JPH09202821A - エポキシ樹脂用硬化剤 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化剤

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JPH09202821A
JPH09202821A JP8011799A JP1179996A JPH09202821A JP H09202821 A JPH09202821 A JP H09202821A JP 8011799 A JP8011799 A JP 8011799A JP 1179996 A JP1179996 A JP 1179996A JP H09202821 A JPH09202821 A JP H09202821A
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JP
Japan
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curing agent
resin
epoxy resin
aromatic hydrocarbon
polyamine
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JP8011799A
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English (en)
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Kazuyoshi Yamagishi
和敬 山岸
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温および高湿度下でも十分な反応性を有する
エポキシ樹脂用硬化剤を提供する。 【解決手段】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性
ヒドロキシ芳香族化合物樹脂(A)とポリアミン(B)
およびアルデヒド(C)との反応により得られるマニッ
ヒ塩基を有するエポキシ樹脂用硬化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品、塗料、接
着剤などに用いられ、特に塗料用に好適に用いられるア
ミノ基を含有するエポキシ樹脂用の硬化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコール、特にフェノール、アルキル
化フェノールまたはサルチル酸は、エポキシ基とアミノ
基の間の硬化反応を促進することが知られている(米国
特許第2974121号および特公昭37−14226
号)。これらのフェノール系化合物またはサルチル酸は
促進効果は認められるが、得られる硬化物中に遊離の状
態で残存しているために硬化樹脂の物性の低下をもたら
す。このためフェノール成分とアミン成分が反応により
組合わされた硬化剤として、フェノール系化合物に不飽
和直鎖アルキルカルボン酸を付加して得られるカルボン
酸を含むフェノール系化合物とポリアミン系化合物を反
応させ、得られるフェノール含有ポリアミド樹脂を硬化
剤として使用する方法が提案されている(米国特許第3
390124号)。しかしこの方法では、ポリアミンの
一つのアミノ基がアミド結合になり、アミド結合の水素
はエポキシ基との反応性がなくなってしまうので、ポリ
アミンのアミノ基が有効に硬化剤として作用しないこと
になる。
【0003】そこでポリアミン系化合物をアルデヒドで
フェノール系化合物と反応させて得られるマンニッヒ反
応の反応生成物を硬化剤として使用する方法が提案され
ている(英国特許第886767号、ドイツ特許公告第
954919号、特公昭56−22332号)。このよ
うにして得られる縮合物をエポキシ樹脂の硬化剤として
使用した場合、5℃前後の温度においても硬化促進が認
められ、得られる硬化樹脂の物性および表面状態も比較
的良好なものであるが、5℃以下の低温において完全な
硬化は余り期待できない、特に高湿度下の条件において
フイルム状(たとえば塗膜)に硬化させた場合あまり硬
化はしていない。このような硬化剤を使用した場合、弱
有機酸、例えば酢酸に対する耐酸性が低い。またこれら
マンニッヒ反応の反応生成物を硬化剤とした樹脂はすべ
てフェノールまたはアルキル化フェノールの様な毒性を
持つ化合物がフリーの状態で含まれているため、塗装す
る際に作業者に対して危険性があるので用途が極めて限
定されている。更に食品中には水溶性の弱有機酸、例え
ば酢酸、酒石酸またはクエン酸等が含まれている場合が
あるが、これらの食品と接触した時に塗料からフェノー
ル類が容易に抽出され、食品を損なうという問題点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水溶
性の弱有機酸による抽出を大幅に抑え、また低温および
高湿度下でも十分な反応性を有するように促進基が高比
率で網目構造中に取り入れられるエポキシ樹脂用硬化
剤、特に低温および高湿度下で塗装する際に起きる、例
えば硬化剤中のアミノ基と空気中の水蒸気および二酸化
炭素との反応により引き起こされるアミンブラッシング
やしわの付いた表面および不十分な架橋を生じない、低
粘度で疎水性のある硬化剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記の如き課
題を有するエポキシ樹脂用硬化剤について鋭意検討した
結果、マンニッヒ反応の機構により芳香族炭化水素ホル
ムアルデヒド樹脂変性ヒドロキシ芳香族化合物(A)と
ポリアミン(B)およびアルデヒド(C)を反応させて
得られる硬化剤が、比較的低粘度で反応促進効果のある
水酸基を有し、優れた疎水性を有することを見出し、本
発明に到達した。
【0006】即ち本発明は、芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂変性ヒドロキシ芳香族化合物樹脂(A)とポ
リアミン(B)およびアルデヒド(C)との反応させて
得られるマニッヒ塩基を有することを特徴とするエポキ
シ樹脂用硬化剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は
マンニッヒ反応の機構により芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂変性ヒドロキシ芳香族化合物(A)とポリア
ミン(B)およびアルデヒド(C)を反応させて製造さ
れる。また該エポキシ樹脂用硬化剤を製造するために用
いられる芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ヒド
ロキシ芳香族化合物樹脂(A)は、芳香族炭化水素ホル
ムアルデヒド樹脂(a1)およびヒドロキシ芳香族化合
物(a2)から酸触媒反応により得られる。
【0008】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(a
1)はトルエン、キシレン、メシチレン、ジュレン、ナ
フタリンまたは各種アルキルベンゼンの混合物等の芳香
族炭化水素と、ホルムアルデヒドとを硫酸等の酸触媒下
に反応して得られ、芳香族炭化水素核がメチレン結合
(−CH2 −)、メチレンエーテル結合(−CH2 −O
−CH2 −)、アセタール結合(−CH2 −(OC
2 )n −O−CH2 −)によって結合され、分子の末
端に少量のメチロール基(−CH2 OH)、メトキシ基
(−CH2 OCH3 )を有する構造を持つもので、その
平均分子量は250〜900であり、酸素含有量が5〜
15%である、液状から半固形状の淡黄色の樹脂であ
る。これらの樹脂は、通常トルエン樹脂、キシレン樹
脂、メシチレン樹脂、ジュレン樹脂、ナフタレン樹脂、
アルキルベンゼン樹脂(ABレジン)と呼ばれる。
【0009】ヒドロキシ芳香族化合物(a2)は、1個
の芳香族環、例えばベンゼン環に、少なくとも1個の水
酸基を有する化合物である。フェノール、o/m/pク
レゾール、キシレノール、ヒドロキノン、ピロカテコー
ル、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノー
ルおよび該ヒドロキシ芳香族化合物とホルムアルデヒド
のノボラックが好適に用いられる。これらのヒドロキシ
芳香族化合物は、単独でまたは混合物として使用するこ
とができる。成分(a1)および(a2)の重量比は、
一般的に1.0:1.5〜1.0:5.0、好ましくは
1.0:2.0〜1.0:3.0である。酸触媒として
は通常P−トルエンスルホン酸(P−TSA)が用いら
れ、使用量は(a1)および(a2)の総量に対して、
0.005〜0.2%、好ましくは0.01〜0.1%
である。反応は還流温度で行われ、反応時間は30分〜
1時間が好適である。
【0010】ポリアミン(B)は、少なくとも2個の第
1級脂肪族アミノ基を有するアミンである。またポリア
ミン(B)は、第1級、第2級または第3級のアミノ基
を有することもできる。さらにポリアミン(B)は、ポ
リアミノアミドおよびポリアルキレンオキシド−ポリア
ミン、またはアミン付加物、例えばアミン−エポキシ樹
脂付加物も含まれる。好適なポリアミンとしては、1,
2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,
3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンおよび
高級同族体、ならびに2−メチル−1,5−ジアミノペ
ンタン、1,3−ジアミノペンタン、2,2,4−トリ
メチル−1,6−ジアミノヘキサン、2,4,4−トリ
メチル−1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3−
アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、
1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシ
クロヘキシル)−メタン、ビス(4−アミノ−3−メチ
ルシクロヘキシル)メタン、3−アザペンタン−1,5
−ジアミン、4−アザヘプタン−1,7−ジアミン、
3−メチル−3−アザペンタン−1,5−ジアミン、お
よび2−ブチル−2−エチル−1,5−ジアミノペンタ
ンなどか挙げられる。また脂肪族炭素原子がアミノ基を
有する芳香脂肪族ポリアミン、例えば1,3−ビス(ア
ミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)
シクロヘキサンおよび、1,3−ビス(アミノメチル)
ベンゼンまたは1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘ
キサンと他のポリアミンの混合物も好適である。
【0011】アルデヒド(C)としては、第1級脂肪族
アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒドおよびイソブチルアルデヒドが用いられ、特にホ
ルムアルデヒドが一般的に使用される。本発明のエポキ
シ硬化剤はマンニッヒ反応の機構により芳香族炭化水素
ホルムアルデヒド樹脂変性ヒドロキシ芳香族化合物樹脂
(A)とポリアミン(B)およびアルデヒド(C)と反
応により得られるが、このマンニッヒ塩基は公知の方法
により合成することが出来る(特公昭56−22332
号、特公昭56−25925号、特開昭53−8049
9号、特開昭52−111998号および特開昭50−
7900号)。
【0012】マンニッヒ反応は、先ず芳香族炭化水素ホ
ルムアルデヒド樹脂変性ヒドロキシ芳香族化合物樹脂
(A)にポリアミン(B)を混ぜ、次いで70〜120
℃、好ましくは90〜100℃で、30〜50%濃度の
ホルマリン溶液を少量ずつ加え、還流反応を行わせる。
更に還流冷却器をリービッヒ冷却器に取り替えて160
℃までゆっくり昇温を行って残留水を留別する。使用す
るヒドロキシ芳香族化合物(a2)のモル数に基づく成
分(A)の(B)に対するモル比は0.1:2.0〜
2.0:1.0、好ましくは0.2:1.0〜0.7
5:1.0である。ポリアミン(B)のアルデヒド
(C)に対するモル比は1.0:0.1〜1.0:2.
0、好ましくは1.0:0.2〜1.0:0.5であ
る。
【0013】本発明において該反応により得られたマン
ニッヒ塩基に、第1級の脂肪族モノアミンも硬化成分に
加えることができる。該モノアミンとしては、例えば炭
素数6〜18数のアルキル基を有する1−アミノ−アル
カンが用いられる。これらの化合物の使用量は、単独で
または混合物として、上記のマンニッヒ塩基に対して
0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
このような第1級脂肪族アミンを加えることにより、特
に本発明による硬化性組成物を低温でエポキシ樹脂の硬
化剤として使用する場合に、アミンブラッシングの発生
をさらに低くすることができる。また本発明による硬化
剤中には、所望によりアミンおよびエポキシドに対して
不活性な希釈剤、および添加剤を加えることができる。
【0014】アミンおよびエポキシドに対して不活性な
希釈剤の例としては、(イ)エーテル、例えばジベンジ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシ
エタンまたはメトキシベンゼン等、(ロ)アルコール、
例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ベ
ンジルアルコール、フルフリルアルコール等、(ハ)炭
化水素、例えばトルエン、キシレン、ヘプタンおよび常
圧で沸点が100℃を超える脂肪族および芳香族炭化水
素の混合物、および(ホ)低粘度クマロン−インデン樹
脂またはキシレン−ホルムアルデヒド樹脂〔三菱ガス化
学(株)商標名、ニカノールY〕を挙げることができ
る。ここでは特に、フェニル基を有する脂肪族アルコー
ル、例えばベンジルアルコール、1−フェノキシプロパ
ン−2,3−ジオール、3−フェニル−1−プロパノー
ル、2−フェノキシ−1−エタノール、1−フェノキシ
−2−プロパノール、2−フェノキシ−1−プロパノー
ル、2−フェニルエタノール、1−フェニル−1−エタ
ノールおよび2−フェニル−1−プロパノールや、低粘
度キシレン−ホルムアルデヒド樹脂(ニカノールY)が
好ましい。希釈剤は単独でまたは混合物として使用する
ことができる。
【0015】本発明の硬化剤に用いられる添加剤として
は、通常のペイント添加物、例えば顔料、顔料ペース
ト、酸化防止剤、流動性および増粘剤、気泡抑制剤、触
媒などを挙げることができる。これらの添加剤は必要に
応じて加工の直前に混合物に加えることもできる。
【0016】本発明の硬化剤は公知のどのようなエポキ
シ樹脂にも用いることができる。例えば2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−フェニル)プロパン、ビス(ヒドロ
キシフェニル)メタンおよびポリプロピレングリコール
等のグリシジルエーテルや、フェノール、クレゾール、
p−tert−ブチルフェノールまたはノニルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの反応で得られるノボラック型
樹脂のグリシジルエーテル、それぞれ単独で、または混
合物として、また必要に応じていわゆる反応性希釈剤で
希釈して、本発明の硬化剤で硬化させることができる。
反応性希釈剤としては、例えば1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、p−tert−ブチルフ
ェノール、o−クレゾール、フェノールおよび炭素数が
8を越える直鎖モノアルコールなどのアルコールのグリ
シジルエーテルがある。
【0017】本発明による硬化剤を用いたエポキシ樹脂
組成物は、その優れた特性のために、特に低温および高
湿度下においても迅速に硬化することが出来るので、塗
料を始め様々な技術分野に使用することができる。例え
ば成形物(キャスティング樹脂)として工具類の製造に
用いられる。また様々な種類の基材、例えば木、木材繊
維材料(ウッドシーリング)、天然または合成織物、プ
ラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維
ボードおよび人造石の様な建材、および金属への塗装に
使用することができる。これらの塗料は、ハケ塗り、ス
プレー、ディップその他により塗布することができる。
さらに本発明による硬化性組成物は接着剤、パテ、積層
用樹脂として使用することが出来る。本発明による硬化
剤組成物は−10℃〜+50℃で、好ましくは0℃〜4
0℃の温度で硬化が起こる。例えば、5℃程度の低い温
度で、大気中の相対湿度90%で8〜24時間後に、あ
るいは室温で1〜4時間後には良好な硬度を有する塗膜
が得られる。
【0018】
【実施例】次に本発明の硬化剤の製造方法を実施例1〜
3を用いて具体的に示す。実施例および比較例で百分率
は重量百分率であり、部数は重量部で表わしている。H
EVは活性水素当量重量である。粘度、アミン価、HE
Vは添加剤、希釈剤込みの値である。なおHEVはAS
TM D−2073により、粘度はJIS K−609
1により測定した。
【0019】実施例1 攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた1Lカペラブ
ルフラスコにキシレン−ホルムアルデヒド樹脂(ニカノ
ールL)73部とフェノール188部とp−トルエンス
ルホン酸0.2部と共に110℃に加熱し、1時間還流
反応を行った。その後60℃まで冷却して1,3−ビス
(アミノメチル)ベンゼン264部を添加した。80〜
90℃で撹拌しながら1時間かけて37%ホルマリン8
1部を滴下した。次にこの混合物を還流下で1時間反応
させた。還流冷却器をリービッヒ冷却器に取り替えて留
出水を抜きながら、2時間かけて160℃に昇温を行
い、この温度で30分保持し樹脂を得た。得られたエポ
キシ樹脂硬化剤の物性を以下に示す。 アミン価(mgKOH/g) 409 HEV 81 25℃における粘度 1100 mPa・s
【0020】実施例2 実施例1の装置に、ニカノールL73部とフェノール1
88部をp−トルエンスルホン酸0.2部と共に110
℃に加熱し、1時間還流反応を行った。その後、60℃
まで冷却して1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン2
64部を添加した。80〜90℃で撹拌しながら1時間
かけて37%ホルマリン81部を滴下した。次にこの混
合物を還流下で1時間反応させた。還流冷却器をリービ
ッヒ冷却器に取り替えて留出水を抜きながら、2時間か
けて160℃に昇温を行い、この温度で30分保持し樹
脂を得た。この樹脂中にn−オクチルアミン23部およ
びベンジルアルコール90部を添加した。得られたエポ
キシ硬化剤の物性を以下に示す。 アミン値(mgKOH/g) 350 HEV 95 25℃における粘度 900 mPa・s
【0021】実施例3 実施例1の装置に、ニカノールL73部とフェノール1
88部をp−トルエンスルホン酸0.2部と共に110
℃に加熱し、1時間還流反応を行った。その後、60℃
まで冷却して1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン2
64部を添加した。80〜90℃で撹拌しながら1時間
かけて37%ホルマリン81部を滴下した。次にこの混
合物を還流下で1時間反応させた。還流冷却器をリービ
ッヒ冷却器に取り替えて留出水を抜きながら、2時間か
けて160℃に昇温を行い、この温度で30分保持し樹
脂を得た。この樹脂にn−オクチルアミン23部および
キシレン−ホルムアルデヒド樹脂(ニカノールY−5
0)を90部添加した。得られたエポキシ硬化剤の物性
を以下に示す。 アミン値(mgKOH/g) 350 HEV 95 25℃における粘度 1000 mPa・s なおニカノールY−50は低粘度キシレンホルムアルデ
ヒド樹脂であり、25℃における粘度は30〜80 mPa
・s である。
【0022】比較例1 実施例1の装置に、フェノール188部と1,3−ビス
(アミノメチル)ベンゼン264部を仕込み、80〜9
0℃で撹拌しながら1時間かけて37%ホルマリン10
9部を滴下した。次にこの混合物を還流下で1時間反応
させた。還流冷却器をリービッヒ冷却器に取り替えて留
出水を抜きながら、2時間かけて160℃に昇温を行
い、この温度で30分保持し樹脂を得た。得られたエポ
キシ硬化剤の物性を以下に示す。 アミン値(mgKOH/g) 477 HEV 71 25℃における粘度 2900 mPa・s
【0023】試験例1〜4 実施例1〜3および比較例1の硬化剤を用いてエポキシ
樹脂と反応させ、下記の様にして塗膜を作製した。ビス
フェノールAを基剤とし、25℃における粘度が約10
000 mPa・s で、エポキシ当量が189である低分子
量エポキシ樹脂(エピコート828)100gを水素当
量に対応する量の硬化剤と混合し、それぞれをサンディ
ング(#240)処理した冷間圧延鋼板上に200μの膜厚で
塗布した。低分子量エポキシ樹脂(エピコート828)
100部に対する各実施例1〜3および比較例1の硬化
剤量および溶剤(キシレン/ブタノール混合物、重量比
=1/1)の使用量は次の通りである。 試験例1: 実施例1の硬化剤 43部、 溶剤 20部 試験例2: 実施例2の硬化剤 50部、 溶剤 無 試験例3: 実施例3の硬化剤 50部、 溶剤 無 試験例4: 比較例1の硬化剤 38部、 溶剤 20部
【0024】各試験例の塗板を5℃、90%相対湿度下
で24時間放置し、耐水スポット性について評価を行
い、この条件下更に6日間放置して、塗膜の一般特性
(硬化速度、塗膜外観、塗膜物性)の測定を行なった。
その後、塗膜耐薬品性を調べるために、塗板の被塗装部
分をパラフインで被覆して、10% NaOH水溶液、10%
2 SO4 水溶液、水、キシレン、酢酸中に23℃で浸
漬、また塩水噴霧を行い、1週間(1W)、2週間(2W)、4
週間(4W)後の経時変化を観察した。以上の塗膜特性測定
結果を表1に示す。塗装および硬化条件と評価試験方法
は次の通りである。
【0025】 塗装および硬化条件 配合処方: エポキシ基/活性水素(モル比)=1/1 で配合する 塗板 : 冷間圧延鋼板(JIS G 3141 、SPCC-SB 、150 ×70×O.8mm) サンディング(#240)処理し、キシレン洗浄後使用 塗装 : 塗膜物性 :200 μドクターブレード使用 塗膜硬化性:76μアプリケーター使用 硬化 : 7日/5 ℃ 90%RH
【0026】膜外観評価 塗膜の光沢、透明性、平滑性を目視判定により4段階で
評価する。 EX: 優秀、 G : 良好、 F : やや不良、
P : 不良
【0027】 塗膜物性試験方法 1) 硬化速度:RCI塗膜硬化速度試験機により ST(指触乾燥)、DF(半乾燥)、DT(完全乾燥) 2) 鉛筆硬度:JIS K 5400 (手かき法、相対湿度80%、 5℃で7日保持) 3) 碁盤目 :JIS K 5400 (碁盤目テープ法、碁盤目数25) 4) エリクセン :JIS K 5400 (破断距離法) 5) 耐水スポット:塗膜の上に水を湿ませた脱脂綿を乗せ翌日塗膜の状態を観 察する(相対湿度80%、5℃で1日保持)。
【0028】塗膜耐薬品性試験方法および評価方法 1) 薬液および浸漬条件 10% NaOH水溶液、10% H2 SO4 水溶液、耐水性、
キシレン、酢酸、塩水噴霧、温度23℃。 2) 評価方法 薬液浸漬前後の塗膜外観を目視判定により4段階で評価
する。 EX:全く変化無、G:初期外観ほぼ維持、F:わずか
に変化、P:変化
【0029】
【表1】 試験例1 試験例2 試験例3 試験例4 (硬化剤) (実施例1) (実施例2) (実施例3) (比較例1) 硬化速度(Hr) ST 1.5 1.0 1.0 1.0 DF 2.5 2.5 2.5 2.5 DT 5.0 5.0 5.0 6.0 塗膜外観 光沢 EX EX EX G 透明性 EX EX EX G 平滑性 EX EX EX EX 塗膜物性 耐水スホ゜ット(5℃/day) G EX EX P 鉛筆硬度(5℃/7day) 4H 4H 4H 4H 碁盤目試験 ( /25) 15/25 20/25 20/25 0/25 エリクセン(mm) 3 5 6 1 膜耐薬品性 1W/2W/4W 1W/2W/4W 1W/2W/4W 1W/2W/4W 10% NaOH EX/G /G EX/EX/G EX/EX/G G /F /P 10% H2 SO4 EX/G /G EX/EX/G EX/EX/G G /F /P 耐水性 EX/EX/EX EX/EX/G EX/EX/EX G /F /P キシレン G /F /F G /F /F G /F /F G /F /F 酢酸 EX/G /G EX/G /F EX/EX/G F /P /P 塩水噴霧 EX/EX/G EX/G /F EX/EX/EX G /P /P
【0030】表2から明らかなように、本発明による硬
化剤を用いて作製した塗膜は、優れた表面特性を示した
が、比較例では少し曇りが見られ光沢、透明性において
劣っていた。曇りはカーボネートまたはカーバメートの
形成により引き起こされれると見られる。本発明による
硬化剤ではこの曇りが観察されず、また耐水スポットお
よび鋼板との密着性も改善されている。更に本発明によ
る硬化剤では、硬化被膜中に疎水性の芳香族炭化水素ホ
ルムアルデヒド樹脂が組み込まれているために耐薬品
性、特に弱有機酸である酢酸に対する耐食性が著しく改
善されている。
【0031】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、ヒド
ロキシ芳香族化合物を芳香族炭化水素ホルムアルデヒド
樹脂で変性することにより、硬化剤の疎水性が増加し、
網目構造中に大量に取り込まれるために、塗膜を弱酸性
水溶液に浸漬した場合でも、硬化促進成分がより抽出さ
れにくくなる。このため本発明のエポキシ樹脂用硬化剤
を用いることにより、厳しい条件、例えば高湿度や低温
下でも、24時間後には、良好な光沢、平滑性および透
明性を有する完全に硬化した被膜が得られる。また耐薬
品性、特に弱有機酸である酢酸に対する耐食性が著しく
改善される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性
    ヒドロキシ芳香族化合物樹脂(A)とポリアミン(B)
    およびアルデヒド(C)との反応させて得られるマニッ
    ヒ塩基を有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化
    剤。
  2. 【請求項2】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性
    ヒドロキシ芳香族化合物(A)が、芳香族炭化水素ホル
    ムアルデヒド樹脂(a1)と、ヒドロキシ芳香族化合物
    (a2)との酸触媒反応により得られたものである請求
    項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  3. 【請求項3】ポリアミン(B)が少なくとも2個の第1
    級アミノ基を含有し、第1級アミノ基のそれぞれが脂肪
    族炭素原子に結合しているものである請求項1〜2いず
    れか記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  4. 【請求項4】ポリアミン(B)が、1,3−ビス(アミ
    ノメチル)ベンゼンであるか、または1,3−ビス(ア
    ミノメチル)ベンゼンと他のポリアミンの混合物である
    請求項1〜3いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  5. 【請求項5】アルデヒド(C)がホルムアルデヒドであ
    る請求項1〜4いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  6. 【請求項6】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(a
    1)がキシレンホルムアルデヒド樹脂である請求項2〜
    5いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  7. 【請求項7】ヒドロキシ芳香族化合物(a2)がフェノ
    ールである請求項2〜6いずれか記載のエポキシ樹脂用
    硬化剤。
  8. 【請求項8】第1級脂肪族モノアミンを含有する請求項
    1〜9いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999029756A1 (fr) * 1997-12-09 1999-06-17 Kansai Paint Co., Ltd. Agent de durcissement a base d'amine, composition de resine durcissable contenant cet agent et composition de revetement anticorrosion contenant ledit agent
US9822277B2 (en) 2012-12-28 2017-11-21 Kusumoto Chemicals, Ltd. Adhesion improver for amine curing epoxy resin paint
WO2021152281A1 (en) * 2020-01-28 2021-08-05 Paul Jones Mannich base epoxy curative, cured epoxy resins thereof and methods of preparing the same
WO2022255037A1 (ja) * 2021-05-31 2022-12-08 三菱瓦斯化学株式会社 新規アミノ化合物及びその製造方法、並びに、及びこれを用いたエポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物

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