JPH09222089A - 水槽用ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポンプの大型化を招くことなく流水量及び流
水圧の増大を図るとともに、ポンプ内の流路における塵
埃又は水垢による詰まりや堆積を防止し、故障の少ない
水槽用ポンプの構造を実現する。 【解決手段】 水槽用ポンプ２０には、流入口２１から
流出口２２まで上下に伸びる流路２３を設け、そ中央部
には上下部分よりもやや大径に形成された回転体収容部
２３ａが形成される。回転体収容部２３ａの内部には円
筒状のマグネット２４と、その内側のインペラ２５とか
ら成る回転体が収容される。インペラ２５の中心部には
支軸２５ａが上下に伸び、支持枠２６と支持枠２７によ
り回転自在に支持されている。外周部に形成された電磁
コイル体２８により回転体が回転し、これに伴うインペ
ラ２５の回転によって流路２３の流水方向に向かう流水
圧が発生するように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は水槽用ポンプに係
り、特に、鑑賞用水槽の浄化装置に水流を供給し、水槽
内の水をろ過するための水中ポンプとして用いる場合に
好適なポンプの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、鑑賞魚用水槽等においては、水槽
内の水を浄化装置に流通させるための各種ポンプが用い
られている。例えば、図３に示す水槽用ポンプ１０にお
いては、流入口１１と流出口１２との間に流路１３が設
けられ、この流路１３にインペラ１４が収容されてい
る。インペラ１４の上方には支軸１５に固定された円筒
状のマグネット１７が配置され、このマグネット１７の
周囲には電磁コイル体１８が形成されている。支軸１５
の下端には駆動軸１６が延長形成され、駆動軸１６はイ
ンペラ１４の軸孔に嵌合して回転方向に固定されてい
る。駆動軸１６の先端は支持部材１９によって軸支さ
れ、また、支軸１５の上端はケーシングに設けられた凹
部に回転自在に嵌合している。

【０００３】この水槽用ポンプにおいては、円筒状の周
回方向に複数の磁極を備えるように着磁されたマグネッ
ト１７が周囲に形成された電磁コイル１８の形成する例
えば回転磁界によって回転するように構成され、このマ
グネット１７の回転により駆動軸１６を介してインペラ
１４が回転するようになっている。インペラ１４が回転
すると、インペラ１４が発生する流水圧と遠心力によっ
て水が流入口１１から吸入され、流出口１２から放出さ
れる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の水槽用ポンプにおいては、インペラ１４の軸線方向
から吸水して遠心方向に吐出するように構成されている
ため、流水圧を高めることが困難であり、流水量を増大
することが難しいため、浄化装置の浄化性能を高めるた
めにはポンプの大型化を招く。また、流水圧が低いこと
から水面よりも上方に揚水する能力が弱いため、浄化装
置を水槽の上部に設けることが困難であり、浄化装置を
水中に配置せざるを得なくなり、水槽内のスペースを有
効に使用することができないという問題点があった。

【０００５】また、ポンプ内の流路１３には、流水の滞
留部分が多く存在し、また、マグネット１７も、流路１
３に開口し行き止まりとなっている空間に収容されてい
るため、流入口１１から水と共に塵埃が吸入されると、
インペラ１４と流路１３の内壁との間に詰まりが生じ、
インペラ１４の回転が停止したり、異音が発生したりす
るという問題点がある。また、マグネット１７の収容部
には水垢が溜まることが多く、水垢が多くなるとマグネ
ット１７の回転数が低下したり停止したりするという問
題もある。

【０００６】そこで、本発明は上記問題点を解決するも
のであり、その課題は、ポンプの大型化を招くことなく
流水量及び流水圧の増大を図るとともに、ポンプ内の流
路における塵埃又は水垢による詰まりや堆積を防止し、
故障の少ない水槽用ポンプの構造を実現することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、流入口から流出口までを連通
する流路と、該流路の直線状に伸びる部分内において流
水方向に軸線を向けて配置された円筒状磁性体の内側若
しくは開口部に、その軸線方向に流水圧を発生させるよ
うに構成されたインペラを接続して成る回転体と、該回
転体の周囲に対向して形成された磁界発生手段と、前記
回転体を前記流水方向に対して位置決めするとともに前
記流路内で回転自在に支持する支持構造とを設け、前記
回転体を前記磁界発生手段によりその軸線周りに回転駆
動されるように構成したことを特徴とする水槽用ポンプ
である。

【０００８】この手段によれば、円筒状磁性体の内側若
しくは開口部にインペラを接続した回転体を支持構造に
より流路内において回転自在に保持し、磁界発生手段に
より回転駆動するように構成したので、磁性体の外部に
インペラを配置する必要がなくなり、ポンプの小型化を
図ることができる。また、円筒状磁性体の外側にインペ
ラを設ける必要がないため、インペラの破損を防止する
ことができる。

【０００９】また、流路の直線状に伸びる部分内に回転
体が収容され、インペラの発生する軸線方向の流水圧に
より円筒状磁性体の内側を水が流れることとなるので、
流水の淀みや乱流が発生し難く、直接的に水流を発生さ
せることができるから、ポンプ効率を向上させることが
でき、流水圧を高めることができる。したがって、揚水
により浄化フィルターを水槽の上部に配置することも可
能になる。

【００１０】さらに、流路の直線状に伸びる部分に回転
体を収容し保持した構造であることから、ポンプ内部に
塵埃が詰まり難く、水垢が溜まり難いので、ポンプの維
持管理が容易になり、また、内部の清掃が容易になる。

【００１１】ここで、前記流路の部分には、前後部分よ
りも開口断面の大きな円柱空間状に形成された回転体収
容部を設け、該回転体収容部の内周面と前記回転体の外
周面との間には所定の間隙を設けることが好ましい。

【００１２】この手段によれば、回転体を開口断面の大
きな回転体収容部を形成したので、回転体の外径を流路
の前後部分の開口断面に限定されることなく大きくとる
ことが可能になり、インペラの作用面積も大きくとるこ
とができるため、回転体を収容したことによる流通抵抗
を低減することができるとともに、インペラの発生する
流水圧を高めることができる。

【００１３】また、前記回転体には、前記インペラの中
心部を軸線方向に伸びる支軸が設けられ、該支軸の両端
部を前記流路における前記回転体の収容部の前後位置に
取付けられた軸支部により回転自在に軸支することが好
ましい。

【００１４】この手段によれば、軸線に沿って伸びる支
軸を設けて回転自在に軸支することとしたので、流水抵
抗の増加を抑制しつつ回転体のブレや回転抵抗を低減す
ることができる。

【００１５】さらに、上記円筒状磁性体は回転力を高め
る観点から見て、磁界発生手段に適合した（磁界発生手
段により回転駆動可能な）着磁状態の磁石を用いること
が望ましい。

【００１６】また、上記円筒状磁性体の内径は、流水抵
抗を低減し、乱流の発生を抑制するために、流路とほぼ
同径であることが望ましい。

【００１７】

【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明
に係る実施形態について説明する。図１は本実施形態に
おける水槽用ポンプ２０の縦断面図（ａ）及び拡大部分
底面図（ｂ）を示すものである。

【００１８】水槽用ポンプ２０は合成樹脂製のケーシン
グの底面部に流入口２１を、上面部に流出口２２をそれ
ぞれ備えた上下に伸びる円形断面を有する流路２３を設
けたものである。直線状に伸びた流路２３の中央部には
上下部分よりもやや大径に形成された回転体収容部２３
ａが設けられ、この回転体収容部２３ａの内部に、円筒
状のマグネット２４と、その内側に取付けられたインペ
ラ２５とから成る回転体が収容されている。

【００１９】インペラ２５の中心部には支軸２５ａが上
下に伸び、この支軸２５ａの尖った形状の下端部は流路
２３の流入口２１側の内面に固定された支持枠２６の凹
部２６ａに挿入され、その内面に点接触状態で当接する
ことによって支軸２５ａが回転自在に支持されている。
支軸２５ａの上端部は流路２３の流出口２２側の内面に
固定された支持枠２７の凹部２７ａの内面に点接触状態
で当接し、支軸２５ａが回転自在に支持されている。支
軸２５ａが上下端部において凹部２６ａ，２７ａに支持
されることによって、支軸２５ａが流路２３の流水方向
に伸びる姿勢で保持されるようになっている。

【００２０】インペラ２５の外縁部はマグネット２４の
内周面に固着されており、支軸２５ａと外縁部との間は
回転体の軸線方向に進むに従って緩く曲面状に傾斜し、
インペラ２５の回転によって流路２３の流水方向（図１
（ａ）における上方）に向かう流水圧が発生するように
構成されている。

【００２１】水槽用ポンプ２０の回転体収容部２３ａの
外側には、環状の電磁コイル収容部が設けられ、ここに
電磁コイル体２８が収容され、密閉される。電磁コイル
体２８は、例えば回転体の周囲に複数極の磁極を形成す
る複数の電磁コイル部から構成され、これらの複数の電
磁コイル部により回転体の周囲に回転磁界が発生するよ
うに構成される。一方、マグネット２４には円筒形状の
周回方向に複数の磁極が形成されるように着磁されてお
り、この回転磁界により内側のマグネット２４に回転方
向の力が作用し、回転体が回転する。ここで回転磁界と
は、複数の電磁コイルに異なる位相の交流波形を印加す
ることにより形成される場合に限らず、複数の電磁コイ
ルを単にオンオフして形成されるものも含む。

【００２２】上述のマグネット２４と電磁コイル体２８
との関係は種々の構成が可能であり、上記のような磁極
間の磁気力を用いるものでなくとも、誘導モータと同様
の原理を用いたものでもよい。この場合には、マグネッ
ト２４は着磁されていない単なる磁性体でもよい。さら
に、マグネット２４の着磁状態及び電磁コイル体２８の
磁気構造を適宜設定することにより通常の各種直流モー
タや交流モータと同様の構造とすることができる。

【００２３】本実施形態においては、電磁コイル体２８
により回転磁界を発生させると、その回転方向に従って
回転体も回転し、インペラ２５が回転することによって
流入口２１から流出口２２へ向かう流水圧が発生する。
この結果、流入口２１から水が吸入され、流出口２２か
ら吐出される。

【００２４】この場合には、電磁コイル２８の発生する
磁界によりマグネット２４に固定されたインペラ２５が
回転し、直線的に形成された流路２３の内部で直接に流
水圧を発生させるので、水に対する作用に無駄が少な
く、効率的にポンプ作用を果たすことができるととも
に、マグネット２４の内側にインペラ２５が収容される
ので、ポンプ能力を低下させることなく小型化を図るこ
とができる。この場合特に、回転体収容部２３ａの内径
を流路２３の内径よりも大きくし、マグネット２４の内
周の開口断面を大きくとるようにしているので、流水抵
抗が少なく、高い流水圧を発生させることができる。

【００２５】この実施形態では、流路２３のうち少なく
とも回転体収容部２３ａを直線状に形成できるので、内
部に塵埃や水垢が堆積することを抑制でき、また、イン
ペラ２５の外周がマグネット２４によって囲まれている
ため、詰まりによる回転体の回転速度の低下や回転の停
止、異音の発生、インペラの破損等を防止できる。ま
た、回転体収容部２３ａにおいては、回転体の外周面と
回転体収容部２３ａの内周面との間に間隙が設けられ、
この間隙には、インペラ２５の上下の流圧の差により流
路２３の通常の流水方向とは逆の水流が発生するので、
この水流によってもその間隙に水垢が堆積することを抑
制できる。

【００２６】図２（ａ）及び（ｂ）には、上述の実施形
態とは異なる他の実施形態の構造を示す。図２（ａ）に
示す水槽用ポンプにおいては、円筒状のマグネット２４
の内側に支軸３１を配置し、この支軸３１をインペラ３
２と接続枠３３によってマグネット２４の軸線上に固定
している。インペラ３２には下方に突出する突起部３２
ａが設けられ、この突起部３２ａの尖った先端部が、流
路２３の流入口２１側の内部に固定された支持枠３４に
軸支されている。また、支軸３１の上端は接続枠３３を
貫通して上方へ伸び、流路２３の流出口２２側の内部に
固定された支持枠３５に軸支されている。

【００２７】図２（ｂ）に示す水槽用ポンプにおいて
は、マグネット２４の内側に支軸４１が配置され、この
支軸４１は、マグネット２４の上部開口に取付けられた
インペラ４２と、下部開口に取付けられた接続枠４３と
によってマグネット２４の軸線上に固定されている。支
軸４１の上端部は流路２３の流出口２２側の内側に固定
された支持枠４４に軸支され、支軸４１の下端部は上記
接続枠４３に固定されている。流路２３の流入口２１側
の内側には支持枠４５が固定され、この支持枠４５には
上方に突出する突出軸４５ａが設けられている。この突
出軸４５ａは接続枠４３の中心部に設けられた凹部に挿
入され、回転体の下端部を回転自在に軸支している。

【００２８】図２に示す実施形態は、図１に示す実施形
態とは異なる回転体の支持構造を示すものであるが、図
１及び図２に示すいずれの実施形態においても、マグネ
ット２４の軸線位置に支軸を配置し、この支軸の上下端
を回転自在に保持することによって、軸線に沿った位置
にのみ支軸が存在するので流水抵抗を低減できるととも
に、支軸と支持枠との接触面積が少ないために回転抵抗
の少ない支持構造を実現している。この構造はまた、回
転体の軸線姿勢の安定性がよいという利点も備えてい
る。さらに、支持枠の構造、材質によって特に回転体の
上流側の支持部の負担に耐えうる剛性を確保することが
でき、しかもこの支持部を点接触とすることによって回
転抵抗をさらに低減している。

【００２９】しかし、本発明においては、上記のような
支持構造に限らず、回転体収容部２３ａと、その前後の
流路２３の内壁に形成された段差部において回転体を保
持したり、流路２３の内壁に回転体の上面及び下面を保
持する保持具を取りつける等、回転体の外周部にて支持
する構造を設けてもよい。この場合には、例えばマグネ
ット２４の内面から羽根がそれぞれ中心に向かって伸び
る構造の、軸のないインペラを設けることもできる。

【００３０】上記各実施形態においては、マグネット２
４の内径を、回転体収容部２３ａの上下の流路２３の内
径とほぼ等しく構成しているため、流水抵抗が低減さ
れ、しかも上下の流路２３と回転体収容部２３ａとの内
径の違いにより形成された段差部においても乱流等が発
生し難い構造となっている。

【００３１】本実施形態は、水槽内において、通常の水
中ポンプとして水槽の水面下で使用する他、種々の位
置、姿勢にて使用することができる。例えば、流入口と
流出口にチューブを取付け、本実施形態の水槽用ポンプ
を水槽の底面上に載置したり、底砂の内部に埋設した状
態で使用することもできる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、円
筒状磁性体の内側若しくは開口部にインペラを接続した
回転体を支持構造により流路内において回転自在に保持
し、磁界発生手段により回転駆動するように構成したの
で、磁性体の外部にインペラを配置する必要がなくな
り、ポンプの小型化を図ることができる。また、円筒状
磁性体の外側にインペラを設ける必要がないため、イン
ペラの破損を防止することができる。

【００３３】また、流路の直線状に伸びる部分内に回転
体が収容され、インペラの発生する軸線方向の流水圧に
より円筒状磁性体の内側を水が流れることとなるので、
流水の淀みや乱流が発生し難く、直接的に水流を発生さ
せることができるから、ポンプ効率を向上させることが
でき、流水圧を高めることができる。したがって、揚水
により浄化フィルターを水槽の上部に配置することも可
能になる。

【００３４】さらに、流路の直線状に伸びる部分に回転
体を収容し保持した構造であることから、ポンプ内部に
塵埃が詰まり難く、水垢が溜まり難いので、ポンプの維
持管理が容易になり、また、内部の清掃が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る水槽用ポンプの実施形態を示す縦
断面図（ａ）及び底面の部分を拡大して示す拡大部分底
面図（ｂ）である。

【図２】それぞれ異なる実施形態を示す縦断面図（ａ）
及び（ｂ）である。

【図３】従来の水槽用水中ポンプの構造を示す縦断面図
である。

【符号の説明】

２０ 水槽用ポンプ ２１ 流入口 ２２ 流出口 ２３ 流路 ２４ マグネット ２５ インペラ ２５ａ 支軸 ２６，２７ 支持枠 ２６ａ，２７ａ 凹部 ２８ 電磁コイル体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流入口から流出口までを連通する流路
   と、該流路の直線状に伸びる部分内において流水方向に
   軸線を向けて配置された円筒状磁性体の内側若しくは開
   口部に、その軸線方向に流水圧を発生させるように構成
   されたインペラを接続して成る回転体と、該回転体の周
   囲に対向して形成された磁界発生手段と、前記回転体を
   前記流水方向に対して位置決めするとともに前記流路内
   で回転自在に支持する支持構造とを設け、前記回転体を
   前記磁界発生手段によりその軸線周りに回転駆動される
   ように構成したことを特徴とする水槽用ポンプ。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記流路の部分に
   は、前後部分よりも開口断面の大きな円柱空間状に形成
   された回転体収容部が設けられ、該回転体収容部の内周
   面と前記回転体の外周面との間には所定の間隙が設けら
   れていることを特徴とする水槽用ポンプ。
3. 【請求項３】 請求項１において、前記回転体には、前
   記インペラの中心部を軸線方向に伸びる支軸が設けら
   れ、該支軸の両端部を前記流路における前記回転体の収
   容部の前後位置に取付けられた軸支部により回転自在に
   軸支したことを特徴とする水槽用ポンプ。