JPH09202089A - ボールペンのリフィール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ボールペンに内蔵するためのスペースを広く
確保することのできる複式筆記具用リフィール。 【解決手段】 ボールペンのリフィール１は、先端ボー
ル１０を抱持するチップ９と、先端ボールがチップ先端
のボール抱持部内縁に常時は押圧して密接し、筆記時に
は解除されるように設けたスプリング１２を有する。チ
ップ後方を止着する継ぎ手とインキ収容管１６を有し、
インキ収容管内に筆記に伴う先端ボールの回転で粘性が
低下して流出される、剪断減粘性の水性ボールペンイン
キ又は低粘度の油性インキを充填する。インキの後端
に、筆記に伴うインキの消耗に追随して移動するグリー
ス状の半透明不乾性物から成るフォロア２１を充填した
構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複式筆記具に搭載され
る、剪断減粘性を有する水性、或いは低粘度の油性ール
ペンインキが充填されてなるボールペンのリフィールに
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ボールペン等の複数の筆記体を
搭載して、軸先から選択的にその筆記先端部を出没可能
とした複式筆記具が知られている。又、複式筆記具の筆
記先端部の出没機構としては、ノック式のもの、筆記具
の軸筒側面から貫出したスライダーを交互に摺動させる
スライダー式のもの、傾斜面を備えたカム筒を回転させ
て行うカム式のものなど種々知られている。

【０００３】一方、中粘度の水性、低粘度の油性ボール
ペンはインキ収容管が太くなるために通常の太さの複式
筆記具に搭載した場合、筆記体間の自由度がなく突出す
る筆記体の先端部が軸筒の先端孔にスムーズに求心され
ず、作動が阻害されて筆記先端部の出没が不可となる。
従って、作動を可能とするために軸筒が極端に太くなっ
て、携帯性、使い勝手が悪くなる欠点がある。

【０００４】水性ボールペンは、粘度が数ｍＰａ・Ｓ以
下の低粘性であるため、軽い筆記圧で書けることが利点
であり、書き味が良好である特徴がある。しかしなが
ら、インキがペン先からだらだらと流れ出る直流現象
や、反対にボールペンの先から空気が流入してインキが
流出する逆流現象などが起こり易い欠点がある。これら
の現象は中綿と称する繊維の収束体などを用いて防止す
る方法がとられている。又、キャップオフの状態で放置
すると、溶媒の蒸気圧が高く、溶媒がれのため、先端が
乾燥してインキが流出しなくなり、書けなくなってしま
うという問題がある。

【０００５】一方、従来知られている油性ボールペン
は、それに使用するインキが粘度が数千ｍＰａ・Ｓ以上
の高粘度のために、ペン先からインキが流出する際にボ
ールが回転する時の抵抗が大きいため書き味が悪い欠点
がある。又、筆記の際に先端から流出するインキ量は少
なく、ボテ現象があり、筆記描線のムラがあり筆跡濃度
が薄いこと、高い筆記圧が必要なことなどの問題があ
る。この油性ボールペンの改良として、 最近、上記の
水性と油性との中間粘度領域（数ｍＰａ・Ｓ〜数千ｍＰ
ａ・Ｓ）のインキを用いる中粘度と呼ばれる水性インキ
用ボールペンが開発されている。このものは、先端ボー
ルの回転によって粘度が低下してインキがスムーズに流
出する特性、所謂剪断減粘性を有する相対的に低粘性の
水性のインキを用いたボールペンである。しかしなが
ら、このものはインキが乾燥しやすい欠点があるために
通常は筆記先端部をシールするキャップが必要である。
又、インキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすため
にインキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くす
る必要がある。

【０００６】又、上記油性ボールペンの改良として、耐
乾燥性に優れた低粘度の油性インキを用いたボールペン
が考えられるが、やはりインキの流出量が多くなり、筆
記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてイン
キの充填量を多くする必要がある。又、インキの粘度が
低いために、チップ側を下向きにした場合に先端ボール
とチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる（直
流）が生じたり、筆記時にインキの流出量が多くなる欠
点がある。

【０００７】上記、中粘度の水性インキ、低粘度の油性
インキの何れも低粘性であることからインキが逆流や直
流しやすい現象がある。又、中粘度の水性ボールペン
は、通常インキ収容管後端に、フォロアと称されるグリ
ース状の半透明不乾性物質が充填されるので、インキ蒸
発防止の問題はペン先、即ち先端ボールとチップのボー
ル抱持部の間隙からの蒸発低減化を考えればよい。例え
ば、油性ボールペンのように蒸気圧がかなり低い溶剤を
主として用いれば、インキの蒸発は考慮しないですむ。
しかし、水性インキの場合は水が主溶剤なので、低蒸気
圧溶剤を選択しただけでは、水の蒸発を防げない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複数
のボールペンのリフィールを軸筒内に搭載して、軸筒先
端から夫々の筆記体の筆記先端部を選択的に出没可能と
する、携帯性、使い勝手性に優れた複式筆記具用の中粘
度の水性、或いは低粘度の油性インキを充填したボール
ペンのリフィールを提供可能とする。又、インキの逆
流、直流現象が生じず、ペン先の耐乾燥性が維持されて
キャップを外して放置することができ、又、落下衝撃、
上向き筆記によるインキの逆流やインキの直流を防止可
能とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のボールペンのリ
フィールは、複数のボールペンのリフィールを収納し
て、夫々の筆記先端部を軸先から選択的に出没可能とし
た複式筆記具に搭載されるボールペンのリフィールに於
いて、当該ボールペンのリフィールは、先端ボールを抱
持するチップと、先端ボールがチップ先端のボール抱持
部の内縁に常時には押圧して密接し、筆記時には密接状
態が解除されるように設けられたスプリングを有するこ
とからなり、チップ後方を止着する継ぎ手と継ぎ手後方
に止着されたインキ収容管を有し、該インキ収容管内に
筆記に伴う先端ボールの回転で粘性が低下して流出され
る、所謂剪断減粘性を有した水性ボールペンインキ又は
低粘度の油性インキが充填され、前記インキの後端に筆
記に伴うインキの消耗に追随して移動するグリース状の
半透明不乾性物から成るフォロアが充填されて構成さ
れ、更に、前記インキ収容管のインキ収容部が比較的大
きな断面積を有した非変形のものであって、インキ収容
管には、前記継ぎ手の後方部を止着した前端部とインキ
収容部との間に軸長方向に対する横方向に容易に変移可
能となるクビレ部が形成されて成る。

【００１０】上記チップ後端に対接して継ぎ手の軸心部
にボール弁が遊された弁室が設けられ、該弁室後部にボ
ール弁が密接してインキの逆流を防ぐボール受け座及び
該ボール受け座からインキ収容管に通ずる導孔が設けら
れて成る。

【００１１】

【実施例】本発明のボールペンのリフィールは、複式筆
記具に搭載されるボールペンのリフィールであり、適用
されるインキは所謂剪断減粘性を有した水性、低粘度の
油性インキである。

【００１２】先ず、図１は本発明の実施例であるボール
ペンのリフィール１を示している。図に示すようにチッ
プ９は、インキ流入可能なチャンネル９ａを有した座に
先端ボール１０が略当接した状態で、先端ボール１０が
回転自在に抱持されるようカシメられている。又、チッ
プ内孔部１１にスプリング１２が内挿され、スプリング
１２後端の捲線部が抜出不能となるようにチップの軸部
１４の後端を適宜カシメている。（カシメ部１５）又、
先端ボール１０がチップのボール抱持部の内面に密接す
ることは筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極め
て重要であって、そのために先端ボール１０を抱持する
チップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善す
る為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次
的な塑性加工が配慮される。又、先端ボールとの密接面
に表面処理などが配慮される。

【００１３】又、スプリング１２の先方は直線状の棒軸
部１３となり、当該棒軸部１３の先端が先端ボール１０
の背面に押圧状態で当接する。尚、先端ボール１０はそ
の押圧によってチップ９のボール抱持部（カシメなどで
形成）の内縁に密接状態となる。

【００１４】又、継ぎ手２は先端にチップ９の軸部１４
を圧着する前軸部２ａと後軸部３が形成されている。
又、継ぎ手２の内孔部にはチップ９の後端に対峙して弁
室４が設けられ、弁室４内にはボール弁８が遊嵌され
る。又、弁室４の後端にはテーパー状又は球面状のボー
ル受け座５と導孔６が軸心に対して適宜偏心して設けら
れている。又、弁室４の内壁の一側には軸方向にインキ
が流れるように溝７が設けられている。この弁室４内に
遊嵌しているボール弁８は、チップ９を下向きにした状
態では、チップの軸部１４の後端に偏った状態に接して
チップ内孔部１１へのインキ流路を形成し、インキ収容
管１６のインキは導孔６を通り前記溝７、インキ流路を
などを通じてチップ内孔部１１に流入する。逆に上向き
の状態ではボール弁８がボール受け座７に密接してイン
キの逆流を防止する機能が得られる。

【００１５】又、インキ収容管１６は前端部１９ａと後
方に長く延びたインキ収容部１９ｂからなり、前端部１
９ａとインキ収容部１９ｂとの間がクビレ部１７で一体
に連結されている。前記前端部１９ａには継ぎ手の後軸
部３が止着され、非変形のインキ収容部１９ｂに対しク
ビレ部１７の前方がフレキシブルに構成される。

【００１６】又、インキ収容管１６のインキ収容部１９
ｂ内にはボールペンのインキ２０が充填され、更に、こ
のインキ２０の後端にインキの消耗と共にインキ面に接
触して追随して移動可能なグリース状の半透明不乾性物
から成るフォロア２１が充填される。又、落下やノック
衝撃等による変形を防止するために必要に応じてフォロ
ア２１内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフ
ォロア棒２２が浸漬される。又、インキ収容管１６の後
端には尾栓２３が固着されていて、該尾栓後端の孔部２
４ａに複式筆記具の筆記体出没機構部と連動する連結部
が嵌挿され、係止部２４ｂで着脱可能に係止されてボー
ルペンのリフィール１が複式筆記具に取付けられる。
（図示せず）又、尾栓２３にはインキ収容管１６の内部
と外気を連通する通気孔２５が設けられている。

【００１７】

【作用】ボールペンのリフィール１は、チップ９を上向
きにした状態に於いて、そのボール弁８が弁室４のボー
ル受け座５に位置して導孔６を密閉するので、上向き筆
記されてチップの先端ボール１０背面のインキがなくな
っても、インキにヘッドが掛かり逆流することがない。
従って、チップ９を下向きにした時にはインキがすぐに
流出可能となり、筆記で掠れが防止される。（因みにボ
ール弁を有しない構造では、上向き筆記でインキが逆流
方向に作用するのでチップ内に空気を巻き込み、下向き
筆記で即インキが追随せず掠れが生じる）

【００１８】チップ９を下向きにした筆記状態に於いて
は、ボール弁８がチップ９後端の一方に偏った状態に当
接し、他方にはチップ９内にインキが流入可能な流路が
構成され、インキ収容部１９ｂからクビレ部１７の小孔
部１８、導孔６を経て弁室４に入ったインキ２０は先端
ボール１０の背面まで誘導される。この状態で、スプリ
ングの棒軸部１３の押圧で先端ボール１０がチップのボ
ール抱持部の内縁に密接されるのでインキの直流が防止
される。又、筆圧により先端ボール１０が微小に後退す
るので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記によ
り先端ボール１０の回転でインキがスムーズに流出さ
れ、ボテが無く、筆跡濃度の高い筆記が可能となる。

【００１９】先端ボール１０の背面にはチャンネル（チ
ップ内孔に向かって貫通したインキ流入溝を複数箇所に
有した先端ボールの受け座）がありチャンネルの中心孔
には棒軸部１３が貫通する。チップ内のインキはインキ
流入溝および中心孔と棒軸部１３との間の隙間を通じて
先端ボール１０背面に誘導される。

【００２０】又、ボールペンのリフィール１を複式筆記
具に搭載して、夫々の筆記先端部を軸先から出没させる
場合、インキ収容管が非変形であっても筆記先方部位が
フレキシブルに変移するので作動が阻害されずに軸先か
らスムーズに筆記先端部が出没する。

【００２１】

【発明の効果】本発明のボールペンのリフィールの構成
及び作用は以上の如くであり、複数のボールペンのリフ
ィールを軸筒内に搭載して、軸筒先端から夫々の筆記体
の筆記先端部を選択的に出没可能とする、携帯性、使い
勝手性に優れた複式筆記具用の中粘度の水性、或いは低
粘度の油性インキを充填したボールペンのリフィールが
提供可能となる。又、インキの逆流、直流現象が生じ
ず、ペン先の耐乾燥性が維持されてキャップを外して放
置することができ、又、落下衝撃、上向き筆記によるイ
ンキの逆流やインキの直流が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例であるボールペンのリフィール
の全体を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ ボールペンのリフィール ２ 継ぎ手 ２ａ 前軸部 ３ 後軸部 ４ 弁室 ５ ボール受け座 ６ 導孔 ７ 溝 ８ ボール弁 ９ チップ １０ 先端ボール １１ チップ内孔部 １２ スプリング １３ 棒軸部 １４ 軸部 １５ カシメ部 １６ インキ収容管 １７ クビレ部 １８ 小孔部 １９ａ 前端部 １９ｂ インキ収容部 ２０ インキ ２１ フォロア ２２ フォロア棒 ２３ 尾栓 ２４ａ 孔部 ２４ｂ 係止部 ２５ 通気孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のボールペンのリフィールを収納し
   て、夫々の筆記先端部を軸先から選択的に出没可能とし
   た複式筆記具に搭載されるボールペンのリフィールに於
   いて、当該ボールペンのリフィールは、先端ボールを抱
   持するチップと、先端ボールがチップ先端のボール抱持
   部の内縁に常時には押圧して密接し、筆記時には密接状
   態が解除されるように設けられたスプリングを有するこ
   とからなり、チップ後方を止着する継ぎ手と継ぎ手後方
   に止着されたインキ収容管を有し、該インキ収容管内に
   筆記に伴う先端ボールの回転で粘性が低下して流出され
   る、所謂剪断減粘性を有した水性ボールペンインキ又は
   低粘度の油性インキが充填され、前記インキの後端に筆
   記に伴うインキの消耗に追随して移動するグリース状の
   半透明不乾性物から成るフォロアが充填されて構成さ
   れ、更に、前記インキ収容管のインキ収容部が比較的大
   きな断面積を有した非変形のものであって、インキ収容
   管には、前記継ぎ手の後方部を止着した前端部とインキ
   収容部との間に軸長方向に対する横方向に容易に変移可
   能となるクビレ部が形成されたことを特徴とするボール
   ペンのリフィール。
2. 【請求項２】 上記チップ後端に対接して継ぎ手の軸心
   部にボール弁が遊嵌された弁室が設けられ、該弁室後部
   にボール弁が密接してインキの逆流を防ぐボール受け座
   及び該ボール受け座からインキ収容管に通ずる導孔が設
   けられて成る上記請求項１記載のボールペンのリフィー
   ル。