JPH09227253A - 陶磁器用上絵具の製造方法 - Google Patents
陶磁器用上絵具の製造方法Info
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- JPH09227253A JPH09227253A JP9169796A JP9169796A JPH09227253A JP H09227253 A JPH09227253 A JP H09227253A JP 9169796 A JP9169796 A JP 9169796A JP 9169796 A JP9169796 A JP 9169796A JP H09227253 A JPH09227253 A JP H09227253A
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Abstract
く、陶磁器製品に優れた光沢、発色及び透明性を付与
し、溶出鉛量が少なく化学的耐久性や化学的安定性を陶
磁器製品に具備させることができる上絵具の製造方法を
提供する。 【解決手段】 シリカ、酸化鉛、アルミナ、酸化硼素、
酸化カルシウム、酸化リチウム及び酸化ジルコニウムを
所定組成でそれぞれ含有させたガラス組成物に着色剤を
混合させ、その混合物を酸化性雰囲気中において1,0
00〜1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成
させた後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉
砕する。
Description
おいて被施釉物に上絵付けする際に使用する上絵具の製
造方法に関する。
れる上絵具は、着色剤がガラス中にイオン溶解した和絵
具と、着色剤がガラス中に懸濁した洋絵具とに大別され
る。また、その他に、着色剤を含まない無色絵具もあ
る。これらのうち和絵具は、着色剤がガラス組織中に溶
け込んで発色するため、高い透明性と光沢を与える、と
いった特徴がある。一方、洋絵具は、着色剤が未分解状
態のままで発色するため、透明性と光沢が優れない。ま
た、上絵具は、組成的には鉛の含有の有無により、有鉛
絵具と無鉛絵具とに分類される。
は、次のようにして行なわれる。まず、陶石、粘土、長
石等の原料を粉砕、混合して、それを成形し、その成形
物を500〜900℃の温度で素焼きした後、その素地
に高耐火度の着色剤で下絵付けし、その下絵の上に釉薬
(下地釉薬)を塗布した後、1,250〜1,300℃
程度の温度で焼成する。その後、焼成物の下地釉薬表面
に上絵具で絵付けし、750〜800℃程度の温度で再
焼成する。この際の焼成温度は、使用素地や下地釉薬の
影響を受け、被施釉物の使用原料によって相当違ってく
る。また、その焼成の際の必須条件として、被施釉物に
対し上絵具の溶融物による被覆が十分であること、上絵
具が失透しないこと、上絵具と被施釉物との剥離などの
欠陥が生じないこと、上絵具中の着色剤の発色が阻害さ
れないことなどが求められることとなる。すなわち、陶
磁器用上絵具に具備されるべき性質としては、焼成中
に失透し透明性が失われないものであること、着色剤
の発色が十分可能であること、素地との熱膨張率(熱
収縮率)の差が小さくて剥離等の欠陥を発生することの
ない範囲にあり、被施釉物と完全に融着すること、現
在使用されている有鉛上絵具と比べて光沢が変わらない
ことなどが要求される。
玉」と通称されているガラス粉砕物を用いており、この
白玉約60重量%に唐土約30%及び珪石約10%を混
合したものに適量の着色剤を混入するようにして和絵具
を調製するようにしていた。しかしながら、白玉を使用
した和絵具は、外観の商品的価値や美的感覚の向上を最
優先したものであり、陶磁器における化学的耐久性や化
学的安定性を科学的に考慮したものではない。
上絵付けにおいては、上絵具に使用する白玉や着色材等
の配合分量などは、絵付けにより製品に付与しようとす
る外観上の見栄えを最優先して、専ら作業者の経験と勘
により、古来からの定まった手法に従って機械的に選定
されている。そして、上記したように、上絵具の化学的
耐久性については、その組成などを科学的観点から考慮
する、といったことは行なわれていない。従って、従来
の上絵具を使用して製造された陶磁器製食器などは、商
品としての食器類に具備すべき要件のうち、剥離等の外
観上の欠陥が生じないことや、発色や透明性、光沢など
の美観の点については、十分な品質を備えているが、化
学的耐久性(耐酸性)や化学的安定性については不十分
な点があった。
は、公的規制の面から、すなわち、食品衛生法に規定さ
れる溶出鉛量の規制基準を完全にクリアーすることがで
きるような化学的耐久性を持っていることが強く要求さ
れ、無鉛上絵具の活用が強調され、有鉛上絵具は敬遠さ
れる傾向にある。しかし、現在の無鉛上絵具では、有鉛
上絵具に比べて融けや光沢、発色及び透明性の発現が不
完全であり、特に伝統産業としての陶磁器製食器の分野
では、融けや光沢、発色及び透明性といった品質の具備
が、商品の市場価値を決定する大きな要因であるため、
有鉛上絵具の使用を無鉛上絵具の使用に切り換えてしま
うといったことはできない、といった現実的事情があ
る。このため、有鉛上絵具の優れた特徴を十分に発揮
し、かつ、化学的耐久性や安全性、化学的安定性に優れ
た有鉛上絵具が強く求められている。
されたものであり、従来の有鉛上絵具と同様に、陶磁器
の被施釉物との剥離などの欠陥を生じたりすることがな
く、陶磁器製品に優れた光沢、発色及び透明性を付与す
るとともに、食品衛生法に規定する溶出鉛量の規制基準
にも完全に適合するような化学的耐久性や化学的安定性
を陶磁器製品に具備させて、陶磁器製食器類などに高い
安全性を持たせることができる陶磁器用上絵具を製造す
る方法を提供することを目的とする。
シリカ(SiO2)を30.0〜45.0重量%と酸化
鉛(PbO)45.0〜60.0重量%とを含有し、そ
れらSiO2及びPbOの合計量を85.0〜90.0
重量%とするとともに、その他にアルミナ(Al2O3)
を0.5〜4.0重量%と酸化硼素(B2O3)を1.0
〜4.0重量%と酸化カルシウム(CaO)を0.5〜
4.0重量%と酸化リチウム(Li2O)を1.0〜
3.0重量%と酸化ジルコニウム(ZrO2)を1.0
〜3.5重量%とを含有させて、全体で100重量%と
なるようにしてガラス組成物を調製し、そのガラス組成
物を酸化性雰囲気中において1,000〜1,400℃
の温度に加熱して急速溶融させ熟成させた後、その溶融
物を急冷させ、得られた固形物を粉砕することにより、
陶磁器用上絵具を製造することを要旨とする。
ラス組成物に、遷移金属酸化物及び/又は有色希土類元
素酸化物からなる着色剤を混合させ、着色剤が混合され
た前記ガラス組成物を酸化性雰囲気中において1,00
0〜1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成さ
せた後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕
することにより、陶磁器用上絵具を製造することを要旨
とする。
ラス組成物を酸化性雰囲気中において1,000〜1,
400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成させた後、
その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕してガラ
ス粉砕物を調製し、そのガラス粉砕物に遷移金属酸化物
からなる着色剤及び/又は顔料を混合させることによ
り、陶磁器用上絵具を製造することを要旨とする。
された上絵具は、ガラス組成物中に主成分であるSiO
2が30.0〜45,0重量%となるように含有されて
いるので、SiO2が30重量%以下であるときのよう
に、化学的耐久性が劣ったり、SiO2が45重量%以
上であるときのように、上絵付け後の焼成温度が850
℃以上となるような不都合を生じたりすることがない。
PbOは、ガラス形成成分として働き、特に絵具の透明
性、融け、光沢及び耐久性に関して良好に作用するが、
ガラス組成物中のPbOの量が少ないと、その作用が十
分に発揮されず、一方、PbOが過大量になると、耐酸
性が低下し、熱膨張係数も大きくなるので、上記ガラス
組成物にはPbOが45.0〜60.0重量%含有され
ており、適当である。Al2O3には、絵具の溶融温度を
高めるとともに化学的耐久性を向上させる作用がある
が、ガラス組成物中のAl2O3の適量は0.5〜4.0
重量%である。ガラス組成物中のAl2O3の含有量が
0.5重量%未満であると、分相を生じ易く、著しく対
酸性が劣化する上、透明性も損なわれることとなり、一
方、Al2O3の含有量が4.0重量%以上では、失透す
る。B2O3は、ガラスの粘性を低下させることを目的と
して含有させられるものであり、ガラス組成物中のB2
O3の適量は1.0〜4.0重量%である。B2O3の含
有量が1重量%未満であると、ガラスの粘性を低下させ
る作用が不十分となり、一方、B2O3の含有量が4重量
%以上では、化学的耐久性が低下することになる。Ca
Oは、高温でのガラスの流動を促進させ、ガラス溶融物
の清澄化及び均質化を促進し、また、少量の含有により
耐酸性の向上にも有効であるが、0.5〜4.0重量%
の含有量であると適当である。Li2Oは、主に溶融点
の低下を目的として含有させられるが、ガラス組成物中
の含有量は1.0〜3.0重量%が適当であり、1重量
%未満の含有量では効果が不十分となり、一方、3重量
%以上含有させると、耐酸性が低下し、失透し易くな
る。また、化学的耐久性や化学的安定性を維持するため
には、イオン半径の大きいNaイオンやKイオンの混入
を極力避けるべきであるが、リチウムは、アルカリ金属
ではイオン半径が最小であり、アルカリ金属酸化物とし
てLi2Oを用いることは、この点においても大きな意
味を持つ。ZrO2は、ガラスの化学的耐久性の向上に
寄与することが知られており(窯業協会誌83[2]8
1−86(1975))、ガラス組成物中にZrO2が
1.0〜3.5重量%含有されることにより、化学的耐
久性が著しく向上することになる。ZrO2の含有量が
1重量%未満であると、その効果が不十分となり、一
方、3.5重量%以上の含有量となると、失透し、化学
的耐久性も却って低下する。
磁器用上絵具の製造方法において、ガラス組成物に混合
される上記着色剤として、ガラス組成物100部に対
して1.5〜5.0部の酸化第二銅及び0〜0.5部の
酸化第二鉄、ガラス組成物100部に対して0.5〜
1.5部の酸化コバルト及び0〜1.6部の酸化第二
銅、ガラス組成物100部に対して0.5〜10.0
部の酸化第二鉄、もしくは、ガラス組成物100部に
対して0.5〜2.0部の酸化クロム、又は、ガラス
組成物100部に対して1.0〜15.0部の、酸化セ
リウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化エル
ビウムからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の
有色希土類元素酸化物のうちのいずれかを使用すること
を特徴とする。
求項4のいずれかに記載の陶磁器用上絵具の製造方法に
おいて、それぞれ、ガラス組成物を溶融させる際に高純
度アルミナ坩堝を用いるようにすることを特徴とする。
の化学的耐久性や化学的安定性を維持するには、イオン
半径の大きいNaイオンやKイオンが絵具に混入するの
を極力避けることが望ましいが、ムライト系坩堝でなく
高純度アルミナ坩堝を用いてガラス組成物をバッチ溶融
させることにより、絵具へのNaイオンやKイオンの混
入を防止することができる。
求項5のいずれかに記載の陶磁器用上絵具の製造方法に
おいて、それぞれ、上記ガラス組成物の成分の1つであ
るB2O3の供給原料としてコレマナイトを用いるように
することを特徴とする。
用すると、ガラス組成物中に不純物が極微量混入するこ
とになるが、コレマナイトでは、焼成溶解中におけるB
2O3の揮発が極めて少なく、B2O3の殆んどがガラスの
組織中に固定されることになり、ガラスの溶融状態にお
ける安定性、流動性が格段に向上することになる。
求項6のいずれかに記載の陶磁器用上絵具の製造方法に
おいて、それぞれ、上記ガラス組成物の成分の1つであ
るLi2Oの供給原料として硝酸リチウムを用いるよう
にすることを特徴とする。
用いると、焼成により、硝酸リチウムは分解して酸素を
放出するため、その放出酸素によって鉛の還元を防止し
ながら、分解によって酸化物(Li2O)の形態となる
とともに、還元鉛によるガラスの着色が防止されること
となる。
求項7のいずれかに記載の陶磁器用上絵具の製造方法に
おいて、それぞれ、上記ガラス組成物の成分の1つであ
るZrO2の供給原料としてジルコン(珪酸ジルコニウ
ム)を用いるようにすることを特徴とする。
ると、絵付けされた絵具の化学的耐久性を向上させる、
といったZrO2の作用が最も効果的に奏される。
具)の製造方法では、所定の組成を有するガラス組成物
を調製し、そのガラス組成物を酸化性雰囲気中において
1,000〜1,400℃の温度に加熱して急速溶融さ
せ熟成させた後、その溶融物を急冷させ、得られた固形
物を約10μm程度に粉砕するようにする。また、和絵
具を製造する場合には、所定の組成を有するガラス組成
物を調製した後、そのガラス組成物に、遷移金属酸化物
もしくは有色希土類元素酸化物又はその両方からなる着
色剤を混合させ、着色剤が混合されたガラス組成物を酸
化性雰囲気中において1,000〜1,400℃の温度
に加熱して急速溶融させ熟成させた後、その溶融物を急
冷させ、得られた固形物を約10μm程度に粉砕するよ
うにする。一方、洋絵具を製造する場合には、上記のよ
うにして得られた無色絵具(ガラス粉砕物)に遷移金属
酸化物からなる着色剤もしくは顔料又はその両方を混合
させるようにする。
0.0〜45.0重量%、PbOが45.0〜60.0
重量%含有され、それらSiO2とPbOとの合計量が
85.0〜90.0重量%とされ、その他にAl2O3が
0.5〜4.0重量%、B2O3が1.0〜4.0重量
%、CaOが0.5〜4.0重量%、Li2Oが1.0
〜3.0重量%、ZrO2が1.0〜3.5重量%、そ
れぞれ含有されて、全体で100重量%となっている。
それぞれの成分の供給源としては、例えば、SiO2に
ついては珪砂(精製品)、PbOについては鉛丹、Al
2O3については水酸化アルミニウム、B2O3については
コレマナイト、CaOについてはコレマナイト又は水酸
化カルシウム、Li2Oについては硝酸リチウム、Zr
O2についてはジルコンである。尚、B2O3の供給源料
としてコレマナイトを用いると、MgO、K2O、Na2
Oなどがコレマナイトの副成分としてガラス組成物中に
極く微量混入することになるが、その量は通常0.1重
量%以下である。
合される着色剤としては、例えば、ガラス組成物10
0部に対して1.5〜5.0部のCuOと0〜0.5部
のFe2O3との混合物、ガラス組成物100部に対し
て0.5〜1.5部のCoOと0〜1.6部のCuOと
の混合物、ガラス組成物100部に対して0.5〜1
0.0部のFe2O3、ガラス組成物100部に対して
0.5〜2.0部のCr2O3、ガラス組成物100部
に対して1.0〜15.0部の有色希土類元素酸化物の
いずれかが使用される。有色希土類元素酸化物として
は、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及
び酸化エルビウムがあり、これらのうちの1種の酸化物
が使用され、或いは2種以上の酸化物を組み合わせて使
用される。これらの有色希土類元素酸化物は、試薬とし
て市販されているものを使用する。有色希土類元素酸化
物の含有量については、添加成分の種類により異なる
が、ガラス組成物100部に対して5部を越えると透明
性が低下するので、その場合には、有色希土類元素酸化
物を着色剤無添加上絵具で希釈して使用するとよい。
ス組成物を酸化性雰囲気中において1,000〜1,4
00℃の温度に加熱してバッチ溶融させる場合に、一般
に使用されているムライト系坩堝ではなくて高純度アル
ミナ坩堝(Al2O3の含有割合が96%以上)や白金坩
堝などを用いることが好ましい。高純度アルミナ坩堝を
用いると、ガラス組成物の溶融時にNaイオンやKイオ
ンがガラス組成物中に混入するのを避けることができ
る。
具(ガラス粉砕物)に遷移金属酸化物からなる着色剤も
しくは顔料又はその両方を直接に混合させるようにする
が、着色剤としては、Fe2O3、CoO、Cr2O3等の
試薬や市販の各種陶磁器用顔料が使用される。また、着
色剤として炭酸銅等の炭酸塩を使用することもできる。
尚、炭酸銅や酸化コバルトは、少量では混合使用が可能
であるが、0.3%以上の量をガラス粉砕物に混合しよ
うすると、著しく発泡して外観が悪化するとともに、表
面積が増大し、化学的耐久性が著しく低下して鉛溶出量
が増加し、このため、炭酸銅や酸化コバルトを使用する
ことができない場合がある。この場合は、脱泡のため
に、一旦色ガラスを作成して粉砕し、上絵具として用い
るようにすればよい。また、着色剤や顔料は、混合添加
含有率を変化させることにより発色濃度を自在にコント
ロールすることが可能である。
化学的耐久性や光沢を付与するためにアルカリ土類金属
酸化物、例えば酸化バリウムを、また、上絵具の化学的
安定性を増進させるために酸化亜鉛を含有させるように
してもよく、その場合の含有量は、外割で0.1〜10
重量%程度にする。
説明する。まず、珪石、コレマナイト等の天然原料と着
色剤とを十分に混合させ、その混合物を60メッシュ以
下の微粉末状とし、その調合物を高純度アルミナ坩堝中
に投入する。そして、鉛還元防止のため酸化性雰囲気を
保ちながら、1,000℃〜1,400℃、好ましくは
1,250℃〜1,350℃の温度で1.5〜3時間、
調合物を加熱して溶融させ、十分熟成させる。その後
に、溶融物を水中に投下して急冷させ、得られた固形物
をミルにより約10μm径の微粒子に粉砕する。これに
より、陶磁器用上絵具(和絵具)が得られる。
に、それ以外は上記と同様の工程を経てガラス粉砕物を
調製し、そのガラス粉砕物に適当量の着色剤又は顔料を
混合させることにより、陶磁器用上絵具(洋絵具)を得
ることもできる。
場合は、水又は適量のふのりや数%のCMC水溶液等を
加えて適当な粘度の塗布用絵具とし、陶磁器用素地上に
形成された下地釉薬(被絵付物)上に塗布用絵具を塗布
し十分乾燥させた後、その絵付物を700℃〜850
℃、好ましくは780℃程度の温度で焼成するようにす
る。
数は、5.5×10-6〜6.5×10-6(100〜35
0℃)であり、従来の上絵具の熱膨張係数6×10-6〜
10×10-6(100〜350℃)と比較して全く遜色
が無く、また、この上絵具は、その焼成温度範囲を、着
色剤の発色性の良い700℃〜800℃とすることがで
きる。さらに、耐酸性については、日本陶業連盟陶磁器
安全管理委員会の定める安全検査実施要領の検査方法に
準拠して、絵付物を4%酢酸水溶液に24時間浸漬させ
ても、外観は全く変化せず、また、耐アルカリ性につい
ては、ASTMC 556による方法に準拠して、絵付
物を0.5%の無水炭酸ソーダ水溶液に6時間浸漬させ
て煮沸しても、外観は全く変化せず、耐酸性試験での鉛
溶出量は、食品衛生法の規制基準値17μg/cm2対
し1μg/cm2以下(絵具被覆面積50%)である。
て説明する。
使用し、これにコレマナイト、ジルコン及び硝酸リチウ
ムを配合し、SiO2:34.0重量%、PbO:5
6.1重量%、Al2O3:2.1重量%、B2O3:3.
1重量%、CaO:1.6重量%、Li2O:1.5重
量%、ZrO2:1.5重量%、不純物:0.1重量%
の組成のガラス組成物を調合して、十分に混合させた
後、その混合物を、60メッシュの篩いに通した。次
に、この調合物を高純度アルミナ坩堝に投入し、ガスバ
ーナ溶融炉により、1,250℃で1時間、溶融させ熟
成させた。そして、溶融物を水中に投下して急冷させ、
次いで、得られた固形物をポットミルにより10μm径
程度の微粒子に粉砕し、無色の上絵具を調製した。得ら
れた上絵具の特性を測定した結果、転移点が387℃、
屈伏点が504℃、熱膨張率が5.9×10-6であり、
耐酸性試験結果では外観に変化が無く、鉛溶出量は0.
5μg/cm2(絵具被覆面積50%)であった。
して外割で、イワサキ社製顔料[顔料ナンバーVG−8
510ヒワ]5部(実施例1)、イワサキ社製顔料[顔
料ナンバーZT−50トルコ青]3部(実施例2)、イ
ワサキ社製顔料[顔料ナンバーECB紺青]3部(実施
例3)、イワサキ社製顔料[半磁器淡黄]3部(実施例
4)、イワサキ社製含金顔料[ライラック]3部(実施
例5)の各種顔料をそれぞれ混合させ、5種類の上絵具
(洋絵具)を調製した。
対して外割で、酸化銅3部(実施例6)、酸化コバルト
1部(実施例7)、酸化クロム0.5部(実施例8)、
酸化鉄5部(実施例9)、酸化ネオジム10部(実施例
10)の試薬級の各種着色剤をそれぞれ混合させ、それ
以外は上記と全く同じ工程を経ることにより、5種類の
上絵具(和絵具)を調製した。
りで溶いて適当な粘度とし、それを陶磁器の下地釉薬層
上に筆で塗布し、絵付物を780℃の温度で焼成した。
その結果、実施例1は黄緑色、実施例2は空色、実施例
3は紺色、実施例4は淡黄色、実施例5は紫色、実施例
6は緑色、実施例7は紺色、実施例8は黄緑色、実施例
9は赤茶色、実施例10は青白色(多色性示す)をそれ
ぞれ呈し、何れも欠陥無く綺麗に発色した。
度、耐酸性試験(4%酢酸処理して24時間後)の変化
のあり、なしの外観所見、並びに、鉛溶出量(絵具被覆
面積50%)についての結果を表1に示す。
各発明の陶磁器用上絵具の製造方法によれば、従来の陶
磁器製造における焼付温度と同様の焼付温度での焼付け
が可能で、従来の有鉛上絵具と同様に、陶磁器の被施釉
物との剥離などの欠陥を生じたりすることがなく、従来
の伝統的陶磁器用上絵具を用いた場合の陶磁器外観に匹
敵する優れた光沢、発色及び透明性を持ち、食品衛生法
に規定する溶出鉛量の規制基準にも完全に適合するよう
な化学的耐久性や品質安定性を具備して、高い安全性を
持った陶磁器製品を供給することができる陶磁器用上絵
具が得られる。
造方法によれば、絵具へのNaイオンやKイオンの混入
を防止することができて、絵付けされた陶磁器製品の化
学的耐久性や品質安定性を維持することができる。
造方法によれば、供給原料中の酸化硼素の殆んどがガラ
スの組織中に固定されて、ガラスの溶融状態における安
定性、流動性を格段に向上させることができる。
造方法によれば、焼成中における鉛の還元を防止して、
還元鉛によるフリットの着色を防止することができる。
造方法によれば、絵付けされた絵具の化学的耐久性をよ
り向上させることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 シリカを30.0〜45.0重量%と酸
化鉛45.0〜60.0重量%とを含有し、それらシリ
カ及び酸化鉛の合計量が85.0〜90.0重量%とさ
れるとともに、その他にアルミナを0.5〜4.0重量
%と酸化硼素を1.0〜4.0重量%と酸化カルシウム
を0.5〜4.0重量%と酸化リチウムを1.0〜3.
0重量%と酸化ジルコニウムを1.0〜3.5重量%と
を含有して、全体で100重量%となるようにされたガ
ラス組成物を、酸化性雰囲気中において1,000〜
1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成させた
後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕する
ことを特徴とする、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項2】 シリカを30.0〜45.0重量%と酸
化鉛45.0〜60.0重量%とを含有し、それらシリ
カ及び酸化鉛の合計量が85.0〜90.0重量%とさ
れるとともに、その他にアルミナを0.5〜4.0重量
%と酸化硼素を1.0〜4.0重量%と酸化カルシウム
を0.5〜4.0重量%と酸化リチウムを1.0〜3.
0重量%と酸化ジルコニウムを1.0〜3.5重量%と
を含有して、全体で100重量%となるようにされたガ
ラス組成物に、遷移金属酸化物及び/又は有色希土類元
素酸化物からなる着色剤を混合させ、着色剤が混合され
た前記ガラス組成物を酸化性雰囲気中において1,00
0〜1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成さ
せた後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕
することを特徴とする、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項3】 着色剤が、ガラス組成物100部に対し
て1.5〜5.0部の酸化第二銅及び0〜0.5部の酸
化第二鉄、ガラス組成物100部に対して0.5〜1.
5部の酸化コバルト及び0〜1.6部の酸化第二銅、ガ
ラス組成物100部に対して0.5〜10.0部の酸化
第二鉄、もしくは、ガラス組成物100部に対して0.
5〜2.0部の酸化クロム、又は、ガラス組成物100
部に対して1.0〜15.0部の、酸化セリウム、酸化
プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化エルビウムからな
る群より選ばれた1種もしくは2種以上の有色希土類元
素酸化物である請求項2記載の、陶磁器用上絵具の製造
方法。 - 【請求項4】 シリカを30.0〜45.0重量%と酸
化鉛45.0〜60.0重量%とを含有し、それらシリ
カ及び酸化鉛の合計量が85.0〜90.0重量%とさ
れるとともに、その他にアルミナを0.5〜4.0重量
%と酸化硼素を1.0〜4.0重量%と酸化カルシウム
を0.5〜4.0重量%と酸化リチウムを1.0〜3.
0重量%と酸化ジルコニウムを1.0〜3.5重量%と
を含有して、全体で100重量%となるようにされたガ
ラス組成物を、酸化性雰囲気中において1,000〜
1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成させた
後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕して
ガラス粉砕物を調製し、そのガラス粉砕物に遷移金属酸
化物からなる着色剤及び/又は顔料を混合させることを
特徴とする、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項5】 ガラス組成物を溶融させる際に高純度ア
ルミナ坩堝を用いるようにする請求項1ないし請求項4
のいずれかに記載の、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項6】 酸化硼素の供給原料としてコレマナイト
を用いるようにする請求項1ないし請求項5のいずれか
に記載の、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項7】 酸化リチウムの供給原料として硝酸リチ
ウムを用いるようにする請求項1ないし請求項6のいず
れかに記載の、陶磁器用上絵具の製造方法。 - 【請求項8】 酸化ジルコニウムの供給原料としてジル
コンを用いるようにする請求項1ないし請求項7のいず
れかに記載の、陶磁器用上絵具の製造方法。
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