JPH09216756A - 感光材料搬送用ローラ - Google Patents

感光材料搬送用ローラ

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JPH09216756A
JPH09216756A JP2834396A JP2834396A JPH09216756A JP H09216756 A JPH09216756 A JP H09216756A JP 2834396 A JP2834396 A JP 2834396A JP 2834396 A JP2834396 A JP 2834396A JP H09216756 A JPH09216756 A JP H09216756A
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JP
Japan
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roller
roller body
photosensitive material
stainless steel
sheet film
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JP2834396A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Miyake
嘉明 三宅
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Fuji Kiki Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Kiki Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレスを用いた搬送性が良好で低コスト
の感光材料搬送用ローラ。 【解決手段】 搬送用ローラ10のローラ本体12は、
肉厚tが1.0〜1.2mmのステンレス鋼板を丸めて、
ビード溶接したステンレスパイプ18を所定の長さLに
切断したものとなっている。このために、ローラ本体の
内周面には、溶接ビード24が生じている。搬送用ロー
ラは、このローラ本体を表面粗さRaが0.2〜1.5
μmとなるようにバフ仕上げによって均一に荒らすと共
に、軸端部の面取りを行うのみで、軸端部材16を圧入
固着されている。この搬送用ローラは、肉厚が薄いため
慣性モーメントが低く、ローラ本体の外周面を均一に荒
らしているため、シートフィルムと接触したときに部分
的な面圧の上昇やスリップによってシートフィルムの表
面にスリキズ等を生じさせることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローラ本体として
金属を用い感光材料等の感光材料を搬送する搬送用ロー
ラに係り、特に耐蝕性の高いステンレス鋼製の溶接パイ
プを用いた感光材料搬送用ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】フィルムなどの感光材料は、画像が焼付
けられると、自動現像装置等の感光材料処理装置によっ
て処理される。この自動現像装置では、現像液等の処理
液を貯留する複数の処理槽を備えており、それぞれの処
理槽内及び互いに隣接する処理槽の間に複数の搬送用ロ
ーラを配置して感光材料の搬送路が形成されており、感
光材料は、これらの搬送用ローラによって搬送されなが
ら、処理液に浸漬されて処理される。
【0003】このような自動現像装置に設けられている
搬送用ローラは、現像液等の処理液に浸漬されている
か、処理液に浸漬された感光材料によって持ち出された
処理液が付着するため、薬品に対する耐腐食性が要求さ
れる。また、搬送用ローラは、感光材料と接触したとき
に、感光材料の表面を傷めることがないように、真円度
や振れ精度が高く、また、平滑な平面性状が要求され
る。
【0004】このために、自動現像装置には、搬送用ロ
ーラのローラ本体に樹脂を用いた樹脂ローラや、アルミ
ニウム等の金属を樹脂によって被覆した樹脂被覆ローラ
及びステンレス鋼等の耐腐食性の高い金属によってロー
ラ本体を形成した金属ローラが用いられる。
【0005】また、ローラ本体の重量が増加すると、慣
性モーメントが高くなり、搬送用ローラに回転駆動力を
付与する駆動源の負荷が大きくなると共に、駆動源から
の回転駆動力が付与されることなく搬送される感光材料
の表面の接触によって回転する搬送用ローラでは、感光
材料の搬送速度と搬送ローラの回転周速度が一致するま
でに時間がかかり、この速度差によって搬送用ローラで
感光材料の表面を擦って傷めてしまう恐れがある。
【0006】このようなことから、従来、ステンレス鋼
を用いてローラ本体を製造する場合、厚肉のステンレス
パイプを所定の外形寸法となるように外周面を切削した
後、軸端部材をステンレスパイプの両端に装着するため
に、ステンレスパイプの両端部近傍の内周面を切削して
パイプ状に形成する必要があった。このために、ステン
レス鋼を用いた搬送用ローラのコストが上昇し、搬送用
ローラを多量に用いる自動現像装置に用いることは、自
動現像装置の大幅なコストアップにつながってしまって
いた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8
(A)及び図8(B)に示すように、ステンレス鋼板を
円筒状に溶接することによって製造したステンレスパイ
プ90の溶接部分には、外周面に波打つような凹凸部9
4が溶接跡として生じる。この凹凸部94は、例えば搬
送される感光材料が、回転駆動力が付与されない搬送用
ローラのローラ本体に接触するときに、感光材料に対す
る接触面積が他の部分より少ないので部分的に面圧を上
昇させることになり、感光材料の表面にスリキズ等を生
じさせる原因となってしまう。さらに、凹凸部94のう
ちの凸部の回転半径が大きいので、この部分でローラ本
体の回転周速度が大となることも加わって、ローラ本体
と感光材料との間でよりスリップが生じ易くなり、この
スリップが感光材料に生じるスリキズを大きくして、仕
上がりを損ねてしまう原因となっている。
【0008】このような溶接したステンレスパイプ90
から凹凸部94を除去するためには、ステンレスパイプ
90の外周面を切削する方法があるが、このためには、
切削する厚みを考慮して肉厚の厚い(例えば2.0mm以
上)ステンレスパイプ90を用いて外周面を切削する必
要があり、ローラの製造期間の短縮、製造コストの削減
の妨げとなっている。
【0009】本発明は上記事実を考慮してなされたもの
であり、金属パイプを用い、感光材料等の感光材料の表
面を損傷させるなどして仕上がりを損ねてしまうのを防
止した感光材料搬送用ローラを提案することを目的とす
る。特に、機械的強度及び化学的耐久性の高いステンレ
スパイプから低コストで得られる搬送性の良い感光材料
搬送用ローラを提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
ローラ本体の外周面を感光材料に接触させながらローラ
本体を回転させることにより感光材料を搬送する感光材
料搬送用ローラであって、前記ローラ本体として金属を
用い、かつ外周面の表面粗さRaを0.2μm以上でか
つ1.5μm以下としていることを特徴とする。
【0011】この発明によれば、従来、圧延製造工程に
おいて平滑な状態(例えば表面粗さRaが0.15μm
以下)にしていた金属ローラの外周面を適度に荒らした
状態とすることにより、感光材料とローラ本体の外周面
との間のスリップを防止することができる。これによっ
て、シート状部材を搬送するときにスリキズ等を発生さ
せることがない。
【0012】請求項2に係る発明は、前記ローラ本体が
肉厚を1.2mm以下、より好ましくは1.0mm以下の円
筒状に形成されていることを特徴とする。
【0013】この発明によれば、ローラ本体の肉厚を
1.2mm以下の薄さとしている。これによって、ローラ
本体の軽量化を図ることができ、ローラ本体の回転方向
に対する慣性モーメントを小さくしている。慣性モーメ
ントを小さくすることにより、例えば、この金属ローラ
に回転駆動力を付与せずに金属ローラに感光材料を接触
させて回転させる金属ローラによって感光材料を搬送す
るときに、感光材料の搬送速度に追従して金属ローラが
容易に回転するため、金属ローラと感光材料とが擦れ合
うことがないので、感光材料の表面を傷めてしまうこと
がない。
【0014】また、ローラ本体の軽量化を図ることによ
り、本発明の搬送ローラを回転駆動するときの駆動手段
の負荷を低減することができる。なお、ローラ本体の肉
厚は、ローラ本体の機械的耐久性を考慮した値にするこ
とが好ましい。
【0015】請求項3に係る発明は、前記ローラ本体が
ステンレス鋼板を円筒状に丸めて溶接したパイプである
ことを特徴とする。
【0016】この発明では、肉厚が1.2mm以下のステ
ンレス鋼板を丸めて溶接した溶接パイプを用いたローラ
本体の外周面の表面粗さRaを0.2〜1.5μmとし
ている。これによって、ステンレス鋼板を丸めて溶接し
た場合に溶接部分に生じる凹凸部によって感光材料に対
する部分的な面圧の上昇及びローラ本体の慣性モーメン
トが部分的に高くなることによるローラ本体と感光材料
の間のスリップが原因で感光材料の表面にスリキズ等を
与えてしまうのを防止することができる。
【0017】このようにステンレス鋼板をローラ本体に
用いた感光材料搬送用ローラでは、溶接パイプからの加
工が容易であり、製造コストの低減、製造期間の短縮を
図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の一形態を詳細に説明する。図1では、本発明を
適用した搬送用ローラ10の外形形状を示している。こ
の搬送用ローラ10は、円筒状のローラ本体12の両端
に、シャフト14が設けられている軸端部材16を配置
した一般的形状となっている。
【0019】この搬送用ローラ10は、シート状又は帯
状の部材である感光材料(例えばシートフィルム)を処
理する自動現像装置に用いられる場合、搬送ローラ10
が対ないし千鳥状に配置され軸受を介して側板(何れも
図示省略)に回転可能に取付けられて、感光材料の所定
の搬送路を形成する。
【0020】図3(A)に示すように、搬送用ローラ1
0のローラ本体12は、長尺のステンレスパイプ18を
所定の長さLに切断して用いられる。図2に示すよう
に、ステンレスパイプ18は、肉厚t、幅寸法Wの帯状
(例えばコイル状に巻かれた長さが数千メートル程度)
のステンレス鋼板20(例えばSUS304、SUS3
16等のステンレス)を、幅方向の両側の端部20A、
20Bが互いに対向して当接するように丸めた後、当接
している端部20A、20BをTIG溶接等によって連
続的に接合した後、所定の長さに切断して製造した所謂
溶接パイプを用いている。このステンレスパイプ18
は、ステンレス鋼板20の肉厚tがステンレスパイプ1
8の肉厚となり、幅寸法Wに応じてステンレスパイプ1
8の外形寸法Dが決められる。
【0021】このステンレスパイプ18の製造に用いる
ステンレス鋼板20は、圧延製造工程において表面性状
は滑らかな状態(表面粗さRaが約0.15μm以下)
に仕上がっており、ステンレス鋼板20の表面性状がそ
のままステンレスパイプ18の外周面の表面性状となっ
ている。一般に、ステンレスパイプ18の製造に用いら
れるステンレス鋼板20の表面性状は、表面粗さRaが
0.1〜0.15μmとなっている。
【0022】このようにステンレス鋼板20を丸めたの
ちTIG溶接等によって接合したステンレスパイプ18
の外周面の溶接跡として残った溶接ビードは、TIG溶
接を行った直後に連続的に削り落とされる。また、図3
(A)及び図3(B)に示されるように、ステンレスパ
イプ18には、端部20A、20BをTIG溶接した時
の接合部22の内周面側に溶接ビード24が溶接跡とし
て軸線方向に沿って直線状に残っている。
【0023】図3(B)に示すように、ステンレスパイ
プ18を所定の長さLに切断したローラ本体12を用い
て搬送ローラ10を製造するときには、先ず、ローラ本
体12の軸線方向の両端の面取りを行う。この面取り
は、ローラ本体12の外周面側と内周面側のそれぞれに
ついて行い、切断時に生じるバリ等の不必要な突起物を
除去する。この後、ローラ本体12の軸線方向の両端部
に軸端部材16を取付ける。
【0024】図3(C)に示すように、軸端部材16
は、ローラ本体12の内径寸法に合わせてブロック状に
形成されている圧入部26と、ローラ本体12の外形寸
法Dに合わせたフランジ部28と、シャフト14とが樹
脂の一体成形によって同軸的に形成されている。この軸
端部材16をローラ本体12へ取付けるときには、ロー
ラ本体12の内周面に対向する圧入部26の外周面に接
着剤を塗布する等した後、この圧入部26をローラ本体
12内へ圧入する。すなわち、締まりバメと接着剤を併
用してローラ本体12へ軸端部材16を固着させる。こ
のとき、ローラ本体12の内周面には、溶接ビード24
が突出して残っており、樹脂によって形成した軸端部材
16の圧入部26をローラ本体12内へ圧入させること
により、溶接ビード24が圧入部26に食い込み、ロー
ラ本体12に対して軸端部材16の回り止めの役目を果
たす。
【0025】また、隙間バメ状態にして、ローラ本体1
2と軸端部材16との間に接着剤を塗布して、ローラ本
体12と軸端部材16を固着させるようにしてもよい。
【0026】なお、ローラ本体12に固着する軸端部材
としては、種々の構造を適用できる。例えば、図3
(D)に示すように、ブロック状の圧入部26に代え
て、外形形状に合わせて内部に空間が形成されている圧
入部26Aを備えた軸端部材16Aを用いてもよい。こ
れによって、軽量化を図ることができ、搬送用ローラ1
0の回転トルクを小さくすることが可能となる。
【0027】また、図3(E)に示すように、圧入部2
6Bとフランジ28を樹脂成形するときに、例えばステ
ンレス等の金属を用いたシャフト14Aをインサートし
て成形した軸端部材16Bを用いてもよい。この軸端部
材16Bでは、金属のシャフト14Aを用いることによ
り機械的強度を上昇させることができ、搬送用ローラ1
0の耐久性を向上させることができる。
【0028】さらに、図3(F)に示すように、フラン
ジ28と圧入部26Cをステンレス鋼等の金属を用いて
一体にプレス加工し、ステンレス鋼等の金属を用いたシ
ャフト14Bの一端をフランジ28に貫通させて、先端
部14Cにカシメを施すことにより作成した軸端部材1
6Cを用いてもよい。この軸端部材16Cの圧入部26
Cの外形寸法は、ローラ本体12の内径寸法より小さい
所謂隙間バメ状態で圧入部26Cの外側に接着剤が塗布
されてローラ本体12の端部に軸端部材16Cが装着さ
れる。したがって、ローラ本体12の内周面に溶接ビー
ド24が突出しているが、シャフト14Bは搬送用ロー
ラ10の使用に差し支える程偏心してしまうことがな
い。
【0029】このような軸端部材16Cを用いることに
より、搬送用ローラは、接着剤以外は全てステンレス鋼
となるので、搬送用ローラ10の使用をやめて廃却する
か溶融して再使用(リサイクル)するときに分解、分別
する必要がない。また、搬送用ローラが全て導電体で作
られているので、搬送用ローラに静電気が帯電すること
がなく、静電気による搬送用ローラの搬送不良が生じな
い。
【0030】さらに、搬送用ローラを全てステンレス鋼
として樹脂製の部材を使っていないので、熱による劣化
が少なく、熱が加えられる自動現像装置の処理液中、乾
燥部内等で搬送用ローラを長期に渡って使用することが
できる。
【0031】この後、搬送用ローラ10は、ローラ本体
12の外周面をバフ仕上げするなどして、所定の表面粗
さRaに仕上げる。本実施の形態では、ローラ本体12
の外周面の表面粗さRaは、0.2〜1.5μmとなる
ように仕上げ、ステンレス鋼板20の表面粗さRa
(0.15μm以下)よりも荒くしている。
【0032】以下、本実施の形態の作用として搬送用ロ
ーラ10を用いた種々の試験結果を説明する。なお、以
下の説明では、シート状部材として、例えばPET(ポ
リエチレンテレフタレート)等の樹脂性の透明支持体の
表面に感光層を形成したシートフィルム30を用いて試
験を行っている。すなわち、シートフィルム30を処理
する自動現像装置等に、搬送用ローラ10を用いること
を想定して試験を行っている。
【0033】図4には、搬送用ローラ10のローラ本体
12の表面性状(主に表面粗さ)によってシートフィル
ム30が受けるスリキズ等の損傷を試験するスリキズ試
験の構成を示している。
【0034】このスリキズ試験では、搬送用ローラ10
に用いるローラ本体12(又はローラ本体12と同等の
表面粗さにバフ仕上げしたステンレスパイプ18、以下
ローラ本体12とする)にシートフィルム30を巻き掛
ける。このとき、ローラ本体12は基台36に回転した
りずれることのないように固定する。また、シートフィ
ルム12の一方の端部(鉛直方向の下方側)には、所定
の重量の重り32を吊るすと共に、ローラ本体12に巻
きかけたシートフィルム30を鉛直方向(図4の紙面上
下方向)に対して角度θの方向(図中の矢印A方向)へ
引き上げる。このときの引き上げ力を測定器34(例え
ばバネ計り)によって計測することにより、シートフィ
ルム30とローラ本体12の外周面との間に生じる摩擦
力fを算出すると共に、シートフィルム30に生じるス
リキズを計測(カウント)する。なお、ローラ本体12
は、溶接部22の外周面側がシートフィルム30に対向
するように固定されており、この接合部22が常にシー
トフィルム12と接触するようにしている。
【0035】図5(A)には、角度θを90°としたと
き(シートフィルム30を鉛直方向に対して直角に引い
たとき)のローラ本体12の外周面の表面粗さRaに対
する摩擦力の変化を示している。このときのシートフィ
ルム30は、300mm×300mmのサイズであり、重り
32の重さは100gとている。このときの摩擦力fが
20g以上であれば、スリップ等を生じることなくシー
トフィルム30の搬送に適用できるものとして設定して
いる。
【0036】この試験結果によれば、ローラ本体12の
表面粗さRaが、0.1〜0.15μm(略ステンレス
鋼板20の表面仕上げて同じ表面状態)、0.2μm、
0.3μm、1.0μm、1.5μm及び2.0μmに
おいて、摩擦力fは、25g、24g、23g、28
g、29g及び30gであり、測定した表面粗さRaの
範囲(0.1〜2.0μm)では、シートフィルム30
の搬送に影響のない摩擦力となっている。
【0037】また、図5(B)には、表面粗さRaに対
して、角度θを5°、10°及び90°としてシートフ
ィルム12を引き上げたときに、シートフィルム12に
発生したスリキズの数の総和を示している。なお、図5
(B)では、目視によって確認できたスリキズの数を実
線で示し、このうち、幅が20μm以上でシートフィル
ム30の仕上がりに大きく影響を及ぼすスリキズの数を
破線で示している。この破線で示している比較的大きな
スリキズの数が少なければ良く、本試験では、5カ所以
下であれば実質的に問題がないと判定している。
【0038】実質的に問題のない微少なスリキズを含む
シートフィルム30に生じたスリキズの総和は、表面粗
さRaが0.1〜0.15μm、0.2μm、0.3μ
m、1.0μm、1.5μm及び2.0μmにおいて、
それぞれ31カ所、30カ所、28カ所、41カ所、5
0カ所及び65カ所となっていた。また、これらの中
で、幅が20μm以上の比較的幅の広いスリキズは、そ
れぞれ15カ所、5カ所、2カ所、1カ所、4カ所及び
8カ所であった。
【0039】このように、表面粗さRaが大きければ、
シートフィルム30の仕上がりに実質的に影響のない微
少なスリキズは増加するが、表面粗さRaが0.2〜
1.5μmの範囲であれば、逆に表面が滑らかなときよ
りもシートフィルム30の外観品質に影響を及ぼす比較
的幅の広いスリキズが少なくなっている。また、表面粗
さRaが0.1μm以下及び2.0μm以上のときに
は、ローラ本体12の接合部22の外周面に接合跡とし
て生じている凹凸(約0.005〜0.1mmの凹凸)に
よって、シートフィルム20には、比較的幅の広いスリ
キズが数多く生じていた。
【0040】すなわち、シートフィルム30が搬送用ロ
ーラと接触したときの摩擦力によって生じるスリキズに
対しては、ローラ本体12の表面粗さRaが0.2〜
1.5μの範囲(0.2μm≦ローラ本体の表面粗さR
a≦1.5μm)であることが好ましい。
【0041】図6(A)には、ローラ本体12の回転追
従性試験を行うための構成を示している。この回転追従
性試験では、ローラ本体12の肉厚tを変化させたとき
の、慣性力の差がローラ本体12(この場合は、搬送用
ローラ10)の回転がシートフィルム30の搬送速度に
どれほど追従するかを測定するための構成を示してい
る。この搬送用ローラ10の回転追従性試験では、幅3
00mmのシートフィルム30の一方の端部を50mm幅
(L1 )で基台40上に固定すると共に、他方の端部の
先端から50mm(L2 ;これによりL3 =200mm)の
位置に搬送用ローラ10を接触させながら所定の速度で
回転駆動し、回転駆動を止めてから搬送用ローラ10の
回転が停止するまでの時間(停止時間T)を計測してい
る。
【0042】この停止時間Tは、搬送用ローラ10、す
なわちローラ本体12の慣性力が高かったり、また、ロ
ーラ本体12の内周面に生じている溶接ビード24が部
分的に慣性力を高めると、搬送用ローラ10の回転追従
性が低下するため、停止時間が長くなる。ここから、停
止時間Tが短いほど回転追従性が良好であると判定でき
る。なお、回転追従性試験では、搬送用ローラ10を図
6(A)の紙面右回り(矢印B方向)に、周速度0.3
1m/sec で回転した状態からの停止時間を測定してい
る。
【0043】図6(B)には、回転追従性の試験結果を
示している。なお、図中の試料1は肉厚tが1.0mm、
試料2は肉厚tが1.2mmとしている。また、試料3
は、従来例として肉厚tを2.0mmとしている。
【0044】試料3の回転追従性試験ではローラ本体1
2の表面粗さRaが、0.15μm、2.0μm、0.
3μm、1.0μm、1.5μm及び2.0μmのそれ
ぞれにおいて停止時間Tは、35秒、32秒、30秒、
25秒、23秒及び20秒であったのに対して、試料2
は、それぞれの表面粗さRaに対して、11秒、10
秒、9秒、8秒、7秒及び6秒と極めて短くなってい
る。さらに試料1では、それぞれの表面粗さRaに対し
て、6秒、5.5秒、5秒、4秒、3.5秒及び3秒
と、さらに停止時間が短くなっている。
【0045】このように、試料3では、試料2と比較し
て停止時間が3倍程度長くなっており、このために、試
料2に比較して、駆動力を付与しないローラ本体12に
よってシートフィルム30の搬送を開始するときに、シ
ートフィルム30の搬送速度にローラ本体12の回転が
追従できずに、スリップ等によってスリキズが発生する
と、このスリキズが2倍以上の長さになってシートフィ
ルム30の表面に現れてしまうことになる。
【0046】したがって、搬送用ローラ10として用い
るローラ本体12の肉厚を従来の2.0mmから1.2mm
に変更することにより、ローラ本体12の内周面に溶接
ビード24が残っていても、回転追従性を格段に向上さ
せることができ、溶接ビード24が残っていることにり
ローラ本体12の慣性モーメントが部分的に高くなって
いても実質的な影響を生じさせることがない。すなわ
ち、ローラ本体12の肉厚tが1.2mm以下であれば、
ローラ本体12の内周面を切削することなく、回転追従
性を向上させることができる。
【0047】以上の試験結果から、ローラ本体12の肉
厚tを1.2mm以下とすると共に、外周面の表面粗さR
aを0.2μm〜1.5μmの範囲となるようにバフ仕
上げして均一に荒らすことにより、内周面の溶接ビード
24や溶接による外周面の凹凸が残っているステンレス
パイプ18を用いて、搬送性が良好でかつシートフィル
ム30の表面の損傷を格段に抑えた搬送用ローラ10を
得ることができる。
【0048】図7(A)には、温度追従性試験の構成を
示している。この温度追従試験では、外形寸法Dが25
mm、長さLが200mmの図6(B)に示した試料と同じ
試料1、試料2及び試料3をそれぞれ貯水槽50の中の
水に浸し、水の温度を変化させたときの温度変化を測定
する。すなわち、シートフィルム30を処理する自動現
像装置では、乾燥部の内部を所定の温度に高めて、シー
トフィルム30を最適な状態で乾燥できるようにしてお
り、例えば、自動現像装置のスイッチを入れてシートフ
ィルム30の処理を始めるために乾燥部内に温風を送り
込んだときに、乾燥部内に配置した搬送用ローラ10の
外周面の温度が温風の温度になるのに時間がかかると処
理作業をすることができないばかりか、無駄に電力を消
費してしまう。このために、自動現像装置に使用する搬
送用ローラ10としては、温度追従性が良好であること
が好ましい。
【0049】この温度追従性試験では、試料1、試料2
及び試料3のそれぞれを、軸線方向の一端から50mm
(L4 )の位置まで水に浸漬する共に、浸漬した先端か
ら20mm(L5 )の位置の内壁面に温度センサ52を配
置し、この温度センサ52の検出温度を出力装置54か
ら出力して測定する。また、温度変化の測定は、貯水槽
50内の水温は、35°Cから36°Cに上昇させたと
きに、それぞれの試料1〜3の内壁面の温度が水温と一
致するまでの時間Sを測定する。なお、水に浸漬してい
る試料1〜3の先端には、シール部材56を設けて、ロ
ーラ本体12内への水の進入を防止している。
【0050】図7(B)には、温度追従性試験の測定結
果を示しており、肉厚の厚い試料3では、内周面の温度
が36°Cに達するのに14.5秒かかったのに対し
て、肉厚を薄くしている試料2では、6.5秒であり、
さらに試料1では4.5秒であった。すなわち、ローラ
本体12の肉厚tを2.0mmから1.2mmとするだけ
で、短時間(1/2以下の時間)で、周囲の温度に達
し、肉厚tの差以上に温度追従性が良好となる。
【0051】このように、ローラ本体12の肉厚tを薄
くすることにより、温度追従性が向上するため、シート
フィルム30を搬送する搬送用ローラ10も周囲の温度
に応じた温度であることが好ましいシートフィルム30
を処理する自動現像装置の適用により好ましい。
【0052】なお、搬送用ローラ10に用いるローラ本
体12の肉厚t、すなわち、ステンレスパイプ18の肉
厚tは、剛性等の機械的強度を考慮した場合、1.2mm
以下であることが好ましいが、ローラ本体12の長さ
L、要求される機械的強度を考慮して設定すれば良い。
【0053】このように、肉厚tが1.2mm以下のステ
ンレス鋼板20を丸めたステンレスパイプ18を用いる
ことにより、所望の長さLに切断し、両端の面取り及び
外周面の簡単なバフ仕上げを行うことにより、シートフ
ィルム30の表面を損傷させることなく、しかも搬送
性、温度追従性の良好な搬送用ローラ10を簡単にかつ
低コストで製造することができる。また、ステンレスパ
イプ18からの加工作業が簡単であるため、短時間に製
造することができる。
【0054】また、ステンレス鋼を用いて、軽量で耐腐
食性が高く、搬送性の良好な搬送用ローラを得ることが
できるため、この搬送用ローラ10を用いれば、高性能
な自動現像装置を低コストで製造することができる。
【0055】なお、本実施の形態では、感光材料として
感光材料の一つであるシートフィルム30を用いたが、
本発明を適用した搬送用ローラ10は、印画紙や他の写
真フィルム(例えばネガフィルム)及び感光性平版印刷
版等の種々の感光材料を処理する処理装置に、感光材料
の搬送用として用いることができる。フィルムとしては
PETを支持体とするものに限らず、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等の種々の合成樹脂の支持体上に写真乳剤
を塗布した樹脂フィルムであってもよい。また、本発明
の搬送用ローラは、感光材料に限らずコピー用紙や包装
紙等の種々の紙、磁気テープ等の種々のシート状又は薄
板帯状の部材の搬送に用いることができる。すなわち、
種々のシート状部材ないし帯状部材を搬送する搬送装置
や、搬送しながら処理する処理装置に用いることができ
る。
【0056】また、本実施の形態では、金属としてステ
ンレス鋼を用いた搬送用ローラ10について説明した
が、耐腐食性を考慮する必要がない環境又は部材の搬送
用に用いるときには、ステンレス鋼に限らず、アルミニ
ウム等の他の金属を用いた金属ローラに適用することが
できる。
【0057】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明では、ローラ
本体の表面を所定の粗さに仕上げると共に、ローラ本体
を薄肉としているので、スリップ等によって感光材料の
表面にスリキズ等を与えて損傷させることがなく、ま
た、感光材料搬送用のローラを低コストで作成すること
ができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム搬送用ローラの外観を示す概略斜視図
である。
【図2】溶接パイプの製造の概略を示す斜視図である。
【図3】(A)は溶接パイプを切断して得るローラ本体
の概略正面図、(B)はローラ本体の軸端部分を示す軸
線方向に沿った要部断面図、(C)から(F)のそれぞ
れは軸端部材を示すフィルム搬送用ローラの軸線方向に
沿った要部断面図である。
【図4】スリキズ試験の測定を行うための概略構成図で
ある。
【図5】(A)及び(B)はそれぞれスリキズ試験のの
測定結果を示すグラフである。
【図6】(A)は回転追従性試験の測定を行うための概
略構成図、(B)は回転追従性試験の測定結果を示すグ
ラフである。
【図7】(A)は温度追従性試験の測定を行うための概
略構成図、(B)は温度追従性試験の測定結果を示すグ
ラフである。
【図8】(A)は溶接パイプを用いたローラ本体を軸線
方向から見た概略側面図、(B)は図8(A)の8B−
8B線に沿った概略断面図である。
【符号の説明】
10 搬送用ローラ(感光材料搬送用ローラ) 12 ローラ本体 18 ステンレスパイプ 20 ステンレス鋼板 24 溶接ビード

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローラ本体の外周面を感光材料に接触さ
    せながらローラ本体を回転させることにより感光材料を
    搬送する感光材料搬送用ローラであって、前記ローラ本
    体として金属を用い、かつ外周面の表面粗さRaを0.
    2μm以上でかつ1.5μm以下としていることを特徴
    とする感光材料搬送用ローラ。
  2. 【請求項2】 前記ローラ本体が肉厚を1.2mm以下、
    より好ましくは1.0mm以下の円筒状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の感光材料搬送用ロー
    ラ。
  3. 【請求項3】 前記ローラ本体がステンレス鋼板を円筒
    状に丸めて溶接したパイプであることを特徴とする請求
    項2に記載の感光材料搬送用ローラ。
JP2834396A 1996-02-15 1996-02-15 感光材料搬送用ローラ Pending JPH09216756A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101472344B1 (ko) * 2013-04-17 2014-12-12 전광윤 금속 표면 롤의 제조방법
JP2015197508A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 キヤノン株式会社 ローラ部材、ローラ支持機構、および画像形成装置
KR20190138068A (ko) * 2018-06-04 2019-12-12 주식회사 왕성 롤러 샤프트 제조방법

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