JPH09209019A - 含Cr鋼を溶製するための溶鉄精錬方法 - Google Patents

含Cr鋼を溶製するための溶鉄精錬方法

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JPH09209019A
JPH09209019A JP3892196A JP3892196A JPH09209019A JP H09209019 A JPH09209019 A JP H09209019A JP 3892196 A JP3892196 A JP 3892196A JP 3892196 A JP3892196 A JP 3892196A JP H09209019 A JPH09209019 A JP H09209019A
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molten iron
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refining
molten
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Jiro Mitani
二郎 三谷
Michitake Fujiwara
道丈 藤原
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 脱炭精錬を行いながら漸次フェロクロムを投
入して含Cr鋼を溶製する際のCr酸化損失を顕著に抑制
し、溶製コストを極力低減し得る手段を確立する。 【構成】 溶銑を脱炭精錬しながら合金鉄であるフェロ
クロムを漸次投入して含Cr溶鋼とする溶鉄精錬におい
て、(a) 試験で操業要因とCr酸化損失との関係を数式化
しておくと共に、Cr酸化損失が極小域となる目標Cr酸化
損失量を把握し、前記数式からフェロクロム投入期間に
おけるCr酸化損失量が極小となるフェロクロムの連続投
入速度を算出し、また、(b) 試験によりフェロクロム投
入期間における脱炭量を予測すると共に、操業要因と脱
炭前の溶鉄中炭素濃度との関係を数式化しておき、これ
らからフェロクロム投入完了時点での溶鋼中炭素濃度が
含Cr鋼の目標値となるように、 フェロクロム投入を開始
する時点の溶鉄中炭素濃度を算出し、この算出値に基づ
いてフェロクロム投入を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、銑鉄からステンレス
鋼等の含Cr鋼を溶製するための精錬方法に係り、特に精
錬中におけるCrの酸化損失を極力抑制しつつ所望組成の
含Cr鋼を溶製する溶鉄精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、Crを含有する溶鉄中に酸素と共に
希釈ガスであるアルゴンを吹き込み、この希釈ガス(ア
ルゴン)により“脱炭反応で発生する一酸化炭素ガスの
分圧”を下げて脱炭効率を上げ、Crの酸化を極力少なく
しつつ脱炭を中心とする精錬を行う技術が「AODプロ
セス」として知られるようになり、現在ではステンレス
鋼の溶製手段として広く実施されるに至っている。な
お、この「AODプロセス」を適用したステンレス鋼の
溶製は、溶銑をAOD炉に装入し、脱炭精錬を行いなが
ら漸次フェロクロムを投入してステンレス粗溶鋼とした
後、更に脱炭精錬してステンレス溶鋼とする工程で実施
されている。
【0003】しかし、このようなAODプロセスを始め
とした“溶鉄に多量のフェロクロムを投入する手法で含
Cr鋼を溶製する方法”では、常温状態のフェロクロムを
多量に使用することによる溶鉄温度の低下に起因してCr
の酸化損失が大きく、これを還元回収するために還元剤
(フェロシリコン,Al等)の使用量が増大する等の不都
合が指摘された。
【0004】また、フェロクロム投入精錬にて得られた
含Cr粗溶鋼(例えばステンレス粗溶鋼)の溶鋼中炭素濃
度が目標値よりも高すぎるといったトラブルも起きがち
で、このような場合にはその後の脱炭精錬時間増加とそ
れに伴うCrの酸化損失増加が問題となる。逆に、得られ
た含Cr粗溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値よりも低くなる
こともしばしば起こり、この場合には酸化による脱炭反
応が進んだ分だけフェロクロム投入期間中におけるCrの
酸化損失も増大する結果となった。
【0005】なお、含Cr鋼の溶製に伴う幾つかの上記問
題は何もAODプロセスの場合のみに限られるものでは
なく、AOD炉の代わりに上底吹き転炉を使用した場合
等においても同様に指摘されるものであった。
【0006】そこで、ステンレス粗溶鋼を溶製する際に
問題となる“常温のフェロクロムを多量に使用すること
に起因するCrの酸化損失”の抑制策として、溶鋼中炭素
濃度[%C] 及び溶鋼温度がそれぞれ 2.8〜 4.0%及び1
300〜1450℃という特定範囲となった時点でフェ
ロクロムの連続投入を開始するとした方法が提案されて
いる(特開平6-240328号公報参照)。
【0007】しかしながら、フェロクロム投入開始時の
条件のみに着目した上記提案方法によっても実際操業に
おいてはそれほど顕著な効果は得られず、Cr酸化損失の
問題は依然として大きなものであった。
【0008】また、前述した「フェロクロム投入終了時
でのステンレス粗溶鋼の炭素濃度が目標よりも高い結果
になると、 その後のステンレス鋼溶製のための脱炭精錬
でのCr酸化損失の増加を招く」との問題や、「フェロク
ロム投入終了時でのステンレス粗溶鋼の炭素濃度が目標
よりも低い結果となったときには、 フェロクロム投入時
を通じて余分の酸化がなされたことになるのでその分だ
けCr酸化損失が増大している」といった問題も未解決の
ままであった。
【0009】なお、フェロクロム投入終了時でのステン
レス粗溶鋼の炭素濃度が目標よりも低い結果になると予
想された場合、フェロクロム投入途中に連続投入速度を
上げて炭素濃度が目標通りで投入終了するよう操作した
としても、結局は酸化傾向が高い状態での処理であるこ
とに変わりがないのでやはりCr酸化損失の増加を招く結
果となった。
【0010】このようなことから、本発明が目的とした
のは、銑鉄の脱炭精錬を行いながら漸次フェロクロムを
投入して含Cr鋼を溶製する際のCr酸化損失を顕著に抑制
し、溶製コストを極力低減するための手段を確立するこ
とであった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、次に示すような一連
の知見を得ることができた。
【0012】(1) 溶銑を脱炭精錬しながら漸次フェロ
クロムを投入して含Cr溶鋼とするための精錬において
は、“フェロクロム投入量”は含Cr鋼の溶製目標量とそ
のCr含有率並びにフェロクロム中Cr含有率によって定ま
るが、その際におけるCrの酸化損失量を左右する「操業
要因」としては、“酸素流量",“精錬容器内の溶鉄深
さ",“溶鉄攪拌動力(これは例えば製鉄研究314号等
にも開示されている公知の技術用語である) ",“フェロ
クロム投入量(これはフェロクロム中Cr含有率に影響さ
れる) ”及び“フェロクロム連続投入期間”が挙げら
れ、後述するように、これら操業要因とCr酸化損失との
間に特定の関係式が成立する,(2) また、実験研究の
結果、“酸素流量",“溶鉄深さ”等の操業要因にかかわ
らず、フェロクロム連続投入速度を下げるのに伴ってフ
ェロクロム連続投入期間でのCr酸化損失量は減少し、こ
の減少の程度は一定の値付近(ステンレス鋼のAOD精
錬の場合には後述するように溶鋼トン当り20kg以下程
度)で極小となるように収束する傾向となることが分か
った,(3) そこで、前記Cr酸化損失量の極小値付近を
操業時におけるCr酸化損失量の目標値とすれば、この目
標値と前記関係式とから、Cr酸化損失量を極力少なくす
ることができるフェロクロム連続投入期間を算出するこ
とができる,(4) ここで、フェロクロム連続投入速度
は、フェロクロム投入量とフェロクロム連続投入期間に
より決まるものであるから、前述の如く算出された“Cr
酸化損失量を極力少なくすることができるフェロクロム
連続投入期間”と“フェロクロム投入量”とから、Cr酸
化損失量を極力少なくすることができるフェロクロム連
続投入速度が算出される,(5) 一方、実験研究の結
果、精錬中の溶鉄における或る間隔期間(計算間隔)の
脱炭量は、該間隔(時間),酸素流量,アルゴン流量,
フェロクロム連続投入速度,目標とする溶鉄中炭素濃度
に基づいて数式化できる関係にあることが判明したの
で、この式からフェロクロム投入期間での脱炭量を的確
に予測することができる,(6) また、前記「或る間隔
期間」の直前の溶鉄中炭素濃度は、“目標とする溶鉄中
炭素濃度",“含Cr鋼の目標溶鋼量",“或る間隔期間の脱
炭量",“フェロクロム連続投入速度",“フェロクロム中
C含有量”及び“或る間隔期間(計算間隔)"に基づいて
数式化できる関係にあることも判明した,(7) そのた
め、前記 (5)項で予測した脱炭量と、フェロクロム投入
完了時での溶鉄中炭素濃度目標値(目標とする溶鉄中炭
素濃度)とを使えば、フェロクロム投入完了時点で所望
の溶鉄中炭素濃度を達成するための“フェロクロム投入
を開始する溶鉄中炭素濃度”を算出することができる。
(8) 従って、上述のようにして算出された「フェロク
ロム投入を開始する溶鉄中炭素濃度」と「Cr酸化損失量
が極力少ないフェロクロム連続投入速度」とに基づいて
フェロクロム投入を行えば、精錬でのCr酸化損失を極小
に抑え得る操業を安定して行えるようになる。
【0013】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、「溶銑を脱炭精錬しながら合金鉄であ
るフェロクロムを漸次投入して含Cr溶鋼とする溶鉄精錬
(フェロクロムを漸次投入して含Cr粗溶鋼とした後、 必
要により更に成分微調整の脱炭精錬を行っても良い)に
おいて、(a) 予備試験を通じて精錬の操業要因とCr酸化
損失との関係を数式化しておくと共に、 Cr酸化損失が極
小域となる付近の目標Cr酸化損失量を把握し、 前記数式
からフェロクロムの連続投入期間におけるCr酸化損失量
が前記目標Cr酸化損失量となるようにフェロクロムの連
続投入速度を算出する,(b) 予備試験デ−タを通じてフ
ェロクロム投入期間における脱炭量を予測すると共に、
該脱炭量を含む精錬の操業要因と前記脱炭前の溶鉄中炭
素濃度との関係を数式化しておき、 これらからフェロク
ロム投入完了時点での溶鋼中炭素濃度が含Cr溶鋼(ある
いは含Cr粗溶鋼)としての目標値となるように、 フェロ
クロム投入を開始する時点の溶鉄中炭素濃度を算出す
る,という上記(a), (b)の手法で得られた算出値に基づ
いて“フェロクロム投入を開始する時点の溶鉄中炭素濃
度”及び“フェロクロムの連続投入速度”を設定し、こ
れに従ってフェロクロム投入を行うことにより、 Cr酸化
損失を極力抑制して含Cr鋼を的確に溶製できにようにし
た点」に大きな特徴を有している。
【0014】つまり、本願発明は、「銑鉄の脱炭精錬を
行いながら漸次フェロクロムを投入して含Cr鋼を溶製す
る際のCrの酸化損失はフェロクロムを多量に使用するこ
とに起因するが、 フェロクロムは連続的に漸次投入され
るのであるからCrの酸化損失は結局は概ねフェロクロム
投入速度に依存する筈であり、 従ってこのフェロクロム
投入速度のコントロ−ルもCrの酸化損失抑制に極めて重
要である」との認識を出発点として完成されたものであ
って、フェロクロム投入開始時のみに着目した前記特開
平6−240328号公報所載の方法に比べてCrの酸化
損失抑制効果は著しく改善されるが、以下、本発明をそ
の作用と共により具体的に説明する。
【0015】
【作用】Cr含有溶鉄を脱炭する際に、溶鉄中Cr濃度 [%C
r],溶鉄中炭素濃度[%C] ,炉内ガス雰囲気のCOガス
分圧PCOによって定まるところの、Crの酸化に優先して
脱炭がなされる“優先脱炭領域”が存在することが知ら
れている。
【0016】即ち、下記 (1)式は「Hiltyの平衡式」と
して知られているものである。
【数1】
【0017】(1)式より、 [%Cr],[%C] ,炉内ガス雰
囲気組成(PCO)により一義的に決まる溶鉄温度T以上
を確保すれば、精錬は優先脱炭領域で行われることにな
り、Crの酸化を抑えることができることになる。このよ
うに、Crの酸化損失を抑制するためには優先脱炭領域で
精錬を行うことが必要であることが知られているが、上
記 (1)式は溶鉄中に予めCrが溶解していることを前提に
して導き出されたものである。
【0018】しかるに、実際操業においてフェロクロム
を連続投入する期間では、フェロクロムは常温のまま投
入されるのが普通であり、そのため投入されたフェロク
ロムの溶解によって溶鉄温度の低下が生じ、投入開始時
には溶鉄組成・温度が優先脱炭領域であったとしても
(即ち見掛け上は優先脱炭領域での処理が行われている
ようであったとしても)Crの酸化が生じてしまう結果と
なる。従って、溶鉄温度の低下を少なくするためには、
フェロクロムの連続的な投入の速度は遅いほど良い。し
かし、連続投入中でも脱炭が進んで[%C] は低下し、Cr
酸化損失が生じやすくなってしまうため、投入速度を遅
くするのにも限度がある。
【0019】更に、フェロクロム投入開始時期について
も、まず、通常は炭素濃度が約 4.0%である精錬初期の
溶銑を脱炭して、この脱炭による燃焼熱により所定の溶
鉄温度を確保することが必要があり、フェロクロムの投
入開始はその後になるので、Crの酸化が著しくならない
ようにフェロクロム投入開始タイミングを測るのは非常
に難しい。また、フェロクロム投入終了後、含Cr粗溶鋼
(例えばステンレス粗溶鋼)の目標値まで炭素濃度を下
げるための脱炭処理を行うと、この間の処理によってCr
酸化損失が増加する。
【0020】本発明にあっては、Cr酸化損失が最小量に
収まるフェロクロムの連続投入速度を算出すると共に、
フェロクロムの連続投入期間における脱炭量を予測し、
フェロクロム投入終了で溶鋼中炭素濃度が目標通りとな
るように、投入を開始する溶鉄中炭素濃度を算出する。
そして、これらの算出結果に基づいてフェロクロム投入
を行うことにより、含Cr粗溶鋼精錬でCr酸化損失が最小
量に抑制できる。
【0021】更に、このような本発明法によれば、フェ
ロクロムの投入終了後に目標含Cr粗溶鋼の値にまで溶鋼
中炭素濃度を下げるための脱炭処理を付加する必要がな
くなり、該処理でのCr酸化損失を増加させるとか、フェ
ロクロムの連続投入時間での脱炭量を低目に見積もりす
ぎたために途中で投入速度を上げてCr酸化損失を増加さ
せてしまうといった愚が防げる。
【0022】ここで、本発明を具体例に基づいて説明す
る。図1は、「溶銑を脱炭精錬しながらフェロクロムを
漸次投入してステンレス溶鋼とする(フェロクロムを漸
次投入してステンレス粗溶鋼とした後、 更に成分微調整
のための脱炭精錬する場合も含む)本発明法」の実施に
使用する“Cr酸化損失抑制装置”例の構成を示す模式図
的ブロック図である。
【0023】図1において、「フェロクロムの組成」に
関するデ−タがCr酸化損失抑制装置1の“フェロクロム
投入量算出部2”へ投入されるようになっている。ま
た、「精錬開始前溶鉄の溶鉄量,溶鉄組成,溶鉄深さ」
に関するデ−タは、“フェロクロム連続投入期間及び投
入速度算出部3”へ与えられるようになっている。「操
業予定の酸素流量,アルゴン流量」に関するデ−タは
“フェロクロム連続投入期間及び投入速度算出部3”及
び“フェロクロム投入を開始する溶鉄中炭素濃度算出部
4”に与えるようになっている。そして、「ステンレス
粗溶鋼目標溶鋼量やその組成」に関するデ−タは、“フ
ェロクロム投入量算出部2”と“フェロクロム連続投入
期間及び投入速度算出部3”と“フェロクロム投入を開
始する溶鉄中炭素濃度算出部4”に与えるようになって
いる。
【0024】さて、“フェロクロム投入量算出部2”で
は、前述の如き入力信号に基づいてフェロクロム投入量
を求め、求めた投入量を“フェロクロム連続投入期間及
び投入速度算出部3”に与えるようになっている。“フ
ェロクロム連続投入期間及び投入速度算出部3”では、
前述の如き入力信号に基づいてフェロクロムの連続投入
期間及び投入速度を求め、求めた連続投入期間及び投入
速度を“フェロクロム投入を開始する溶鉄中炭素濃度算
出部4”に与えると共に、連続投入速度は“表示器5”
に表示するようになっている。“フェロクロム投入を開
始する溶鉄中炭素濃度算出部4”では、前述の如き入力
信号に基づいてフェロクロム投入を開始する溶鉄中炭素
濃度を求めるが、求めた溶鉄中炭素濃度はやはり“表示
器5”に表示するようになっている。
【0025】Cr酸化損失抑制装置1による“フェロクロ
ム連続投入速度の算出方法”並びに“フェロクロム投入
を開始する溶鉄中炭素濃度の算出方法”は次の通りであ
る。
【0026】まず、フェロクロム投入量は下記 (2)式に
よって求められる。
【数2】
【0027】本発明者等がフェロクロム連続投入期間で
のCr酸化損失について鋭意研究を重ねた結果、フェロク
ロム連続投入期間でのCr酸化損失量は下記 (3)式で表せ
ることが判明した。
【数3】 なお、定数a1,a2,a3,a4,a5は操業要因に対するCr酸
化損失量の応答性によって決まるものである。
【0028】ところで、図2は、ステンレス鋼精錬での
フェロクロム連続投入速度とCr酸化損失量の関係を整理
した結果である。なお、図2では、精錬において酸素流
量,アルゴン流量,溶鉄深さが同じであった場合には同
一の印でCr酸化損失量を表示した。そして、上記図2に
示される結果から、ステンレス鋼精錬においては、酸素
流量等にかかわらずフェロクロム連続投入速度を下げれ
ば溶鋼トン当り20kgまでCr酸化損失量を低下させるこ
とが可能であることが判明した。
【0029】そこで、前記 (3)式より、Cr酸化損失が溶
鋼トン当り20kg以下となるフェロクロム連続投入期間
tを求めるための下記 (4)式が導かれる。
【数4】
【0030】上記 (4)式を変形して得られる下記 (5)式
は、フェロクロム連続投入期間の2次方程式であり、根
を求めることができる。
【数5】
【0031】そして、上記 (5)式の根を基にフェロクロ
ム連続投入速度は下記 (6)式により求められる。
【数6】
【0032】一方、本発明者等が種々検討した結果、フ
ェロクロム投入を開始する溶鉄中炭素濃度は下記 (7)式
及び (8)式で求められることが判明した。
【数7】 なお、定数b1,b2は操業要因に対する脱炭量の応答性に
よって決まるものである。
【0033】
【数8】
【0034】つまり、前記 (7)式中の[%C] n へは、最
初、ステンレス粗溶鋼目標溶鋼炭素濃度を与える。そし
て、 (7)式により得られた脱炭量を上記 (8)式へ代入
し、計算間隔Δt前の[%C] を得ることができる。そし
て、このようにして得られた[%C] を前記 (7)式へ再度
与える。これを、計算間隔の合計がフェロクロム連続投
入期間となるまで繰り返すことにより、フェロクロム投
入を開始する時点の溶鉄中炭素濃度が得られる。なお、
計算間隔としては、微小時間(例えば 0.1分)を用いれ
ば良い。
【0035】続いて、本発明を実施例によって説明す
る。
【実施例】溶銑をAOD炉で脱炭精錬しながらフェロク
ロムを漸次投入してステンレス粗溶鋼とする(必要に応
じてフェロクロムを漸次投入してステンレス粗溶鋼とし
た後更に成分微調整のための脱炭精錬を行った)ステン
レス鋼精錬を実施した際、前記図1に示したようなCr酸
化損失抑制装置を用い、前記式(2) 〜(8) に従って“フ
ェロクロム投入を開始する時点の溶鉄中炭素濃度”及び
“フェロクロムの連続投入速度”を算出し、その結果に
基づいてフェロクロム投入を行った。
【0036】なお、ステンレス鋼精錬における本発明例
での条件は次の通りであった。 〔精錬開始前溶鉄〕 溶鉄量 : 65000 (kg), 溶鉄中炭素濃度: 4.00 (%), 溶鉄中Cr濃度 : 0.0 (%), 溶鉄深さ : 122 (cm)。 〔予定操業因子〕 酸素流量 : 163 (Nm3/分), アルゴン流量 : 18 (Nm3/分)。 〔ステンレス粗溶鋼目標〕 溶鋼量 : 85000 (kg), 溶鋼中炭素濃度: 0.35 (%), 溶鋼中Cr濃度 : 16.0 (%)。 〔フェロクロム組成〕 Cr含有率 : 55.6 (%), C含有率 : 7.4 (%)。
【0037】〔前記 (5)式中の定数〕 a1 : 4.96, a2 :−3.08, a3 :−1.70, a4 : 2.433, a5 :850 。 〔前記 (7)式中の定数〕 b1 : 1.05, b2 :−0.000033 。
【0038】一方、比較例の条件としては、上記の“精
錬開始前溶鉄”及び“ステンレス粗溶鋼目標”及び“フ
ェロクロム組成”は同じとしたが、本発明方法を実現す
るために使用されるCr酸化損失抑制装置1の表示部のみ
を停止させ、現場操業者の従来手法(勘)に従ってフェ
ロクロム投入を実施した。なお、本発明例及び比較例と
も、精錬での酸素流量,アルゴン流量は操業予定値を使
用した。
【0039】図3は、本発明例(A例)及び比較例(B
例,C例)に関しての“フェロクロム連続投入のタイム
チャ−ト”と“溶鋼分析値より求められたCr酸化損失
量”を比較したものである。図3から明らかな如く、比
較例では溶鋼トン当り25〜37kgもあったCr酸化損失
量が、本発明法により20kgに抑制ができたことが分か
る。
【0040】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、溶銑を脱炭精錬しながら合金鉄であるフェロクロム
を漸次投入して含Cr溶鋼とする溶鉄精錬において「Cr酸
化損失が最小量に収まるフェロクロムの連続投入速度」
及び「フェロクロム投入終了時において溶鋼中炭素濃度
がステンレス粗溶鋼の目標通りとなるような投入開始溶
鉄中炭素濃度」を算出し、これらの算出値に基づいてフ
ェロクロム投入を行うようにしたので、Cr酸化損失を極
小値にまで低減することが可能となり、還元剤(フェロ
シリコン,Al等)や媒溶剤(生石灰等)の著しい低減効
果、更には精錬容器耐火物の著しい寿命延長効果等が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するためのCr酸化損失抑制装置
例の構成を示す模式図的ブロック図である。
【図2】ステンレス鋼精錬でのフェロクロム連続投入速
度とCr酸化損失量の関係を整理した図である。
【図3】本発明例と比較例とのフェロクロム連続投入態
様とCr酸化損失量の実績を比較した図である。
【符号の説明】
1 Cr酸化損失抑制装置 2 フェロクロム投入量算出部 3 フェロクロム連続投入期間及び投入速度算出部 4 フェロクロム投入を開始する溶鉄中炭素濃度算出部 5 表示器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑を脱炭精錬しながら合金鉄であるフ
    ェロクロムを漸次投入して含Cr溶鋼とする溶鉄精錬にお
    いて、下記(a), (b)の算出値に基づいて“フェロクロム
    投入を開始する時点の溶鉄中炭素濃度”及び“フェロク
    ロムの連続投入速度”を設定し、これに従ってフェロク
    ロム投入を行うことを特徴とする、含Cr鋼を溶製するた
    めの溶鉄精錬方法。 (a) 予備試験を通じて精錬の操業要因とCr酸化損失と
    の関係を数式化しておくと共に、Cr酸化損失が極小域と
    なる付近の目標Cr酸化損失量を把握し、前記数式からフ
    ェロクロムの連続投入期間におけるCr酸化損失量が前記
    目標Cr酸化損失量となるようにフェロクロムの連続投入
    速度を算出する,(b) 予備試験デ−タを通じてフェロ
    クロム投入期間における脱炭量を予測すると共に、該脱
    炭量を含む精錬の操業要因と前記脱炭前の溶鉄中炭素濃
    度との関係を数式化しておき、これらからフェロクロム
    投入完了時点での溶鋼中炭素濃度が含Cr溶鋼の目標値と
    なるように、フェロクロム投入を開始する時点の溶鉄中
    炭素濃度を算出する。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101356916B1 (ko) * 2012-06-26 2014-01-28 주식회사 포스코 스테인리스강 제조용 용선탈탄방법

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