JPH09212167A - 電子鍵盤楽器のスピーカボックス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、演奏者に良質な高音域の音が提供
でき、しかも、スピーカ取付け用部品の種類や点数が少
なくスピーカ装置の組み立てが容易で低価格な電子鍵盤
楽器の高音域スピーカ用スピーカボックスを提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 本発明は、楽器本体にスピーカ装置を内
蔵した電子鍵盤楽器において、前記スピーカ装置の取り
付けられるスピーカボックスは、高音域用スピーカから
放音された音が直接演奏者に伝播するように、高音域用
スピーカ取り付け部位に、高音域用スピーカ取付け用の
斜面が形成されて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカ装置を内
蔵する電子鍵盤楽器において、スピーカボックスに高音
域用スピーカの取り付け部位の構造及び取付け方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】多くの電子鍵盤楽器は、小型・低価格で
取り扱いやすい電子鍵盤楽器を提供するため、スピーカ
装置が楽器本体に内蔵されているものが多い。係る構造
において、中低音域の音は指向性が少ないので、中低音
域用スピーカの取付け位置についてはさしたる問題点は
生じていない。

【０００３】しかしながら、高音域の音は指向性が強い
ので、演奏者や聴取者に良好な音を伝えるためには高音
域用のスピーカを演奏者と正対させる必要があり、コス
トの低減と良質な音を求めて、スピーカ装置の取付け構
造や取付け方法について様々な工夫がなされている。

【０００４】図６は、従来の電子鍵盤楽器に取り付けら
れているスピーカ装置の配置の一例を示す外観図であ
る。図において１はキーボード本体、２は鍵盤、３は高
音域用スピーカ、５は中低音域用スピーカが取り付けら
れているスピーカボックス、６は高音域用スピーカが取
り付けられる取付け金具である。

【０００５】図に示すように、従来の電子鍵盤楽器にお
いては、演奏者や聴取者に良質な高音を伝えるため、中
低音域用のスピーカボックス５と高音域用スピーカ３の
取付け台を分離し、高音域用スピーカ３の取り付け位置
や取付け方向を調整可能にしていた。

【０００６】図７は、従来の高音域用スピーカ３が取り
付けられる取付け金具６の構造の一例を説明する図であ
る。図のような構造において、製造時に取付け金具６の
角度や高さは楽器の種類等に応じた最適なサイズや形状
で製造されており、該取付け金具６を棚板にネジ止めす
る際に取付け位置を調整することにより、様々な構造上
の制約下において、良好な音が得られるように調整され
ていた。

【０００７】このような、従来の高音域用スピーカの取
り付け方法の利点は、それぞれの構造上の条件に応じた
部品を用意することにより、各種の電子鍵盤楽器におい
て優れた高音域の音が提供できることである。

【０００８】しかしながら、係る従来の取付け方法で
は、図７に例示するように高音域用スピーカ３を取り付
けるための取付け金具６やネジ、ワッシャー等、必要と
する部品点数や種類が多く、しかも、取付けの際に位置
の調整を行なう必要があり、部品費や組み立て工数等、
コスト高の原因となっており改善が求められていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事情に鑑
みなされたものであり、演奏者に良質な高音域の音が提
供でき、しかも、取付け部品の種類や点数が少なくスピ
ーカ装置の組み立てが容易にできる低価格な電子鍵盤楽
器の高音域用スピーカ取り付け用スピーカボックスを提
供することを課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、図２に示すよ
うに楽器本体にスピーカ装置を内蔵した電子鍵盤楽器に
おいて、前記スピーカ装置の取り付けられるスピーカボ
ックス５は、高音域用スピーカ３から放音された音が直
接演奏者に伝播するように、高音域用スピーカ３の取り
付け部位に、高音域用スピーカ３取付け用の斜面Ａ７，
Ｂ８が形成されて構成される。

【００１１】前記高音域用スピーカ３取付け用の斜面
は、前記高音域用スピーカ取付け部位の凹部を構成する
凹面の一部であることを特徴とする。

【００１２】前記高音域用スピーカ３取付け用の斜面
は、前記高音域用スピーカ取付け部位の凸部を構成する
凸面の一部であることを特徴とする。

【００１３】また、本発明は、図１に示すように、前記
高音域用スピーカ取付け部位の凹面または凸面の一部と
しての斜面は、斜面Ａ７と斜面Ｂ８の２面設けられ、向
きが異なる前記スピーカボックス５を左右に２個取り付
ける際に、該２面の斜面のうち、いずれかを使用して、
各スピーカボックス５にそれぞれの高音域用スピーカ３
を取り付け可能であることを特徴とする。

【００１４】前記スピーカボックス５と高音域用スピー
カ３は両面接着テープで取り付けられることを特徴とす
る。

【００１５】前記スピーカボックス５は樹脂製で、各ス
ピーカの取付け位置が一体成形されることを特徴とす
る。

【００１６】

【作用】本発明のスピーカボックス５に設けられる高音
域用スピーカ３の取付け部位に形成されるスピーカの取
付け用斜面に、例えば、両面接着テープで高音域用スピ
ーカ３を貼付するだけの簡単な作業で、良質な高音域の
音が得られるように設定される。

【００１７】これにより、高音域用スピーカ３の取付け
作業は簡素化し、取付用の部品点数や種類は削減され、
しかも微妙な調節を必要とせず、高音域用スピーカ３か
らの演奏音が演奏者に指向されるので良好な音質を提供
できる。

【００１８】また、上記高音域用スピーカ３が取り付け
られる斜面Ａ７，Ｂ８が、スピーカボックス５に設けら
れた凹部を構成する凹面に設けられることにより、省ス
ペース化が可能となり、電子鍵盤楽器の小型化が可能と
なる。

【００１９】さらに、図１に示すように、前記取付け用
斜面Ａ７、Ｂ８を対面させて２面設けることにより、図
２のようにスピーカボックス５を電子鍵盤楽器本体に取
り付ける際に向きを左右反転させる簡単な作業で、該取
付け用斜面のいずれか一方を高音域用スピーカ取付け用
として利用することにより、同一形状のスピーカボック
ス５が左右いずれも高音域用スピーカを備えたスピーカ
ボックス５として使用可能となる。

【００２０】なお、中低音域の音は指向性が少なく、中
低音域用スピーカ４は取付け位置を問わないので、本発
明のスピーカボックス５に中低音域用スピーカ４の取付
け位置（図３参照）を付設することにより、中低音域用
スピーカ４の取付けも簡略化され、さらに省力化、低コ
スト化が可能となる。

【００２１】また、スピーカボックス５の成形に樹脂を
用いることにより、低価格でしかも一体成形が容易とな
り、スピーカボックス５の大量生産が実現され、さらな
る低価格化が可能となる。しかも、部分的な厚みの調節
が容易であり、該スピーカボックス５の部位に応じた強
度の維持も容易となる。

【００２２】このように、本発明によれば、数多くの取
付け金具６やネジ等の取付け用部品を必要とせず部品の
所要数や加工作業工程を最小限に止めることが可能とな
り、しかも、スピーカボックス５の成形型も１つのタイ
プで済み、製造コストの削減が可能となる。

【００２３】しかも、図２に示すように、高音域用スピ
ーカ３は演奏者の方向に向けて設置されるので、指向性
の強い高音域成分の音は演奏者に向けて直線的に供給で
きるので、良質の音を不足せずに提供できる。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明の
実施例について説明する。なお、本実施例の説明におい
て従来例と同一の部位については同一の符号を付してい
る。

【００２５】図２は、本発明の電子鍵盤楽器のスピーカ
ボックスの取付け状態を説明する外観図である。

【００２６】図において、１はキーボード本体、２は鍵
盤、３は高音域用スピーカ、４は中低音域用スピーカ、
５はスピーカボックスである。なお、図に示される２つ
のスピーカボックス５は、高音域用スピーカ３を取り付
けるために使用する斜面の位置が異なるのみで、左右に
配置されるスピーカボックスは同一構造のものである。

【００２７】図１に示すように、本発明においては、高
音域用スピーカ３の取付け用斜面として斜面Ａ７，Ｂ８
の２つを設けることにより、同一形状のスピーカボック
ス５の向きを変えて取り付けるだけで、左右いずれのス
ピーカックス５としても使用可能になっている。

【００２８】図１は、本発明のスピーカボックス５の構
成の１例を説明する図である。図のように、本発明のス
ピーカボックス５の高音域用スピーカ３が取り付けられ
る部位には凹部が設けられ、該凹部の一部に高音域用ス
ピーカ３取付け用の斜面Ａ７，Ｂ８が形成されている。

【００２９】このため、該斜面Ａ７，Ｂ８の形状は、ス
ピーカボックス５が電子鍵盤楽器本体の所定位置に取り
付けられ、所定の形状の高音域用スピーカが斜面Ａ７、
またはＢ８に固定された際に、該スピーカの中心線が演
奏者に指向されるように予め設計され、斜面Ａ７，Ｂ８
の大きさ（深さ）は、高音域用スピーカ３の大きさに応
じて設定される。

【００３０】斜面Ｂ８は、図２に示すように本発明のス
ピーカボックス５を電子鍵盤楽器本体に取り付ける向き
を反転させ、前記スピーカボックス５と同一形状のスピ
ーカボックス５を右側スピーカ用スピーカボックス５と
して使用する際に、高音域用スピーカ３の取付け用斜面
であり、斜面の形状や大きさを決定する際の考慮要因
は、前記斜面Ａ７の場合と同じである。

【００３１】また、凹部全体の大きさは、高音域用スピ
ーカ３を取り付けた際に、該スピーカから放音された音
が演奏者に直進できるように、楽器本体の構造や演奏者
との位置関係を考慮して決定される。

【００３２】高音域用スピーカ３のスピーカボックス５
への取り付け方法は、例えば、両面テープで固定する、
あるいは、スピーカボックス５に該スピーカが差し込み
自在に成形する等の方法があり、何れの方法を用いても
よい。

【００３３】なお、図に中低音域用スピーカ４を示して
いるのは、本発明のスピーカボックス５における高音域
用スピーカ３と中低音域用スピーカ４の取り付け場所の
位置関係の一例を例示するためである。

【００３４】このように、本発明によれば、スピーカを
所定の部位に固定したスピーカボックス５を電子鍵盤楽
器の所定位置に固定するだけの非常に簡単な作業で、正
しくスピーカを取り付けることが可能となり、部品費や
作業工数の省力化が可能となり、低価格で質のよい電子
鍵盤楽器が提供できる。

【００３５】図３は、本発明のスピーカボックス５の構
成を説明する上面図である。図のように本実施例では中
低音域用スピーカ取付部４’が高音域用スピーカ取付け
用斜面Ａ７，Ｂ８に隣接して設けられており、該中低音
域用スピーカ４はネジで固定するように構成されてい
る。

【００３６】これにより、スピーカボックス５の省スペ
ース化が可能となる。なお、高音域用スピーカ取付部
３’にネジ止め部がないのは、該高音域用スピーカ３は
両面テープで、または嵌合自在に取り付けるためであ
る。

【００３７】図４は、本発明のスピーカボックス５の一
例を示す裏面図であり、図においては、スピーカボック
ス５は８本のネジで楽器本体に固定される構造となって
いる。

【００３８】矢視図Ａ−Ａに示されている高音域用スピ
ーカの取付け用斜面Ａ７，Ｂ８の斜面の勾配や深さは、
楽器本体の構造や高音域用スピーカ３の大きさ等によっ
て決定される。

【００３９】図５は、本発明のスピーカボックス５の高
音域用スピーカ３取付け用斜面の構造を説明する斜視図
である。

【００４０】取付け用斜面Ａ７，Ｂ８は、左右それぞれ
の高音域用スピーカ３が取り付けられる面であり、該斜
面Ａ７，Ｂ８の間隔は、スピーカと演奏者の位置関係を
考慮して、高音が演奏者に直進できるように設定され
る。

【００４１】これにより、スピーカボックス５を取り付
ける際に、該ボックス５の向きを反転することにより、
左右何れのスピーカにも同一のスピーカボックス５を使
用して、高音域用スピーカ３が配設されたスピーカボッ
クス５を取り付けることが可能となる。

【００４２】なお、本実施例のスピーカボックス５は、
該スピーカボックス５の上面から下方に切込みを入れて
凹面を形成し、該凹面に取付け用の斜面を設けることに
より、スピーカの取り付けに要するスペースの省スペー
ス化を図っている。

【００４３】また、該スピーカボックスの上面に凸面を
形成し、該凸面に斜面を設けて、該斜面に高音域用スピ
ーカ３を設置するように構成してもよい。この場合は、
さらに音が伝わりやすくなる。

【００４４】このように、本発明によれば、従来技術の
短所を伴わず、スピーカ取付け用の構成部品点数や作業
工数を削減しつつ、十分な強度や機能を発揮可能な電子
鍵盤楽器のスピーカボックス５を提供できる。

【００４５】なお、各スピーカ３、４，Ａ７，Ｂ８とス
ピーカボックス５は、例えば両面接着テープ、或いはネ
ジ止め等、適宜の手段により一体に組み立てられる。そ
の際、ボルトあるいはネジ等による取付け方法、筐体構
造のサイズや樹脂の厚さ等は、スピーカのサイズや重量
等によって適宜変更されるべきものである。

【００４６】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ス
ピーカボックスに形成したスピーカの取付け用斜面に高
音域用スピーカを取り付ける簡単な作業で、良好な高音
域の音が得られ、しかも必要とするスピーカ取付け用部
品点数は少なく取付け作業も容易となり、低コストの電
子鍵盤楽器が提供できる。

【００４７】また、スピーカボックスに形成したスピー
カの取付け用斜面として凹面を利用すれば、高音域用ス
ピーカの取り付けに要するスペースは少なく、さらなる
小型化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電子鍵盤楽器のスピーカボックス
の構成の一例を説明する図である。

【図２】本発明に係る電子鍵盤楽器のスピーカ装置の取
り付け状態の一例を説明する外観図である。

【図３】本発明に係る電子鍵盤楽器のスピーカボックス
の構造を説明する上面図である。

【図４】本発明に係る電子鍵盤楽器のスピーカボックス
の構造を説明する裏面図である。

【図５】本発明に係る電子鍵盤楽器のスピーカボックス
の高音域用スピーカ取付け部の構造を説明する斜視図で
ある。

【図６】従来の電子鍵盤楽器のスピーカ装置の取り付け
状態を説明する外観図である。

【図７】従来の電子鍵盤楽器の高音域用スピーカの取付
けに使用される取付け金具の一例を説明する図である。

【符号の説明】

１ キーボード本体 ２ 鍵盤 ３ 高音域用スピーカ ３’ 高音域用スピーカ取付部 ４ 中低音域域用スピーカ ４’ 中低音域用スピーカ取付部 ５ スピーカボックス ６ 取付け金具 ７ 斜面Ａ ８ 斜面Ｂ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 楽器本体にスピーカ装置を内蔵した電子
   鍵盤楽器において、前記スピーカ装置の取り付けられる
   スピーカボックスは、高音域用スピーカから放音された
   音が直接演奏者に伝播するように、高音域用スピーカ取
   り付け部位に、高音域用スピーカ取付け用の斜面が形成
   されていることを特徴とする電子鍵盤楽器のスピーカボ
   ックス。
2. 【請求項２】 前記高音域用スピーカ取付け用の斜面
   は、前記高音域用スピーカ取付け部位の凹部を構成する
   凹面の一部であることを特徴とする請求項１記載の電子
   鍵盤楽器のスピーカボックス。
3. 【請求項３】 前記高音域用スピーカ取付け用の斜面
   は、前記高音域用スピーカ取付け部位の凸部を構成する
   凸面の一部であることを特徴とする請求項１記載の電子
   鍵盤楽器のスピーカボックス。
4. 【請求項４】 前記高音域用スピーカ取付け部位の凹面
   または凸面の一部としての斜面は２面設けられ、向きが
   異なる前記スピーカボックスの左右に２個取り付ける際
   に、該２面の斜面のうちいずれかを使用して、各スピー
   カボックスにそれぞれの高音域用スピーカを取り付け可
   能であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに
   記載の電子鍵盤楽器のスピーカボックス。
5. 【請求項５】 前記スピーカボックスは、高音域用スピ
   ーカとともに中低音域用スピーカも取付け可能であるこ
   とを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の電子
   鍵盤楽器のスピーカボックス。
6. 【請求項６】 前記スピーカボックスと高音域用スピー
   カは両面接着テープで取り付けられることを特徴とする
   請求項１乃至５記載の電子鍵盤楽器のスピーカ装置。
7. 【請求項７】 前記スピーカボックスは樹脂製で、各ス
   ピーカの取り付け位置が一体成形されることを特徴とす
   る請求項１乃至６記載の電子鍵盤楽器のスピーカボック
   ス。