JPH09208461A - 活性酸素種消去剤及び退色防止剤 - Google Patents

活性酸素種消去剤及び退色防止剤

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JPH09208461A
JPH09208461A JP1460196A JP1460196A JPH09208461A JP H09208461 A JPH09208461 A JP H09208461A JP 1460196 A JP1460196 A JP 1460196A JP 1460196 A JP1460196 A JP 1460196A JP H09208461 A JPH09208461 A JP H09208461A
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Hiroaki Tsuji
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慎一郎 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スーパーオキサイドやヒドロキシラジカル等
の活性酸素種を消去することができる効果が顕著である
新規な活性酸素種消去剤及び退色防止効果の持続性に優
れ、かつ安全性の高い退色防止剤を提供すること。 【解決手段】 下記の式で示されるリグナン化合物又は
その類縁体を有効成分としてなる活性酸素種消去剤又は
退色防止剤。 【化3】 (式中、Glc はグルコース残基、Gal はガラクトース残
基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スーパーオキサイ
ドやヒドロキシラジカル等の活性酸素種を消去するのに
有効な活性酸素種消去剤、及び魚介類、水産加工品、畜
産加工品、野菜や果実等の退色(褐変)を防止するのに
有効な退色防止剤に関するものである。
【従来の技術】生物は、酸素を利用することによって生
存に必要なエネルギーを効率的に得ている。しかしなが
ら、このようなエネルギー代謝のうち酸素が水に変換さ
れる過程で、中間体として活性酸素種が生じる。一般に
この活性酸素種としては、マクロファージの刺激等によ
って放出されるスーパーオキサイド、放射線の被爆等に
よって生成されるヒドロキシラジカル等が知られてい
る。これらの活性酸素種は過度の放射線や紫外線の照
射、化学物質やタバコの摂取等の外的誘因と虚血再還
流、炎症、ストレス、老化等の内的要因とが原因となっ
て生成する。このようにして生体内で過剰に生成する活
性酸素種は、一般に化学的反応性が高く、生体内で隣接
する脂質や核酸、蛋白質等の成分と容易に反応し、さま
ざまな疾病に繋がる酸化的障害をもたらす。
【0002】従って、スーパーオキサイドやヒドロキシ
ラジカルで代表される活性酸素種を効率的に消去する活
性を有する活性酸素種消去物質は、生体内または食品や
医薬品、農薬等に含まれる成分の酸化的劣化の防御剤と
して有用であり、食品産業、特に水産加工品、健康食
品、栄養食品のほか、医薬品、農薬や化粧品等の分野に
おいて実利的な利用が期待されている。このため、さま
ざまな活性酸素種消去物質が、主に天然物由来の原料か
ら抽出され、その応用が検討されている。例えばスーパ
ーオキサイドを消去する酵素蛋白質であるスーパーオキ
シドジスムターゼ(SOD) は、ウシやラットからの調製が
検討され、ヒドロキシラジカル消去活性を有するものと
してマンニトール、トリプトファン、ギ酸等があげられ
ている( 例えば、大柳善彦著、「SODと活性酸素種調
製剤−その薬理的作用と臨床応用」、第224 〜228 頁、
日本医学館、1989年)。
【0003】しかしながら、SODは酵素蛋白質である
ため熱、pHなどに対する安定性が乏しく、さらには経
口投与の場合、投与した酵素のほとんどは消化、排泄さ
れてしまい、その実行力は極めて低かった。また、ヒド
ロキシラジカルを微量で効率的に消去できる実用的なヒ
ドロキシラジカル消去剤は現在のところほとんど存在し
ない。従って、これら活性酸素種消去剤を工業的に多量
に、かつ安定に入手することは困難なのが現状である。
また、通常、SODはスーパーオキサイドに対してのみ
消去効果を有し、ヒドロキシラジカルに対しては全く効
果がない。同様にマンニトールはヒドロキシラジカルに
対して消去活性があるが、スーパーオキサイドを消去す
ることができない。このようにスーパーオキサイドやヒ
ドロキシラジカルで代表される活性酸素種を消去する活
性を有する有効成分の安定供給が望まれているにも関わ
らず、これまで工業的に実用化された例はほとんど無
い。
【0004】一方、魚介類、水産加工品、畜産加工品、
野菜および果実等の退色及び褐変は、消費者の目による
嗜好性に反し、鮮度そのものとは無関係に商品価値を低
下させている。例えば、牛肉等の肉類や鮪、鰹等赤身魚
に含まれるミオグロビンは空気中で光線に曝されると極
短時間にメト化し、ミオグロビン分子中の鉄原子が二価
から三価になることにより、肉色は鮮紅色から茶褐色に
変化する。鯛のように体表にアスタキサンチン色素をも
つ赤魚は、空気、光線、脂肪酸化酵素等の働きで、冷凍
保存中といえども退色し、牛肉同様に嗜好性は低下す
る。この現象は単にミオグロビン、アスタキサンチン等
の色素の変化であり、肉の鮮度とは関係なく進行する。
野菜や果実では、それ自身に含まれる酵素の働きによっ
て退色あるいは褐変が起こる。例えば、緑黄色野菜に含
まれるカロチノイド色素はリポキシダーゼやペルオキシ
ダーゼの作用によって分解する。果実では、リンゴ、バ
ナナ、アンズ等のように組織中にポリフェノールオキシ
ダーゼ類をもつものは、果皮を剥いで放置すると直ちに
褐変を起こす。褐変により嗜好性は著しく低下し商品価
値は激減する。また、野菜中のカロチノイド類は、酵素
の不活性化処理が施されても、光や熱等によって容易に
分解されてしまう。
【0005】従来、水溶性の退色防止剤としては還元性
物質であるL−アスコルビン酸ナトリウム、没食子酸、
茶葉抽出物(カテキン類)が利用され、また発色剤とし
ては亜硝酸ナトリウム等を使用することにより食品等の
色合いを保持することが試みられてきたにすぎない。し
かしながら、L−アスコルビン酸のような還元性物質を
単独使用すると、それ自体が短時間に酸化されてしま
い、このため退色防止効果はさして強力なものではなか
った。カテキン類にはそれ自体に特有の苦味や渋味があ
り、実用面での使用量には制約があり、退色防止効果に
も限界があった。また亜硫酸ナトリウムはその安全性に
ついて検討の余地がある。
【0006】ところで、食品原材料として常用される天
然物の一つにアマ種子がある。アマ種子は古くから栽培
されてきた植物であり、現在でも赤道直下や極寒地帯を
除いた世界の広い地域で栽培され、油糧用としてのみな
らず、繊維用作物あるいは薬用植物として重要である。
アマ種子は一部の東欧やロシア地方で食用として利用さ
れているが、リノレン酸含量の多いアマニ油は乾燥性が
高いという性質から、塗料や印刷インキ、リノリウム、
油紙等の原料として、またアマニ油粕は乳牛、肉牛、め
ん羊の飼料用蛋白としても広く用いられている。すなわ
ちアマ種子は、比較的安定に入手可能な、また人体にと
って安全性の高い植物材料であるといえる。
【0007】近年、アマ種子に特徴的な物質としてフェ
ノール基を2つ有するリグナン化合物の生理的作用が注
目されている。ここでリグナン化合物とは、p-ヒドロキ
シベンゼンプロパン単位の酸化的縮合物質のうち、低分
子量のものであると一般に定義されている。アマ種子は
リグナン類であるSecoisolariciresinol(2,3-bis(3-me
thoxy-4-hydroxybenzyl)butane-1,4-diol 、以下SIL
と略することがある)をアグリコンとし、これにグルコ
ースなどの糖が複数結合したSecoisolariciresinol di
-glycoside( 以下SDGと略することがある)や前記糖
が単数結合したSecoisolariciresinol mono-glycoside
( 以下SMGと略することがある)を多く含有する。S
DGやSMGはアマ種子またはその脱脂粕を摂食する哺
乳類等の生体内に存在する腸内細菌等の作用によって化
学構造が変換され、生理活性を有するEnterodiolやEnte
rolactone となる。これらの物質は乳癌や結腸癌に対す
る強い抗癌活性を有することが解かっている。アマ種子
は、その他の食用植物に比べこのSDGやSMGを極め
て多量に含有することが示されており、生理活性リグナ
ン類の前駆体としてこれを利用することが効果的である
ことが報告されている(たとえばS.C.Cunnane and L.U.
Thompson著、「Flaxseed in Human Nutrition 」、第21
9 〜236 頁、AOAC press、1995年)。
【0008】このように、これまでアマ種子に多く含ま
れるSDGやSMGはEnterodiolやEnterolactone の前
駆体としての有用性が主に検討されてきた。しかしなが
ら、このSDGやSMGやその糖鎖加水分解物であるS
ILあるいはその脱水物である3,4-bis(3-methoxy-4- h
ydroxybenzyl)tetrahydrofran (以下MHBTと略する
ことがある)が及ぼす前記以外の生理的機能やその応用
例に関しては、これまでほとんど知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スーパーオ
キサイドやヒドロキシラジカル等の活性酸素種を消去す
ることができる効果が顕著である新規な活性酸素種消去
剤を提供することを目的とする。本発明は、又、退色防
止効果の持続性に優れ、かつ安全性の高い退色防止剤を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、アマ種子に含
まれる特定のリグナン化合物が、優れた活性酸素種消去
作用を有し、又退色防止剤としてもすぐれており、該リ
グナン化合物によれば上記課題を効率的に解決できると
の知見に基づいてなされたのである。すなわち、本発明
は、下記の一般式(I)で示されるリグナン化合物を有
効成分としてなる活性酸素種消去剤を提供する。
【0011】
【化7】
【0012】(式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立して水
素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R5 とR6 はそ
れぞれ独立してヒドロキシル基、あるいはグルコース、
ガラクトースおよびフルクトースからなる群から選ばれ
る1種または2種以上の糖が1〜3個グリコシド結合し
た前記糖鎖残基、あるいはR5 とR6 が一緒になって酸
素原子を表す。) 本発明は、又、上記一般式(I)で示されるリグナン化
合物を有効成分としてなる退色防止剤をも提供する。
【発明の実施の形態】本発明で用いる一般式(I)で示
されるリグナン化合物のうち、下記の一般式(II)で表
される化合物が好ましく、さらに下記の構造式(II-a)、
(II-b)、(II-c)および(II-d)で表される化合物から選ば
れる化合物が好ましい。
【0013】
【化8】
【0014】(式中、R7 およびR8 は同一もしくは異
なり、それぞれ独立してヒドロキシル基、あるいはグル
コース、ガラクトースおよびフルクトースからなる群か
ら選ばれる1種類または2種以上の糖が1〜3個グリコ
シド結合した前記糖鎖残基、あるいはR7 とR8 が一緒
になって酸素原子を表す)
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】
【化11】
【0018】
【化12】
【0019】(式中、Glcはグルコース残基、Galはガ
ラクトース残基を表す。) 本発明で用いる上記リグナン化合物であるSDGやSM
Gあるいはその糖鎖加水分解物であるSILあるいはそ
の脱水物であるMHBTは、化学的合成法により合成可
能であるが、例えばアマ種子を原料として以下に述べる
抽出方法により容易に調製することができる。具体的に
は、まずアマ種子をミキサーやブレンダー、ホモジナイ
ザー等の粉砕機により粉砕する。ここで用いるアマ種子
は、国内産、カナダ産等の産地、栽培用あるいは搾油用
の品種を問わず使用でき、焙煎あるいは非焙煎の処理の
有無に関係なく原料として使用できる。また搾油工程中
に産出されるアマニ圧扁物や油粕を原料としてもよい。
得られた粉砕物は、n-ヘキサン等の脂溶性有機溶媒で油
分を完全に抽出して除去した脱脂物としてもよい。次に
SDGやSMGを抽出可能な低級アルコール又はその含
水物を前記粉砕物あるいはその脱脂粕に対して1〜10倍
(v/wt)(ただし、v :容量、wt:重量を示す。以下同
じ。)添加し、必要に応じて粉砕および抽出操作を繰り
返し行い、デカンテーション、遠心分離、ろ過等の常法
により固形物を除去した後、水分及びアルコール分を常
圧又は減圧にて加熱又は非加熱で除き、アルコール抽出
物を得る。該アルコール抽出物は本発明に関わるSDG
やSMGを含む混合物である。
【0020】ここで用いる低級アルコールまたはその含
水物としては、炭素数1〜4の直鎖状もしくは側鎖状低
級アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロ
パノール、イソプロパノール、n-ブタノール等に必要に
応じて水を混合し、アルコール濃度を30〜100 %(v/v)
、好ましくは40〜100 %(v/v )、より好ましくは40
〜90%(v/v) 、最も好ましくは50〜80%(v/v) に調節し
たものがよい。30%(v/v) 未満のアルコール濃度では、
アマ種子に特有の粘質物が溶出してその後の操作が困難
になるおそれがある。
【0021】なお、前記アルコール抽出物中の本発明に
関わるリグナン化合物以外の脂溶性の不純物を除くため
に、以下のような溶媒抽出処理を行うこともできる。す
なわち、アルコール抽出物に対して2〜10倍(v/wt)の
非水溶性有機溶媒、例えばクロロホルムやn-ヘキサンと
水を加えて抽出し、遠心分離などにより二相に分離す
る。有機溶媒相を除き、水相を濃縮乾固させる。このと
き目的のSDGやSMG等のリグナン化合物は水相側に
濃縮される。これを減圧乾燥して濃縮すれば、本発明に
関わるSDGやSMGを多量に含む抽出画分(粗リグナ
ン配糖体濃縮物)を得ることができる。かくして得られ
る粗リグナン配糖体濃縮物は、いずれも前記構造式
(I)で示されるものの混合物であり、その主成分は前
記構造式(II-a)や(II-b)で示されるSDGやSMG
である。
【0022】なお前記したアルコール抽出物および粗リ
グナン配糖体濃縮物は、必要に応じてシリカゲル、オク
タデシルシリカ(ODS)等の吸着剤を使用して、成分
を分画、精製することもできる。すなわち、例えばOD
Sを充填したカラムを作成し、これを水で平衡化した
後、前記アルコール抽出物又は粗リグナン配糖体濃縮物
を負荷率0.1 〜5%(wt/v)で供し、含水アルコール溶
媒(アルコールとしてメタノール、エタノール、n-プロ
パノール、イソプロパノール、n-ブタノール等)を用
い、アルコール濃度を順次増加させる段階溶出法もしく
は連続的溶出法により、所定の画分を溶出させる。なお
ここに得られる溶出画分は、必要に応じてさらに前記吸
着剤を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分
取液体クロマトグラフィー等に供して各成分をより一層
高純度に精製することもできる。本発明では、かくして
SDGやSMG等の水溶性のリグナン化合物が得られ、
該リグナン化合物として前記アルコール抽出物、粗リグ
ナン配糖体濃縮物あるいは高純度精製物のいずれかを使
用でき、あるいはこれらを混合して使用することができ
る。
【0023】次にアマ種子より得た前記アルコール抽出
物又は粗リグナン配糖体濃縮物から、SILおよびMH
BTを調製する方法について述べる。前記アルコール抽
出物又は粗リグナン配糖体濃縮物中にはSDGやSMG
が多量に含まれているため、これを酵素または酸性物質
を用いて加水分解することによりSDGやSMGから前
記構造式(II-c)や(II-d)で示されるSILまた
はMHBTを容易に得 ることができる。ただし、MH
BTは酸加水分解反応でSILから二次的に生成する脱
水物であり、酵素加水分解反応では得られない成分であ
る。前記アルコール抽出物又は粗リグナン配糖体濃縮物
を水または適当な緩衝液に分散させ、糖鎖加水分解酵素
であるβ- グルコシダーゼやセルラーゼ、α- グルコシ
ダーゼ、β- ガラクトシダーゼ、α- ガラクトシダー
ゼ、アミラーゼ、グルクロニダーゼ等のグリコシダーゼ
類のうち1種又は複数種を加え、あるいはこれら酵素剤
を活性炭やセライト等の適当な担体に固定化し、連続使
用並びに回収再使用を可能としたものに供し、10〜60℃
にて前記酵素と1〜48時間接触せしめ、前記酵素の作用
によりSDGやSMGの糖鎖を切断するか、前記アルコ
ール抽出物又は粗リグナン配糖体濃縮物に塩酸、硫酸、
リン酸、有機酸などの酸の存在下、50〜200℃にて30分
〜5時間加温すればよい。SDGやSMGから生成する
SILあるいはMHBTは、脂溶性のリグナン化合物で
あるため、酵素または酸加水分解反応液から、極性の低
い有機溶剤で水に対して難溶性のn-ヘキサン、クロロホ
ルム、酢酸エチル等を用いて効率的に抽出できる。抽出
した有機溶媒相を濃縮することにより粗リグナン濃縮物
を得ることができる。
【0024】なお必要に応じてシリカゲル、オクタデシ
ルシリカ(ODS)等の吸着剤を使用して、SILまた
はMHBTを分画、精製することもできる。すなわち高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分取液体クロマト
グラフィー等に供して各成分をより一層高純度に精製す
ることもできる。本発明では、このようにして得た脂溶
性の粗リグナン濃縮物、SIL またはMHBTをそのまま又は
混合して使用することができる。
【0025】なお、本発明の有効成分であるSDGやS
MG、SILまたはMHBTの生成方法および抽出法
は、以上に述べられた方法に限られるものではない。さ
らにはこれらの有効成分を主成分とする抽出物の原料は
アマ種子もしくはその焙煎物、それらの粉砕物および脱
脂粕に限定されるわけではなく、上記本発明の一種であ
るSILを含む天然原料、たとえばカラマツの心材、パ
ラナ松の樹脂等を全て使用できる(例えば特開平7-2571
9 号公報)。一方、ヒドロキシル基を含む化合物に糖鎖
を付加し配糖体を合成する方法として、例えば糖転移酵
素の作用を利用した生化学的方法や金属触媒を利用した
化学的方法が汎用的に用いられている。SDGを原料と
して、糖種あるいは糖数を要望に応じて任意に変えたリ
グナン配糖体を合成することができる。
【0026】すなわち、例えば糖転移酵素の作用を利用
した生化学的方法で行う場合、糖転移活性を有する酵素
であるグリコシダーゼ類、例えばβ- グルコシダーゼ、
α-グルコシダーゼ、β- ガラクトシダーゼ、α- ガラ
クトシダーゼ、サイクロデキストリン合成酵素、β- フ
ラクトフラノシダーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ等を単
独にもしくは組み合わせて利用することができ、糖供与
体はグルコース、ガラクトース等の単糖類、セロビオー
ス、ショ糖等の2糖類、ラフィノース等のオリゴ糖類、
あるいは多糖類等を利用することができる。ただし配糖
体の糖鎖を構成する糖種を限定する場合は、それに応じ
糖転移酵素および糖供与体を適宜に選択する必要があ
る。これらの糖転移酵素および糖供与体をSILを含む
濃縮物または精製物に加え、緩衝液または水で溶解し10
〜60℃で加温または室温条件で1〜100 時間反応させ
る。反応液からのリグナン配糖体の抽出および精製は、
上述の分配抽出法、カラム分画および分取HPLCを利用す
ることができ、目的のリグナン配糖体を有する濃縮物お
よび精製物を得ることができる。
【0027】本発明の活性酸素種消去剤及び退色防止剤
は、上記リグナン化合物単独からなるものでもよく、又
上記リグナン化合物を有効成分とし、これらの有効成分
と適当な希釈剤もしくは担体との組成物の形態であって
もよい。このような希釈剤もしくは担体の例としては、
例えばアラビアガム、キサンタンガム、デキストリン、
シクロデキストリン、デンプン、グルコース、シュクロ
ース、ラクトース、キシロース、ガラクトオリゴ糖、キ
シロオリゴ糖等の固体希釈剤もしくは担体;更に、例え
ば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリ
ン、乳化剤等のごとき液体希釈剤もしくは担体を1種ま
たは2種以上配合した組成物とすることができる。
【0028】乳化剤のうち親油性乳化剤として好適なも
のは、市販の各種グリセリン脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油およびレシチン等が挙げられる。親水性乳
化剤として好適なものとしては、市販の各種アニオン
系、非イオン系、カチオン系、両性系の種々の乳化剤を
使用することができる。
【0029】アニオン系乳化剤としては、例えば石鹸N
−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸、ア
シル化ペプチド等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸、およびそのホルマリン縮合物、ジアルキ
ルスルホコハク酸エステル塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、N−アシルメチルタウリン等のスルホン酸塩、硫
酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ア
ルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩の
ような硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、アルキルエ
ーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩のよ
うなリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0030】また非イオン系乳化剤としては、例えばポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮
合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型界面活
性剤、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビトール脂肪酸エステルのようなエーテル
エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール
脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂
肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステルのようなエステル型界面活性剤、脂肪酸
アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミ
ンオキサイドのような含窒素型界面活性剤等が挙げられ
る。カチオン系乳化剤としては、例えばアルキルアミン
塩、4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ピリジ
ニウム塩等が挙げられ、さらに両性系乳化剤としては、
例えばカルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イ
ミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0031】本発明の活性酸素種消去剤は、上記形態
で、又はさらに助剤や添加物と共に製剤化して経口、非
経口の製品として、飲食品、水産加工品、化粧品、医薬
部外品、医薬品、農薬等の分野で利用することができ
る。なお、添加量は対象とする製品の種類および形態に
よって一律には規定しがたいが、アルコール抽出物の場
合には100ppm〜100,000ppm、より好ましくは1,000ppm〜
100,000ppm、粗リグナン配糖体濃縮物および粗リグナン
濃縮物の場合には10ppm 〜50,000ppm 、より好ましくは
100ppm〜10,000ppm 、また高純度精製物の場合には0.1p
pm〜10,000ppm 、より好ましくは1ppm 〜1,000ppmとす
るのがよい。一方、本発明の退色防止剤は、上記有効成
分のほかに所望により従来既知の退色防止剤又はシネル
ギストを配合することができる。上記式で表されるリグ
ナン化合物、アマ種子から得られる搾油粕(油粕、脱脂
物)あるいはアルコール抽出物に配合もしくは併用でき
る退色防止剤を例示すると、アスコルビン酸、アスコル
ビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナ
トリウム、没食子酸、没食子酸プロピルエステル、アス
コルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート
等を挙げることができ、その中から1種または2種以上
の化合物を使用することができる。これらのうち、L−
アスコルビン酸又はその塩を用いるのが好ましい。アマ
種子から得られる搾油粕あるいはアルコール抽出物と併
用できるシネルギストとして、ポリリン酸ナトリウム、
ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン
酸カリウム、クエン酸、クエン酸3ナトリウム、クエン
酸3カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸2ナトリウム、リン
ゴ酸2カリウム、酒石酸、酒石酸2ナトリウム、酒石酸
2カリウム、フマル酸、フマル酸2ナトリウム、フマル
酸2カリウム、アジピン酸、アジピン酸2ナトリウム、
アジピン酸2カリウム、クエン酸モノグリセリド、リン
ゴ酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、フマル酸
モノグリセリド、アジピン酸モノグリセリド、トコフェ
ロール等が挙げられ、その中から、1種または2種以上
を使用することができる。該組成物中の有効成分の濃度
は厳密には制限されないが、通常約0.1〜約40重量%
の範囲内が好適である。更に該退色防止剤は任意の剤形
に調製することができ、例えば、粉末状、顆粒状、液
状、乳液状、ペースト状その他任意の剤形とすることが
できる。
【0032】本発明の退色防止剤を用いて退色を防止し
得る対象物としては、例えば魚介類の場合、鮪、鮭、鱒
等の赤身の魚の魚肉、鯛類等の赤魚の体表、エビ、カニ
等甲殻類の体表、タコ、イカ類等の軟体動物、ホタテ、
アワビ、アカガイ等の貝類等、水産加工品の場合、魚肉
ソーセージ、蒲鉾、竹輪、魚の塩漬け、魚の干し物等、
畜産加工品の場合、畜肉、ハム、ソーセージ等、野菜類
は、ニンジン、ピーマン、レタス、キャベツ等、果実の
場合は、リンゴ、ブドウ、オレンジ等各種果汁、バナナ
の黒変防止等を挙げることができる。前記の魚介類、水
産加工品、畜産加工品、野菜および果実等に対する本発
明の退色防止剤の添加量は、アルコール抽出物を単独使
用した場合、直接投与で10ppm 〜100,000ppm、望ましく
は50ppm 〜50,000ppm 、浸漬などの間接投与で100ppm〜
200,000ppm溶液、望ましくは500ppm〜100,000ppm溶液と
して使用する。また前記の粗リグナン配糖体濃縮物また
は粗リグナン濃縮物を単独使用の場合には、直接投与で
1ppm〜100,000ppm、望ましくは5ppm〜50,000ppm 、間接
投与では10ppm〜200,000ppm、望ましくは50ppm 〜100,0
00ppmとするのがよい。高純度精製物を同様に用いる場
合には、直接投与で0.1ppm〜100,000ppm、望ましくは1p
pm〜50,000ppm 、間接投与では1ppm〜200,000ppm、望ま
しくは10ppm 〜100,000ppmとするのがよい。本発明の退
色防止剤には前記のアマ種子またはその焙煎物から得ら
れるアルコール抽出物、その濃縮物および精製物、その
加水分解物等のほかにアマ種子またはその焙煎物の搾油
粕をそのまま添加してもよい。搾油粕を単独使用した場
合は、アルコール抽出物の添加量の5 〜10倍が望まし
く、上限は100,000ppmである。数百ppm 程度の添加量で
持続性の高い退色防止効果が得られるが、カテキン等の
ような苦味や渋味もないし、また食品素材として安全性
も高いので添加量について特に制約を設けるものではな
い。前記添加量未満では退色防止効果が弱く、搾油粕の
場合は100,000ppmを超えて添加すると粘性が生じてしま
う。アルコール抽出物の場合は200,000ppmを超えて添加
しても粘性が生じることはないが、該添加量に見合うさ
らなる効果は望めない。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、スーパーオキサイドや
ヒドロキシラジカルを同時に効果的に消去し得る活性を
有する活性酸素種消去剤が提供される。又、本発明の退
色防止剤は、現在使用されているアスコルビン酸などと
比較して、はるかに強力な退色防止効果をもち、効力の
持続安定性の面でも優れている。また、無味無臭で添加
した食材の風味にも影響を与えない点で優れている。次
に実施例により本発明を説明する。
【実施例】
実施例1 カナダ産アマ種子1000gをブレンダーにて粉砕後、
3倍量(v/wt)のn-ヘキサンを加え、60℃で3時間還
流させ抽出を行った。ろ過後得られた脱脂粕のうち50
gを風乾し、これに3倍量(v/wt)のアルコール濃度:
80重量%(以下、%と略称する)の含水メタノールを加
え、60℃で5時間還流し抽出した。放冷後全量をろ過
し、ろ液を濃縮乾固してメタノール抽出物70gを得
た。
【0034】実施例2 実施例1で得られたメタノール抽出物30gを、ODS
を担体とする分配クロマトグラフィーに繰り返し供し
た。すなわちYMC−GEL((株)ワイ・エム・シー
製)ODS−A60gを直径3cm、長さ50cmのガラス
性カラムに充填して、水を流して平衡化した。これにメ
タノール抽出物をカラムの上部に負荷した。水から順次
メタノール濃度を増加させる段階溶出法によって、目的
物質の溶出を行った。30〜70%(v/v )メタノール
含水溶媒で溶出する画分を集め、減圧濃縮したところ約
4.5gの粗リグナン配糖体濃縮物が得られた。これを分
取HPLCに繰り返し供して、SDGやSMGが単一となる
まで精製を行った。その結果、前記構造式(II-a)で示
されるSDG精製物350mgおよび(II-b)で示される
SMG精製物30mgの各精製物が得られた。分取HPLCは
以下の条件で行った。HPLC装置は、ポンプ(CCPM、
東ソー(株)製)にカラム(綜研科学(株)製、Soken
Pak )ODS−W5μ、10x250mm)、紫外吸収検出器
(東ソー(株)製、UV-8000 )を接続し、溶出は、水:
メタノールが50:50から40分後に同10:90となる直線グ
ラジエントを用い、流速を5mL/min 、検出波長は280nm
とした。尚、糖種及び糖数の分析は次のようにして行っ
た(以下、同じ)。
【0035】糖種の分析 SDGまたはSMGの精製物各1mgとβ−グルコシダー
ゼ(アーモンド由来、Sigma 社製)0.1mgを50mM酢
酸緩衝液(pH5.0)1mLに溶解し、50℃で24時間加
温した。酢酸エチル1mLを加え振とう抽出後酢酸エチル
相を除き、水相をHPLC用前処理フィルター(孔径0.2μ
m、マイショリデイスクW−13−2、東ソー社製)で
ろ過し、ろ液にアセトン5mLを加えて減圧下で濃縮乾固
した。トリメチルシリル化剤であるTMS−PZ(東京
化成工業社製)0.2mLを加え常温で30min 放置した
後、その1μL を以下の条件のガスクロマトグラフで分
析した。分析条件は以下の通り。ガスクロマトグラフ装
置,HEWLETT PACKARD 5890;カラム,DB-1701(15m ×
0.25mm,Film Thickness,1.0μm,J&W SCIE
NTIFIC社製);注入法,スプリット法(スプリッ
ト比1/50);カラム温度,180℃;キャリアガ
ス,He。標準として市販のグルコース、ガラクトースお
よびフルクトースを使用し、それぞれの配糖体を構成す
る糖種を分析した。
【0036】糖数の分析 SDGまたはSMGの精製物各1mgを水1mLに溶解し、
そのうちの一部を分子篩クロマトグラフィーに供し、そ
れぞれの分子量を見積った。分子篩クロマトグラフィー
の分析条件は以下の通り。カラム;TSK−gel G25
00PWXL(東ソー社製)×2、溶離液;50mM-NaNO3
水溶液、流速;0.8mL/min、検出器;屈折率計および紫
外検出器。標準として、セロビオース、ラフィノース、
スタキオース、セロペンタオース、セロヘキサオースな
どのオリゴ糖を同様に分析し、分子量とリテンションタ
イムの標準曲線を作成した後、これを用いてリグナン配
糖体の分子量を見積った。
【0037】実施例3 実施例1で得られたメタノール抽出物20gに1Nの塩
酸溶液1Lを加え、100 ℃で1時間還流させた。放冷後
1Lの酢酸エチルを加え分配抽出を行った。酢酸エチル
相を濃縮乾固して酢酸エチル抽出物450mgを得た。こ
れを分取HPLCに繰り返し供して、SILやMHBTが単
一になるまで精製を行った。その結果、前記構造式(II
-c)で示されるSIL精製物120mg、(II-d)で示さ
れるMHBT精製物50mgが得られた。分取HPLCは実施
例2と同様の方法で行った。
【0038】実施例4 実施例1で得られたメタノール抽出物20gおよび市販
酵素剤であるβ- グルコシダーゼ(アーモンド由来、シ
グマ(社)製)、セルラーゼ(トリコデルマビリデ由
来、ベーリンガーマンハイム山之内(株)製、)各1g
に50mM酢酸緩衝液(pH5.0)1Lを加え、50℃
で24時間振とうした。放冷後1Lの酢酸エチルを加え
分配抽出を行った。酢酸エチル相を濃縮乾固して酢酸エ
チル抽出物500mgを得た。これを分取HPLCに繰り返し
供して、分画成分が単一になるまで精製を行った。その
結果、前記構造式(II-c)で示されるSIL精製物20
0mgが得られた。
【0039】実施例5 精製したSDG100mgおよびガラクトース100mgを
含む酢酸緩衝液(pH5.0)1mLに市販のα−ガラクトシ
ダーゼ(生化学工業社製)1単位を加え、50℃で24
時間反応させた。反応液を10分間煮沸して酵素を失活
させた後、反応液を、実施例2で示したODSを担体と
する分配クロマトグラフィーに繰り返し供した。基質で
あるSDG以外に、SDGよりも極性の高い画分に少な
くとも新たな3種の紫外吸収成分A、B及びCが溶出し
た。これらの各成分をさらに実施例2で示した条件で分
取HPLCに供して精製した結果、各精製物A(約2m
g)、B(約5mg)及びC(約10mg)を得た。この
A、B及びCの精製物を、酸加水分解によるアグリコン
と糖の分析、β−グルコシダーゼとα−ガラクトシダー
ゼによる酵素加水分解による糖の分析、分子篩クロマト
グラフィーによる分子量推定に供した。なお、分子篩ク
ロマトグラフィーの分析条件は以下のように行った。カ
ラム;TSK-gelG2500PWXL(東ソー社製)×
2、溶離液;50mM-NaNO3水溶液、流速;0.8mL/min、検
出器;屈折率計および紫外検出器。標準として、ラフィ
ノース、スタキオースなどのオリゴ糖を同様に分析し、
分子量とリテンションタイムの標準曲線を作成して見積
った。各分析の結果、成分Aは(A−1)アグリコンと
してSIL骨格を有すること、(A−2)酸加水分解に
よりグルコースとガラクトースが等モル生成すること、
(A−3)β−グルコシダーゼで加水分解すると単糖で
あるグルコースと、3糖の2成分が等モル生成するこ
と、(A−4)α−ガラクトシダーゼで加水分解すると
ガラクトースのみが生成すること、(A−5)4配糖体
であることが明らかになった。
【0040】以上のことから成分Aは、構造式III −a
で示される新規なリグナン配糖体であることが示唆され
た。同様に成分Bは(B−1)アグリコンとしてSIL
骨格を有すること、(B−2)酸加水分解によりグルコ
ースとガラクトースが等モル生成すること、(B−3)
β−グルコシダーゼで加水分解するとグルコースとガラ
クトースからなる2糖のみが生成すること、(B−4)
α−ガラクトシダーゼで加水分解するとガラクトースの
みが生成すること、(B−5)4配糖体である。以上の
ことから成分Bは、構造式III −bで示される新規なリ
グナン配糖体であることが示唆された。成分Cは(C−
1)アグリコンとしてSIL骨格を有すること、(C−
2)酸加水分解によりグルコースとガラクトースが2:
1のモル比で生成すること、(C−3)β−グルコシダ
ーゼで加水分解すると単糖であるグルコースと、グルコ
ースとガラクトースからなる2糖の2成分のみが生成す
ること、(C−4)α−ガラクトシダーゼで加水分解す
るとガラクトースのみが生成すること、(C−5)3配
糖体である。以上のことから成分Cは、構造式III−c
で示される新規なリグナン配糖体であることが示唆され
た。尚、式中、Glcはグルコース残基、Galはガラクト
ース残基を表す。
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】実施例6 スーパーオキサイド消去活性は、金田尚志、植田伸夫編
集、「過酸化脂質実験法」、第136 〜154 頁、医歯薬出
版(株)、1993年発行に記載の方法に従い以下のように
測定した。炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH10.2)
1.2mLに1mg/mLEDTA 溶液50μL、1.5mg/mL ウ
シ血清アルブミン(BSA)溶液50μL、0.6mg/m
L ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)溶液50μL、
0.5mg/mL キサンチン溶液50μLを加えた溶液で、所
定量の実施例1に記載のアルコール抽出物、実施例2に
記載の粗リグナン配糖体濃縮物、SDGやSMG、実施
例3に記載のSIL、MHBT、実施例5に記載の成分
A〜Cの各精製物あるいは市販の抗酸化剤であるt-ブチ
ルヒドロキシアニソール(BHA)を溶解・混和した
後、25℃にて10分間放置した。これに8mg/mL キサンチ
ンオキシダーゼ(バターミルク由来、和光純薬工業
(株)製)溶液50μLを加え撹拌し、25℃にて20分間放
置した。1mg/mL塩化銅水溶液50μLを加えて酵素反応
を停止させた後、560nm の吸光度値(A)を測定した。
試料溶液の代わりに同量の緩衝液のみを加えたものを対
照溶液とし、塩化銅水溶液と試料溶液の添加順序を逆に
したものを試料ブランクとして同様に吸光度を測定し、
それぞれの値をB、bとした。以下の式からスーパーオ
キサイドの消去率を算出した。スーパーオキサイド消去
率(%)={1− (A−b)/B}×100。スーパー
オキサイドの消去率が50%となる消去活性を1単位(1
unit)とした。表1に示したように、活性値が高いほど
消去作用が強いことを示しているが、添加したアルコー
ル抽出物および精製物はすべて顕著なスーパーオキサイ
ド消去作用を示しており、例えば1μmol のSIL精製
物の添加でBHA添加のときの2倍以上の高い消去活性
を有していた。従って、本発明に関わるSDGやSM
G、SILまたはMHBTを主成分とする抽出物、濃縮
物および精製物は、いずれも強いスーパーオキサイド消
去活性を有することが認められた。
【0045】
【表1】 表−1 ─────────────────────────── サンプル スーパーオキサイド消去活性(units) アルコール抽出物 4.5 粗リグナン配糖体濃縮物 15.0 成分A 31.5 成分B 31.0 成分C 30.6 SDG 精製物 31.0 SMG 精製物 33.5 SIL 精製物 32.9 MHBT精製物 35.8 BHA 12.8 注)アルコール抽出物または粗リグナン配糖体濃縮物の場合は反応系中 に1mg、各精製物およびBHA は1μmol 存在したときの活性値を示す。
【0046】実施例7 ヒドロキシラジカル消去活性は以下のように測定した。
本実施例で用いた反応系はフェントン反応にてヒドロキ
シラジカルを発生させ、そのヒドロキシラジカルと脂肪
酸との反応により生じるマロンジアルデヒド(MDA)
をチオバルビツール酸と反応させたときに生成するチオ
バルビツール酸−MDAアダクトを測定する方法に基づ
いている。すなわち所定量の実施例1に記載のアルコー
ル抽出物、実施例2に記載の粗リグナン配糖体濃縮物、
SDGやSMG、実施例3に記載のSILまたはMHB
T、実施例5に記載の成分A〜Cの各精製物をリノール
酸(2mg/mL)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDGS
2mg/mL )を含む30mMトリスヒドロキシメチルアミノメ
タン塩酸緩衝液(pH7.4)0.92mLで溶解し、2.5mM過
酸化水素溶液0.04mLおよび2.5mM塩化鉄(II)溶液0.04m
Lを加え、15時間、37℃に加温した。なお本発明におい
て示した活性物質を含む抽出物、濃縮物および精製物を
含まず同様に反応させたものを対照とした。加温後、t-
ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)を12mg/mL 含む
エタノール溶液0.01mLを加えた。TBA12mgおよびSD
GS16.2mgを蒸留水2.3mL に溶解し、これに20%(v/v
)酢酸緩衝液(pH4.0 )1.5mL および前記反応液0.2mL
を加え、95℃で1時間加温した。放冷後、532nm にお
ける吸光度を測定した。対照の吸光度をB、各試料を含
む反応液の吸光度をAとし、そのヒドロキシラジカル消
去率を以下の式から算出した。ヒドロキシラジカル消去
率(%)={1−(B−A)/B}×100 。表2に示し
たように、消去率が高い方が消去作用が強いことを示し
ているが、添加した抽出物および精製物はいずれも顕著
なヒドロキシラジカル消去作用を示しており、例えば0.
01μmol のSIL 精製物添加により約70%が消去されてい
た。この効果はα−トコフェロールを大幅に上回ってお
り、本発明に関わるSDGやSMG、SILまたはMH
BTを主成分とする抽出物、濃縮物あるいは精製物は、
強いヒドロキシラジカル消去活性を有することが明らか
になった。
【0047】
【表2】 表−2 ───────────────────────────── サンプル ヒドロキシラジカル消去率(%) アルコール抽出物 60.5 粗リグナン配糖体濃縮物 90.0 成分A 66.0 成分B 67.7 成分C 68.8 SDG 精製物 40.2 SMG 精製物 45.2 SIL 精製物 68.5 MHBT精製物 70.3 α−トコフェロール(0.01μmol ) 0.0 α−トコフェロール(0.1μmol ) 10.5 注)アルコール抽出物または粗リグナン配糖体濃縮物の場合は反応系 中に0.1mg/mL 、各精製物は0.01μM/mL 、α−トコフェロールは0.01μM/mL または0.1 μM/mL 存在したときの活性量を示す。
【0048】実施例8 微粉砕物製剤 アマ種子の搾油粕(水分 8.0重量%、油分 0.9重量%)
またはアマ種子の焙煎物の搾油粕(水分 7.8重量%、油
分 2.7重量%)を微粉砕機(ホソカワミクロン(株)
製、AP−B)を用いて50メッシュの篩を100 %通過
し、かつ100 メッシュの篩を60%通過した微粉末の退色
防止剤を調製した。 実施例9 抽出物製剤 焙煎アマ種子のフレーク状搾油粕(水分 7.8重量%、油
分 2.7重量%) 20gにそれぞれ、30、50、90重量%エタ
ノール 200mLを加え、60℃で5時間抽出した後、ろ過し
た。この抽出液の溶媒をロータリーエバポレーターで減
圧除去し、それぞれ2.4、2.3、0.9gの固形物を得、含
水エタノール抽出物からなる退色防止剤を得た。
【0049】実施例10 濃縮物製剤 実施例2に記載の方法を繰り返して前記構造式(II-a)
で示されるSDGおよび前記構造式(II-b)で示されるS
MGを含む粗リグナン配糖体濃縮物約8.5gを得、該濃
縮物からなる退色防止剤を得た。 実施例11 加水分解物製剤 実施例9に記載の方法で得た抽出物製剤(50%エタノ
ール抽出物)100gに1Nの塩酸1Lを加え、100 ℃、1時間
加水分解した。これを常温まで戻した後、酢酸エチルを
1L加えよく混ぜた。酢酸エチル層を回収し、脱溶剤後、
リグナン配糖体(SMG、SDG等)の糖鎖加水分解物
を主成分とする区分を得た。さらにこれにサラダ油を20
g 添加し、加水分解物を溶解させ、油溶性の加水分解物
製剤である退色防止剤を製造した。
【0050】実施例12 混合組成物1(粉体) 実施例9の抽出物製剤(50%エタノール抽出物)40%、
デキストリン40%、クエン酸20%からなる粉体組成物で
ある退色防止剤を調製した。 実施例13 混合組成物2(液体) 実施例9の抽出物製剤(50%エタノール抽出物)30%、
グリセリン63%、クエン酸 7%からなる液状組成物であ
る退色防止剤を調製した。
【0051】実施例14 混合組成物3(粉体) 実施例9の抽出物製剤(50%エタノール抽出物)60%、
L−アスコルビン酸ナトリウム40%からなる粉体組成物
である退色防止剤を調製した。 実施例15 混合組成物4(油溶性) 実施例9の抽出物製剤(50%エタノール抽出物)15g 、
クエン酸 3g を水10gに加温溶解させた後、トコフェロ
ール10g 、グリセリン脂肪酸モノエステル30g、サラダ
油32g を加え、ホモミキサーで5分間攪拌して親油性退
色防止剤100gを得た。
【0052】試験例1 マグロに対する退色防止試験 凍結マグロ100gを解凍した後、実施例8及び9に記載の
本発明に係る微粉砕物製剤および抽出物製剤(50重量%
エタノール抽出物)、L−アスコルビン酸ナトリウムを
各々1.0%含む水溶液 2L をそれぞれ調製した。また実
施例10に記載の粗リグナン配糖体濃縮物を0.1%含む
水溶液、実施例11に記載のリグナン配糖体加水分解物
を0.1%含む水溶液を各2L調製した。0℃にて前記マグ
ロ肉を各水溶液に1分間浸漬した(各水溶液 2L でマグ
ロ1kgの処理が可能)。浸漬物の水気をよく拭き取り、
未処理物と一緒に5℃で保存した。経時的に、色差計お
よび官能評価にてそれぞれの退色防止効果を比較した。
結果を表−3に示す。
【0053】
【表3】 表−3 マグロに対する退色防止効果 色差計(a値) 0hr 12hr 24hr 未処理物 8.38 7.38 6.34 抽出物製剤 8.51 8.35 8.07 粗リグナン配糖体濃縮物製剤 8.79 8.47 8.20 微粉砕物製剤 8.55 8.30 7.91 リグナン配糖体加水分解物 8.68 8.40 8.21 アスコルビン酸ナトリウム 8.77 7.62 6.45 注)a値は赤色度の強さを表す。
【0054】色差を測定した結果、上表のとおり本発明
品の処理を施した試料(4種類)が鮮紅色を呈していた
のに対し、未処理のものとL−アスコルビン酸ナトリウ
ムを添加した試料は暗褐色に変色していた。また、20名
のパネラーによる官能評価の結果、本発明品で処理した
マグロは風味、味ともに何ら問題が認められなかった。
以上の結果より、本発明品の退色防止効果の有効性が確
認された。 試験例2 ニンジンに対する退色防止試験 生ニンジンを0.5〜3.0mm の厚さに輪切りにし、実施例
9、12、13及び14に記載の本発明に係る退色防止
剤である抽出製剤および混合組成物をそれぞれ0.5 %含
む各水溶液中、また実施例11で得たリグナン配糖体加
水分解物を0.05%含む水溶液中で5分間ブランチング
処理した。コントロールは水を用いて同様の処理を行っ
た。次に、これらの水をよく切って凍結乾燥した。完全
に乾燥した後、蛍光照射下(5000 Lux)、25℃で保存し
た。保存を開始してから10日後、退色の様子を調べた。
結果を表−4および表−5に示す。
【0055】
【表4】 表−4 ニンジンに対する退色防止効
試験区 ニンジン表面の色 コントロール 退色が激しく、白化著しい。 抽出物製剤 部分的に白っぽくなっているが、よく色調を保持。 リグナン配糖体 部分的に白っぽくなっているが、よく色調を保持。 加水分解物 混合組成物1 部分的に白っぽくなっているが、よく色調を保持。 混合組成物2 部分的に白っぽくなっているが、よく色調を保持。 混合組成物3 発色が良く、鮮やかなオレンジを維持。
【0056】
【表5】 表−5 ニンジンに対する退色防止効果 ───────────────────────────── 試験区 色差計(a値) 0日 10日 コントロール 25.81 2.41 抽出製剤 25.18 17.33 リグナン配糖体の加水分解物 25.43 17.78 混合組成物1 25.55 16.77 混合組成物2 25.31 13.51 混合組成物3 25.22 21.18
【0057】以上のように本発明品に係る抽出物製剤お
よび混合組成物では、ニンジンに対する退色防止作用が
あることが明らかになった。また前記の抽出物製剤、混
合組成物1、同2および同3はいずれの場合にもL−ア
スコルビン酸ナトリウムとの相乗効果が認められた。 試験例3 オレンジジュースに対する退色防止試験 温州ミカンの果肉を採り、ジューサーにかけてからろ紙
でろ過し果汁を回収した。このジュースに実施例9に記
載の本発明に係る抽出物製剤を 0.5%含むように添加し
た。また前記ジュースに実施例10に記載の本発明に係
る粗リグナン配糖体濃縮物製剤を0.05%含むように添
加した。これらの試料と前記製剤無添加のジュースとを
10℃、5000 Luxの蛍光灯照射下で3日間保存試験をし
た。その結果、無添加のジュースが退色したのに対し、
本発明品を添加したジュースは好ましいオレンジの色調
を保持していた。
【0058】試験例4 牛肉に対する退色防止試験 凍結牛肉をスライスした後冷蔵庫で解凍した。実施例8
及び9に記載の本発明に係る微粉砕物製剤および抽出物
製剤(50%エタノール抽出物)のいずれか2.5%を含む
0℃水溶液をそれぞれ調製し、それらをスライスした牛
肉100g当たり5mL ずつ噴霧した。水気をよく拭き取り、
5℃で5日間保存した。その結果、無添加の牛肉が暗褐
色に変色したのに対し、本発明品を添加したものは好ま
しい肉色を保持していた。 試験例5 ネギトロ用ミンチ状生鮮まぐろ肉に対する退
色防止試験 凍結されたマグロのさくを解凍しフードカッターで破砕
した後、このマグロ肉に対して8%のサラダ油を加えて
十分に混和し、ネギトロ用ミンチ状生鮮まぐろ肉(以
下、単にネギトロという)を作製した。ネギトロ100gに
対して、実施例11及び15に記載の本発明に係る加水
分解物製剤および混合組成物4あるいはL−アスコルビ
ン酸ナトリウムのいずれか0.1gを添加した試料と退色防
止剤無添加の試料の3種のネギトロを用意し、8℃、3
日間保存試験を行った。経時的に色差を測定して退色の
様子を調べるとともに官能評価を行った。結果を表−6
に示す。
【0059】
【表6】 表−6 ネギトロに対する退色防止
効果 色差計(a値) 0日 1日 3日 未処理物 10.01 7.61 4.76 加水分解物製剤 9.97 9.28 7.99 混合組成物4 9.88 9.30 8.11 アスコルビン酸ナトリウム 10.11 8.86 4.18
【0060】以上の結果から本発明品を含有するネギト
ロは色調がよく保持され、本発明品の退色防止効果がよ
く発揮されていた。また、試験例1に記載の方法で官能
評価を行った結果、本発明品を添加したネギトロは何ら
風味、味に、問題が認められなかった。以上の結果よ
り、本発明品であるアマ種子抽出物の退色防止効果の有
効性が確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 3/3562 A61K 31/085 A61K 31/085 31/34 31/34 31/70 AED 31/70 AED 35/78 C 35/78 C07D 307/12 // A23B 4/00 C07H 15/18 C07D 307/12 A23L 2/16 C07H 15/18 A23B 4/00 E (72)発明者 三浦 慎一郎 神奈川県横浜市神奈川区中丸1−101 (72)発明者 無類井 建夫 東京都大田区西蒲田5−13−7

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)で示されるリグナン
    化合物を有効成分としてなる活性酸素種消去剤。 【化1】 (式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立して水素原子又は炭
    素数1〜3のアルキル基、R5 とR6 はそれぞれ独立し
    てヒドロキシル基、あるいはグルコース、ガラクトース
    およびフルクトースからなる群から選ばれる1種または
    2種以上の糖が1〜3個グリコシド結合した前記糖鎖残
    基、あるいはR5 とR6 が一緒になって酸素原子を表
    す。)
  2. 【請求項2】 リグナン化合物が下記の一般式(II)で
    表される請求項1記載の活性酸素種消去剤。 【化2】 (式中、R7 およびR8 は同一もしくは異なり、それぞ
    れ独立してヒドロキシル基、あるいはグルコース、ガラ
    クトースおよびフルクトースからなる群から選ばれる1
    種類または2種以上の糖が1〜3個グリコシド結合した
    前記糖鎖残基、あるいはR7 とR8 が一緒になって酸素
    原子を表す)
  3. 【請求項3】 リグナン化合物が下記の構造式(II-a)、
    (II-b)、(II-c)および(II-d)で表される化合物から選ば
    れる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の活性
    酸素種消去剤。 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 (式中、Glcはグルコース残基、Galはガラクトース残
    基を表す。)
  4. 【請求項4】 リグナン化合物がアマ種子もしくはその
    焙煎物の粉砕物または脱脂粕を低級アルコールまたは含
    水低級アルコールで抽出して得られる成分である請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の活性酸素種消去剤。
  5. 【請求項5】 リグナン化合物がアマ種子もしくはその
    焙煎物の粉砕物または脱脂粕を低級アルコールまたは含
    水低級アルコールで抽出し、該抽出物を酸加水分解後、
    該加水分解物の非水溶性有機溶媒による抽出物を濃縮す
    ることによって得られる成分である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の活性酸素種消去剤。
  6. 【請求項6】 活性酸素種がスーパーオキサイドおよび
    /またはヒドロキシラジカルである請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の活性酸素種消去剤。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の一般式(I)で示される
    リグナン化合物を有効成分としてなる退色防止剤。
  8. 【請求項8】 請求項2記載の一般式(II)で示される
    リグナン化合物を有効成分としてなる請求項7の退色防
    止剤。
  9. 【請求項9】 リグナン化合物が請求項3記載の構造式
    (II-a)、(II-b)、(II-c)および(II-d)で表される化合物
    から選ばれる少なくとも1種である請求項7又は8の退
    色防止剤。
  10. 【請求項10】 リグナン化合物がアマ種子もしくはそ
    の焙煎物の粉砕物または脱脂粕を低級アルコールまたは
    含水低級アルコールで抽出して得られる成分である請求
    項7〜9のいずれか1項に記載の退色防止剤。
  11. 【請求項11】 リグナン化合物がアマ種子もしくはそ
    の焙煎物の粉砕物または脱脂粕を低級アルコールまたは
    含水低級アルコールで抽出し、該抽出物を酸加水分解
    後、該加水分解物の非水溶性有機溶媒による抽出物を濃
    縮することによって得られる成分である請求項7〜9の
    いずれか1項に記載の退色防止剤。
  12. 【請求項12】 リグナン化合物としてアマ種子もしく
    はその焙煎物の粉砕物または脱脂粕を用いるものである
    請求項7〜9のいずれか1項に記載の退色防止剤。
  13. 【請求項13】 さらにL−アスコルビン酸又はその塩
    を含有する請求項7〜12のいずれか1項に記載の退色
    防止剤。
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