは、上記加速器用電磁石におい
て、前記励磁用コイルの口出し部を除く断面形状を連続
的に変化させる。
【0013】また、好ましくは、前記励磁用コイルは素
線絶縁のみが施され、コイル層間絶縁及びコイル全体の
対地絶縁は施されていないものとする。この場合、好ま
しくは、前記素線絶縁はコイル導体のまわりにポリイミ
ド系のフィルム材を巻回することで行い、前記フィルム
材には接着剤が施される。そして、前記コイル層間の接
合は前記フィルム材に施した接着剤で実施し、前記接着
剤は絶縁処理された素線の巻線時に塗布し一体化する。
この場合、好ましくは、前記巻線時に塗布する接着剤は
常温硬化型のエポキシ樹脂である。また、好ましくは、
前記絶縁処理された素線を前記鉄心の磁極部を巻き芯と
して直接巻線する。
【0014】前記素線絶縁はコイル導体のまわりにポリ
イミド系のフィルム材またはガラスクロスを巻回するこ
とで行い、前記フィルム材またはガラスクロスに接着剤
が予めセミキュアされていてもよい。この場合、好まし
くは、前記励磁用コイルは前記絶縁処理された素線を巻
線後、加圧を行うことなく加熱成形したものとする。ま
た、前記鉄心に前記励磁用コイルを支持するサポート部
を設けた場合は、このサポート部で支持されるコイル部
分と前記サポート部及び鉄心間に絶縁物を介在させる。
代わりに、サポート部で支持されるコイル部分の周囲に
補強絶縁材をラップしてもよい。
【0015】
【作用】加速器用電磁石の実際の使用状況について本願
発明者等が検討した結果、以下のことが判明した。
【0016】鉄心型加速器用電磁石は鉄心内に磁力線が
集中し、鉄心磁極部の形状で磁場分布が決定されるた
め、鉄心中の磁場は通常飽和しない状態で使用する。そ
れゆえ漏れ磁場が少なくコイルには大きな電磁力がかか
らない状態となり、コイルの拘束は弱くてよい。また鉄
心形状で性能が決定されるため、コイルの形状には精度
が求められない。またリード線形状は性能に影響しない
ので自由に決定できる。
【0017】多くの加速器用電磁石では複数台を同時に
励磁を行うため、複数の電磁石を直列に電源に接続して
励磁を行う。そのため対地耐電圧は高いものとなるが、
端子間電圧は低くてよい。
【0018】直流運転時は電磁力によるくり返し応力が
少ないため、電磁力に対する疲労を考えなくてよい。交
流運転時は運転周波数に応じた疲労に耐える強度が必要
である。
【0019】また、加速器用電磁石はシステムの安定性
を得ることより、空調、温度管理された部屋に設置され
ている。そのため環境の変化が少なく、絶縁劣化も少な
い。
【0020】磁場精度を磁極の形状で得ているため、鉄
心の温度上昇を制限している。鉄心の温度上昇を防ぐた
めコイルの温度上昇が制限されている。そのため絶縁の
劣化が少なくなっている。
【0021】通常鉄心重量を軽くし、加速器用電磁石を
コンパクトにするため、コイルの入る部分は小さくなっ
ている。そのため大きな電流密度となり、コイルでは抵
抗損による発熱が多くなる。そこで空冷では十分冷却で
きない加速器用電磁石が多く、コイル導体内の穴に水を
流し水冷によって冷却する。これを水冷型加速器用電磁
石と呼び、高磁場の多くの加速器用電磁石がこのタイプ
である。水冷加速器用電磁石では温度上昇の観点から、
電流密度が10A/mm2程度に抑えられている。
【0022】本発明は以上の検討結果に基づき加速器用
電磁石のコイルでは必要十分である素線間の接着があれ
ばよいという知見を得て、励磁用コイルの素線間を断続
的に接合したものであり、また特に、通常運転時は直流
運転する水冷型加速器用電磁石においては、励磁用コイ
ルの素線間を20cm以下の間隔で断続的に接合し、通
常運転時は交流運転する水冷型加速器用電磁石において
は、励磁用コイルの素線間を10cm以下の間隔で断続
的に接合したものであり、これにより従来のようにコイ
ルの製作に際して加圧成形を行う必要がなく、安価で合
理的なコイル構造が得られる。
【0023】また、従来のコイルのように口出し部を除
くコイル断面形状を周方向に均一にするのではなく、コ
イルの口出し部を除く断面形状を連続的に変化させるこ
とにより、コイル周方向の一部に段落としを作るための
成型作業を行う必要がなく、安価で合理的なコイル構造
が得られる。
【0024】更に、従来のコイル成型のように対地絶縁
膜を形成せず、コイルの素線絶縁のみが施され、コイル
層間及びコイル全体の対地絶縁は施さず素線絶縁のみで
対地耐電圧がとれるので、対地絶縁膜の形成に要してい
た製作工程を短縮でき、安価で合理的なコイル構造が得
られる。
【0025】更に、素線絶縁はコイル導体のまわりにポ
リイミド系のフィルム材を巻回することで行い、フィル
ム材に接着剤を施すこと、より具体的には、コイル層間
の接合はフィルム材に施した接着剤で実施し、接着剤を
絶縁処理された素線の巻線時に塗布し一体化すること、
又は素線絶縁はコイル導体のまわりにポリイミド系のフ
ィルム材またはガラスクロスを巻回することで行い、フ
ィルム材またはガラスクロスに接着剤を予めセミキュア
しておき、これを加熱成形することにより、製作工程を
短縮でき、安価で合理的なコイル構造が得られる。特
に、巻線時に塗布する接着剤を常温硬化型のエポキシ樹
脂とし、これを鉄心の磁極部を巻き芯として直接巻線す
ることにより、コイルの加熱成形も省け、コイル製作の
手順が合理化され、コスト削減となる。また、金型が不
要となる。また、セミキュアされた素材で絶縁処理した
素線を巻線後、加圧を行うことなく加熱成形することに
よっても、加圧成形が省けるので、コイル製作の手順が
合理化され、コスト削減となる。
【0026】また、高い対地耐電圧を要求されるサポー
ト部では、絶縁物を介在させるか補強材でラップ絶縁す
ることにより、対地絶縁膜の形成に要していた製作工程
を短縮でき、これによっても安価で合理的なコイル構造
が得られる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図1において、本実施例の加速器用電磁石は鉄心
型加速器用電磁石であり、磁力線の通路であるリターン
部21と1対の磁極部22,22を持つ鉄心23と、鉄
心23の磁極部22,22に巻かれた励磁用のコイル2
0,20からなっている。鉄心23にはコイル20を支
持するサポート部27が設けられている。
【0028】加速器用電磁石のコイル20を側面から見
た図を図2に示す。コイル20は絶縁処理された素線8
を層状に巻線し、素線8を接着層41の接着剤で接合し
て構成したものである。また、接着層41には図示のよ
うに隙間42があり、素線30間の接着はこの隙間42
で断続的となっている。素線8間の接着層41の接着剤
としてエポキシ樹脂が使用されている(後述)。
【0029】断続接着の間隔(隙間42の距離)Lはコ
イル20に働く電磁力により決定される。以下に断続接
着の間隔Lを計算する。
【0030】コイル部分の洩れ磁場の強度をB、素線1
本に流れる電流をI、素線8の各接着部をδ×hの大き
さとすると、コイル20の接着部にかかる応力Fは F=B・I・L/(δ・h) …(1) で表すことができる。接着剤の最大引っ張り応力σmax
とすると、断続接着の間隔Lに関して下記の不等式が成
立する必要がある。
【0031】 L<(δ・h・σmax)/(I・B) …(2) ここで、δ=h、I=jh2と仮定すると上式は下記の
ように簡素化される。
【0032】 L<σmax/(B・j) …(3) 鉄心23は2T程度で飽和するため、飽和しない領域で
通常運転する鉄心型加速器用電磁石では中心磁場強度が
1Tの近傍で設計されているため、コイル20の部分で
最大10%程度の洩れ磁場が存在すると考え、洩れ磁場
B=0.1[T]となる。
【0033】一般的な素線8間の接着剤の引っ張り及び
圧縮強度は1〜2×105Pa(1〜2Kgf/cm2
であるため、σmax=2×105Paとする。一般的な水
冷コイルでは電流密度が10A/mm2程度であること
から、(3)式を用いて L<0.2mを得る。
【0034】なお、交流用加速器用電磁石では、くり返
し応力が働き疲労破壊により接着がとれる可能性がある
ため、接着剤の疲労限度を考える必要がある。今、疲労
限度を引張及び圧縮強度の半分程度とすると、B=0.
1[T]、σmax=1×105Paとなる。従って交流用
加速器用電磁石では、(3)式を用いてL<0.1mを
得る。
【0035】上記の間隔で断続接着を行なうことによ
り、交流用及び直流用のそれぞれの加速器用に対して必
要な強度と性能を満足する電磁石を作ることができる。
【0036】加速器用電磁石のコイル20は全体の寸法
を管理してコイル巻線するので、巻線終了時に素線8の
間隔はほとんどなく、ほぼ密着した状態で巻線される。
この場合、断続接着の間隔Lはコイル接着剤(エポキシ
樹脂)の間隔で決定する。また、エポキシ樹脂の量を調
整することにより上記間隔Lでの断続接着が達成され
る。また、交流用加速器用電磁石では直流用加速器用電
磁石と比較して、十分エポキシ樹脂を塗る必要がある。
【0037】コイル20の外形形状を図3及び図4に示
す。図3において、コイル20の横に示す図はコイル2
0の各位置での断面形状である。
【0038】通常、コイル20を巻線するときは、素線
8の密着を得るためコイル周方向の一部分で段落としを
し、段落としをした部分以外の断面形状は周方向に一様
である。しかし、本発明によるコイル20は素線同士を
密着させる必要がないため、製作が容易なようにコイル
全周に渡って連続的に徐々に段落としを行っており、こ
のため図4のA〜Eに示すように全周にわたって断面形
状が変化している。
【0039】コイル20を正面から見た図を図4に示
す。コイル20は上記のように素線8を密着させる必要
がないため、コイル口出し部24a,24bから通常コ
イル部分25に至るつなぎ部26a,26bの間隔が大
きく空いている。このため大きな曲率でつなぎ部26b
を曲げることが可能となる。通常、つなぎ部26bのR
部ではRの外側で素線ラップ絶縁(図5参照)の縁面距
離が短くなるため素線8の補強絶縁を施す必要があった
が、本実施例では通常より大きなRで曲げを行うことが
できるため、素線8の補強絶縁は必要ない。
【0040】素線9の絶縁構成を図5に示す。素線8は
銅のコイル導体7のまわりにポリイミド系のフィルム材
5を巻回しラップ絶縁として使用し、フィルム材5はそ
れぞれテープ幅の半分重なるように巻回され、コイル導
体7の縁面距離を長くするようになっている。コイル導
体7には軸方向中央に穴9があけられ、この穴9に水を
流し水冷によって冷却する。
【0041】コイル20の断面構造を図6〜図8に示
す。これらの図はコイル20に段違い部10がある場合
のものである。コイル20は上記のようにフィル部材5
の素線絶縁を行い、フィルム材5に接着剤が施されるこ
とにより接着層41で接着されている。コイル20の対
地耐電圧はコイル全体にラップ絶縁、モールド等を施す
ことなく、素線8の絶縁と大気だけで保たれる。しか
し、図7に示すように絶縁破壊が起り易いコイルサポー
ト部27ではコイル20とサポート27間に絶縁物31
を設置し、絶縁破壊が起らないようにした。また、この
コイル部分に図8に示すように補強材32のラップ絶縁
を施すことでも同等の効果がある。
【0042】なお、長尺の加速器用電磁石では層間の電
位差が大きくなる場合があるが、絶縁破壊が起こりやす
いコーナー部、コイル支持部等では縁面距離を長くする
ため層間に補強の絶縁を巻く、もしくは絶縁板を層間に
いれるという手段をとることで対地耐電圧を上げること
が可能である。
【0043】図9に本実施例のコイル製作方法を示す。
図の左側は常温硬化法であり、図の右側はプリプレグ法
である。
【0044】常温硬化法では、上記のようにポリイミド
系のフィルム材5で絶縁を施した素線8に常温硬化のエ
ポキシ樹脂を塗り付けた後、鉄心を巻芯として直接巻線
を行うか、巻き芯への巻線を行った後、鉄心にはめ込ん
だものである。
【0045】上記の製作法を用いた場合、従来の加速器
用電磁石のようにコイル加圧加熱成形を行う必要はな
い。この方法を用いることより、コイルの大きさを最小
にすることができる。しかし、複数の加速器用電磁石を
直列接続運転する場合や交流運転時ではコイル鉄心間に
は高い対地耐電圧が必要とされる。このような場合、コ
イルと鉄心間に絶縁物を挟みこむ対策を行うことで対地
耐電圧を大きくとることができる。
【0046】プリプレグ法では、常温硬化の樹脂を使用
するのではなく、フィルム材またはガラスクロスの素線
絶縁に接着層がセミキュアされたものを巻き芯に巻き付
け、加熱成形した後、鉄心にはめ込むものである。この
場合、常温硬化のエポキシ樹脂を使用しないので、コイ
ル巻き線時に素線表面が乾燥しているため取り扱いが容
易である。この場合も、加熱成形を行なう際には加圧を
行なう必要はない。これによりコイル素線間が断続的な
間隔で接着したコイルを製作することができる。
【0047】以上のように本実施例の加速器用電磁石に
おいては、加速器用電磁石のコイルで必要十分である素
線8間の接着があればよいという知見に基づき、素線8
間の接着を断続的にしたので、従来のようにコイルの製
作に際して加圧成形を行う必要がなく、安価で合理的な
コイル構造が得られる。
【0048】特に、本実施例のコイル製作法(常温硬化
法及びプリプレグ法)を示す図9と従来のコイル製作法
(プリプレグ法及びモールド法)を示す図12との比較
から分かるように、本実施例では鉄心にコイルを直接巻
線する常温硬化法が採用可能となり、コイルの加圧加熱
成形の作業が省ける。このため、従来用いてきたコイル
製作の手順が大幅に合理化され、大幅なコスト削減とな
り、従来コイル成型に用いてきた加熱機器、モールド用
金型が不要となり、加熱等の制作工程が省ける効果があ
る。また、鉄心に素線を直巻きすることによりはめ込み
等の作業がなくなり、鉄心とコイル間が狭くでき、コイ
ルの張り出しを最少に抑える効果がある。また、プリプ
レグ法においても加圧を行わず加熱成形のみでコイルを
製作できるので、コイル製作の手順が合理化され、コス
ト削減となる。
【0049】更に、加圧成形を行なわないため巻線した
形状でコイルが完成し、図6に示すようにコイル20に
段違い部10があっても図11に示すようなスペーサ1
5が不要になり、コスト削減に大きな効果があり、また
金型等に縛られず自由にコイル断面を決定することがで
きる。
【0050】また、従来のコイルは口出し部を除くコイ
ル断面形状は周方向に均一にしていたが、本実施例では
図3に示すように口出し部23a,24bを除くコイル
部で断面形状が周方向に連続的に変化させたので、コイ
ル周方向の一部に段落としを作るための成型作業を行う
必要がなく、安価で合理的なコイル構造が得られる。
【0051】更に、本実施例では、従来のコイル成型の
ように対地絶縁膜を形成せず、素線絶縁のみで対地耐電
圧がとれるので、対地絶縁膜の形成に要していた製作工
程を短縮でき、安価で合理的なコイル構造が得られる。
【0052】また、高い対地耐電圧を要求されるサポー
ト部27では、図7及び図8に示すように絶縁物31を
介在させるか補強材32でラップ絶縁することにより対
応したので、対地絶縁膜の形成に要していた製作工程を
短縮でき、これによっても安価で合理的なコイル構造が
得られる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、加速器用電磁石の安価
で合理的なコイル構造が得られ、その結果、コイル製作
の手順が大幅に合理化され、大幅なコスト削減とな効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による加速器用電磁石を示す
斜視図である。
【図2】図1に示すコイルの側面図である。
【図3】図1に示すコイルの外観を示す斜視図である。
【図4】図1に示すコイルの正面図である。
【図5】図1に示すコイルの素線絶縁の示す斜視図であ
る。
【図6】段違い部がある場合のコイルの断面図である。
【図7】段違い部がある場合のサポート部における絶縁
物を介在させたコイルとその周辺の断面図である。
【図8】段違い部がある場合のサポート部におけるラッ
プ絶縁したコイルとその周辺の断面図である。
【図9】本発明によるコイル巻線方法を示すフローチャ
ートである。
【図10】従来のコイルの側面図である。
【図11】従来の段違い部がある場合のコイルの断面図
である。
【図12】従来のコイル巻線方法を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
5…絶縁フィルム材 7…コイル導体 8…素線 9…水冷用穴 15…スペーサ 16…モールド等の対地耐絶縁膜 20…コイル 21…鉄心リターン部 22…鉄心磁極部 23…鉄心 24a,24b…コイル口出し部 25…通常コイル部分 26a,26b…つなぎ部 27…サポート部 31…絶縁物 32…ラップ絶縁補強材 41…接着層 42…隙間

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発生
    させる励磁用コイルよりなる加速器用電磁石において、
    前記励磁用コイルの素線間を断続的に接合したことを特
    徴とする加速器用電磁石。
  2. 【請求項2】 複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発生
    させる励磁用コイルよりなる、通常運転時は直流運転す
    る水冷型加速器用電磁石において、前記励磁用コイルの
    素線間を20cm以下の間隔で断続的に接合したことを
    特徴とする加速器用電磁石。
  3. 【請求項3】 複数の磁極部を持つ鉄心及び磁場を発生
    させる励磁用コイルよりなる、通常運転時は交流運転す
    る水冷型加速器用電磁石において、前記励磁用コイルの
    素線間を10cm以下の間隔で断続的に接合したことを
    特徴とする加速器用電磁石。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の加速
    器用電磁石において、前記励磁用コイルの口出し部を除
    く断面形状を連続的に変化させたことを特徴とする加速
    器用電磁石。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項記載の加速
    器用電磁石において、前記励磁用コイルは素線絶縁のみ
    が施され、コイル層間絶縁及びコイル全体の対地絶縁は
    施されていないことを特徴とする加速器用電磁石。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の加速器用電磁石におい
    て、前記素線絶縁はコイル導体のまわりにポリイミド系
    のフィルム材を巻回することで行い、前記フィルム材に
    は接着剤が施されることを特徴とする加速器用電磁石。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の加速器用電磁石におい
    て、前記コイル層間の接合は前記フィルム材に施した接
    着剤で実施し、前記接着剤は絶縁処理された素線の巻線
    時に塗布し一体化することを特徴とする加速器用電磁
    石。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の加速器用電磁石におい
    て、前記巻線時に塗布する接着剤は常温硬化型のエポキ
    シ樹脂であることを特徴とする加速器用電磁石。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の加速器用電磁石におい
    て、前記絶縁処理された素線を前記鉄心の磁極部を巻き
    芯として直接巻線することを特徴とする加速器用電磁
    石。
  10. 【請求項10】 請求項5記載の加速器用電磁石におい
    て、前記素線絶縁はコイル導体のまわりにポリイミド系
    のフィルム材またはガラスクロスを巻回することで行
    い、前記フィルム材またはガラスクロスに接着剤が予め
    セミキュアされていることを特徴とする加速器用電磁
    石。
  11. 【請求項11】 請求項10項記載の加速器用電磁石に
    おいて、前記励磁用コイルは前記絶縁処理された素線を
    巻線後、加圧を行うことなく加熱成形したものであるこ
    とを特徴とする加速器用電磁石。
  12. 【請求項12】 請求項5記載の加速器用電磁石におい
    て、前記鉄心に前記励磁用コイルを支持するサポート部
    を設け、このサポート部で支持されるコイル部分と前記
    サポート部及び鉄心間に絶縁物を介在させたことを特徴
    とする加速器用電磁石。
  13. 【請求項13】 請求項5記載の加速器用電磁石におい
    て、前記鉄心に前記励磁用コイルを支持するサポート部
    を設け、このサポート部で支持されるコイル部分の周囲
    に補強絶縁材をラップしたことを特徴とする加速器用電
    磁石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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