JPH09215472A - 吸収促進性糖類組成物 - Google Patents
吸収促進性糖類組成物Info
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- JPH09215472A JPH09215472A JP8024193A JP2419396A JPH09215472A JP H09215472 A JPH09215472 A JP H09215472A JP 8024193 A JP8024193 A JP 8024193A JP 2419396 A JP2419396 A JP 2419396A JP H09215472 A JPH09215472 A JP H09215472A
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Abstract
い組成おいても糖吸収が良好な新しい組成物を提供す
る。 【解決手段】 低ナトリウム含量またはナトリウムを含
まない組成においても組成物中の糖類が生体内で良好に
吸収される組成物であって、ラクトフェリン加水分解物
から分画した次の性質を有するペプチド混合物を含有す
ることを特徴とする吸収促進性糖類組成物、 a)ラクトフェリン加水分解物から抗菌性ペプチドを分
離した残余のペプチド混合物であること b)生体外で抗菌活性を示さないこと c)生体内および生体外で糖類の吸収を促進する活性を
有すること。
Description
組成物に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、低ナトリウム含量またはナトリウムを含まない組成
においても組成物中の糖類が消化管等から良好に吸収さ
れる食品、医薬品または飼料等の糖類組成物に関するも
のである。
絨毛膜表面の加水分解酵素によりグルコース、ガラクト
ース、フラクトース等の単糖に分解され、生成したグル
コース、ガラクトースは能動輸送により、またフラクト
ースは促進拡散により消化管から吸収される。グルコー
ス、ガラクトースの糖輸送担体は、ナトリウム依存型グ
ルコース・トランスポーターと呼ばれ、小腸刷子縁膜上
に存在する。ナトリウム依存型グルコース・トランスポ
ーターは、腸管内腔と細胞内のナトリウムイオン濃度差
により、ナトリウムイオン1分子とグルコース1分子を
共輸送する。生体外においては、ナトリウム依存型グル
コース・トランスポーターの糖輸送速度は細胞外液のナ
トリウムイオン濃度に依存する[ アニュアル・レビュー
・オブ・フィジオロジー(Annual Review of Physiolog
y) 、第55巻、第575〜589ページ、1993年]
。
の吸収は、ナトリウムイオン依存性がなく、グルコース
濃度が0.1%(重量。以下、生存率を除き、特に断り
のない限り同じ)以上ならば、ナトリウムイオンが存在
しなくても吸収に大きな影響がないことが報告されてい
る[ ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲー
ション(Journal of Clinical Investigation) 、第47
巻、第1133ページ、1968年] 。グルコースの吸
収が、食餌中のナトリウム濃度に依存しないという同様
の報告は多数存在するが、この発明の発明者らの研究に
よれば、グルコース濃度が高く、かつナトリウム濃度が
低い組成物を動物に摂取させた場合、糖吸収の不良が生
じることが判明した。このように、ナトリウム濃度が低
いために糖吸収の不良が危惧される食品等としては、乳
児が摂取する育児用調製粉乳、スポーツ用ドリンク、経
腸栄養剤または流動食等を例示することができる。
トリウム濃度は調乳時において20mg/100ml
(0.02%)程度と低値である。マクリーン(MacLea
n) らの研究によれば、市販の育児用粉乳を新生児に投
与した場合、投与した乳糖の2/3は小腸で吸収され
ず、大腸で腸内細菌の発酵を受け、産生した短鎖脂肪酸
として吸収される[ ペディアトリクス・リサーチ(Pedi
atrics Research )、第17巻、第629〜633ペー
ジ、1983年] 。未熟児の場合も同様の報告がある[
ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pe
diatrics)、第97巻、第389〜393ページ、19
80年] 。そのため、乳児はアミノ酸であるアラニンを
グルコ−スに変換し、必要とする糖の50%を補ってい
る[ バイオロジー・オブ・ザ・ネオネイト(Biology of
the Neonate)、第50巻、第237〜258ページ、1
986年] 。
用調製粉乳にナトリウム塩を付加すれば糖吸収の向上が
期待できるが、乳児の腎機能は未熟なためにミネラルの
負荷は重篤な腎障害を惹起することが知られている。ま
た、スポーツ用ドリンクは運動中または運動直後の水分
補給を目的とした清涼飲料であるが、糖を含有する水溶
液が胃から排出される速度は水に比べて著しく遅く、運
動中または運動直後の水分補給には不適当であると考え
られている(小平修平監訳、「スポーツ指導者のための
スポーツ栄養学」、南江堂、1992年)。従って、ス
ポーツ用ドリンクは、水分補給よりもむしろ、運動によ
り消失したグリコーゲン、即ち、炭水化物の急速な補給
を目的として運動直後またはゲーム中の休憩時間に利用
される。このような炭水化物の補給は、次のゲームにお
ける運動能力の向上、疲労回復等に貢献するものと考え
られている。
によれば、市販のスポーツ用ドリンクの組成は、糖濃度
が4〜7%であるのに対して、ナトリウム濃度は0.0
1〜0.03%と低く、急速な糖吸収は期待できず、ま
た糖吸収の促進を考慮した市販製品も存在しない。さら
に、たとえば市販の流動食の組成は、糖質濃度が15%
前後と極めて高値であるが、ナトリウム濃度は50〜1
40mg/100ml(0.05〜0.14%)と低値
であり、糖類の吸収は良好ではない。経腸栄養剤または
流動食は、意識障害者または術後患者にとって貴重な栄
養源であるが、これらの患者の多くはチューブ・フィー
ディングにより栄養剤または流動食を投与されており、
その投与量には限界があるため、糖吸収の向上がもたら
す栄養学的な意義は大きい。
吸収を改善することにより、糖吸収不良による下痢の発
生を防止することも可能となる。すなわち、既存の流動
食はエネルギー密度が高く、栄養素の吸収不良による下
痢を惹起する可能性が高いため、流動食を2〜3倍に希
釈し、吸収不良を防止している病院もある。そこで、た
とえば、管−供給されている患者における下痢防止のた
めにエネルギー密度の低い流動食を提供することを目的
とした低カロリー密度の経腸調合物が提案されている
(特開平6−56693号公報)が、糖の吸収不良を改
善できるならば、このような問題は根本から解決される
ものと期待される。
らす栄養学的、医学的恩恵は計り知れないものがある。
この点について、インスリン、トリヨードチロニン等の
ホルモンが消化管を発達させて糖吸収を促進することが
従来より知られている。しかしながら、育児用調製粉
乳、スポーツ用ドリンク、経腸栄養剤または流動食等に
おける用途・対象の特殊性を考慮した場合には、組成物
中にこれらのホルモンを含有させることは効果がなく、
またホルモンによって事前に使用者の消化管を発達させ
るための処置を施すことは現実的ではない。しかも、低
ナトリウムによる糖吸収の不良は、消化管を発達させる
ことによっては解決することができない。
糖吸収の不良を解決するためには、糖吸収そのものを促
進する物質、または低ナトリウムによる糖吸収不良を改
善する物質が求められているが、そのような物質は現在
まで知られていない。一方、ラクトフェリンは涙、唾
液、抹消血、乳汁中に含まれている鉄結合性糖蛋白質で
あり、従来より、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウ
ム菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すことが知ら
れている[ ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Jour
nal of Pediatrics )、第94巻、第1〜9ページ、1
979年] 。そして、このラクトフェリンの加水分解物
から得られる抗菌性ペプチドと、このペプチドを含有し
た抗菌剤が発明され、既に特許出願されている(特開平
5−92994号公報)。この抗菌性ペプチドは他の抗
菌性物質と比較して副作用がないことから、今後広く応
用されるものと考えられる。しかしながら、この抗菌性
ペプチドは、50mgのウシ・ラクトフェリンから、僅
か3mgが調製されるにすぎず(特開平5−92994
号公報)、極めて高価であり、この抗菌性ペプチドを利
用するうえでの大きな障害となっている。
渣の用途が開発されるならば、ペプチド製造に要するコ
ストが補償され、ラクトフェリン加水分解物の利用上の
障害を除去し得るのである。このような観点から、この
発明の発明者らは、ラクトフェリン加水分解物から抗菌
性ペプチドを除去した残渣から感染防御作用を有する糖
ペプチドを発明し、既に特許出願した(特願平7−94
893号)。
の加水分解物、その加水分解物から単離された抗菌性ペ
プチドおよび糖ペプチドの生理作用はいずれも微生物に
対する作用であり、これらの物質がヒトおよび動物の消
化吸収を調節する作用を有するという報告は、従来皆無
である。
は、低ナトリウム含量の食品等における糖吸収の不良を
解決するために、糖吸収そのものを促進する物質、また
は低ナトリウムによる糖吸収不良を改善する物質につい
て鋭意研究を重ねた結果、ラクトフェリンの加水分解物
から調製されるペプチド混合物が、糖吸収促進作用を有
することを見い出した。
水分解物から調製されるペプチド混合物を利用すること
によって、低ナトリウム含量またはナトリウムを含まな
い組成おいても糖吸収が良好な新しい組成物を提供する
ことを目的としている。
を解決するものとして、低ナトリウム含量またはナトリ
ウムを含まない組成においても組成中の糖類が生体内で
良好に吸収される組成物であって、ラクトフェリン加水
分解物から分画した次の性質を有するペプチド混合物を
含有することを特徴とする吸収促進性糖類組成物を提供
する。a)ラクトフェリン加水分解物から抗菌性ペプチ
ドを分離した残余のペプチド混合物であること。b)生
体外で抗菌活性を示さないこと。c)生体内および生体
外で糖類の吸収を促進する活性を有すること。
い態様について詳しく説明する。
は、ナトリウム依存型グルコーストランスポーターが運
搬できる単糖類、それから構成される多糖類、またはそ
れらの混合物である。具体的には、グルコース、ガラク
トース等の単糖類、グルコース、ガラクトースの少なく
とも一方を構成成分とする多糖類であって、ヒトまたは
動物に経口投与した際に消化酵素で分解されて、グルコ
ースまたはガラクトースを遊離するものである。このよ
うな多糖類として、ラクトース、スクロース、マルトー
ス、イソマルトース、デキストリン等を例示できる。
時において少なくとも3%、好ましくは3〜20%含有
している。この発明の組成物に含有されるペプチド混合
物は、特開平5−92994号に開示されている方法に
より、ラクトフェリン加水分解物から抗菌性ペプチドを
分画した残渣であり、具体的には、次の方法で得ること
ができる。
る。すなわち、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、スイギュ
ウ、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)のラクトフェリンを0.5
〜20%の濃度で精製水に溶解し、次いで、ラクトフェ
リン水溶液のpHを加水分解に使用する酵素の至適pH
付近に調整し、ラクトフェリン重量に対して0.1〜
5.0%重量のエンドペプチダーゼ[例えば、豚ペプシ
ン(1:10,000。和光純薬工業社製)、モルシン
F(盛進製薬社製)、スミチームAP(新日本化学社
製)、アマノA(天野製薬社製)、トリプシン(ノボ社
製)等]をラクトフェリン水溶液に添加し、30〜60
℃で、30〜600分間保持してラクトフェリンを加水
分解する。その後、反応液をそのまま、または中和し、
常法により酵素を加熱失活させる。
から公知のクロマトグラフ法を用いて、抗菌性ペプチド
と残渣とを分画する。具体的には、例えば、TSKゲル
ODS120T(東ソー社製)を用いた高速液体クロマ
トグラフ法では、アセトニトリルのグラジエントで所定
の分画に溶出させ、抗菌性ペプチドと残渣を分画でき
る。また、予め精製水により平衡化したブチルトヨパー
ル(東ソー社製)を用いた疎水性クロマトグラフィー法
では、抗菌性ペプチドをブチルトヨパールに吸着させ、
未吸着の流出画分を残渣として得ることができる。
たペプチド混合物を、摂取時において少なくとも0.0
01%、好ましくは0.01〜0.5%含有している。
この発明の組成物は、食品、医薬品または飼料として加
工することができ、具体的には、食品としては育児用調
製粉乳、清涼飲料、乳飲料、流動食等、医薬品としては
経腸栄養剤、成分栄養剤等、飼料としては家畜育成用調
製粉乳(仔ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ等に投与す
る)等を例示することができる。
濃度が0.21%以下、さらに詳しくは0.02〜0.
21%の低ナトリウム含量であっても、糖類が消化管か
ら良好に吸収される。もちろん、ナトリウムを含まない
組成であっても糖類の吸収が損なわれることはない。な
お、ナトリウムを含む場合には、例えば、食品学的また
は薬理学的に許容されるナトリウム塩、または、原料に
由来するナトリウム塩等を前記の範囲で含有させること
ができる。
動物に摂取させることができる。具体的には、組成物が
液状の場合はそのまま、また固体状の場合は液状に調製
し、糖吸収部位である小腸に到達する投与方法、より具
体的には経口または経管投与によって摂取させる。次
に、試験例を示してこの発明の組成物の効果を詳しく説
明する。 試験例1 この試験は、ウシ・ラクトフェリンの酵素加水分解物か
ら抗菌性ペプチドを分離した残余のペプチド混合物のグ
ルコース吸収促進活性を調べるために行った。 (1)材料 反転小腸の調製 市販固形飼料F−2(船橋農場製)で飼育したSPFマ
ウス(Balb/c)を屠殺し、小腸を摘出した。幽門
部の5cm下から10cmまでの小腸を用いて反転小腸
を調製した。両端を結紮し、内部に生理的食塩水0.5
mlを注入した。 試料の調製 特開平5−92994号に開示されている方法を用い
て、ラクトフェリン加水分解物から抗菌性ペプチドおよ
び残渣からなるペプチド混合物を次のとおり調製した。
製)500mgを精製水9mlに溶解し、0.1M塩酸
でpHを2.5に調整し、のち市販のブタペプシン(シ
グマ社製)10mgを添加し、37℃で6時間加水分解
した。次いで0.1N水酸化ナトリウムでpHを7.0
に調整し、80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、
室温に冷却し、15,000rpmで30分間遠心分離
し、透明な上清を得た。この上清を精製水により約2%
に希釈し、その100μlを、予め、0.05%のトリ
フルオロ酢酸(TFA)を含む20%アセトニトリル溶
液で平衡化したTSKゲルODS−120T(4.6×
150mm)を用いたクロマトグラフィーにかけ、0.
8ml/分の流速で10分後から30分間、0.05%
のTFAを含む20から60%のアセトニトリルのリニ
アグラジエントで溶出し、溶出液採取後24〜25分の
画分(抗菌性ペプチド画分)と、これ以外の画分(以
下、残渣画分と記載する)を得た。この操作を反復し、
両画分を真空乾燥し、抗菌性ペプチド画分約30mgお
よび残渣画分約400mgを得た。 被検液の調製 30mM塩化ナトリウム、120mM塩化コリンおよび
5mMグルコースを含有する10mMリン酸カリウム緩
衝液(pH7.4)に、で得た抗菌性ペプチドまたは
残渣画分のペプチド混合物を1mg/mlの濃度で添加
し、被検液を調製した。 (2)試験方法 被検液10mlが入った50ml容三角フラスコに反転
小腸を入れ、95%酸素、5%二酸化炭素混合気体を注
入して密栓し、37℃で1時間保持した。正確に1時間
後、反転小腸を取り出し、生理食塩水で洗浄し、内液を
取り出し、内液中のグルコース濃度をF−キット・グル
コース(ベーリンガーマンハイム社製)を用いて測定
し、反転小腸組織1g当りのグルコース取込速度を算出
した。 (3)試験結果 算出したグルコース取込速度は、試料を何も添加してい
ない対照が3.45±1.02μmol/時/g小腸組
織(平均値±標準偏差で示す。以下、単位は同じ。)で
あったのに対し、抗菌性ペプチドを添加した被検液中で
は3.30±0.85、残渣画分のペプチド混合物を添
加した被検液中では7.03±1.06であり、残渣画
分のペプチド混合物にのみグルコース吸収促進効果が認
められた。なお、他の方法によって調製したペプチド混
合物を用いた場合も、ほぼ同様の結果が得られた。 試験例2 この試験は、ウシ・ラクトフェリンの酵素加水分解物か
ら抗菌性ペプチドを分離した残余のペプチド混合物の抗
菌活性を調べるために行った。 (1)試料の調製 試験例1と同一の方法により調製した残渣画分のペプチ
ド混合物を用いた。また、対照として同じく試験例1と
同一の方法により調製した抗菌性ペプチドおよび未分解
のウシ・ラクトフェリン(シグマ社製)を用いた。 (2)試験方法 1%バクトペプトン(ディフコ・ラボラトリー社製)の
液体培地2mlに、0〜50mg/mlの濃度範囲で各
試料を添加し、対数増殖期のEscherichia coliO111
(東京大学医科学研究所より分譲)を106 /mlの生
菌数濃度で接種し、37℃で16〜20時間培養し、培
養後の供試菌の発育状態を660nmの吸光度で測定し
た。 (3)試験結果 抗菌性試験の結果、残渣画分のペプチド混合物は、いず
れの濃度で添加した場合にも供試菌の増殖を抑制しなか
った。一方、対照として用いた未分解のウシ・ラクトフ
ェリンは2mg/ml以上の濃度で供試菌の増殖を完全
に阻止し、抗菌性ペプチド画分は5μg/ml以上の濃
度で供試菌の増殖を完全に阻止した。
解物から抗菌性ペプチドを分離した残余のペプチド混合
物は、抗菌活性を示さないことが確認された。なお、他
の方法によって調製したペプチド混合物を用いた場合
も、ほぼ同様の結果が得られた。 試験例3 この試験は、ペプチド混合物の糖吸収促進活性と糖濃度
との関係を調べるために行った。 (1)試料の調製 参考例と同一の方法により調製した残渣画分を20%の
濃度で精製水に溶解し、滅菌フィルター(コーニング社
製)を用いて濾過滅菌した。育児用無糖粉乳MC−1
(森永乳業社製)171g、デキストリン(ナカライテ
スク社製)29g、86g、143g、286g、57
1gおよび857gを精製水1800g、1743g、
1686g、1543g、1258gおよび972gに
それぞれ溶解し、150kg/cm2 の圧力で均質化
し、700gづつ1リットル容三角フラスコに分注し、
121℃で20分間オートクレーブ滅菌した。この調製
乳に、残渣画分が0%または2%の割合となるように前
記の滅菌試料を添加し、さらに滅菌水を添加し、各試験
飼料の全体の重量を1,000gに調整し、デキストリ
ン濃度1%、3%、5%、10%、20%および30%
の飼料を調製した。試料の調製はクリーンベンチ内で行
い、微生物による汚染を防止した。 (2)試験方法 各試料を、ビニルアイソレーター内で飼育した5週齢の
無菌マウス(Balb/c)、各5匹に1週間自由摂取
させた。飼育1週間後、無菌マウスをビニルアイソレー
タから出し、屠殺し、盲腸内容物を摘出した。盲腸内容
物に、9倍量の2%過塩素酸を添加してホモゲネート
し、遠心分離し、上清中の糖含量を測定した。なお、グ
ルコースはFキットグルコース(ベーリンガーマンハイ
ム社製)を用い、デキストリンはFキットスターチ(ベ
ーリンガーマンハイム社製)を用いてそれぞれ定量し
た。 (3)試験結果 各試験飼料を投与した無菌マウスの盲腸内容物中に残留
した未吸収の糖濃度を測定した結果は、表1に示すとお
りである。
同一組成中の糖濃度が3%以上の場合に糖の吸収を促進
することが判明した。また、糖濃度が20%を越えた場
合には糖吸収促進作用が低下することが判明した。グル
コース、ガラクトース、乳糖についても同様の試験を行
い、ペプチド混合物は糖濃度3%以上、好ましくは3〜
20%で糖吸収を促進することが確認された。なお、他
のペプチド混合物を用いた場合も、ほぼ同様の結果が得
られた。
ウム濃度との関係を調べるために行った。 (1)試料の調製 5mMグルコース、10mMリン酸カリウム緩衝液(p
H7.4)、塩化ナトリウムを0〜150mMに変化さ
せ、イオン強度を一定に保つため塩化コリンを添加し、
塩化ナトリウムおよび塩化コリンを合わせた濃度を常に
150mMに被検液を調製した。この被検液にペプチド
混合物を1mg/mlの濃度で添加した。 (2)試験方法 試験例1と同一の方法によりグルコース吸収試験を行っ
た。 (3)試験結果 各被検液についてグルコース吸収試験を行なった結果
は、表2に示すとおりである。この結果、ペプチド混合
物はナトリウム濃度0〜90mM(0〜0.21%)の
範囲、特に10〜90mM(0.02〜0.21%)で
グルコースの吸収を促進することが判明した。なお、他
のペプチド混合物を用いた場合もほぼ同様の結果が得ら
れた。
めに行った。 (1)試料の調製 30mM塩化ナトリウム、120mM塩化コリン、5m
Mグルコース、10mMリン酸カリウム緩衝液(pH
7.4)に、ペプチド混合物を0〜5mg/mlの濃度
で添加し、被検液を調製した。 (2)試験方法 試験例1と同一の方法によりグルコース吸収試験を行っ
た。 (3)試験結果 各被検液についてグルコース吸収試験を行なった結果
は、表3に示すとおりである。この結果、ペプチド混合
物は少なくとも10μg/ml(0.001%)、好ま
しくは100〜5000μg/ml(0.01〜0.5
%)の濃度で、グルコース吸収を促進することが判明し
た。なお、他のペプチド混合物を用いた場合も、ほぼ同
様の結果が得られた。
こし死亡することが知られているので、この試験は、ペ
プチド混合物の糖吸収促進活性が、下痢を防止すること
を確認するために行った。 (1)試験方法 市販の育児用調製粉乳に、試験例1と同一の方法により
調製したペプチド混合物を、最終濃度100μg/ml
の割合いで添加し、調製乳(試験試料)を調製した。対
照としてペプチド混合物を添加していない調製乳(対照
試料)を用いた。
ス(Balb/c) 、各5匹に1週間自由摂取させた。
毎朝10時にケージ内を点検し、糞便の状態を確認し、
死亡したマウスを除去した。 (2)試験結果 試験の結果は、図1に示すとおりである。図1は、飼育
期間と生存率との関係を示し、縦軸および横軸は、それ
ぞれ飼育期間(日)および生存率(%)を示し、□およ
び■は、それぞれ試験試料投与群および対照試料投与群
を示す。図1から明らかなとおり、対照試料投与群で
は、激しい下痢を発生し、4日以内に全数死亡した。こ
れに対して、試験試料投与群では、下痢を発生せず、全
数正常であった。なお、他のペプチド混合物を用いた場
合も、ほぼ同様の結果が得られた。 試験例7 この試験は、健常者の血糖に与えるペプチド混合物の効
果を調べるために行った。 (1)試料の調製 実施例1と同一の方法によりスポーツ用ドリンク(試験
試料)を調製した。また、ペプチド混合物を含まないこ
とを除き、実施例1と同一のスポーツ用ドリンク(対照
試料)を調製した。 (2)試験方法 前記スポーツ用ドリンクを、ボランティアの健常成人5
名に次の方法により投与し、経口糖負荷試験を行った。
すなわち、一晩絶食した被験者に前記スポーツ用ドリン
ク350mlを経口投与し、投与直後から6分間隔で採
血し、血糖値を常法により測定した。さらに、1週間後
に同一被験者に対照試料を経口投与し、血糖値を常法に
より測定した。 (3)試験結果 この試験の結果は図2に示すとおりである。図2は、試
料摂取後の経時的血糖値の変化を示し、縦軸および横軸
は、それぞれ血糖値(mg/dl)および時間(分)を
示し、□および■は、それぞれ試験試料投与群および対
照試料投与群を示す。図2から明らかなとおり、ペプチ
ド混合物を含有するスポーツ用ドリンクは、対照のスポ
ーツ用ドリンクと比較して速やかに血糖が上昇し、糖吸
収を促進していることが確認された。なお、他のペプチ
ド混合物を用いて同様の試験を行ったが、ほぼ同様な結
果が得られた。 参考例 牛乳から分離した市販のラクトフェリン(森永乳業社
製)1kgを精製水9リットルに溶解し、1N塩酸を添
加してpHを3.0に調整し、市販のブタペプシン
(1:10,000。和光純薬工業社製)30gを添加
して均一に混合し、37℃に4時間保持し、85℃で1
0分間加熱して酵素を失活させた。次いで1N水酸化ナ
トリウムを添加してpHを7.0に調整し、不溶物を濾
過して除去し、ラクトフェリン分解物溶液を得た。この
ラクトフェリン分解物溶液を凍結乾燥し、ラクトフェリ
ン分解物の粉末約960gを得た。前記粉末800gを
精製水20lに溶解し、ブチルトヨパール(東ソー社
製)650Mを充填し、予め精製水で平衡化したカラム
(直径36cm×高さ15cm)に流速0.2リットル
/分で通液し、流出液の280nmにおける吸光度が
0.01以下になるまで0.6リットル/分の流速で精
製水を通液して洗浄した。得られたブチルトヨパールに
未吸着の流出画分約60リットルを逆浸透膜(旭化成社
製)により濃縮し、さらに凍結乾燥し、ペプチド混合物
の粉末約720gを得た。
1および試験例2と同様の方法によりグルコース吸収性
試験と抗菌性試験を実施した結果、抗菌性は認めらなか
ったが、グルコース吸収促進効果は認められた。次に実
施例を示してこの発明をさらに詳しく説明するが、この
発明は以下の例に限定されるものではない。
いて、次の組成のスポーツ用ドリンクを常法により製造
した。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を除き、
いずれも市販品である。
いて、次の組成の育児用調製粉乳を常法により製造し
た。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を除き、い
ずれも市販品である。
して使用した。なお、溶解時のペプチド混合物濃度は
0.01%であった。 実施例3 参考例と同一の方法により調製したペプチド混合物を用
いて、次の組成の乳飲料を常法により製造した。なお、
使用した原料は、ペプチド混合物を除き、いずれも市販
品である。
いて、次の組成の経腸栄養剤を常法により製造した。な
お、使用した原料は、ペプチド混合物を除き、いずれも
市販品である。
いて、次の組成の消化態経腸栄養剤を常法により製造し
た。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を除き、い
ずれも市販品である。
いて、次の組成の成分栄養剤を常法により製造した。な
お、使用した原料は、ペプチド混合物を除き、いずれも
市販品である。
いて、次の組成の実験用マウス用液体飼料を常法により
製造した。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を除
き、いずれも市販品である。
いて、次の組成の哺乳期子牛育成用代用粉乳を常法によ
り製造した。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を
除き、いずれも市販品である。
溶解して使用した。なお、溶解時のペプチド混合物濃度
は0.01%であった。 実施例9 参考例と同一の方法により調製したペプチド混合物を用
いて、次の組成の哺乳期子牛育成用代用粉乳を常法によ
り製造した。なお、使用した原料は、ペプチド混合物を
除き、いずれも市販品である。
溶解して使用した。なお、溶解時のペプチド混合物濃度
は0.20%であった。
よって、低ナトリウム含量またはナトリウムを含まない
組成であっても組成物中の糖類が良好に吸収される糖類
組成物が提供される。この組成物は、ナトリウム摂取を
制限される高血圧、心疾患、腎疾患患者用の食品および
医薬品として利用することができる。また、元来ナトリ
ウム濃度の低い育児用調製粉乳、家畜用粉乳、スポーツ
用ドリンク等に利用することにより、糖の吸収を促進
し、発育促進、疲労回復、糖吸収不良による下痢の防止
等の効果を付与することができる。
る生存率の経日変化を示す。
ける血糖値の経時変化を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 低ナトリウム含量またはナトリウムを含
まない組成においても組成物中の糖類が生体内で良好に
吸収される組成物であって、ラクトフェリン加水分解物
から分画した次の性質を有するペプチド混合物を含有す
ることを特徴とする吸収促進性糖類組成物、 a)ラクトフェリン加水分解物から抗菌性ペプチドを分
離した残余のペプチド混合物であること b)生体外で抗菌活性を示さないこと c)生体内および生体外で糖類の吸収を促進する活性を
有すること。 - 【請求項2】 糖類の含有量が少なくとも3%(重量)
である請求項1の吸収促進性糖類組成物。 - 【請求項3】 ペプチド混合物の含有量が少なくとも
0.001%(重量)である請求項1または2の吸収促
進性糖類組成物。 - 【請求項4】 食品、医薬品または飼料である請求項
1、2または3の吸収促進性糖類組成物。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003047363A1 (en) * | 2001-12-05 | 2003-06-12 | Dsm Ip Assets B.V. | Methods and compositions for use in pet breeding |
KR101887604B1 (ko) * | 2017-11-22 | 2018-09-06 | 이종호 | 식품 첨가물을 이용한 동식물 성장 영양제 제조방법 |
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-
1996
- 1996-02-09 JP JP02419396A patent/JP3556757B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP3556757B2 (ja) | 2004-08-25 |
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