JPH09208126A - 糸条パッケージの送出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸条パッケージを貯留手段から台車へ一個づ
つ確実に移載することのできる、機構が簡単かつ信頼性
の高い糸条パッケージの送出装置を提供する。 【解決手段】 巻取機（１）によって巻き上げられた
複数の糸条パッケージ（Ｐ）を巻取り順に逐次貯留する
ための、巻取機の後方に設置された貯留手段（２）、糸
条パッケージの巻糸体部（Ｙ）を実質的に非接触状態で
貯留手段上に保持するために糸条パッケージ群のボビン
（Ｂ）両端を回転自在に軸支し、かつ糸条パッケージを
巻取機の後方へ転動させるための下り勾配を持って貯留
手段に付設されたガイドレール（３）、および送出直前
の糸条パッケージのボビンを挟んでその前後に設けら
れ、かつ互いに連動しながら前記のガイドレールのボビ
ン転動面より上方へ排他的に出没する一対のストッパー
（４及び５）からなる糸条パッケージの送出装置を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、巻取られた糸条パ
ッケージを巻取機から台車へ移載するに際して、糸条パ
ッケージを一個づつ台車へ送り出すための糸条パッケー
ジの送出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、複数の巻取りユニットを共通
の駆動軸を介して同時に駆動し、複数の糸条パッケージ
を巻き上げた後、空ボビンと切り替えて連続的に糸条パ
ッケージを形成する自動切り替え式の巻取機が、合成繊
維糸条の巻取機として使用されている。

【０００３】そして、このような巻取機によって巻き上
げられた糸条パッケージは、その後方に設けられたトレ
イに一時的に貯留され、所定のパッケージ数に達したと
ころで、台車に移載することが行われている（特願平６
−１０６３０号）。このような装置においては、糸条パ
ッケージの巻糸体部を互いに接触し合って貯留されるた
め、糸条パッケージが巻取り時の断糸や再糸掛け等の理
由によって完巻とならずに小巻となった場合には、糸条
パッケージの巻径が一定にならず大幅に変わる。このた
め、糸条パッケージが貯留手段上に相接して並ぶ間隔が
常に一定とならず、不規則になるという問題がある。こ
のようにして、糸条パッケージが貯留手段上に不規則に
並ぶと、糸条パッケージを台車に移載する時に糸条パッ
ケージを一個づつ仕分け制御して送出することが困難と
なり、また、このための装置も複雑となったり、装置の
信頼性が低下したりする。このため、糸条パッケージを
一個づつ仕分けして確実に送出することができずに、２
個の糸条パッケージを一度に送出するといった事態の発
生も生ずる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上に述べ
た問題を解決するためになされたものであり、糸条パッ
ケージが小巻となっても糸条パッケージを貯留手段から
台車へ一個づつ確実に移載することのできる、機構が簡
単な信頼性の高い糸条パッケージの送出装置を提供する
ことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上に述べた課題を解決
するために、本発明によれば下記の手段が提供される。

【０００６】すなわち、巻取機によって巻き上げられた
複数の糸条パッケージを巻取り順に逐次貯留するため
の、巻取機の後方に設置された貯留手段、該糸条パッケ
ージの巻糸体部を実質的に非接触状態で貯留手段上に保
持するために糸条パッケージ群のボビン両端を回転自在
に軸支し、かつ糸条パッケージを巻取機の後方へ転動さ
せるための下り勾配を持って貯留手段に付設されたガイ
ドレール、および送出直前の糸条パッケージのボビンを
挟んでその前後に設けられ、かつ互いに連動しながら前
記のガイドレールのボビン転動面より上方へ排他的に出
没する一対のストッパーを含む糸条パッケージの送出装
置が提供される。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。

【０００８】図１は本発明の糸条パッケージの送出装置
の一実施例を示す側面図である。該図において、Ｂ１〜
Ｂ４はボビン、Ｙ１〜Ｙ４は巻糸体、そして、Ｐ１〜Ｐ
４は糸条パッケージを、それぞれ示す。なお、該糸条パ
ッケージ（Ｐ１〜Ｐ４）は、ボビン（Ｂ１〜Ｂ４）と、
該ボビン（Ｂ１〜Ｂ４）上に巻かれた巻糸体（Ｙ１〜Ｙ
４）とから構成されている。ここで、単に、“Ｂ”、
“Ｐ”及び“Ｙ”と記載してあるのは、それぞれボビン
群、糸条パッケージ群、巻糸体群を示めす。

【０００９】次に、本発明の糸条パッケージの送出装置
に関係する各装置の要素について説明すると、１は、糸
条パッケージ（Ｐ１〜Ｐ４）を形成するための巻取機
（図においては、上下方向に３段に設けられている）、
２は、貯留手段をそれぞれ示し、該貯留手段（２）は、
３段に設けられた巻取機（１）の後方に各巻取機（１）
に呼応してそれぞれ設置され、該巻取機（１）によって
巻き上げられた糸条パッケージ群（Ｐ）を巻き取り順に
逐次貯留している。

【００１０】また、３は、該貯留手段（２）に付設され
たガイドレールを示し、該ガイドレール（３）は、糸条
パッケージ群（Ｐ）の巻糸体部を実質的に非接触状態で
貯留手段（２）上に保持するために、糸条パッケージ群
（Ｐ）のボビン群（Ｂ）の両端を回転自在に軸支し、か
つ糸条パッケージ群（Ｐ）を巻取機（１）の後方へ転動
させて移動させるために巻取機（１）の後方へ下り勾配
を形成させて貯留手段（２）に付設されている。なお、
３ａは、ガイドレール（３）の終端部に設置された係止
具を示し、ガイドレール（３）の転動面上を転動してき
た糸条パッケージを示す。

【００１１】そして、４及び５は、本発明において最も
重要な役割を果たす一対のストッパーを示し、該ストッ
パー（４及び５）は、送出直前の糸条パッケージ（Ｐ
４）のボビンを挟んでその前後に設けられ、かつ互いに
連動しながらガイドレール（３）のボビン転動面より上
方へ排他的に出没する。

【００１２】更に、６は、台車を示し、ガイドレール
（３）の終端部に係止具（３ａ）によって係止された糸
条パッケージ群（Ｐ）を移載して、搬送する役割を果た
す。ここで、該台車（６）について、更に詳細に説明す
ると、該台車（６）は、前記の係止具（３ａ）によって
係止されている糸条パッケージ（Ｐ１）を下方から掬い
上げる受け皿（６ａ）と、該受け皿（６ａ）の支持部材
（６ｂ）と、そして、該受け皿（６ａ）と支持部材（６
ｂ）とを昇降させるための昇降装置（６ｃ）とを含んで
構成されている。なあ、図１では、台車（６）は、貯留
手段（２）の終端部に貯留されている糸条パッケージ
（Ｐ１）を移載するために、受け皿（６ａ）が糸条パッ
ケージ（Ｐ１）の直下にくる位置まで走行して、そのま
ま停止している状態にある。

【００１３】以上のように構成された糸条パッケージの
送出装置において、巻取機（１）によって巻き取られた
糸条パッケージ群（Ｐ）が最終的に台車（６）に移載さ
れるまでの動作について説明する。

【００１４】まず、巻き取りが完了した糸条パッケージ
（Ｐ１〜Ｐ４）は、巻取機（１）の後方に設けられた貯
留手段（２）へ逐次払い出される。これらの糸条パッケ
ージは、下り勾配を形成させて設けられたガイドレール
（３）上をボビン（Ｂ１〜Ｂ４）の両端を支持されて、
終端方向へ逐次移動する。そして、詳細については後述
するように一対のストッパー（４及び５）によって、確
実に一個づつガイドレール（３）の終端部へ送られる。
このとき、ガイドレールの終端部には、係止具（３ａ）
が設けてあるため、該係止部（３ａ）で糸条パッケージ
（Ｐ１）は、位置決め停止させられる。このようにし
て、所定の位置に係止させられた糸条パッケージ（Ｐ
１）は、台車（６）の受け皿（６ａ）によって下方から
掬い取られ台車（６）に移載される。

【００１５】ここで、本発明において、重要な役割を演
ずる前記の一対のストッパー（４及び５）に関し、図２
（図１の反対側からみた場合の側面図）を参照しながら
説明する。

【００１６】該図において、図１に記載されていない符
号７〜９について、先ず説明すると、７及び８は、スト
ッパー（４）及びストッパー（５）をそれぞれその軸心
廻りに回動自在に軸支するピンを示し、９は、ストッパ
ー（４）及びストッパー（５）をガイドレール（３）の
ボビン転動面より上方へ互いに連動しながら排他的に出
没させるためのアクチュエータ（通常は、図示したよう
に圧縮空気のような流体圧で作動する流体圧シリンダー
を使用することが好ましい）を示す。なお、アクチュエ
ータ（９）は、本体（９ａ）、ロッド（９ｂ）、該ロッ
ド（９ｂ）の先端に設けられたピン（９ｃ）等を含んで
構成されており、本体（９ａ）は、貯留手段（２）の本
体（図示せず）に固設されている。

【００１７】ここで、前記のストッパー（４及び５）に
は、図２に示すような形状を有するカム溝がそれぞれの
ストッパーの側面に彫られており、該カム溝には、アク
チュエータのロッド（９ｂ）の先端に設けられたピン
（９ｃ）がそれぞれのカム溝に共通に係合するように挿
通されている。このため、ストッパー（４及び５）は、
アクチュエータ（９）の作動によって、ガイドレール
（３）のボビン転動面より上方へ互いに連動しながら排
他的に出没する動作が可能となるのである。なお、ここ
で「排他的に出没する」状態の意味するところは、「一
対のストッパーのうちの何れか一方がガイドレール
（３）のボビン転動面より上方へ出ているときに、他方
は、ガイドレール（３）のボビン転動面より上方に出
ず、下方に没しており、両方が同時にボビン転動面より
上方に出ていたり、没することがない」状態のことであ
る。

【００１８】以上に述べたように構成された本発明の糸
条パッケージの送出装置において、糸条パッケージの送
出は、図２−（ａ）に示すような状態から始まる。

【００１９】すなわち、先ずガイドレール（貯留手段）
終端部で係止具（３ａ）によって係止されていた糸条パ
ッケージが既に台車に移載された後の状態、または、一
番最初にガイドレール（３）の終端部へ糸条パッケージ
（Ｐ１）を送出するための予備状態から始まる。このと
き、一対のストッパー（４及び５）に関しては、一方の
ストッパー（４）がボビン転動面より上方に出て、糸条
パッケージ（Ｐ１）のボビン（Ｂ１）と係合して糸条パ
ッケージ（Ｐ１）が更に終端部へ向かって転動しながら
下降するのを防止し、他方のストッパー（５）は、ボビ
ン転動面より下方に没した状態にある。

【００２０】次いで、図２−（ｂ）に示すようにアクチ
ュエータ（９）が作動してロッド（９ｃ）が下方に引き
下げられると、今度は、ストッパー（４）とストッパー
（５）のボビン転動面への出没状態が逆転する。そし
て、糸条パッケージ（Ｐ１）は、ストッパー（４）に束
縛されていた状態から開放されて、ボビン転動面を転動
し、ガイドレール（３）上を下降すが、既にストッパー
（５）がボビン転動面より上方に突出しているため、該
ストッパー（５）に糸条パッケージ（Ｐ１）のボビン
（Ｂ１）が係合して、停止する。なお、糸条パッケージ
（Ｐ１）の転動に伴って、その後に続く糸条パッケージ
（Ｐ２〜Ｐ３）も同様にガイドレール（３）に沿って転
動することは言うまでもない。

【００２１】そして、最終的に、図２−（ｃ）に示すよ
うに、アクチュエータ（９）が再び作動して、ロッド
（９ｂ）を押し上げることにより、一対のストッパー
（４及び５）の状態は、（ａ）図の場合と同様に一方の
ストッパー（４）がボビン転動面より上方に出て、他方
のストッパー（５）がになり、ボビン転動面より下方に
没した状態となる。このため、糸条パッケージ（Ｐ１）
は、ガイドレール（３）の終端部にまで転動し、係止具
（３ａ）に係合して停止する。そして、この状態で台車
（６）に移載され、図２−（ａ）の状態に戻る。

【００２２】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
例えば、糸条パッケージが小巻となったような場合にお
いても、糸条パッケージを貯留手段から台車へ一個づつ
確実に移載することのできる、機構が簡単かつ信頼性の
高い糸条パッケージの送出装置を提供できるという顕著
な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の糸条パッケージの送出装置を示す側面
図である。

【図２】本発明の糸条パッケージの送出装置を示した図
１の反対側から見た場合の側面図である。

【符号の説明】

Ｙ 巻糸体群 Ｙ１〜Ｙ４ 糸巻体 Ｂ ボビン群 Ｂ１〜Ｂ４ ボビン Ｐ 糸条パッケージ群 Ｐ１〜Ｐ４ 糸条パッケージ １ 巻取機 ２ 貯留手段 ３ ガイドレール ３ａ 係止具 ４、５ 一対のストッパー ６ 台車

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻取機によって巻き上げられた複数の糸
   条パッケージを巻取り順に逐次貯留するための、巻取機
   の後方に設置された貯留手段、 該糸条パッケージの巻糸体部を実質的に非接触状態で貯
   留手段上に保持するために糸条パッケージ群のボビン両
   端を回転自在に軸支し、かつ糸条パッケージを巻取機の
   後方へ転動させるための下り勾配を持って貯留手段に付
   設されたガイドレール、および送出直前の糸条パッケー
   ジのボビンを挟んでその前後に設けられ、かつ互いに連
   動しながら前記のガイドレールのボビン転動面より上方
   へ排他的に出没する一対のストッパーを含む糸条パッケ
   ージの送出装置。