JPH09209763A - 機械式過給機付ディーゼルエンジン - Google Patents

機械式過給機付ディーゼルエンジン

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JPH09209763A
JPH09209763A JP1987796A JP1987796A JPH09209763A JP H09209763 A JPH09209763 A JP H09209763A JP 1987796 A JP1987796 A JP 1987796A JP 1987796 A JP1987796 A JP 1987796A JP H09209763 A JPH09209763 A JP H09209763A
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JP
Japan
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engine
diesel engine
intake
compression ratio
mechanical supercharger
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JP1987796A
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English (en)
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Koichi Hatamura
耕一 畑村
Noriyuki Iwata
典之 岩田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Supercharger (AREA)
  • Characterised By The Charging Evacuation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械式過給機を備えたディーゼルエンジンに
おいて、始動時の着火、燃焼性の向上と高速域での信頼
性向上、燃費改善及び出力確保等の要求を全て満足させ
る。 【解決手段】 ディーゼルエンジンの吸気通路15に機
械式過給機16を設けるとともに、バルブリフト量1mm
まで閉じる時点をもって定義した吸気弁閉時期をBBD
C40°CA〜ABDC5°CAの範囲内の早閉じと
し、かつ、エンジンの高速域で慣性過給を生じさせ、さ
らに慣性同調回転数を変更するように吸気系を切換える
切換手段を設けて、エンジンの中速域以上の領域におけ
る複数の回転数域で慣性過給の同調が得られるようにし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸気通路に機械式
過給機を設けたディーゼルエンジンに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、過給機付のガソリンエンジンにお
いては、幾何学的圧縮比を一般の過給機付ガソリンエン
ジンと比べて高くするとともに、少なくとも低速高負荷
域で有効圧縮比を膨張比と比べて低くするように吸気弁
閉タイミングを設定することにより、低速高負荷域での
ノッキングの発生及び排気温度の上昇を抑制しつつ、ト
ルクアップや燃費改善を図るようにした技術が開発され
ている。
【0003】例えば、特開平3−138416号公報に
示されるように、機械式過給機等の過給機を備えるとと
もに、エンジンの幾何学的圧縮比を8.5以上に設定
し、かつ、吸気弁がバルブリフト量1mmの位置まで閉じ
る時点をもって定義した吸気弁閉時期をクランク角で下
死点後50°以上遅れた時期に設定し、このように吸気
弁遅閉じとすることにより、有効圧縮比を低下させて圧
縮上死点温度を引下げ、低速高負荷域でのノッキング抑
制等の作用が得られるようにしたものが知られている。
【0004】また、特開平6−108860号公報に示
されるように、過給機付のガソリンエンジンにおいて、
吸気弁閉時期を下死点以前の所定早閉じ時期である第1
タイミングとこれより遅い時期である第2タイミングと
に変更可能とする閉時期可変手段を設けるとともに、閉
時期可変手段を制御する制御手段により吸気弁閉時期を
運転状態に応じて変更し、高負荷域における低速側の運
転領域で上記第1タイミング、高速側の運転領域で上記
第2タイミングとするようにしたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記各公報
に示されているような従来のこの種の技術は、主として
ガソリンエンジンを対象にしているが、ディーゼルエン
ジンにおいても、過給機を装備するとともに、有効圧縮
比を膨張比と比べて低くするように吸気弁閉時期を設定
することにより、出力性能及び燃費等の向上を図ること
が考えられる。しかし、ディーゼルエンジンでは、この
ような技術の適用にあたり、次のようにガソリンエンジ
ンとは諸条件が異なっているために特有の課題が生じ
る。
【0006】すなわち、上記のように膨張比と比べて有
効圧縮比を低下させる手法としては吸気弁閉時期を一般
的タイミングより遅閉じとする手法と上死点以前の早閉
じとする手法とがあり、このうち、上記遅閉じによる
と、有効圧縮比を低下させる作用がエンジン低速側程大
きく、高速になるにつれて上記作用が小さくなる(有効
圧縮比が上昇する)という傾向があり、早閉じの場合は
これと逆の傾向がある。そして、過給機付のガソリンエ
ンジンの場合には、ノッキングが生じ易い高負荷低速時
に有効圧縮比を大きく低下させて圧縮上死点温度を引下
げることが要求される一方、ノッキングが軽減される高
負荷高速時には、吸入時間を確保して充填量を高めるこ
とが要求される。従って、特開平6−108860号公
報に見られるように弁閉時期可変機構を設ける場合は低
速時に早閉じとすることも考えられるが、動弁機構の簡
略化等のために吸気弁閉時期を固定タイミングとする場
合は、上記の特開平3−138416号公報に見られる
ように吸気弁を遅閉じとすることが、ガソリンエンジン
の上記要求に適合する。
【0007】ところが、ディーゼルエンジンでは、低速
時に有効圧縮比を低下させると、とくにエンジンの始動
時に着火のための圧縮圧力が不足して着火、燃焼性が悪
くなる。また、ガソリンエンジンと比べて幾何学的圧縮
比が高いディーゼルエンジンでは、高速域での高過給時
に有効圧縮比の上昇を抑制することが信頼性向上のため
に望まれる。このため、吸気弁閉時期を固定タイミング
とする場合に、吸気弁を遅閉じとすることはディーゼル
エンジンにおける始動性の確保及び信頼性向上等の要求
に適合しない。一方、吸気弁閉時期を早閉じとすると、
高速側になるにつれて有効圧縮比が低下するが、特に機
械式過給機を備える場合に、高速域で有効圧縮比の低下
に伴って機械式過給機の負担が大きくなり、過給機の駆
動損失が増大するとともに、体積効率が過度に低下する
といった問題が生じる。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑み、機械式過給
機を備えたディーゼルエンジンにおいて、始動性、信頼
性、燃費等を向上することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、過給機を備えたディーゼルエンジンであ
って、エンジン出力軸で駆動される機械式過給機を吸気
通路に設けるとともに、バルブリフト量1mmまで閉じる
時点をもって定義した吸気弁閉時期をクランク角で下死
点前40°から下死点後5°までの範囲内の固定タイミ
ングとし、かつ、吸気の動的過給の同調回転数がエンジ
ンの高速域に存在するように吸気系を設定したものであ
る。
【0010】この構成によると、吸気弁閉時期が一般的
なディーゼルエンジンと比べて早く、下死点に近い時期
に設定されていることにより、エンジン始動時等の極低
速時には有効圧縮比が比較的高い値(幾何学的圧縮比に
近い値)となり、始動時の着火性が確保される。さら
に、機械式過給機の圧縮作用も加わり、指導時の圧縮圧
力が高まることも期待できる。また、このように吸気弁
が早閉じとされることにより、エンジンが高速側となる
につれて有効圧縮比が低下し、高速域での過給時に最高
圧力や排気温度が適度に抑えられる。しかも、高速域で
は動的過給が行われ、有効圧縮比の低下に伴って機械式
過給機の負担が増大するという傾向が上記動的過給によ
り補われる。こうして高速域では、有効圧縮比の低下に
より信頼性が確保されるとともに動的過給により機械式
過給機の負担が軽減されつつ、機械式過給機により過給
が行われてトルクが確保される。
【0011】この発明において、直噴式ディーゼルエン
ジンであってエンジンの最高回転数が3500rpm以
上のものではエンジンの幾何学的圧縮比を18以下に設
定し、直噴式ディーゼルエンジンであってエンジンの最
高回転数が2000〜3500rpmのものではエンジ
ンの幾何学的圧縮比を16以下に設定し、また副室式デ
ィーゼルエンジンであってエンジンの最高回転数が35
00rpm以上のものではエンジンの幾何学的圧縮比を
20以下に設定することが好ましい。
【0012】このようにすると、幾何学的圧縮比が従来
の一般的なディーゼルエンジン(エンジン最高回転数が
3500rpm以上の高速乗用車用小型ディーゼルエン
ジンでは幾何学的圧縮比が18〜20、エンジン最高回
転数が2000〜3500rpmの中速トラック用大型
ディーゼルエンジンでは幾何学的圧縮比が16〜18、
副室式出是エンジンでは幾何学的圧縮比が20〜23)
と比べて低くなり、信頼性の確保等に有利となる。そし
て、このように幾何学的圧縮比が低くされながらも、吸
気弁閉時期が上記のように設定されることで始動性が確
保されるとともに、高速域では機械式過給機による過給
及び動的過給によりトルクが確保される。
【0013】また、この発明において、吸気の動的過給
の同調回転数を変更するように吸気系を切換える切換手
段を設けるとともに、この切換手段の作動によってエン
ジンの中速域以上の領域における複数の回転数域で吸気
の動的過給の同調が生じるように吸気系を設定すること
が好ましい。
【0014】このようにすると、上記有効圧縮比が低下
する中速域以上の領域において、動的過給により機械式
過給機の負担を軽減する作用が広範囲にわたって得られ
る。
【0015】高速域で行われる動的過給は、慣性過給で
あってもよいし、共鳴過給であってもよい。
【0016】ここで、慣性過給とは、個々の気筒におい
て吸気行程中に生じた圧力波がサージタンク等で反転し
て反射され、自気筒に対して吸気行程終期に作用するこ
とにより充填効率を高めるような動的効果をいう。ま
た、共鳴過給とは、複数気筒において生じる吸気圧力振
動が共鳴することによりに充填効率を高めるような動的
効果をいう。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態を示
し、これらの図において、1はディーゼルエンジンのエ
ンジン本体である。当実施形態では、上記エンジン本体
1が、4気筒の直噴式ディーゼルエンジンとしての構造
を有しており、各気筒2のピストン3に燃焼室4が形成
されるとともに、この燃焼室4に臨む燃料噴射用のノズ
ル5がシリンダヘッドに装備されている。上記ノズル5
は燃料通路6を介して燃料噴射ポンプ7に接続されてい
る。上記燃料噴射ポンプ7は、コントロールユニット
(ECU)8により、運転状態に応じて制御されるよう
になっている。
【0018】さらに、各気筒2の燃焼室4に対して吸気
ポート9及び排気ポート10がシリンダヘッドに形成さ
れており、上記吸気ポート9及び排気ポート10は吸気
弁11及び排気弁12によってそれぞれ開閉されるよう
になっている。
【0019】エンジンの吸気通路15には、リショルム
型コンプレッサ等の機械式過給機16が介設されてい
る。この過給機16は伝動手段17を介してエンジン出
力軸18に連結され、エンジン出力軸18で駆動される
ようになっている。さらに、吸気通路15における過給
機16より下流側にはインタークーラ19が設けられ、
このインタークーラ19により、過給機16から吐出さ
れた空気が冷却されるようになっている。また、上記過
給機16及びインタークーラ19をバイパスするバイパ
ス通路20が接続され、このバイパス通路20には制御
弁21が介設されている。この制御弁21は上記コント
ロールユニット8により運転状態に応じて制御され、低
負荷時等に開かれ、始動時には閉じられるようになって
いる。
【0020】上記インタークーラ19より下流において
上記吸気通路15にはサージタンク22が設けられ、こ
のサージタンク22に、各気筒の吸気ポート9に通じる
気筒別吸気通路23が接続されている。また、吸気の動
的過給の同調回転数を変更するように吸気系を切換える
切換手段が設けられ、図示の実施形態ではサージタンク
22と吸気ポート9との間の各気筒別吸気通路23の通
路長を変更することにより慣性過給の同調回転数を変更
するように、切換手段が構成されている。すなわち、上
記気筒別吸気通路23が、各サージタンク22の側面部
からサージタンク22の下方へ湾曲した部分を経てエン
ジン本体1側に延び吸気ポート9に至る第1通路部23
aと、サージタンク22の下面部と上記第1通路部23
aの途中とを短絡的に接続する第2通路部23bとを有
し、この第2通路部23bの途中に開閉弁24が設けら
れている。これら第1,第2通路部23a,23b及び
開閉弁24により切換手段が構成され、開閉弁24が開
状態となったときは閉状態のときと比べ、サージタンク
22と吸気ポート9との間の通路長が短くなることによ
り、慣性過給の同調回転数が高められるようになってい
る。
【0021】上記開閉弁24はコントロールユニット8
により運転状態に応じて制御され、少なくとも高負荷域
において比較的高回転側の所定回転数を境にエンジン回
転数がこれより低いとき閉状態、高いとき開状態となる
ように切換作動される。なお、上記コントロールユニッ
ト8は、エンジン回転数、エンジン負荷、水温等の検出
信号25,26,27を受け、これらの信号に基づいて
上記燃料噴射ポンプ7、制御弁21、開閉弁24等を制
御するようになっている。
【0022】このようなディーゼルエンジンにおいて、
エンジンの幾何学的圧縮比は、一般の直噴式ディーゼル
エンジンと比べて低く設定されている。すなわち、最高
回転数が2000〜3500rpmのエンジンでは上記
幾何学的圧縮比が16以下、好ましくは14〜16の範
囲内に設定され、最高回転数が3500rpm以上のエ
ンジンでは上記幾何学的圧縮比が18以下、好ましくは
16〜18の範囲内に設定される。
【0023】また、図3(a)中に示すように、吸気弁
及び排気弁の開閉タイミングは固定タイミングとされ、
つまり、エンジン全域にわたって一定のタイミングで開
閉される。そして、とくに吸気弁閉時期ICは、一般の
ディーゼルエンジンよりも早くて下死点(BDC)に近
い早閉じとされ、具体的には、バルブリフト量1mmまで
閉じる時点をもって定義した吸気弁閉時期がBBDC4
0°CA〜ABDC5°CAの範囲内に設定されてい
る。ここで、「BBDC」は下死点前、「ABDC」は
下死点後を意味し、また「°CA」はクランク角を意味
している。なお、図3(b)に示すカムリフトカーブに
おいてリフト部Lからランプ部への切換わり点を実質の
閉時期IC´とみなすと、この実質の閉時期IC´と上
記のバルブリフト量1mmまで閉じる時点をもって定義さ
れた吸気弁閉時期ICとの差は、エンジンによって多少
のバラツキはあるものの、20±5°CA程度である。
【0024】また、上記各独立吸気通路23の第1,第
2通路部23a,23b及び開閉弁24により構成され
る切換手段は、上記のように開閉弁24の開閉に応じて
慣性同調回転数が変わるようになっているが、開閉弁2
4が閉状態のときの慣性同調回転数と開閉弁が開状態の
ときの慣性同調回転数とがともにエンジンの中速域以上
の実用回転数域内にあり、かつ、両慣性同調回転数があ
る程度の回転数差をもつように、上記第1,第2通路部
23a,23bの通路長及び通路断面積等が設定されて
いる。
【0025】なお、上記ディーゼルエンジンは自動車用
ディーゼルエンジンであって、最高回転数が3500r
pm以上、例えば6000rpm程度である。
【0026】以上のような当実施形態の機械式過給機付
ディーゼルエンジンの作用を、図4〜図7を参照しつつ
次に説明する。なお、以下の説明の中でいう吸気弁閉時
期及び図4中にパラメータとして示す吸気弁閉時期の値
は、バルブリフト量1mmまで閉じる時点をもって定義し
たものである。
【0027】図4は、吸気弁閉時期をパラメータとして
有効圧縮比とエンジン回転数との関係を示すものであ
る。この図において、曲線A1は吸気弁閉時期がABD
C25°CAの場合のもので、従来の一般的なエンジン
の吸気弁閉時期はこの程度である。この場合、エンジン
の低速側では吸気の吹き返しが生じること等により有効
圧縮比εe が幾何学的圧縮比εm (破線で示す)よりかな
り低くなり、エンジン回転数が上昇するにつれ有効圧縮
比が高くなって幾何学的圧縮比εmに近づく。
【0028】同図中の曲線A2,A3,A4は吸気弁閉
時期がABDC5°CA、BBDC35°CA,BBD
C40°CAの各場合を示している。このように吸気弁
閉時期が所定範囲内の早閉じとされた場合、低速側で
は、吸気の吹き返しが少なくなることにより、ABDC
25°CAの場合と比べて有効圧縮比εe が高くなる
(幾何学的圧縮比εm に近くなる)という傾向が生じる
一方、高速側では、エンジン回転数の上昇につれて有効
圧縮比が低下する傾向が生じる。このような傾向は、後
に詳述するように、ディーゼルエンジンの始動性の向上
及び高速域での信頼性の向上に有利となる。そして、高
速域でのトルクは、機械式過給機16による過給作用で
確保される。
【0029】つまり、上記曲線A2,A3,A4のよう
な特性はディーゼルエンジンの要求に適合するものであ
る。また、このように吸気弁閉時期が早閉じとされた場
合、高速域である程度以上にエンジン回転数が上昇する
と吸気がチョーク状態となることで有効圧縮比が急激に
低下する傾向があるが、前記のように高速域で慣性過給
が行われるように吸気系が構成されていることにより、
高速域での有効圧縮比の低下傾向が適度に緩和される
(破線A3´,A4´)。
【0030】なお、吸気弁閉時期をBBDC40°CA
よりもさらに早くし、例えば各BBDC55°CAとし
た場合、図4中に曲線A5で示すように、吸入期間が過
度に短くなるために、始動時等の低速時でも有効圧縮比
εe がかなり低くなって始動性向上の効果が得られなく
なるとともに、高速域ではさらに有効圧縮比εe が低下
して過給機の負担軽減及びトルク確保が困難になる。
【0031】このような図4に示すデータから、吸気弁
閉時期はBBDC40°CA〜ABDC5°CAの範囲
が好ましい。
【0032】図5は、上記のような作用、効果をより具
体的に示すため、本発明の一実施例と比較例とにつき、
体積効率及び過給機損失馬力とエンジン回転数との関係
を示している。上記体積効率は有効圧縮比に略対応する
ものである。
【0033】この図において、実線の曲線B1,C1
は、本発明の一実施例として、機械式過給機付エンジン
で吸気弁閉時期をBBDC20°CAとするとともに、
上記実施形態のように高速側の領域で慣性過給及びその
切換えを行うようにした場合の体積効率及び過給機損失
馬力を示す。また一点鎖線の曲線B2,C2は、比較例
として、機械式過給機付エンジンで吸気弁閉時期を一般
的なタイミングであるABDC25°CAとした場合の
体積効率及び過給機損失馬力を示す。
【0034】この図のように、体積効率について見る
と、低速側の領域では、本発明の一実施例による場合
(曲線B1)の方が比較例による場合(曲線B2)より
も斜線部分だけ体積効率が高められ、その分だけ始動時
の着火,燃焼性が高められることとなる。また、早閉じ
による有効圧縮比低減作用がエンジン回転数の上昇に応
じて大きくなるため、エンジンの高速側では本発明の一
実施例による場合(曲線B1)の方が比較例による場合
(曲線B2)よりも斜線部分だけ体積効率が低くなり、
その分がエンジンの信頼性向上に寄与することとなる。
【0035】また、単に吸気弁閉時期をBBDC20°
CAの早閉じとしただけで、高速域で吸気の慣性過給効
果が生じない場合には、曲線B11で示すように高速域
でエンジンの体積効率が大きく低下し、このようにエン
ジンの体積効率が低下すると過給機吐出側圧力が上昇し
て機械式過給機の負担が増大し、信頼性上好ましくない
だけでなく、曲線C11のように過給機損失馬力が増大
するため、トルク低下及び燃費の悪化を招く。これに対
し、高速域で慣性過給効果が生じるようにしておくと、
エンジンの体積効率の低下が軽減され、過給機の負担が
慣性過給で補われるため、高速域で慣性過給効果が生じ
ない場合と比べて過給機損失馬力が低減される。とくに
慣性過給の同調回転数を変更する切換手段を設けた本発
明の実施例によると、切換手段を設けない場合(曲線B
12,C12)と比べ、体積効率低下を軽減するととも
に過給機損失馬力を低減する作用がより一層高められ
る。
【0036】このように、吸気弁の早閉じによりディー
ゼルエンジンの始動時の着火,燃焼性の向上と高速域で
の信頼性の向上とが図られるとともに、上記慣性過給に
よって高速域での体積効率の過度の低下及び過給機損失
馬力の増大が避けられつつ、機械式過給機16によって
過給が行われるため、高速域でのトルクの確保及び燃費
の改善が図られる。
【0037】また、上記の吸気弁早閉じ等による作用と
関連して、エンジンの幾何学的圧縮比が一般の直噴式デ
ィーゼルエンジンと比べて低い14〜18程度とされる
ことにより、信頼性向上及び燃費改善等の効果がさらに
高められる。
【0038】すなわち、エンジンの圧縮比と熱効率との
関係としては、図6に示すように、所定圧縮比(14〜
16程度)までは圧縮比が高くなるにつれて熱効率が高
められるが、所定圧縮比を越えるとフリクションロス等
で圧縮比が高くなるにつれて熱効率が低下する傾向があ
り、よって14〜16程度が最も熱効率の高い(燃費の
良い)圧縮比となる。ところが、従来の一般的な直噴式
ディーゼルエンジンでは、始動時等の極低速時の着火,
燃焼性を確保する必要から、幾何学的圧縮比が大型直噴
式ディーゼルエンジンでは16〜18、小型直噴式ディ
ーゼルエンジンでは18〜20に高く設定されていた。
【0039】これに対し、当実施形態のディーゼルエン
ジンでは、幾何学的圧縮比を従来の一般的なディーゼル
エンジンより低い14〜16(大型直噴式ディーゼルエ
ンジン)あるいは16〜18(小型直噴式ディーゼルエ
ンジン)としても、吸気弁早閉じにより体積効率を高め
る作用で圧縮比が補われ、始動時の着火,燃焼性が確保
される。そして、このように従来より幾何学的圧縮比が
低くされることにより、信頼性の確保に有利となるとと
もに、熱効率の高い圧縮比に近づけられ、その上、吸気
弁早閉じによりエンジン回転数の上昇につれて有効圧縮
比が低下するため、燃焼サイクルの温度が低く抑えら
れ、高過給時の信頼性確保を容易なものにしてくれる。
このような作用によっても、燃費が改善されるとともに
信頼性が向上されることとなる。
【0040】図7は本発明の別の実施形態を示してい
る。当実施形態では、エンジン本体1が副室式ディーゼ
ルエンジンとしての構造を有しており、各気筒における
ピストン33の上方の主燃焼室に噴口を介して連通する
副室34がシリンダヘッドに形成されるとともに、燃料
噴射用のノズル35が上記副室34に臨むように装備さ
れている。吸気系等の構造は図1に示す実施形態と同様
であり、吸気通路15には機械式過給機16、インター
クーラ19、サージタンク22、慣性過給の切換手段等
が配設されている。
【0041】このディーゼルエンジンにおいて、エンジ
ンの幾何学的圧縮比は一般の副室式ディーゼルエンジン
(20〜23)と比べて低く、20以下に設定されてい
る。好ましくは上記幾何学的圧縮比が18〜20の範囲
内とされる。また、吸気弁閉時期がBBDC40°CA
〜ABDC5°CAの範囲内に設定されている点、及び
エンジンの中速域以上の領域における複数の回転数域で
慣性過給効果が得られるようにしている点は、先の実施
形態と同様である。
【0042】この実施形態によっても、吸気弁早閉じに
より始動時の着火,燃焼性が高められるとともに高速域
での信頼性が高められ、また、単に吸気弁早閉じとした
場合にエンジンの高速側で有効圧縮比が大きく低下する
とともに機械式過給機16の負担が増大するという傾向
が上記慣性過給で補われつつ、機械式過給機16による
過給が行われることにより、トルク確保及び燃費改善が
図られ、さらに幾何学的圧縮比が一般の副室式ディーゼ
ルエンジンと比べて低くされることで信頼性向上及び燃
費改善の効果が高められる。
【0043】なお、上記各実施形態では、エンジンの高
速側の複数の回転数域で慣性過給効果が得られるように
サージタンク22より下流の各気筒別吸気通路23等が
構成されているが、気筒相互にわたって伝播される圧力
波の共鳴によって動的効果をもたせる共鳴過給がエンジ
ンの高速側で生じるように、サージタンク22より上流
側部分を含めた吸気系を構成してもよい。このように動
的過給として共鳴過給を利用すれば、排気弁と吸気弁の
オーバラップ期間中に燃焼室内を掃気する作用も得られ
る。また、このように共鳴過給を利用する場合も、エン
ジンの中速域以上の領域で共鳴同調回転数を変更し得る
ような切換手段を設けることにより、複数の回転数域で
共鳴過給効果が得られるようにしておくことが望まし
い。
【0044】また、エンジンの気筒数は4気筒に限られ
ず、その他の各部の構造も本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変更して差し支えない。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ディー
ゼルエンジンの吸気通路に機械式過給機を設けるととも
に、バルブリフト量1mmまで閉じる時点をもって定義し
た吸気弁閉時期をBBDC40°CA〜ABDC5°C
Aの範囲内とし、かつ、エンジンの高速域で動的過給が
生じるようにしているため、低速域で有効圧縮比を高め
て着火,燃焼性を向上する一方、高速域では、吸気弁早
閉じにより最高圧力及び排気温度を低減するとともに、
動的過給により機械式過給機の負担を軽減しつつ、機械
式過給機による過給でトルクを確保することができる。
従って、ディーゼルエンジンにおいて重要な始動時の着
火、燃焼性の向上と高速域での信頼性向上、燃費改善及
び出力確保等の要求を全て満足させることができる。
【0046】また、このように吸気弁早閉じにより始動
性が向上されることから、従来の一般的なディーゼルエ
ンジンと比べて幾何学的圧縮比を低くすることができ、
例えばエンジン回転数が3500rpm以上の小型直噴
式ディーゼルエンジンで18以下、エンジン回転数が2
000〜3500rpm以上の大型直噴式ディーゼルエ
ンジンで16以下、副室式ディーゼルエンジンで20以
下とすることができ、これによって信頼性向上及び燃費
改善の効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による機械式過給機付ディ
ーゼルエンジンの概略図である。
【図2】上記機械式過給機付ディーゼルエンジンのエン
ジン本体及び吸気系の一部を示す概略平面図である。
【図3】(a)はバルブタイミングを示す図、(b)は
カムリフトカーブにおける吸気弁閉時期付近の部分を拡
大して示す図である。
【図4】吸気弁の閉時期をパラメータとして有効圧縮比
とエンジン回転数との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例と比較例とにつき、体積効率及
び過給機損失馬力とエンジン回転数との関係を示す図で
ある。
【図6】熱効率と圧縮比との関係を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態による機械式過給機付デ
ィーゼルエンジンの概略図である。
【符号の説明】
1,31 エンジン本体 5,35 燃料噴射用のノズル 11 吸気弁 15 吸気通路 16 機械式過給機 23 気筒別吸気通路 23a 第1通路部 23b 第2通路部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過給機を備えたディーゼルエンジンであ
    って、エンジン出力軸で駆動される機械式過給機を吸気
    通路に設けるとともに、バルブリフト量1mmまで閉じる
    時点をもって定義した吸気弁閉時期をクランク角で下死
    点前40°から下死点後5°までの範囲内の固定タイミ
    ングとし、かつ、吸気の動的過給の同調回転数がエンジ
    ンの高速域に存在するように吸気系を設定したことを特
    徴とする機械式過給機付ディーゼルエンジン。
  2. 【請求項2】 直噴式ディーゼルエンジンであって、エ
    ンジンの最高回転数を3500rpm以上に設定すると
    ともに、エンジンの幾何学的圧縮比を18以下に設定し
    たことを特徴とする請求項1記載の機械式過給機付ディ
    ーゼルエンジン。
  3. 【請求項3】 直噴式ディーゼルエンジンであって、エ
    ンジンの最高回転数を2000〜3500rpm以上に
    設定するとともに、エンジンの幾何学的圧縮比を16以
    下に設定したことを特徴とする請求項1記載の機械式過
    給機付ディーゼルエンジン。
  4. 【請求項4】 副室式ディーゼルエンジンであって、エ
    ンジンの最高回転数を3500rpm以上に設定すると
    ともに、エンジンの幾何学的圧縮比を20以下に設定し
    たことを特徴とする請求項1記載の機械式過給機付ディ
    ーゼルエンジン。
  5. 【請求項5】 吸気の動的過給の同調回転数を変更する
    ように吸気系を切換える切換手段を設けるとともに、こ
    の切換手段の作動によってエンジンの中速域以上の領域
    における複数の回転数域で吸気の動的過給の同調が生じ
    るように吸気系を設定したことを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載の機械式過給機付ディーゼルエン
    ジン。
  6. 【請求項6】 吸気の動的過給として慣性過給がエンジ
    ンの高速域で行われるように吸気系を設定したことを特
    徴とする請求項1乃至5記載のいずれかに記載の機械式
    過給機付ディーゼルエンジン。
  7. 【請求項7】 吸気の動的過給として共鳴過給がエンジ
    ンの高速域で行われるように吸気系を設定したことを特
    徴とする請求項1乃至5記載のいずれかに記載の機械式
    過給機付ディーゼルエンジン。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7131408B2 (en) * 2002-06-07 2006-11-07 Robert Bosch Gmbh Method and arrangement for controlling an internal combustion engine
JP2012127275A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関
CN109826729A (zh) * 2019-01-08 2019-05-31 四川柯瑞泰内燃机制造有限公司 一种发动机智能可变压缩比系统及方法

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