JPH09201087A - 電動機駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲の定出力制御を要求される負荷で、定
出力領域での負荷運転状態に応じてインバータ主回路の
出力の電圧／周波数特性を変化させ得て、大きな負荷変
動に対して失速，停止し難い運転を可能にする電動機駆
動装置。 【解決手段】 電動機をインバータで駆動制御するもの
で、入力信号に応じてパルス幅を変更してインバータ主
回路を制御するＰＷＭ電圧発生手段と、インバータ主回
路の出力電流を検出する電流検出手段と、この電流検出
手段により検出した電流値を予め設定されたストール防
止設定電流値と加減算する加減算手段を有すると共にこ
の加減算手段の出力信号と周波数の変化量を決定するた
めの基準値とを比較する比較手段と、この比較手段の出
力信号を周波数指令値と加減算する加減算手段と、電圧
／周波数パターンを設定するＶ／ｆ演算手段とを含んで
構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械や電気自
動車等、広範囲において定出力制御を要求される負荷を
インバータにより駆動制御するための電動機駆動装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の一般的な汎用インバータは、急激
な負荷変動によりインバータの出力電流が急激に増加し
た時には、出力電流が電流制限レベル（定格の例えば約
１６０〜１７０％）に達した時点で、電流制限機能が動
作して、インバータの主回路素子の動作を一時的に停止
又は制限することによって、出力電流を抑制してインバ
ータを過電流から保護するようになっている。この場合
のインバータの出力電流と電動機の発生トルクは図３に
示すような特性となる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、負荷の慣性
モーメントが比較的大きく、図４（ａ）に示すように定
出力領域（高速度領域）の広い負荷特性の場合には、定
出力領域において一定周波数で運転中に、負荷変動によ
りインバータの出力電流が急激に増加すると、図３に示
す様に出力電流が電流正弦レベルに達するまで電動機の
トルクは増加の傾向を示すが、最大トルクを境にして低
下する。この間、速度は低下し続ける。

【０００４】さらに、この定出力領域の広い負荷特性に
対する電動機のトルク特性は、図２（ｂ）に示すように
基底周波数を境にして低下する特徴を有している。この
為、特に運転周波数が高いほど発生するトルクは小さく
なり、負荷変動に対する余裕は小さくなる。そして、出
力電流が電流制限レベルに達した時点で、電流制限機能
が動作し停止する等の問題があった。

【０００５】本発明は、このような事情を考慮してなさ
れたもので、従ってその目的は、広範囲の定出力制御を
要求される負荷において、定出力領域での負荷運転状態
に応じてインバータ主回路の出力の電圧／周波数特性を
変化させることができて、大きな負荷変動に対して失
速，停止し難い運転を可能にする電動機駆動装置を提供
するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の電動機駆動装置
は、電動機をインバータにより駆動制御するための電動
機駆動装置において、入力信号に応じてパルス幅を変更
してインバータ主回路を制御するＰＷＭ電圧発生手段
と、インバータ主回路の出力電流を検出する電流検出手
段と、この電流検出手段により検出した電流値を予め設
定されたストール防止設定電流値と加減算する加減算手
段を有すると共にこの加減算手段の出力信号と周波数の
変化量を決定するための基準値とを比較する比較手段
と、この比較手段の出力信号を周波数指令値と加減算す
る加減算手段と、電圧／周波数パターンを設定するＶ／
ｆ演算手段とを含んで構成される。

【０００７】上記手段においては、負荷運転状態のイン
バータ主回路の出力電流を電流検出手段により検出し、
加減算手段によりこの検出電流値と予め設定されたスト
ール防止設定電流値とを加減算し、そして比較手段によ
り周波数の変化量を決定するための基準値と比較して周
波数低減量即ち周波数の補正値を求め、この補正値を周
波数指令値に減算することにより周波数指令を補正す
る。これにより電圧／周波数特性においては、補正値分
だけ周波数が低い時の特性となり、発生するトルクは補
正前と比較して大きくなる。この結果、大きな負荷変動
に対して、出力電流が電流制限レベルに達して電流制限
機能が動作することによる失速、停止のし難い運転が可
能となる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例につき図
１及び図２に基づいて説明する。まず、図１において、
交流電源１に接続される直流電源回路２は全波整流回路
３及び平滑コンデンサ４からなり、この直流電源回路２
の直流母線５，６間にはインバータ主回路７が接続され
ている。このインバータ主回路７は、スイッチング用ト
ランジスタの三相ブリッジ回路及び保護ダイオードから
構成されている。このインバータ主回路７の出力端子に
は交流電動機８が接続されており、この交流電動機８に
より負荷機器９が駆動されるようになっている。また、
インバータ主回路７の一相の出力端子には、電流検出手
段としての例えば可動鉄片形電流計からなる電流検出器
１０が設けられていて、この電流検出器１０によって、
負荷の運転状態が常時監視されるようになっている。

【０００９】この電流検出器１０により検出した電流値
（出力信号）は、周波数指令補正回路１１の加減算器１
２に与えられる。周波数指令補正回路１１は、この加減
算手段としての加減算器１２とストール防止電流設定手
段としてのストール防止電流設定器１３と前記加減算手
段の出力信号と周波数の変化量を決定するための基準値
とを比較する比較手段としての比較器１４とを有して構
成されている。

【００１０】加減算器１２は、周波数指令補正回路１１
により検出された電流値Ｉｎとストール防止電流設定器
１３により予め設定された設定値Ｉｓとを加減算し、比
較器１４はこの加減算器１２の出力信号（Ｉｓ−Ｉｎ）
がほぼ零になった時点で周波数指令の補正値Δｆを出力
する。この補正値Δｆは、加減算手段としての加減算器
１５に与えられる。この加減算器１５は、周波数指令ｆ
からこの補正値Δｆを減算する。Ｖ／ｆ演算器１６は、
電圧／周波数特性パターンを有するもので、周波数指令
に応じて出力信号Ｖａを出力するようになっている。

【００１１】前記加減算器１５は、周波数指令ｆから補
正値Δｆを減算して補正信号ｆａ＝（ｆ−Δｆ）をＰＷ
Ｍ電圧発生手段たるＰＷＭ電圧発生器１７に与える。一
方、Ｖ／ｆ演算器１６の周波数指令の補正信号ｆａに応
じた出力信号Ｖａもまた、ＰＷＭ電圧発生器１７に与え
られる。このＰＷＭ電圧発生器１７は、この補正信号ｆ
ａ，Ｖａに基づいてパルス幅を変更してインバータ主回
路を制御するようになっている。

【００１２】図２（ａ）には、定出力領域（高速度領
域）の広い負荷特性の場合におけるＶ／ｆ特性、図２
（ｂ）には、出力電流と電動機のトルク特性を示してい
る。今、出力周波数ｆ４で運転中に大きな負荷変動があ
った場合、電動機の発生トルクがＮ４のトルク特性曲線
上のＡ点に達すると、補正した周波数指令ｆａにより出
力周波数はｆ３となり、トルク特性はＮ４から発生トル
クの大きいＮ３に変化する。この結果、低出力領域での
負荷運転状態に応じてトルク特性を変化させることがで
き、大きな負荷変動に対して失速、停止し難い運転を可
能にする。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、以上の説明から明らかなよう
に、広範囲の定出力制御を要求される負荷において、定
出力領域での負荷運転状態に応じてインバータ主回路の
出力の電圧／周波数特性を変化させることができて、大
きな負荷変動に対して失速，停止し難い運転を可能にす
るといった優れた効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す電気的構成のブロック
図、

【図２】（ａ）出力電圧／周波数特性図、（ｂ）出力電
流・トルク／回転速度特性図、

【図３】運転時の出力電流とトルク特性の一例を示す
図、

【図４】運転時の不可特性の一例を示す図、（ａ）出力
特性図、（ｂ）トルク特性図。

【符号の説明】

７…インバータ主回路、 １０…電流検
出器、１１…周波数指令補正回路、 １２，
１５…加減算器、１３…ストール防止電流設定器、
１４…比較器、１６…Ｖ／ｆ演算器、
１７…ＰＷＭ電圧発生器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機をインバータにより駆動制御する
   ための電動機駆動装置において、入力信号に応じてパル
   ス幅を変更してインバータ主回路を制御するＰＷＭ電圧
   発生手段と、インバータ主回路の出力電流を検出する電
   流検出手段と、この電流検出手段により検出した電流値
   を予め設定されたストール防止設定電流値と加減算する
   加減算手段を有すると共にこの加減算手段の出力信号と
   周波数の変化量を決定するための基準値とを比較する比
   較手段と、この比較手段の出力信号を周波数指令値と加
   減算する加減算手段と、電圧／周波数パターンを設定す
   るＶ／ｆ演算手段とを備えたことを特徴とする電動機駆
   動装置。