JPH09221045A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JPH09221045A
JPH09221045A JP5426596A JP5426596A JPH09221045A JP H09221045 A JPH09221045 A JP H09221045A JP 5426596 A JP5426596 A JP 5426596A JP 5426596 A JP5426596 A JP 5426596A JP H09221045 A JPH09221045 A JP H09221045A
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transmission shaft
shaft
motor
restricting member
rotation restricting
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Yoshikazu Takahata
義和 高畠
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Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異常音を低減し、部品点数を増加させること
なく過大トルクがモータに作用するのを防止できる電動
パワーステアリング装置を提供する。 【解決手段】 操舵補助力発生用モータ8の出力トルク
をステアリングシャフト3に伝達する伝動機構は、その
モータ8の出力シャフト8a側に一体化される連結部6
5に同行回転可能に嵌め合わされる伝動シャフト50を
有する。その連結部65と伝動シャフト50の何れか一
方の内周と、何れか他方の外周とにより挟み込まれるこ
とで、径方向に変形する環状の回転規制部材51が設け
られる。その径方向変形量に対応する径方向力を、連結
部65と伝動シャフト50とに作用させることで発生す
る摩擦抵抗により、その出力シャフト8aから伝動シャ
フト50へ出力トルクが伝達可能とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータの出力を操
舵補助力として利用する電動パワーステアリング装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】操舵補助力発生用モータの出力トルクを
ステアリングシャフトに伝達する伝動機構を備え、その
伝動機構は、そのモータの出力シャフト側に一体化され
る連結部と、この連結部に同行回転可能に嵌め合わされ
る伝動シャフトとを有する電動パワーステアリング装置
が従来より用いられている。
【0003】すなわち、その連結部として筒状のモータ
ボスが出力シャフトに取り付けられ、そのモータボスに
伝動シャフトがスプラインやセレーション等を介して嵌
合されていた。その伝動シャフトの外周にウォーム等の
ギアが設けられ、そのギアに噛み合うギアがステアリン
グシャフトに設けられることで、モータ出力を操舵補助
力としてステアリングシャフトに伝達していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのモータボスと伝動
シャフトとをスプライン等を介して嵌合した場合、スプ
ライン等のピッチ誤差等により嵌合部において歯の衝突
音が発生するという問題がある。そこで、そのボスと伝
動シャフトとの間にOリングを介在させることで、その
ボスと伝動シャフトとの相対回転を規制する摩擦抵抗を
付与し、その歯の衝突音の低減を図っていた(実公平6
‐16856号公報参照)。
【0005】しかし、摩擦抵抗によりボスと伝動シャフ
トとの相対回転を規制しても、スプライン等の歯が長期
使用により摩耗すると、その歯の衝突音が大きくなって
しまう。
【0006】そこで、ボスに伝動シャフトを圧入等して
相対変位しないようにすることが考えられる。しかし、
加工公差や組み立て公差による伝動シャフトの振れや軸
心の傾きを吸収できなくなるため、伝動シャフトに設け
られるギアとステアリングシャフトに設けられるギアと
が円滑に噛み合うことができなくなり、適正な操舵補助
力を付与できなくなる。
【0007】また、上記のような電動パワーステアリン
グ装置においては、車輪の縁石への乗り上げ等に基づき
タイヤ側からステアリングシャフトに過大なトルクが作
用すると、モータ等の破損が生じる。そこで、そのモー
タとステアリングシャフトとの間にトルクリミッター機
構を設け、モータの出力軸に作用するトルクがリミット
トルクを超える場合、その出力軸を空転させていた。
【0008】しかし、トルクリミッター機構を設けると
部品点数や加工工数が多くなるという問題がある。ま
た、リミットトルクを正確に所期設定範囲内に設定する
には調節機構が必要なことから、さらに部品点数が多く
構成が複雑になっていた。
【0009】本発明は、上記課題を解決することのでき
る電動パワーステアリング装置を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、操舵補助力発
生用モータの出力トルクをステアリングシャフトに伝達
する伝動機構を備え、その伝動機構は、そのモータの出
力シャフト側に一体化される連結部と、この連結部に同
行回転可能に嵌め合わされる伝動シャフトとを有する電
動パワーステアリング装置において、その連結部と伝動
シャフトの何れか一方の内周と、何れか他方の外周とに
より挟み込まれることで、径方向に変形する環状の回転
規制部材が設けられ、その回転規制部材が径方向変形量
に対応する径方向力を連結部と伝動シャフトとに作用さ
せることで発生する摩擦抵抗により、その出力シャフト
から伝動シャフトへ出力トルクが伝達可能とされている
ことを特徴とするものである。
【0011】本発明の構成によれば、その回転規制部材
と連結部との間の摩擦抵抗、および回転規制部材と伝動
シャフトとの間の摩擦抵抗により、出力シャフトから伝
動シャフトへ出力トルクを伝達できる。これにより、そ
の出力トルクの伝達のために従来のようなスプライン等
を設ける必要がなく、歯の衝突音が発生することはな
い。
【0012】その伝動シャフトを軸方向に離れた2位置
において支持するハウジングが設けられ、その支持位置
の間において伝動シャフトの外周に、前記ステアリング
シャフトに設けられるギアに噛み合うギアが設けられる
ことで、両ギアの噛み合いを介して操舵補助力を伝達で
きる。この際、その回転規制部材の径方向への変形によ
り、加工公差や組み立て公差による伝動シャフトの振れ
や軸心の傾きを吸収できるため、両ギアを円滑に噛み合
わせ、適正な操舵補助力を付与できる。
【0013】そのハウジングが、伝動シャフトの一端側
を露出させる開口を有することで、その伝動シャフトの
一端を前記連結部に嵌め合わすことができる。また、そ
の開口をモータにより閉鎖することで、その伝動シャフ
トの一端側が露出するのを防止できる。この場合、その
伝動シャフトの他端側を露出する開口を設けることで、
その伝動シャフトと連結部とを嵌め合わせ、その伝動シ
ャフトをハウジングに挿入し、一端側の開口をモータに
より閉鎖した後であっても、その他端側において伝動シ
ャフトのハウジングに対する軸方向移動を規制できる。
すなわち、伝動シャフトをハウジングに挿入する前に、
モータに圧入荷重が作用しないように連結部を保持しつ
つ伝動シャフトの一端を連結部に圧入しても、伝動シャ
フトのハウジングに対する軸方向移動を規制できる。こ
れにより、モータにおける出力シャフトの軸受に圧入荷
重による圧痕が生じることはなく、そのような圧痕によ
る異常音の発生を防止できる。
【0014】その回転規制部材は、設定トルクを超える
トルクの作用により、連結部と伝動シャフトの少なくと
も一方に対し相対滑り可能とされているのが好ましい。
これにより、過大なトルクがタイヤ側からステアリング
シャフトに作用した場合に、その回転規制部材と連結部
との間および回転規制部材と伝動シャフトとの間の中の
摩擦抵抗の小さい方において、相対的な滑りを生じさせ
ることができる。すなわち、専用のトルクリミッター機
構を設けることなく、モータに過大なトルクが作用する
のを防止するトルクリミッター機能を奏させることがで
きる。
【0015】その回転規制部材は、径方向変形量が一定
値以下では径方向変形量に比例して径方向力が増加する
ものとされ、その一定値を超える領域において、径方向
変形量に対する径方向力の増加割合が一定値未満の領域
における増加割合よりも小さくなる領域を有し、その一
定値を超える領域内の値に回転規制部材の径方向変形量
が設定されているのが好ましい。これにより、連結部や
伝動シャフトの加工公差により回転規制部材の径方向変
形量が変動しても、その径方向力の変動を小さくでき
る。よって、その径方向力に対応して定まる設定トルク
を、調整機構なしに正確に所期設定範囲内に設定するこ
とができ、正確にトルクリミッター機能を奏させること
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図6を参照して本発明の第
1実施形態を説明する。
【0017】図1に示す電動パワーステアリング装置1
は、ステアリングホイール2の操舵により発生する操舵
トルクを、ステアリングシャフト3によりピニオン4に
伝達することで、そのピニオン4に噛み合うラック5を
移動させ、そのラック5にタイロッドやナックルアーム
等(図示省略)を介し連結される車輪6の舵角を変化さ
せる。また、その操舵トルクをトルクセンサ7により検
出し、その操舵トルクに応じた操舵補助力をモータ8に
より発生する。
【0018】そのステアリングシャフト3は、ハウジン
グ21内において、第1シャフト3aと、この第1シャ
フト3aにピン22により連結される筒状の第2シャフ
ト3bと、この第2シャフト3bの外周にブッシュ25
を介して相対回転可能に嵌め合わされる筒状の第3シャ
フト3cとから構成される。そのハウジング21は、2
部材21a、21bからなり、ブラケット28を介して
車体に取り付けられる。その第1シャフト3はステアリ
ングホイール2に連結される。その第2シャフト3b
は、そのハウジング21に圧入されたステアリングコラ
ム30に、ブッシュ31を介して支持される。その第3
シャフト3cは、ハウジング21に取り付けられる2個
のボールベアリング26、27により、軸方向に離れた
2位置において支持され、その一方のボールベアリング
27の内輪は、第3シャフト3cの外周の段差3c′と
第3シャフト3cにねじ合わされたナット29とで挟ま
れる。
【0019】各シャフト3a、3b、3cの中心に沿っ
て弾性部材としてトーションバー23が挿入される。そ
のトーションバー23の一端は第1シャフト3aと第2
シャフト3bとに前記ピン22により連結され、他端は
ピン24により第3シャフト3cに連結される。これに
より、その第2シャフト3bと第3シャフト3cとは操
舵トルクに応じて弾性的に相対回転可能とされている。
【0020】その第3シャフト3cに、操舵トルクに応
じた操舵補助力を付与するため、操舵補助力発生用モー
タ8の出力トルクが伝動機構を介して伝達される。その
伝動機構は、その第3シャフト3cの外周に圧入される
ウォームホイール10と、そのウォームホイール10に
噛み合うウォーム9と、このウォーム9が外周に一体的
に形成されている伝動シャフト50とを有する。その伝
動シャフト50がモータ8に接続される。
【0021】その操舵トルクを検出するトルクセンサ7
は、そのハウジング21により保持される第1、第2検
出コイル33、34と、その第2シャフト3bの外周に
嵌め合わされてピン35により固定される磁性材製の第
1検出リング36と、その第3シャフト3cの外周に圧
入される磁性材製の第2検出リング37とを有する。そ
の第1検出リング36の一端面と第2検出リング37の
一端面とは互いに対向するように配置され、各検出リン
グ36、37の対向端面に、それぞれ歯36a、37a
が周方向に沿って複数設けられている。その第1検出リ
ング36の他端側は一端側よりも外径の小さな小径部3
6bとされている。その第1検出コイル33は、第1検
出リング36と第2検出リング37の対向間を覆うよう
に配置され、第2検出コイル34は、第1検出リング3
6を覆うように配置され、各検出コイル33、34は、
ハウジング21に取り付けられるプリント基板41に接
続される。
【0022】そのプリント基板41に、図2に示す信号
処理回路が形成されている。すなわち、第1検出コイル
33は抵抗45を介して発振器46に接続され、第2検
出コイル34は抵抗47を介して発振器46に接続さ
れ、各検出コイル33、34は差動増幅回路48に接続
される。これにより、トルク伝達によりトーションバー
23が捩れ、第1検出リング36と第2検出リング37
とが相対的に回転すると、各検出リング36、37の歯
36a、37aの対向面積が変化する。その面積変化に
より、その歯36a、37aの対向間における第1検出
コイル33の発生磁束に対する磁気抵抗が変化すること
から、その変化に応じ第1検出コイル33の出力が変化
し、その出力に対応した伝達トルクが検出される。ま
た、第2検出コイル34は第1検出リング36の小径部
36bに対向する。その小径部36bの外径は、操舵抵
抗の作用していない状態で、第2検出コイル34の発生
磁束に対する磁気抵抗と第1検出コイル33の発生磁束
に対する磁気抵抗とが等しくなるように、設定されてい
る。これにより、温度変動による第1検出コイル33の
出力変動は、温度変動による第2検出コイル34の出力
変動に等しくなるので差動増幅回路48により打ち消さ
れ、伝達トルクの検出値の温度による変動が補償され
る。その差動増幅回路48から出力される伝達トルクに
対応した信号に応じて前記モータ8が駆動され、前記伝
動シャフト50、ウォーム9、ウォームホイール10を
介してステアリングシャフト3に操舵補助力が付与され
る。
【0023】図3に示すように、そのハウジング21
は、その内部において上記伝動シャフト50を軸方向に
離れた2位置において、ボールベアリング61、62を
介して支持する。その支持位置の間において、その伝動
シャフト50の外周に前記ウォーム9が設けられてい
る。なお、その支持位置の間における伝動シャフト50
の外径は、両ボールベアリング61、62の内径よりも
大きくされている。また、そのハウジング21は、その
伝動シャフト50の一端側を露出させる開口63と、他
端側を露出させる開口64とを有する。その一端側の開
口64を閉鎖するように、前記モータ8がハウジング2
1に取付けられる。
【0024】そのモータ8の出力シャフト8aに一体化
されるモータボス(連結部)65に、伝動シャフト50
の一端側が同行回転可能に嵌め合わされる。なお、その
モータボス65と出力シャフト8aとの一体化は、例え
ば両者を嵌め合わされた後にモータボス65をかしめる
ことで行なえるが、その一体化の方法は特に限定され
ず、両者が一体的に回転すればよい。
【0025】図4に示すように、その伝動シャフト50
の一端は、そのモータボス65に、環状の回転規制部材
51を介して嵌め合わされる。その回転規制部材51と
して本実施形態では、図5の(1)、(2)に示すよう
に、割り溝51aを有する金属製リング本体51bに、
周方向に沿って一定間隔で、径方向外方へ突出する複数
の半円筒状突出部51cを一体的に形成したものが用い
られる。その回転規制部材51は、そのモータボス65
の内周と伝動シャフト50の外周とにより挟み込まれる
ことで、径方向に変形する。その回転規制部材51が、
その径方向変形量に対応する径方向力をモータボス65
と伝動シャフト50とに作用させることで発生する摩擦
抵抗により、その出力シャフト8aから伝動シャフト5
0へ出力トルクが伝達可能とされている。そのような回
転規制部材51として、例えばトレランスリング(レン
コルトレランスリングス社製、SV型)を用いることが
できる。
【0026】図6は、その回転規制部材51の径方向変
形量と径方向力との関係を示し、径方向変形量が一定値
δa以下では径方向変形量に比例して径方向力が増加す
るものとされ、その一定値δaを超える領域において、
径方向変形量に対する径方向力の増加割合が一定値δa
未満の領域における増加割合よりも小さくなる領域Aを
有する。その一定値δaを超える領域A内の値δbに回
転規制部材51の径方向変形量が設定されている。
【0027】その回転規制部材51は、設定トルクを超
えるトルクの作用により、モータボス65と伝動シャフ
ト50の少なくとも一方に対し相対滑りするものとされ
ている。すなわち、その設定トルクは、回転規制部材5
1の内周と伝動シャフト50の外周との間の摩擦抵抗、
および回転規制部材51の外周とモータボス65の内周
との間の摩擦抵抗、すなわち、回転規制部材51の径方
向変形量に対応する。その具体的な値は実験により求め
ることができる。
【0028】その伝動シャフト50は、ハウジング21
に組み込まれる前に、先ず、一端側にベアリング61が
嵌め込まれ、次に、出力シャフト8aに一体化されたモ
ータボス65に回転規制部材51を介して圧入される。
その圧入はモータボス65を保持しつつ行なわれること
で、モータ8に圧入荷重が作用することがないものとさ
れる。次に、その伝動シャフト50と共に一端側のベア
リング61を、ハウジング21に一端側の開口63から
圧入することなく挿入する。この挿入前に、他端側のベ
アリング62をハウジング21に圧入しておき、その他
端側のベアリング62に伝動シャフト50の他端側を圧
入することなく挿入する。次に、モータ8をハウジング
21に取り付ける。次に、その伝動シャフト50の他端
側の開口64から、その他端にナット66をねじ合わ
せ、このナット66と伝動シャフト50とで他端側のベ
アリング62の内輪を挟み込む。これにより、その伝動
シャフト50の他端側において、その伝動シャフト50
のハウジング21に対する軸方向移動を規制する。しか
る後に、その伝動シャフト50の他端側の開口64の内
周にカバー67をねじ合わせることで、その開口64を
閉鎖する。
【0029】上記構成によれば、回転規制部材51が発
生させる摩擦抵抗により、出力シャフト8aから伝動シ
ャフト50へモータ8の出力トルクを伝達できるので、
その伝達のために従来のようなスプライン等を設ける必
要がなく、歯の衝突音が発生することはない。
【0030】その回転規制部材51の径方向への変形に
より、加工公差や組み立て公差による伝動シャフト50
の振れや軸心の傾きを吸収できるため、ウォーム9とウ
ォームホイール10とは円滑に噛み合うことができ、適
正な操舵補助力を付与できる。
【0031】その伝動シャフト50を支持するハウジン
グ21は、伝動シャフト50の一端側を露出させる開口
63を有するので、その伝動シャフト50の一端をモー
タボス65に嵌め合わせることができる。その一端側の
開口63をモータ8により閉鎖することで、その伝動シ
ャフト50の一端側が露出するのを防止できる。この場
合、その伝動シャフト50の他端側を露出する開口64
を設けることで、その他端側において伝動シャフト50
のハウジング21に対する軸方向移動を規制できる。こ
れにより、伝動シャフト50をハウジング21に挿入す
る前に、モータ8に圧入荷重が作用しないようにモータ
ボス65を保持しつつ伝動シャフト50の一端をモータ
ボス65に圧入できる。よって、モータ8における出力
シャフト8aの軸受に圧入荷重による圧痕が生じること
はなく、そのような圧痕による異常音の発生を防止でき
る。
【0032】その回転規制部材51は、過大なトルクが
タイヤ側からステアリングシャフト3に作用した場合
に、モータボス65と伝動シャフト50の少なくとも一
方に対して相対的に滑るため、専用のトルクリミッター
機構を設けることなく、モータ8に過大なトルクが作用
するのを防止するトルクリミッター機能を奏させること
ができる。この場合、その回転規制部材51の径方向変
形量に対する径方向力の増加割合が、その径方向変形量
に対して径方向力が比例して増加する場合の増加割合よ
りも小さくされることで、モータボス65や伝動シャフ
ト50の加工公差により回転規制部材51の径方向変形
量が変動しても、その径方向力の変動を小さくできる。
これにより、その径方向力に対応して定まる設定トルク
を、調整機構なしに正確に所期設定範囲内に設定するこ
とができ、正確にトルクリミッター機能を奏させること
ができる。
【0033】図7は本発明の第2実施形態を示し、以
下、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第1実
施形態と同一部分は同一符号で示す。
【0034】先ず、伝動シャフト50を支持するハウジ
ング21は、その伝動シャフト50の一端側を露出する
開口63のみを有し、その伝動シャフト50の他端側は
閉鎖されている。その伝動シャフト50の他端側を支持
するベアリング62の外輪62aは、そのハウジング2
1の内面に当接し、内輪62bは、その伝動シャフト5
0の外周に形成された第1フランジ50aに当接する。
その伝動シャフト50の一端側を支持するベアリング6
1の外輪61aは、下記の予圧付与部材67に当接し、
内輪61bは、その伝動シャフト50の外周に形成され
た第2フランジ50bに当接する。
【0035】その予圧付与部材67は伝動シャフト50
を囲む環状とされ、その外周に形成された雄ねじ部67
aを介し、ハウジング21の内周に形成された雌ねじ孔
2a″にねじ合わされる。また、その予圧付与部材67
の外周の雄ねじ部67aにロックナット66がねじ合わ
され、このロックナット66がハウジング21に押し付
けられることで予圧付与部材67の回転がロックされ
る。
【0036】その伝動シャフト50は、モータボス65
に嵌め合わされる前に、ハウジング21によりベアリン
グ61、62を介して支持される。次に、その予圧付与
部材67をハウジング21にねじ込み、一端側のベアリ
ング61の外輪61aを軸方向から押す。その押し付け
力は、そのベアリング61の外輪61a、ボール61
c、内輪61bから伝動シャフト50の第2フランジ5
0b、第1フランジ50aを介して他端側のベアリング
62の内輪62bに伝達され、その内輪62bからボー
ル62cを介して外輪62aに伝達され、その外輪62
aはハウジング21に押し付けられる。これにより、ベ
アリング61、62に予圧を付与し、その一端側の開口
63がモータ8により閉鎖される前に、一端側において
伝動シャフト50のハウジング21に対する軸方向移動
を規制する。次に、ロックナット66により予圧付与部
材67の回転をロックする。次に、出力シャフト8aに
一体化されたモータボス65に回転規制部材51を挿入
する。若しくは、モータボス65に回転規制部材51を
挿入した後に、そのモータボス65を出力シャフト8a
に一体化する。しかる後に、モータ8を保持しつつ、モ
ータボス65を回転規制部材51を介して伝動シャフト
50に圧入する。また、モータ8をハウジング21に取
り付け、その一端側の開口63を閉鎖する。
【0037】上記第2実施形態によれば、伝動シャフト
50を支持するベアリング61、62に軸方向から予圧
を付与することで、その伝動シャフト50の軸方向移動
を阻止して騒音発生を防止できる。また、その軸方向移
動の阻止により、ウォーム9とウォームホイール10と
の間のバックラッシを必要以上に小さくする必要がない
ので、ステアリングホイール2を操舵後に直進位置へ円
滑に戻すことができる。また、予圧付与部材67を伝動
シャフト50の一端側に配置することで、組み立てライ
ンにおいてハウジング21にモータ8を取り付ける方向
と予圧付与部材67を取り付ける方向とが同一となり、
作業者の姿勢変更が不要になるため、組み立て時の作業
性を向上できる。その予圧付与部材67とロックナット
66とは、そのモータ8の取り付け後はハウジング21
の外部に露出することはないので、ハウジング21の外
部から作用する力により予圧付与部材67が緩んでしま
うことはない。他は上記第1実施形態と同様である。
【0038】なお、本発明は上記各実施形態に限定され
るものではない。例えば、上記実施形態ではラックピニ
オン式の電動パワーステアリング装置に本発明を適用し
たが、電動パワーステアリング装置の型式は特に限定さ
れず、例えばボールスクリュー式にも適用できる。ま
た、出力トルクの伝動機構は特に限定されず、例えば、
伝動シャフトとステアリングシャフトとをベベルギアを
介して連動させてもよい。また、連結部はモータボスに
限定されず、例えば、伝動シャフト側に形成された凹部
の内周に連結部の外周が回転規制部材を介して挿入され
てもよい。また、回転規制部材はトレランスリングに限
定されず、径方向変形量に対応する径方向力を連結部と
伝動シャフトとに作用させることができればよい。
【0039】
【発明の効果】本発明の電動パワーステアリング装置に
よれば、異常音を低減し、部品点数を増加させることな
く過大トルクがモータに作用するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装
置の断面図
【図2】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装
置のトルクセンサの回路構成の説明図
【図3】図1のIII‐III線断面図
【図4】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装
置の要部の断面図
【図5】本発明の実施形態の回転規制部材の(1)は断
面図、(2)は正面図
【図6】その回転規制部材の径方向変形量と径方向力と
の関係を示す図
【図7】本発明の第2実施形態の電動パワーステアリン
グ装置の要部の断面図
【符号の説明】
3 ステアリングシャフト 8 操舵補助力発生用モータ 8a 出力シャフト 9 ウォーム 10 ウォームホイール 21 ハウジング 50 伝動シャフト 51 回転規制部材 61、62 ベアリング 63、64 開口 65 モータボス(連結部)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵補助力発生用モータの出力トルクを
    ステアリングシャフトに伝達する伝動機構を備え、その
    伝動機構は、そのモータの出力シャフト側に一体化され
    る連結部と、この連結部に同行回転可能に嵌め合わされ
    る伝動シャフトとを有する電動パワーステアリング装置
    において、 その連結部と伝動シャフトの何れか一方の内周と、何れ
    か他方の外周とにより挟み込まれることで、径方向に変
    形する環状の回転規制部材が設けられ、 その回転規制部材が径方向変形量に対応する径方向力を
    連結部と伝動シャフトとに作用させることで発生する摩
    擦抵抗により、その出力シャフトから伝動シャフトへ出
    力トルクが伝達可能とされていることを特徴とする電動
    パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 その伝動シャフトを軸方向に離れた2位
    置において支持するハウジングが設けられ、 その支持位置の間において伝動シャフトの外周に、前記
    ステアリングシャフトに設けられるギアに噛み合うギア
    が設けられている請求項1に記載の電動パワーステアリ
    ング装置。
  3. 【請求項3】 そのハウジングは、前記連結部に嵌め合
    わされる伝動シャフトの一端側を露出させる開口と、他
    端側を露出させる開口とを有し、 その一端側の開口は、そのハウジングに取付けられる前
    記モータにより閉鎖され、 その伝動シャフトの他端側において、その伝動シャフト
    のハウジングに対する軸方向移動が規制される請求項2
    に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 その回転規制部材は、設定トルクを超え
    るトルクの作用により、連結部と伝動シャフトの少なく
    とも一方に対し相対滑り可能とされている請求項1〜3
    の何れかに記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】 その回転規制部材は、径方向変形量が一
    定値以下では径方向変形量に比例して径方向力が増加す
    るものとされ、その一定値を超える領域において、径方
    向変形量に対する径方向力の増加割合が一定値未満の領
    域における増加割合よりも小さくなる領域を有し、その
    一定値を超える領域内の値に回転規制部材の径方向変形
    量が設定されている請求項4に記載の電動パワーステア
    リング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1010603A2 (en) 1998-12-14 2000-06-21 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha An electric power steering apparatus
JP2002340017A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Koyo Seiko Co Ltd ジョイント機構及びそれを用いた操舵補助装置
JP2003014055A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Showa Corp ウォーム減速装置のバックラッシュ調整装置
US7275618B2 (en) 2002-04-25 2007-10-02 Nsk Ltd. Electric power steering device
JP2008111806A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Mitsuba Corp トルク検知センサ

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