JPH09227126A - ヘマタイト粒子の製造方法及び該粒子を用いた強磁性粉末の製造方法及び磁気記録媒体 - Google Patents

ヘマタイト粒子の製造方法及び該粒子を用いた強磁性粉末の製造方法及び磁気記録媒体

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JPH09227126A
JPH09227126A JP8038495A JP3849596A JPH09227126A JP H09227126 A JPH09227126 A JP H09227126A JP 8038495 A JP8038495 A JP 8038495A JP 3849596 A JP3849596 A JP 3849596A JP H09227126 A JPH09227126 A JP H09227126A
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Noboru Jinbo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長軸長が0.23μm以下で針状比が2〜15
である単分散ヘマタイト粒子を工業的に製造する方法、
上記ヘマタイト粒子を用いて、粒子サイズ分布が出発原
料と殆ど変わらず、磁気特性が優れた強磁性粉末を製造
する方法、前記強磁性粉末を使用した高密度記録に好適
な磁気記録媒体を提供することにある。 【解決手段】 第2鉄塩水溶液に結晶化制御剤を添加
し、且つ 酸を加えて該水溶液のpHを1.0〜2.0
に調節し、加熱加水分解する事によって長軸長0.06
〜0.23μm、針状比2〜15の紡錘状或いは針状の
単分散ヘマタイト粒子を得ることを特徴とするヘマタイ
ト粒子の製造方法、 前記ヘマタイト粒子を還元した
マグネタイトを酸化または還元する強磁性粉末の製法、
および非磁性支持体上に前記で得られた強磁性粉末
と結合剤樹脂を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料、塗料、触
媒、フェライトの原料、磁気記録媒体用磁性酸化鉄の原
料などとして有用な、粒子サイズ分布が非常に小さい単
分散紡錘型ヘマタイト粒子の製造方法と、これを原料と
した磁気記録用強磁性粉末の製造方法及び磁気記録媒体
に関するものであり、特に、微粒子でかつ粒子サイズ分
布が優れた単分散紡錘型ヘマタイト粒子の製造方法と、
このヘマタイト粒子を使用することによる磁気特性が優
れた磁気記録用強磁性粉末の製造方法及び磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録技術は、媒体の繰り返し使用が
可能であること、信号の電子化が容易であり周辺機器と
の組み合わせによるシステムの構築が可能であること、
信号の修正も簡単にできること等の他の記録方式にはな
い優れた特長を有することから、ビデオ、オーディオ、
コンピューター用途等を始めとして様々な分野で幅広く
利用されてきた。
【0003】そして、機器の小型化、記録再生信号の質
の向上、記録の長時間化、記録容量の増大等の要求に対
応するために、記録媒体に関しては、記録密度のより一
層の向上が常に望まれてきた。
【0004】例えば、オーディオ、ビデオ用途にあって
は、音質及び画質の向上を実現するディジタル記録方式
の実用化、ハイビジョンTVに対応した録画方式の開発
に対応するために、従来のシステムよりも一層、短波長
信号の記録再生ができる磁気記録媒体が要求されるよう
になっている。
【0005】また、マイコンやパソコンの外部記憶媒体
である可撓性非磁性支持体上に磁性層を有するフロッピ
ーディスクに対しても、近年のパソコンの普及、アプリ
ケーション・ソフトの高度化、処理情報の増大の動向か
ら10Mバイト以上の高容量化が強く要求されるように
なってきた。
【0006】磁気記録媒体は、非磁性支持体上に磁性層
を形成し用途に応じて、テープ、ディスクもしくはカー
ドなどの形態にして使用されている。そして、磁性層に
は強磁性粉末を分散させた塗布液を非磁性支持体上に塗
布乾燥して得られる強磁性粉末と結合剤樹脂を主体とす
るいわゆる塗布型の磁性層と蒸着もしくはスパッタリン
グ等の真空成膜法により非磁性支持体上に真空成膜して
得られる強磁性金属薄膜より成るいわゆる金属薄膜型の
磁性層がある。
【0007】記録密度の観点からは、後者の金属薄膜型
の磁性層が優れており、古くから実用化の検討がなされ
ており、8mmビデオ用途などに実用化されている。
【0008】しかしながら、金属薄膜型磁気記録媒体
は、耐久性、走行性、耐食性等に特性上の問題があり、
問題に対処するために本来の優れた特性を充分に生かし
きれていない。また、製造コストも高く経済性にも問題
があった。一方、強磁性粉末と結合剤樹脂とを主体とす
る磁性層を非磁性支持体上に有するいわゆる塗布型磁気
記録媒体にあっては、金属薄膜型磁気記録媒体よりも耐
久性、走行性及び耐蝕性に優れてはいるが電磁変換特性
が金属薄膜磁気記録媒体に及ばす記録密度を向上させる
ための幾多の試みがなされてきた。
【0009】例えば、磁性層の表面性を高める方法、強
磁性粉末の磁気特性を改良する方法、強磁性粉末の磁性
層中での分散性を高める方法である。
【0010】例えば、磁気特性を高めるために強磁性粉
末に強磁性体強磁性金属粉末や六方晶系フェライトを使
用する方法が特開昭58−122623号公報、特開昭
61−74137号公報、特公昭62−49656号公
報、特公昭60−50323号公報、US462965
3号、US4666770号、US4543198号等
に開示されている。
【0011】また、強磁性粉末の分散性を高めるため
に、種々の界面活性剤(例えば特開昭52−15660
6号公報,特開昭53−15803号公報,特開昭53
−116114号公報等に開示されている。)を用いた
り,種々の反応性のカップリング剤(例えば,特開昭4
9−59608号公報,特開昭56−58135号公
報,特公昭62−28489号公報等に開示されてい
る。)を用いることが提案されている。
【0012】前記の強磁性金属粉末や六方晶系フェライ
トは高密度記録用媒体の強磁性粉末として優れている
が、金属薄膜型磁気記録媒体にはその電磁変換特性は及
ばないのが実状である。特に、六方晶系フェライトにお
いては、その飽和磁化が小さく磁性層の磁束密度が高く
できないという問題があった。また、その分散性も悪
く、表面性の優れた磁性層を得ることが難しかった。
【0013】また、磁性層の自己滅磁損失や記録滅磁損
失を軽滅して記録密度を向上させる方法として、磁性層
の厚みを強磁性金属薄膜型磁気記録媒体並に薄くしてし
かもその磁性層の平面性及び強度を確保するために下層
に比較的厚い非磁性層を設けた磁気記録媒体が特開昭5
7−198536号公報、特開昭62−154225号
公報、特開昭63−187428号公報、特開平4−3
25915号公報、特開平4−325916号公報、特
開平4−325917号公報等に開示されており特に高
域での出力に優れ強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に近い
電磁変換特性を示した。しかし、さらに電磁変換特性を
向上させようとすると以下のような強磁性粉末の粒子形
状に係わる問題があり限界があった。
【0014】即ち、金属薄膜型と微粒子メタル(強磁性
金属)粉末を使用した塗布型媒体の磁気特性を比較した
とき、メタル粉末を使用した塗布型媒体のSFD(Swit
ching Field Destribution) が金属薄膜に比較して大き
な数値を持ち、特性が劣ってることが最近明らかになっ
ており、一方、中村らは金属薄膜媒体の電磁変換特性を
改良するためシュミレーションを行い、異方性磁界分布
を改良することに短波長出力が向上することを指摘して
いる(日本応用磁気学会誌、Vol.115,155 〜158(199
1))。異方性磁界分布はSFDと強い相関があり、異方
性磁界分布が大きいとSFD(Hc分布)が大きくなる。
【0015】強磁性金属粉末では、Hc(抗磁力)に対
しては形状異方性が大きく効いていることが知られてお
り、そして強磁性粉末の粒子サイズ分布が広くなるHc
の分布も広くなることが知られている。このために強磁
性金属粉末の原料となる針状粒子であるゲータイト、レ
ピッドクロサイト、ヘマタイトなどの粒子サイズ分布を
小さくしようとする試みが絶えず継続されている。テー
プの表面の粗さを減少し短波長出力を改良するために微
粒子の強磁性金属粉末を使用する時は、長軸長や短軸長
のバラツキがHc分布に大きな影響を与えてしまった。
【0016】以上のように、従来の磁気記録媒体よりも
さらに特性を上げて記録密度を向上させるためには、強
磁性金属粉末の粒子サイズが小さくてなおかつその粒子
サイズ及び形状ができるだけ均一なものが望まれる。そ
れぞれの粒子がよく分離しており、粒子サイズ分布が非
常に小さい粒子は単分散粒子と呼ばれている。粒子サイ
ズと触媒性能や粒子間相互作用を研究するために単分散
粒子を合成する研究が進められている(例えば、表面、
29,978(1991)、同23,177(198
4))。単分散の紡錘型ヘマタイトを合成する方法は、
M.OzakiらによりJ.Colloid Inte
rface Sci.102 146〜151(198
4)に報告されている。彼等は第1の方法として、0.
02モルの塩化第2鉄と1.0×10-4〜4.0×10
-4モルのNaH2 PO4 もしくはNaH2 PO2 を含有
する液体を100±2℃で2日間保持し、粒子長0.2
6〜0.55μm、針状比2〜5.5の粒子を合成して
いる。第2の方法として、硝酸第2鉄に水酸化ナトリウ
ムを加え、水酸化第2鉄とし蒸留水で水洗を繰り返し、
0.02モルの水酸化第2鉄200cm3 中に5〜20
cm3 の1NのHClと0.5〜2.5cm3 の0.1
MのNaH2PO4 を添加し、全体を蒸留水で500c
3 とし、100±2℃で2日間保持し、粒子長0.2
7〜0.33μm、針状比3〜6の粒子を合成してい
る。
【0017】粒子長0.26、針状比2と粒子長0.2
7〜0.33μm、針状比3〜6の粒子が得られている
がこれより小さい粒子は得られていない。pHが高いの
でヘマタイトへの相変化、粒子の成長速度が速く、ヘマ
タイト核の生成核数が少ないために微粒子化しないと考
えられる。また収量を多くするため塩化第2鉄とNaH
2 PO4 もしくはNaH2 PO2の濃度を高めるとβF
eOOHが混入し、単一相の単分散紡錘型ヘマタイトが
得られないと報告している。
【0018】M.Ozakiらは得られた単分散紡錘型
ヘマタイトを340〜400℃で1〜3時間水素還元し
次に空気を流し240℃で1〜2時間酸化しγFe2
3 とした結果をJ.Colloid Interfac
e Sci.107 199〜203(1985)に報
告している。また杉本らは先に極端に濃厚なFe(O
H)3 ゲル(約1モル/リットル)を出発物とし、中間
生成物のβFeOOHを経て疑似立方体(平均粒径約2
μm)の単分散ヘマタイト粒子を合成した(J.Col
loid InterfaceSci.152、587
(1992))。また、特開昭63−162534に
は、所定濃度のβFeOOHをリン化合物の存在下加熱
加水分解処理して回転楕円形状で長軸長0.25μmの
ヘマタイト粒子粉末を得る方法を開示している。
【0019】M.Ozakiらの方法は、単分散紡錘型
ヘマタイトからγFe23 を得ているが、粒子長が最
も小さいもので0.27〜0.75μmで針状比3〜8
であり、0.27μm以下より小さい粒子は得られてい
ない。単分散紡錘型ヘマタイトを生成する反応液濃度が
希薄なため単分散紡錘型ヘマタイトの収量が少なく経済
的に大量に合成することができない。J.Colloi
d Interface Sci.152 587(1
992)の方法では、紡錘型ヘマタイトが得られず、か
つ微細な粒子が得られない。
【0020】特開昭63−162534は、長軸長が
0.25μmより小さいαFe23は得られないし、粒
子の単分散性が劣るものである。
【0021】即ち、今日では更に、上記した粒子長より
小さくかつサイズ分布が良好な単分散ヘマタイト粒子が
強く望まれており、そして、これにより走行性、耐久
性、保存性等の実用特性に優れ、且つ電磁変換特性が良
好で高記録密度の磁気記録媒体に適する強磁性粉を得る
ことが要望されており、また、塗布型の磁気記録媒体で
あっても、金属薄型磁気記録媒体に匹敵し得る電磁変換
特性を有する磁気記録媒体を得ることが要望されてい
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の問題点に鑑み成されたものであって、本発明の第1の
目的は、長軸長が0.23μm以下で針状比が2〜15
である単分散紡錘状または針状ヘマタイト粒子を工業的
に製造する方法を提供することにある。本発明の第2の
目的は、上記ヘマタイト粒子を用いて、磁気記録用強磁
性粉末を製造すること、特に、上記ヘマタイト粒子をア
ニール後還元するか、還元後アニールし、得られたマグ
ネタイトを酸化するか還元することにより、粒子サイズ
分布が出発原料と殆ど変わらず、磁気特性が優れた磁気
記録媒体用強磁性粉末を製造する方法を提供することに
ある。
【0023】本発明の第3の目的は、前記強磁性粉末を
使用した高密度記録に好適な磁気記録媒体を提供するこ
とにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者は酸化鉄の製法
に付いて検討を重ねた結果、第2鉄塩水溶液にある種の
結晶化制御剤を添加し、酸を加えてpHを制御し、加熱
加水分解を行うことにより従来法によるよりも微粒子な
ヘマタイトの単分散粒子を得る以下のような製造方法の
発明をなすに至った。
【0025】そして、本発明者はヘマタイトを原料にし
て、磁気記録媒体の原料となる強磁性粉末の製造方法の
製法について検討した結果、得られた強磁性粉末が高密
度記録用磁気記録媒体の原料として最適な特性を有する
ことを見いだし以下のような強磁性粉末及び磁気記録媒
体の発明をなすに至った。
【0026】即ち、本発明は、 第2鉄塩水溶液に結
晶化制御剤を添加し、且つ 酸を加えて該水溶液のpH
を1.0〜2.0に調節し、加熱加水分解する事によっ
て長軸長0.06〜0.23μm、針状比2〜15の紡
錘状或いは針状の単分散ヘマタイト粒子を得ることを特
徴とするヘマタイトの粒子の製造方法、 前記ヘマタ
イト粒子を還元してマグネタイトとした後に、該マグネ
タイトを酸化してFeOX (1.33<x≦1.5)と
することを特徴とする強磁性酸化鉄の製造方法、 前
記ヘマタイト粒子を還元してマグネタイトとした後に、
該マグネタイトを還元することを特徴とする強磁性金属
粉末の製造方法、および 非磁性支持体上に強磁性粉
末と結合剤樹脂を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒
体において、該強磁性粉末が前記で得られた強磁性酸
化鉄または前記で得られた強磁性金属粉末であること
を特徴とする磁気記録媒体である。
【0027】本発明の特徴とするところはFeCl3
の第2鉄塩にHCl等の酸を加えてpH1.0〜2.0
の酸性の条件下でNaH2 PO4 を結晶化制御剤として
加えて、加熱してオキシ水酸化鉄(FeOOH)を加水
分解により形成し、更にこれの脱水反応によりヘマタイ
ト(αーFe23 )とすると共により微粒子で、粒子
サイズ分布が優れた単分散ヘマタイト粒子が得られるも
のである。
【0028】特開昭63−162534号公報に開示の
方法は、加水分解時に酸を用いず、そのためアカガナイ
ト(βFeOOH)生成前の最初の液のpHは1.0〜
2.0よりアルカリ側になり、この様な条件下では、長
軸長が0.25μmより小さいαFe23 は得られな
い。この理由はpHが高いので粒子の成長速度が速く、
そのため粒子サイズが大きくなり、かつ単分散性に劣る
ものと思われる。この理由としては粒子間の静電気的な
反発力が弱まりその結果、成長過程で粒子の凝集が進行
し、粒子サイズの分布が拡がるものと思われる。
【0029】本発明では、上記従来技術の欠点が克服さ
れた結果、より長軸長の小さなかつ単分散性に優れたヘ
マタイト粒子が得られるものである。本発明において
は、第2鉄塩からのFeOOHの生成からヘマタイトへ
の生成反応は通常、好ましくは同一の反応系内で実施す
るが、所望により反応系を異なるものとしてもよい。
【0030】本発明においては、pHを1.0〜2.0
に制御することで結晶成長速度、粒子長等の粒子サイズ
を制御できる。pH制御の酸を添加しない場合は、粒子
サイズが0.25μm以上の大きな粒子となり0.06
〜0.23μmの微粒子は得られない。またpHを1.
0より小さくするとヘマタイトの単一相が得られない或
いはヘマタイトの生成のための加熱加水分解に多大な時
間を要するか高温での制御が必要となり経済性が劣り、
工業的な安価な製造法とならない。
【0031】加熱はpHが1.0〜2.0の範囲で行わ
れる。本発明において反応温度は一般的には90℃以上
である。90℃より低い温度では加熱加水分解またはヘ
マタイト化が不完全であるためFeOOH粒子が混在す
るか、或いは紡錘状もしくは針状性に優れたヘマタイト
が得難い。反応温度の上限は用いる結晶化制御剤の熱分
解しない程度の温度である。反応に際しては加圧しても
よいが通常特に意図的に加圧する必要はなく、単に密閉
容器中で反応混合物を加熱すればよい。この場合、反応
条件は、反応温度が、通常、90〜250℃、好適には
100〜200℃程度で、反応時間が通常、数十分〜2
40時間、好ましくは1〜144時間である。
【0032】本発明における結晶化制御剤は、鉄に対す
る配位能を有しこの配位能によって生成するヘマタイト
の結晶の成長方向と速度を制御して紡錘状或いは針状結
晶を生成させる水溶性の有機化合物または無機化合物か
ら選ばれる。本発明において好ましく用いる有機結晶化
制御剤の具体例として、カルボン酸、オキシカルボン
酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。具体的には、マレ
イン酸、コハク酸等のポリカルボン酸、特にジ、及びト
リカルボン酸、クエン酸、酒石酸、グルコール酸、サリ
チル酸等のオキシカルボン酸、ヒドロキシアミン、アミ
ノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミノテト
ラ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−
1,1−ジホスホン酸等の有機ホスホン酸、リジン、グ
リシン等のアミノカルボン酸等が挙げられ、単独または
組み合わせて用いることができる。また、これらの塩や
エステルも鉄に対し配位能を有する限りは結晶化制御剤
として用いることができる。
【0033】本発明において好ましく用いる無機結晶化
制御剤の具体例として、メタ燐酸、次亜燐酸、亜燐酸、
正燐酸、ピロ燐酸、燐酸ナトリウム、燐酸アンモニウ
ム、亜燐酸ナトリウム、次亜燐ナトリウム等の燐酸及び
縮合燐酸及びその塩類を挙げることができ、これらも単
独または組み合わせて用いることができる。結晶化制御
剤の使用量はヘマタイトの結晶の成長方向と速度を制御
するに足る量で有れば特に制限されないが 鉄1グラム
原子に対して総和で1×10-5〜1×10-1モル、好ま
しく1×10-4〜8×10-2モルである。
【0034】また前記結晶化制御剤に加えて亜鉛化合
物、アルカリ土類金属化合物或いは4価の金属化合物を
添加すると更に、微粒子で高針状性ヘマタイトが得られ
る。亜鉛化合物、アルカリ土類金属化合物或いは4価の
金属化合物の添加によってヘマタイト結晶核粒子が微細
化かつ均一化し、結晶核の生成を速やかにすると共に、
途中核発生を抑制しさらには核数もコントロールされそ
の結果として微粒子でかつ粒度分布幅の狭いヘマタイト
が生成すると推定する。
【0035】亜鉛化合物としては、ZnCl2 、Zn
(NO3 2 、ZnSO4 等が、アルカリ土類金属化合
物としては、SrCl2 、Sr(NO3 2 、SrSO
4 等が挙げられる。4価の金属化合物としてはSn、S
i、Ge、Ti、Zr、V,Nb、などの金属化合物が
例示され、具体的には、SnCl4 、SiCl4 、Na
2 SnO3、TiCl4 、ZrOCl2 、VOSO4
GeCl4 などをあげることができ、単独または組み合
わせて用いることができる。
【0036】亜鉛化合物、アルカリ土類金属化合物また
は4価の金属化合物の添加量は、鉄1グラム原子に対し
て総和で好ましく1×10-3〜5×10-2モルである。
前記金属化合物が前記範囲より少なきに過ぎると前記効
果がえられない。また 多きに過ぎると、ヘマタイト化
反応に長時間を要すると共に得られるヘマタイト粒子形
状が粒状化し好ましくない。
【0037】本発明におけるFeOOHの生成反応系の
pHを調整するための酸は、特に制限はないが、好まし
くは塩酸、硝酸、硫酸等で水溶液のpHを1.0〜2.
0に制御するに足る量が添加される。通常、これら酸の
濃度は、通常、0.01〜6M(モル/リットル)であ
り、本発明においてはこれらを所定量用いる。本発明に
用いられる第2鉄塩としては、ハロゲン化物、例えば塩
化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、水酸化物等が挙げ
られる。
【0038】本発明者は、上記単分散ヘマタイト粒子を
用いて、磁気記録用強磁性粉末を得べく検討を重ねた結
果、該単分散ヘマタイト粒子を還元してマグネタイトと
なし、これを酸化するか、還元することにより、粒子サ
イズ分布が小さい、磁気記録用強磁性粉末を得ることに
成功した。
【0039】特に、上記の単分散ヘマタイト粒子は、得
られた単分散ヘマタイト粒子を水素中で還元してマグネ
タイトとなし、これを単に酸化または還元しただけで
は、必ずしも磁気特性の優れた強磁性粉末が得られず、
単分散ヘマタイト粒子を還元するに先立ち、これをアニ
ール処理したり、還元してマグネタイトにした後にアニ
ール処理することにより、磁気特性が著しく改良された
強磁性粉11得ることに成功した。
【0040】また、上記のようにアニール処理した強磁
性粉を用いることにより、極めて磁気特性の優れた磁気
記録媒体を得ることに成功し、特に、該強磁性粉として
強磁性金属粉末を用い、重層構成となし、上層を厚さ
1.0μm以下の磁性層となし、下層を非磁性層とする
ことにより、前記金属薄型(蒸着型)に匹敵しうる磁気
記録媒体を塗布により得ることに成功した。
【0041】本発明は、上記単分散ヘマタイト粒子を
還元してマグネタイトとした後に、該マグネタイトを酸
化してFeOx (1.33<x≦1.5)とすることを
特徴とする強磁性酸化鉄の製造方法であり、本発明
は、前記本発明における該マグネタイトを還元するこ
とを特徴とする強磁性金属粉末の製造方法である。な
お、本発明およびの好ましい態様は、前記単分散ヘ
マタイト粒子または前記マグネタイトをアニール処理す
ることである。
【0042】本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末
と結合剤樹脂を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒体
において、該強磁性粉末が本発明またはにおける強
磁性酸化鉄または強磁性金属粉末であることを特徴とす
る磁気記録媒体である。
【0043】また、本発明の好ましい態様によれば、
該磁気記録媒体が、非磁性支持体上に非磁性粉末と結合
剤樹脂を主体とする非磁性層とその上に強磁性粉末と結
合剤樹脂を主体とする厚さ1.0μmの磁性層を有し、
該磁性層の該強磁性粉末が前記強磁性酸化鉄または前記
強磁性金属粉末であるものである。上記の薄層の磁性層
を有する磁気記録媒体の下層となる非磁性層に使用する
非磁性粉末に本発明の方法により得られた単分散ヘマタ
イト粒子を使用すると粒子サイズが小さく単分散粒子で
あるので磁性層との界面を均一にすることができ電磁変
換特性の優れた磁気記録媒体とすることができる。この
際、単分散ヘマタイト粒子に対して必要に応じてアニー
ル処理したり、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等
で表面処理を施してもよい。
【0044】上記本発明の強磁性粉末は、前記単分散ヘ
マタイト粒子の特徴である単分散をそのまま保持してお
り、且つ前記アニール処理を加えることによりSFDが
良好でHc分布が狭く、そのため磁気記録媒体に使用し
たときに特に記録減磁損失が改良され、短波長記録特性
が優れているという特長を有している。
【0045】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、「単分散」とは、粒子サイズ分布がシャープな
粒子を称するもので、サイズ分布の広がりは平均サイ
ズ、即ち平均長軸長に対する標準偏差にして高々15%
以内、好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内
のものである。
【0046】用いる第2鉄塩水溶液濃度範囲は第2鉄塩
の溶解度に限度があることと、濃度は薄くても単分散ヘ
マタイトは得られるが、濃度の低下とともに収量が減少
するので経済性の観点より濃度の下限が決まる。第2鉄
塩水溶液濃度は、通常、0.01〜2M、好ましくは
0.01〜0.3Mである。
【0047】本発明者は、上記のようにして得られた単
分散ヘマタイト微粒子を用いると優れた磁気特性を有す
る磁気記録用強磁性粉末を得ることができることを見出
した。強磁性酸化鉄粉末を製造するに際しては、得られ
た単分散ヘマタイト粒子を還元、酸化する前に、ヘマタ
イトに焼結防止処理をすることが有効で、焼結防止剤と
しては、シリカ、燐酸、アルミ−シリカ、またはこれら
を組み合わせて使用することができる。
【0048】使用する焼結防止剤の量はヘマタイトに対
し0.05〜3.0重量%が好ましく、より好ましくは
0.1〜1.5重量%である。焼結防止剤の量が少な過
ぎると還元、酸化に際し形状保持効果が乏しく、多過ぎ
ると飽和磁化が小さくなり、得られる強磁性粉末の磁気
特性が劣化する。
【0049】また、上記の単分散ヘマタイト粒子から強
磁性酸化鉄粉末を作るには、該ヘマタイト粒子を還元し
てマグネタイトとした後に、該マグネタイトを酸化し
て、FeOx (1.33<x≦1.5)なる強磁性酸化
鉄とする。本発明においては、上記のようにしても磁気
特性の良い強磁性粉末が得られるが、本発明で得られる
単分散ヘマタイト粒子を還元するに先立ち、これをアニ
ール処理したり、還元してマグネタイトにした後にアニ
ール処理することにより、得られる強磁性酸化鉄及び強
磁性金属粉末の磁気特性を更に改良することができる。
【0050】還元に先立ちアニール処理する場合は、強
磁性酸化鉄及び強磁性金属粉末の製造において共に、ア
ニール温度は450〜800℃が好ましく、更に好まし
くは500〜750℃である。アニール時間は1〜5時
間程度が好ましく処理温度との関係で選択することが望
ましい。高温で長時間アニール処理し過ぎると粒子形状
が変化してしまう。粒子を還元する方法としては周知の
水素ガス還元法、有機物を不活性ガス中で熱分解したと
き生成する還元ガスを使用する方法等を使用することが
できる。マグネタイトにした後、アニール処理する場合
は、強磁性酸化鉄及び強磁性金属粉末の製造において共
に、ヘマタイトを処理する場合に比較してやや低温で処
理することが望ましく、400〜600℃で処理するこ
とが好ましい。
【0051】強磁性酸化鉄の製法において、単分散ヘマ
タイト粒子を還元後マグネタイトとし、これを200〜
300℃で空気を流して酸化してγFe23 とするほ
か、酸化度を調整してFeOx (1.33<x≦1.
5)とすることができる。酸化度を調整する方法として
は、酸化ガス中の酸素濃度を低くしたり、酸化するとき
の温度を60〜150℃とすることなどで調整すること
ができる。
【0052】磁性酸化鉄とした後、表面にCo化合物を
被着させる方法としては周知の方法を使用することがで
きる。これらの方法は、例えば、特開昭49−7439
9号、同50−37667号。特公昭49ー49475
号各公報などに記載されている。
【0053】本発明により得られるFeOx(1.33
<x≦1.5)のX線回折測定による(110)の結晶
子サイズは、通常、40〜1200Å、好ましくは50
〜500Åであり、透過型電子顕微鏡観察による長軸長
は、通常、0.06〜0.23μm、好ましくは0.0
6〜0.15μmであり、針状比は、通常、2〜15、
好ましくは3〜10である。また、該FeOxのHc
は、通常、200〜450Oe、好ましくは250〜4
50Oe、更に好ましくは300〜450Oeであり、
σS (飽和磁化)は、通常、65〜85emu/g、好
ましくは70〜85emu/g、更に好ましくは72〜
85emu/gである。
【0054】本発明で得られた単分散ヘマタイトを強磁
性金属(合金)粉末に変換するためには、焼結防止剤で
処理することが好ましく、焼結防止剤としては、Al,
Si,Al−Si、B,Ca,Nd,Y,La等従来周
知のもの及びこれらを組み合わせて使用することができ
る。焼結防止剤の処理量としては、鉄に対し1〜20原
子%が好ましく、より好ましくは、3〜15原子%であ
る。焼結防止剤の被着処理方法は、充分水洗したヘマタ
イト粒子を水中に分散し、焼結防止に使用する元素を含
む化合物の水溶液を添加し吸着させたり、中和処理など
により粒子表面に沈着させ、さらに水洗し不純物を除去
することが好ましい。磁気特性の改良や耐侯性を改良す
るために、焼結防止剤で処理する前に金属元素を被着す
ることにより、還元後合金化することも好ましい。被着
処理に使用する元素としては、Co,Ni,Mn,C
u,Sn,Cr,Sb,Nd,Y,La,Sc,Ba,
Sr,Caなどがあり、単独でも組み合わせて使用して
もよい。前記還元前のアニール処理は、この被着処理の
後、実施することが好ましい。
【0055】合金化のために使用する金属の量は合金化
可能組成領域にもよるが、一般的には、0.1〜30重
量%である。非磁性合金となる場合は添加量をあまり多
くできないが、Co,Niなどの遷移金属の添加量は
0.1〜30重量%の範囲で変化させることができる。
Coは飽和磁化を高め、耐侯性を改良する効果があり、
好ましい添加元素である。一方、Niは還元を促進する
元素なので、低温で還元させることができ、形状保持効
果の点で効果がある元素である。
【0056】単分散ヘマタイト粒子を還元する方法とし
ては、水素ガス還元法、有機物を不活性ガス中で熱分解
した時に生成する還元ガスを使用する方法等がある。水
素ガス還元法では金属に還元するためには水素を使用
し、350〜550℃、好ましくは400〜500℃で
還元する。還元の進行は還元後の水素ガス中の水分を露
点計などでモニターすることで判定できる。得られた強
磁性金属粉末の表面を酸化し安定化する必要がある。こ
のため還元終了後、酸素濃度を制御したガスを流した
り、有機溶剤中で酸素含有ガスを通気したりして、表面
を徐酸化する。この場合、温度計で発熱量をモニター
し、急激な酸化が起きないようにする。また徐酸化に使
用するガス中の水分は極力低いことが望ましい。また、
除酸化をする前に特開昭63−52327号公報、特開
平7−94310号公報に記載されている化合物で処理
した後、除酸化することも強磁性粉末の飽和磁化σsを
高める上で有効である。
【0057】本発明により得られる強磁性金属粉末のX
線回折測定による(110)の結晶子サイズは、通常、
30〜1000Å、好ましくは50〜400Åであり、
透過型電子顕微鏡観察による長軸長は、通常、0.05
〜0.20μm、好ましくは0.05〜0.12μmで
あり、針状比は、通常、2〜12、好ましくは3〜9で
ある。また、該強磁性金属粉末のHcは、通常、600
〜2500Oe、好ましくは1300〜2500Oe、
更に好ましくは1800〜2500Oeであり、σ
S (飽和磁化)は、通常、100〜160emu/g、
好ましくは120〜160emu/g、更に好ましくは
135〜160emu/gである。
【0058】本発明の磁気記録媒体は磁性層が単層のも
のであっても従来の強磁性粉末を使用した磁気記録媒体
に比較してSFDが優れていることを反映し短波長出力
が優れている。また、非磁性支持体上に形成される塗布
層として、強磁性粉末を結合剤中に分散したものを非磁
性粉体を結合剤中に分散させた非磁性層の上に塗布した
磁性層とし、かつその厚さを1μm以下としたものは、
短波長出力が増加し、単層の場合よりも高性能の磁気記
録媒体が得られる。
【0059】また、上記非磁性層に代えて磁性層、例え
ば、上記強磁性酸化鉄を用いることもできる。尚、本発
明における磁気記録媒体の層構成は、非磁性支持体上に
少なくとも磁性層を1層設けたものであれば特に制限は
なく、任意の層構成を採用でき、例えば磁性層を複層化
したり、磁性層と反対面にバック層を設けたりすること
ができる。
【0060】非磁性支持体の一面に2層以上の塗布層を
形成させる方法としては、非磁性支持体上の第1塗布層
がまだ湿潤状態にあるうちに第2層用の塗布液をのせ、
その上に塗布する所謂、ウエット・オン・ウエット方式
(同時重層塗布方式、特開昭第61ー139929号公
報、特開昭第61−54992号公報)で塗布すること
により、すなわち、第1塗布層が湿潤状態にあるうちに
上層の磁性層を塗布して形成すると、上層の磁性層を薄
層にすことが容易となり、かつ塗布欠陥を減少すること
ができ、さらに、磁性層との密着性を大きくすることが
できるので好ましい。
【0061】本発明の磁気記録媒体において、塗布層を
2層以上設けた最上層に前記した本発明の強磁性粉末を
用いる理由は、高密度磁気記録性能を最大限に増加させ
る為である。その内容は、具体的に言えば、第1に、磁
気記録媒体の実用特性に必要なカーボンブラック等の非
磁性粉末を下層にのみ添加して必要な電気伝導性を確保
できるため、短波長磁気記録に重要な磁気記録媒体の最
上層の1μm以下の部分の単位体積当たりの飽和磁束密
度を増加させることができる為であり、第2には、最上
層の表面の凹凸を滑らかに仕上げられる為である。更
に、材料として単分散ヘマタイトを還元した比較的高価
な強磁性体の使用量を少なくできる為、経済的な有利さ
もある。
【0062】本発明の磁気記録媒体は、高いHc、高い
SQ(角形比)、低いSFDを示すが、特に下層が非磁
性層で上層が磁性層の場合は、Hcは通常、600〜2
700Oe、好ましくは1400〜2700Oeであ
り、SQは、通常、0.70〜0.95、好ましくは
0.82〜0.95であり、SFDは通常、0.250
〜0.350、好ましくは0.250〜0.320であ
る。
【0063】本発明の磁気記録媒体における磁性層の結
合剤樹脂は、従来、当該分野で用いられている、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が
使用できる。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が
−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200
000、好ましくは10000〜100000、重合度
が約50〜1000程度のものである。
【0064】このような結合剤樹脂としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アク
リル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビ
ニルアセタ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として
含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴ
ム系樹脂がある。
【0065】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリ
オ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。
【0066】前記の結合剤樹脂に、より優れた強磁性粉
末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応
じ、COOM,SO3 M、OSO3 M、P=O(OM)
2 、O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原
子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2 、N+
3 (Rは炭化水素基)エポキシ基、SH、CN、などか
ら選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合また
は付加反応で導入したものをもちいることが好ましい。
このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、
好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
【0067】本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤
樹脂は、強磁性粉末に対し、5〜50重量%の範囲、好
ましくは10〜30重量%の範囲で用いられる。塩化ビ
ニル系樹脂を用いる場合は5〜100重量%、ポリウレ
タン樹脂合を用いる場合は2〜50重量%、ポリイソシ
アネ−トは2〜100重量%の範囲でこれらを組み合わ
せて用いるのが好ましい。
【0068】また、磁性層の強磁性粉末の充填度は、使
用した強磁性粉末の最大飽和磁化量σs 及び最大磁束密
度Bm から計算でき(Bm /4πσs )となり、本発明
においてはその値は、望ましくは1.7g/cc以上で
あり、更に望ましくは1.9g/cc以上、最も好まし
くは2.1g/cc以上である。
【0069】本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/c
2、降伏点は0.05〜10kg/cm2 が好まし
い。
【0070】本発明にもちいるポリイソシアネ−トとし
ては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシア
ネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシア
ネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメ
タントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、
これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成
物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポ
リイソシアネ−ト等を使用することができる。これらの
イソシアネート類の市販されている商品名としては、日
本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL,
コロネ−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−
トMR、ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−
トD−102,タケネ−トD−110N、タケネ−トD
−200、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、
デスモジュ−ルL,デスモジュ−ルIL、デスモジュ−
ルN、デスモジュ−ルHL,等がありこれらを単独また
は硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組
合せでもちいることができる。
【0071】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、通
常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電防止剤、分散剤、可
塑剤、防黴剤等などを始めとする種々の機能を有する素
材をその目的に応じて含有させる。
【0072】本発明の磁性層に使用する潤滑剤として
は、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜
5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭
素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロ
キサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素
数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキ
ルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などの
シリコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫
化モリブデン、二硫化タングステンなどの無機粉末あ;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン塩化ビニ
ル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチ
ック微粉末;α−オレフィン重合物;常温で液状の不飽
和脂肪族炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭
素に結合した化合物、炭素数約20);炭素数12〜2
0個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアル
コールから成る脂肪酸エステル類、フルオロカーボン類
等が使用できる。
【0073】中でも脂肪酸エステルがもっと好ましい。
脂肪酸エステルの原料となる アルコールとしてはエタ
ノール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコー
ル、2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシル
アルコール、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、s−ブチルアルコール等の系
モノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソル
ビタン誘導体等の多価アルコールが挙げられる。同じく
脂肪酸としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−
エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステア
リン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイ
ン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミ
トレイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物
が挙げられる。
【0074】脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチル
ステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピル
ステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレー
ト、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシ
ルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブ
チルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、
ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブ
トキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピ
ルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレン
グリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールを
ミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリ
セリンのオレエート等の種々のエステル化合物を挙げる
ことができる。
【0075】さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用す
るときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減
するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直
鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択する
ことがなされる。これらの潤滑剤は結合剤100重量部
に対して0.2〜20重量部の範囲で添加される。
【0076】潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用
することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素
アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキ
ル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
【0077】本発明の磁性層に用いられる研磨剤として
は、一般に使用される材料で溶融アルミナ、炭化珪素、
酸化クロム(Cr23 )、コランダム、人造コランダ
ム、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザクロ石、エメ
リー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)等が使用される。
これらの研磨剤はモース硬度が6以上である。具体的な
例としては住友化学社製、AKP−10、AKPー1
2、AKP−15、20AKP−30,AKP−50、
AKP−1520、AKP−1500、HIT-50、
HIT60A,HIT- 100、日本化学工業社製、G
5,G7,S−1、酸化クロムK、上村工業社製UB4
0B、不二見研磨剤社製WA8000、WA1000
0、戸田工業社製TF140,TF180などが上げら
れる。平均粒子径が0.05〜3μmの大きさのものが
効果があり、好ましくは0.05〜1.0μmである。
【0078】これら研磨剤は強磁性粉末100重量部に
対して1〜20重量部、望ましくは1〜15重量部の範
囲で添加される。1重量部より少ないと十分な耐久性が
得られず、20重量部より多すぎると表面性、充填度が
劣化する。これら研磨剤は、あらかじめ結合剤で分散処
理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
【0079】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前
記非磁性粉末の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有
することもできる。しかしながら最上層の飽和磁束密度
を最大限に増加させるためにはできるだけ最上層への添
加は少なくし、最上層以外の塗布層に添加するのが好ま
しい。帯電防止剤としては特に、カーボンブラックを添
加することは、媒体全体の表面電気抵抗を下げる点で好
ましい。本発明に使用できるカ−ボンブラックはゴム用
ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、導電
性カーボンブラック,アセチレンブラック等を用いるこ
とができる。比表面積は5〜500m2 /g、DBP吸
油量は10〜1500ml/100g、粒子径は5mμ
〜300mμ、PHは2〜10、含水率は0.1〜10
%、タップ密度は0.1〜1g/cc、が好ましい。本
発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例として
はキャボット社製、BLACKPEARLS 200
0、1300、1000、900、800,700、V
ULCAN XC−72、旭カ−ボン社製、#80、#
60,#55、#50、#35、三菱化成工業社製、#
3950B、#3250B,#2400B、#230
0、#900,#1000,#30,#40、#10
B、コンロンビアカ−ボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50,40,15、ライオ
ンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラ
ックECDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−
600などが挙などがあげられる。カ−ボンブラックを
分散剤などで表面処理したり、カーボンブラックを酸化
処理したり,樹脂でグラフト化して使用しても、表面の
一部をグラファイト化したものを使用してもかまわな
い。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前に
あらかじめ結合剤で分散してもかまわない。磁性層にカ
−ボンブラックを使用する場合は磁性体に対する量は
0.1〜30重量%でもちいることが好ましい。さらに
非磁性層には全非磁性粉体に対し3〜20重量%含有さ
せることが好ましい。
【0080】一般的にカ−ボンブラックは帯電防止剤と
してだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向
上などの働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラック
により異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−
ボンブラックは、その種類、量、組合せを変え、粒子サ
イズ、吸油量、電導度、PHなどの先に示した諸特性を
もとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であ
る。使用できるカーボンブラックは例えば「カ−ボンブ
ラック便覧」カ−ボンブラック協会編を参考にすること
ができる。
【0081】本発明の磁気記録媒体の磁性層の下層に非
磁性層を形成する場合の非磁性層は、非磁性粉末を結合
剤樹脂中に分散した層である。その非磁性層に使用され
る非磁性粉末には、種々のものが使用できる。例えば、
α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−
アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α
−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、
酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが単独
または組合せで使用される。これら非磁性粉末の粒子サ
イズは0.01〜2μが好ましいが、必要に応じて粒子
サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非
磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせる
こともできる。使用する結合剤樹脂との相互作用を大き
くし分散性を改良するために,使用する非磁性粉末が表
面処理されていてもよい。表面処理物としては、シリ
カ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物により処
理でも、カップリング剤による処理でもよい。タップ密
度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5重量%
%、pHは2〜11、比表面積は5〜100m2 /g、
が好ましい。前記非磁性粉末の形状は針状、球状、サイ
コロ状、板状のいずれでも良い。本発明に用いられる非
磁性粉末の具体的な例としては、住友化学社製、AKP
−20、AKP−30,AKP−50、HIT−50、
日本化学工業社製、G5,G7,S−1、戸田工業社
製、TF−100,TF−120,TF−140、石原
産業社製TT055シリーズ、ET300W、チタン工
業社製STT30,強磁性酸化鉄及び強磁性金属粉末の
中間原料であるヘマタイト粒子などがあげられる。
【0082】本発明の磁気記録媒体の塗布層の下層に強
磁性層を形成する場合には、その強磁性体としては強磁
性酸化鉄、コバルト変性強磁性酸化鉄、CrO2 、六方
晶フェライト、各種金属強磁性体を樹脂中に分散した、
種々のものが使用できる。
【0083】非磁性支持体上に2層以上の塗布層を形成
させる塗布方式について、前記のウェット・オン・ウェ
ット方式の具体的な方法としては、
【0084】(1) 磁性塗料で一般的に用いられるグラビ
ア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョ
ン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿潤
状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号公
報、特開昭60−238179合公報及び特開平2−2
65672号公報に開示されている非磁性支持体加圧型
エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方
法、
【0085】(2) 特開昭63−88080号公報、特開
平2−17971号公報及び特開平2−265672号
公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ
内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の塗
布液をほぼ同時に塗布する方法、
【0086】(3) 特開平2−174965号公報に開示
されているバックアップロール付きエクストルージョン
塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する方
法、等が挙げられる。
【0087】ウェット・オン・ウェット方式で塗布する
場合、例えば、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液を用
いる時は、それらの流動特性はできるだけ近い方が、塗
布された磁性層と非磁性層の界面の乱れがなく厚さが均
一な厚み変動の少ない磁性層を得ることができる。塗布
液の流動特性は、塗布液中の粉末粒子と結合剤樹脂の組
み合わせに強く依存するので、特に、非磁性層に使用す
る非磁性粉末の選択に留意する必要がある。
【0088】本磁気記録媒体の非磁性支持体は、通常、
1〜100μm、望ましくは3〜20μm、非磁性層と
しては、0.5〜10μmである。磁性層を非磁性層の
上に設ける場合、磁性層の厚さは、通常、1.0μm以
下、好ましくは0.05〜0.5μm、更に好ましくは
0.05〜0.3μmである。また、非磁性支持体と下
層の間に密着性向上のための下塗り層を設けた場合、そ
の厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.
5μmである。また、非磁性支持体性の磁性層側と反対
側にバック層を設けた場合、この厚みは0.1〜2μ
m、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの下
塗り層、バック層は公知のものが使用できる。円盤状磁
気記録媒体の場合、両面もしくは両面に上記層構成を設
けることができる。
【0089】本発明で使用される非磁性支持体には特に
制限はなく、通常使用されているものを用いることがで
きる。非磁性支持体を形成する素材の例としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホ
ン、ポリエーテルサルホン等の各種合成樹脂のフィル
ム、およびアルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔
を挙げることができる。
【0090】本発明の目的を有効に達成するには、非磁
性支持体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRa(カッ
トオフ値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく
0.02μm以下、さらに望ましく0.01μm以下で
ある。また、これらの非磁性支持体は単に前記中心線平
均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突
起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に
応じて非磁性支持体に添加されるフィラ−の大きさと量
により自由にコントロ−ルされるものである。これらの
フィラ−の一例としては、Ca,Si、Tiなどの酸化
物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があ
げられる。本発明に用いられる非磁性支持体のウエブ走
行方向のF−5値は好ましくは5〜50Kg/mm2
ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30Kg/m
2 であり、ウエブ長手方向のF−5値がウエブ幅方向
のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の
強度を高くする必要があるときはその限りでない。
【0091】また、支持体のウエブ走行方向および幅方
向の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以
下、さらに望ましくは1.5%以下、80℃30分での
熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに望ましくは0.
5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100Kg
/mm2 、弾性率は100〜2000Kg/mm2 が望
ましい。
【0092】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノ−
ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチ
ルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではな
く、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解
物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
い。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好
ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は
必要ならば各層でその種類、量を変えてもかまわない。
下層に揮発性の高い溶媒をもちい表面性を向上させる、
下層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキ
サンなど)を用い塗布の安定性をあげる、上層に溶解性
パラメ−タの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその
例としてあげられるがこれらの例に限られたものではな
いことは無論である。
【0093】本発明の磁気記録媒体は、前記強磁性粉末
と結合剤樹脂、及び必要ならば他の添加剤と共に有機溶
媒を用いて混練分散し、磁性塗料を非磁性支持体上に塗
布し、必要に応じて配向、乾燥して得られる。
【0094】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造す
る工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれ
らの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からな
る。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても
かまわない。本発明に使用する磁性体、結合剤、カ−ボ
ンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などす
べての原料はどの工程の最初または途中で添加してもか
まわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割し
て添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練
工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で
分割して投入してもよい。
【0095】磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混
練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロー
ルミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンド
グラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトラ
イター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高
速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホ
モジナイザー、超音波分散機などを用いることができ
る。
【0096】本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程としてを用いることができ
ることはもちろんであるが、混練工程では連続ニ−ダや
加圧ニ−ダなど強い混練力をもつものを使用することが
好ましい。連続ニ−ダまたは加圧ニ−ダを用いる場合は
磁性体と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合
剤の30%以上が好ましい)および磁性体100重量部
に対し15〜500重量部の範囲で混練処理される。こ
れらの混練処理の詳細については特開平1−10633
8号公報、特開昭64−79274号公報に記載されて
いる。本発明では、特開昭62−212933に示され
るような同時重層塗布方式をもちいることによりより効
率的に生産することが出来る。
【0097】本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれ
る残留溶媒は好ましくは100mg/m2 以下、さらに
好ましくは10mg/m2 以下であり、磁性層に含まれ
る残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほ
うが好ましい。
【0098】磁性層が有する空隙率は多層構成の場合、
下層、最上層とも好ましくは30容量%以下、さらに好
ましくは10容量%以下である。非磁性層の空隙率が磁
性層の空隙率より大きいほうが好ましいが非磁性層の空
隙率が5容量%以上であれば小さくてもかまはない。
【0099】本発明の磁気記録媒体は下層と最上層を有
し得るが、目的に応じ下層と最上層でこれらの物理特性
を変えることができるのは容易に推定されることであ
る。例えば、最上層の弾性率を高くし走行耐久性を向上
させると同時に下層の弾性率を磁性層より低くして磁気
記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
【0100】このような方法により、支持体上に塗布さ
れた磁性層は必要により層中の強磁性粉末を配向させる
処理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必要
により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断し
たりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。以上の最
上層用の組成物および下層用の組成物を溶剤と共に分散
して、得られた塗布液を非磁性支持体上に塗布し、配向
乾燥して、磁気記録媒体をえる。
【0101】磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ
塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000Kg
/mm2 、破断強度は望ましくは1〜30Kg/c
2、磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向
とも望ましくは100〜1500Kg/mm2 、残留の
びは望ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる
温度での熱収縮率は望ましくは1%以下、さらに望まし
くは0.5%以下、もっとも望ましくは0.1%以下で
ある。
【0102】本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、オ
ーディオ用途などのテープであってもデータ記録用途の
フロッピーディスクや磁気ディスクであってもよいが、
ドロップ・アウトの発生による信号の欠落が致命的とな
るデジタル記録用途の媒体に対しては特に有効である。
更に、下層を非磁性層とし、最上層の厚さを1μm以下
とすることにより、電磁変換特性が高い、高密度で大容
量の磁気記録媒体を得ることができる。
【0103】
【実施例】以下に、この発明の実施例を、比較例と対比
して具体的に説明する。 実施例1 密閉可能な1リットルガラス容器に2M FeCl3
溶液10mlに1MHCl水溶液 30ml添加し0.
01M NaH2 PO4 水溶液 10ml、蒸留水 9
50mlを攪拌しながら添加し、添加終了後更に10分
間攪拌し、容器を完全に密栓した。
【0104】あらかじめ100℃に加熱してあるオーブ
ンにいれ、6日間保持した。6日間後、流水で急冷し、
反応液を遠心分離装置にて12000rpmで15分間
遠心分離し上澄みを捨てた。これに蒸留水を加えて再分
散して、再度遠心分離し上澄みをすてた。このように遠
心分離機を使用して水洗を4回繰り返した。水洗が終了
したヘマタイト粒子の沈殿物を凍結乾燥した。この様に
して得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸
長と針状比(長軸/短軸)を求めた。表1に生成条件を
結果を表3に示す。
【0105】強磁性酸化鉄の製法 このようにして得られた単分散紡錘型ヘマタイト粒子5
gを焼成管中に薄くひろげ、空気を2リットル/分流し
つつ、電気炉で600℃で2時間加熱しアニール処理を
した。次に電気炉の温度を380℃に低下させつつ、窒
素ガスを2リットル/分で30分流した。380℃にな
った後、水素ガスに切替え、水素ガスを2リットル/分
流し、1時間還元した。還元終了後窒素ガスに切替え、
電気炉の温度を240℃に低下させた。次に、窒素ガス
から空気に切替え、空気を2リットル/分で1時間流し
て酸化し、γFe23 を作った。得られたγFe2
3を振動試料型磁力計(VSM−5型、東英工業製)で
測定磁場強度5KOeで磁気特性を測定した。この様に
して得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸
長と針状比(長軸/短軸)を求めた。結果を表3に示
す。
【0106】実施例2、3 実施例1で添加するHClの添加量を変化させた(表1
に記載)以外は実施例1と同一の条件で同様に反応し、
単分散紡錘型ヘマタイト粒子を生成し、この様にして得
られた単分散紡錘型ヘマタイト粒子を透過型電子顕微鏡
で観察し平均長軸長と針状比(長軸/短軸)を求めた。
結果を表3に示す。次いで実施例1と同じ焼成条件で焼
成し、γFe23 を得た。得られたγFe23 を振
動試料型磁力計(VSMー5型、東英工業製で測定磁場
強度5KOeで磁気特性を測定した。この様にして得ら
れた粒子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状
比(長軸/短軸)を求めた。結果を表3に示す。
【0107】実施例4 実施例2のNaH2 PO4 水溶液の代えて、0.01M
アミノトリ(メチレンホスホン酸)水溶液を10ml
添加した以外は実施例2と同一条件で作成した単分散紡
錘型ヘマタイト粒子を生成し、この様にして得られた単
分散紡錘型ヘマタイト粒子を透過型電子顕微鏡で観察し
平均長軸長と針状比(長軸/短軸)を求めた。結果を表
3に示す。次いで実施例1と同じ焼成条件で焼成し、γ
Fe23 を得た。。得られたγFe23 を振動試料
型磁力計(VSMー5型、東英工業製で測定磁場強度5
KOeで磁気特性を測定した。この様にして得られた粒
子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状比(長
軸/短軸)を求めた。結果を表3に示す。
【0108】実施例5 実施例1で添加するNaH2 PO4 水溶液の代えて、
0.01M クエン酸水溶液を10ml添加し、かつH
Clの添加量を変化させた以外は実施例1と同一の条件
で同様に反応を行い、単分散紡錘型ヘマタイト粒子を生
成し、この様にして得られた単分散紡錘型ヘマタイト粒
子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状比(長
軸/短軸)を求めた。結果を表3に示す。次いで実施例
1と同じ焼成条件で焼成し、γFe23 を得た。得ら
れたγFe23 を振動試料型磁力計(VSMー5型、
東英工業製で測定磁場強度5KOeで磁気特性を測定し
た。この様にして得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観
察し平均長軸長と針状比(長軸/短軸)を求めた。結果
を表3に示す。
【0109】実施例6〜23、比較例1〜5 第2鉄塩種、酸の種類、結晶化制御剤種、及び金属化合
物の種類と各々の添加量、反応温度、反応時間を表1お
よび2に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一条
件で作成した単分散紡錘型ヘマタイト粒子を生成し、こ
の様にして得られた単分散紡錘型ヘマタイト粒子を透過
型電子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状比(長軸/短
軸)、単分散性=変動係数(%)=(長軸長の標準偏差
/平均長軸長)×100を求めた。結果を表3および4
に示す。
【0110】次いで実施例1と同じ焼成条件で焼成し、
γFe23 を得た。得られたγFe23 を振動試料
型磁力計(VSMー5型、東英工業製で測定磁場強度5
KOeで磁気特性を測定した。この様にして得られた粒
子を透過型電子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状比(長
軸/短軸)を求めた。結果を表3および4に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】実施例24 実施例4、6、13、15で得た磁性酸化鉄5gを塩酢
ビ系バインダー(20wt%のシクロヘキサノン溶液5
g)とらいかい機で混練した後、溶剤(トルエンとシク
ロヘキサノンの1:1混合溶剤15g)を加え分散し、
分散液をPETにアプリケーター塗布し15000eの
対向磁石で磁場配向した。得られたシートサンプルの磁
気特性を振動試料型磁力計(VSM−5型 東英工業
製)で測定磁場強度2KOe で磁気特性を測定した。得ら
れた結果を表5に示す。
【0116】比較例6 比較例2で得た磁性酸化鉄、戸田工業製の磁性酸化鉄M
X450(Hc 3500e、σs 72.5emu /
g、平均長軸長0.5μm、針状比10、比表面積20
2 /g)(比較例a)を使用し実施例24と同様にし
て磁気シートを作成し、磁気特性を測定した。得られた
結果を表5に示す。
【0117】
【表5】
【0118】実施例25 実施例1〜23で得られた単分散紡錘型ヘマタイトを水
中に分散し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルをヘマタイト
中のFeを100原子%とし、Coが30原子%、Ni
が3原子%となるうように懸濁液中に添加し充分攪拌混
合した。この懸濁液のpHをモニターしつつ懸濁液中に
アンモニア水を添加しpHを8.0としヘマタイト表面
にCo,Ni化合物を被着した。懸濁液を遠心分離し、
上澄み液をすてたのち、蒸留水を添加し再度懸濁させ
た。アルミン酸ナトリウムと珪酸ナトリウムの水溶液を
ヘマタイト中のFeを100原子%とし、Alが3原子
%、Siが1原子%となるように懸濁液に添加し、懸濁
液のpHをモニターしつつ懸濁液中に炭酸ガスを通気し
pHを7.0としヘマタイト表面にAl,Si化合物を
沈着させた。懸濁液を遠心分離し上澄み液をすてたの
ち、蒸留水を添加し再度懸濁させることを3回繰り返し
洗浄し乾燥した。
【0119】表面処理された単分散紡錘型ヘマタイト
(実施例4)を5gを焼成管中に薄くひろげ、表6に示
す各種アニール条件(A〜F)で処理した。 条件A、B、C ヘマタイトでの還元前のアニールは窒素を2リットル/
分流しつつ電気炉で表6記載の所定の温度で2時間加熱
した。次に電気炉の温度を450℃になった後、水素ガ
スに切り替え水素ガスを2リットル/分流し6時間還元
した。還元終了後、窒素ガスに切り替え室温まで冷却し
た。ガス混合機を使用し窒素ガス中に酸素含有ガスを混
合し、窒素中の酸素濃度を0.1体積%とし5時間接触
させ、ついでメタル粉の上部の温度をモニターし50℃
を越えない様にしつつ酸素濃度を増加し、酸素濃度を2
1%まであげメタルの徐酸化を行った。
【0120】条件D、E ヘマタイトでの還元前のアニール処理を行わず、表面処
理されたヘマタイトを水中をバブリングさせ水蒸気を含
有させた水素ガスで350℃で1時間還元しマグネタイ
トとし、窒素ガスに切り替え加熱処理温度および処理時
間を表6の記載の通り変えてアニール処理を行い、その
後、電気炉の温度を450℃にし、水素ガスに切り替え
水素ガスを2リットル/分流し6時間還元した。還元終
了後、条件Aと同様にメタルの徐酸化を行った。
【0121】条件F ヘマタイトでの還元前のアニール処理を行わず、表面処
理されたヘマタイトを水中をバブリングさせ水蒸気を含
有させた水素ガスで350℃で1時間還元しマグネタイ
トとし、そのアニール処理を行わずに電気炉の温度を4
50℃にし、水素ガスに切り替え水素ガスを2リットル
/分流し6時間還元した。還元終了後、条件Aと同様に
メタルの徐酸化を行った。
【0122】得られたメタル粉(実施例1〜3、実施例
5〜23、比較例2も条件Bにて作成)を振動試料型磁
力計(VSM−5型 東英工業製)で測定磁場強度10
KOeで磁気特性を測定した。また比表面積をカンターソ
ーブ(カンタークロム社製)を使用し、250℃で30
分脱水処理し測定した。さらに得られた粒子を透過型電
子顕微鏡で観察し平均長軸長と針状比(長軸/短軸)、
単分散性を求めた。得られた結果を表3〜4(表6にも
一部記載)に示した。
【0123】
【表6】
【0124】実施例26 塗布液の作成 上記強磁性金属粉末と炭酸鉄を経由したゲータイトを原
料とした市販のCo−Ni含有メタル粉(Hc1640
Oe、σs126emu/g、長軸長0.13μm、針状比
10、比表面積58m2 /g)(比較例b)を以下の条
件で磁性塗料とした。 (上層用組成物) 強磁性金属粉末(表7記載) 100部 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3 Na基を1×10-4eq/g含有 重合度 300 ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MD I=0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有) α−アルミナ(平均粒子サイズ 0.1μm) 1.5部 カーボンブラック(平均粒子サイズ 100nm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2.5部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 200部
【0125】 (下層用組成) 針状α−Fe2 3 80部 (平均粒子長0.15μm、平均針状比12、Al−Si処理 BET法による表面積 55m2 /g pH9.0) カーボンブラック 20部 (平均一次粒子径 16nm、 DBP及油量 80ml/100g BET法による比表面積 55m2 /g pH6.4) 結合剤樹脂 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 10部 (−N(CH3 )3 + Cl- の極性基を5×10-6eq/g含有 モノマー組成比 86:13:1 重合度 400) ポリエステルポリウレタン樹脂 8部 (基本骨格:1,4−BD/フタル酸/HMDI 分子量: 10200 水酸基: 0.23×10-3eq/g含有 −SO3 Na基:1×10-4eq/g含有 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2.5部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 200部
【0126】上記の下層用組成物及び上層用組成物のそ
れぞれをニーダーで混練した後,サンドグラインダーを
使用して分散した。得られた分散液にポリイソシアネー
トを下層の塗布液には5部,上層の塗布液には 6部を
加え,さらにメチルエチルケトンとシクロヘキサノン
1:1混合溶剤を20部加え,1μmの平均孔径を有す
るフィルターを使用して濾過し,非磁性層形成用および
磁性層形成用の塗布液を調製した。
【0127】得られた下層用の塗布液を乾燥後の厚さが
2μmとなるように塗布し、さらにその直後下層用塗布
層がまだ湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層の厚み
が所定の厚みとなるように厚さ7μmのポリエチレンテ
レフタレート支持体上に湿式同時重層塗布を行い,配向
処理を行う場合は両層がまだ湿潤状態にあるうちにSm
−Co磁石(表面磁束3000ガウス)とソレノイド電
磁石(表面磁束1500ガウス)により強磁性粉末の磁
場配向を行って乾燥させた。次いで金属ロールより構成
される7段カレンダーでロール温度を90℃にしてカレ
ンダー処理を施して,ウェッブ状の磁気記録媒体を得、
それを8mm幅にスリットして8mmビデオテープのサ
ンプルを作成した磁気特性は東英工業製の振動試料型磁
力計VSMー5を使用し,印加磁場5kOeで測定し
た。下層にメタルより低Hcの磁性酸化鉄を使用したテ
ープはメタルに対応するHcと高Hc部分についてSF
Dを算出した。
【0128】富士写真フィルム(株)製8mmビデオデ
ッキ、FUJIX8 を使用して5MHz と 10MHzの信号
を記録し,これらの信号を再生した時の再生出力をオシ
ロスコープから読み取って測定した。出力は市販のメタ
ル粉を使用した単層テープに対する相対値で表した。測
定結果を以下の表7に示す。
【0129】
【表7】
【0130】
【発明の効果】従来の加水分解法で単分散紡錘型ヘマタ
イトを得ていた濃度の10〜100倍の濃度でも単分散
紡錘型ヘマタイトを得ることができ経済的な製法となっ
た。単分散性の指標として、変動係数(%)=(長軸長
の標準偏差/平均長軸長)×100と定義すると、従来
のゲータイト法で製造した市販の磁性酸化鉄と強磁性金
属粉末の変動係数は、約30〜45%である。本発明の
単分散紡錘型ヘマタイト、強磁性金属粉末の変動係数、
SQ、及びSFDが従来のゲータイト法で製造した磁性
酸化鉄に比較して格段に優れている。またヘマタイトに
アニール処理を加えることにより、磁気特性(特にH
c)を増加することができた。本発明における単分散紡
錘型ヘマタイトを原料にして得られる強磁性金属粉末を
結合剤樹脂と共に分散し、非磁性支持体上に塗布した磁
気記録媒体は角型比及びSFDが従来法の強磁性金属粉
末を使用した磁気記録媒体に比較して格段に優れた特性
を示す。特に、非磁性層を設けた上に薄層の磁性層(特
に強磁性金属粉末層)を形成した磁気記録媒体の短波長
出力の改良が顕著である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第2鉄塩水溶液に結晶化制御剤を添加
    し、且つ 酸を加えて該水溶液のpHを1.0〜2.0
    に調節し、加熱加水分解する事によって長軸長0.06
    〜0.23μm、針状比2〜15の紡錘状或いは針状の
    単分散ヘマタイト粒子を得ることを特徴とするヘマタイ
    ト粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記結晶化制御剤が燐酸及び縮合燐酸
    類、カルボン酸、オキシカルボン酸、有機ホスホン酸、
    アミノカルボン酸、これらの塩及びエステルから選ばれ
    ることを特徴とする請求項1記載のヘマタイト粒子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記結晶化制御剤を鉄1グラム原子に対
    して総和で1×10 -5〜1×10-1モル共存させること
    を特徴とする請求項1または2に記載のヘマタイト粒子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛化合物、アルカリ土類金属化合物、
    及び4価の金属化合物から選ばれる1種以上を添加する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    ヘマタイト粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の亜鉛化合物、アルカリ土類金
    属化合物、及び4価の金属化合物から選ばれる1種以上
    を鉄1グラム原子に対して総和で1×10-4〜5×10
    -2モル共存させることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載のヘマタイト粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項で得られた
    ヘマタイト粒子を還元してマグネタイトとした後に、該
    マグネタイトを酸化してFeOX (1.33<x≦1.
    5)とすることを特徴とする強磁性酸化鉄の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項で得られた
    ヘマタイト粒子を還元してマグネタイトとした後に、該
    マグネタイトを還元することを特徴とする強磁性金属粉
    末の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ヘマタイト粒子または前記マグネタ
    イトをアニール処理することを特徴とする請求項6に記
    載の強磁性酸化鉄の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ヘマタイト粒子または前記マグネタ
    イトをアニール処理することを特徴とする請求項7に記
    載の強磁性金属粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤
    樹脂を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒体におい
    て、該強磁性粉末が請求項6または8で得られた強磁性
    酸化鉄または請求項7または9で得られた強磁性金属粉
    末であることを特徴とする磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記非磁性支持体と前記磁性層の間に
    非磁性粉末と結合剤樹脂を主体とする非磁性層を設け、
    かつ前記磁性層の膜厚が1.0μm以下であることを特
    徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007534841A (ja) * 2004-04-29 2007-11-29 メタロックス インターナショナル 酸性鉄塩溶液からの酸化鉄の沈殿
JP2008169110A (ja) * 2001-10-12 2008-07-24 Seoul National Univ Industry Foundation サイズ選別過程なしで単分散で結晶性に優れた金属、合金、金属酸化物、及び複合金属酸化物のナノ粒子を製造する方法
WO2023220735A1 (en) * 2022-05-13 2023-11-16 Phoenix Tailings, Inc. Extraction of elements and/or compounds from iron-containing materials such as iron-containing tailings, recovery of magnetically susceptible materials, and related systems and products

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