JPH09224933A - 骨粗鬆症診断装置 - Google Patents

骨粗鬆症診断装置

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Publication number
JPH09224933A
JPH09224933A JP3636296A JP3636296A JPH09224933A JP H09224933 A JPH09224933 A JP H09224933A JP 3636296 A JP3636296 A JP 3636296A JP 3636296 A JP3636296 A JP 3636296A JP H09224933 A JPH09224933 A JP H09224933A
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JP
Japan
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bone
cortical bone
echo
ultrasonic
acoustic impedance
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Application number
JP3636296A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Yasuyuki Kubota
康之 久保田
Masashi Kuriwaki
真史 栗脇
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨の弾性率を正確に測定し、信頼性の高い診
断を簡易に行う。 【解決手段】 予めX線CT装置等により、被験者の所
定の皮質骨の密度を正確に測定して得られたデータをキ
ーボード3を用いて入力する。次に、超音波パルスを被
験者の骨密度を測定した部位の皮質骨に向けて繰り返し
放射し、該皮質骨からのエコーを受波する。受波信号
は、A/D変換器8によって、デジタルのエコー信号に
変換され、CPU11によってエコーレベルが検出され
る。CPU11は、測定期間中に検出されたエコーレベ
ルの中から最大エコーレベルを抽出し、抽出された最大
エコーレベルに基づいて皮質骨の音響インピーダンスを
算出する。そして、算出された骨の音響インピーダンス
と入力された皮質骨の密度から被験者の皮質骨の弾性率
を算出する。皮質骨の弾性率は骨の折れ難さを示す重要
な尺度であるので、骨粗鬆症の確実な診断のために有効
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超音波パルスを
被験者の所定の皮質骨に向けて放射し、該皮質骨表面か
らのエコーレベルを測定することにより、骨粗鬆症を診
断する骨粗鬆症診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来に伴って、骨粗
鬆症と呼ばれる骨の疾患が問題となっている。これは、
骨からカルシウムが抜け出してスカスカになり、少しの
ショックで折れ易くなる病気で、高齢者をいわゆる寝た
きりにさせる原因の一つにもなっている。この骨粗鬆症
の物理的診断を行う装置としては、超音波を利用する診
断装置が知られている。超音波を利用する診断装置で
は、超音波が骨組織中を伝搬するときの音速や減衰を計
測して、骨密度を推定し、低い推定値が得られれば、そ
れは、骨からカルシウムが抜け出したためであると考え
ることができるので、骨粗鬆症と診断する。例えば、特
開平2−104337号公報に記載の診断装置では、一
方の超音波トランスデューサから測定部位である被験者
の骨組織に向けて超音波パルスを発射し、骨組織を透過
してきた超音波パルスを他方の超音波トランスデューサ
で受波することにより、骨組織中での音速を測定し、骨
組織内での音速が遅い程、骨粗鬆症が進行していると診
断する。これは、同診断装置が、骨組織中では音速は骨
密度に比例する、という前提に立って組まれたアルゴリ
ズムで動作するからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、骨密度
と音速や超音波の減衰とを結び付ける理論的根拠は不確
かである。加えて、この出願に係る発明者らの精緻な臨
床的研究によれば、骨密度が減少したからといって、こ
れに伴って、弾性率が低下するとは限らないことが判っ
た。すなわち、一般には、骨粗鬆症の進行とともに骨の
弾性率が低下し、同時に、骨密度も減少するが、骨の弾
性率が低下し、骨が折れ易くなっているにもかかわら
ず、骨密度は減少していない事例も多々認められた。し
たがって、骨組織中での音速や超音波の減衰についての
計測結果から骨密度を推定して、骨粗鬆症を診察すると
いう従来の診断装置に信頼性の高い診断を求めることに
は無理があった。
【0004】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、従来よりも一段と確実な診断を行うことのでき
る超音波反射式の骨粗鬆症診断装置を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、超音波トランスデューサを
被験者の所定の皮質骨を覆う皮膚表面に当てた状態で、
該超音波トランスデューサの送受波面の向きを、上記皮
質骨表面の法線の向きを含む所定の立体角の範囲内で様
々に変えながら、超音波パルスを上記皮膚下の皮質骨に
向けて繰り返し発射し、1パルス発射毎に、該皮質骨表
面から戻ってくるエコーを上記超音波トランスデューサ
によって受波し、受波信号をアナログ/デジタル変換器
によってデジタル信号に変換し、デジタル化されたエコ
ー信号を用いて信号処理を行うことにより骨粗鬆症を診
断する超音波反射式の骨粗鬆症診断装置であって、入力
される上記エコー信号からエコーレベルを検出するエコ
ーレベル検出手段と、検出された複数の上記エコーレベ
ルの中から最大エコーレベルを抽出するための最大エコ
ーレベル抽出手段と、抽出された上記最大エコーレベル
に基づいて、上記皮質骨の音響インピーダンスを算出す
る音響インピーダンス算出手段と、被験者の上記皮質骨
の密度データを入力するための骨密度入力手段と、上記
音響インピーダンス算出手段において算出された上記皮
質骨の音響インピーダンス及び上記骨密度入力手段によ
って入力された上記皮質骨の密度データに基づいて、上
記皮質骨の弾性率を算出する弾性率算出手段とを備え、
該弾性率算出手段によって算出された上記皮質骨の弾性
率を指標として骨粗鬆症を診断することを特徴としてい
る。
【0006】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の骨粗鬆症診断装置であって、上記音響インピーダン
ス算出手段は、上記最大エコーレベル抽出手段によって
抽出された上記最大エコーレベルに基づいて上記被験者
の軟組織に対する上記皮質骨の超音波反射係数を算出
し、算出された該超音波反射係数に基づいて、上記皮質
骨の音響インピーダンスを算出することを特徴としてい
る。
【0007】
【作用】この発明の構成において、予め、X線CT装置
(X線コンピュータ断層撮影装置)等により、被験者の
所定の皮質骨の密度を正確に測定して得られた密度デー
タを骨密度入力手段を用いて骨粗鬆症診断装置本体に入
力する。次に、超音波トランスデューサから超音波パル
スを被験者の上記皮質骨に向けて繰り返し発射し、1パ
ルス発射毎に、該皮質骨表面から戻ってくるエコーを上
記超音波トランスデューサによって受波し、この受波信
号に基づいて、上記皮質骨の音響インピーダンスを算出
する。そして、一般に、弾性率は音響インピーダンスの
二乗と密度の比で表されるので、この関係から、入力さ
れた上記皮質骨の密度データと上記皮質骨の音響インピ
ーダンスとに基づいて、上記皮質骨の弾性率を算出し、
この皮質骨の弾性率を指標として骨粗鬆症を診断する。
この発明の構成によれば、骨粗鬆症を診断するために重
要な、骨の折れ難さの尺度である皮質骨の弾性率を、受
波したエコーに基づいて算出した皮質骨の音響インピー
ダンスと、骨密度入力手段によって入力された皮質骨の
密度データとから直接的かつ正確に算出し、この皮質骨
の弾性率を指標として骨粗鬆症を診断するので、一段と
信頼性の高い診断を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図、図2は、同装置の外観
図、図3は、同装置の使用状態を示す模式図、図4は、
同装置の動作処理手順を示すフローチャート、図5は、
同装置の動作の説明に用いられる図、図6は、同装置の
動作の説明に用いられる図である。この例の骨粗鬆症診
断装置は、図1乃至図3に示すように、電気パルス信号
が所定の周期で入力される度に、これに応答して、測定
部位である被験者の所定の皮質骨Mbに向けて超音波パ
ルスAiを発射すると共に、皮質骨(皮質骨)Mbの表
面Yから戻ってくるエコー(以下、骨エコーという)A
eを受波して受波信号(電気信号)に変換する超音波ト
ランスデューサ(以下、単に、トランスデューサとい
う)1と、このトランスデューサ1に電気パルス信号を
供給し、トランスデューサ1から出力される上記受波信
号を処理して皮質骨Mbからの反射波の振幅である骨エ
コーレベルを抽出することにより、骨粗鬆症の診断を行
う装置本体2と、予め、X線CT装置(X線コンピュー
タ断層撮影装置)等により、トランスデューサ1を当て
てエコーを測定する部位の被験者の皮質骨Mbの骨密度
ρを正確に測定して得られたデータを装置本体2に入力
するためのキーボード3とを有してなっており、トラン
スデューサ1と装置本体2とは、ケーブルCによって接
続されている。
【0009】上記トランスデューサ1は、チタンジルコ
ン酸鉛(PZT)等の円板状の厚み振動型圧電素子の両
面に電極層を有する超音波振動子1aを主要部として構
成され、この超音波振動子1aの一方の電極面(超音波
パルスAiの送受波面)には、送信残響の効果を除去を
するために、ポリエチレンバルク等の超音波遅延スペー
サ1bが固着されている。なお、送信残響が骨エコーA
eの受波に影響を及ぼさない場合には、超音波遅延スペ
ーサ1bを省略できる。ここで、精度の高い測定を行う
には、トランスデューサ1の送受波面から平面波とみな
して差し支えのない超音波パルスAiを皮質骨Mbに向
けて放射でき、平面波とみなして差し支えのない骨エコ
ーAeが送受波面に戻ってくるのが望ましいことから、
トランスデューサ1としては、送受波面をできるだけ広
くしたものが好適である(この例では、送受波面の直径
Dを15[mm]に設定)。同様の観点から、測定部位た
る皮質骨Mbとしては、曲率半径の大きな平坦性の良い
部位、例えば、頭骨、頸骨、肩胛骨等の皮質骨Mbを選
択することが好ましい。
【0010】上記装置本体2は、パルス発生器4と、整
合回路5と、増幅器6と、波形整形器7と、A/D変換
器8と、ROM9と、RAM10と、CPU(中央処理
装置)11と、レベルメータ12と、表示器13とから
構成されている。パルス発生器4は、ケーブル3を介し
てトランスデューサ1に接続され、中心周波数略2.5
MHzの電気パルス信号を所定の周期(例えば、100
msec)で繰り返し生成して、トランスデューサ1に送信
する。整合回路5は、ケーブル3を介して接続されるト
ランスデューサ1と装置本体2との間で、最大のエネル
ギ効率で信号の授受ができるように、インピーダンスの
整合を行う。それゆえ、受波信号は、トランスデューサ
1の超音波振動子1aが骨エコーAeを受波する度に、
トランスデューサ1から出力され、整合回路5を介し
て、エネルギの損失なしに、増幅器6に入力される。増
幅器6は、整合回路5を経由して入力される受波信号を
所定の増幅度で増幅した後、波形整形器7に入力する。
波形整形器7は、LC構成のバンドパスフィルタからな
り、増幅器6によって増幅された受波信号にフィルタ処
理を施して、ノイズ成分を除去すべく線形に波形整形し
た後、A/D変換器8に入力する。A/D変換器8は、
図示せぬサンプルホールド回路、サンプリングメモリ
(SRAM)等を備え、CPU11のサンプリング開始
要求に従って、入力される波形整形器7の出力信号(波
形整形されたアナログの受波信号)を所定の周波数(例
えば12MHz)でサンプリングしてデジタルエコー信
号(以下、骨エコー信号という)に順次変換し、得られ
た骨エコー信号を一旦自身のサンプリングメモリに格納
した後、CPU11に送出する。
【0011】ROM9は、オペレーティングシステム
(OS)の他に、CPU11が骨粗鬆症診断のために実
行する処理プログラムを格納する。この処理プログラム
は、1パルス1エコー毎にA/D変換器8から骨エコー
信号を取り込んで骨エコーレベルを検出する手順、この
ようにして検出された多数の骨エコーレベルの中から最
大骨エコーレベルを抽出する手順、抽出された最大骨エ
コーレベルに基づいて、被験者の軟組織Maに対する皮
質骨Mbの超音波反射係数Rを算出する手順、算出され
た超音波反射係数Rに基づいて、被験者の皮質骨Mbの
音響インピーダンスZbを算出する手順及びこの音響イ
ンピーダンスZbとキーボード3を用いて入力された骨
密度ρとに基づいて、被験者の皮質骨Mbの弾性率Eを
算出する手順等が記述されている。なお、この処理プロ
グラムでは、被験者の皮質骨Mbの音響インピーダンス
Zbは、式(1)によって与えられる。
【0012】
【数1】 Zb=Za(R+1)/(1−R) …(1) Za: 軟組織Maの音響インピーダンス(既知) ここで、皮質骨Mbの表面Yが略平面で、トランスデュ
ーサ1から発射される超音波パルスAiも平面波で、し
かも、その波面が皮質骨Mbの表面Yと略平行であると
みなせるとき(つまり、超音波パルスAiが皮質骨Mb
の表面Yに略垂直に入射するとき)、被験者の軟組織M
aに対する皮質骨Mbの超音波反射係数Rは、式(2)
で表される。ところで、骨エコーレベルは、超音波パル
スAiが皮質骨Mbの表面Yに略垂直に入射するときに
極大となる。したがって、この例によって抽出される最
大骨エコーレベルは、後述するように、超音波パルスA
iが皮質骨Mbの表面Yに略垂直に入射したときに得ら
れるので、抽出された最大骨エコーレベルから算出され
る超音波反射係数Rは、式(2)によって与えられる超
音波反射係数Rと一致する。それゆえ、式(2)を変形
することにより、式(1)が得られる。
【0013】
【数2】 R=(Zb−Za)/(Zb+Za) …(2) そして、被験者の皮質骨Mbの弾性率Eは、式(1)よ
り算出された音響インピーダンスZbとキーボード3を
用いて入力された骨密度ρとにより、式(3)によって
求められる。
【数3】 E=Zb2/ρ …(3)
【0014】RAM10は、CPU11の作業領域が設
定されるワーキングエリアと、各種データを一時記憶す
るデータエリアとを有し、データエリアには、キーボー
ド3を用いて入力された骨密度ρや、今回検出された骨
エコーレベル(今回骨エコーレベル)、これまで検出さ
れた骨エコーレベルの中から抽出された最大骨エコーレ
ベルを記憶するエコーデータメモリエリア、今回受波さ
れた骨エコー波形(今回骨エコー波形)や最大骨エコー
レベルが検出されたときに受波された骨エコー波形(最
大骨エコー波形)を記憶する波形メモリエリア、及び測
定続行か否かの情報を記憶する測定続行フラグ等が設定
されている。
【0015】CPU11は、ROM9に格納されている
上述の各種処理プログラムをRAM10を用いて実行す
ることにより、パルス発生器4やA/D変換器8を始め
装置各部を制御して、1パルス1エコー毎にA/D変換
器8から骨エコー信号を取り込んで骨エコーレベルを検
出し、さらに、その中から最大骨エコーレベルを抽出
し、抽出された最大骨エコーレベルの値に基づいて、被
験者の軟組織Maに対する皮質骨Mbの超音波反射係数
Rを算出し、算出された超音波反射係数Rに基づいて、
被験者の皮質骨Mbの音響インピーダンスZbを算出
し、さらに、この音響インピーダンスZbとキーボード
3を用いて入力された骨密度ρとに基づいて、被験者の
皮質骨Mbの弾性率Eを算出して骨粗鬆症の診断を行
う。レベルメータ12は、CPU11によって制御さ
れ、RAM10に記憶されている今回骨エコーレベルを
図2及び図3に破線で示す液晶指針パターン12aの振
れとして、また、これまで(今回まで)に検出された中
での最大骨エコーレベルを同図に実線で示す液晶指針パ
ターン12bの振れとして同時に表示する。また、表示
器13は、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等
からなり、CPU11の制御により、最大骨エコーレベ
ル(測定値)、超音波反射係数R(算出値)、音響イン
ピーダンスZb(算出値)、骨密度ρ(入力値)、弾性
率E(算出値)、今回骨エコー波形や最大骨エコー波形
等が画面表示される。
【0016】キーボード3は、操作者が骨密度データを
入力するための各種キーや、測定開始を指示するための
測定開始スイッチ、測定終了を指示するための測定終了
スイッチを備えてなっている。音響インピーダンスZb
を測定する部位の被験者の皮質骨Mbの骨密度ρは、例
えば、X線CT装置(X線コンピュータ断層撮影装置)
等により予め正確に測定して得られ、操作者は、この骨
密度ρを数値データとして、キーボード3から装置本体
2に入力する。なお、キーボード本体は、着脱可能のケ
ーブルを介して装置本体2に接続されている。
【0017】次に、図3乃至図6を参照して、この例の
動作(骨粗鬆症診断時における主としてCPU11の処
理の流れ)について説明する。まず、曲率半径が大き
く、皮膚の表面に近く、かつ、骨の厚さも比較的厚い頭
骨、脛骨又は肩胛骨の皮質骨Mbを測定部位として選
ぶ。このような皮質骨Mbからは、平面波とみなして差
し支えのない骨エコーAeが戻ってくるので、測定精度
を高める上で好ましいし、さらに、ノイズの混入が少な
く、再現性の良い安定したエコーレベルの測定が可能と
なるからである。装置に電源が投入されると、CPU1
1は、装置各部のプリセット、カウンタや各種レジス
タ、各種フラグの初期設定を行った後(ステップSP1
0(図4))、キーボード3から骨密度ρの数値データ
が送出されてくるのを待つ(ステップSP11)。そし
て、操作者がキーボード3を用いて骨密度ρのデータを
入力すると、CPU11はこのデータを受け取り、RA
M10へ転送して記憶させると共に、表示器13に表示
させる(ステップSP12)。この後、CPU11は、
測定開始スイッチが押下されるのを待つ(ステップSP
13)ので、ここで、操作者は、図3に示すように、被
験者の測定部位である皮質骨Mbを覆う軟組織Maの表
面(皮膚の表面X)に、超音波ゲル14を塗り、超音波
ゲル14を介してトランスデューサ1を皮膚の表面Xに
当て、送受波面を皮質骨Mbに向けた状態で、測定開始
スイッチをオンとする。測定開始スイッチがオンとされ
ると(ステップSP13)、CPU11は、測定続行フ
ラグに「1」を書き込んで測定続行フラグを立てた後、
これより、図4に示す処理手順に従って診断動作を開始
する。
【0018】CPU11は、まず、パルス発生器4に1
パルス発生命令を発行する(ステップSP14)。パル
ス発生器4は、CPU11から1パルス発生命令を受け
ると、電気パルス信号をトランスデューサ1に送信す
る。トランスデューサ1は、パルス発生器4から電気パ
ルス信号の供給を受けると、被験者の皮質骨Mbに向け
て(取り扱う短い距離の間では平面波とみなして差し支
えのない)超音波パルスAiを発射する。発射された超
音波パルスAiは、図5に示すように、皮膚の表面Xで
一部が反射され、残りが皮膚の表面Xから軟組織Ma内
に注入され、皮質骨Mbに向かって伝搬する。そして、
皮質骨Mbの表面Yで一部が反射して骨エコーAeとな
り、一部は皮質骨Mbに吸収され、残りは皮質骨Mbを
透過する。骨エコーAeは、入射超音波Aiとは逆の経
路を辿り、再びトランスデューサ1の超音波振動子1a
によって受波される。それゆえ、トランスデューサ1で
は、超音波パルスAiの発射後、まず、送信残響An
が、続いて、皮膚の表面Xからのエコー(以下、表面エ
コーという)Asが、少し遅れて、骨エコーAeが超音
波振動子1aによってそれぞれ受波されて、超音波の波
形と振幅に対応する受波信号にそれぞれ変換される。生
成された受波信号は、ケーブル3を介して装置本体2
(整合回路5)に入力され、増幅器6において所定の増
幅度で増幅され、波形整形器7において線形に波形整形
された後、A/D変換器8に入力される。
【0019】CPU11は、パルス発生器4に1パルス
発生命令を送出した後(ステップSP14)、トランス
デューサ1の超音波振動子1aによって送信残響Anが
受波され、続いて、表面エコーAsが受波された後、骨
エコーAeがトランスデューサ1の超音波振動子1aの
送受波面に戻ってくる時刻を見計らって、A/D変換器
8に、サンプリング開始命令を発行する(ステップSP
15)。A/D変換器8は、CPU11からサンプリン
グ開始命令を受けると、波形整形器7から波形整形され
た後、入力される皮質骨Mbからの1エコー分の受波信
号を所定の周波数(例えば12MHz)でサンプリング
してデジタル信号に変換し、得られたN個のサンプル値
(1エコー分のデジタル信号)を一旦自身のサンプリン
グメモリに格納する。この後、CPU11からの転送要
求に応じて、サンプリングメモリに格納されたN個のサ
ンプル値をCPU11に順次送出する。CPU11は、
A/D変換器8からN個のサンプル値を順次取り込ん
で、今回骨エコー波形として、RAM10の波形メモリ
エリアに記憶した後、N個のサンプル値の中から最も大
きな値を抽出することにより、今回骨エコーレベル(今
回骨エコーの振幅)を検出し、検出結果をRAM10の
エコーデータメモリエリアに格納する(ステップSP1
6)。RAM10に格納された今回骨エコーレベルは、
図3に破線で示すように、レベルメータ12に液晶指針
パターン12aの振れとして表示される(ステップSP
17)。
【0020】次に、CPU11は、RAM10内のエコ
ーデータメモリエリアから今回骨エコーレベルと最大骨
エコーレベルを読み出して、今回骨エコーレベルの値
が、最大骨エコーレベルの値よりも大きいか否かを判断
する(ステップSP18)。今は、初回目の判断であ
り、最大骨エコーレベルの値は、初期設定値「0」のま
まなので、CPU11は、今回骨エコーレベルの値が、
最大骨エコーレベルの値よりも大きいと判断し、RAM
10のエコーデータメモリエリアに記憶されている最大
骨エコーレベルの値を今回骨エコーレベルの値に書き換
え、さらに、RAM10の波形メモリエリアに記憶され
ている最大骨エコー波形を今回骨エコー波形に書き換え
る(ステップSP19)。そして、更新された最大骨エ
コー波形を、表示器13に画面表示すると共に、更新さ
れた最大骨エコーレベルを、図3に実線で示すように、
レベルメータ12に液晶指針パターン12bの振れとし
て表示する(ステップSP20)。
【0021】次に、CPU11は、RAM10内の測定
続行フラグを見て(ステップSP21)、測定続行フラ
グが立っていれば(測定フラグの内容が「1」のとき
は)、CPU11は測定継続と判断して、上述の1パル
ス発射1エコー受波(ステップSP14〜SP17)を
繰り返した後、ステップSP18において、再び、RA
M10内のエコーデータメモリエリアから今回骨エコー
レベルと最大骨エコーレベルを読み出して、今回骨エコ
ーレベルの値が、最大骨エコーレベルの値よりも大きい
か否かを判断する。この判断の結果、今回骨エコーレベ
ルが最大骨エコーレベルよりも大きくないときは、更新
処理を行わずに、ステップSP21へ直接飛んで、測定
続行フラグを見る。測定続行フラグの内容は、操作者が
測定終了スイッチを押さない限り、「1」に保たれ、C
PU11は、上述の1パルス発射1エコー受波(ステッ
プSP14〜SP17)、最大骨エコーレベルの抽出作
業(ステップSP18〜ステップSP21)を繰り返
す。
【0022】操作者は、CPU11が上述の処理(ステ
ップSP14〜SP21)を繰り返す間、図3に矢印W
で示すように、トランスデューサ1を、皮膚の表面Xに
当てがい、測定部位の皮質骨Mbに向け、時にコマの歳
差運動のように円や螺旋を描いたり、時にシーソのよう
に前後左右斜めに振ったりして、トランスデューサ1の
向きを変え、角度を変えながら、レベルメータ12の液
晶指針パターン12a,12bが最大に振れる方向、つ
まり、最大骨エコーレベルが検出される方向を探す。レ
ベルメータ12の液晶指針パターン12a,12bの振
れが最大になるのは、図6(a)に示すように、皮質骨
Mbの法線とトランスデューサ1の送受波面の法線が一
致するときであり、したがって、平面波の超音波パルス
Aiの波面と皮質骨Mbの表面Yが略平行のとき(つま
り、平面波の超音波パルスAiが皮質骨Mbの表面Yに
略垂直入射するとき)である。
【0023】何故なら、両法線が一致するときには、同
図(a)に示すように、皮質骨Mbの表面Yで垂直反射
した骨エコーAeは、トランスデューサ1の送受波面に
垂直に戻ってくるため、骨エコーAeの波面も送受波面
に対して略平行に揃い、送受波面での受波位置の違いに
よる骨エコーAeの位相のずれが最小となるので、受波
信号は、山と谷との打ち消し合いが少なく、したがっ
て、最大骨エコーレベルの骨エコーAeが受波されるこ
ととなるからである。これに対して、両法線が不一致の
とき、同図(b)に示すように、送受波面で骨エコーA
eの波面が不揃いのため、受波信号は、山と谷とが打ち
消し合って、小さくなる。それゆえ、操作者が、トラン
スデューサ1の角度を皮質骨Mbの法線付近で変化させ
たとき、骨エコーレベルが極大になれば、トランスデュ
ーサ1の送受波面に皮質骨Mbの表面Yで略垂直に反射
した骨エコーAeが戻ってきたと考えることができる。
【0024】ここで、重要なことは、この例の診断装置
にとって、診断精度を上げるためには、垂直反射の骨エ
コーAeを抽出することが必要だ、ということである。
何故なら、皮質骨Mbの音響インピーダンスZbを導く
式(1)は、上述したように、略垂直反射の骨エコーA
eに対して成立する式だからである。しかしながら、垂
直反射の骨エコーAeを抽出することは、困難なことで
はなく、レベルメータ12の液晶指針パターン12a,
12bの振れを見ながら、垂直反射の骨エコーAeを容
易に見つけ出すことができる。つまり、皮質骨Mbの法
線と送受波面の法線との不一致が、はなはだしいとき
は、レベルメータ12の液晶指針パターン12a,12
bが敏感に振れるので、両法線のはなはだしい不一致を
認識でき、一方、両法線が一致に近づくと、トランスデ
ューサ1の送受波面の向きが多少変位しても、骨エコー
レベルが安定し、液晶指針パターン12a,12bの振
れが落ちついてくることから、両法線の一致を確認でき
る。
【0025】操作者は、レベルメータ12の液晶指針パ
ターン12a,12bの振れ具合を見て、最大骨エコー
レベルを抽出できたと判断すると、測定終了スイッチを
押下する。測定終了スイッチが押下されると、CPU1
1は、割り込み処理により、測定続行フラグの内容を
「0」に書き換えて、測定続行フラグを下ろす。測定続
行フラグが下ろされると、CPU11は、次回以降の1
パルス発射を中止する(ステップSP21)。そして、
RAM10のエコーデータメモリエリアに記憶された最
大骨エコーレベルを読み出して、表示器13に画面表示
する(ステップSP22)。この後、CPU11は、反
射係数算出ルーチンを実行することにより、RAM10
のエコーデータメモリエリアに記憶された最大骨エコー
レベルVeと、予めROM9に格納されている完全エコ
ーレベルV0 とから、被験者の軟組織Maと皮質骨Mb
との界面での超音波反射係数Rを算出し(ステップSP
23)、算出値を表示器13に画面表示する(ステップ
SP24)。
【0026】ここで、超音波反射係数Rは、完全垂直反
射したときの完全エコーレベルV0と、最大骨エコーレ
ベルVeとの比[R=Ve/V0]から導かれ、完全エコ
ーレベルV0は、理論的に算出することもできるが、超
音波パルスAiを空に向けて発射し、この際、ポリエチ
レンバルク等の超音波遅延スペーサ(ダミーブロック)
1bの先端面から戻ってくる開放時エコーを超音波振動
子1aによって受波して開放時エコーレベルを測定する
ことによっても求めることができる。次に、CPU11
は、音響インピーダンス算出ルーチンを実行することに
より、反射係数算出ルーチンによって与えられた超音波
反射係数Rの値を式(1)に代入して皮質骨Mbの音響
インピーダンスZb[kg/m2sec]を算出し(ステップS
P25)、算出結果を表示器13に画面表示する(ステ
ップSP26)。さらに、この音響インピーダンスZb
[kg/m2sec]とキーボード3を用いて入力された骨密度
ρ[kg/m3]とに基づいて、被験者の皮質骨Mbの弾性
率E[N/m2]を算出し(ステップSP27)、この算出
結果を表示器13に画面表示する(ステップSP2
8)。
【0027】上記構成によれば、骨の法線と送受波面の
法線が略一致に達したときは、送受波面の向きが多少変
位しても、エコーレベルが安定するので(レベルメータ
12の液晶指針パターン12a,12bの振れが落ちつ
くので)、垂直反射時の骨エコーレベル、すなわち最大
骨エコーレベルを容易に抽出でき、しかも、再現性の良
い測定データが得られる。加えて、レベルメータ12に
は、今回骨エコーレベルが刻々と表示されると共に、最
大骨エコーレベルも、更新されない限り、固定的に表示
されるので、最大骨エコーレベルの探索がさらに容易と
なる。したがって、皮質骨Mbの音響インピーダンスZ
bを精度良く求めることができる。皮質骨Mbの弾性率
Eは、骨の折れ難さを示す尺度であり、この弾性率E
を、受波したエコーに基づいて算出した音響インピーダ
ンスZbと、入力された骨密度ρとから直接的かつ正確
に算出することができるので、一段と信頼性の高い診断
を行うことができる。すなわち、例えば、弾性率Eが、
その年齢層の平均値から著しく小さい場合には、皮質骨
Mbの骨粗鬆症が悪化していることが判る。
【0028】◇第2実施例 図7は、この発明の第2実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図、図8は、同装置の動作
処理手順を示すフローチャートである。この第2実施例
が、上述の第1実施例と大きく異なるところは、超音波
の軟組織Ma往復による減衰度A(T)を考慮することに
より、皮質骨Mbの音響インピーダンスZbを確実に測
定できるようにした点、及び第1実施例において超音波
反射係数Rを完全エコーレベルV0と最大骨エコーレベ
ルVeとの比[R=Ve/V0]として算出したのに対
し、完全エコーレベルV0を用いずに超音波反射係数R
を算出するようにした点である。この第2実施例の装置
本体2aには、図7に示すように、トランスデューサ1
の送受波面から超音波パルスAiが発射された後、骨エ
コーAeが送受波面に戻ってくるまでの骨エコー到達時
間Tを計測する計時回路14が付加されている。また、
この例の処理プログラムは、第1実施例と同様のアルゴ
リズムにより抽出された最大骨エコーレベルと、このと
きの骨エコー到達時間Tとに基づいて被験者の軟組織M
aに対する皮質骨Mbの超音波反射係数Rを算出する手
順の記述を含み、CPU11は、処理プログラムを実行
することにより、超音波反射係数Rを算出し、算出され
た超音波反射係数Rに基づいて、音響インピーダンスZ
bが算出される。なお、これ以外の点では、図1の構成
各部と同一であるので、図7において、図1に示す構成
部分と同一の構成各部には同一の符号を付してその説明
を簡略にする。
【0029】この例の装置本体2aにおいて、パルス発
生器4aは、CPU11から所定の周期で繰り返される
パルス発生命令に応答して、中心周波数略2.5MHz
の電気パルス信号を所定の周期で生成し、トランスデュ
ーサ1に送信すると共に、この電気パルス信号の送信と
同一のタイミングで計時開始信号Tpを計時回路14へ
供給する。ここで、電気パルス信号の周期は、骨エコー
到達時間Tよりも充分長く設定されている。計時回路1
4は、図示せぬクロック発生器と計数回路とから構成さ
れ、パルス発生器4aから計時開始信号Tpの供給を受
ける度に、計時を開始し、A/D変換器8aから終了信
号を受けると、計時を終了する。そして、計時値は、リ
セットされるまで保持され、保持された計時値は、骨エ
コー到達時間Tとして要求に応じてCPU11に与えら
れる。
【0030】次に、図8を参照して、この例の動作(骨
粗鬆症診断時における主としてCPU11の処理の流
れ)について説明する。この例の処理の流れは、ステッ
プSP10からステップSP22までは、骨エコー到達
時間Tが計測される点を除けば、第1実施例で述べたと
略同様であるので、その説明を簡略化する。この例で
は、CPU11は、ステップSP16において、A/D
変換器8aから骨エコー信号Ecを読み込むと共に、計
時回路14から骨エコー到達時間Tを読み、読み込んだ
今回骨エコー信号Ec及び骨エコー到達時間TをRAM
10のエコーデータメモリエリアに記憶する。測定が終
了した後では(ステップSP21、ステップSP2
2)、CPU11は、まず、超音波の減衰度算出ルーチ
ンを実行することにより、エコーデータメモリエリアの
中から骨エコー到達時間Tを読み出し、読み出された骨
エコー到達時間T[sec]の値を式(4)に代入して、
被験者の軟組織Ma内での超音波の減衰度A(T)を算出
する(ステップSP23)。
【0031】
【数4】 ここで、減衰度A(T)とは、超音波が軟組織Ma内を往
復するまでに間に受ける減衰の程度、すなわち、超音波
が皮膚の表面Xから皮質骨Mbの表面Yにまで伝搬し、
皮質骨Mbの表面Yで反射して再び皮膚の表面Xに戻っ
てくるまでに受ける減衰の程度を意味する(A(T)が小
さい程、減衰大を意味する)。この減衰度A(T)は、骨
エコー到達時間Tの関数であり、関係式は、実験もしく
はシミュレーションによって求められる。超音波が、軟
組織Ma内で減衰を受けるのは、第1に、この例で使用
する超音波は、完全な平面波ではなく、球面波成分も多
分に含み、この球面波成分により音響エネルギが拡散
(超音波拡散)するからであり、第2に、軟組織Maと
の摩擦で、音響エネルギが熱エネルギに変換(超音波吸
収)されるためである。
【0032】超音波拡散に起因する減衰の程度は、トラ
ンスデューサ1の開口、超音波の周波数、軟組織Maの
音速等から、計算や実験により求めることができる。ま
た、超音波吸収に起因する減衰の程度は、超音波の周波
数を低くすれば小さくなり、周波数が充分に低くなくと
も、軟組織Maの代表的な吸収定数(単位長当たりの超
音波の減衰率)を用いることができる。なお、超音波の
減衰度A(T)を与える式(4)は、超音波の使用中心周
波数を2.5MHzに設定し、トランスデューサ1の開
口を15mmに設定した場合に成立する実験式である。
【0033】次いで、CPU11は、エコーデータメモ
リエリアの中から最大骨エコーレベルVeを読み出して
きて、式(4)を用いて算出された減衰度A(T)と共
に、式(5)に代入して、超音波が軟組織Maの媒質側
から皮質骨Mbに垂直に入射する場合の軟組織Maと皮
質骨Mbとの界面での超音波反射係数Rを算出する(ス
テップSP24)。
【数5】 R=Ve/P・Q・B・Vi・A(T) …(5) P:トランスデューサ1に単位電気信号(電圧、電流、
散乱パラメータ)を印加したときに、トランスデューサ
1の送受波面から略垂直方向に出力される超音波パルス
Aiの音圧 Q:トランスデューサ1の送受波面に単位音圧のエコー
が略垂直に入射したときにトランスデューサ1から出力
される受波信号(電気信号)の振幅 B:増幅器6の振幅増幅度と波形整形器7の振幅増幅度
との積 Vi:パルス発生器4からトランスデューサ1に加えら
れる電気信号(電圧、電流、散乱パラメータ)の振幅 Ve:最大骨エコーレベル なお、P,Q,B,Viは、いずれも周波数の関数であ
るが、ここでは、中心周波数(例えば2.5MHz)で
の成分を用いる。P,Q,B,Viについては、予め、
これらの測定値、設定値をROM9に書き込んでおく。
【0034】式(5)は、次のようにして導かれる。ま
ず、パルス発生器4aからトランスデューサ1に振幅V
iの電気信号が加えられると、トランスデューサ1の送
受波面から音圧PViの超音波パルスAiが軟組織Ma
内に注入される。注入された超音波パルスAiは、軟組
織Ma内で減衰しながらも、(皮質骨Mbの表面Yに対
して垂直に入射する場合を考えれば、)皮質骨Mbの表
面Yで垂直に反射し、骨エコーAeとなって、トランス
デューサ1に垂直に戻ってくる。それゆえ、トランスデ
ューサ1の送受波面にまで戻ってきた骨エコーAeの音
圧P(e)は、式(4)より求めた超音波の軟組織Ma往
復による減衰度A(T)を考慮すれば、式(6)で与えら
れる。
【0035】
【数6】 P(e)=P・Vi・R・A(T) …(6) 音圧P(e)の骨エコーAeが、トランスデューサ1の送
受波面に受波されると、トランスデューサ1は、振幅Q
・P(e)の受波信号を出力し、この受波信号は、増幅器
6(及び波形整形器7)において増幅度Bで増幅され
る。そして、A/D変換器8aにてデジタル変換された
後、CPU11に取り込まれて、最大骨エコーレベルV
e(=B・Q・P(e))として検出される。
【0036】それゆえ、最大骨エコーレベルVeは、式
(7)で与えられる。
【数7】 Ve=P・Vi・R・A(T)・B・Q …(7) 式(7)を超音波反射係数Rについて解けば、式(5)
が得られる。再び、図8のフローチャートの説明に戻れ
ば、CPU11は、式(5)を用いて、軟組織Maと皮
質骨Mbとの界面での超音波反射係数Rを算出した後
(ステップSP24)、算出結果を表示器13に表示す
る(ステップSP25)。この後、CPU11は、皮質
骨Mbの音響インピーダンスZb(N・s/m3)を式
(1)を用いて算出し(ステップSP26)、算出結果
を表示器13に表示する(ステップSP27)。さら
に、この音響インピーダンスZb[kg/m2sec]とキーボ
ード3を用いて入力された骨密度ρ[kg/m3]とから、
被験者の皮質骨Mbの弾性率E[N/m2]を式(3)を用
いて算出し(ステップSP28)、この算出結果を表示
器13に画面表示する(ステップSP29)。
【0037】上記構成によれば、第1実施例で述べたと
略同様の効果に加えて、超音波の軟組織Ma往復による
減衰度A(T)も考慮されるので、皮質骨Mbの音響イン
ピーダンスZbを一段と正確に測定できるため、弾性率
Eも一段と正確に算出することができる。
【0038】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、骨密度入
力手段としてキーボードを用いたが、これに限らず、磁
気カードに記憶されたデータをカードリーダにより読み
取って取り込む構成としても良い。また、キーボードを
用いて入力するデータとしては、骨密度だけでなく、骨
粗鬆症の診断の助けのために、例えば、被験者の身長、
体重、性別及び年齢等が加えられても良い。また、トラ
ンスデューサを構成する超音波振動子は、厚み振動型に
限らず、撓み振動型でも良い。同様に、使用中心周波数
は、2.5MHzに限らない。また、軟組織Maの音響
インピーダンスは、水の音響インピーダンスに近いの
で、式(1)の適用に当たっては、軟組織Maの音響イ
ンピーダンスに代えて、水の音響インピーダンスを用い
ても良い。
【0039】
【発明の効果】この発明の構成によれば、骨粗鬆症を診
断するために重要な、骨の折れ難さの尺度である皮質骨
の弾性率を、受波したエコーに基づいて算出した皮質骨
の音響インピーダンスと、骨密度入力手段によって入力
された皮質骨の密度データから直接的かつ正確に算出
し、この皮質骨の弾性率を指標として骨粗鬆症を診断す
るので、一段と信頼性の高い診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】同装置の外観図である。
【図3】同装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】同装置の動作処理手順を示すフローチャートで
ある。
【図5】同装置の動作の説明に用いられる説明図であ
る。
【図6】同装置の動作の説明に用いられる説明図であ
る。
【図7】この発明の第2実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】同装置の動作処理手順を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1 トランスデューサ(超音波トランスデューサ) 3 キーボード(骨密度入力手段) Ai 超音波パルス Ae 皮質骨からのエコー Ma 軟組織 Mb 皮質骨 X 皮膚表面 Y 皮質骨表面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波トランスデューサを被験者の所定
    の皮質骨を覆う皮膚表面に当てた状態で、該超音波トラ
    ンスデューサの送受波面の向きを、前記皮質骨表面の法
    線の向きを含む所定の立体角の範囲内で様々に変えなが
    ら、超音波パルスを前記皮膚下の皮質骨に向けて繰り返
    し発射し、1パルス発射毎に、該皮質骨表面から戻って
    くるエコーを前記超音波トランスデューサによって受波
    し、受波信号をアナログ/デジタル変換器によってデジ
    タル信号に変換し、デジタル化されたエコー信号を用い
    て信号処理を行うことにより骨粗鬆症を診断する超音波
    反射式の骨粗鬆症診断装置であって、 入力される前記エコー信号からエコーレベルを検出する
    エコーレベル検出手段と、検出された複数の前記エコー
    レベルの中から最大エコーレベルを抽出するための最大
    エコーレベル抽出手段と、抽出された前記最大エコーレ
    ベルに基づいて、前記皮質骨の音響インピーダンスを算
    出する音響インピーダンス算出手段と、被験者の前記皮
    質骨の密度データを入力するための骨密度入力手段と、
    前記音響インピーダンス算出手段において算出された前
    記皮質骨の音響インピーダンス及び前記骨密度入力手段
    によって入力された前記皮質骨の密度データに基づい
    て、前記皮質骨の弾性率を算出する弾性率算出手段とを
    備え、 該弾性率算出手段によって算出された前記皮質骨の弾性
    率を指標として骨粗鬆症を診断することを特徴とする骨
    粗鬆症診断装置。
  2. 【請求項2】 前記音響インピーダンス算出手段は、前
    記最大エコーレベル抽出手段によって抽出された前記最
    大エコーレベルに基づいて前記被験者の軟組織に対する
    前記皮質骨の超音波反射係数を算出し、算出された該超
    音波反射係数に基づいて、前記皮質骨の音響インピーダ
    ンスを算出することを特徴とする請求項1記載の骨粗鬆
    症診断装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000056709A (ko) * 1999-02-25 2000-09-15 정선종 요골 단순 엑스선 영상을 이용한 골다공증 지표 설정 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000056709A (ko) * 1999-02-25 2000-09-15 정선종 요골 단순 엑스선 영상을 이용한 골다공증 지표 설정 방법

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