JPH09215743A - 生体用複合インプラント材 - Google Patents

生体用複合インプラント材

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JPH09215743A
JPH09215743A JP8046877A JP4687796A JPH09215743A JP H09215743 A JPH09215743 A JP H09215743A JP 8046877 A JP8046877 A JP 8046877A JP 4687796 A JP4687796 A JP 4687796A JP H09215743 A JPH09215743 A JP H09215743A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨代替材料および骨補強材料としての十分な
強度をもち、かつ生体適合性および生体内での耐食性に
優れ、骨組織との固定力を増大させることのできる歯
科、整形外科などの分野において有用なインプラント材
を提供する。 【解決手段】 生体用複合インプラント材は、酸素を主
成分とするガス成分の総量が10〜4000ppm、鉄
などのガス成分以外の上限が100ppm、残部チタン
からなる外層部と、チタン合金、ステンレス鋼又はコバ
ルト−クロム系合金から選択した一種または二種以上の
合金の内層部から形成する。また、さらに上記生体用複
合インプラント材に陽極酸化、加熱酸化、溶融塩酸化な
どにより、外層部表面に酸化皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内での生体適
合性および耐食性に優れた生体用複合インプラント材に
関する。特に、骨代替材料および骨補強材料としての十
分な強度を持ち、かつ生体適合性および生体内での耐食
性に優れ、骨組織との固定力を増大させることの出来る
歯科、整形外科などの分野において有用なインプラント
材を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、整形外科あるいは口腔外科の分野
などにおいて、人体の骨や歯根等がその機能を低下もし
くは損失した場合、人工骨や人工歯根などを生体に埋め
込むことが行われている。特に、骨損傷に至った場合に
は、損傷を受けた箇所に人工骨を埋設したり、骨が回復
するまで補強または固定したりする。また、脊椎手術な
どでは人工骨の移植などが行われている。
【0003】一般に、このような人工骨、関節材または
これらの骨補強材料としては強度に優れているステンレ
ス鋼やコバルト−クロム系合金材料が多く使用されてい
た。しかし、ステンレス鋼やコバルト−クロム系合金は
人体に有害な元素を含有しており、人工関節置換手術後
に悪性腫瘍の合併をみたという報告が少なからずある。
このように最近生体内における毒性のある金属イオンの
溶出が問題視されてきた。
【0004】ステンレス鋼は、表面に耐食性の高い酸化
被膜(=耐食性被膜、不働態膜)を形成し、一般に耐食
性材料と言われているが、生体内のような酸素分圧の低
く、種々の塩化物が存在する高腐食環境下では孔食や腐
食疲労などを起こして破壊しやすくなる。また、手術や
使用中のステンレス鋼自体の傷の発生などによって表面
の耐食性被膜が部分的に破壊された場合、通常、大気中
ならばその不働態膜が急速に再生するのであるが、体内
では酸素分圧が低いため、長期にわたって生地が露出
し、ステンレス鋼の主要添加成分元素であるニッケルな
どの金属イオンが溶出していることが確認されている。
金属ニッケル自身はアレルギーまたは発癌性物質として
の毒性を持つという報告がなされている。
【0005】そこで耐食性を増すために、表面に人工的
に耐食性被膜を形成することも行われているが、手術中
あるいは体内中で何らかの原因で破壊されると耐食性被
膜が再生せず、ガルバニック腐食が発生し、金属イオン
の溶出がより起こりやすくなるという危険性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、生体用インプ
ラント材として要求される主な性質をまとめると、以下
のようになる。
【0007】生体適合性 細胞毒性を示さないことまたはそれ自体毒性を持たない
こと 金属イオンとなって溶出しないこと 生体組織との適合性が良いこと 発癌性および抗原性がないこと 代謝以上を起こさないこと 血液凝固または溶血を起こさないこと 生体内劣化や分解が起こらないこと 吸着性や沈澱物を生じないこと
【0008】機械的性質 適度な静的(引張り、圧縮、曲げ、剪断)強度および延
性をもつこと 十分な疲労強度をもつこと 機械加工性に優れていること
【0009】特に、生体適合性の問題があることから、
毒性を持つ金属又はそれを成分として含有する合金材料
を用いることが忌避されるようになってきた。このよう
なことからステンレス鋼やコバルト−クロム系合金材料
に替わる材料として、生体適合性および耐食性に優れか
つ軽量であるチタンが着目されるようになってきてい
る。
【0010】チタン材料は、純チタンとチタン合金に大
きく分けられる。純チタンは酸素量によって強度が変化
し、ISO規格では不純物の低いものからGrade1〜4
に分けられて規定されている。上記に示すISO規格の
純チタンは、他のインプラント材と比較して、耐食性に
優れているという利点があるが、それでも体内において
腐食し、溶出することが知られている。我々は不純物を
減少させることにより、耐食性をより向上させることが
できることを見いだした(特願平7−228634
号)。(この超高純度チタンを以下ではUP−Tiとす
る) しかしながら、純チタンとUP−Tiは、チタン合金、
ステンレス鋼またはコバルト−クロム系合金に比べ機械
的強度が劣ると言われており、高強度が必要とされる部
分には敬遠されている。
【0011】一方、チタン合金は、V、Mo、Fe、C
rなどのβ安定化元素の増加に従い室温までβ相が存在
するようになるが、このβ相の有無によってα型、α−
β型及びβ型の3種に分類される。このようなチタン合
金の中でも医療用としてTi−6Al−4Vが知られて
いる。これはアメリカASTMおよびISO規格に外科
用インプラント材料として規定されているものである。
このようなチタン合金は、機械的強度の点では優れてい
るが、しかし、この合金は単独で用いると強い細胞毒性
を示すと言われているVが含まれているため、その危険
性を指摘する研究者もおり、このためVフリーの生体用
チタン合金の開発も行われているが、根本的な解決には
至っていないのが現状である。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記のような問題につき
鋭意試験および研究の結果、本発明者らは、骨代替材料
および骨補強材料としての十分な強度を持ち、かつ生体
適合性および生体内での耐食性に優れ、骨組織との固定
力を増大させることのできる歯科、整形外科などの分野
において有用な複合インプラント材を見いだし、本発明
に至った。
【0013】チタン合金、ステンレス鋼またはコバルト
−クロム系合金に比べて、純チタンは上記のように、機
械的強度が劣るという問題点を残している。本発明にお
いては表層部を生体適合性および耐食性に優れたUP−
Tiとし、内層部をチタン合金、ステンレス鋼またはコ
バルト−クロム系合金とすることにより、インプラント
材として機械的強度の向上をもたらし、かつ生体適合性
および耐食性が純チタンと同等であるインプラント材を
提供する。即ち、本発明は、純チタンと同様の生体適合
性および耐食性に優れ、かつ強度の高い生体用複合イン
プラント材を提供するものである。
【0014】本第1の発明は、酸素を主成分とするガス
成分の総量が10〜4000ppm、鉄などのガス成分
以外の成分含有量の上限が100ppm、残部チタンか
らなる外層部と、チタン合金、ステンレス鋼又はコバル
ト−クロム系合金から選択した一種または二種以上の合
金の内層部から形成されていることを特徴とする生体用
複合インプラント材に関する。
【0015】次に第2の発明は、陽極酸化、加熱酸化又
は溶融塩酸化などにより、外層部表面に酸化皮膜が形成
されていることを特徴とする上記第1に記載の生体用複
合インプラント材に関する。
【0016】次に第3の発明は、外層部のガス成分とし
て含有される水素量の上限が50ppm、窒素量の上限
が200ppm、炭素量の上限が400ppmであるこ
とを特徴とする上記第1乃至2のいずれかに記載の生体
用複合インプラント材に関する。
【0017】次に第4及び5の発明は、外層部のガス成
分として含有される水素量の上限がそれぞれ30ppm
及び20ppmであることを特徴とする上記第1乃至3
のいずれかに記載の生体用複合インプラント材に関す
る。
【0018】次に第6、7及び8の発明は、外層部のガ
ス成分として含有される窒素量の上限がそれぞれ100
ppm、50ppmおよび20ppmであることを特徴
とする上記第1乃至5のいずれかに記載の生体用複合イ
ンプラント材に関する。
【0019】次に第9、10及び11の発明は、外層部
のガス成分として含有される炭素量の上限がそれぞれ2
00ppm、100ppm及び50ppmであることを
特徴とする上記第1乃至8のいずれかに記載の生体用複
合インプラント材に関する。
【0020】次に第12及び13の発明は、外層部の鉄
などのガス成分以外の成分含有量の上限がそれぞれ50
ppm及び10ppmであることを特徴とする上記第1
乃至11のいずれかに記載の生体用複合インプラント材
に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細およびその作
用について説明する。まず、本発明の生体用複合インプ
ラント材の外層部に含まれるガス成分等の限定理由など
について詳細に説明する。
【0022】酸素(O)を主成分とするガス成分:本発
明において、酸素を主成分とするガス成分の総量を10
〜4000ppmとする。不働態化皮膜(酸化膜)の迅
速な形成のために、チタンに含有される合金元素や不純
物元素の量を極力制限する必要があるが、強度の低下は
否めない。酸素量を調節することによって大きく強度の
維持を図ることができる。チタン中の酸素の存在は不働
態化皮膜(酸化膜)形成には影響を与えることはなく、
最低10ppm以上含有させることが望ましい。酸素量
の増加に伴って強度も向上するが、4000ppmを越
えると加工性が悪くなるため、上限を4000ppmと
する。
【0023】生体用チタン製インプラント材の表面に
は、陽極酸化、加熱酸化または溶融塩酸化などにより、
予め酸化膜を形成することができる。これによって、均
一かつ緻密な酸化膜により耐食性を著しく向上させるこ
とができる。前記酸素を主成分とするガス成分の総量1
0〜4000ppmの中には、この表面酸化膜に含まれ
る酸素量は除く。
【0024】水素(H):本発明において、水素は50
ppm以下とする。均一かつ緻密な酸化皮膜を迅速に形
成するという意味から、むしろ妨害要因となるので、極
力少ない方が良い。この水素は、好ましくは30ppm
以下、より好ましくは20ppm以下とする。
【0025】窒素(N):本発明において、窒素は20
0ppm以下とする。窒素が200ppmを越えると、
均一かつ緻密な酸化皮膜を迅速に形成するという意味か
らむしろ妨害要因となるので、極力少なくすることが必
要である。この窒素は、好ましくは100ppm以下、
より好ましくは50ppm以下とする。さらに好ましく
は20ppm以下とする。
【0026】炭素(C):本発明において、炭素は40
0ppm以下とする。炭素はTi中に侵入型固溶体元素
として存在し、Tiの強度を増加させる働きがあるが、
400ppmを越えると均一かつ緻密な酸化皮膜を迅速
に形成するという意味から、むしろ妨害要因となるの
で、極力少なくすることが必要である。この炭素は、好
ましくは200ppm以下、より好ましくは100pp
m以下とする。さらに好ましくは50ppm以下とす
る。
【0027】ガス成分以外の成分:本発明において、ガ
ス成分以外の成分含有量は100ppm以下とする。生
体用インプラント材として、不働態皮膜(酸化皮膜)を
均一かつ緻密に形成するためには、ガス成分以外の成分
含有量を極力低減する必要がある。特に長い年月体内に
埋め込まれる骨代替品などについては、酸化皮膜が何ら
かの原因で破壊されたとしても、体内で再び皮膜が迅速
に再生されるような材料であることが必要である。本発
明のチタン製インプラント材は、体内における低酸素分
圧下においても酸化皮膜をより迅速に形成することがで
きる。好ましくは50ppm以下、より好ましくは20
ppm以下とする。
【0028】次に本発明の生体用複合インプラント材の
内層部について説明する。内層部には前述した通りチタ
ン合金、ステンレス鋼又はコバルト−クロム系合金等の
機械的強度の優れた材料を用いる。それにより、純チタ
ンと同様の生体適合性および耐食性に優れた利点を持
ち、かつインプラント材として十分な強度を有する生体
用複合インプラント材を提供することができる。
【0029】本発明において、外層のチタンはクラッ
ド、メッキ、イオンプレーティングもしくは溶射等によ
り形成することができる。その後、密着性を向上させる
ために拡散接合を行っても良い。クラッド−拡散接合の
場合は、HIPもしくはCIP、圧延或いは鍛造等によ
り冷間加工後熱処理を行うことにより或いは熱間におい
て上記加工法を行うことにより複合材料とすることがで
きる。
【0030】
【実施例】生体用インプラント材として好適な本発明の
実施例を、クラッド材として使用しないUP−Ti単
独、鉄などのガス成分以外の成分含有量が上限を越えて
いるCP−Ti単独、およびステンレス(SUS316
L)単独のものを比較例として対比して説明する。
【0031】(実施例1および比較例1)本発明の生体
用複合インプラント材は以下のようにして作製した。成
分調整を行ったチタン材を電子ビーム溶解法により溶解
鋳造した後、パイプ形状に加工した。このパイプ形状の
UP−Tiにステンレス(SUS316L)棒を挿入
し、真空中でパイプの両端の電子ビーム溶接を行った。
次にそれをHIPにより拡散接合を行い、クラッド材と
した。さらに圧延加工を行い、φ5mmの丸棒とした
(試料1)。比較例としてはUP−Ti単独(試料
2)、CP−Ti単独(試料3)および市販のステンレ
ス(SUS316L)単独(試料3)で同様のφ5mm
の丸棒としたものを用いた。
【0032】〔化学分析値〕実施例および比較例の化学
成分の分析値を表1に示す。表1に試料1〜試料4の化
学分析値を示す。なお、試料1については、外層部分の
分析値である。また、表面の酸化皮膜部分は含まれな
い。試料1すなわち本発明の実施例は、試料2すなわち
UP−Ti単独のものと同じ化学成分組成であり、生体
適合性に悪影響を与える可能性のある金属成分の含有量
が極めて小さくなっている。また、ガス成分も十分に低
減されている。これに対して、試料3(CP−Ti)
は、Feの含有量が高く、0.03重量%(300pp
m)含有されている。また、試料4(SUS316L)
では、Fe,Ni,Crの他Mo,Mn等の金属も多く
含まれている。
【0033】
【表1】
【0034】〔耐食性試験(動電位分極曲線)〕実施例
および比較例の各試料について、動電位分極曲線を測定
し、耐食性の評価を行った。実施例については、外層部
を測定面とした。試料1〜試料3は、測定面を耐水研磨
紙により#600まで研磨後、弗酸−過酸化水素水−水
からなる研磨液により化学研磨を行い、純水で洗浄後、
大気に直接触れないようにして測定液中に浸漬した。ま
た、試料4(SUS316L単独)は、測定面を鏡面ま
でバフにより仕上げた後、試料1〜3と同様に、純水で
洗浄後、大気に直接触れないようにして測定液中に浸漬
した。測定条件は次の通りである。 電解液:Arにより脱酸素したハンク氏液、液温:31
0K 参照極:Ag/AgCl、対極:Pt、電位掃引速度:
40mV/min 以上の結果を図1に示す。
【0035】〔耐食性の試験の結果〕試料1(UP−T
i/SUS316L、試料2(UP−Ti単独)、試料
3(CP−Ti単独)、試料4(SUS316L単独)
とも初期の表面に不働態皮膜が存在していない状態の動
電位分極曲線である。図1から明らかなように、本発明
の実施例である試料1は、試料2(UP−Ti単独)と
同様に自然浸漬電位が試料3(CP−Ti)より貴な側
にあり、かつ耐食性皮膜形成で試料3よりも電流値が低
くなっている。これより本発明の実施例である複合イン
プラント材は、UP−Ti同様耐食性が高いことがわか
る。試料4のステンレス(SUS316L)は、電流値
がすぐに立ち上がるため、耐食性は実施例、UP−T
i、およびCP−Tiのいずれよりも悪い。さらに、同
図1から明らかなように、本発明の実施例である試料1
は、試料2(UP−Ti単独)と同様に、分極初期にお
いて電流の立上がりが鋭く、酸化皮膜の形成が迅速であ
る。これは、体内で酸化皮膜の破壊があっても、酸化皮
膜の再形成が他の耐食性材料に比べ速いことを意味し、
生体用インプラント材として好適であるという優れた特
徴を有していることがわかる。
【0036】(実施例2および比較例2)実施例1及び
比較例1と同一の工程で、試料1(UP−Ti/SUS
316L)、試料2(UP−Ti単独)、試料3(CP
−Ti単独)および試料4(SUS316L単独)の原
試料を作製し、測定面を仕上げ、さらに以下の表面処理
を行い、試料とした。化学成分は実施例1および比較例
1と同一である。異なる点は、事前に陽極酸化により酸
化皮膜を形成した点である。試料1〜試料3は、シュウ
酸−硫酸浴中でSUS304を陰極とし陽極酸化を行っ
た。この時の酸化電圧は6.5Vである。陽極酸化後、
純水で洗浄後、大気に直接触れないようにして測定液中
に浸漬した。試料4は、ASTM F−86の方法に従
い、硝酸中に30分浸漬し、純水で洗浄後、大気に直接
触れないようにして測定液中に浸漬した。測定条件は次
の通りである。 電解液:Arにより脱酸素したハンク氏液、液温:31
0K 参照極:Ag/AgCl、対極:Pt、電位掃引速度:
40mV/min 以上の結果を図2に示す。
【0037】〔耐食性の試験の結果〕試料1(UP−T
i/SUS316L、試料2(UP−Ti単独)、試料
3(CP−Ti単独)、試料4(SUS316L単独)
とも表面に不働態皮膜を形成した状態の動電位分極曲線
である。図2から明らかなように、本発明の実施例であ
る試料1は、試料2(UP−Ti単独)と同様に自然浸
漬電位が試料3(CP−Ti)より貴な側にあり、かつ
耐食性皮膜形成で試料3よりも電流値が低くなってい
る。これより本発明の実施例である複合インプラント材
は、UP−Ti同様耐食性が高いことがわかる。試料4
のステンレス(SUS316L)は、試料1〜3よりも
貴な側にあるが、電流値が急速に立ち上がるため、耐食
性は実施例、UP−Ti、およびCP−Tiのいずれよ
りも悪い。以上から明かなように、本発明の複合インプ
ラント材はCP−Tiおよびステンレス(SUS316
L)に比較して、耐食性が著しく高く、また酸化皮膜の
形成が迅速であることがわかる。
【0038】次に、本発明の生体用複合インプラント材
を用いて以下のような引張試験を行った。 〔引張試験〕(0.2%耐力、引張強さの測定)試料と
して、外層部にUP−Tiを用いて内層部に、ステン
レス(SUS316L)を用いたもの、Co−Cr−
Mo合金を用いたもの、Ti−6Al−4V合金を用
いたものの3種類を作製した。そして内層部の fill ra
tio (内層部断面積/clad全体の断面積)が0%、25
%、50%、75%、100%のものについてそれぞれ
引張強さおよび0.2%耐力を測定した。測定条件は、
標点間距離:50mm、引張速度:5mm/min、標
点間の直径:5.0mmとした。
【0039】〔引張試験の結果〕図3〜5に、上記の引
張強さおよび0.2%耐力の測定結果を示す。fill rat
io が0%のときは外層部のUP−Tiの強度であり、
100%のときはそれぞれの内層部材の強度と一致す
る。そして、その間の複合インプラント材について、
0.2%耐力および引張強さは fill ratio にほぼ比例
していることがわかる。つまり、内層部に高強度部材を
用いることにより複合インプラント材の全体の強度を大
きくすることができる。
【0040】
【発明の効果】上記の発明の詳細な説明及び実施例に示
すように、本発明は生体内での耐食性に優れた生体用イ
ンプラント材を提供する。すなわち、骨代替材料及び骨
補強材料としての十分な強度を持ち、かつ生体適合性及
び生体内での耐食性に優れ、骨組織との固定力を増大さ
せることのできる歯科、整形外科などの分野において有
用なインプラント材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面に不働態皮膜が形成されていない実施例
1および比較例1の各試料の動電位分極曲線である。
【図2】 陽極酸化により、表面に不働態皮膜を形成し
た実施例2および比較例2の各試料の動電位分極曲線で
ある。
【図3】 本発明で内層部にSUS316Lを用いた場
合の引張試験の結果である。
【図4】 本発明で内層部にCo−Cr−Mo合金を用
いた場合の引張試験の結果である。
【図5】 本発明で内層部にTi−6Al−4V合金を
用いた場合の引張試験の結果である。
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】次に第12及び13の発明は、外層部の鉄
などのガス成分以外の成分含有量の上限がそれぞれ50
ppm及び20ppmであることを特徴とする上記第1
乃至11のいずれかに記載の生体用複合インプラント材
に関する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 慶一 茨城県北茨城市華川町臼場187番地4 株 式会社ジャパンエナジ−磯原工場内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素を主成分とするガス成分の総量が1
    0〜4000ppm、鉄などのガス成分以外の成分含有
    量の上限が100ppm、残部チタンからなる外層部
    と、チタン合金、ステンレス鋼又はコバルト−クロム系
    合金から選択した一種または二種以上の合金の内層部か
    ら形成されていることを特徴とする生体用複合インプラ
    ント材。
  2. 【請求項2】 陽極酸化、加熱酸化又は溶融塩酸化など
    により、外層部表面に酸化皮膜が形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の生体用複合インプラント
    材。
  3. 【請求項3】 外層部のガス成分として含有される水素
    量の上限が50ppm、窒素量の上限が200ppm、
    炭素量の上限が400ppmであることを特徴とする請
    求項1乃至2のいずれかに記載の生体用複合インプラン
    ト材。
  4. 【請求項4】 外層部のガス成分として含有される水素
    量の上限が30ppmであることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載の生体用複合インプラント材。
  5. 【請求項5】 外層部のガス成分として含有される水素
    量の上限が20ppmであることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載の生体用複合インプラント材。
  6. 【請求項6】 外層部のガス成分として含有される窒素
    量の上限が100ppmであることを特徴とする請求項
    1乃至5のいずれかに記載の生体用複合インプラント
    材。
  7. 【請求項7】 外層部のガス成分として含有される窒素
    量の上限が50ppmであることを特徴とする請求項1
    乃至5のいずれかに記載の生体用複合インプラント材。
  8. 【請求項8】 外層部のガス成分として含有される窒素
    量の上限が20ppmであることを特徴とする請求項1
    乃至5のいずれかに記載の生体用複合インプラント材。
  9. 【請求項9】 外層部のガス成分として含有される炭素
    量の上限が200ppmであることを特徴とする請求項
    1乃至8のいずれかに記載の生体用複合インプラント
    材。
  10. 【請求項10】 外層部のガス成分として含有される炭
    素量の上限が100ppmであることを特徴とする請求
    項1乃至8のいずれかに記載の生体用複合インプラント
    材。
  11. 【請求項11】 外層部のガス成分として含有される炭
    素量の上限が50ppmであることを特徴とする請求項
    1乃至8のいずれかに記載の生体用複合インプラント
    材。
  12. 【請求項12】 外層部の鉄などのガス成分以外の成分
    含有量の上限が50ppmであることを特徴とする請求
    項1乃至11のいずれかに記載の生体用複合インプラン
    ト材。
  13. 【請求項13】 外層部の鉄などのガス成分以外の成分
    含有量の上限が20ppmであることを特徴とする請求
    項1乃至11のいずれかに記載の生体用複合インプラン
    ト材。
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