JPH09313483A - 骨粗鬆症診断装置 - Google Patents

骨粗鬆症診断装置

Info

Publication number
JPH09313483A
JPH09313483A JP13700696A JP13700696A JPH09313483A JP H09313483 A JPH09313483 A JP H09313483A JP 13700696 A JP13700696 A JP 13700696A JP 13700696 A JP13700696 A JP 13700696A JP H09313483 A JPH09313483 A JP H09313483A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
echo
bone
ultrasonic
osteoporosis
waveform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13700696A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Masashi Kuriwaki
真史 栗脇
Yasuyuki Kubota
康之 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP13700696A priority Critical patent/JPH09313483A/ja
Publication of JPH09313483A publication Critical patent/JPH09313483A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨密度の状態を正確に推定し、信頼性の高い
診断を簡易に行う。 【解決手段】 トランスデューサ1は、周波数が掃引さ
れる連続波の超音波を繰り返し被験者の骨に向けて送波
し、骨からのエコーを受波する。受波信号(電気信号)
に基づいて、骨からのエコーのCOS成分及びSIN成
分が検波され、デジタル信号に変換される。デジタル化
されたCOS成分とSIN成分とから逆フーリエ変換し
て送信残響等を除去し骨エコー波形が抽出される。次
に、CPU11は、エコーレベルの中から最大エコーレ
ベルを抽出し、最大エコーレベル抽出時の骨エコー波形
に基づいてフーリエ変換してスペクトルを求め、このス
ペクトルに基づいて、骨の(特性)音響インピーダンス
を算出する。これにより振幅情報及び位相情報が得られ
るので、骨粗鬆症がかなり進行して骨の音響インピーダ
ンスが軟組織のそれより小さくなっていても、正確な診
断が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超音波を被験者
の所定の骨に向けて送波し、該骨からのエコーレベルを
検出することにより、骨粗鬆症を診断する骨粗鬆症診断
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来に伴って、骨粗
鬆症と呼ばれる骨の疾患が問題となっている。これは、
骨からカルシウムが抜け出してスカスカになり、少しの
ショックで折れ易くなる病気で、高齢者をいわゆる寝た
きりにさせる原因の一つにもなっている。骨粗鬆症の物
理的診断は、主として、DXA等に代表されるX線を使
用する診断装置により、骨の密度を精密に測定すること
によって行われるが、X線による物理的診断では、装置
が大がかりになる上、使用にあたっては、放射線被爆障
害防止の見地から、いろいろな制約を受ける、という煩
わしい問題を抱えている。
【0003】そこで、このような不都合が全く起きない
簡易な装置として、超音波を利用する診断装置が普及し
始めてきている。超音波を利用する診断装置では、超音
波が骨組織中を伝搬するときの音速や減衰を計測して、
骨密度や骨の弾性率(弾性的強度)を推定し、低い推定
値が得られれば、それは、骨からカルシウムが抜け出し
たためであると考えることができるので、骨粗鬆症と診
断する。例えば、特開平2−104337号公報に記載
の診断装置では、一方の超音波トランスデューサから測
定部位である被験者の骨組織に向けて超音波パルスを発
射し、骨組織を透過してきた超音波パルスを他方の超音
波トランスデューサで受波することにより、骨組織中で
の音速を測定し、骨組織内での音速が遅い程、骨粗鬆症
が進行していると診断する。これは、同診断装置が、経
験上骨組織中では音速は骨密度に比例する、という前提
に立って動作するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、骨密度
と音速とを結び付ける理論的根拠は不確かで、厳密に言
うと、骨組織中での音速は、骨密度に比例するのではな
く、[骨の弾性率/骨密度]の平方根で与えられる。し
かも、骨の弾性率と骨密度とは、骨密度が増加すれば骨
の弾性率も上昇するという互いに相殺する形で音速に寄
与するために、骨組織中での音速は骨密度の増加に敏感
には応答できず、骨組織中での音速と骨密度との相関係
数は、けっして高くはない。また、骨密度と超音波の減
衰とを結び付ける理論的根拠も不確かである。したがっ
て、骨組織中での音速や超音波の減衰についての計測結
果から、骨密度や骨の弾性率を推定するという従来の診
断装置に信頼性の高い診断を求めることには無理があっ
た。
【0005】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、放射線被爆の心配のない簡易型であるにもかか
わらず、骨密度又は骨の弾性率をこの種の従来装置より
も一段と正確(敏感)に推定でき、信頼性の高い診断を
行うことのできる超音波反射式の骨粗鬆症診断装置を提
供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、超音波トランスデューサを
被験者の所定の骨を覆う皮膚表面に当てた状態で、該超
音波トランスデューサの送受波面の向きを様々に変えな
がら、超音波を上記皮膚下の骨に向けて送波すると共
に、上記超音波トランスデューサが超音波受波時に電気
信号として出力する受波信号に基づいて、上記骨から戻
ってくる上記超音波のエコーを検出し、該エコーに基づ
いて骨粗鬆症を診断する超音波反射式の骨粗鬆症診断装
置であって、所定の時間持続し、かつ、所定の周波数幅
の範囲で周波数が時間と共に変化する連続波電気信号を
繰り返し生成して上記超音波トランスデューサに与え、
該超音波トランスデューサに上記連続波電気信号に対応
した連続超音波を送波させる信号発生手段と、上記連続
超音波のエコーを受波した結果として、上記超音波トラ
ンスデューサから電気信号として出力される受波信号に
基づいて、送波された上記連続超音波のエコーのうち、
上記連続波電気信号と同期した第1の成分を検出する第
1のエコー検出手段と、上記連続電気信号に対して位相
が略90度ずれた第2の成分を検出する第2のエコー検
出手段と、上記第1のエコー検出手段によって検出され
た上記第1の成分を第1のデジタル信号に変換する第1
のアナログ/デジタル変換器と、上記第2の検出手段に
よって検出された上記第2の成分を第2のデジタル信号
に変換する第2のアナログ/デジタル変換器と、上記第
1及び第2のアナログ/デジタル変換器から出力される
上記第1及び第2のデジタル信号に基づいて、上記骨の
エコーレベルを検出するエコーレベル検出手段と、検出
された上記エコーレベルの中から最大エコーレベルを抽
出するための最大エコーレベル抽出手段と、抽出された
上記最大エコーレベルに基づいて、上記骨の複素音響特
性情報を算出する演算手段と、該演算手段によって算出
された上記骨の複素音響特性情報に基づいて、骨粗鬆症
を判断する判断手段とを備えてなることを特徴としてい
る。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の骨粗鬆症診断装置であって、上記第1及び第2のア
ナログ/デジタル変換器から出力される上記第1及び第
2のデジタル信号に基づいて上記エコーのスペクトルを
得、得られたスペクトルに基づいて逆フーリエ変換を行
ってエコー波形を得、得られたエコー波形に基づいて上
記超音波のエコーに対応した上記骨からのエコー波形を
抽出するエコー抽出手段を備え、上記エコーレベル検出
手段は、上記エコー抽出手段によって抽出された上記骨
からのエコー波形に基づいて、エコーレベルを検出する
ことを特徴としている。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項2記
載の骨粗鬆症診断装置であって、上記エコー抽出手段
は、上記逆フーリエ変換によって得られたエコー波形に
基づいて、上記骨からのエコー波形以外のエコー波形を
除去することによって上記骨からのエコー波形を抽出す
ると共に、上記演算手段は、上記最大エコーレベルが抽
出されたときの上記超音波のエコーに係る上記骨からの
エコー波形に基づいてフーリエ変換を行って上記骨から
のエコーのスペクトルを求め、求められたスペクトルに
基づいて上記骨の複素音響特性情報を算出することを特
徴としている。
【0009】また、請求項4記載の発明は、請求項1,
2又は3記載の骨粗鬆症診断装置であって、上記演算手
段は、上記骨の複素音響特性情報として、上記被験者の
軟組織に対する上記骨の超音波複素反射係数を算出し、
算出された超音波複素反射係数から振幅情報及び位相情
報を得ると共に、上記判断手段は、上記演算手段によっ
て得られた上記振幅情報及び位相情報を指標として骨粗
鬆症を判断することを特徴としている。
【0010】さらにまた、請求項5記載の発明は、請求
項1,2又は3記載の骨粗鬆症診断装置であって、上記
演算手段は、上記骨の複素音響特性情報として、上記骨
の複素音響インピーダンスを算出し、算出された複素音
響インピーダンスから振幅情報及び位相情報を得ると共
に、上記判断手段は、上記演算手段によって得られた上
記振幅情報及び位相情報を指標として骨粗鬆症を判断す
ることを特徴としている。
【0011】
【作用】この発明の構成では、骨の(特性)音響インピ
ーダンスは、骨の[弾性率×密度]の平方根で表される
ので、骨密度の増加に伴って弾性率が上昇するという、
相乗効果を受けるために、音速以上に敏感に応答して顕
著に増加する。逆に、骨密度が減少して、弾性率が低下
すると、(特性)音響インピーダンスは、これらの相乗
効果を受けて、音速以上に敏感に応答して顕著に減少す
る。それ故、骨の(特性)音響インピーダンスは、骨密
度を判断する上で、良い指標となる。例えば、皮質骨の
(特性)音響インピーダンスが、その年齢層の平均値か
ら著しく小さい場合には、骨の骨粗鬆症が悪化している
ことが判る。
【0012】また、演算手段において、最大エコーレベ
ルが抽出されたときのエコーに係るデジタルのエコー信
号に基づいてフーリエ変換を行ってスペクトルを求め、
このスペクトルに基づいて、複素表示の(特性)音響イ
ンピーダンスを所定の周波数範囲で算出し、得られた
(特性)音響インピーダンスの周波数特性に基づいて診
断が行われるので、より詳細な情報をもとに一段と多角
的で正確な骨粗鬆症の診断を行うことができる。また、
得られる(特性)音響インピーダンスは、複素音響イン
ピーダンスであって、振幅情報だけでなく位相情報も含
まれているので、従来は計測が困難であった、例えば、
軟組織に較べて(特性)音響インピーダンスが小さい皮
質骨や、超音波の波長よりも薄い皮質骨についても音響
特性情報を得ることができるようになった。
【0013】また、エコー抽出手段において、第1のア
ナログ/デジタル変換器から出力された第1のデジタル
信号及び第2のアナログ/デジタル変換器から出力され
た第2のデジタル信号に基づいて逆フーリエ変換を行っ
て時間と共に変化する波形を求め、この波形から超音波
トランスデューサから超音波が送波された直後の残響を
含む所定の時間の信号を除去することによってデジタル
のエコー信号を抽出するので、所望の信号を的確に抽出
し、一段と正確な計測を行うことができる。また、連続
波が測定に用いられるので、パルスを用いる方法に比べ
てS/N比が改善される。さらにまた、骨の(特性)音
響インピーダンスを骨密度の指標とする代わりに、骨の
単位面積当たりの質量、すなわち、面積骨密度や、骨の
(特性)音響インピーダンスの単調増加関数である軟組
織と骨との界面での超音波複素反射係数を骨密度の指標
としても、上述したと同様の効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図、図2は、同装置の外観
図、図3は、同装置の使用状態を示す模式図、図4は、
同装置の動作処理手順を示すフローチャート、また、図
5は、同装置の動作の説明に用いられる図である。この
例の骨粗鬆症診断装置は、図1乃至図3に示すように、
電気信号が入力されるとこれに応答して、測定部位であ
る被験者の所定の皮質骨Mbに向けて超音波Aiを送波
すると共に、軟組織Mbと皮質骨Mbとの境界面Yから
戻ってくるエコー(以下、骨エコーという)Aeを受波
して受波信号(電気信号)に変換する超音波トランスデ
ューサ(以下、単に、トランスデューサという)1と、
このトランスデューサ1に電気信号を供給し、トランス
デューサ1から出力される上記受波信号を処理して皮質
骨Mbからの反射波の振幅に対応した骨エコーレベルを
抽出した後、所定の演算処理を施すことにより、骨粗鬆
症の診断を行う装置本体2と、トランスデューサ1と装
置本体2とを接続するケーブル3とから概略なってい
る。
【0015】上記トランスデューサ1は、チタンジルコ
ン酸鉛(PZT)等の円板状の厚み振動型圧電素子の両
面に電極層を有する超音波振動子1aを主要部として構
成され、この超音波振動子1aの一方の電極面(超音波
Aiの送受波面)には、送信残響の効果を弱めるため
に、ポリエチレンバルク等の超音波遅延スペーサ1bが
固着されている。なお、送信残響が骨エコーAeの受波
に影響を及ぼさない場合には、超音波遅延スペーサ1b
を省略できる。ここで、精度の高い測定を行うには、ト
ランスデューサ1の送受波面から平面波とみなして差し
支えのない超音波Aiを皮質骨Mbに向けて放射でき、
平面波とみなして差し支えのない骨エコーAeが送受波
面に戻ってくるのが望ましいことから、トランスデュー
サ1としては、送受波面をできるだけ広くしたものが好
適である(この例では、送受波面の直径Dを15[mm]
に設定)。
【0016】上記装置本体2は、掃引発振器4と、方向
性結合器5と、直交検波器6と、A/D変換器7a,7
bと、インタフェース8と、ROM9と、RAM10
と、CPU(中央処理装置)11と、レベルメータ12
と、表示器13とから構成されている。掃引発振器4
は、ケーブル3を介してトランスデューサ1に接続さ
れ、所定の周波数範囲(例えば、200kHz〜2MH
z)で、かつ、所定の掃引時間(例えば、100msec)
の間周波数を掃引しながら連続波の電気信号(以下、送
波信号という)を所定の時間間隔で繰り返し生成して、
トランスデューサ1に送信する。方向性結合器5は、ブ
リッジ型回路であって、送波信号を掃引発振器4からト
ランスデューサ1へ、トランスデューサ1から出力され
た受波信号を直交検波器6へそれぞれ導く。
【0017】直交検波器6は、トランスデューサ1によ
って変換された受波信号から、送波信号と同期したCO
S成分を検波するCOS成分検波部6aと、送波信号と
位相が略90度ずれたSIN成分を検波するSIN成分
検波部6bとからなり、検波した上記COS成分及びS
IN成分をそれぞれA/D変換器7a,7bに入力す
る。
【0018】A/D変換器7a,7bは、それぞれ、図
示せぬサンプルホールド回路、サンプリングメモリ(D
RAM)等を備え、CPU11のサンプリング開始要求
に従って、入力される直交検波器6の出力信号(アナロ
グの受波信号)を所定の周波数(例えば12MHz)で
サンプリングして、A/D変換器7aは、COS成分検
波部6aから入力された上記COS成分を対応したデジ
タルエコー信号(以下、エコー信号COS成分という)
に順次変換し、また、A/D変換器7bは、SIN成分
検波部6bから入力された上記SIN成分を対応したデ
ジタルエコー信号(以下、エコー信号SIN成分とい
う)に順次変換し、A/D変換器7a,7bは、それぞ
れ、エコー信号COS成分、エコー信号SIN成分を一
旦自身のサンプリングメモリに格納した後、インタフェ
ース8を介してCPU11に送出する。なお、同じタイ
ミングでサンプリングされた対をなすエコー信号COS
成分及びエコー信号SIN成分は、CPU11に入力さ
れたときは複素表示のデジタルエコー信号(以下、エコ
ー信号という)として認識される。
【0019】ROM9は、オペレーティングシステム
(OS)の他に、CPU11が骨粗鬆症診断のために実
行する処理プログラムを格納する。この処理プログラム
は、掃引時間の間に送波された1つの連続波の超音波A
iがエコーとして受波される毎に、A/D変換器7a,
7bからインタフェース8を介してエコー信号を取り込
んで、得られた一群のエコー信号(以下、エコー波形と
いう)に基づいて、高速フーリエ逆変換(IFFT)の
手法を駆使して、このエコー波形を時間の関数としての
波形に変換する手順、この時間の関数としての波形から
送信残響を含む雑音の部分を除外して、骨エコーAeに
対応した時間の関数としての波形(以下、骨エコー波形
という)を得る手順、この骨エコー波1形に基づいて、
トランスデューサ1の送波面から超音波Aiが送波され
た後、骨エコーAeが受波面に戻ってくるまでのエコー
到達時間を算出する手順、上記骨エコー波形に基づい
て、エコーレベル(以下、骨エコーレベルという)を検
出する手順、このようにして得られた多数の骨エコーレ
ベルの中から最大骨エコーレベルを抽出する手順、この
最大骨エコーレベルが抽出されたときの骨エコー波形
(以下、最大骨エコー波形という)に基づいて、高速フ
ーリエ変換(FFT)の手法を駆使して、スペクトルを
高速に求めさせる処理手順、このスペクトルに基づい
て、角周波数ωにおける被験者の軟組織Maに対する皮
質骨Mbの超音波反射係数R(ω)を算出する手順、及び
算出された超音波反射係数R(ω)に基づいて、角周波数
ωにおける被験者の皮質骨Mbの音響インピーダンスZ
b(ω)を算出する手順等が記述されている。なお、この
処理プログラムでは、被験者の皮質骨Mbの(特性)音
響インピーダンスZb(ω)は、式(1)によって与えら
れる。
【0020】
【数1】
【0021】Za(ω): 軟組織Maの(特性)音響イン
ピーダンス(既知) 式(1)において、Za(ω)、Zb(ω)、R(ω)は、とも
に角振動数ωの関数であり、かつ、一般に、複素数とし
て記述される。ここで、境界面Yが略平面で、トランス
デューサ1から送波される超音波Aiも平面波で、しか
も、その波面が境界面Yと略平行であるとみなせるとき
(つまり、超音波Aiが境界面Yに略垂直に入射すると
き)、被験者の軟組織Maに対する皮質骨Mbの超音波
反射係数R(ω)は、式(2)で表される。ところで、骨
エコーレベルは、超音波Aiが境界面Yに略垂直に入射
するときに極大となる。したがって、この例によって抽
出される最大骨エコーレベルは、後述するように、超音
波Aiが境界面Yに略垂直に入射したときに得られるの
で、抽出された最大骨エコーレベルから算出される超音
波反射係数R(ω)は、式(2)によって与えられる超音
波反射係数R(ω)と一致する。それゆえ、式(2)を変
形することにより、式(1)が得られる。
【0022】
【数2】
【0023】RAM10は、CPU11の作業領域が設
定されるワーキングエリアと、各種データを一時記憶す
るデータエリアとを有し、データエリアには、今回検出
された骨エコーレベル(今回骨エコーレベル)や、これ
まで検出された骨エコーレベルの中から抽出された最大
骨エコーレベル等を記憶するエコーデータメモリエリ
ア、今回受波された骨エコー波形(今回骨エコー波形)
や最大骨エコーレベルが検出されたときの最大骨エコー
波形を記憶する波形メモリエリア、及び測定続行か否か
の情報を記憶する測定続行フラグ等が設定されている。
CPU11は、ROM9に格納されている上述の各種処
理プログラムをRAM10を用いて実行することによ
り、掃引発振器4やA/D変換器7a,7bを始め装置
各部を制御して、送波された1つの連続波の超音波Ai
に対応したエコーが受波される毎に、A/D変換器7
a,7bからインタフェース8を介してエコー信号を取
り込んだ後、逆フーリエ変換を行ってエコー波形の時間
の関数としての波形を求め、そして、送信残響を含む雑
音の部分を除外して骨エコー波形を得て、この骨エコー
波形に基づいて、骨エコーレベルを検出し、さらに、多
数の骨エコーレベルの中から最大骨エコーレベルを抽出
し、最大骨エコー波形に基づいてフーリエ変換を行っ
て、この最大骨エコー波形のスペクトルを求め、このス
ペクトルに基づいて、角周波数ωにおける被験者の軟組
織Maに対する皮質骨Mbの超音波反射係数R(ω)を算
出し、算出された超音波反射係数R(ω)に基づいて、角
周波数ωにおける被験者の皮質骨Mbの(特性)音響イ
ンピーダンスZb(ω)を算出して、すなわち、(特性)
音響インピーダンスZb(ω)の周波数特性を得て、骨粗
鬆症の診断を行う。
【0024】レベルメータ12は、CPU11によって
制御され、RAM10に記憶されている今回骨エコーレ
ベルを図2及び図3に破線で示す液晶指針パターン12
aの振れとして、また、これまで(今回まで)に検出さ
れた中での最大骨エコーレベルを同図に実線で示す液晶
指針パターン12bの振れとして同時に表示する。ま
た、表示器13は、CRTディスプレイ又は液晶ディス
プレイ等からなり、CPU11の制御により、最大骨エ
コーレベル、角周波数ωと超音波反射係数R(ω)との関
係を示す特性曲線、角周波数ωと(特性)音響インピー
ダンスZb(ω)との関係を示す特性曲線、今回骨エコー
波形や最大骨エコー波形等が画面表示される。
【0025】次に、図3乃至図5を参照して、この例の
動作(骨粗鬆症診断時における主としてCPU11の処
理の流れ)について説明する。まず、曲率半径が大き
く、皮膚の表面に近く、かつ、骨の厚さも比較的厚い脛
骨等の皮質骨Mbを測定部位として選ぶ。このような皮
質骨Mbからは、平面波とみなして差し支えのない骨エ
コーAeが戻ってくるので、測定精度を高める上で好ま
しいし、さらに、ノイズの混入が少なく、再現性の良い
安定したエコーレベルの測定が可能となるからである。
【0026】装置に電源が投入されると、CPU11
は、装置各部のプリセット、カウンタや各種レジスタ、
各種フラグの初期設定を行った後(ステップSP10
(図4))、測定開始スイッチが押下されるのを待つ
(ステップSP11)。ここで、操作者は、図3に示す
ように、被験者の測定部位である皮質骨Mbを覆う軟組
織Maの表面(皮膚の表面X)に、超音波ゲルGを塗
り、超音波ゲルGを介してトランスデューサ1を皮膚の
表面Xに当て、送受波面を皮質骨Mbに向けた状態で、
測定開始スイッチをオンとする。測定開始スイッチがオ
ンとされると(ステップSP11)、CPU11は、測
定続行フラグに「1」を書き込んで測定続行フラグを立
てた後、これより、図4に示す処理手順に従って診断動
作を開始する。
【0027】CPU11は、まず、掃引発振器4に信号
発生命令を発行する(ステップSP12)。掃引発振器
4は、CPU11から信号発生命令を受けると、送波信
号をトランスデューサ1に送信する。トランスデューサ
1は、掃引発振器4から送波信号の供給を受けると、被
験者の皮質骨Mbに向けて(取り扱う短い距離の間では
平面波とみなして差し支えのない)超音波Aiを発射す
る。トランスデューサ1から発射された超音波Aiは、
皮膚の表面Xで一部が反射され、残りが皮膚の表面Xか
ら軟組織Ma内に注入され、皮質骨Mbに向かって伝搬
する。そして、境界面Yで一部が反射して骨エコーAe
となり、一部は皮質骨Mbに吸収され、残りは皮質骨M
bを透過する。骨エコーAeは、入射超音波Aiとは逆
の経路を辿り、再びトランスデューサ1の超音波振動子
1aによって受波される。それゆえ、トランスデューサ
1では、超音波Aiの送波開始と共に、まず、送信残響
が、続いて、皮膚の表面Xからのエコー(以下、表面エ
コーという)が、少し遅れて、骨エコーAeが超音波振
動子1aによって受波されて、超音波の波形と振幅に対
応する受波信号に変換される。生成された受波信号は、
ケーブル3を介して装置本体2(方向性結合器5)に入
力され、直交検波器6において受波信号から、COS成
分とSIN成分とを検出した後、A/D変換器7a,7
bに入力される。
【0028】CPU11は、掃引発振器4に信号発生命
令を送出した後(ステップSP12)、A/D変換器7
a,7bに、サンプリング開始命令を発行する(ステッ
プSP13)。A/D変換器7a,7bは、CPU11
からサンプリング開始命令を受けると、直交検波器6か
ら出力された、掃引時間中に送波された1つの連続波と
しての超音波Aiの皮質骨Mbからのエコーに対応した
受波信号のCOS成分、SIN成分を所定の周波数(例
えば12MHz)でサンプリングしてエコー信号COS
成分、エコー信号SIN成分に変換し、得られたN個の
サンプル値(1つの連続波の超音波Aiのエコーに対応
したデジタル信号)をそれぞれ一旦自身のサンプリング
メモリに格納する。
【0029】この後、A/D変換器7a,7bは、サン
プリングメモリに格納されたそれぞれN個のサンプル値
をインタフェース8を介してCPU11に順次送出す
る。CPU11は、A/D変換器7a,7bからそれぞ
れN個のサンプル値をインタフェース8を介して順次取
り込んで、得られたエコー波形をRAM10の波形メモ
リエリアに記憶した後、このエコー波形に基づいて逆フ
ーリエ変換を行ってエコー波形の時間の関数としての波
形を求め、この時間の関数としての波形から送信残響や
表面エコー等を含む雑音の部分を除外して、骨エコー波
形を抽出し、今回骨エコー波形としてRAM10の波形
メモリエリアに記憶する(ステップSP14)。
【0030】次に、骨エコー波形の対をなした各サンプ
ル値の絶対値を計算し、算出された絶対値のうち最も大
きな値を抽出することにより、今回骨エコーレベルを検
出し、検出結果をRAM10のエコーデータメモリエリ
アに格納する。また、上記骨エコー波形に基づいて、ト
ランスデューサ1の送波面から超音波Aiが送波された
後、骨エコーAeが受波面に戻ってくるまでのエコー到
達時間を求め、今回エコー到達時間としてRAM10の
エコーデータメモリエリアに記憶する。RAM10に格
納された今回骨エコーレベルは、図3に破線で示すよう
に、レベルメータ12に液晶指針パターン12aの振れ
として表示され、今回骨エコー波形は、表示器13に画
面表示される(ステップSP15)。
【0031】次に、CPU11は、RAM10内のエコ
ーデータメモリエリアから今回骨エコーレベルと最大骨
エコーレベルを読み出して、今回骨エコーレベルの値
が、最大骨エコーレベルの値よりも大きいか否かを判断
する(ステップSP16)。今は、初回目の判断であ
り、最大骨エコーレベルの値は、初期設定値「0」のま
まなので、CPU11は、今回骨エコーレベルの値が、
最大骨エコーレベルの値よりも大きいと判断し、RAM
10のエコーデータメモリエリアに記憶されている最大
骨エコーレベルの値を今回骨エコーレベルの値に書き換
え、また、最大骨エコーレベルに対応した最大レベル時
エコー到達時間を今回エコー到達時間に書き換え、さら
に、RAM10の波形メモリエリアに記憶されている最
大骨エコー波形を今回骨エコー波形に書き換える(ステ
ップSP17)。そして、更新された最大骨エコー波形
を、表示器13に画面表示すると共に、更新された最大
骨エコーレベルを、図3に実線で示すように、レベルメ
ータ12に液晶指針パターン12bの振れとして表示す
る(ステップSP18)。
【0032】次に、CPU11は、RAM10内の測定
続行フラグを見て(ステップSP19)、測定続行フラ
グが立っていれば(測定フラグの内容が「1」のとき
は)、CPU11は測定継続と判断して、上述の掃引時
間単位の連続波の超音波Aiの送波とこれに対応したエ
コーの受波(ステップSP12〜SP15)を継続し、
ステップSP16において、再び、RAM10内のエコ
ーデータメモリエリアから今回骨エコーレベルと最大骨
エコーレベルを読み出して、今回骨エコーレベルの値
が、最大骨エコーレベルの値よりも大きいか否かを判断
する。この判断の結果、今回骨エコーレベルが最大骨エ
コーレベルよりも大きくないときは、更新処理を行わず
に、ステップSP19へ直接飛んで、測定続行フラグを
見る。測定続行フラグの内容は、操作者が測定終了スイ
ッチを押さない限り、「1」に保たれ、CPU11は、
上述の送波及び受波(ステップSP12〜SP15)、
最大骨エコーレベルの抽出作業(ステップSP16〜ス
テップSP19)を繰り返す。
【0033】操作者は、CPU11が上述の処理(ステ
ップSP12〜SP19)を繰り返す間、図3に矢印W
で示すように、トランスデューサ1を、皮膚の表面Xに
当てがい、測定部位の皮質骨Mbに向け、時にコマの歳
差運動のように円や螺旋を描いたり、時にシーソのよう
に前後左右斜めに振ったりして、トランスデューサ1の
向きを変え、角度を変えながら、レベルメータ12の液
晶指針パターン12a,12bが最大に振れる方向、つ
まり、最大骨エコーレベルが検出される方向を探す。レ
ベルメータ12の液晶指針パターン12a,12bの振
れが最大になるのは、図5(a)に示すように、皮質骨
Mbの法線とトランスデューサ1の送受波面の法線が一
致するときであり、したがって、平面波の超音波Aiの
波面と境界面Yが略平行のとき(つまり、平面波の超音
波Aiが境界面Yに略垂直入射するとき)である。
【0034】何故なら、両法線が一致するときには、同
図(a)に示すように、境界面Yで垂直反射した骨エコ
ーAeは、トランスデューサ1の送受波面に垂直に戻っ
てくるため、骨エコーAeの波面も送受波面に対して略
平行に揃い、送受波面での受波位置の違いによる骨エコ
ーAeの位相のずれが最小となるので、受波信号は、山
と谷との打ち消し合いが少なく、したがって、最大骨エ
コーレベルの骨エコーAeが受波されることとなるから
である。これに対して、両法線が不一致のとき、同図
(b)に示すように、送受波面で骨エコーAeの波面が
不揃いのため、受波信号は、山と谷とが打ち消し合っ
て、小さくなる。それゆえ、操作者が、トランスデュー
サ1の角度を皮質骨Mbの法線付近で変化させたとき、
骨エコーレベルが極大になれば、トランスデューサ1の
送受波面に境界面Yで略垂直に反射した骨エコーAeが
戻ってきたと考えることができる。そして、このときの
最大レベル時エコー到達時間が、超音波Aiがトランス
デューサ1から皮質骨Mbに向けて発射されてから、境
界面Yで垂直反射して戻ってくるエコーAsをトランス
デューサ1によって受波されるまでに要する伝播時間で
ある垂直反射エコー到達時間Taとなる。
【0035】ここで、重要なことは、この例の診断装置
にとって、診断精度を上げるためには、垂直反射の骨エ
コーAeを抽出することが必要だ、ということである。
何故なら、皮質骨Mbの(特性)音響インピーダンスZ
b(ω)を導く式(1)は、上述したように、略垂直反射
の骨エコーAeに対して成立する式だからである。しか
しながら、垂直反射の骨エコーAeを抽出することは、
困難なことではなく、レベルメータ12の液晶指針パタ
ーン12a,12bの振れを見ながら、垂直反射の骨エ
コーAeを容易に見つけ出すことができる。つまり、皮
質骨Mbの法線と送受波面の法線との不一致が、はなは
だしいときは、レベルメータ12の液晶指針パターン1
2a,12bが敏感に振れるので、両法線のはなはだし
い不一致を認識でき、一方、両法線が一致に近づくと、
トランスデューサ1の送受波面の向きが多少変位して
も、骨エコーレベルが安定し、液晶指針パターン12
a,12bの振れが落ちついてくることから、両法線の
一致を確認できる。
【0036】操作者は、レベルメータ12の液晶指針パ
ターン12a,12bの振れ具合を見て、最大骨エコー
レベルを抽出できたと判断すると、測定終了スイッチを
押下する。測定終了スイッチが押下されると、CPU1
1は、割り込み処理により、測定続行フラグの内容を
「0」に書き換えて、測定続行フラグを下ろす。測定続
行フラグが下ろされると、CPU11は、超音波Aiの
送波を中止させる(ステップSP19)。そして、RA
M10のエコーデータメモリエリアに記憶された最大骨
エコーレベルを読み出して、表示器13に画面表示する
(ステップSP20)。次に、CPU11は、RAM1
0の波形メモリエリアに記憶された時間の関数である最
大骨エコー波形に基づいて、高速フーリエ変換ルーチン
を実行することにより、最大骨エコー波形のスペクトル
(以下、最大エコースペクトルという)Ve(ω)を求め
る。最大エコースペクトルVe(ω)は角周波数ωの関数
であり、所定の角周波数ωの範囲で、例えば、掃引発振
器4によって掃引される周波数範囲に対応させて、周波
数f[Hz]に換算して略200[kHz]から2[M
Hz]の範囲内で求められる。この後、反射係数算出ル
ーチンを実行することにより、算出した最大エコースペ
クトルVe(ω)に基づき、角周波数ωにおける被験者の
軟組織Maと皮質骨Mbとの界面での超音波反射係数R
(ω)を算出し(ステップSP21)、算出値を表示器1
3に画面表示する(ステップSP22)。
【0037】ここで、超音波反射係数Ru(ω)が既知で
ある疑似皮質骨について、予め、上述した境界面Yで垂
直反射して戻ってくる骨エコーAeを受波して最大骨エ
コー波形を求めた手順と同様の手順により、この疑似皮
質骨に垂直反射して戻ってくるエコーAuを受波して最
大骨エコー波形及びこのときの垂直反射エコー到達時間
Tuを求め、さらに、最大骨エコー波形に基づいて最大
エコースペクトルVu(ω)を算出しておく。上記疑似皮
質骨としては、皮質骨Mbに音響学的性質が類似した物
質、例えば、アクリル等が用いられる。この疑似皮質骨
を軟組織Maに音響学的性質が類似した水等を満たした
水槽に入れ、軟組織Maの標準的な厚さに相当する距離
を隔ててトランスデューサ1を配置し、超音波Aiを疑
似皮質骨に向けて送波することにより、計測が行われ
る。こうして求められた最大エコースペクトルVu(ω)
及び垂直反射エコー到達時間Tuと超音波反射係数Ru
(ω)は、ROM9に格納しておかれ、超音波反射係数R
(ω)の演算のために利用される。超音波反射係数R(ω)
は、最大エコースペクトルVe(ω)、垂直反射エコー到
達時間Ta、最大エコースペクトルVu(ω)、垂直反射エ
コー到達時間Tu、及び超音波反射係数Ru(ω)を用い
て、式(3)によって導かれる。
【0038】
【数3】
【0039】j:虚数単位 ここで、exp{−jω(Ta−Tu)}は、トランスデ
ューサ1の送受波面において受波される、骨エコーAe
とエコーAuとの位相差を表すファクタであり、本測定
で皮質骨Mbについて計測するときの軟組織Maの厚さ
と疑似皮質骨について計測したときの水で代用した軟組
織Maの標準的な厚さとの違いを補正するためのもので
ある。
【0040】次に、CPU11は、音響インピーダンス
算出ルーチンを実行することにより、反射係数算出ルー
チンによって与えられた超音波反射係数R(ω)の値を式
(1)に代入して皮質骨Mbの(特性)音響インピーダ
ンスZb(ω)[kg/m2sec]を算出する(ステップSP2
3)。もし、被験者の骨粗鬆症が進行していて、[|Z
a(ω)|>|Zb(ω)|]となってしまっていた場合に
は、式(2)より、R(ω)の実部は負となる。このこと
は、境界面Yで反射したエコーAeの位相が反転したこ
とを意味する。ここで、反射係数Rを複素数として記述
しない従来の方式によると、CPU11内部では、超音
波反射係数Rの絶対値|R|をとり、式(1)に対応し
て、[Zb=Za(1+|R|)/(1−|R|)=Za
(1−R)/(1+R)]のように演算を行ってしま
い、誤った結果を得てしまう。この例では、式(3)よ
り超音波反射係数R(ω)の大きさとともに位相情報がわ
かるので、この場合でも、CPU11は正確に皮質骨M
bの(特性)音響インピーダンスZb(ω)を算出する。
しかも、皮質骨Mbの(特性)音響インピーダンスZb
(ω)は、角周波数ωの関数として詳細に求められる。C
PU11は、こうして算出された皮質骨Mbの(特性)
音響インピーダンスZb(ω)の算出結果を表示器13に
画面表示する(ステップSP24)。
【0041】上記構成によれば、骨の法線と送受波面の
法線が略一致に達したときは、送受波面の向きが多少変
位しても、エコーレベルが安定するので(レベルメータ
12の液晶指針パターン12a,12bの振れが落ちつ
くので)、垂直反射時の骨エコーレベル、すなわち最大
骨エコーレベルを容易に抽出でき、しかも、再現性の良
い測定データが得られる。加えて、レベルメータ12に
は、今回骨エコーレベルが刻々と表示されると共に、最
大骨エコーレベルも、更新されない限り、固定的に表示
されるので、最大骨エコーレベルの探索がさらに容易と
なる。したがって、皮質骨Mbの(特性)音響インピー
ダンスZbを精度良く求めることができる。皮質骨Mb
の(特性)音響インピーダンスZbは、皮質骨Mbの
[弾性率×密度]の平方根で表されるので、骨密度が増
加すれば、弾性率も上昇するという、相乗効果を受ける
ために、音速以上に敏感に応答して顕著に増加する。逆
に、骨密度が減少して、弾性率が低下すると、皮質骨の
(特性)音響インピーダンスZbは、これらの相乗効果
を受けて、音速以上に敏感に応答して顕著に減少する。
それゆえ、皮質骨Mbの(特性)音響インピーダンスZ
bは、骨密度を判断する上で、良い指標となる。したが
って、操作者は、表示器13に表示されている皮質骨M
bの(特性)音響インピーダンスZbの値から、骨粗鬆
症の進行状況を正確に推定できる。例えば、(特性)音
響インピーダンスが、その年齢層の平均値から著しく小
さい場合には、皮質骨Mbの骨粗鬆症が悪化しているこ
とが判る。
【0042】また、CPU11は、最大骨エコーレベル
が抽出されたときの最大骨エコー波形に基づいて、スペ
クトルを求め、このスペクトルに基づいて(特性)音響
インピーダンスの周波数特性を得て、この周波数特性に
基づいて診断が行われるので、より詳細な情報をもとに
一段と多角的で正確な骨粗鬆症の診断を行うことができ
る。また、得られる(特性)音響インピーダンスは、複
素音響インピーダンスであって、大きさだけでなく位相
情報も含まれているので、従来は計測が困難であった、
例えば、軟組織よりも(特性)音響インピーダンスの大
きさが小さくなった皮質骨についても音響情報を得るこ
とができる。それ故、被験者の骨粗鬆症が進行してい
て、皮質骨Mbの(特性)音響インピーダンスZb(ω)
の大きさが低下して、[|Za(ω)|>|Zb(ω)|]と
なってしまっている場合であっても、従来のように、
[R<0]となるためにCPU11内部で超音波反射係
数Rの絶対値|R|をとって演算を行ってしまって、誤
った結果を出力して誤診を招く事態を防ぐことができ
る。
【0043】また、エコー波形に基づいて、逆フーリエ
変換を行った後、トランスデューサ1から超音波が送波
された直後の送信残響及び表面エコー等を含む所定の時
間の信号を除去して骨エコー波形を求めるので、所望の
信号を的確に抽出し、一段と正確な計測を行うことがで
きる。また、連続波が測定に用いられるので、パルスを
用いる方法に比べてS/N比が改善される。さらにま
た、RAM10のエコーデータメモリエリアには、今回
検出の今回骨エコーレベルと最大骨エコーレベルのみが
記憶され、前回までに検出のエコーレベルは、最大骨エ
コーレベルでない限り、消去されるので、記憶容量の小
さい安価なRAMを使用することができる。勿論、容量
の大きなRAMを用いて、全測定期間内に検出された全
ての骨エコーレベルを一旦記憶し、測定完了後、RAM
10に記憶された全ての骨エコーレベルの中から最大骨
エコーレベルを抽出するようにしても良い。
【0044】◇第2実施例 図6は、この発明の第2実施例である骨粗鬆症診断装置
の使用状態を示す模式図、また、図7は、同装置の動作
処理手順を示すフローチャートである。この第2実施例
が、上述の第1実施例と大きく異なるところは、第1実
施例においては測定部位として比較的厚さの厚い皮質骨
を選んでいたのに対し、超音波の波長よりも薄い皮質骨
Mbと海綿骨Mcとからなる骨を選んでいると共に、こ
れに伴い、第1実施例と若干異なる骨の(特性)音響イ
ンピーダンス算出等のアルゴリズムを採用している点で
ある。このROM9に格納されるアルゴリズムが異なる
以外は、第2実施例の構成各部は第1実施例と同一であ
るので、その説明を簡略にする。
【0045】この例の骨粗鬆症診断装置においては、上
述した第1実施例と同様、図6に示すように、トランス
デューサ1は、電気信号が入力されるとこれに応答し
て、測定部位である被験者の所定の骨に向けて超音波A
iを送波すると共に、骨から戻ってくる骨エコーAeを
受波して受波信号(電気信号)に変換し、この受波信号
に装置本体2において所定の処理が施される。しかしな
がら、この例の測定部位である被験者の骨は、例えば、
踵骨等の、超音波の波長よりも薄い所定の厚さLを有す
る皮質骨Mbと、軟組織Maと反対側でこの皮質骨Mb
に接している海綿骨Mcとからなっている。
【0046】このため、同図に示すように、皮質骨Mb
に入射した超音波Aiは、境界面Yにおいて一部は反射
係数Sbで反射してエコーAe0となり、一部は透過係数
Tbで透過して透過波At0となって皮質骨Mbに入り、
皮質骨Mbと海綿骨Mcとの境界面Qに到達する。そし
て、この境界面Qにおいて透過波At0の一部は反射係数
Scで反射して反射波Ar1となって皮質骨Mb中を戻
り、この反射波Ar1の一部は境界面Yを透過係数Tbで
透過してエコーAe1となり、一部は反射して反射波Ar2
となる。さらに、この反射波Ar2は、境界面Qに到達し
て一部はこの境界面Qで反射して反射波Ar3となる。こ
の反射波Ar3の一部は境界面Yを透過係数Tbで透過し
てエコーAe2となる。以上の皮質骨Mbの両側の境界面
Y及び境界面Qにおける多重反射の過程は、反射波の振
幅を弱めながら続けられ、その都度、境界面Yから超音
波が透過してくる。
【0047】したがって、この例の骨粗鬆症診断装置に
おいて観測される皮質骨Mbの境界面Yから戻ってくる
骨エコーAeは、皮質骨Mbから戻ってくるエコーAe
0,Ae1,Ae2,…の重ね合わせとなる。それ故、角周
波数ωにおける被験者の骨の超音波反射係数R(ω)は、
式(4)で与えられる。
【0048】
【数4】
【0049】τ:超音波が厚さLの皮質骨Mb中を伝播
するのに要する時間 また、垂直入射の場合には、境界面Yにおいて式
(5)、式(6)が、境界面Qにおいて式(7)が成り
立つ。なお、この例では、軟組織Maの(特性)音響イ
ンピーダンスZaは一定と考え、軟組織に音響学的性質
が類似した水の音響インピーダンスで代用する。すなわ
ち、[Za=1.5×106kg/m2sec]とする。
【0050】
【数5】
【0051】Zb:皮質骨Mbの(特性)音響インピー
ダンス
【0052】
【数6】
【0053】
【数7】
【0054】Zc:海綿骨Mcの(特性)音響インピー
ダンス 式(5)、式(6)、式(7)をそれぞれ式(4)に代
入し、皮質骨Mbの厚さLが波長に比べ十分小さいとい
う条件で整理して、R(ω)を求めるための式を得たうえ
で、さらに、これをもとにして多重エコーを考慮した骨
の(特性)音響インピーダンスZ(ω)を与える式(8)
を得る。
【0055】
【数8】
【0056】さらに、Zb>>Zcのときは、式(8)は、
式(9)に示すように簡略化して書き換えることができ
る。
【0057】
【数9】 Z(ω)=Zc+jωτZb =Zc+jωρL …(9)
【0058】ρ:皮質骨Mbの骨密度ここで、ρL
は、皮質骨Mbの単位面積当たりの質量、すなわち、面
積骨密度σを表す。一方、式(1)に対応させて骨の
(特性)音響インピーダンスZ(ω)を計測データを得た
後に算出でき、この骨の(特性)音響インピーダンスZ
(ω)は、式(9)によって求まる骨の(特性)音響イン
ピーダンスZ(ω)と等しいので、測定誤差を考慮して両
者の差が最小となるような、すなわち、式(10)によ
って与えられる偏差の2乗の和である2乗ノルムEの値
が最小のときの海綿骨Mcの(特性)音響インピーダン
スZc及び皮質骨Mbの面積骨密度σを求める。
【0059】
【数10】
【0060】ここで、[Σw]は、所定の角周波数範囲
における総和を求めることを意味する。式(10)を展
開し、2乗ノルムEの海綿骨Mcの(特性)音響インピ
ーダンスZcに関する偏微分及び2乗ノルムEの皮質骨
Mbの面積骨密度σに関する偏微分が共に「0」である
とすると、式(11)及び式(12)が導かれ、式(1
1)によって海綿骨Mcの(特性)音響インピーダンス
Zcが、式(12)によって皮質骨Mbの面積骨密度σ
が算出される。なお、皮質骨Mbの厚さLが既知なら
ば、皮質骨Mbの骨密度ρもわかる。
【0061】
【数11】
【0062】Re{Z(ω)}:Z(ω)の実数部分
【0063】
【数12】
【0064】Im{Z(ω)}:Z(ω)の虚数部分
【0065】次に、図7を参照して、この例の動作(骨
粗鬆症診断時における主としてCPU11の処理の流
れ)について説明する。この例の処理の流れは、ステッ
プSP10からステップSP20までは、第1実施例で
述べたと略同様であるので、その説明を簡略化する。C
PU11は、ステップSP20において、最大骨エコー
レベルを表示器13に画面表示した後、RAM10の波
形メモリエリアに記憶された時間tの関数である最大骨
エコー波形に基づいて、高速フーリエ変換ルーチンを実
行することにより、最大エコースペクトルVe(ω)を求
める。次に、反射係数算出ルーチンを実行することによ
り、算出した最大エコースペクトルVe(ω)に基づき、
角周波数ωにおける被験者の骨の超音波反射係数R(ω)
を算出する(ステップSP201)。
【0066】なお、ここで、第1実施例において疑似皮
質骨について、最大骨エコー波形及び垂直反射エコー到
達時間を求めたときと同様の手順によって、超音波反射
係数Ru(ω)が既知である疑似骨について、最大骨エコ
ー波形及び垂直反射エコー到達時間Tuを求め、さら
に、最大骨エコー波形に基づいて、最大エコースペクト
ルVu(ω)を求めておき、超音波反射係数Ru(ω)、最大
エコースペクトルVu(ω)及び垂直反射エコー到達時間
TuをROM9に格納しておく。但し、この例において
は、水等を満たした水槽に、まず、海綿骨Mcに音響学
的性質が類似した物質からなる疑似海綿骨を沈め、この
疑似海綿骨の上に所定の厚さの疑似皮質骨を載せた後、
軟組織Maの標準的な厚さに相当する距離を隔ててトラ
ンスデューサ1を配置し、超音波Aiを疑似皮質骨に向
けて送波することにより、計測が行われる。超音波反射
係数R(ω)は、最大エコースペクトルVe(ω)、垂直反
射エコー到達時間Ta、最大エコースペクトルVu(ω)、
垂直反射エコー到達時間Tu、及び超音波反射係数Ru
(ω)を用いて、第1実施例の場合と同様に、式(3)に
よって導かれる。
【0067】次に、CPU11は、音響インピーダンス
算出ルーチンを実行することにより、第1実施例におい
て、反射係数算出ルーチンによって与えられた超音波反
射係数R(ω)の値を式(1)に代入して皮質骨Mbの
(特性)音響インピーダンスZb(ω)[kg/m2sec]を算
出したのと同様にして、骨の(特性)音響インピーダ
ンスZ(ω)を求める(ステップSP202)。そして、
CPU11は、この計測データから求めた骨の(特性)
音響インピーダンスZ(ω)を式(11)及び式(12)
に代入して、海綿骨Mcの(特性)音響インピーダンス
Zc及び皮質骨Mbの面積骨密度σを求め(ステップS
P203)、表示器13に画面表示する(ステップSP
204)。
【0068】上記構成によれば、CPU11は、最大骨
エコーレベルが抽出されたときの最大骨エコー波形に基
づいて、スペクトルを求め、このスペクトルに基づき、
大きさだけでなく位相情報も含まれた骨の超音波反射係
数R(ω)及び骨の(特性)音響インピーダンスZ(ω)を
得るので、従来は計測が困難であった、踵骨等の、薄い
皮質骨Mbと海綿骨Mcとからなる骨についても、超音
波パルスAiが軟組織Maと皮質骨Mbとの境界面Yで
反射されたエコー及び皮質骨Mbと海綿骨Mcとの境界
面Qで反射されたエコーが重ね合わされた骨エコーAe
を観測して、海綿骨Mc及び皮質骨Mbの音響特性情報
を分離し、海綿骨Mcの(特性)音響インピーダンスZ
c及び皮質骨Mbの面積骨密度σを算出することができ
る。それ故、測定部位の選択の幅が大幅に広げられ、被
験者の骨の状態についてより詳細に解析でき、骨の骨粗
鬆症についても一段と正確かつ精密に診断できる。
【0069】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した
実施例においては、疑似皮質骨、疑似骨について求めた
最大エコースペクトル及び垂直反射エコー到達時間は、
予めROMに格納しておき、本測定時の演算に利用した
が、最大エコースペクトルび垂直反射エコー到達時間を
その都度測定又は算出するようにしても良い。また、ト
ランスデューサを構成する超音波振動子は、厚み振動型
に限らず、撓み振動型でも良い。また、掃引発振器が掃
引する周波数の範囲及び掃引時間は、それぞれ、200
kHz〜2MHz、100msecに限らない。
【0070】
【発明の効果】この発明の構成によれば、骨の(特性)
音響インピーダンスは、骨の[弾性率×密度]の平方根
で表されるので、骨密度の増加に伴って弾性率が上昇す
るという、相乗効果を受けるために、音速以上に敏感に
応答して顕著に増加する。逆に、骨密度が減少して、弾
性率が低下すると、(特性)音響インピーダンスは、こ
れらの相乗効果を受けて、音速以上に敏感に応答して顕
著に減少する。それ故、骨の(特性)音響インピーダン
スは、骨密度を判断する上で、良い指標となる。例え
ば、皮質骨の(特性)音響インピーダンスが、その年齢
層の平均値から著しく小さい場合には、骨の骨粗鬆症が
悪化していることが判る。
【0071】また、演算手段において、最大エコーレベ
ルが抽出されたときのエコーに係るデジタルのエコー信
号に基づいてフーリエ変換を行ってスペクトルを求め、
このスペクトルに基づいて、複素表示の(特性)音響イ
ンピーダンスを所定の周波数範囲で算出し、得られた
(特性)音響インピーダンスの周波数特性に基づいて診
断が行われるので、より詳細な情報をもとに一段と多角
的で正確な骨粗鬆症の診断を行うことができる。また、
得られる(特性)音響インピーダンスは、複素音響イン
ピーダンスであって、振幅情報だけでなく位相情報も含
まれているので、従来は計測が困難であった、例えば、
軟組織に較べて(特性)音響インピーダンスが小さい皮
質骨や、超音波の波長よりも薄い皮質骨についても音響
特性情報を得ることができるようになった。
【0072】また、エコー抽出手段において、第1のア
ナログ/デジタル変換器から出力された第1のデジタル
信号及び第2のアナログ/デジタル変換器から出力され
た第2のデジタル信号に基づいて逆フーリエ変換を行っ
て時間と共に変化する波形を求め、この波形から超音波
トランスデューサから超音波が送波された直後の残響を
含む所定の時間の信号を除去することによってデジタル
のエコー信号を抽出するので、所望の信号を的確に抽出
し、一段と正確な計測を行うことができる。また、連続
波が測定に用いられるので、パルスを用いる方法に比べ
てS/N比が改善される。
【0073】さらにまた、骨の(特性)音響インピーダ
ンスを骨密度の指標とする代わりに、骨の単位面積当た
りの質量、すなわち、面積骨密度や、骨の(特性)音響
インピーダンスの単調増加関数である軟組織と骨との界
面での超音波複素反射係数を骨密度の指標としても、上
述したと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である骨粗鬆症診断装置
の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】同装置の外観図である。
【図3】同装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】同装置の動作処理手順を示すフローチャートで
ある。
【図5】同装置の動作の説明に用いられる説明図であ
る。
【図6】この発明の第2実施例である骨粗鬆症診断装置
の使用状態を模式的に示す図である。
【図7】同装置の動作処理手順を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1 トランスデューサ(超音波トランスデューサ) 4 掃引発振器(信号発生手段) 6a COS成分検波部(第1のエコー検出手段) 6b SIN成分検波部(第2のエコー検出手段) 7a A/D変換器(第1のアナログ/デジタル変
換器) 7b A/D変換器(第2のアナログ/デジタル変
換器) 11 CPU(エコー抽出手段、エコーレベル検出
手段、最大エコーレベル抽出手段、演算手段、判断手
段) Ai 超音波 Ae 骨からのエコー Ma 軟組織 Mb 皮質骨(骨) X 皮膚表面 Y 軟組織と皮質骨との境界面(骨表面)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波トランスデューサを被験者の所定
    の骨を覆う皮膚表面に当てた状態で、該超音波トランス
    デューサの送受波面の向きを様々に変えながら、超音波
    を前記皮膚下の骨に向けて送波すると共に、前記超音波
    トランスデューサが超音波受波時に電気信号として出力
    する受波信号に基づいて、前記骨から戻ってくる前記超
    音波のエコーを検出し、該エコーに基づいて骨粗鬆症を
    診断する超音波反射式の骨粗鬆症診断装置であって、 所定の時間持続し、かつ、所定の周波数幅の範囲で周波
    数が時間と共に変化する連続波電気信号を繰り返し生成
    して前記超音波トランスデューサに与え、該超音波トラ
    ンスデューサに前記連続波電気信号に対応した連続超音
    波を送波させる信号発生手段と、 前記連続超音波のエコーを受波した結果として、前記超
    音波トランスデューサから電気信号として出力される受
    波信号に基づいて、送波された前記連続超音波のエコー
    のうち、前記連続波電気信号と同期した第1の成分を検
    出する第1のエコー検出手段と、前記連続電気信号に対
    して位相が略90度ずれた第2の成分を検出する第2の
    エコー検出手段と、 前記第1のエコー検出手段によって検出された前記第1
    の成分を第1のデジタル信号に変換する第1のアナログ
    /デジタル変換器と、前記第2の検出手段によって検出
    された前記第2の成分を第2のデジタル信号に変換する
    第2のアナログ/デジタル変換器と、 前記第1及び第2のアナログ/デジタル変換器から出力
    される前記第1及び第2のデジタル信号に基づいて、前
    記骨のエコーレベルを検出するエコーレベル検出手段
    と、検出された前記エコーレベルの中から最大エコーレ
    ベルを抽出するための最大エコーレベル抽出手段と、 抽出された前記最大エコーレベルに基づいて、前記骨の
    複素音響特性情報を算出する演算手段と、 該演算手段によって算出された前記骨の複素音響特性情
    報に基づいて、骨粗鬆症を判断する判断手段とを備えて
    なることを特徴とする骨粗鬆症診断装置。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2のアナログ/デジタル
    変換器から出力される前記第1及び第2のデジタル信号
    に基づいて前記エコーのスペクトルを得、得られたスペ
    クトルに基づいて逆フーリエ変換を行ってエコー波形を
    得、得られたエコー波形に基づいて前記超音波のエコー
    に対応した前記骨からのエコー波形を抽出するエコー抽
    出手段を備え、 前記エコーレベル検出手段は、前記エコー抽出手段によ
    って抽出された前記骨からのエコー波形に基づいて、エ
    コーレベルを検出することを特徴とする請求項1記載の
    骨粗鬆症診断装置。
  3. 【請求項3】 前記エコー抽出手段は、前記逆フーリエ
    変換によって得られたエコー波形に基づいて、前記骨か
    らのエコー波形以外のエコー波形を除去することによっ
    て前記骨からのエコー波形を抽出すると共に、前記演算
    手段は、前記最大エコーレベルが抽出されたときの前記
    超音波のエコーに係る前記骨からのエコー波形に基づい
    てフーリエ変換を行って前記骨からのエコーのスペクト
    ルを求め、求められたスペクトルに基づいて前記骨の複
    素音響特性情報を算出することを特徴とする請求項2記
    載の骨粗鬆症診断装置。
  4. 【請求項4】 前記演算手段は、前記骨の複素音響特性
    情報として、前記被験者の軟組織に対する前記骨の超音
    波複素反射係数を算出し、算出された超音波複素反射係
    数から振幅情報及び位相情報を得ると共に、前記判断手
    段は、前記演算手段によって得られた前記振幅情報及び
    位相情報を指標として骨粗鬆症を判断することを特徴と
    する請求項1,2又は3記載の骨粗鬆症診断装置。
  5. 【請求項5】 前記演算手段は、前記骨の複素音響特性
    情報として、前記骨の複素音響インピーダンスを算出
    し、算出された複素音響インピーダンスから振幅情報及
    び位相情報を得ると共に、前記判断手段は、前記演算手
    段によって得られた前記振幅情報及び位相情報を指標と
    して骨粗鬆症を判断することを特徴とする請求項1,2
    又は3記載の骨粗鬆症診断装置。
JP13700696A 1996-05-30 1996-05-30 骨粗鬆症診断装置 Pending JPH09313483A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13700696A JPH09313483A (ja) 1996-05-30 1996-05-30 骨粗鬆症診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13700696A JPH09313483A (ja) 1996-05-30 1996-05-30 骨粗鬆症診断装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09313483A true JPH09313483A (ja) 1997-12-09

Family

ID=15188610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13700696A Pending JPH09313483A (ja) 1996-05-30 1996-05-30 骨粗鬆症診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09313483A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000005180A (ja) * 1998-06-25 2000-01-11 Olympus Optical Co Ltd 音響インピーダンス測定装置
JP2018175492A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 超音波診断装置及び超音波プローブ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000005180A (ja) * 1998-06-25 2000-01-11 Olympus Optical Co Ltd 音響インピーダンス測定装置
JP2018175492A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 超音波診断装置及び超音波プローブ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1996018342A1 (fr) Dispositif et procede de diagnostic de l'osteoporose
WO2020044769A1 (ja) 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
US20090163805A1 (en) Ultrasonic diagnostic apparatus
JP2003530941A (ja) 剪断波パラメター評価のための超音波方法およびシステム
CN103356235A (zh) 超声波诊断设备
WO1997019641A1 (en) Apparatus and method for diagnosing osteoporosis
JP2009077754A (ja) 皮下脂肪測定装置
JP2019187777A (ja) 超音波診断装置、および、超音波信号処理方法
JPH09313483A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JP2629734B2 (ja) 超音波物体検査装置
JP5159326B2 (ja) 超音波診断装置
JP3377882B2 (ja) 骨粗鬆症診断装置
JPH09253080A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JPH09224934A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JPH09285464A (ja) 骨粗鬆症診断装置
US20170035384A1 (en) Ultrasonic diagnostic device
JPH09220225A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JPH09140703A (ja) 骨粗鬆症診断方法及び骨粗鬆症診断装置
JP2000287971A (ja) 骨粗鬆症診断装置及び骨粗鬆症診断方法
US11998392B2 (en) Shear wave elasticity measurement method and shear wave elasticity imaging system
JPH09224933A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JP6151714B2 (ja) 測定装置、及び測定方法
JPH09140704A (ja) 骨粗鬆症診断装置
JPH0548130B2 (ja)
WO2020175107A1 (ja) 超音波信号処理装置、超音波診断装置、超音波信号処理方法、およびプログラム