JP2000287971A - 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法 - Google Patents

骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法

Info

Publication number
JP2000287971A
JP2000287971A JP11101460A JP10146099A JP2000287971A JP 2000287971 A JP2000287971 A JP 2000287971A JP 11101460 A JP11101460 A JP 11101460A JP 10146099 A JP10146099 A JP 10146099A JP 2000287971 A JP2000287971 A JP 2000287971A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
equation
ultrasonic
bone
real
symmetric matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11101460A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Nakamori
勇一 中森
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP11101460A priority Critical patent/JP2000287971A/ja
Publication of JP2000287971A publication Critical patent/JP2000287971A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Closed-Circuit Television Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 近距離不感帯の発生を抑制し、信頼性の高い
結果を得、自由な装置設計を可能にする。 【解決手段】 開示される骨粗鬆症診断装置は、セル6
1〜664と、セル6nから超音波パルスを送信して骨から
のエコーをセル6mによって受信して検出した64×6
4個のエコー信号Sm,n(t)のうち、エコー信号S
1,1(t),S 2,2(t),…,S64,64(t)については値を0と
してフーリエ変換し、得られた64×63個のエコー信
号Sm,n(ω)に関する方程式を成立させる、絶対値の大
きい方から数えて単数又は複数の実数値λp及びそれに
対応する単数又は複数の関数ψp(ω)を算出するCPU
15とを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、骨粗鬆症診断装
置及び骨粗鬆症診断方法に係り、詳しくは、超音波パル
スを被験者の所定の骨に向けて送信すると共に、骨から
のエコーを検出して、骨粗鬆症を診断する超音波反射式
の骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来に伴って、骨粗
鬆症(osteoporosis)と呼ばれる骨の疾患が問題となっ
ている。これは、骨からカルシウムが抜け出してスカス
カになり、少しのショックでも折れ易くなる病気であ
り、高齢者をいわゆる寝たきりにさせる原因の1つにも
なっている。この骨粗鬆症を簡易に診断する装置とし
て、最近、超音波を利用するものが普及してきている。
この出願人は、特願平8−339834号に開示されて
いるように、単一の超音波トランスデューサを用いて、
表面が平らな骨組織に向けて超音波パルスを繰り返し送
信し、骨組織から戻ってくるエコーを受信し、受信した
エコーのうち、垂直反射のエコーであるとみなすことの
できる最大エコーを抽出し、抽出した最大エコーに基づ
いて、反射係数や音響インピーダンス等を算出し、これ
らの算出値に基づいて骨粗鬆症を診断する超音波反射式
の診断装置を提案した。また、この出願人は、複数の超
音波トランスデューサを用いて上記診断装置と同様な処
理をするものについて、特願平8−34100号に開示
された診断装置を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の特願平8−34100号に開示された骨粗鬆症診断
装置においては、複数の超音波トランスデューサのう
ち、いずれか1つの超音波トランスデューサから超音波
パルスを送信するが、他の複数の超音波トランスデュー
サだけでなく、超音波パルスを送信した超音波トランス
デューサ自体も骨からのエコーを受信するように構成さ
れている。このような構成では、超音波トランスデュー
サと骨との距離が近すぎると、当該超音波トランスデュ
ーサにおいて、近距離不感帯の問題が発生してしまう場
合がある。ここで、近距離不感帯とは、当該超音波トラ
ンスデューサから超音波パルスを送信した際の残響(送
信残響)と骨からのエコーとが混ざり合うため、骨から
のエコーを正確に検出できない周波数帯域のことを意味
する。この場合、当該超音波トランスデューサから得ら
れた信号が他の信号と共に処理されると、装置全体の処
理結果は信頼性を欠くことになる。このような不都合を
回避するためには、近距離不感帯が発生しにくい、すな
わち、残響のレベルが小さく、残響時間も短い超音波ト
ランスデューサを開発したり、送信残響がなくなってか
ら骨からのエコーを受信するために超音波トランスデュ
ーサと骨との距離を長くする等の設計変更したりしなけ
ればならない。しかし、近距離不感帯が発生しにくい超
音波トランスデューサを開発するには時間も費用もかか
るし、また、超音波トランスデューサと骨との距離を長
くしなければならないとすると、装置設計の自由度が狭
められ、装置の開発に支障が生じてしまうという問題が
あった。
【0004】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、近距離不感帯の発生を抑制でき、信頼性の高い
結果が得られると共に、自由な設計が可能な骨粗鬆症診
断装置及び骨粗鬆症診断方法を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明に係る骨粗鬆症診断装置は、2
次元的に任意に配置され、超音波パルスを被験者の生体
内部に送信すると共に、測定部位である骨からのエコー
を受信するためのN個(Nは2以上の自然数)の超音波
変換要素からなる超音波トランスデューサユニットと、
上記N個の超音波変換要素のうち、第n番目(n=1,
2,…,N)の超音波変換要素から所定周波数範囲内の超
音波パルスを送信させ、それに基づく上記骨からのエコ
ーを第m番目(m=1,2,…,N)の超音波変換要素に
よって受信させる処理を上記N個の超音波変換要素につ
いて行うことにより上記N個の超音波変換要素から出力
される(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を検出し、
m=nの場合のエコー信号S1,1(t),S2,2(t),…,S
64,64(t)については値を0とするエコー信号検出手段
と、上記(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(t)
を(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)にフー
リエ変換するフーリエ変換手段と、上記(N×(N−
1))個のエコー信号Sm,n(ω)に関する式(13)の
方程式を成立させる実数値λ12,……,λNのうち、絶
対値の大きい方から数えて、単数又は複数の実数値λp
(1≦p≦N)を求めると共に、上記単数又は複数の実
数値λpに対応する単数又は複数の関数ψp(ω)を算出す
る算出手段とを備えてなることを特徴としている。
【0006】
【数13】 式(13)において、ψ* m(ω)はψm(ω)の複素共役で
ある。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記所定周波数範囲に対
応する角周波数範囲及び上記N個の超音波変換要素につ
いて、上記単数又は複数の実数値λpに対応する単数又
は複数の関数ψp(ω)から音場の関数φp(ω,x,y,z)
を求め、上記音場の関数φp(ω,x,y,z)を逆フーリ
エ変換して得られた関数φp(t,x,y,z)から時刻t=
0での音場の関数φp(x,y,z)(=φp(t,x,y,z)
(t=0))を求め、該音場の関数φp(x,y,z)及び
上記単数又は複数の実数値λpに基づいて上記骨を画像
化する画像化処理手段を備えてなることを特徴としてい
る。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は2記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記算出手段は、
上記(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)から
作成される(N×N)の複素対称行列であり、式(1
4)で表される散乱行列S(ω)から、式(15)で表さ
れる(2N×2N)の実対称行列S'(ω)を求め、上記
実対称行列S'(ω)の固有値問題を処理して固有値及び
それに対する固有ベクトルを求め、上記固有値のうち、
絶対値の大きい方から数えて、単数又は複数の固有値を
上記単数又は複数の実数値λpとすると共に、上記単数
又は複数の固有値に対する単数又は複数の固有ベクトル
を上記単数又は複数の実数値λpに対応する単数又は複
数の関数ψp(ω)とすることを特徴としている。
【0009】
【数14】 式(14)において、Sm,n(ω)は、第n番目の超音波
変換要素(n=1,2,……,N)から超音波パルスを送
信した時の骨からのエコーを第m番目の超音波変換要素
(m=1,2,……,N)が受信するときの時間の関数で
あるエコー信号Sm,n(t)に対応している。
【0010】
【数15】 式(15)において、Re(S(ω))は散乱行列S(ω)
の実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の虚部であ
る。
【0011】また、請求項4記載の発明は、請求項3記
載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記算出手段は、式(1
6)で表される(N×N)の複素対称行列SV(ω)か
ら、式(17)で表される(2N×2N)の実対称行列
S'V(ω)を求め、上記実対称行列S'V(ω)の固有値問題
を処理して固有値及びそれに対する固有ベクトルを求
め、上記実対称行列S'V(ω)の固有値を上記実対称行列
S'(ω)の固有値とし、上記実対称行列S'V(ω)の固有
ベクトルとexp(jωτV)との積を上記実対称行列S'
(ω)の固有ベクトルとすることを特徴としている。
【0012】
【数16】 SV(ω)=S(ω)・exp(2jωτV) …(16) 式(16)において、τVは上記超音波トランスデュー
サユニットの送受信面から送信された超音波パルスが上
記送受信面と上記骨との間の任意の位置に到達するまで
の時間である。
【0013】
【数17】 式(17)において、Re(SV(ω))は複素対称行列
V(ω)の実部、Im(SV(ω))は複素対称行列S
V(ω)の虚部である。
【0014】また、請求項5記載の発明は、請求項1乃
至4のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上
記骨からの1次反射波信号のみを抽出するためのゲート
関数g(t)と、上記エコー信号Sm,n(t)とを乗算する
ゲート処理手段を備えてなることを特徴としている。
【0015】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記ゲート関数g(t)
は、上記エコー信号Sm,n(t)のうち、上記1次反射波
信号と推定される部分で振幅が略1で、その他の部分で
振幅が略0の矩形窓を示す関数、又は式(18)で示さ
れる正規関数であることを特徴としている。
【0016】
【数18】 式(18)において、t0はエコー信号Sm,n(t)が最大
振幅になる時間、τは220μsである。
【0017】また、請求項7記載の発明は、請求項1乃
至6のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上
記エコー信号検出手段は、上記所定周波数範囲内におい
て、上記超音波変換要素から送信された超音波パルスが
上記骨まで伝搬された後、上記骨において反射され、再
び上記超音波変換要素に到達するまでの時間である最終
到達時間をTとした場合の(1/8T)より十分小さい
周波数間隔で、上記超音波パルスの周波数を変更して周
波数毎の上記(N×N)個のエコー信号Sm, n(t)を検
出することを特徴としている。
【0018】また、請求項8記載の発明は、請求項1乃
至7のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上
記算出手段は、上記単数又は複数の実数値λpから又は
上記単数又は複数の実数値λpに所定の比例定数を乗じ
て、上記骨の反射率を求めることを特徴としている。
【0019】また、請求項9記載の発明は、請求項1乃
至8のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、測
定部位となる上記骨は、腰椎、上腕骨、脛骨、踵骨又は
大腿骨頚部であることを特徴としている。
【0020】また、請求項10記載の発明に係る骨粗鬆
症診断方法は、2次元的に任意に配置され、超音波パル
スを被験者の生体内部に送信すると共に、測定部位であ
る骨からのエコーを受信するためのN個(Nは2以上の
自然数)の超音波変換要素からなる超音波トランスデュ
ーサユニットを備え、上記N個の超音波変換要素のう
ち、第n番目(n=1,2,…,N)の超音波変換要素か
ら所定周波数範囲内の超音波パルスを送信させ、それに
基づく上記骨からのエコーを第m番目(m=1,2,…,
N)の超音波変換要素によって受信させる処理を上記N
個の超音波変換要素について行うことにより上記N個の
超音波変換要素から出力される(N×N)個のエコー信
号Sm,n(t)を検出し、m=nの場合のエコー信号S1,1
(t),S2,2(t),…,S64,64(t)については値を0と
し、上記(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(t)
をフーリエ変換して得られた(N×(N−1))個のエ
コー信号Sm,n(ω)に関する式(19)の方程式を成立
させる実数値λ12,……,λNのうち、絶対値の大きい
方から数えて、単数又は複数の実数値λp(1≦p≦
N)を求めると共に、上記単数又は複数の実数値λp
対応する単数又は複数の関数ψp(ω)を算出することを
特徴としている。
【0021】
【数19】 式(19)において、ψ* m(ω)はψm(ω)の複素共役で
ある。
【0022】また、請求項11記載の発明は、請求項1
0記載の骨粗鬆症診断方法に係り、上記所定周波数範囲
に対応する角周波数範囲及び上記N個の超音波変換要素
について、上記単数又は複数の実数値λpに対応する単
数又は複数の関数ψp(ω)から音場の関数φp(ω,x,
y,z)を求め、上記音場の関数φp(ω,x,y,z)を逆
フーリエ変換して得られた関数φp(t,x,y,z)から時
刻t=0での音場の関数φp(x,y,z)(=φp(t,x,
y,z)(t=0))を求め、該音場の関数φp(x,y,
z)及び上記単数又は複数の実数値λpに基づいて上記骨
を画像化することを特徴としている。
【0023】また、請求項12記載の発明は、請求項1
0又は11記載の骨粗鬆症診断方法に係り、上記(N×
(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)から作成される
(N×N)の複素対称行列であり、式(20)で表され
る散乱行列S(ω)から、式(21)で表される(2N×
2N)の実対称行列S'(ω)を求め、上記実対称行列S'
(ω)の固有値問題を処理して固有値及びそれに対する固
有ベクトルを求め、上記固有値のうち、絶対値の大きい
方から数えて、単数又は複数の固有値を上記単数又は複
数の実数値λpとすると共に、上記単数又は複数の固有
値に対する単数又は複数の固有ベクトルを上記単数又は
複数の実数値λpに対応する単数又は複数の関数ψp(ω)
とすることを特徴としている。
【0024】
【数20】 式(20)において、Sm,n(ω)は、第n番目の超音波
変換要素(n=1,2,……,N)から超音波パルスを送
信した時の骨からのエコーを第m番目の超音波変換要素
(m=1,2,……,N)が受信するときの時間の関数で
あるエコー信号Sm,n(t)に対応している。
【0025】
【数21】 式(21)において、Re(S(ω))は散乱行列S(ω)
の実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の虚部であ
る。
【0026】また、請求項13記載の発明は、請求項1
2記載の骨粗鬆症診断方法に係り、式(22)で表され
る(N×N)の複素対称行列SV(ω)から、式(23)
で表される(2N×2N)の実対称行列S'V(ω)を求
め、上記実対称行列S'V(ω)の固有値問題を処理して固
有値及びそれに対する固有ベクトルを求め、上記実対称
行列S'V(ω)の固有値を上記実対称行列S'(ω)の固有
値とし、上記実対称行列S'V(ω)の固有ベクトルとex
p(jωτV)との積を上記実対称行列S'(ω)の固有ベク
トルとすることを特徴としている。
【0027】
【数22】 SV(ω)=S(ω)・exp(2jωτV) …(22) 式(22)において、τVは上記超音波トランスデュー
サユニットの送受信面から送信された超音波パルスが上
記送受信面と上記骨との間の任意の位置に到達するまで
の時間である。
【0028】
【数23】 式(23)において、Re(SV(ω))は複素対称行列
V(ω)の実部、Im(SV(ω))は複素対称行列S
V(ω)の虚部である。
【0029】また、請求項14記載の発明は、請求項1
0乃至13のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断方法に係
り、上記フーリエ変換する前に、上記骨からの1次反射
波信号のみを抽出するためのゲート関数g(t)と、上記
エコー信号Sm,n(t)とを乗算することを特徴としてい
る。
【0030】また、請求項15記載の発明は、請求項1
4記載の骨粗鬆症診断方法に係り、上記ゲート関数g
(t)は、上記エコー信号Sm,n(t)のうち、上記1次反
射波信号と推定される部分で振幅が略1で、その他の部
分で振幅が略0の矩形窓を示す関数、又は式(24)で
示される正規関数であることを特徴としている。
【0031】
【数24】 式(24)において、t0はエコー信号Sm,n(t)が最大
振幅になる時間、τは220μsである。
【0032】また、請求項16記載の発明は、請求項1
0乃至15のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断方法に係
り、周波数毎の上記(N×N)個のエコー信号S
m,n(t)を検出するには、上記所定周波数範囲内におい
て、上記超音波変換要素から送信された超音波パルスが
上記骨まで伝搬された後、上記骨において反射され、再
び上記超音波変換要素に到達するまでの時間である最終
到達時間をTとした場合の(1/8T)より十分小さい
周波数間隔で上記超音波パルスの周波数を変更して行う
ことを特徴としている。
【0033】また、請求項17記載の発明は、請求項1
0乃至16のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断方法に係
り、上記単数又は複数の実数値λから又は上記単数又は
複数の実数値λに所定の比例定数を乗じて、上記骨の反
射率を求めることを特徴としている。
【0034】
【作用】この発明の構成によれば、近距離不感帯の発生
を抑制できるので、信頼性の高い結果が得られる。した
がって、自由な装置設計が可能となる。また、請求項4
及び13記載の発明の構成によれば、仮想センサ面の考
え方を採用することにより、超音波パルスの周波数の数
を減らすことができるので、処理時間を短縮できる。さ
らに、請求項5,6,14及び15記載の発明の構成に
よれば、超音波変換要素の最初の残響や骨と超音波変換
要素との間の多重反射等に関するノイズが除去され、骨
からの1次反射波信号のみが抽出されるので、精確な測
定を行うことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。図1は、この発明の一実施例である骨
粗鬆症診断装置の電気的構成を示すブロック図、図2
は、同装置の外観図、図3は、同装置の使用状態を示す
模式図である。この例の骨粗鬆症診断装置は、図1〜図
3に示すように、電気パルス信号を超音波パルスに変換
し、その超音波パルスを被験者の所定の測定部位に送信
すると共に、測定部位からのエコーを受信して電気信号
である受信信号に変換するためのプローブ1と、このプ
ローブ1に上記電気パルス信号を供給すると共に、プロ
ーブ1からの上記受信信号を取り込んで、後述するデジ
タル解析処理を行って骨粗鬆症の診断を行う装置本体2
と、プローブ1と装置本体2とを接続するケーブル3と
から概略構成されている。
【0036】プローブ1は、電気パルス信号が所定の周
期で入力される度に、これに応答して、図3に示すよう
に、測定部位である被験者の、例えば、踵骨等の骨Mb
(皮質骨Mb1、海綿骨Mb2)に向けて超音波パルスA
iを送信すると共に、骨から戻ってくるエコー(以下、
骨エコーという)Aeを受信して受信信号に変換する超
音波トランスデューサユニット4と、超音波トランスデ
ューサユニット4の送受信面4aに固着された超音波遅
延スペーサ5とから概略構成されている。なお、この例
においては、超音波トランスデューサユニット4の送受
信面4aと測定部位、すなわち、骨Mbとの距離は、1
60mmであるとする。超音波トランスデューサユニッ
ト4は、図4に示すように、超音波変換要素(エレメン
ト)である超音波トランスデューサセル(以下、単にセ
ルという)61〜664が、支持円板7上に、略14mm
のピッチで、縦に8個、横に8個、合計64個配列され
て構成されている。各セル61〜664は、チタンジルコ
ン酸鉛(PZT)等からなる略1mm角の厚み振動型圧
電素子の両面に電極層が形成されて構成されている。超
音波遅延スペーサ5は、ポリエチレンバルク等からな
り、送信残響等の影響を除去すると共に、支持円板7と
同様、セル61〜664の共通の支持体として機能する。
【0037】図1において、装置本体2は、パルス発生
器81〜864と、整合回路91〜964と、増幅器101
1064と、波形整形器111〜1164と、A/D変換器
121〜1264と、ROM13と、RAM14と、CP
U(中央処理装置)15と、ディスプレイ16とから構
成されている。パルス発生器81〜864は、それぞれ周
波数範囲0.25〜1.25MHzの電気パルス信号を
所定の周期(例えば、1ms)で3kHzずつステップ
させながら繰り返し生成する。整合回路91〜964は、
ケーブル3を介して、セル61〜664と一対一に接続さ
れ、パルス発生器81〜864からの電気パルス信号をセ
ル61〜664に供給すると共に、セル61〜664からの受
信信号を増幅器101〜1064に供給する。整合回路91
〜964は、セル61〜664と装置本体2との間で、エネ
ルギの損失なしに信号の授受がなされるように、インピ
ーダンスの整合を行う。増幅器101〜1064は、整合
回路91〜964を介して供給される受信信号を所定の増
幅度で増幅した後、波形整形器111〜1164に供給す
る。波形整形器111〜1164は、LC構成のバンドパ
スフィルタからなり、増幅器101〜1064によって増
幅された受信信号を線形に波形整形した後、A/D変換
器121〜1264に供給する。A/D変換器121〜12
64は、図示せぬサンプルホールド回路、高速サンプリン
グメモリ等を備え、CPU15のサンプリング開始要求
に従って、波形整形器111〜1164から供給される波
形整形されたアナログの受信信号を所定の周波数(例え
ば、12MHz)でサンプリングしてデジタルのエコー
信号に変換し、一旦高速サンプリングメモリに格納した
後、CPU15に供給する。
【0038】ROM13には、CPU15に骨粗鬆症の
診断を実行させるための処理プログラムが格納されてい
る。この処理プログラムは、エコー信号検出処理サブプ
ログラムと、ゲート処理サブプログラムと、フーリエ変
換処理サブプログラムと、固有値問題処理サブプログラ
ムと、複素ベクトル符号統一処理サブプログラムと、画
像化処理サブプログラムなどとを有して構成されてい
る。なお、各種処理の内容については、後述する動作説
明において詳述する。RAM14は、CPU15の作業
領域が設定されるワーキングエリアと、各種データを一
時記憶するデータエリアとを有し、例えば、デジタルの
エコー信号等もデータエリア内に一時記憶される。CP
U15は、ROM13に格納されている上述の処理プロ
グラムをRAM14を用いて実行することにより、パル
ス発生器81〜864、A/D変換器12 1〜1264等の装
置各部の制御、周波数毎の64×64個のエコー信号の
検出処理、ゲート処理、フーリエ変換処理、固有値問題
処理、複素ベクトルの符号統一処理、骨の形状の3次元
画像化処理等を行う。ディスプレイ16は、CRTディ
スプレイ又は液晶ディスプレイ等からなり、CPU15
の制御により、算出された骨Mbの音響インピーダンス
の表示や骨Mbの形状の3次元画像表示等が行われる。
なお、装置本体2には、図示しないが、電源スイッチ、
被験者の体内の骨の形状の測定開始を指示する測定開始
スイッチ、右測定の終了を指示する測定終了スイッチ等
の各種スイッチや、各種の測定条件を設定するためのボ
タン等が設けられている。
【0039】次に、図5を参照して、この例の動作(処
理の流れ)について説明する。まず、平面性は良くない
が、超音波パルスAiの波長と較べるなら曲率半径が充
分に大きい骨Mbを測定部位として選ぶ。好適な測定部
位としては、例えば、腰椎、上腕骨、脛骨、踵骨又は大
腿骨頚部を挙げることができる。測定部位が決定され、
装置本体2の電源スイッチが押下されると、CPU15
は、装置各部のプリセット、カウンタや各種レジスタ、
各種フラグの初期設定を行った後、測定開始スイッチが
押下されるのを待つ。ここで、操作者は、図3に示すよ
うに、被験者の測定部位である骨Mbを覆う軟組織Ma
の表面(皮膚の表面X)に、超音波ゲルGを塗り、超音
波ゲルGを介してプローブ1の先端を皮膚の表面Xに当
て、かつ、超音波トランスデューサユニット4の送受信
面4aを骨Mbに向けた状態でプローブ1を手で支持
し、測定開始スイッチを押下する。測定開始スイッチが
押下されると、CPU15は、図5に示す処理手順に従
って各種処理を実行する。
【0040】ステップSP1では、CPU15は、エコ
ー信号検出処理サブプログラムの制御により、1個のセ
ル6からの超音波パルスAiの送信及び64個のセルに
よる骨エコーAeの受信を、超音波パルスAiの周波数
をステップさせながら64個のセル6すべてについて繰
り返してエコー信号を検出するエコー信号検出処理を実
行する。まず、CPU15は、パルス発生器81〜864
にそれぞれ周波数範囲0.25〜1.25MHzの電気
パルス信号を所定の周期(例えば、1ms)で3kHz
ずつステップさせながら繰り返し生成させることによ
り、セル61〜664から超音波パルスAiを繰り返し送
信させる。これにより、セル61〜664によって骨エコ
ーAeが各周波数毎に受信されて受信信号に変換された
後、各増幅器101〜1064、波形整形器111〜1164
及びA/D変換器121〜1264を経てデジタルのエコ
ー信号となり、CPU15に取り込まれ、RAM14の
所定の記憶領域に記憶される。この時、CPU15は、
A/D変換器121〜1264から供給されたエコー信号
が超音波パルスAiを送信したセル6自体が受信したも
のである場合には、そのエコー信号に代えて値0をRA
M14の所定の記憶領域に記憶させる。したがって、第
n番目のセル6n(n=1,2,…,N;N=64)から超
音波パルスAiを送信し、このときの骨Mbからの骨エ
コーAeを第m番目のセル6 m(m=1,2,…,N;N=
64)が受信するときの時間tの関数であるエコー信号
をエコー信号Sm,n(t)と表すとすると、RAM14の
所定の記憶領域には、m=nの場合のエコー信号S
1,1(t),S2,2(t),…,S64,64(t)については値0
が、m≠nの場合のエコー信号Sm,n(t)についてはそ
れぞれの値が記憶される。なお、周波数変化のステップ
を3kHzに設定した理由については、後述する。
【0041】ステップSP2では、CPU15は、ゲー
ト処理サブプログラムの制御により、RAM14の所定
の記憶領域に記憶されているエコー信号Sm,n(t)をゲ
ートに掛けるゲート処理を実行する。すなわち、CPU
15は、セル6の最初の残響や骨エコーAeの骨Mbと
セル6との間における多重反射等に関するノイズを除去
し、骨Mbからの1次反射波信号のみを抽出するため
に、RAM14の所定の記憶領域に記憶されているエコ
ー信号Sm,n(t)をゲートに掛けてRAM14の所定の
記憶領域に記憶する。具体的には、エコー信号S
m,n(t)において最大振幅となるところを骨Mbからの
1次反射波信号と推定し、それのみを抽出するためのゲ
ート関数g(t)と、エコー信号Sm,n(t)とを乗算して
エコー信号Sgm,n(t)を算出する。ゲート関数g(t)と
しては、上記1次反射波信号と推定される部分で振幅が
略1で、その他の部分で振幅が略0の矩形窓を示す関数
や、式(25)で示される正規関数が考えられる。
【0042】
【数25】
【0043】式(25)において、t0はエコー信号S
m,n(t)が最大振幅になる時間、τは220μsであ
る。
【0044】ステップSP3では、CPU15は、フー
リエ変換処理サブプログラムの制御により、RAM14
の所定の記憶領域に記憶されているエコー信号S
gm,n(t)を角周波数毎のエコー信号Sm,n(ω)にフーリ
エ変換した後、角周波数毎にエコー信号Sm,n(ω)を成
分とする(N×N)の複素対称行列である散乱行列S
(ω)(式(26)参照)を作成してRAM14の所定の
記憶領域に記憶するフーリエ変換処理を実行する。
【0045】
【数26】
【0046】ステップSP4では、CPU15は、固有
値問題処理サブプログラムの制御により、RAM14の
所定の記憶領域に記憶されている散乱行列S(ω)にex
p(2jωτV)を掛けて得られる(N×N)の複素対称行
列SV(ω)(式(27)参照)から(2N×2N)の実
対称行列S'V(ω)(式(28)参照)を求め、この実対
称行列S'V(ω)の固有値問題を処理して、1個の実対称
行列S'V(ω)当たりN個(N=64)の正の固有値λVp
(p=1,2,…,N)及びそれに対する(N×N)個の
固有ベクトルψVp,n(ω)(n=1,2,…,N)を決定し
た後、式(29)及び式(30)により、1個の(N×
N)の複素対称行列である散乱行列S(ω)に対応した1
個の(2N×2N)の実対称行列S'(ω)当たりのN個
の固有値λp及びそれに対する(N×N)個の固有ベク
トルψp,n(ω)を求めてRAM14の所定の記憶領域に
記憶する固有値問題処理を実行する。固有ベクトルψ
Vp,n(ω)は、第n番目のセル6nから送信された超音波
パルスAiによる散乱波の第p番目の固有値λpに対す
る固有ベクトルであることを意味する。なお、各固有値
λV及びλの添字pは、固有値の絶対値が大きい順に付
すものとする。また、固有値問題処理の詳細について
は、例えば、この出願人が骨粗鬆症診断装置について先
に提案した特願平9−287166号を参照されたい。
【0047】
【数27】 SV(ω)=S(ω)・exp(2jωτV) …(27)
【0048】この複素対称行列SV(ω)は、超音波トラ
ンスデューサユニット4の送受信面4aを、本来の送受
信面4aが設けられている位置から骨Mbの方向に時間
τVだけ超音波パルスAiが伝搬した位置(この位置を
仮想センサ面という)に設けたと仮想した場合に得られ
る複素対称行列である。仮想センサ面の考え方について
は、後述する。
【0049】
【数28】
【0050】式(28)において、Re(SV(ω))は
複素対称行列SV(ω)の実部、Im(SV(ω))は複素対
称行列SV(ω)の虚部である。
【0051】
【数29】λp=λVp …(29)
【0052】
【数30】 ψp,n(ω)=ψVp,n(ω)・exp(jωτV) …(30)
【0053】次に、仮想センサ面の考え方について説明
する。上記した特願平9−287166号に開示された
骨粗鬆症診断装置においては、送信される超音波パルス
Aiの周波数変化のステップを360Hzに設定してい
る。周波数範囲は、0.54〜1.62MHzに設定さ
れているから、送信される超音波パルスAiの周波数の
数は3001個となり、上記した固有値問題を処理する
と、1個の周波数当たりそれぞれN個の固有値λp及び
(N×N)個の固有ベクトルψp,n(ω)が得られるか
ら、全体で得られる固有値λp及び固有ベクトルψ
p,n(ω)の数はそれぞれ(3001×N)個及び(30
01×N×N)個となる。この固有値λp及び固有ベク
トルψp,n(ω)を求めるには、演算速度が高速なCPU
を用いても多くの時間がかかり、その分全体の処理時間
が長くなって、実用的でない。この点、超音波パルスA
iの周波数の数を減らすことが考えられるが、この数
は、周波数変化のステップΔfに関する式(31)及び
設定される周波数範囲によって決定される。なお、式
(31)の根拠については、後述する複素ベクトル符号
統一処理(ステップSP5)において説明する。
【0054】
【数31】Δf≦1/8T …(31)
【0055】式(31)において、Tは、セル6から送
信された超音波パルスAiが骨Mbまで伝搬された後、
骨Mbにおいて反射され、再びセル6に到達するまでの
時間である最終到達時間を意味する。上記の例において
は、超音波トランスデューサユニット4の送受信面4a
から骨Mbまでの距離は70mmであるから、最終到達
時間Tは、{(70(mm)×2)/1500(m/
s)}≒93.3μsとなる。ここで、1500(m/
s)は軟組織Ma中での超音波パルスの伝搬する速度で
あり、水と同じであるとしている。したがって、式(3
1)より、周波数変化のステップΔfは略1.34kH
z以下であれば良いので、余裕をみて、360Hzに設
定したのである。これにより、周波数変化のステップΔ
fは略1.34kHzまでなら広げることができるが、
単に周波数変化のステップΔfを広げるだけでは情報量
が少なくなり、正しく骨粗鬆症を診断することができな
い。また、最終到達時間Tは、超音波トランスデューサ
ユニット4の送受信面4aから骨Mbまでの距離から求
められるが、機構上及び被験者の身体の構造上、あるい
は、上記した近距離不感帯が発生する虞があるため、上
記距離を短くするには限界がある。一方、周波数範囲を
狭めることも、情報量の減少につながり、正しく骨粗鬆
症を診断することができない。
【0056】そこで、この例においては、超音波トラン
スデューサユニット4の送受信面4aと骨Mbとの間に
仮想的な超音波トランスデューサユニットの送受信面
(仮想センサ面)を想定することにより、仮想的に最終
到達時間Tを短縮して超音波パルスAiの周波数の数を
減らして処理時間を短縮化する。すなわち、上記した特
願平9−287166号に開示されているように、散乱
行列S(ω)と、N個の固有値λpと、(N×N)個の固
有ベクトルψp,n(ω)との間には、式(32)の関係が
ある。
【0057】
【数32】 S(ω)ψp,n(ω)=λpψp,n *(ω) …(32)
【0058】式(32)において、ψp,n *(ω)は、ψ
p,n(ω)の複素共役である。そこで、今、上記した式
(27)で表される(N×N)の複素対称行列SV(ω)
を考える。式(27)の両辺に{ψp,n(ω)・exp(−j
ωτV)}を掛けて変形し、式(32)を代入すると、式
(33)が得られる。
【0059】
【数33】 SV(ω)ψp,n(ω)・exp(−jωτV) =S(ω)・exp(2jωτV)・ψp,n(ω)・exp(−jωτV) =S(ω)ψp,n(ω)・exp(jωτV) =λpψp,n *(ω)・exp(jωτV) =λp{ψp,n(ω)・exp(−jωτV)}* …(33)
【0060】式(33)から、(N×N)の複素対称行
列SV(ω)のN個の固有値をλVpとし、(N×N)個の
固有ベクトルをψVp,n(ω)とすると、N個の固有値λ Vp
及び(N×N)個の固有ベクトルψVp,n(ω)は、それぞ
れN個の固有値λpと、(N×N)個の固有ベクトル
{ψp,n(ω)・exp(−jωτV)}であることが分かる。
すなわち、(N×N)の複素対称行列SV(ω)と、N個
の固有値λVpと、(N×N)個の固有ベクトルψ
Vp,n(ω)との間には式(34)の関係があるから、式
(33)及び式(34)により、N個の固有値λVp及び
(N×N)個の固有ベクトルψVp,n(ω)は、それぞれ式
(35)及び式(36)で表される。
【0061】
【数34】 SV(ω)ψVp,n(ω)=λVpψVp,n *(ω) …(34)
【0062】
【数35】λVp=λp …(35)
【0063】
【数36】 ψVp,n(ω)=ψp,n(ω)・exp(−jωτV) …(36)
【0064】そこで、上記したように、RAM14の所
定の記憶領域に記憶されている散乱行列S(ω)にexp
(2jωτV)を掛けて得られる(N×N)の複素対称行列
V(ω)に対応した(2N×2N)の実対称行列S'
V(ω)の固有値問題を処理して実対称行列S'V(ω)の固
有値λVpと固有ベクトルψVp,n(ω)とを決定した後、上
記した式(29)及び式(30)(式(29)は式(3
5)と同一、式(30)は式(36)を変形して得られ
る)により、(N×N)の複素対称行列である散乱行列
S(ω)に対応した(2N×2N)の実対称行列S'(ω)
の固有値λp及びそれに対する固有ベクトルψp,n(ω)を
求めることができるのである。
【0065】例えば、仮想センサ面と骨Mbとの距離を
30mmに設定したとすると、最終到達時間Tは、
{(30(mm)×2)/1500(m/s)}=40
μsとなるから、式(31)より周波数変化のステップ
Δfは3125Hz以下であれば良い。そこで、余裕を
みて、周波数変化のステップΔfを3kHzに設定する
と、周波数範囲は0.25〜1.25MHzであるか
ら、送信される超音波パルスAiの周波数の数は334
個となり、求めるべき固有値λp及びそれに対する固有
ベクトルψp,n(ω)の数はそれぞれ(334×N)個及
び(334×N×N)個で良いこととなる。これによ
り、処理時間を短縮化することができる。この場合、時
間τVは、{(160−30)(mm)/1500(m
/s)}≒86.7μsである。
【0066】ところで、実際には、セルの周波数特性等
のため、固有値λpは、骨Mbの反射率に比例したもの
として得られる。そこで、この例では、反射率が既知の
物体についても上記したステップSP1〜SP4の処理
を行い、固有値及びそれに対する固有ベクトルを算出
し、得られた固有値で対応する固有値λpを除算して比
例定数を得ることにする。
【0067】ステップSP5では、CPU15は、複素
ベクトル符号統一処理サブプログラムの制御により、R
AM14の所定の記憶領域に記憶されている各角周波数
毎のN個の正の固有値λpに対する(N×N)個の固有
ベクトルψp,n(ω)より、式(37)で表される複素ベ
クトルVψp,n(ω)を作成した後、複素ベクトルVψp,n
(ω)の符号を統一してRAM14の所定の記憶領域に記
憶する複素ベクトル符号統一処理を実行する。
【0068】
【数37】 Vψp,n(ω)=Re(Vψp,n(ω))+jIm(Vψp,n(ω)) …(3 7)
【0069】式(37)において、Vψp,n(ω)は、式
(38)で表される行列形式の複素ベクトルである。V
は複素ベクトルであることを示している。
【0070】
【数38】
【0071】まず、前提として、固有値λpの符号は既
知であるとし、例えば、第p番目の固有値λpは当該符
号をとるものとする。多くの場合、骨Mbの音響インピ
ーダンスは生体の軟組織Maの音響インピーダンスより
大きいので、このように仮定できる。また、固有値λp
に対する複素ベクトルVψp,n(ω)は規格化されている
とする。すなわち、複素ベクトルVψp,n(ω)の大きさ
は1であるとする。ここで、複素ベクトルVψp,n(ω)
の大きさが1であるとは、複素ベクトルVψp,n(ω)が
式(39)で表されることを意味する。
【0072】
【数39】
【0073】複素ベクトルVψp,n(ω)は、図6(a)
に示すように、1つの角周波数ωにおいて、向きが18
0゜異なるものも存在し、かつ、対応する固有値λ
pは、固有値(−λp)とペアをなし、固有値(−λp
に対する複素ベクトルは固有値λpに対する複素ベクト
ルと位相が90゜回転したものに対応する。すなわち、
絶対値が|λp|である固有値(±λp)に対する複素ベ
クトルVψp,n(ω)は、同一の角周波数ωについて4個
存在する。したがって、固有値λpに対する複素ベクト
ルVψp,n(ω)を角周波数の変化に従って追跡する場
合、隣接する複素ベクトルVψp,n(ω+Δω)とのな
す角θが45゜より大きいと、複素ベクトルVψ
p,n(ω)を正しく追跡できなくなってしまう。図6
(b)の例では、固有値λpに対する角周波数ω1の複素
ベクトルVψp,n(ω1)に隣接する角周波数(ω1+Δ
ω)の複素ベクトルVψp,n(ω1+Δω)を追跡する
際、角θが45゜より大きいと、誤って固有値(−
λp)に対する角周波数(ω1+Δω)の複素ベクトルV
ψp,n(ω 1+Δω)を選択してしまう。これにより、後
述する画像化処理(ステップSP6)において誤った画
像をディスプレイ16に表示してしまうことになる。
【0074】そこで、上記したステップSP1のエコー
信号検出処理において、超音波パルスAiを3kHzず
つステップさせながら送信すると共に、このステップS
P5の複素ベクトル符号統一処理において、Vψ
p,n(ω)の向きを角周波数で連続させる。まず、周波数
変化のステップを3kHzに設定した理由について説明
する。上記のように、隣接する複素ベクトルVψ
p,n(ω)と複素ベクトルVψp, n(ω+Δω)とのなす角
θは、45゜より小さくなければならないから、角周波
数間隔Δωと、上記した最終到達時間Tとの積(Δω
T)が、(π/4)より小さくなければならない。すな
わち、式(40)が満足されなければならない。
【0075】
【数40】ΔωT≦π/4 …(40)
【0076】角周波数ωは2πfと表させるから、式
(40)は、上記した式(31)となる。この例におい
ては、超音波トランスデューサユニット4の送受信面4
aから骨Mbまでの距離は160mmであるから、最終
到達時間Tは{(160(mm)×2)/1500(m
/s)}=213μsとなる。したがって、式(31)
より周波数変化のステップΔfは略586Hz以下とし
なければならないはずであるが、上記した仮想センサ面
の考え方を採用することにより、周波数変化のステップ
Δfを3kHzに設定している。
【0077】次に、複素ベクトルVψp,n(ω)の向きを
角周波数で連続させる処理について説明する。複素ベク
トルVψp,n(ω)を算出すべき角周波数範囲内(最小角
周波数ω1〜最大角周波数ω334)において、最小角周波
数ω1から第q番目の角周波数をωq(q=1,2,…,3
34)とし、qが2以上の時は、次のアルゴリズムに従
って、順次複素ベクトルVψp,n(ωq)を決定する。
【0078】
【数41】
【0079】以上の処理により、複素ベクトルVψ
p,n(ω)の符号が統一され、その向きが複素ベクトルV
ψp,n(ω1)から複素ベクトルVψp,n(ω334)まで連
続的に変化するものになる。
【0080】ステップSP6では、CPU15は、画像
化処理サブプログラムの制御により、ディスプレイ16
の画面に、骨Mbの形状を3次元画像(図3参照)とし
て表示する処理を実行する。この処理では、まず、第p
番目の固有値λpに対する複素ベクトルVψp,n(ω)から
音場の関数φp(ω,x,y,z)を求める処理をすべての
角周波数ω1〜ω334及びすべてのセル61〜664につい
て行う。次に、得られた音場の関数φp(ω,x,y,z)
を逆フーリエ変換して得られた関数φp(t,x,y,z)か
ら時刻t=0での音場の関数φp(x,y,z)(=φp(t,
x,y,z)(t=0))を求める。これにより、音場の
関数φp(x,y,z)は、骨Mbの表面に沿った波面を形
成するので、その波面を骨Mbの表面と対応させ、固有
値λpを骨Mbの反射率に対応させることにより、画像
化する。この場合、反射率が異なる領域があれば、反射
率毎に画像化される。
【0081】まず、CPU15は、式(41)に基づい
て、第p番目の固有値λpに対する複素ベクトルVψp,n
(ω)から音場の関数φp(ω,x,y,z)を求める処理を
すべての角周波数ω1〜ω334及びすべてのセル61〜6
64について行う。
【0082】
【数42】
【0083】式(41)において、Φn(ωq,x,y,z)
は、その中心座標が座標(xn,y n,zn)である第n番目
のセル6nに角周波数ωq及び振幅1の電気パルス信号を
印加した場合にセル6nから送信される超音波パルスに
より座標(x,y,z)に形成される複素音場の関数であ
る。 [1] セル6nが点音源とみなせる場合には、関数Φn
(ωq,x,y,z)は、式(42)で表される。
【0084】
【数43】
【0085】式(42)において、APは周波数依存の
比例定数、k=ω/c、cは媒体中の音速であり、既知
とする。例えば、軟組織の場合、水と同じ1500m/
sとして良い。また、rは、式(43)で表される。
【0086】
【数44】
【0087】[2] セル6nが、平面剛体壁に囲まれ
た円形ピストン振動音源と見なせる場合には、関数Φn
(ωq,x,y,z)は、式(44)で表される。
【0088】
【数45】
【0089】式(44)において、ARは比例定数、J1
は1次のベッセル関数、aRは音源の半径である。ま
た、sinθは式(45)で表される。
【0090】
【数46】
【0091】式(45)において、(nx,ny,nz)
は音源の大きさ1の法線ベクトル、×はベクトル積を表
す。なお、式(44)の他の記号の意味は[1]の点音
源の場合と略同様である。
【0092】[3] セル6nが剛壁に囲まれた矩形音
源と見なせる場合には、関数Φn(ωq,x,y,z)は、式
(46)で表される。
【0093】
【数47】
【0094】式(46)において、2aSは矩形のx軸
方向の長さ、2bSは矩形のy軸方向の長さ、α及びβ
はそれぞれベクトル(x−xn,y−yn,z−zn)とx軸
及びy軸とのなす角である。また、sinc(D)は、
Dについて式(47)を意味する。なお、式(46)の
他の記号の意味は[1]の点音源の場合と略同様であ
る。
【0095】
【数48】
【0096】なお、[2]及び[3]の詳細について
は、「超音波基礎工学」(山本美明著、日刊工業新聞社
刊、第56ページ〜第58ページ)を参照されたい。
【0097】次に、CPU15は、得られた音場の関数
φp(ω,x,y,z)を逆フーリエ変換して音場の関数φp
(t,x,y,z)を得た後、その音場の関数φp(t,x,y,
z)にt=0を代入して、時刻t=0での音場の関数φp
(x,y,z)を求める。これにより、音場の関数φp(x,
y,z)は、骨Mbの表面に沿った波面を形成するので、
CPU15は、音場の関数φp(x,y,z)の波面を骨M
bの表面と対応させ、固有値λpを骨Mbの反射率に対
応させることにより、画像化し、図3に示すように、デ
ィスプレイ16に画像表示する。この場合、反射率が異
なる領域があれば、反射率毎に画像化される。また、す
べての音場の関数φp(x,y,z)について画像化するの
ではなく、音場の大きさが所定の大きさ以上の場所につ
いてだけ濃淡をつけ、それと共に、固有値λpに先に求
めた比例定数を乗算した結果である反射率の位置情報を
その濃淡に関連付けても良い。
【0098】ここで、図7に示すように、骨Mbの代わ
りにダミーとして、音響インピーダンスが骨Mbの音響
インピーダンスに近い直径40.0mmのベークライト
製の球体(反射率;約0.6、密度;1.5g/c
3、音速;4000m/s)を(0.0,0.0,16
0.0)が中心座標となるように、媒体としての水(密
度;1.0g/cm3、音速;1500m/s)の中に
配置すると共に、64個のセル61〜664を14mmの
ピッチで原点(0,0,0)を中心に配置して、64個の
セル61〜664による超音波パルスAiの送信及び骨エ
コーAeの受信を行い、ゲート処理において上記矩形窓
を示す関数をゲート関数g(t)に用いた場合の第1(最
大)固有値λ1に対応した音場の画像の一例を図8に示
す。図8(a)は従来例による画像、すなわち、すべて
のエコー信号Sm,n(t)を用いることにより得られた画
像、図8(b)はこの例による画像、すなわち、すべて
のエコー信号Sm,n(t)のうち、m=nの場合のエコー
信号S1,1(t),S 2,2(t),…,S64,64(t)については値
0に代えることにより得られた画像である。なお、従来
例とこの例とは他の条件はすべて同一に設定されてい
る。
【0099】図8から分かるように、この例において
は、仮想センサ面という考え方を採用して周波数変化の
ステップを3kHzに設定し、送信される超音波パルス
Aiの周波数の数を334個に減少させると共に、超音
波パルスAiを送信したセル6自身が受信したエコー信
号S1,1(t),S2,2(t),…,S64,64(t)に代えて値0を
用いても、従来例と何等遜色のない結果が得られる。反
射率の誤差は、略3%程度であり、支障はない。
【0100】このように、この例の構成によれば、超音
波パルスAiを送信したセル6自体が受信したエコー信
号S1,1(t),S2,2(t),…,S64,64(t)に代えて値0を
用いることにより、近距離不感帯の発生を抑制でき、信
頼性の高い結果が得られる。したがって、近距離不感帯
が発生しにくい超音波トランスデューサを開発する必要
がないため、通常の超音波トランスデューサを用いるこ
とができ、また、超音波トランスデューサと骨との距離
を自由に設計することができる。これにより、装置開発
の時間も費用も削減できるし、装置設計の自由度が広め
られるので、装置の開発が容易となる。
【0101】以上、この発明の実施例を図面を参照して
詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られる
ものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計
の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述
の実施例においては、ステップSP1のエコー信号検出
処理において、1つのセル6から周波数範囲0.25〜
1.25MHzの超音波パルスAiを3kHzずつステ
ップさせながら繰り返し送信する例を示したが、これに
限定されず、同一周波数の超音波パルスAiを各セル6
から順次送信する処理を周波数範囲0.25〜1.25
MHzについて3kHzずつステップさせながら繰り返
すようにしても良い。また、上述の実施例においては、
ステップSP6の画像化処理において、N個すべての固
有値λpについて音場の関数φp(x,y,z)を求める例を
示したが、これに限定されず、画像化に有効なN個より
少ない個数の固有値λpについて音場の関数φp(x,y,
z)を求めるようにしても良い。この場合には、演算処
理時間がその分さらに短縮できる。さらに、上述の実施
例においては、ステップSP3のフーリエ変換処理にお
いて、ゲート処理により得られたエコー信号Sgm,n(t)
をフーリエ変換した後、散乱行列S(ω)を作成する例を
示したが、これに限定されず、散乱行列S(ω)を作成し
た後その結果をフーリエ変換してももちろん良い。
【0102】また、上述の実施例においては、反射率を
求めるのに、反射率が既知の物体についても、上記した
ステップSP1〜SP4の処理を行い、固有値及びそれ
に対する固有ベクトルを算出し、得られた固有値で対応
する固有値λpを除算して比例定数を得る例を示した
が、これに限定されない。要するに、実対称行列S'
(ω)の固有値問題を処理して得られた固有値λpに比例
する量を反射率の絶対値とすれば良い。さらに、上述の
実施例においては、反射率を求めるのに、ステップSP
4の固有値問題処理において、実対称行列S'V(ω)の固
有値問題を処理して実対称行列S'V(ω)の固有値λVp
固有ベクトルψVp,n(ω)とを決定した後、(N×N)の
散乱行列S(ω)に対応した(2N×2N)の実対称行列
S'(ω)の固有値λp及びそれに対する固有ベクトルψ
p,n(ω)を求める例を示したが、これに限定されない。
要するに、式(48)を満足する十分絶対値がN個以下
の大きな実数値λp及び関数ψp(ω)(1≦p≦N)を求
め、実数値λpに比例する量を反射率の絶対値とすれば
良い。
【0103】
【数49】
【0104】式(48)において、Sm,n(ω)は散乱行
列S(ω)の成分、ψn(ω)は第n番目のセル6nから骨M
bに向かって送信される超音波パルス、ψ* m(ω)はψ
m(ω)の複素共役である。
【0105】また、上述の実施例においては、パルス発
生器8を64個設けた例を示したが、これに限定され
ず、1個のみ設けると共に、切替器を設け、CPU15
の制御により、その出力を順次整合回路91〜964を介
してセル61〜664に供給するようにしても良い。さら
に、セル6は、厚み振動型に限らず、撓み振動型でも良
い。セル6の個数も64個に限定されるものではなく、
必要に応じて、増減できる。さらに、図4に示すように
所定のピッチでセル6を配列する必要はなく、任意で良
い。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、近距離不感帯の発生を抑制できるので、信頼性
の高い結果が得られる。したがって、超音波トランスデ
ューサの仕様を厳しく制限する必要がないし、超音波ト
ランスデューサと骨との距離を任意に設定することがで
きる。これにより、装置を安価に構成できると共に、自
由な装置設計が可能となり、装置開発を順調に行うこと
ができる。また、請求項4及び13記載の発明の構成に
よれば、仮想センサ面の考え方を採用することにより、
超音波パルスの周波数の数を減らすことができるので、
処理時間を短縮できる。また、請求項5,6,14及び
15記載の発明の構成によれば、超音波変換要素の最初
の残響や骨と超音波変換要素との間の多重反射等に関す
るノイズが除去され、骨からの1次反射波信号のみが抽
出されるので、一段と精確な測定が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である骨粗鬆症診断装置の
電気的構成を示すブロック図である。
【図2】同診断装置の外観図である。
【図3】同診断装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】同診断装置で使用される超音波トランスデュー
サユニットの構成を示す斜視図である。
【図5】同診断装置の動作処理手順を示すフローチャー
トである。
【図6】同診断装置の動作処理の1つである画像化処理
を説明するための図である。
【図7】64個のセルとダミーとの位置関係を説明する
ための図である。
【図8】従来例及びこの発明の一実施例である骨粗鬆症
診断装置における画像化処理によって画像化されたダミ
ーの画像の一例を示す図であり、(a)が従来例による
画像、(b)がこの実施例による画像である。
【符号の説明】
Ai 超音波パルス Ae 骨エコー Mb 骨 4 超音波トランスデューサユニット 61〜664 セル(超音波変換要素) 81〜864 パルス発生器(エコー信号検出手段) 101〜1064 増幅器(エコー信号検出手段) 111〜1164 波形整形器(エコー信号検出手段) 121〜1264 A/D変換器(エコー信号検出手段) 15 CPU(エコー信号検出手段、ゲート処理
手段、フーリエ変換手段、算出手段、画像化処理手段) 16 ディスプレイ

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2次元的に任意に配置され、超音波パル
    スを被験者の生体内部に送信すると共に、測定部位であ
    る骨からのエコーを受信するためのN個(Nは2以上の
    自然数)の超音波変換要素からなる超音波トランスデュ
    ーサユニットと、 前記N個の超音波変換要素のうち、第n番目(n=1,
    2,…,N)の超音波変換要素から所定周波数範囲内の超
    音波パルスを送信させ、それに基づく前記骨からのエコ
    ーを第m番目(m=1,2,…,N)の超音波変換要素に
    よって受信させる処理を前記N個の超音波変換要素につ
    いて行うことにより前記N個の超音波変換要素から出力
    される(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を検出し、
    m=nの場合のエコー信号S1,1(t),S2,2(t),…,S
    64,64(t)については値を0とするエコー信号検出手段
    と、 前記(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(t)を
    (N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)にフーリ
    エ変換するフーリエ変換手段と、 前記(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)に関
    する式(1)の方程式を成立させる実数値λ12,…
    …,λNのうち、絶対値の大きい方から数えて、単数又は
    複数の実数値λp(1≦p≦N)を求めると共に、前記
    単数又は複数の実数値λpに対応する単数又は複数の関
    数ψp(ω)を算出する算出手段とを備えてなることを特
    徴とする骨粗鬆症診断装置。 【数1】 式(1)において、ψ* m(ω)はψm(ω)の複素共役であ
    る。
  2. 【請求項2】 前記所定周波数範囲に対応する角周波数
    範囲及び前記N個の超音波変換要素について、前記単数
    又は複数の実数値λpに対応する単数又は複数の関数ψp
    (ω)から音場の関数φp(ω,x,y,z)を求め、前記音
    場の関数φ p(ω,x,y,z)を逆フーリエ変換して得ら
    れた関数φp(t,x,y,z)から時刻t=0での音場の関
    数φp(x,y,z)(=φp(t,x,y,z)(t=0))を
    求め、該音場の関数φp(x,y,z)及び前記単数又は複
    数の実数値λpに基づいて前記骨を画像化する画像化処
    理手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載の骨
    粗鬆症診断装置。
  3. 【請求項3】 前記算出手段は、前記(N×(N−
    1))個のエコー信号S m,n(ω)から作成される(N×
    N)の複素対称行列であり、式(2)で表される散乱行
    列S(ω)から、式(3)で表される(2N×2N)の実
    対称行列S'(ω)を求め、前記実対称行列S'(ω)の固有
    値問題を処理して固有値及びそれに対する固有ベクトル
    を求め、前記固有値のうち、絶対値の大きい方から数え
    て、単数又は複数の固有値を前記単数又は複数の実数値
    λpとすると共に、前記単数又は複数の固有値に対する
    単数又は複数の固有ベクトルを前記単数又は複数の実数
    値λpに対応する単数又は複数の関数ψp(ω)とすること
    を特徴とする請求項1又は2記載の骨粗鬆症診断装置。 【数2】 式(2)において、Sm,n(ω)は、第n番目の超音波変
    換要素(n=1,2,……,N)から超音波パルスを送信
    した時の骨からのエコーを第m番目の超音波変換要素
    (m=1,2,……,N)が受信するときの時間の関数で
    あるエコー信号Sm,n(t)に対応している。 【数3】 式(3)において、Re(S(ω))は散乱行列S(ω)の
    実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の虚部である。
  4. 【請求項4】 前記算出手段は、式(4)で表される
    (N×N)の複素対称行列SV(ω)から、式(5)で表
    される(2N×2N)の実対称行列S'V(ω)を求め、前
    記実対称行列S'V(ω)の固有値問題を処理して固有値及
    びそれに対する固有ベクトルを求め、前記実対称行列
    S'V(ω)の固有値を前記実対称行列S'(ω)の固有値と
    し、前記実対称行列S'V(ω)の固有ベクトルとexp(j
    ωτ V)との積を前記実対称行列S'(ω)の固有ベクトル
    とすることを特徴とする請求項3記載の骨粗鬆症診断装
    置。 【数4】 SV(ω)=S(ω)・exp(2jωτV) …(4) 式(4)において、τVは前記超音波トランスデューサ
    ユニットの送受信面から送信された超音波パルスが前記
    送受信面と前記骨との間の任意の位置に到達するまでの
    時間である。 【数5】 式(5)において、Re(SV(ω))は複素対称行列SV
    (ω)の実部、Im(SV(ω))は複素対称行列SV(ω)の
    虚部である。
  5. 【請求項5】 前記骨からの1次反射波信号のみを抽出
    するためのゲート関数g(t)と、前記エコー信号S
    m,n(t)とを乗算するゲート処理手段を備えてなること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の骨粗
    鬆症診断装置。
  6. 【請求項6】 前記ゲート関数g(t)は、前記エコー信
    号Sm,n(t)のうち、前記1次反射波信号と推定される
    部分で振幅が略1で、その他の部分で振幅が略0の矩形
    窓を示す関数、又は式(6)で示される正規関数である
    ことを特徴とする請求項5記載の骨粗鬆症診断装置。 【数6】 式(6)において、t0はエコー信号Sm,n(t)が最大振
    幅になる時間、τは220μsである。
  7. 【請求項7】 前記エコー信号検出手段は、前記所定周
    波数範囲内において、前記超音波変換要素から送信され
    た超音波パルスが前記骨まで伝搬された後、前記骨にお
    いて反射され、再び前記超音波変換要素に到達するまで
    の時間である最終到達時間をTとした場合の(1/8
    T)より十分小さい周波数間隔で、前記超音波パルスの
    周波数を変更して周波数毎の前記(N×N)個のエコー
    信号Sm ,n(t)を検出することを特徴とする請求項1乃
    至6のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装置。
  8. 【請求項8】 前記算出手段は、前記単数又は複数の実
    数値λpから又は前記単数又は複数の実数値λpに所定の
    比例定数を乗じて、前記骨の反射率を求めることを特徴
    とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の骨粗鬆症診
    断装置。
  9. 【請求項9】 測定部位となる前記骨は、腰椎、上腕
    骨、脛骨、踵骨又は大腿骨頚部であることを特徴とする
    請求項1乃至8のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断装
    置。
  10. 【請求項10】 2次元的に任意に配置され、超音波パ
    ルスを被験者の生体内部に送信すると共に、測定部位で
    ある骨からのエコーを受信するためのN個(Nは2以上
    の自然数)の超音波変換要素からなる超音波トランスデ
    ューサユニットを備え、 前記N個の超音波変換要素のうち、第n番目(n=1,
    2,…,N)の超音波変換要素から所定周波数範囲内の超
    音波パルスを送信させ、それに基づく前記骨からのエコ
    ーを第m番目(m=1,2,…,N)の超音波変換要素に
    よって受信させる処理を前記N個の超音波変換要素につ
    いて行うことにより前記N個の超音波変換要素から出力
    される(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を検出し、
    m=nの場合のエコー信号S1,1(t),S2,2(t),…,S
    64,64(t)については値を0とし、前記(N×(N−
    1))個のエコー信号Sm,n(t)をフーリエ変換して得
    られた(N×(N−1))個のエコー信号Sm,n(ω)に
    関する式(7)の方程式を成立させる実数値λ12,…
    …,λNのうち、絶対値の大きい方から数えて、単数又は
    複数の実数値λp(1≦p≦N)を求めると共に、前記
    単数又は複数の実数値λpに対応する単数又は複数の関
    数ψp(ω)を算出することを特徴とする骨粗鬆症診断方
    法。 【数7】 式(7)において、ψ* m(ω)はψm(ω)の複素共役であ
    る。
  11. 【請求項11】 前記所定周波数範囲に対応する角周波
    数範囲及び前記N個の超音波変換要素について、前記単
    数又は複数の実数値λpに対応する単数又は複数の関数
    ψp(ω)から音場の関数φp(ω,x,y,z)を求め、前記
    音場の関数φp(ω,x,y,z)を逆フーリエ変換して得
    られた関数φp(t,x,y,z)から 時刻t=0での音場の関数φp(x,y,z)(=φp(t,
    x,y,z)(t=0)) を求め、該音場の関数φp(x,y,z)及び前記単数又は
    複数の実数値λpに基づいて前記骨を画像化することを
    特徴とする請求項10記載の骨粗鬆症診断方法。
  12. 【請求項12】 前記(N×(N−1))個のエコー信
    号Sm,n(ω)から作成される(N×N)の複素対称行列
    であり、式(8)で表される散乱行列S(ω)から、式
    (9)で表される(2N×2N)の実対称行列S'(ω)
    を求め、前記実対称行列S'(ω)の固有値問題を処理し
    て固有値及びそれに対する固有ベクトルを求め、前記固
    有値のうち、絶対値の大きい方から数えて、単数又は複
    数の固有値を前記単数又は複数の実数値λpとすると共
    に、前記単数又は複数の固有値に対する単数又は複数の
    固有ベクトルを前記単数又は複数の実数値λpに対応す
    る単数又は複数の関数ψp(ω)とすることを特徴とする
    請求項10又は11記載の骨粗鬆症診断方法。 【数8】 式(8)において、Sm,n(ω)は、第n番目の超音波変
    換要素(n=1,2,……,N)から超音波パルスを送信
    した時の骨からのエコーを第m番目の超音波変換要素
    (m=1,2,……,N)が受信するときの時間の関数で
    あるエコー信号Sm,n(t)に対応している。 【数9】 式(9)において、Re(S(ω))は散乱行列S(ω)の
    実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の虚部である。
  13. 【請求項13】 式(10)で表される(N×N)の複
    素対称行列SV(ω)から、式(11)で表される(2N
    ×2N)の実対称行列S'V(ω)を求め、前記実対称行列
    S'V(ω)の固有値問題を処理して固有値及びそれに対す
    る固有ベクトルを求め、前記実対称行列S'V(ω)の固有
    値を前記実対称行列S'(ω)の固有値とし、前記実対称
    行列S'V(ω)の固有ベクトルとexp(jωτV)との積
    を前記実対称行列S'(ω)の固有ベクトルとすることを
    特徴とする請求項12記載の骨粗鬆症診断方法。 【数10】 SV(ω)=S(ω)・exp(2jωτV) …(10) 式(10)において、τVは前記超音波トランスデュー
    サユニットの送受信面から送信された超音波パルスが前
    記送受信面と前記骨との間の任意の位置に到達するまで
    の時間である。 【数11】 式(11)において、Re(SV(ω))は複素対称行列
    V(ω)の実部、Im(SV(ω))は複素対称行列S
    V(ω)の虚部である。
  14. 【請求項14】 前記フーリエ変換する前に、前記骨か
    らの1次反射波信号のみを抽出するためのゲート関数g
    (t)と、前記エコー信号Sm,n(t)とを乗算することを
    特徴とする請求項10乃至13のいずれか1に記載の骨
    粗鬆症診断方法。
  15. 【請求項15】 前記ゲート関数g(t)は、前記エコー
    信号Sm,n(t)のうち、前記1次反射波信号と推定され
    る部分で振幅が略1で、その他の部分で振幅が略0の矩
    形窓を示す関数、又は式(12)で示される正規関数で
    あることを特徴とする請求項14記載の骨粗鬆症診断方
    法。 【数12】 式(12)において、t0はエコー信号Sm,n(t)が最大
    振幅になる時間、τは220μsである。
  16. 【請求項16】 周波数毎の前記(N×N)個のエコー
    信号Sm,n(t)を検出するには、前記所定周波数範囲内
    において、 前記超音波変換要素から送信された超音波パルスが前記
    骨まで伝搬された後、前記骨において反射され、再び前
    記超音波変換要素に到達するまでの時間である最終到達
    時間をTとした場合の(1/8T)より十分小さい周波
    数間隔で前記超音波パルスの周波数を変更して行うこと
    を特徴とする請求項10乃至15のいずれか1に記載の
    骨粗鬆症診断方法。
  17. 【請求項17】 前記単数又は複数の実数値λから又は
    前記単数又は複数の実数値λに所定の比例定数を乗じ
    て、前記骨の反射率を求めることを特徴とする請求項1
    0乃至16のいずれか1に記載の骨粗鬆症診断方法。
JP11101460A 1999-04-08 1999-04-08 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法 Pending JP2000287971A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11101460A JP2000287971A (ja) 1999-04-08 1999-04-08 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11101460A JP2000287971A (ja) 1999-04-08 1999-04-08 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000287971A true JP2000287971A (ja) 2000-10-17

Family

ID=14301325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11101460A Pending JP2000287971A (ja) 1999-04-08 1999-04-08 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000287971A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003260057A (ja) * 2002-02-19 2003-09-16 Biosense Inc マッピング装置およびマッピング方法
CN110285876A (zh) * 2019-07-01 2019-09-27 中国人民解放军军事科学院国防科技创新研究院 一种海洋声场全波解的获取方法
EP2907458B2 (en) 2001-10-05 2021-01-27 Boston Scientific Limited Medical device for causing hemostasis

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2907458B2 (en) 2001-10-05 2021-01-27 Boston Scientific Limited Medical device for causing hemostasis
JP2003260057A (ja) * 2002-02-19 2003-09-16 Biosense Inc マッピング装置およびマッピング方法
JP4689146B2 (ja) * 2002-02-19 2011-05-25 バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド マッピング装置およびマッピング方法
CN110285876A (zh) * 2019-07-01 2019-09-27 中国人民解放军军事科学院国防科技创新研究院 一种海洋声场全波解的获取方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4854212B2 (ja) 超音波診断装置
WO1996018342A1 (fr) Dispositif et procede de diagnostic de l'osteoporose
JP2008136860A (ja) 超音波診断装置およびその画像処理プログラム
EP0821913A1 (en) Method and apparatus for osteoporosis diagnosis
JP5281107B2 (ja) 超音波診断装置および超音波画像生成方法
CN102209496A (zh) 超声波诊断装置、超声波诊断装置的信号处理方法
KR20170045985A (ko) 초음파 영상장치 및 그 제어방법
WO2020110500A1 (ja) 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
JP4469583B2 (ja) 超音波診断装置
JP2000287971A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法
WO1997019641A1 (en) Apparatus and method for diagnosing osteoporosis
WO2010055818A1 (ja) 超音波診断装置、超音波診断装置の信号処理実行方法
JP2008142130A (ja) 超音波診断装置およびその制御処理プログラム
JPH11313820A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法
JP3730743B2 (ja) 骨粗鬆症診断装置
JP5331839B2 (ja) 超音波プローブおよび超音波診断装置
JP2000316852A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法
JPH11188034A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法
JP2013244136A (ja) 超音波診断装置および超音波診断画像生成方法
JP2004305236A (ja) 超音波診断装置
Mohammed Investigation of Fluid Loading Effects on CMUT Arrays for Cardiac Imaging
Krit et al. Control of the biceps activity with the simple ultrasound probe
JPH0548130B2 (ja)
JP2023058108A (ja) 情報処理装置および超音波処理システム
JPH1176230A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法