JPH0919627A - 一酸化窒素の除去方法 - Google Patents

一酸化窒素の除去方法

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JPH0919627A
JPH0919627A JP7172052A JP17205295A JPH0919627A JP H0919627 A JPH0919627 A JP H0919627A JP 7172052 A JP7172052 A JP 7172052A JP 17205295 A JP17205295 A JP 17205295A JP H0919627 A JPH0919627 A JP H0919627A
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JP
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nitric oxide
activated carbon
carbon material
basic
gas
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JP7172052A
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English (en)
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Kazutoshi Haraguchi
和敏 原口
Fumihiko Maekawa
文彦 前川
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 一酸化窒素および還元性ガスを含む混合ガス
を、塩基性活性炭素材に200℃以上で接触させること
により、塩基性活性炭素材を触媒として一酸化窒素と還
元性ガスを反応させること、又は反応させると共に一酸
化窒素と塩基性活性炭素材を反応させることにより、一
酸化窒素を窒素分子に還元させることを特徴とする一酸
化窒素の除去方法。 【効果】 本発明は、安価で安定供給が可能な塩基性活
性炭素材を触媒として用い、比較的低温で、自動車の排
気ガスや各種燃焼ガス中に含まれる一酸化窒素と一酸化
炭素等の還元性ガスとを反応させることにより、一酸化
窒素を窒素分子に還元し、亜酸化窒素を排出せず、更に
有害な一酸化炭素等の同時除去も達成出来る、優れた一
酸化窒素の除去方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車、発電所、工
場等の燃焼排ガス中の一酸化窒素の削減を目的とした分
野で用いられる。
【0002】
【従来の技術】近年、産業の拡大にともない、年間に排
出される環境汚染物質は増加の一途をたどっている。特
に窒素酸化物は自動車需要の急激な増大や発電所、工場
等における石油、石炭の燃焼量の増加により著しい増加
を示し、大気汚染や酸性雨を始めとする地球的規模での
汚染源としてその排出量の削減は危急の課題となってい
る。
【0003】これに対して現在まで各種の対策・検討が
なされており、発生源(自動車や工場のボイラ−、ガス
タ−ビン等)数を抑制することや燃料の改質、排出ガス
再循環による方法等のほか、種々の窒素酸化物の処理技
術が開発・検討されている。(例えば、「機能材料」、
13、47、1993年)。いずれの発生源においても
排気ガス中に9割近く含まれる一酸化窒素(NO)の除
去が最も大きい問題となっている。
【0004】一酸化窒素の処理技術としては、排気ガス
中の一酸化窒素の後処理技術が種々検討されている。こ
の中で現在、実用化されているものは接触還元法であ
り、具体的には、V25−TiO2−W(MO)O3系触
媒上でのアンモニアによる選択還元プロセス(SCR)
法とPt−Pd−Rh等からなる三元触媒を用いる方法
が、それぞれ固定発生源(工場ボイラ−等)及び移動発
生源(自動車エンジン等)に対して適用されている。
【0005】しかしながら、SCR法は取扱いに注意を
要するアンモニアを還元剤として用いることから、還元
装置が大型化し、移動発生源を含め一般の小型エンジン
やボイラ−等からの排気ガスには適用し難い問題点があ
る。これに対して、三元触媒は排気ガス中に含まれる他
の有害成分である一酸化炭素や炭化水素類を還元剤とし
て、一酸化窒素を還元するものであることから、一酸化
窒素と共に一酸化炭素や炭化水素類を同時に処理する有
効な方法である。
【0006】しかし、これまで検討され実用化されてい
る三元触媒においては、ロジウムなどの資源的限界のあ
る貴金属が含まれていることや、触媒反応温度が高いな
どの問題点を有している。また近年、この三元触媒を用
いた場合、オゾン層破壊や温室効果の原因の一つと考え
られている亜酸化窒素が部分的に排出されることが指摘
されている(例えば、SAE Technical P
aper Siries、940926、1994
年)。
【0007】従って、かかる問題点を有しない、低温か
ら反応性が高く、高効率で、且つ亜酸化窒素を排出しな
い、新たな一酸化窒素と一酸化炭素等の同時除去方法を
開発することが環境問題を解決する上で望まれている。
【0008】一方、炭素材を用いて一酸化窒素(NO)
を削減する方法としては、NOを炭素材で吸着除去する
方法と、NOを炭素材と反応させて還元除去する方法、
及びNOを炭素材を触媒としてアンモニアと反応させて
除去する方法がある。
【0009】吸着除去方法においては、従来、活性炭素
材メ−カ−より酸性ガス吸着用としてアルカリ処理した
り、細孔制御した活性炭素材が販売されているほか、C
u、Mn、Fe等の金属の酸化物や水酸化物を担持させ
ることで、NO吸着性能を向上させたり(特開昭64−
85137号公報、特開平2−69311号公報、J.
Phys.Chem.96,10917、1992
年)、市販品と同じアルカリ処理炭素材を用いて、過剰
酸素存在下においてNOを除去すること(特開平6−1
26162号公報)等が報告されている。
【0010】しかし、かかる吸着除去法においては、吸
着後のNOを如何にして無害化するかの問題や、過剰酸
素存在下での吸着では、高温で炭素材が酸素により燃焼
させられるため、200℃程度まででしか使用できない
といった本質的な問題を抱えており、長期の継続したN
Oの除去方法とはならなかった。
【0011】NOと炭素材との反応による還元除去法に
関しては、炭素繊維とNOを反応させてNOを窒素に還
元することが知られており、例えば、本発明者らは特定
の炭素繊維や活性炭素材を還元剤として用いると、NO
と炭素材が高効率で反応することを報告している(SA
E Paper 940457等)。しかし炭素材がN
Oとの反応で消費され、長期耐久性にかける欠点を本質
的に有していた。
【0012】一方、炭素材を触媒としてNOとアンモニ
アを反応させる方法としては、例えば、銅化合物を添着
させた活性炭素繊維を酸素及びアンモニア共存下のNO
含有ガスと接触させることにより、アンモニアを還元剤
としてNOを還元除去する方法(特開平5−10398
6号公報)や、硫酸で処理した活性炭素繊維を用いて同
じく酸素及びアンモニア共存下のNOと接触させること
により、アンモニアを還元剤としてNOを還元除去する
方法(Carbon、32巻、175、1994年)等
が検討されている。
【0013】しかし、ここでアンモニアを還元剤として
用いることは危険性やコストの上で従来のSCR法と同
じ実用化上の問題点を抱えている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとす
る課題は、危険性のあるアンモニア等を用いずに、安価
で安定供給が可能な触媒を用い、比較的低温で、自動車
の排気ガスや各種燃焼ガス中に含まれる一酸化窒素と一
酸化炭素等の還元性ガスとを反応させることにより、一
酸化窒素を窒素分子に還元し、亜酸化窒素を排出せず、
更に有害な一酸化炭素等の同時除去も達成出来る、優れ
た一酸化窒素の除去方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の塩基性活性
炭素材を200℃以上の温度で、一酸化窒素および還元
性ガスを含む混合ガスと接触させ、該活性炭素材を触媒
として一酸化炭素などの還元性ガスと一酸化窒素との反
応を生じさせることが出来ること、更に、混合ガス中に
含有された一酸化窒素および一酸化炭素等の還元性ガス
を、効率良く、同時に除去できることを見いだして、本
発明を完成するに至った。
【0016】
【発明の実施の形態】即ち、本発明は、一酸化窒素およ
び還元性ガスを含む混合ガスに対して、塩基性活性炭素
材を200℃以上で接触させることにより、該活性炭素
材を触媒として一酸化窒素と還元性ガスを反応させるこ
とにより、一酸化窒素を窒素分子に還元させることを特
徴とする一酸化窒素の除去方法である。
【0017】また本発明は、一酸化窒素および還元性ガ
スを含む混合ガスに対して、塩基性活性炭素材を200
℃以上で接触させることにより、該活性炭素材を触媒と
して一酸化窒素と還元性ガスを反応させると共に、一酸
化窒素と該活性炭素材を反応させることにより、一酸化
窒素を窒素分子に還元させることを特徴とする一酸化窒
素の除去方法である。
【0018】また本発明は、還元性ガスが一酸化炭素ま
たは一酸化炭素を少なくとも一成分として含むものであ
ることを特徴とする一酸化窒素の除去方法である。また
本発明は、還元性ガス成分が炭化水素を含むものである
ことを特徴とする一酸化窒素の除去方法である。
【0019】また本発明は、混合ガス中の一酸化炭素/
一酸化窒素のモル比が0.1以上であることを特徴とす
る一酸化窒素の除去方法である。また本発明は、表面塩
基性基量が0.8meq/g以上であり且つ表面酸性基
量が0.5meq/g以下であること、及びpHが8〜
11である塩基性活性炭素材を用いることを特徴とする
一酸化窒素の除去方法である。
【0020】また本発明は表面塩基性基量が1meq/
g以上であり、且つ(表面塩基性基量−表面酸性基量)
の差が0.5meq/g以上であること、及びpHが9
以上である塩基性活性炭素材を用いることを特徴とする
一酸化窒素の除去方法である。
【0021】また本発明は、用いる塩基性活性炭素材
が、酸素含有率が5〜20重量%、炭素含有率が80〜
95重量%、且つ窒素含有率が0.5重量%以下である
こと、及び25℃における平衡吸着水分率が30重量%
〜100重量%であること、及び該活性炭素材の空気中
20℃/分の昇温DTA測定における発熱ピ−ク
(TA)が350℃〜640℃であることを併せ持つこ
とを特徴とする一酸化窒素の除去方法である。
【0022】また本発明は、塩基性活性炭素材が一種以
上のアルカリ金属を含有していることを特徴とする一酸
化窒素の除去方法である。また本発明は、アルカリ金属
がリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムから選ば
れる一種または二種以上のものであることを特徴とする
一酸化窒素の除去方法を含むものである。
【0023】また本発明は、塩基性活性炭素材が一種以
上の貴金属を含有していることを特徴とする一酸化窒素
の除去方法である。
【0024】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明の一酸化窒素の除去方法は、混合ガス中の一酸化窒素
が塩基性活性炭素材を触媒として一酸化炭素等の還元性
ガスと反応式1(但し、還元性ガスが一酸化炭素の場
合)により反応すること、及び/又は混合ガス中の一酸
化窒素が塩基性活性炭素材中の炭素(以後CB *と記す)
と、反応式2により反応することにより、一酸化窒素を
窒素分子に還元することによる一酸化窒素の除去方法で
ある。
【0025】ここで本発明の除去方法における反応式2
の反応には反応式3で表される反応の可能性も含まれ
る。
【化1】 2NO + 2CO → N2 + 2CO2 (反応式1)
【0026】
【化2】 2NO + CB * → N2 + CO2 (反応式2)
【0027】
【化3】 2NO + 2C(O)B * → N2 + 2CO2 (反応式3)
【0028】(式中、CB *は、塩基性活性炭素材の中の
炭素を、また、C(O)B *は、塩基性活性炭素材の中の
炭素と酸素を表わす。)
【0029】また、還元性ガスとして一酸化炭素以外の
炭化水素等を含む場合、例えば、プロピレンを含む場合
は、反応式1及び/又は反応式2と共に、プロピレンを
還元剤とした一酸化窒素の窒素への還元反応が含まれ
る。この反応式はまだ明確ではないが例えば下記の反応
式4で表されるものが考えられる。
【0030】
【化4】 18NO + 2C36 → 9N2 + 6CO2 + 6H2O (反応式4)
【0031】本発明において、混合ガス中に含まれる一
酸化窒素の濃度は特に限定されないが、具体的にはpp
mオ−ダ−もしくは、それ以下の低濃度から、%オ−ダ
−の高濃度までを対象とすることが可能である。
【0032】また、本発明における混合ガス中の還元性
ガスとしては、反応式1や反応式4のように塩基性活性
炭素材を触媒として、一酸化窒素と反応するもので有れ
ば、特に限定されないが、一酸化炭素や排気ガス中に多
く含まれる炭化水素類には、特に有効である。また、そ
の他メタノ−ル等の低級アルコ−ルであっても良い。
【0033】これらの還元性ガス成分は一種類含まれて
いても又複数種類含まれていても良いが、好ましくは少
なくとも一成分として一酸化炭素が含まれている混合ガ
スがNOの還元に適している。混合ガス中に含まれる一
酸化炭素の量については、その濃度は特に限定されない
が、一酸化窒素と一酸化炭素の反応(反応式1)を、特
に有効に進めるためには、混合ガス中の一酸化炭素の濃
度は、一酸化窒素の濃度の0.1モル比以上、好ましく
は0.5モル比以上、特に好ましくは等モル比以上含ま
れていることが好ましい。
【0034】一酸化窒素を含有する混合ガス中の酸素は
少ないほうが好ましく、NO濃度と同程度またはそれ以
下であることが好ましい。また、本発明において混合ガ
ス中に二酸化炭素や窒素の他、二酸化窒素や水分及び二
酸化硫黄を含んでいることは差し支えない。
【0035】本発明における一酸化窒素及び還元性ガス
を含む混合ガスは、具体的には、エンジンからの排気ガ
スやボイラ−等の燃焼排ガスまた実験室等における一酸
化窒素汚染ガス等が対象とされる。ここで過剰の酸素を
含有していない混合ガス、例えばガソリンエンジンの排
ガスや該ガソリンエンジン排ガスを三元触媒等の脱硝触
媒により処理した後の排ガス等は、本発明による一酸化
窒素除去に特に有効な対象混合ガスとなりうる。
【0036】本発明において、還元性ガスとしてのアン
モニアの添加は必要なく、排ガス中に含まれる一酸化炭
素や炭化水素と一酸化窒素とを反応させることで、非常
に安価で、且つ有効な一酸化窒素および一酸化炭素等の
同時除去が達成される。
【0037】本発明において、混合ガス中の一酸化窒素
と一酸化炭素等の還元性ガスを反応させることにより一
酸化窒素を窒素分子へ還元除去する方法においては、そ
の触媒として塩基性活性炭素材を用いることが必須であ
る。
【0038】ここで塩基性活性炭素材とは、pHが7以
上であり、表面酸性基量より多い表面塩基性量を有して
いる活性炭素材であるが、本発明においては塩基性活性
炭素材の表面塩基性基量が0.8meq/g以上、且つ
表面酸性基量が0.5meq/g以下であり、且つpH
が8〜11であるものが良く、好ましくは塩基性活性炭
素材の表面塩基性基量が0.9meq/g以上、且つ表
面酸性基量が0.2meq/g以下であり、且つpHが
9〜11であるものが良い。
【0039】また、塩基性活性炭素材の表面塩基性基量
が1meq/g以上、且つ(表面塩基性基量−表面酸性
基量)の差が0.5meq/g以上であり、且つpHが
9以上である塩基性活性炭素材、更に好ましくは塩基性
活性炭素材の表面塩基性基量が2meq/g以上、且つ
(表面塩基性基量−表面酸性基量)の差が1.0meq
/g以上であり、且つpHが9以上である塩基性活性炭
素材は、一酸化窒素と一酸化炭素との反応に関する触媒
効率に優れていて特に有効に用いられる。
【0040】かかる塩基性活性炭素材以外の炭素材、例
えば、表面酸性基量が表面塩基性基量よりも多い酸性活
性炭素材や、表面塩基性基量が表面酸性基量より多くて
も絶対値が非常に小さいか、いずれの表面基量も少な
く、中性に近い活性炭素材などは、本発明におけるNO
とCO等の反応に対する有効な触媒としての活性炭素材
としては用いられない。
【0041】ただし、触媒としてではなく、活性炭素材
を還元剤とした活性炭素材と一酸化窒素との反応のみを
行わせる場合においては、これらの活性炭素材はいずれ
も用いることが出来る。
【0042】また本発明における塩基性活性炭素材とし
ては、酸素含有率が5〜20重量%、炭素含有率が80
〜95重量%、且つ窒素含有率が0.5重量%以下であ
ること、及び25℃における平衡吸着水分率が30重量
%〜100重量%であること、及び該活性炭素材の空気
中20℃/分の昇温DTA測定における発熱ピ−ク(T
A)が350℃〜640℃であることを併せ持つもので
あることが好ましい。
【0043】これらの範囲以外の塩基性活性炭素材は、
一酸化窒素除去性能が劣ったり、耐熱性が低下するなど
して、発明の効果が低下する。また本発明において、か
かる特性を有する塩基性活性炭素材が、一種以上のアル
カリ金属、即ち、リチウム、カリウム、ナトリウム、セ
シウム等の一種以上を含有しているものは特に有効に用
いられる。また、パラジウムや白金などの一種または複
数の貴金属を含有している活性炭素材も有効に用いられ
る。
【0044】本発明における塩基性活性炭素材の原料と
しては、上記特性を有するもので有れば良く、特に限定
されない。具体的には石炭系、ヤシ殻、木材等の植物
系、等方性ピッチや異方性ピッチ等のピッチ系、熱硬化
性樹脂、ポリ塩化ビニル廃棄物や廃タイヤ等の有機高分
子系などのものを使用することが可能である。
【0045】また、本発明における塩基性活性炭素材の
製法としては、最終的に目的とする特性を有する塩基性
活性炭素材が得られれば良く特に限定されない。具体的
には、例えば、水蒸気や二酸化炭素、空気、燃焼ガス等
によるガス賦活法によるものや、ZnCl2、アルカ
リ、K2S等を用いた薬品賦活法によるものが可能であ
り、更にLiOH、KOHやNaOHなどの水酸化物を
用いた化学処理を同時または賦活後に行う方法が有効で
ある。
【0046】また貴金属を担持させる方法も特に限定さ
れず、例えば貴金属微粒子や貴金属の水酸化物や塩化物
等を用いて活性炭と混合または湿式処理して担持させる
ことができる。また本発明における塩基性活性炭素材の
最終形態としては、粉末状、粒状、繊維状のいずれのも
のでも良く特に限定されない。
【0047】また、これらの原料活性炭素材を用いて、
顆粒状、フェルト状、ペ−パ−状、ハニカム状の形状に
加工されたものや、基材の上に塗布された形態のもの
は、対象ガスとの有効な接触、温度制御等の上で有効で
ある。
【0048】本発明において一酸化窒素及び一酸化炭素
等を含む混合ガスと塩基性活性炭素材との接触温度は2
00℃以上であることが必要である。更に好ましくは2
50℃以上であるのが良い。200℃の温度以下では塩
基性活性炭素材を触媒とした一酸化窒素と一酸化炭素等
との接触還元反応による一酸化窒素の窒素分子への還元
が有効に生じない。
【0049】200℃以上の温度での適切な接触温度と
しては、用いる塩基性活性炭素材の特性や混合ガス組
成、また両者の温度以外の接触条件(空間速度等)によ
って有効な接触温度を選択することが可能である。例え
ば、空間速度が高い条件ほど、より高温での接触が適切
となる。
【0050】また、混合ガスとして排気ガス等を用いる
場合は、特定温度に限定した方法以外に、有効な温度を
含む幅を持った接触温度領域において使用することがで
きる。使用する最高温度は、混合ガス中に含まれる酸素
の量に影響されるが、混合ガス中の酸素が少ない場合に
は、最高使用温度の制限は特になく、混合ガス中に多く
の酸素が含まれる場合は、活性炭素材の燃焼消耗が少な
い温度、具体的には500℃以下、好ましくは400℃
以下であることが長期使用の為には好ましい。
【0051】
【実施例】次いで本発明を実施例によって更に説明す
る。尚、例中の%は特に断りの無い限り体積基準であ
る。
【0052】(参考例1)図1に、本実施例で使用した
一酸化窒素の除去試験を行う実験装置(固定床流通式接
触反応装置)の概要を示す。ここで(1)は100pp
m〜100%の濃度に予めに調製された一酸化窒素を始
めとする各種成分ガス供給部(ボンベ、ヘリウムガスベ
−ス)、(2)は電子制御式ガス混合機、(3)は水添
加部(定量適下部及び加熱蒸発部よりなる)、(4)は
反応器、(5)はトラップ、
【0053】(6)は真空ポンプ装置および真空計、
(7)はCO,CO2,N2,N2Oおよび炭化水素等を
検出するガスクロマトグラフ装置(島津製作所製GC−
14B:検出器はFIDとTCD)、(8)はNOX
検出するNOX分析装置(島津製作所製NOX−700
0:常圧式化学発光法)、(9)はリファレンス用のバ
イパスラインである。ここで(7)及び(8)は流通ガ
スを適切な量に分岐して共に流すことにより同時測定が
可能である。
【0054】混合ガスはヘリウムをバランスガスとして
適切な濃度に調製された原料ガス(日本酸素株式会社
製)を電子制御装置により複数混合することにより、各
成分ガスを所定濃度含有する混合ガスとして調製した。
更に系全体は高純度ヘリウムガスを用いて内部での未置
換ガスの滞留または外部からの空気の流入が一切無いこ
とを各実験の前に予め確認し、該混合ガスは実験の前後
においてバイパスラインを用いてガスクロ及び/又はN
X計に導かれ、混合ガス中の各成分ガス濃度の測定を
行った。
【0055】反応部の温度設定は反応部周囲の電気炉の
温度を制御することによりおこなったが、実際の反応部
の温度は充填された炭素材の中に熱電対をセットするこ
とにより別途測定して求めた。また、混合ガス中のガス
組成分析は以下の方法により行った。
【0056】(ガス分析方法) 二酸化窒素及び一酸化窒素:常圧式化学発光法 NOX
計(島津製作所製「NOX−7000」) 亜酸化窒素及び窒素:ガスクロマトグラフ(島津製作所
製「GC−14B」、熱伝導検出器(TCD) 一酸化炭素、二酸化炭素及び炭化水素:ガスクロマトグ
ラフ(島津製作所製「GC−14B」、水素炎イオン化
検出器(FID)
【0057】以上のガス分析の定量化は、予めガス会社
(日本酸素株式会社)にて調製された成分濃度既知のヘ
リウムバランスガスを、各成分ガスについて少なくとも
2つ以上用いて検量することにより行った。
【0058】(参考例2)用いた活性炭素材A〜Kの特
性を表1及び表2に示す。表1及び2においてA、B、
D、Eは石炭系活性炭素材であり、Cはピッチ系繊維状
活性炭素材である。またFはポリアクリロニトリル系繊
維状活性炭素材である。また、G〜JはEに下記の金属
を担持させたものである。G(Li)、H(Cs)、I
(Pt)、J(Pd)、K(Pd)。
【0059】各金属の担持においてはPdは塩化物(P
dcl2)や金属微粒子を用いて、Liは水酸化物(L
iOH)を用いて、Csは硝酸塩(CsNO3)を用い
て、主に湿式処理により行った。湿式処理後は120℃
にて約15時間乾燥した。金属の含有量は1〜10重量
%にて調製した。
【0060】なお、本発明において、炭素材の各分析は
以下の方法により行った。 (表面塩基性基量)約0.5gの粉体状にした炭素材サ
ンプルを、120℃で2時間乾燥後、重量を正確に測っ
た。0.1N−HClを50mlとり、サンプルをその
中に入れ、22時間攪拌した。攪拌後、ガラス漏斗でろ
過し、ろ液を20mlとり、0.1N−NaOHを用い
て酸塩基滴定を行った。等量点でのNaOHの消費量か
ら表面塩基性基量を求めた。
【0061】(表面酸性基量)表面酸性基の測定は、N
aOHと反応する表面酸性基について測定を行った。約
0.5gの粉体状にした炭素材サンプルを、120℃で
2時間乾燥後、重量を正確に測った。0.1N−NaO
Hを50mlとり、サンプルをその中に入れ、22時間
攪拌する。攪拌後、ガラス漏斗でろ過した。ろ液を20
mlとり、0.1N−HClを用いて酸塩基滴定を行っ
た。等量点でのHClの消費量から表面酸性基量を求め
た。
【0062】(表面積)表面積の測定は連続容量法(N
2ガス吸着法)により行った。約0.1gのサンプル
を、真空脱気((例)繊維状活性炭:130℃×10
h、粉砕活性炭:200℃×10h)した後、N2ガス
を用いた連続容量法による吸着/脱着の測定を行った。
測定装置はCOULTER社製ガス吸着/脱着アナライ
ザ−「オムニソ−プ360」を使用した。
【0063】(pH)120℃、2時間乾燥後のサンプ
ル1gを正確にはかり、正確に計った蒸留水100ml
中に入れた。30分間攪拌した後、その試験溶液をガラ
ス電極pH計で測定した。
【0064】(平衡吸着水分率)サンプル約1gを12
0℃で2時間乾燥した。乾燥後の重量を正確に測定した
後、温度25℃湿度98%のデシケ−タ−中で放置し
た。20時間毎にサンプル重量を測定し、連続した2回
の測定時における重量変化が2重量%以内になるまで測
定を続けた。重量変化が2重量%以内になった時のサン
プル重量とサンプル乾燥重量から吸着水分率を求めた。
【0065】(元素分析)元素分析はサンプルを140
℃で2時間乾燥させた直後に行った。測定はHerae
us社製「CHN−O−Rapid」を用いて行った。
【0066】(金属測定)含有されている金属は島津製
作所製「電子線プロ−ブマイクロアナライザ−(EPM
A)EPM−810Q」を用い加速電圧15kVにて測
定した。試料表面は測定前にカ−ボン蒸着を行った。ま
た、理学電機社製「蛍光X線測定装置システム303
0」を用い、ロジウム管球:50kV,50mAの条件
で使用サンプルを真空下そのまま用いて測定した。
【0067】(DTA測定)サンプル約10mgを秤取
り、200ml/分の空気流下において、室温〜100
0℃の範囲で重量減少、及び示差熱の測定を行った。測
定はセイコ−電子工業株式会社製の示差熱熱重量同時測
定装置「TG/DTA220」を用いて行った。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】(実施例1)石炭破砕炭を原料として水蒸
気賦活等の常法を用いて表面積=950m2/g、pH
=10.0の塩基性活性炭Aを調製した。得られたAに
ついて測定した諸特性の結果を表1及び表2に示す。
【0071】塩基性活性炭Aを120℃にて12時間乾
燥後、図1に示した固定床流通式接触反応装置に充填
し、引き続き真空およびヘリウムガス置換を行った(ヘ
リウムガス置換が完全に行えたかどうかはガスクロによ
り窒素が無くなることで確認した)。
【0072】Aの充填量は乾燥重量でW=24.3g、
充填時のかさ密度は0.41g/cm3であった。Aの
充填部の温度をヘリウムガス流通下280℃まで昇温し
た後、一酸化窒素520ppm、一酸化炭素182pp
mを含む混合ガス(ヘリウムバランス)をF=1000
ml/分で流通させた。ここでW/F=1.46g・s
/cm3およびSV(空間速度)=1020h-1
【0073】混合ガスの入り口での成分濃度はNO=5
20ppm、CO=182ppmでそれ以外のN2、C
2等は0ppmであったのに対して、混合ガスの出口
側の各成分ガス濃度は、NO=198ppm、N2=1
53ppm、CO=90ppm、CO2=202ppm
であった。
【0074】ここで混合ガス出口側の各成分ガス濃度
は、一定であり、また亜酸化窒素を含むその他の副生物
は一切観測されなかった。なお、COXについては該活
性炭素材より昇温加熱時に一時的に放出され、経過時間
と共に減少する挙動を示すので、本実験はCOがゼロ、
CO2はゼロもしくは、ほぼ安定であることを確認後お
こなった。
【0075】以上の各成分ガスの濃度変化結果より、本
実施例では一酸化窒素の62%が除去されたこと、窒素
の発生量からは一酸化窒素の59%が窒素に還元された
ことが、また一酸化炭素濃度もその51%が減少したこ
とが示され、本実施例における一酸化窒素の除去は主と
して反応式1および反応式2による一酸化窒素の窒素へ
の還元反応によると結論された。
【0076】更に詳細には、混合ガス中の一酸化窒素の
18%(絶対量にして92ppm)が反応式1により一
酸化炭素と反応して窒素に還元されると共に、41%
(絶対量にして214ppm)の一酸化窒素が塩基性活
性炭素材と反応式2により反応して窒素に還元されてい
ること、即ち、合わせて59%の一酸化窒素が窒素へ還
元されていることが結論された。
【0077】ここでR=(式1/(式1+式2))×1
00で表される、式1によるNOの還元比率(R)はR
=30%であった。なお本実施例においては、更に3%
の一酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭
素材中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定さ
れる。また、二酸化炭素の発生量(約202ppm)が
上記の割合での式1と式2による一酸化窒素の還元によ
る発生予測値199ppmとほぼ同じ値であることも上
記反応解析が正しいことを示している。
【0078】(実施例2)混合ガスの濃度がNO=55
0ppm、CO=454ppmであること以外は、実施
例1と同様にして一酸化窒素の除去試験を行った。出口
側の各ガス成分濃度はNO=200ppm、N2=16
8ppm、CO=273ppm、CO2=245ppm
であった。ここで混合ガス出口側の各成分ガス濃度は一
定であり、また亜酸化窒素を含むその他の副生物は一切
観測されなかった。
【0079】以上の各成分ガスの濃度変化の結果から、
本実施例では一酸化窒素の64%が除去されたこと、窒
素の発生量からは一酸化窒素の61%が窒素に還元され
たことが、また一酸化炭素濃度もその40%が減少した
ことが示され、本実施例における一酸化窒素の除去は主
として式1および式2による一酸化窒素の窒素への還元
反応によると結論された。
【0080】更に詳細には、混合ガス中の一酸化窒素の
33%(絶対量にして181ppm)が式1により一酸
化炭素と反応して窒素に還元されると共に、28%(絶
対量にして155ppm)の一酸化窒素が塩基性活性炭
素材と式2により反応して窒素に還元されていること、
即ち、合わせて61%の一酸化窒素が窒素へ還元されて
いることが結論された。ここで式1によるNOの還元比
率RはR=54%であった。
【0081】なお本実施例においては、更に3%の一酸
化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素材中
に何らかの形で取り込まれた状態であると推定される。
また、二酸化炭素の発生量(約270ppm)は上記の
式1と式2による一酸化窒素の還元による発生予測値
(259ppm)とほぼ同じ値であった。
【0082】(実施例3)混合ガスの濃度がNO=52
0ppm、CO=454ppmであること、及び反応温
度を340℃とすること以外は、実施例1と同様にして
一酸化窒素の除去試験を行った。出口側の各ガス成分濃
度はNO=32ppm、N2=226ppm、CO=6
5ppm、CO2=422ppmであった。ここで混合
ガス出口側の各成分ガス濃度はCO2がやや経過時間と
共に減少することを除くと一定であり、また亜酸化窒素
を含むその他の副生物は一切観測されなかった。
【0083】以上の混合ガス中の各成分ガス濃度の変化
は、一酸化窒素の94%が該活性炭素材との接触により
除去され、また窒素の発生量からは一酸化窒素の87%
が窒素に還元されていることを示している。以上の結果
および一酸化炭素の86%が減少していることから、一
酸化窒素の除去は主に、塩基性活性炭素材Aを触媒とし
て、一酸化窒素と一酸化炭素との反応により窒素に還元
される(同時に一酸化炭素は二酸化炭素に酸化される)
反応式1により生じていると結論された。
【0084】更に詳細には、混合ガス中の一酸化窒素の
75%(絶対量にして389ppm)が式1により一酸
化炭素と反応して窒素に還元されると共に、12%(絶
対量にして63ppm)の一酸化窒素が塩基性活性炭素
材と式2により反応して窒素に還元されていることによ
り、合わせて87%の一酸化窒素が窒素へ還元されてい
ると結論された。
【0085】ここで式1によるNOの還元比率RはR=
86%であった。なお本実施例においては、更に7%の
一酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素
材中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定され
る。また、二酸化炭素の発生量(455ppm)が一酸
化窒素の還元による値(予測値421ppm)より多い
のは、式3の影響もしくは昇温加熱により該活性炭素材
より発生するCO2の影響が含まれていると考えられ
る。
【0086】(実施例4及び5)混合ガスの濃度がNO
=510ppm、CO=92ppm(実施例4)、また
はNO=510ppm、CO=458ppm(実施例
5)であること、及び反応温度を共に243℃とするこ
と以外は、実施例1と同様にして一酸化窒素の除去試験
を行った。
【0087】出口側の各ガス成分濃度は、実施例4では
NO=312ppm、N2=76ppm、CO=68p
pm、CO2=90ppmであり、実施例5ではNO=
300ppm、N2=82ppm、CO=415pp
m、CO2=121ppmであった。 ここでいずれも
混合ガス出口側の各成分ガス濃度は一定であり、また亜
酸化窒素を含むその他の副生物は一切観測されなかっ
た。
【0088】以上の混合ガス中の各成分ガス濃度の変化
は、一酸化窒素の39%(実施例4)または41%(実
施例5)が該活性炭素材との接触により除去され、また
窒素の発生量からは一酸化窒素の30%(実施例4)ま
たは32%(実施例5)が窒素に還元されていることを
示している。
【0089】以上の結果と一酸化炭素の26%(実施例
4)または9%(実施例5)が減少していることから、
本実施例における一酸化窒素の除去は主として式1およ
び式2による一酸化窒素の窒素への還元反応、及び一酸
化窒素の該活性炭素材への取り込みによると結論され
た。
【0090】更に詳細には、実施例4では、混合ガス中
の一酸化窒素の4%(絶対量にして24ppm)が式1
により一酸化炭素と反応して窒素に還元されると共に、
25%(絶対量にして128ppm)の一酸化窒素が塩
基性活性炭素材と式2により反応して窒素に還元されて
いること、即ち、合わせて30%の一酸化窒素が窒素へ
還元されていることが結論された。
【0091】ここで(R=式1/(式1+式2))×1
00)で表される式1によるNOの還元比率RはR=1
6%であった。なお本実施例においては、更に9%の一
酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素材
中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定され
る。また、上記還元反応による二酸化炭素の発生予測量
(88ppm)は測定値とほぼ一致した。
【0092】一方、実施例5では、混合ガス中の一酸化
窒素の8%(絶対量にして43ppm)が式1により一
酸化炭素と反応して窒素に還元されると共に、24%
(絶対量にして121ppm)の一酸化窒素が塩基性活
性炭素材と式2により反応して窒素に還元されているこ
と、即ち、合わせて32%の一酸化窒素が窒素へ還元さ
れていることが結論された。
【0093】ここで(R=式1/(式1+式2))×1
00)で表される式1によるNOの還元比率RはR=2
6%であった。なお本実施例においては、更に9%の一
酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素材
中に何らかの形で取り込まれたままの状態であると推定
される。また、CO2の測定値は上記還元反応による二
酸化炭素の発生予測量(104ppm)より若干多かっ
た。
【0094】(実施例6〜8)塩基性活性炭素材A及び
NO=500ppm、CO=450ppmの混合ガス
(ヘリウムベ−ス)を用いて、実施例6では空間速度=
990h-1、W/F=1.49g・s・cm-3、実施例
7では空間速度=10191h-1、W/F=0.125
g・s・cm-3、実施例8では空間速度=42463h
-1、W/F=3.4×10ー2g・s・cm-3の条件で表
3に示す各種温度における一酸化窒素の除去試験を実施
例1と同様の方法にて行った。結果を表3に示す。ま
た、実施例6における測定結果を図2に示す。
【0095】図2中の縦軸はガス濃度(ppm)と温度
(℃)を、横軸は時間(分)を表わし、実線はガス温度
を、一点鎖線はサンプル温度を、太い一点鎖線は初期N
O濃度を表わす。また図中の黒四角はNO濃度、黒丸は
2濃度、白丸はCO2濃度、白四角(白ひし形)はCO
濃度を表わす。
【0096】
【表3】
【0097】(実施例9)混合ガスの成分及び濃度が、
NO=524ppm、CO=526ppm、C36=1
01ppmであること、及び反応温度を370℃とする
こと以外は、実施例1と同様にして一酸化窒素除去試験
を行った。出口側の各ガス成分濃度はNO=0ppm、
2=223ppm、CO=299ppm、CO2=38
6ppm、C36=71ppmであり、亜酸化窒素は観
測されなかった。
【0098】以上の混合ガス中の各成分ガス濃度の変化
は、本実施例では一酸化窒素の100%が該活性炭素材
との接触により除去され、また窒素の発生量からは一酸
化窒素の85%が窒素に還元されていることを示してい
る。更に、一酸化炭素が43%減少し、プロピレンが3
0%減少していることと併せると、本実施例の一酸化窒
素の除去において、塩基性活性炭素材Aを触媒として、
一酸化窒素と一酸化炭素との反応に加えて、一酸化窒素
とプロピレンとの反応が生じていることが推定された。
【0099】(実施例10)混合ガスの成分及び濃度
が、NO=500ppm、CO=478ppmにSO 2
=100ppmを共存させたこと、及び反応温度を39
0℃とすること以外は、実施例1と同様にして一酸化窒
素除去試験を行った。出口側の各ガス成分濃度は、NO
=0ppm、N2=229ppm、CO=38ppm、
CO2=556ppmであった。
【0100】ここで亜酸化窒素を含むその他の副生物は
観測されなかった。また出口側のSO2濃度測定は行っ
ていない。以上の混合ガス中の各成分ガス濃度の変化
は、一酸化窒素の100%が該活性炭素材との接触によ
り除去され、また窒素の発生量からは一酸化窒素の92
%が窒素に還元されていることを示している。以上の結
果および一酸化炭素の92%が減少していることから、
二酸化硫黄の共存にも拘らず、一酸化窒素の除去は主
に、塩基性活性炭素材TSを触媒とした一酸化窒素と一
酸化炭素との反応(式1)により生じていると結論され
た。
【0101】更に詳細には、本実施例では混合ガス中の
一酸化窒素の88%(絶対量にして440ppm)が式
1により一酸化炭素と反応して窒素に還元されると共
に、4%(絶対量にして18ppm)の一酸化窒素が塩
基性活性炭素材Aと式2により反応して窒素に還元され
ていることにより、合わせて92%の一酸化窒素が窒素
へ還元されていると結論された。
【0102】ここで式1によるNOの還元比率RはR=
96%であった。なお本実施例においては、更に8%の
一酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素
材中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定され
る。また、二酸化炭素の発生量(506ppm)が一酸
化窒素の還元による値(予測値449ppm)より多い
のは、式3の影響もしくは昇温加熱により該活性炭素材
より発生するCO2の影響が含まれていると考えられ
る。
【0103】(実施例11)混合ガスの成分及び濃度
が、NO=530ppm、CO=448ppmにH2
=1%を共存させたこと以外は、実施例1と同様にして
一酸化窒素除去試験を行った。出口側の各ガス成分濃度
は、NO=196ppm、N2=158ppm、CO=
292ppm、CO2=296ppmであった。ここで
亜酸化窒素を含むその他の副生物は観測されなかった。
【0104】以上の混合ガス中の各成分ガス濃度の変化
は、一酸化窒素の63%が該活性炭素材との接触により
除去され、また窒素の発生量からは一酸化窒素の60%
が窒素に還元されていることを示している。以上の結果
および一酸化炭素の35%が減少していることから、H
2Oの共存にも拘らず、一酸化窒素の除去は主に、式1
および式2による一酸化窒素の窒素への還元反応による
と結論された。
【0105】更に詳細には、本実施例では混合ガス中の
一酸化窒素の29%(絶対量にして156ppm)が式
1により一酸化炭素と反応して窒素に還元されると共
に、30%(絶対量にして160ppm)の一酸化窒素
が塩基性活性炭素材と式2により反応して窒素に還元さ
れていることにより、合わせて59%の一酸化窒素が窒
素へ還元されていると結論された。
【0106】ここで式1によるNOの還元比率RはR=
49%であった。なお本実施例においては、更に3%の
一酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素
材中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定され
る。また、二酸化炭素の発生量(287ppm)が一酸
化窒素の還元による値(予測値236ppm)より多い
のは、水分による影響も含まれていると考えられる。ま
た、水分によりCOが発生した場合は上記Rはその影響
分だけ低く見積もられていることになる。
【0107】(実施例12及び13)用いる塩基性活性
炭素材をB(実施例12)及びC(実施例13)とする
こと、成分ガス濃度がNO=501ppm、CO=50
0ppmである混合ガスを用いること、及び反応温度を
表4に示す温度とする他は、実施例1と同様にして一酸
化窒素の除去試験を行った。結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】(実施例14)塩基性活性炭素材Bを、不
活性ガス雰囲気下600℃にて2時間焼成した塩基性活
性炭素材B−600を調製した。B−600の特性はp
H=10.5、水分吸着率=47%、表面塩基性基量=
1.08meq/g、表面酸性基量=0.26meq/
g、TA=508℃であった。塩基性活性炭素材B−6
00を用いること、及び反応温度が表4に示した温度で
あること以外は実施例12と同様な方法にて一酸化窒素
の除去試験を行った。得られた結果を表4及び図3に示
す。
【0110】図3中の縦軸はガス濃度(ppm)と温度
(℃)を、横軸は時間(分)を表わし、実線はガス温度
を、一点鎖線はサンプル温度を、太い一点鎖線は初期N
O濃度を表わす。また図中の黒四角はNO濃度、黒丸は
2濃度、白丸はCO2濃度、白四角(白ひし形)はCO
濃度を表わす。
【0111】(実施例15)混合ガスの濃度がNO=5
15ppm、CO=1008ppmであること以外は、
実施例1と同様にして一酸化窒素除去試験を行った。出
口側の各ガス成分濃度は、NO=185ppm、N2
162ppm、CO=730ppm、CO2=316p
pmであった。ここで混合ガス出口側の各成分ガス濃度
は一定であり、また亜酸化窒素を含むその他の副生物は
一切観測されなかった。
【0112】以上の各成分ガスの濃度変化結果より、本
実施例では一酸化窒素の64%が除去されたこと、窒素
の発生量からは一酸化窒素の63%が窒素に還元された
ことが、また一酸化炭素濃度もその28%が減少したこ
とが示され、本実施例における一酸化窒素の除去は主と
して式1および式2による一酸化窒素の窒素への還元反
応によると結論された。
【0113】更に詳細には、混合ガス中の一酸化窒素の
54%(絶対量にして278ppm)が式1により一酸
化炭素と反応して窒素に還元されると共に、9%(絶対
量にして46ppm)の一酸化窒素が塩基性活性炭素材
と式2により反応して窒素に還元されていること、即
ち、合わせて63%の一酸化窒素が窒素へ還元されてい
ることが結論された。
【0114】ここで式1によるNOの還元比率RはR=
86%であった。なお本実施例においては、更に1%の
一酸化窒素が除去されているが、これは塩基性活性炭素
材中に何らかの形で取り込まれた状態であると推定され
る。
【0115】(実施例16〜18)用いる塩基性活性炭
素材をG(実施例16)、H(実施例17)、I(実施
例18)とすること、成分ガス濃度がNO=508pp
m、CO=505ppmである混合ガスを用いること、
及び反応温度を表5に示す温度とする以外は、実施例1
と同様にして一酸化窒素の除去試験を行った。結果を表
5に示す。
【0116】
【表5】
【0117】(比較例1〜3)表1及び表2にその特性
を示した各種活性炭素材D(比較例1)、E(比較例
2)及びF(比較例3)を用いて、成分ガス濃度がNO
=500ppm、CO=450ppmである混合ガスを
用いること及び表6に示す温度を用いる以外は実施例1
と同様な方法にて一酸化窒素の除去試験を行った。
【0118】結果を表6に示す。300℃〜500℃の
温度範囲で、いずれの活性炭素材も温度と共に増加する
NO還元率、N2転換率を示したが、共存するCOの消
費はいずれもなく、反応式1による一酸化窒素の還元は
生じなかった。
【0119】
【表6】
【0120】(比較例4及び5)ピッチ系炭素繊維(ド
ナカ−ボS221:ドナック株式会社製)及びゼオライ
ト系モレキュラ−シ−ブ(細孔径=0.4nm:メリッ
ク社製)に水酸化カリウム5規定の水溶液を含浸後、1
20℃にて乾燥したもの(比較例4及び5)を用いて、
表6に示す温度を用いる以外は実施例1と同様な方法に
て一酸化窒素の除去試験を行った。
【0121】但し、空間速度(SV)=942h-1:W
/F=0.60g・s・cm-3(比較例4)、及びSV
=995h-1:W/F=2.4g・s・cm-3(比較例
5)であった。結果を表6に示す。
【0122】
【発明の効果】本発明は、安価で安定供給が可能な塩基
性活性炭素材を触媒として用い、比較的低温で、自動車
の排気ガスや各種燃焼ガス中に含まれる一酸化窒素と一
酸化炭素等の還元性ガスとを反応させることにより、一
酸化窒素を窒素分子に還元し、亜酸化窒素を排出せず、
更に有害な一酸化炭素等の同時除去も達成出来る、優れ
た一酸化窒素の除去方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例で使用した一酸化窒素の除去試験を行
う実験装置(固定床流通式接触反応装置)の概要を示す
図である。(1)はガス供給部、(2)はガス混合器、
(3)は水添加部、(4)は反応器、(5)はトラッ
プ、(6)は真空ポンプ装置および真空計、(7)はガ
スクロマトグラフ装置、(8)はNOX分析装置、
(9)はバイパスラインを表わす。
【図2】塩基性活性炭素材Aを用いた実施例6の一酸化
窒素の除去試験結果を示す図である。縦軸はガス濃度
(ppm)と温度(℃)を、横軸は時間(分)を表わ
す。
【図3】塩基性活性炭素材B−600を用いた実施例1
4の一酸化窒素の除去試験結果を示す図である。縦軸は
ガス濃度(ppm)と温度(℃)を、横軸は時間(分)
を表わす。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化窒素および還元性ガスを含む混合
    ガスを、塩基性活性炭素材に200℃以上で接触させる
    ことにより、塩基性活性炭素材を触媒として一酸化窒素
    と還元性ガスを反応させ、一酸化窒素を窒素分子に還元
    させることを特徴とする一酸化窒素の除去方法。
  2. 【請求項2】 一酸化窒素および還元性ガスを含む混合
    ガスを、塩基性活性炭素材に200℃以上で接触させる
    ことにより、塩基性活性炭素材を触媒として一酸化窒素
    と還元性ガスを反応させると共に、一酸化窒素と塩基性
    活性炭素材を反応させることにより、一酸化窒素を窒素
    分子に還元させることを特徴とする一酸化窒素の除去方
    法。
  3. 【請求項3】 還元性ガスが一酸化炭素または一酸化炭
    素を少なくとも一成分として含むものであることを特徴
    とする請求項1または2記載の一酸化窒素の除去方法。
  4. 【請求項4】 還元性ガス成分が炭化水素を含むもので
    あることを特徴とする請求項3記載の一酸化窒素の除去
    方法。
  5. 【請求項5】 混合ガス中の一酸化炭素/一酸化窒素の
    モル比が0.1以上であることを特徴とする請求項3記
    載の一酸化窒素の除去方法。
  6. 【請求項6】 塩基性活性炭素材が、塩基性活性炭素材
    の表面塩基性基量が0.8meq/g以上であり、且つ
    表面酸性基量が0.5meq/g以下であること、及び
    pHが8〜11であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか一つに記載の一酸化窒素の除去方法。
  7. 【請求項7】 塩基性活性炭素材が、塩基性活性炭素材
    の表面塩基性基量が1meq/g以上であり、且つ(表
    面塩基性基量−表面酸性基量)の差が0.5meq/g
    以上であること、及びpHが9以上であることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか一つに記載の一酸化窒素の
    除去方法。
  8. 【請求項8】 塩基性活性炭素材が、一種以上のアルカ
    リ金属を含有していることを特徴とする請求項6または
    7記載の一酸化窒素の除去方法。
  9. 【請求項9】 塩基性活性炭素材が、酸素含有率が5〜
    20重量%、炭素含有率が80〜95重量%、且つ窒素
    含有率が0.5重量%以下であること、及び25℃にお
    ける平衡吸着水分率が30重量%〜100重量%である
    こと、及び該活性炭素材の空気中20℃/分の昇温DT
    A測定における発熱ピ−ク(TA)が350℃〜640
    ℃であることを特徴とする請求項6〜8に記載の一酸化
    窒素の除去方法。
  10. 【請求項10】 塩基性活性炭素材が、一種以上の貴金
    属を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか一つに記載の一酸化窒素の除去方法。
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