JPH09212106A - 表示装置 - Google Patents

表示装置

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JPH09212106A
JPH09212106A JP8035679A JP3567996A JPH09212106A JP H09212106 A JPH09212106 A JP H09212106A JP 8035679 A JP8035679 A JP 8035679A JP 3567996 A JP3567996 A JP 3567996A JP H09212106 A JPH09212106 A JP H09212106A
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JP
Japan
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light
display
layer
signal light
electrode
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Application number
JP8035679A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Shirasaki
友之 白嵜
Masaharu Shiotani
雅治 塩谷
Hiroyasu Yamada
裕康 山田
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Publication date
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Priority to EP96946374A priority patent/EP0812526B1/en
Priority to DE69614370T priority patent/DE69614370T2/de
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大画面化並びに高精細化が容易で、高デュー
ティ駆動条件下で高品位な表示を実現でき、低電圧駆動
化並びに低消費電力化が達成でき、しかも薄型・軽量か
つ可撓性をも備え、製造コストの低い表示装置をを提供
する。 【解決手段】 所定の波長域の発光を行う信号光発生層
18を2層の第1および第2有機膜16、17で構成
し、行電極15と列電極19とで信号光発生層18を挟
む構成とする。これら電極を走査することにより、所定
アドレスで信号光を発光させるアドレス光素子の前方
に、信号光の波長域で電荷を発生する光導電層21が後
駆動電極20に接合するように設けられ、この光導電層
21と前駆動電極25との間に2層の第3および第4有
機膜22、23でなる表示光発生層24を介在させる。
このため、アドレス光素子12からの信号光によりEL
表示素子13の所定ドット部分に電圧が印加されて表示
光が発生される。アドレス光素子12やEL表示素子1
3の電極構造が簡単になり、歩留まりが向上して、大画
面化並びに高精細化を達成することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表示装置に関
し、さらに詳しくは、薄型のフラットディスプレイに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、表示装置としては、XYアドレス
方式による単純マトリクス表示を行うものが知られてい
る。このような表示装置は、走査電極と選択電極とより
なる格子状の電極配列をもち、各電極の交点にそれぞれ
の電極によってスイッチングされる、個々の画素として
のLED(light emitting diode)、EL(electro lu
minescence)素子、LCD(liquid crystal display)
などの表示デバイスが構成されている。一般に、これら
単純マトリクス方式の表示装置では、走査電極側を線順
次駆動することにより1画面(フレーム)を構成し、さ
らにこの1フレームを約50Hz以上で更新することに
より動画表示を可能にしている。このような単純マトリ
クス方式の表示装置は、非常に簡単な構造であり、生産
性が高く、大型化が容易であり、また駆動回路が単純で
よいなどの利点を有しており、様々な表示デバイスにお
いて単純マトリクス方式が実現されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
ELアレイやLEDアレイのような自発光素子にあって
は、高デューティレシオ駆動において所望の平均表示輝
度を得るために、個々の画素が選択された瞬間最大輝度
を上げる必要が生じ、例えば1/100デューティの駆
動において、表示輝度100cd/m2を得るために各
画素に要求される瞬間最大輝度は数千〜1万cd/m2
にも達してしまうため、有機EL膜の発光寿命が短くな
るという問題があった。このため、これらのアレイにお
いて単純マトリクス駆動は、1/64デューティ程度が
限界とされている。同様な問題は、LCDおいて良好な
コントラストを得る必要がある場合にも存在する。LC
Dでは、TNモードにおいて1/100デューティ、S
TNモードにおいて1/640デューティ程度が単純マ
トリクス駆動の限界であるとされている。このような問
題を解決するためには、各画素の状態が時分割の程度に
よらずスタティックである必要があり、このため各画素
にはメモリ性ないし適当なヒステリシスが要求される。
この方策として、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた
液晶ディスプレイあるいはEL素子に代表されるアクテ
ィブ駆動や強誘電性液晶のようなメモリ性をもった表示
装置が実現されているが、これらは、複雑な構造に起因
して製造工程が多く、そのためコストが高くなるという
問題がある。また、これらの表示装置では、画素数が多
くなるに従い歩留まりが著しく悪化するため、大面積の
ディスプレイを製造する場合に、そのコストの増大が大
きな問題となっている。また、画素電極ごとにTFTを
設けることや、補助容量を画素電極に重ねて形成するこ
とに起因して、開口率が低く、輝度の低下の要因となっ
ていた。さらに、TFT基板では、各種材料膜の成膜温
度が250℃以上になるため、フィルム基板等の可撓性
基板を用いて表示装置を製造することができないなどの
問題があった。また、TFTの製造では、フォトリソグ
ラフィーの工程数が多いため生産性が低いものであっ
た。
【0004】この発明が解決しようとする課題は、大画
面化並びに高精細化が容易で、高デューティ駆動条件下
で高品位な表示を実現でき、低電圧駆動化並びに低消費
電力化が達成でき、しかも薄型・軽量かつ可撓性をも備
え、製造コストの低く、生産性の良好な表示装置を得る
にはどのような手段を講じればよいかという点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
各々所定電圧が印加されることにより所定波長域の信号
光を発生する発光領域がマトリクス状に形成された発光
素子と、前記発光素子からの信号光を受光した領域が電
荷を発生する光導電層を有し、かつ前記光導電層の電荷
が発生した領域に対応した領域が表示光を発生する表示
光発生層を有する表示素子と、を備えたことを特徴とし
ている。
【0006】請求項1記載の発明においては、マトリク
ス状に形成された発光領域が所定電圧が印加されること
により、所定波長域の信号光を発生させ、この信号光が
表示素子の光導電層に入射する。信号光を受光した光導
電層の領域では、電荷が発生する。表示素子は、光導電
層の電荷が発生した領域に対応して表示光を発生させ
る。このため、発光素子の発光領域の信号光により光導
電層に発生された電荷のために表示素子の表示光を発光
素子の信号光より長い期間発光することができる。した
がって、瞬間最大輝度を高くするような大きな電圧を印
加する必要がないので、低電圧駆動化を実現することが
できるとともに表示素子の電圧劣化を低減させることが
できる。
【0007】請求項2記載の発明は、前記表示素子が、
前記光導電層側に設けられた第1駆動電極と、前記表示
光発生層側に設けられた第2駆動電極を有することを特
徴としている。
【0008】請求項2記載の発明においては、光導電層
が信号光を受光して電荷を発生すると、第1駆動電極お
よび第2駆動電極間の対応された表示光発生層に、信号
光と、第1駆動電極および第2駆動電極間に生じる電位
差とにより制御された表示光を発生することができる。
【0009】請求項3記載の発明は、前記表示光発生層
が、前記表示光発生層の前記表示光の波長域に対し電荷
を発生することを特徴としている。請求項3記載の発明
においては、光導電層が、発光素子の信号光を受光して
励起された電荷により表示光発生層に発生された表示光
を受光して新たな電荷を発生するので、この新たな電荷
により表示光発生層が新たな表示光を発生することがで
き、この光導電層から表示光発生層への電荷の移動と、
表示光発生層から光導電層への表示光との繰り返しによ
り、1度信号光を発生すれば、表示光が所定期間光量を
保持することができる。
【0010】請求項4記載の発明は、前記発光素子が、
前記所定波長域の信号光を発生させる信号光発生層と、
前記信号光に対し透過性を有しかつ前記信号光発生層の
一方の面側に第1の方向に並んで配列された複数の第1
電極と、前記信号光発生層の他方の面側に前記第1の方
向と異なる第2の方向に、前記信号光発生層を介して第
1電極と互いにマトリクス状に交差するように並んで配
列された複数の第2電極と、を有することを特徴として
いる。
【0011】請求項4記載の発明においては、信号光発
生層を介してその両側に形成された第1電極と第2電極
とが互いに信号光発生層を介して交差する電極群である
ため、両側のそれぞれの電極群の中から所定の電極を選
択して所定電圧を印加することにより、信号光発生層に
マトリクス状に形成された発光領域のうちの任意の発光
領域から信号光を発光させることができる。また、信号
光発生層の両側の第1電極と第2電極とは、それぞれ所
定方向に並んで配列された構造であるため、その形成工
程が容易となる。さらに、信号光発生層の所定の発光領
域から発生された信号光が、この信号光に対し透過性を
有する第1電極を透過して表示素子の所定アドレスに入
射することが可能となる。そして、表示素子では、信号
光を受光した光導電層の領域で電荷が発生し、発光素子
の所定の発光領域に対応した部分で表示光を発生させる
ことができる。したがって、マトリクス状に形成された
発光領域の発光によるスイッチングで表示素子の表示光
発生層の所定箇所から表示光を発生させることができ
る。このように、従来の1本のレーザ光やCRT光によ
りアドレスする表示装置では、1本のレーザ光やCRT
光を表示素子の画面全体の光導電層に順次走査させるた
めに表示素子とレーザ光を発する発光素子との距離を離
さなければならず、表示装置自体が大型化してしまうの
に対して、発光領域をマトリクス状にすることにより各
々の発光領域に対応した表示素子の光導電層が電荷を発
生することができるので、発光素子が表示素子に近接し
て配置することができ、極めて薄型の表示装置を実現す
ることができる。特に、発光素子の発光領域をマトリク
ス状にすれば表示面積が大きい場合に顕著な効果を奏す
る。また、発光素子と表示素子とを近接して配置するこ
とにより、光導電層に入射される信号光のノイズを少な
くすることができる。このため、表示素子側を極めて良
好に応答させることができ、また信号光が微弱な光量で
光導電層が十分電荷を発生することが可能である。
【0012】請求項5記載の発明は、前記発光素子は、
前記所定波長域の信号光を発生させる有機化合物からな
る信号光発生層と、前記信号光発生層の一方の面側に配
列された第1電極と、前記信号光発生層の他方の面側に
前記信号光発生層を介して前記第1電極と互いに交差す
るように配列された第2の電極と、を有し、その第1電
極及び第2電極のうちの一方がアノード電極で、他方が
カソード電極であることを特徴としている。請求項5記
載の発明においては、信号光発生層を挟む第1電極及び
第2電極の一方が信号光発生層へ正孔を注入する正孔注
入電極として機能し、他方が信号光発生層へ電子を注入
する電子注入電極として機能する。信号光発生層内で
は、正孔と電子とが再結合して信号光を発生する。
【0013】請求項6記載の発明は、前記信号光発生層
が、紫外光のみを前記信号光として発生させることを特
徴としている。この発明においては、発光素子からの信
号光を紫外光としたことにより、可視光により光導電層
に電荷が発生されることがなく、誤動作が発生するのを
抑制することができる。
【0014】請求項7記載の発明は、発光素子が信号光
発生層を有し、前記信号光発生層が、ポリビニルカルバ
ゾール(以下、PVCzという)と2,5−ビス(1−ナ
フチル)オキサジアゾール(以下、BNDという)とか
らなる第1有機膜と、トリス(8−キノリレート)アル
ミニウム錯体(以下、Alq3という)からなる第2有
機膜と、が接合されてなることを特徴としている。
【0015】請求項7記載の発明においては、信号光発
生層を有機化合物で形成するため、薄型化および軽量化
を図ることができ、発光素子を可撓性にすることによ
り、表示素子とあわせて表示装置全体に可撓性をもたせ
ることが可能となる。また、PVCzとBNDとからな
る第1有機膜と、Alq3からなる第2有機膜と、が接
合して信号光発生層を形成することにより、第2有機膜
を構成するAlq3と、第1有機膜を構成するBNDが
電子輸送性材料として働き、第1有機膜を構成するPV
Czが正孔輸送性材料として働く。さらに、第1有機膜
中の電子輸送性材料であるBNDは、正孔輸送性材料よ
り第2有機膜からの電子注入エネルギー障壁が低く、正
孔輸送性材料は、電子輸送性材料であるBNDよりアノ
ード側の電極からの正孔注入エネルギー障壁が低くな
る。このため、第1有機膜と第2有機膜との界面では、
電子と正孔との再結合が起こり、ここでエレクトロルミ
ネセンス(EL)現象を生じて所定の波長域(紫外光波
長域)の発光を起こす。また、上記したように、電子注
入エネルギー障壁と正孔注入エネルギー障壁が小さいた
め、低電力発光が可能となる。
【0016】請求項8記載の発明は、前記表示素子が、
表示領域の全域に亙る前記表示光発生層と前記光導電層
とが接合されると共に、前記表示光発生層側の表面に表
示領域の全域に亙る1枚の前駆動電極が接合され、かつ
前記光導電層側の表面に後駆動電極が接合されてなる電
界発光素子であることを特徴としている。請求項8記載
の発明においては、前駆動電極が表示領域の全域に亙っ
て形成されるため、前駆動電極の形成が容易となる。
【0017】請求項9記載の発明は、前記光導電層が、
禁制帯幅が3.1eV以上の半導体材料でなることを特
徴としている。請求項9記載の発明においては、禁制帯
幅が3.1eV以上の半導体材料で光導電層を形成する
ことにより、紫外光を吸収した部分のみに光導電性を有
するようになる。このため、発光素子の所定の発光領域
からの信号光が紫外光の場合に、発光領域に対応する部
分の表示光発生層のみを発光させることが可能となる。
【0018】請求項10記載の発明は、前記表示光発生
層が、前記発光領域に対応した領域に所定の色の発光を
生じさせる発光材料が含有されていることを特徴として
いる。請求項10記載の発明においては、表示光発生層
中に発光材料を含有させたことにより、カラー表示を可
能にすることができる。
【0019】請求項11記載の発明は、前記表示素子の
前面に前記発光領域に対応するようにカラーフィルタが
配置されたことを特徴としている。請求項11記載の発
明においては、表示光発生層から発生した表示光をカラ
ーフィルタを介することにより、所定の色に分光するこ
とができ、カラー表示を可能にすることができる。
【0020】請求項12記載の発明は、前記表示素子の
前面に前記発光領域に対応する色変換フィルタが配置さ
れたことを特徴としている。請求項12記載の発明にお
いては、表示光発生層で発生した所定波長域の光を色変
換フィルタにより異なる波長域の光に変換して表示光と
することができる。このため、表示光発生層のドット部
分に対応して所定の色配列で色変換を行うように、色変
換フィルタの色配列を対応させることでカラー表示を行
うことができる。そして、色変換フィルタを用いること
により、表示光発生層で発生させる光を各ドット部分で
略同一の波長域の光とすることができる。このため、表
示光発生層から光導電層に入射する光(帰還光)の波長
域が面内均一性を有するものとなる。また、信号光と帰
還光の波長域を同範囲にすれば、感光波長域の狭い光導
電性材料を選択することも可能となる。
【0021】請求項13記載の発明は、前記信号光が青
色光であることを特徴としている。請求項13記載の発
明においては、青色光を他の色の光に変換することがで
きる色変換フィルタを用いることで、表示光発生層で発
生させる光も青色光に設定することができ、表示光発生
層からの青色帰還光で光導電層に電子−正孔対を新たに
生成させることが可能となる。
【0022】請求項14記載の発明は、前記表示光発生
層に、白色発光材料が含有されていることを特徴として
いる。請求項14記載の発明においては、表示光発生層
で発生した表示光が白色光となり、カラーフィルタを用
いることにより白色光を所定の色の光に分光することが
可能となり、カラー表示が可能となる。
【0023】請求項15記載の発明は、前記表示光発生
層が、前記光導電層に向けて当該光導電層に電荷を発生
させる波長域の帰還光を発光させることを特徴としてい
る。
【0024】請求項15記載の発明においては、発光素
子の所定の発光領域から発せられた信号光が光導電層に
入射すると、当該信号光が入射した部分のみに電荷が発
生し、後駆動電極から光導電層を介して表示光発生層に
電子または正孔が注入され、前駆動電極からは表示光発
生層に正孔または電子が注入されて、表示光発生層内で
電子と正孔とが再結合して表示光と帰還光を発光させ
る。帰還光は、信号光が入射した部分の光導電層に入射
して、この部分に電荷が発生した状態を保ち、この部分
の電荷注入性の維持もしくは緩やかな減少または緩やか
な増加を可能にする。発光素子側の第1電極と第2電極
を線順次駆動して所定の発光領域から信号光を発生させ
た場合、この所定の発光領域から継続して信号光を発生
させることはできないが、信号光の入射により一旦表示
光および帰還光が発生し始めるとこの帰還光により光導
電層の電荷注入性の維持ないしは適当なヒステリシスを
実現し、発光を起こす画素の状態が時分割の程度によら
ずにスタティックな状態となる。このため、発光素子側
の電極を線順次駆動して1画面(1フレーム)を走査す
る間、発光を維持することができる。よって、高デュー
ティ駆動条件下で高品位な表示を実現できると共に、表
示素子に要求される輝度を低下させることができ、表示
光発生層の高寿命化を達成することができる。
【0025】請求項16記載の発明は、前記表示光発生
層が、トリス(8−キノリレート)アルミニウム錯体
(Alq3)からなる第3有機膜と、ポリビニルカルバ
ゾール(PVCz)と2,5−ビス(1−ナフチル)オキ
サジアゾール(BND)と401nm〜800nmの間
の波長域の可視光を発光する発光材料とからなる第4有
機膜と、が接合されてなることを特徴としている。
【0026】請求項16記載の発明は、表示光発生層を
第3有機膜と第4有機膜とを接合して構成し、第4有機
膜に可視光を発光させる発光材料を含有させたことによ
り、表示光として可視光を発光させることができる。本
来、PVCzとBNDとからなる第4有機膜と、Alq
3でなる第3有機膜とを接合すると、紫外光を発生させ
ることができるが、この紫外光成分を含む帰還光が光導
電層に入射することにより、光導電層に新たに電子−正
孔対を生成して電荷を注入し得る状態を維持ないしは適
当なヒステリシスを実現させることができ、発光を起こ
す画素の状態を時分割の程度によらずにスタティックな
状態となし、発光素子側の電極を線順次駆動して1画面
(1フレーム)を走査する間、発光を維持させることを
可能にする。
【0027】請求項17記載の発明は、前記発光素子
は、前記所定波長域の信号光を発生させる信号光発生層
と、前記信号光に対し透過性を有し、前記信号光発生層
の一方の面側に第1の方向に並んで配列された複数の第
1電極と、前記信号光発生層の他方の面側に前記第1の
方向と異なる第2の方向に、前記信号光発生層を介して
前記第1電極と互いにマトリクス状に交差するように並
んで配列された複数の第2電極と、を有し、前記表示素
子の前記第1駆動電極は、前記発光素子の前記第1電極
または前記第2電極に対応してストライプ状に形成され
ていることを特徴としている。請求項17記載の発明に
おいては、表示素子の後駆動電極を第1電極または第2
電極に対応してストライプ状に形成したことにより、発
光素子側の電極を線順次駆動した場合に1フレーム走査
して再度選択される直前に表示光発生層での発光を解除
することが可能となる。
【0028】請求項18記載の発明は、各々所定電圧が
印加されることにより所定波長域の信号光を発生させる
電界信号光発生素子と、前記信号光に対し透過性を有す
る第1表示用電極と、前記電界信号光発生素子からの信
号光の波長域に対し電荷を発生する光導電層と、前記光
導電層の電荷が発生された領域に対応した領域が表示光
を発生する表示光発生層と、前記表示光に対し透過性を
有する第2表示用電極と、からなる電界表示光発生素子
と、を備えることを特徴としている。
【0029】請求項18記載の発明においては、電界表
示光発生素子が、電界信号光発生素子からの特定波長域
の信号光により表示に寄与する電荷を発生させる光導電
層と表示光発生層とを有するので、信号光でアドレスす
ることにより複数の領域で信号光に応じたことなる表示
を行うことができる。
【0030】請求項19記載の発明は、前記電界信号光
発生素子および前記電界表示光発生素子の少なくとも一
方は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを
特徴としている。
【0031】請求項20記載の発明は、前記電界信号光
発生素子が、前記所定波長域の信号光を発生させる信号
光発生層と、前記信号光に対し透過性を有し、前記信号
光発生層の一方の面側に第1の方向に並んで配列された
複数の第1信号用電極と、前記信号光発生層の他方の面
側に前記第1の方向と異なる第2の方向に、前記信号光
発生層を介して前記第1信号用電極と互いにマトリクス
状に交差するように並んで配列された複数の第2信号用
電極と、を有することを特徴としている。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る表示装置の
詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。 (実施形態1)図1および図2は、この発明の実施形態
1を示している。図中11は表示装置である。この表示
装置11は、発光素子としてのアドレス光素子12と、
表示素子としてのEL表示素子13と、から大略構成さ
れている。
【0033】アドレス光素子12は、図1および図2に
示すように、ガラスまたは可撓性を有する高分子フィル
ムでなるアドレス基板14の後面に、第1電極としての
複数の行電極15が、第1の方向としての行方向に平行
に配列されて形成されている。この行電極15は、アノ
ード電極として機能するものであり、光透過性を有し、
且つ所定の仕事関数を有する電極材料であればよく、例
えばITOや酸化スズなどを用いることができる。これ
ら複数の行電極15およびアドレス基板14の上(後
面)には、ポリビニルカルバゾール(PVCz)と2,5
−ビス(1−ナフチル)オキサジアゾール(BND)と
白色発光材料を混合してなる、正孔輸送層および実質的
な発光層としての第1有機膜16を形成する。この第1
有機膜16の上(後面)には、トリス(8−キノリレー
ト)アルミニウム錯体(Alq3)でなる電子輸送層と
しての第2有機膜17が接合するように積層されてい
る。これら第1有機膜16と第2有機膜17とで、信号
光発生層18が構成されている。以下に、Alq3、P
VCz、BNDの構造式を示す。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】また、第2有機膜17の上(後面)には、
第2の方向としての、行方向に直交する列方向に、平行
に配列されて、信号光発生層18を介して行電極15と
交差する、複数の列電極19が形成されている。この列
電極19は、カソード電極として機能するものであり、ア
ノード電極に対し仕事関数が低い物性であり、可視光や
紫外光に対して不透明性を有するMgIn、AlLi、
MgIn−Alなどの金属電極や、可視光および紫外光
波長域に対して透過性を有しているn型アモルファスシ
リコン(a−Si)、n型シリコンカーバイドなどで形
成することができる。
【0038】このように構成されたアドレス光素子12
においては、行電極15と列電極19との間に所定の電
圧が印加された場合に、第1有機膜16における第2有
機膜17との界面近傍の部分から信号光としての白色光
を発する。また、行電極15および列電極19は、アド
レス基板14の端縁まで延在され、駆動用IC(図示省
略する)と接続されるようになっている。このようにし
て、マトリクス駆動のアドレス光素子12が構成されて
いる。
【0039】EL表示素子13は、上記したアドレス光
素子12の全発光領域に亙る面積と同程度の面積の表示
領域を有している。このEL表示素子13は、アドレス
基板14の前面側に形成されている。まず、アドレス基
板14の前面には、カソード電極としての、複数の後駆
動電極20が例えば透明なITOで形成されている。こ
の後駆動電極20は、上記した行電極15のそれぞれと
対向して平面的に見て重なるように配置形成されてい
る。
【0040】また、アドレス基板14および後駆動電極
20の上には、表示領域全域を覆うように光導電層21
が形成されている。この光導電層21は、光量子を吸収
して、伝導キャリヤを生成する材料からなり、例えば、
本実施形態では、アモルファスシリコン(a−Si)を
用いて光導電層21を形成している。そして、この光導
電層21の表層には、n型不純物(例えば、リン)をド
ープしてなるドープ層21Aが形成されている。このド
ープ層21Aの上には、上記した第2有機膜17と同一
材料のAlq3でなる、電子輸送層としての第3有機膜
22が全面に形成されている。なお、ドープ層21A
は、この第3有機膜22へ電子を注入し易くする機能を
果たしている。そして、第3有機膜22の上面には、正
孔輸送層としての第4有機膜23が形成されている。こ
の第4有機膜23は、PVCzとBNDとでなるが、各
ドット部分(アドレス光素子12の行電極15と列電極
19とが信号光発生層18を介して重なり合う部分(発
光領域)と対応する部分)には、所定の色配列を構成す
るようにR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)
のそれぞれの発光を行わせるための発光材料が混合され
ている。図中23R、23G、23Bは、それぞれR、
G、Bに対応する第4有機膜23のドット部分を示して
いる。なお、第4有機膜23の形成方法としては、PV
CzとBNDとの混合材料を塗布した後に、各ドット部
分に応じた発光材料を含浸させる方法や、予め発光材料
を混合した有機膜を色配列に応じて各色毎にパターン形
成する方法などを用いることができる。このようにして
形成された第3有機膜22と第4有機膜23とは、表示
光発生層24を構成している。さらに、第4有機膜23
の上面には、表示領域全面に亙ってITOでなる、アノ
ード電極としての透明な前駆動電極25が形成されてい
る。
【0041】次に、図3に示すエネルギーダイヤグラム
を用いてアドレス光素子12およびEL表示素子13の
作用・動作を説明する。まず、この実施形態のアドレス
光素子12の作用・動作を図3を用いて説明する。この
エネルギーダイヤグラムは、アノード(行電極15)と
接合する正孔輸送層(第1有機膜16)として、PVC
zにこのPVCzより電子輸送性を示すBNDを混在さ
せたことによる電子および正孔の注入障壁に対する効果
を説明している。
【0042】図3において一点鎖線は、BND固有のエ
ネルギー構造を示し、破線はPVCz固有のエネルギー
構造を示している。このように各成分が混合された複合
膜の場合、Alq3でなる電子輸送層側から正孔輸送層
への電子の移動の点で、正孔輸送層と電子輸送層との界
面のそれぞれの電子親和力を鑑みると、電子輸送層で
は、より小さな電子のポテンシャルをもつ成分の物性が
反映される。すなわち、この界面にはPVCzより電子
輸送性を示すドーパントであるBNDの物性が反映され
ることになる。逆にアノード(行電極15)側から正孔
輸送層への正孔の移動では、アノード(行電極15)と
の界面の正孔輸送層のイオン化ポテンシャルにおいて、
より小さな、正孔のポテンシャルをもつ材料の物性が反
映される。すなわち、アノードと正孔輸送層の界面に
は、バインダとしての機能も有するPVCzの物性が反
映されることになる。したがって、アノード(行電極1
5)から電子輸送層へのエネルギー障壁はPVCzのエ
ネルギー障壁に反映されているので、HfromAは比
較的小さく、所定電圧を印加すれば容易に正孔を正孔輸
送層に注入することができる。これに対して電子輸送層
(Alq3)から正孔輸送層(PVCz+BND)への
正孔注入は、エネルギー障壁HtoAlq3が大きいた
め困難になる。結果として、EL発光層(信号光発生層
18)全体での電子物性は、界面における注入障壁に着
目した場合は図中斜め線で示されるエネルギー構造をと
る。すなわち、キャリヤの注入障壁に関し、BNDを混
ぜることはエネルギー障壁EtoBNDにより、電子輸
送層から正孔輸送層へのエネルギー障壁を低減させ、正
孔輸送層への電子の注入を容易にしていると考えられ
る。このため、発光は正孔輸送層の電子輸送層との界面
近傍で行われる。このようなアドレス光素子12では、
有機EL層を用いたことにより、高速応答性および高効
率光の条件を満たすことができる。なお、このアドレス
光素子12から発光する信号光は、白色発光材料の影響
を受けて白色光となる。
【0043】EL表示素子13の正孔輸送層(第4有機
膜23)においても、上記と同様の作用により発光を行
うが、第4有機膜23の電子輸送層(第3有機膜22)
との界面近傍で発生した光のうち、光導電層21側の方
向に向かう光は、帰還光として光導電層21に入射す
る。また、前駆動電極25側の方向に向かう光は、発光
材料により所定の色に発光する表示光となる。
【0044】次に、表示装置全体の動作を以下に説明す
る。まず、アドレス光素子12において、線順次走査に
より選択された行電極15と列電極19との間に所定電
圧が印加されると、信号光発生層18から信号光として
の白色光が光導電層21に向けて照射される。なお、こ
のとき、信号光発生層18と光導電層21とは十分に近
距離であるため、信号光は実用上十分な空間周波数を維
持して光導電層21に入射することができる。このた
め、所定のアドレスから発光する信号光が、隣接するド
ット領域の光導電層21およびドープ層21Aに入射し
て光導電層21を励起させることはない。信号光が入射
された部分の光導電層21およびドープ層21Aは、上
記したように電子−正孔対を生成して電荷を第3有機膜
22に注入し得る状態となる。これによって、前駆動電
極25と後駆動電極20との間に印加されていた電圧
は、第3有機膜22と第4有機膜23とでなる表示光発
生層24の所定のドット部分に印加されることとなる。
なお、駆動電極間には、直流駆動電圧、パルス電圧、交
流電圧などを用いることができる。この結果、上記した
ようにEL表示素子13の発光により、各種発光材料に
よって発色された表示光が前方に向けて発生し、同時に
後方に向けて図2に破線の矢印で示す帰還光が発生す
る。この帰還光は、光導電層21およびドープ層21A
に入射するため、光導電層21およびドープ層21A
は、再励起され、新たに電子−正孔対を生成する。した
がって、光導電層21は、第3有機膜22へ電荷を注入
し得る状態を保持する。このため、表示光発生層24に
駆動電圧が印加され続ける状態において、表示光発生層
24へ電荷が注入され続ける状態となっている。この状
態にある間は、表示光発生層24が1フレーム期間に対
して十分長い時間、駆動され続けることができるため、
アドレス光素子12側の行電極15と列電極19とが選
択状態でなくなっても、表示光発生層24は発光を維持
することとなる。このため、線順次走査により、2回目
の走査時まで発光が維持されることとなる。なお、2回
目の走査の直前で後駆動電極20に印加する電圧を解除
させることで新たな表示発光が可能となる。
【0045】この実施形態においては、上記したよう
に、次回の線順次走査まで表示発光が維持されるため、
高品位な表示を行うことが可能となる。また、1枚のア
ドレス基板14にアドレス光素子12とEL表示素子1
3を形成できるため、表示装置の薄型・軽量化を図るこ
とができる。さらに、従来の有機EL素子における各画
素は、高デューティなマトリクス駆動において、一画面
分発光を保持し続けなければならないため、初期電圧を
極めて高く設定しなければならず、このためEL表示素
子自体の寿命を短くさせていたが、この実施形態によれ
ば、TFTに代表されるアクティブ駆動や、強誘電性液
晶のようなメモリ性を有する素子を用いずに、単純な構
造により各画素で帰還光によるメモリ性ないしは適当な
ヒステリシスが実現し、高デューティ駆動条件下で高品
位な表示を実現することができる。同様の理由により、
所望の表示輝度を得るために、EL表示素子13に要求
される輝度を低下させることができ、EL表示素子13
の高寿命化が期待できる。さらに、有機EL素子の効率
が最大となる低輝度領域の使用が可能となり、結果とし
てデバイス全体の消費電力を低下させることができる。
さらにまた、この実施形態では、1枚のアドレス基板1
4上に形成できるものであるため、TFTおよび強誘電
液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイに比較
して大画面化に有利となる。またさらに、この実施形態
では、TFTを用いた表示装置で憂慮されている高精細
化・小型化における開口率の低下がないため、小型化に
おける表示輝度および効率の点でTFT駆動素子に比べ
て有利となる。さらに、一貫した真空プロセスでの形成
が可能である上、製造工程として高度のクリーンルーム
を必要としない。また、パターニングおよびアライメン
ト技術もTFT製造工程に比較して非常に容易なものと
なり、成膜工程を比較的低温条件で行うことができる。
また、この実施形態では、表示光発生層24を有機EL
材料を用いて構成したが、無機EL材料を用いても勿論
よい。
【0046】また、この実施形態においては、正孔輸送
材料として、PVCzとBNDとの混合物を用いたが、
この他、PVCz単体や、PVCzとBNDとトリフェ
ニルジアミン誘導体(TPD)の混合物や、4,4′,4″-
トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニ
ルアミン:MTDATAなどの材料を用いることができ
る。以下に、MTDATAの構造式を示す。
【0047】
【化4】
【0048】なお、特にこの実施形態においては、アド
レス光素子12の信号光発生層18と、EL表示素子1
3の表示光発生層24とを、PVCzとBNDとでなる
有機膜とAlq3でなる有機膜との接合構造としたこと
により、高輝度を得ることが可能となる。図4は、この
実施形態と同様の材料でなる2層構造の有機電界発光素
子と、従来の分子分散ポリマー型(MDP;Morecularl
y Doped Polymer)の単層型有機電界発光素子の投入電
力と輝度との測定結果を対比して示したグラフである。
なお、ここでは単層型有機電界発光素子の発光層は、P
VCzと、BNDと、発光材料としてのクマリン6と、
を混合してなり、2層構造の有機電界発光素子はPVC
zとBNDとクマリン6とでなる有機膜と、Alq3で
なる有機膜とを接合してなる。また、単層型有機電界発
光素子の発光層の厚さを1000Åとし、2層構造の有
機電界発光素子では電子輸送層と正孔輸送層との厚さを
ともに500Åに設定している。同図から、2層構造の
有機電界発光素子は単層のものに比べて同一投入電力に
対し6倍程度の輝度が得られることが判る。
【0049】本実施形態では、アドレス光素子12およ
びEL表示素子13の構造が容易であるため、歩留まり
が向上し、よって大画面化並びに高精細化を容易に達成
することができる。また、1フレーム走査する間、表示
素子の光導電層21が帰還光により電荷注入性が維持さ
れるため、高デューティ駆動条件下で高品位な表示を実
現できる。さらに、有機膜を2層構造としたことによ
り、低電圧駆動化並びに低消費電力化が達成でき、しか
も高輝度化を実現することが可能となる。さらにまた、
アドレス光素子およびEL表示素子を有機膜を用いて作
成するため、表示装置の薄型化・軽量化が達成でき、か
つ可撓性を有する表示装置を実現することができる。
【0050】(実施形態2)図5は、実施形態2に係る
表示装置を示す断面図である。この実施形態の表示装置
11は、EL表示素子13の前駆動電極25の前面にカ
ラーフィルタ26を備えたものであり、同図に示すよう
に、EL表示素子13の各ドット部分に対応するように
所定の配列でカラーフィルタのR、G、B部分を配置さ
せたものである。また、第4有機膜23中には、紫外光
により白色に発光する発光材料が均一に含まれた構成と
なっている。なお、この実施形態における他の構成は、
上記した実施形態1と同様である。この実施形態におい
て、第4有機膜23の第3有機膜22との界面近傍で発
生した光のうち光導電層21およびドープ層21Aの方
向に向かう帰還光は、白色光である。光導電層21およ
びドープ層21Aは、入射する帰還光の作用を受けて電
子−正孔対が新たに生成され、第3有機膜22へ電荷を
注入し得る状態が維持される。一方、カラーフィルタ2
6側の方向に向かう光は、発光材料により白色になり、
カラーフィルタ26を通過して所定の色に発色されて表
示光となる。そして、この実施形態においても、上記し
た実施形態1と同様の作用・効果を奏することができ
る。
【0051】(実施形態3)図6は、実施形態3に係る
表示装置を示す断面図である。この実施形態は、アドレ
ス光素子12をガラスないしは可撓性を有する高分子フ
ィルムでなるアドレス基板14に作成し、EL表示素子
13をガラスないしは可撓性を有する高分子フィルムで
なるEL基板27に作成し、これらアドレス基板14と
EL基板27とを接合させることを特徴としている。こ
の実施形態によれば、アドレス光素子12とEL表示素
子13とを別々に作成することで総合的な歩留まりを向
上させることができるという利点がある。なお、この実
施形態の他の構成は、上記実施形態2と同様である。
【0052】(実施形態4)図7は、実施形態4に係る
表示装置を示す断面図である。この実施形態では、アド
レス基板14の後面側にアドレス光素子12が形成さ
れ、前面側にEL表示素子13が形成されている。ま
ず、アドレス基板14の後面には、アノードとしての行
電極15が形成されている。そして、行電極15および
アドレス基板14の上(後面)には、順次、PVCzと
BNDと白色発光材料とを混合してなる第1有機膜1
6、Alq3でなる第2有機膜17が、例えばディップ
コートもしくはスピンコートなどの湿式成膜法により形
成されている。これら第1有機膜16と第2有機膜17
とで、アドレス光素子12の信号光発生層18を構成し
ている。さらに、第2有機膜17の後面には、行電極1
5と交差(直交)する方向に、カソードとしての列電極
19が、ストライプ状に形成されている。図中29は、
アドレス光素子12の後面を覆うように形成された保護
膜を示している。
【0053】一方、アドレス基板14の前面には、行電
極15と対をなして対向する、カソードとしての後駆動
電極20が形成されている。また、その前面には、アモ
ルファスシリコンでなる光導電層21が表示領域全面に
亙って形成されている。光導電層21の前面には、n型
シリコンカーバイドでなる電子注入層30が形成されて
いる。さらに、電子注入層30の前面には、順次、Al
q3でなる第3有機膜22(電子輸送層)、PVCzと
BNDと発光材料とでなる第4有機膜23(正孔輸送
層)が例えばディップコートもしくはスピンコートなど
の湿式成膜法で積層されている。ここで、発光材料は、
R、G、Bのそれぞれの発光を行わせる材料が用意さ
れ、第4有機膜23における電子と正孔との再結合領域
に位置するように第4有機膜23のそれぞれのドット部
分に所定の色配列に従って含浸させている。第4有機膜
23の前面には、アノード電極としての、ITO等でな
る透明な前駆動電極25が表示領域全面に亙って形成さ
れている。この実施形態における作用・効果は、上記し
た実施形態1と略同様である。
【0054】(実施形態5)図8は、実施形態5に係る
表示装置を示す断面図である。この実施形態は、上記し
た実施形態4におけるEL表示素子13側の前駆動電極
51をカソード電極材料で形成し、後駆動電極52をア
ノード電極材料で形成すると共に、それに伴って電子注
入層30を前駆動電極51の後面に接合するように配置
し、第4有機膜23をAlq3で形成し、且つ第3有機
膜22をPVCzとBNDとドット部分に対応して含有
した発光材料とで形成したこと特徴としている。このた
め、本実施形態では、発光が第3有機膜22で実質的に
起こるものであり、第3有機膜22のドット部分22
R、22G、22Bでは含有された発光材料に応じて赤
色光、緑色光、青色光の表示光および帰還光を発生す
る。本実施形態における他の構成は上記した実施形態4
と同様である。
【0055】(実施形態6)図9は、実施形態6に係る
表示装置を示す断面図である。この実施形態は、1枚の
アドレス基板14の上に、アドレス光素子12と、EL
表示素子13が連続して形成されたことを特徴としてい
る。まず、アドレス基板14の上に、列電極19が形成
され、その後、第2有機膜17、第1有機膜16、行電
極15が順次形成され、その上に保護膜29が形成され
ている。この保護膜29の上には、順次、後駆動電極2
0、光導電層21、電子注入層30、第3有機膜22、
第4有機膜23、前駆動電極25が形成されて構成され
ている。この実施形態においては、列電極19と、行電
極15と、後駆動電極20とに簡単なパターニング工程
を要するが、他の工程は単に成膜を行う工程であるた
め、TFT駆動による表示装置の製造に比較して飛躍的
に製造が容易になるという利点がある。なお、本実施形
態においてカラー表示を行うには、表示光発生層24を
構成する有機膜中にドット部分に対応して発光材料を含
有させるか、または前駆動電極25の前面にカラーフィ
ルタを配置させることで可能となる。
【0056】(実施形態7)図10は、実施形態7に係
る表示装置を示す断面図である。本実施形態は、後駆動
電極20が列電極19と平行をなすようにアドレス基板
14上に配置され、しかも、この後駆動電極20は、ア
ドレス基板14、行電極15および信号光発生層18を
介して列電極19と重なり合うようになっている。本実
施形態の他の構成は、上記した実施形態4と同様であ
り、同実施形態と同様の作用・効果を奏することができ
る。
【0057】(実施形態8)図11および図12は、こ
の発明の実施形態8を示している。本実施形態では、光
導電層21を酸化亜鉛(ZnO)とエオシンとの混合物
で形成したことを特徴としている。本実施形態のアドレ
ス光素子12は、図1および図2に示すように、ガラス
または可撓性を有する高分子フィルムでなるアドレス基
板14の後面に、複数の行電極15が、行方向に平行に
配列されて形成されている。この行電極15は、アノー
ド電極として機能するものであり、光透過性を有し、且
つ所定の仕事関数を有する電極材料であればよく、例え
ばITOや酸化スズなどを用いることができる。これら
複数の行電極15およびアドレス基板14の上(後面)
には、ポリビニルカルバゾール(PVCz)と2,5−ビ
ス(1−ナフチル)オキサジアゾール(BND)とを混
合してなる、正孔輸送層および実質的な発光層としての
第1有機膜16を形成する。この第1有機膜16の上
(後面)には、トリス(8−キノリレート)アルミニウ
ム錯体(Alq3)でなる電子輸送層としての第2有機
膜17が接合するように積層されている。これら第1有
機膜16と第2有機膜17とで、信号光発生層18が構
成されている。
【0058】また、第2有機膜17の上(後面)には、
行方向に直交する列方向に、平行に配列され、且つ信号
光発生層18を介して行電極15と交差する、複数の列
電極19が形成されている。この列電極19は、カソー
ド電極として機能するものであり、アノード電極に対し
仕事関数が低い物性であり、可視光や紫外光に対して不
透明性を有するMgIn、AlLi、MgIn−Alな
どの金属電極や、可視光および紫外光波長域に対して透
過性を有しているn型アモルファスシリコン(a−S
i)、n型シリコンカーバイドなどで適宜形成すること
ができる。
【0059】このように構成されたアドレス光素子12
においては、行電極15と列電極19との間に所定の電
圧が印加された場合に、第1有機膜16における第2有
機膜17との界面よりの部分から信号光としての紫外光
を発する。このようにして、マトリクス駆動のアドレス
光素子12が構成されている。
【0060】EL表示素子13は、上記したアドレス光
素子12の全発光領域に亙る面積と同程度の面積の表示
領域を有している。このEL表示素子13は、アドレス
基板14の前面側に形成されている。まず、アドレス基
板14の前面には、カソードとしての、複数の後駆動電
極20が例えば透明なITOで形成されている。この後
駆動電極20は、上記した行電極15のそれぞれと対向
してアドレス基板14を介して重なるように配置形成さ
れている。
【0061】また、アドレス基板14および後駆動電極
20の上には、表示領域全域を覆うように光導電層21
が形成されている。この光導電層21は、ZnOにエオ
シンを混在させた材料で形成されている。そして、この
光導電層21上には、上記した第2有機膜17と同一材
料のAlq3でなる、電子輸送層としての第3有機膜2
2が全面に形成されている。そして、第3有機膜22の
上面には、正孔輸送層としての第4有機膜23が形成さ
れている。この第4有機膜23は、PVCzとBNDと
でなるが、各ドット部分(アドレス光素子12の行電極
15と列電極19とが信号光発生層18を介して重なり
合う部分(発光領域)と対応する部分)には、所定の色
配列を構成するようにR(レッド)、G(グリーン)、
B(ブルー)のそれぞれの発光を行わせるための発光材
料が混合されている。図中23R、23G、23Bは、
それぞれR、G、Bに対応する第4有機膜23のドット
部分を示している。なお、第4有機膜23の形成方法と
しては、PVCzとBNDとの混合材料を塗布した後
に、各ドット部分に応じた発光材料を含浸させる方法
や、予め発光材料を混合した有機膜を色配列に応じて各
色毎にパターン形成する方法などを用いることができ
る。このようにして形成された第3有機膜22と第4有
機膜23とは、表示光発生層24を構成している。さら
に、第4有機膜23の上面には、表示領域全面に亙って
ITOでなる、アノード電極としての透明な前駆動電極
25が形成されている。
【0062】本実施形態で光導電層21の材料として用
いたZnOは、通常可視光域に吸収をもたない。そこ
で、本実施形態では、光導電層21において光電効果を
可視光域にまで広げるために、増感剤として有機色素で
あるエオシンをZnOに混在させている。因に、図13
はZnOの光起電力(丸印で示す)と、エオシンを増感
剤として用いたZnOの光起電力(三角印で示す)との
光起電力スペクトルを表したグラフである。このグラフ
からZnOは、紫外光域のみで電子−正孔対を生成し、
エオシンを増感剤としたZnOは、波長域が450〜6
00nmでも電子−正孔対を生成することが判る。この
ようにZnOにエオシンを混ぜた材料で光導電層21を
形成したことにより、光導電層21は、アドレス光素子
12からの信号光とEL表示素子13からの帰還光
(R、G、Bの発色光)との両者に対して感光して電子
−正孔対を生成することが可能となる。
【0063】次に、本実施形態の表示装置全体の動作を
以下に説明する。まず、アドレス光素子12において、
線順次走査により選択された行電極15と列電極19と
の間に所定電圧が印加されると、信号光発生層18から
信号光としての紫外光が光導電層21に向けて照射され
る。なお、このとき、信号光発生層18と光導電層21
とは十分に近距離であるため、信号光は実用上十分な空
間周波数を維持して光導電層21に入射することができ
る。このため、所定のアドレスから発光する信号光が、
隣接するドット領域の光導電層21に入射して光導電層
21を励起させることはない。信号光が入射された部分
の光導電層21は、上記したように、所定波長域の光を
受光して電子−正孔対を生成し、第3有機膜22へ電荷
を注入することが可能となる。これによって、前駆動電
極25と後駆動電極20との間に印加されていた電圧
は、第3有機膜22と第4有機膜23とでなる表示光発
生層24の所定のドット部分に印加されることとなる。
この結果、上記したようにEL表示素子13の発光によ
り表示光が前方に向けて発生し、同時に後方に向けて図
12に破線の矢印で示す帰還光が発生する。表示光と帰
還光とは、第4有機膜23中に含まれる発色材料でR、
G、Bの各色に発色されている。光導電層21は、増感
剤としてのエオシンを含むためこれらの発色光の波長域
での光が入射されると電子−正孔対を新たに電子−正孔
対を生成する。したがって、光導電層21は電荷を注入
し得る状態を保持する。この状態にある間は、表示光発
生層24が1フレーム期間に対して十分長い時間、駆動
され続けることができるため、アドレス光素子12側の
行電極15と列電極19とが選択状態でなくなっても、
表示光発生層24は発光を維持することとなる。このた
め、線順次走査により、2回目の走査まで発光が維持さ
れることとなる。なお、2回目の走査の直前で後駆動電
極20に印加する電圧を解除させることで新たな表示発
光が可能となる。
【0064】この実施形態においては、上記したよう
に、次回の線順次走査まで表示発光が維持されるため、
良好な表示を行うことが可能となる。また、1枚のアド
レス基板14にアドレス光素子12とEL表示素子13
を形成できるため、表示装置の薄型・軽量化を図ること
ができる。さらに、従来の有機EL素子における各画素
は、高デューティなマトリクス駆動において、一画面分
発光を保持し続けなければならないため、初期電圧を極
めて高く設定しなければならず、このためEL表示素子
自体の寿命を短くさせていたが、この実施形態によれ
ば、TFTに代表されるアクティブ駆動や、強誘電性液
晶のようなメモリ性を有する素子を用いずに、単純な構
造により各画素で帰還光によるメモリ性ないしは適当な
ヒステリシスが実現し、高デューティ駆動条件下で高品
位な表示を実現することができる。同様の理由により、
所望の表示輝度を得るために、EL表示素子13に要求
される輝度を低下させることができ、EL表示素子13
の高寿命化が期待できる。さらに、有機EL素子の効率
が最大となる低輝度領域の使用が可能となり、結果とし
てデバイス全体の消費電力を低下させることができる。
さらにまた、この実施形態では、1枚のアドレス基板1
5上に形成できるものであるため、TFTおよび強誘電
液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイに比較
して大画面化に有利となる。またさらに、この実施形態
では、TFTを用いた表示装置で憂慮されている高精細
化・小型化における開口率の低下がないため、小型化に
おける表示輝度および効率の点でTFT駆動素子に比べ
て有利となる。さらに、一貫した真空プロセスでの形成
が可能である上、製造工程として高度のクリーンルーム
を必要としない。また、パターニングおよびアライメン
ト技術もTFT製造工程に比較して非常に容易なものと
なり、成膜工程を比較的低温条件で行うことができる。
また、この実施形態では、表示光発生層24を有機EL
材料を用いて構成したが、無機EL材料を用いても勿論
よい。
【0065】また、この実施形態においては、正孔輸送
材料として、PVCzとBNDとの混合物を用いたが、
この他、PVCz単体や、PVCzとBNDとトリフェ
ニルジアミン誘導体(TPD)との混合物や、4,4′,
4″-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフ
ェニルアミン:MTDATAなどの材料を用いることが
できる。
【0066】本実施形態では、アドレス光素子12およ
びEL表示素子13の構造が容易であるため、歩留まり
が向上し、よって大画面化並びに高精細化を容易に達成
することができる。また、1フレーム走査する間、表示
素子の光導電層21が帰還光により電荷を注入し得る状
態を保持するるため、高デューティ駆動条件下で高品位
な表示を実現できる。さらに、有機膜を2層構造とした
ことにより、低電圧駆動化並びに低消費電力化が達成で
き、しかも高輝度化を実現することが可能となる。さら
にまた、アドレス光素子およびEL表示素子を有機膜を
用いて作成するため、表示装置の薄型化・軽量化が達成
でき、かつ可撓性を有する表示装置を実現することがで
きる。
【0067】(実施形態9)図14は、実施形態9に係
る表示装置を示す断面図である。この実施形態では、光
導電層21を有機薄膜で形成し、EL表示素子13に色
変換フィルタ(CCM:Color Changing Mediums)40
を備えたことを特徴としている。本実施形態の表示装置
11の構成は、図14に示すように、アドレス基板14
の後面にアドレス光素子12を備え、アドレス基板14
の前面にEL表示素子13を備える構成である。
【0068】アドレス光素子12は、上記した実施形態
8のアドレス光素子12の第1有機膜16中に青色発光
材料を混在させた構成である。また、EL表示素子13
は、上記した実施形態8の第4有機膜23を、PVCz
とBNDと青色発光材料との混合物で形成した構成とし
ている。そして、光導電層21は、上記したように有機
薄膜で形成している。さらに、EL表示素子13の前面
に色変換フィルタ40を配置している。因に、本実施形
態においては、色変換フィルタ40の厚さを1000n
m、第3有機膜22および第4有機膜23の膜厚をそれ
ぞれ50nm程度に設定した。本実施形態における他の
構成は、上記した実施形態8と同様である。
【0069】本実施形態における光導電層21を形成す
る有機薄膜としては、例えば下記の構造式で示されるナ
フタレン−1,4,5,8−テトラカルボキシ無水物(NTC
DA:Naphthalene−1,4,5,8−Tetracarboxylic Dianhy
dride)などのナフタレン誘導体を用いる。
【0070】
【化5】
【0071】このようなナフタレン誘導体で形成された
光導電層21は、青色領域の光に選択的に感度をもって
いる。また、色変換フィルタ40は、表示光発生層24
のドット部分から発光される青色光を所望の色の光に変
換する作用を有するものであり、青色光を赤色光に変換
するドット部分40Rと、青色光を緑色光に変換するド
ット部分40Gと、青色光のまま取り出すドット部分4
0Bと、を備えている。これらのドット部分40R、4
0G、40Bは、図14に示すように表示光発生層24
のドット部分に対応して配置されている。
【0072】本実施形態では、アドレス光素子12で発
光された青色の信号光が入射すると電子−正孔対を生成
して表示光発生層24へ電荷を注入し得る状態となる。
このため、後駆動電極20と前駆動電極25との間に印
加された電圧は、信号光が入射した光導電層21に対応
した部分の表示光発生層24に印加され、これに伴いそ
の部分の表示光発生層24から青色光が発生する。ま
た、このように青色光が発光すると、発光した部分に対
応する光導電層21に青色光が帰還光として入射する。
そして、光導電層21は帰還光によって再励起されて新
たに電子−正孔対を生成する。したがって、光導電層2
1は、電荷を注入し得る状態を保持する。このため、こ
の部分の表示光発生層24には、駆動電圧が印加され続
ける状態となる。この状態にある間は、1フレーム期間
に対して十分に長い時間、表示駆動され続けることがで
きるため、アドレス光素子12側の行電極15と列電極
19とが選択状態でなくなっても、表示光発生層24は
発光を維持されることとなる。このため、高デューティ
駆動を行っても瞬間最大輝度を上げる必要がなく、表示
光発生層24の寿命を長くすることができる。また、本
実施形態では、光導電層21も良好な可撓性を有する有
機薄膜で形成したため、表示装置全体の可撓性をさらに
高めることができる。
【0073】なお、本実施形態においては、光導電層2
1をナフタレン誘導体で形成したが、下記の構造式で示
すペリレン顔料(Me−PTC)や、その他各種の光導
電材料で形成することができる。
【0074】
【化6】
【0075】なお、本実施形態では信号光および帰還光
が青色光であり、これらの光の入射により光導電層21
に電子−正孔対が生成されるようにナフタレン誘導体で
光導電層21を形成したが、表示光発生層24からの帰
還光や信号光を紫外光とすることもできる。このように
紫外光で電子−正孔対を生成する光導電層21の材料と
しては、禁制帯幅(エネルギーギャップ)が3.1eV
以上の半導体材料を用いることができる。
【0076】(実施形態10)図15は、実施形態10
に係る表示装置を示す断面図である。この実施形態は、
ガラスないしは可撓性を有する高分子フィルムでなるア
ドレス基板14の上にアドレス光素子12を作成し、ガ
ラスないしは可撓性を有する高分子フィルムでなるEL
基板27の上にEL表示素子13を作成して、アドレス
光素子12とEL表示素子13とを張り合わせて表示装
置を構成している。アドレス光素子12は、アドレス基
板14上に、アノードとしての列電極41を形成した
後、第1有機膜16、第2有機膜17を順次積層し、第
2有機膜17上にカソードとしての行電極42を形成
し、さらにその上に例えばSiNでなる保護膜29が堆
積して構成されている。なお、行電極42が酸化され易
い材料で形成される場合は、例えばマルチチャンバプロ
セス装置を用いて行電極42と保護膜29とを真空を破
らずに形成することで行電極42の酸化を防止すること
ができる。EL基板27上には、順次後駆動電極20、
ZnOでなる光導電層21、第3有機膜22、第4有機
膜23および前駆動電極25が形成されている。
【0077】本実施形態においては、アドレス光素子1
2をアドレス基板14上に形成し、EL表示素子13を
EL基板27上に形成することで、それぞれの素子の歩
留まりを向上することができ、表示装置全体としても歩
留まりを向上させることができる。
【0078】以上、この発明の各実施形態について説明
したが、この発明はこれらに限定されるものではなく、
構成の要旨に付随する各種の設計変更が可能である。例
えば、上記した実施形態のうち信号光発生層18および
表示光発生層24には、有機EL材料の他、無機EL材
料も用いることができ、EL表示素子13を構成する表
示光発生層24内に含有させる発光材料も表示目的に応
じて適宜選択することが可能である。また、上記した実
施形態では、光導電層21をアモルファスシリコンやZ
nOやナフタレン誘導体などで形成したが、本発明で
は、これらを含む各種光導電性材料のそれぞれ、または
これらの中から複数の材料でなる光導電層21内に、光
導電層21が電気伝導性を得た場合の電気抵抗率を調整
するための材料、例えば光導電性ペリレン顔料やナフタ
レン誘導体などを混入させてなる工程としても勿論よ
い。この他の光導電層21の材料として、アモルファス
セレン(a−Se)、ZnS、SnOxなどの無機半導
体や、ポリビニルカルバゾールなどの電荷移動錯体、有
機光キャリヤ生成層(ペリレン類、キノ類、フタロシア
ニン類など)と有機キャリヤ輸送層(アリールアミン
類、ヒドラジン類、オキサゾール類など)とを積層した
有機複合材料などの材料を用いることができる。このよ
うな材料では、特定波長域の光量子を吸収すると、伝導
キャリヤを生成して、そのインピーダンスが急激に減少
するため、電気伝導性を有するようになることはいうま
でもない。なお、上記各実施形態においては、アドレス
光素子12の行電極15をアドレス基板14側に形成し
たが、列電極19をアドレス基板14側に形成する構成
としても勿論よい。また、信号光発生層や表示光発生層
として無機EL層を用いることができるが、膜厚の点で
有機EL層のほうが薄く形成でき、空間周波数を維持し
てアドレスすることができる。なお、光導電層からの電
荷の注入の保持は帰還光によるものだけでなく、光導電
層と後駆動電極とのショットキー接合により光導電層の
後駆動電極との界面付近でのホールによるトンネル効果
により後駆動電極から電子が光導電層を介して表示光発
生層に注入することができる。このため、信号光が消失
した後にも表示光が光量を増大または保持することがで
きる。
【0079】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明によれば、製造コストが低く、開口率が高く、駆動特
性が良好で、大画面化並びに高精細化が容易で、さらに
は低電圧駆動や低消費電力を同時に実現する表示装置が
得られるという効果がある。さらに、例えば有機EL材
料を用いることにより、フィルム基板化して薄型、軽
量、且つ可撓性をも備え、製造コストが低く、生産性の
良好な表示装置を実現するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る表示装置の実施形態1の概略を
示す断面図。
【図2】実施形態1を概念的に示す斜視図。
【図3】電子および正孔の注入障壁に対する効果を説明
するエネルギーダイヤグラム。
【図4】実施形態1に用いた有機電界発光素子(2層構
造)と従来の有機電界発光素子(単層構造)における、
投入電力と発光輝度との測定結果を示すグラフ。
【図5】実施形態2の概略を示す断面図。
【図6】実施形態3の概略を示す断面図。
【図7】実施形態4の概略を示す断面図。
【図8】実施形態5の概略を示す断面図。
【図9】実施形態6の概略を示す断面図。
【図10】実施形態7の概略を示す断面図。
【図11】実施形態8の概略を示す断面図。
【図12】実施形態8を概念的に示す斜視図。
【図13】ZnOの入射光波長と光起電力との関係を示
すグラフ。
【図14】実施形態9の概略を示す断面図。
【図15】実施形態10の概略を示す断面図。
【符号の説明】
11 表示装置 12 アドレス光素子 13 EL表示素子 14 アドレス基板 15 行電極 16 第1有機膜 17 第2有機膜 18 信号光発生層 19 列電極 20 前駆動電極 21 光導電層 21A ドープ層 22 第3有機膜 23 第4有機膜 24 表示光発生層 25 後駆動電極 26 カラーフィルタ 27 EL基板 28 電子注入層 29 保護膜 30 電子注入層 40 色変換フィルタ

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々所定電圧が印加されることにより所
    定波長域の信号光を発生させる発光領域が形成された発
    光素子と、 前記発光素子からの信号光を受光した領域に電荷を発生
    する光導電層を有し、且つ前記光導電層の電荷が発生し
    た領域に対応した領域が表示光を発生する表示光発生層
    を有する表示素子と、 を備えたことを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】 前記表示素子は、前記光導電層側に設け
    られた第1駆動電極と、前記表示光発生層側に設けられ
    た第2駆動電極とを有することを特徴とする請求項1記
    載の表示装置。
  3. 【請求項3】 前記光導電層は、前記表示光発生層の前
    記表示光の波長域に対し電荷を発生することを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 前記発光素子は、前記所定波長域の信号
    光を発生させる信号光発生層と、前記信号光に対し透過
    性を有しかつ前記信号光発生層の一方の面側に第1の方
    向に並んで配列された複数の第1電極と、前記信号光発
    生層の他方の面側に前記第1の方向と異なる第2の方向
    に、前記信号光発生層を介して第1電極と互いにマトリ
    クス状に交差するように並んで配列された複数の第2電
    極と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の表示装置。
  5. 【請求項5】 前記発光素子は、前記所定波長域の信号
    光を発生させる有機化合物からなる信号光発生層と、前
    記信号光発生層の一方の面側に配列された第1電極と、
    前記信号光発生層の他方の面側に前記信号光発生層を介
    して前記第1電極と互いに交差するように配列された第
    2の電極と、を有し、前記第1電極および第2電極のう
    ちの一方がアノード電極で、他方がカソード電極である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の表示装置。
  6. 【請求項6】 前記信号光発生層は、紫外光のみを前記
    信号光として発生させることを特徴とする請求項4また
    は請求項5記載の表示装置。
  7. 【請求項7】 前記発光素子は信号光発生層を有し、前
    記信号光発生層は、ポリビニルカルバゾールと2,5−ビ
    ス(1−ナフチル)オキサジアゾールとからなる第1有
    機膜と、トリス(8−キノリレート)アルミニウム錯体
    からなる第2有機膜と、が接合されてなることを特徴と
    する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示装置。
  8. 【請求項8】 前記表示素子は、表示領域の全域に亙る
    前記表示光発生層と前記光導電層とが接合されると共
    に、前記表示光発生層側の表面に表示領域の全域に亙る
    1枚の前駆動電極が接合され、かつ前記光導電層側の表
    面に後駆動電極が接合されてなる電界発光素子であるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表示装
    置。
  9. 【請求項9】 前記光導電層は、禁制帯幅が3.1eV
    以上の半導体材料でなることを特徴とする請求項1〜請
    求項8のいずれかに記載の表示装置。
  10. 【請求項10】 前記表示光発生層は、前記発光領域に
    対応した領域に所定の色の発光を生じさせる発光材料が
    含有されていることを特徴とする請求項1〜請求項9の
    いずれかに記載の表示装置。
  11. 【請求項11】 前記表示素子の前面に前記発光領域に
    対応するようにカラーフィルタが配置されたことを特徴
    とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の表示装
    置。
  12. 【請求項12】 前記表示素子の前面に前記発光領域に
    対応する色変換フィルタが配置されたことを特徴とする
    請求項1〜請求項10のいずれかに記載の表示装置。
  13. 【請求項13】 前記表示光は青色光であることを特徴
    とする請求項12記載の表示装置。
  14. 【請求項14】 前記表示光発生層は、白色発光材料が
    含有されていることを特徴とする請求項1〜請求項12
    記載の表示装置。
  15. 【請求項15】 前記表示光発生層は、前記光導電層に
    向けて当該光導電層に電荷を発生させる波長域の帰還光
    を発光させることを特徴とする請求項1〜請求項14の
    いずれかに記載の表示装置。
  16. 【請求項16】 前記表示光発生層は、トリス(8−キ
    ノリレート)アルミニウム錯体からなる第3有機膜と、
    ポリビニルカルバゾールと2,5−ビス(1−ナフチル)
    オキサジアゾールと401nm〜800nmの間の波長
    域の可視光を発光する発光材料とからなる第4有機膜
    と、が接合されてなることを特徴とする請求項1〜請求
    項15のいずれかに記載の表示装置。
  17. 【請求項17】 前記発光素子は、前記所定波長域の信
    号光を発生させる信号光発生層と、前記信号光に対し透
    過性を有し、前記信号光発生層の一方の面側に第1の方
    向に並んで配列された複数の第1電極と、前記信号光発
    生層の他方の面側に前記第1の方向と異なる第2の方向
    に、前記信号光発生層を介して前記第1電極と互いにマ
    トリクス状に交差するように並んで配列された複数の第
    2電極と、を有し、 前記表示素子の前記第1駆動電極は、前記発光素子の前
    記第1電極または前記第2電極に対応してストライプ状
    に形成されていることを特徴とする請求項5〜請求項1
    6のいずれかに記載の表示装置。
  18. 【請求項18】 各々所定電圧が印加されることにより
    所定波長域の信号光を発生させる電界信号光発生素子
    と、 前記信号光に対し透過性を有する第1表示用電極と、前
    記電界信号光発生素子からの信号光の波長域に対し電荷
    を発生する光導電層と、前記光導電層の電荷が発生され
    た領域に対応した領域が表示光を発生する表示光発生層
    と、前記表示光に対し透過性を有する第2表示用電極
    と、からなる電界表示光発生素子と、 を備えることを特徴とする表示装置。
  19. 【請求項19】 前記電界信号光発生素子および前記電
    界表示光発生素子の少なくとも一方は、有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項18
    記載の表示装置。
  20. 【請求項20】 前記電界信号光発生素子は、前記所定
    波長域の信号光を発生させる信号光発生層と、前記信号
    光に対し透過性を有し、前記信号光発生層の一方の面側
    に第1の方向に並んで配列された複数の第1信号用電極
    と、前記信号光発生層の他方の面側に前記第1の方向と
    異なる第2の方向に、前記信号光発生層を介して前記第
    1信号用電極と互いにマトリクス状に交差するように並
    んで配列された複数の第2信号用電極と、を有すること
    を特徴とする請求項18または請求項19記載の表示装
    置。
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