JPH09196159A - 自動変速機 - Google Patents

自動変速機

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JPH09196159A
JPH09196159A JP8007267A JP726796A JPH09196159A JP H09196159 A JPH09196159 A JP H09196159A JP 8007267 A JP8007267 A JP 8007267A JP 726796 A JP726796 A JP 726796A JP H09196159 A JPH09196159 A JP H09196159A
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shift
speed
automatic transmission
low
gear
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JP8007267A
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Akihiro Makiyama
明裕 牧山
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Mitsubishi Motors Corp
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Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 副変速装置が連結された自動変速装置におい
て、副変速装置の変速状態にかかわらず常に良好な走行
性能の維持される変速制御を実現可能な自動変速機を提
供する。 【解決手段】 エンジンの出力回転を変速して車輪に伝
達する自動変速装置と、自動変速装置と協働してエンジ
ンの出力回転を少なくとも低速側にさらに変速して車輪
に伝達する副変速装置と、副変速装置の変速状態を検出
する変速状態検出手段と、自動変速装置の出力回転速度
Vとエンジン負荷θTHに基づき所定の変速パターンに従
い自動変速装置の変速制御を行う変速制御手段とを備
え、副変速装置の変速状態が低速側にあるときには、所
定の変速パターン(実線)のうちエンジン負荷θTHの低
中負荷域(低中開域)の部分について、少なくとも低速
段の実行される出力回転速度V域が拡大されるよう変更
する(破線)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に用いられる
自動変速機に係り、特に、自動変速装置に副変速装置の
連結された自動変速機に関する。
【0002】
【関連する背景技術】車両用の自動変速機では、ECU
(電子制御ユニット)により油圧制御用のソレノイド弁
をデューティ駆動制御するようにして、油圧摩擦係合要
素の解放と結合とを行う電子制御式のものが多くなって
いる。このような自動変速機は、変速段切換えの変速制
御がスロットル開度(エンジン負荷)と車速とをパラメ
ータとするシフトマップ(変速パターン)に基づいて行
われる。即ち、運転状態がシフトマップ上のダウンシフ
トタイミングやアップシフトタイミングとなった時点で
変速指令が出力され、この変速指令に応じて結合側摩擦
係合要素に供給される作動油圧、或いは解放側摩擦係合
要素から解放される作動油圧が制御されてギヤの掴み換
えが実施され変速制御が行われる。
【0003】また、最近では、車種の多用化に伴い、急
な登坂路や悪路において高トルクを発生可能なように、
自動変速装置の出力軸に直列に副変速装置の連結された
自動変速機を備えたRV車等のオフロードタイプの車両
が増加している。このような副変速装置を有した自動変
速機では、自動変速装置の各変速段でのギヤ比全体を一
括して変更でき、エンジンからの出力回転を容易に減速
或いは増速して駆動トルクを増加或いは減少させること
が可能とされている。一般に、このような副変速装置で
は、通常の自動変速装置のギヤ比でもってエンジントル
クをそのまま駆動輪に伝達可能なハイモードと自動変速
装置のギヤ比が大きくなるようにしエンジントルクを増
加させて駆動輪に伝達可能な低速側のローモードとの少
なくとも2つの変速モードを備えており、これらは切換
レバーによって手動切換え可能とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
副変速装置を有した自動変速機においても通常は上記の
シフトマップがそのまま用いられることが多い。しかし
ながら、このようなシフトマップが使用されると、副変
速装置のローモードが選択されて高トルクを発生中であ
ってもスロットル開度(エンジン負荷)や車速に応じて
頻繁に自動変速装置の変速制御が実施されることにな
り、連続して高トルクを車輪に供給できず車両の走行性
能が低下しあまり望ましいことではない。特に、悪路に
おいて副変速装置のローモードが選択されるような場合
にあっては、ドライバがアクセルペダルを頻繁に大きく
操作することが考えられ、このようなときにはスロット
ル開度(エンジン負荷)が大きく変化し、これに応じて
頻繁にアップシフトとダウンシフトとが繰り返されるこ
とになり、走行フィーリングが悪化し好ましいことでは
ない。
【0005】そこで、副変速装置を有する自動変速装置
の低速段用変速パターンを高速段用変速パターンよりも
高車速側に位置するような装置が特開昭63−7694
3号公報等に開示されている。しかしながら、この技術
では、副変速装置がローモードであるときにおいて自動
変速装置の低速側変速段の領域が高負荷時を主体として
増加されている。従って、この場合、スロットル開度へ
の依存度が依然として高く、アクセル操作によってドラ
イバの意図しない不要な変速が行われてしまうという問
題がある。
【0006】本発明は、上述した事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、副変速装置が連結
された自動変速装置において、副変速装置の変速状態に
かかわらず常に良好な走行性能の維持される変速制御を
実現可能な自動変速機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、車両のエンジンに連結され、
前記エンジンの出力回転を低速段と高速段との間で変速
して車輪に伝達可能な自動変速装置と、前記自動変速装
置に直列に設けられ、前記自動変速装置と協働して前記
エンジンの出力回転を少なくとも低速側にさらに変速し
て前記車輪に伝達する副変速装置と、前記副変速装置の
変速状態を検出する変速状態検出手段と、前記自動変速
装置の出力回転速度または車速とエンジン負荷とに基づ
き所定の変速パターンに従って前記自動変速装置の変速
制御を行う変速制御手段と、前記副変速装置の変速状態
が前記低速側にあるとき、前記所定の変速パターンのう
ち前記エンジン負荷の低中負荷域における部分を前記自
動変速装置の少なくとも低速段の実行される出力回転速
度域が拡大されるよう変更する変更手段とを備えたこと
を特徴としている。
【0008】従って、副変速装置の変速状態が低速側に
あるときには、所定の変速パターンのうちエンジン負荷
の低中負荷域における部分が、自動変速装置の少なくと
も低速段の実行される出力回転速度域の拡大される方向
に変更されて変速制御が良好に実施される。これによ
り、エンジン負荷が低中負荷域の場合においても高負荷
域の場合と同様に出力回転速度がある程度高速度で変速
が実行されることになるとともに、変速が主に出力回転
速度または車速の変化に依存して行われ、エンジン負荷
の変化への依存度が低くなる。
【0009】また、請求項2の発明では、前記所定の変
速パターンは、エンジン負荷が所定値以上の高負荷域で
は出力回転速度が前記自動変速装置の低速段における許
容最高速度に達するまで前記自動変速装置の低速段を保
持するとともに、前記エンジン負荷が前記所定値より小
さい低中負荷域では変速の達成される出力回転速度が前
記許容最高速度以下の範囲内で前記エンジン負荷の増大
に応じて大きくなるような関係に基づき変速を行うもの
であって、前記変更手段は、前記副変速装置の変速状態
が前記低速側にあるとき、前記所定の変速パターンのう
ちの前記低中負荷域の部分を変速の達成される出力回転
速度が同一負荷上で高速度側となるよう変更することを
特徴としている。
【0010】従って、副変速装置の変速状態が低速側に
あるときには、所定の変速パターンのうちの低中負荷域
の部分について、変速の達成される出力回転速度が同一
負荷上で高速度側となるよう変更される。よって、変速
制御が良好に実施され、変速がエンジン負荷の変化に依
存し難くなる。また、請求項3の発明では、前記所定の
変速パターンは、エンジン負荷が所定値以上の高負荷域
では出力回転速度が前記自動変速装置の低速段における
許容最高速度に達するまで前記低速段を保持するととも
に、前記エンジン負荷が前記所定値より小さい低中負荷
域では前記許容最高速度以下の出力回転速度の範囲内で
変速を行なうものであって、前記変更手段は、前記副変
速装置の変速状態が前記低速側にあるとき、前記所定の
変速パターンのうちの前記低中負荷域の部分における変
速の達成される出力回転速度が前記許容最高速度或いは
その近傍となるよう変更することを特徴としている。
【0011】従って、副変速装置の変速状態が低速側に
あるときには、所定の変速パターンのうちの低中負荷域
の部分について、変速の達成される出力回転速度が許容
最高速度或いはその近傍となるよう変更される。よっ
て、変速制御が良好に実施され、変速がエンジン負荷の
変化には殆ど依存しなくなる。また、請求項4の発明で
は、前記変速制御手段は前記所定の変速パターン及び前
記変更手段により変更された変更変速パターンを含む複
数の変速パターンを記憶する記憶手段を有し、前記変更
手段は、さらに、前記記憶手段に記憶された前記複数の
変速パターンから前記副変速装置の変速状態に応じた変
速パターンを選択する選択手段を含んでなることを特徴
としている。
【0012】従って、副変速装置の変速状態に応じて所
定の変速パターン或いは変更変速パターンが適宜選択さ
れることになり、副変速装置の変速状態が低速側にある
ときには、容易にしてエンジン負荷の低中負荷域におけ
る部分が好適に変更されて変速制御が実施される。ま
た、請求項5の発明では、前記副変速装置は前記自動変
速装置の出力軸に直列に設けられており、前記変速状態
検出手段は、前記副変速装置の入出力軸の回転速度に基
づき前記副変速装置の変速状態を検出することを特徴と
している。
【0013】従って、副変速装置の入出力軸の回転速度
に基づいて副変速装置の変速状態が容易に検出される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態としての一実施例を詳細に説明する。図1に
は、本発明に係る自動変速機を適用したオフロード用4
輪駆動車のパワープラントの概略構成を示してある。同
図において、エンジン1の後端には自動変速装置2が接
続されており、自動変速装置2には、副変速装置80を
介してトランスファギヤボックス100が接続されてい
る。従って、エンジン1の出力は自動変速装置2、副変
速装置80及びトランスファギヤボックス100を経て
駆動輪(図示せず)に伝達される。
【0015】自動変速装置2は、トルクコンバータ3、
変速装置本体4、油圧コントローラ5から構成されてお
り、車室内等に設置された自動変速装置制御用のECU
(電子制御ユニット)6により駆動制御される。変速装
置本体4は複数組のプラネタリギヤの他、油圧クラッチ
や油圧ブレーキ等の油圧摩擦係合要素を内蔵している。
また、油圧コントローラ5には、一体に形成された油圧
回路の他、ECU6によってデューティ駆動される複数
のソレノイド弁(後述の図3には第2ソレノイド弁71
だけを例示してある)が収納されている。なお、このソ
レノイド弁は、後述する複数の摩擦係合要素毎にそれぞ
れ設けられている。
【0016】また、自動変速装置2には運転モードを切
り換える切換レバー(図示せず)が装着されており、ド
ライバがこの切換レバーを操作することにより、パーキ
ングレンジ、走行レンジ(例えば、1速段〜4速段)、
ニュートラルレンジ及び後退レンジ等の変速レンジの選
択を手動で行うことができる。この走行レンジが選択さ
れた場合には、変速は、後述するスロットル開度θTHと
自動変速装置2の出力回転速度Vとに基づき予め設定さ
れたシフトマップ(図6または図7参照)に従って自動
的に実施される。
【0017】副変速装置80は、複数組のギヤとドグク
ラッチからなる自動変速装置2の補助的役割を果たす変
速装置であり、少なくともハイ(High)モードとロ
ー(Low)モードの2段の副変速段を切換え可能な手
動式の変速装置である。この副変速装置80には切換レ
バー95が設けられており、ドライバがこの切換レバー
95を操作することで副変速段が切換わる。但し、この
切換操作は、車両が停止し、且つ自動変速装置2の変速
レンジがニュートラルレンジまたはパーキングレンジに
設定されているときに限られる。
【0018】トランスファギヤボックス100は、4輪
駆動と2輪駆動との切換装置であり、自動変速装置2を
介して供給されるエンジン1からの出力を4輪全輪に伝
達したり、前輪或いは後輪のいずれか一方の駆動輪組に
のみ伝達することが可能となっている。このトランスフ
ァギヤボックス100には切換レバー110が設けられ
ており、上記切換レバー95と同様に、ドライバがこの
切換レバー110を操作することで4輪駆動と2輪駆動
とが切換わる。この切換操作は、副変速装置80と異な
り、車両が走行中であって自動変速装置2の変速レンジ
がニュートラルレンジに設定されていなくても実施可能
である。
【0019】なお、切換レバー95と切換レバー110
とを1本のレバーで共通化して構成し、2輪駆動のとき
にはハイモードのみが選択され、4輪駆動の成立時のみ
副変速装置80のハイモードとローモードとの切換えが
実施されるようにしてもよい。ECU6は、図示しない
入出力装置、多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置
(不揮発性RAM,ROM等のメモリ)、中央処理装置
(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、その入力
側には、自動変速装置2の出力回転速度Vを検出する回
転速度センサ7、車速Sを検出する車速センサ8、図示
しないスロットルバルブの開度θTHを検出するスロット
ルセンサ9、フライホイールのリングギヤ38の回転か
らエンジン回転速度NEを検出する電磁ピックアップ式
のNEセンサ39等の他、副変速装置80の現在選択さ
れている副変速段情報を検出する副変速段検出センサ
(変速状態検出手段)96が接続されている。一方、出
力側には、前述の油圧コントローラ5に収納された複数
のソレノイド弁(後述のダンパクラッチコントローラ4
0に設けられたソレノイド弁を含む)が接続されてい
る。なお、ECU6にはこれらのセンサの他、変速レン
ジの切換え位置を検出するインヒビタスイッチ等、種々
のセンサやスイッチ類が接続されている。
【0020】なお、ここでは、副変速段検出センサ96
を用いて副変速段を検出するようにしているが、必ずし
も副変速段検出センサ96を設けなくても副変速段情報
を検出することは可能である(変速状態検出手段)。例
えば、副変速装置80の入力軸(図2中のインプットシ
ャフト81)の回転速度NAを検出する入力回転センサ
と副変速装置80の出力軸(図2中のアウトプットシャ
フト84)の回転速度NBを検出する出力回転センサと
から次の判別式(A1)が成立するか否かにより副変速段が
ハイモードであるかローモードであるかを判別する。
【0021】(判別式)NA=ρL・NB …(A1) ここに、ρLは、ローモード時の副変速装置80のギヤ
比であり、詳しくは後述する。上記判別式(A3)が成立す
る場合には、副変速段はローモードであり、一方、成立
しない場合にはハイモードである。なお、この判別式(A
1)では等号を用いているが、必ずしも一致しなくても判
別可能なように、略等しければ成立と判定する許容範囲
を設定してもよい。
【0022】また、例えば、エンジン回転速度または自
動変速装置2の入力軸回転速度NEと車速Sとに基づい
て求めることもできる。詳しくは、ECU6により、先
ず、エンジン回転速度NEに基づき次式(A2)から副変速
装置80の入力軸(図2中のインプットシャフト81)
の回転速度NAを求める。 NA=NE/ρn …(A2) ここに、ρnは自動変速装置2の変速段毎に定められて
いるギヤ比を示しており、変速段に応じて異なってい
る。
【0023】一方、車速Sに基づき次式(A3)から副変速
装置80の出力軸(図2中のアウトプットシャフト8
4)の回転速度NBを求める。 NB=(S/2πr)・ρf …(A3) ここに、rは駆動輪の半径、ρfはファイナルギヤ(図示
せず)のギヤ比である。
【0024】そして、これら回転速度NAと回転速度NB
とに基づいて上記判別式(A1)が成立するか否かにより副
変速段がハイモードであるかローモードであるかを判別
する。自動変速装置2のトルクコンバータ3は、ハウジ
ング37、ケーシング34、ポンプ31、ステータ3
2、タービン30等を含む流体継手から構成されてお
り、ポンプ31はケーシング34を介して入力軸たるド
ライブシャフト36に連結されている。また、ステータ
32はワンウェイクラッチ33を介してハウジング37
に連結され、タービン30は出力軸たる変速装置本体4
のインプットシャフト11に連結されている。さらに、
トルクコンバータ3内には、ケーシング34とタービン
30との間に湿式単板型のダンパクラッチ(ロックアッ
プクラッチ)35が介装され、このダンパクラッチ35
の係合によりドライブシャフト36とインプットシャフ
ト11とが適宜直結可能となっている。ダンパクラッチ
35は、油路65、66を介して、油圧コントローラ5
内のダンパクラッチコントローラ40から供給される作
動油により駆動される。なお、ダンパクラッチコントロ
ーラ40は公知のものであり、ここでは、その詳細につ
いての説明を省略する。
【0025】図2は、前進4段、後進1段が達成可能な
自動変速装置本体4内、副変速装置80内及びトランス
ファギヤボックス100内の各ギヤトレーンを示した概
略図であり、以下各ギヤトレーンの構成及び基本動作等
を説明する。先ず、自動変速装置本体4内のギヤトレー
ンの構成及び動作について説明する。
【0026】同図において、タービン30にはインプッ
トシャフト11が接続されており、このインプットシャ
フト11には、変速機構10として、第1、第2プラネ
タリギヤ12、13の他、第1プラネタリギヤ12のサ
ンギヤ14をインプットシャフト11に結合する第1ク
ラッチ15、第2プラネタリギヤ13のピニオンキャリ
ア16をインプットシャフト11に結合する第2クラッ
チ17、第2プラネタリギヤ13のサンギヤ18をイン
プットシャフト11に結合する第3クラッチ19が保持
されている。また、変速装置本体4のケーシング20に
は、第1プラネタリギヤ12のインターナルギヤ21を
固定し、反力要素となる第1ブレーキ22と、第2プラ
ネタリギヤ13のサンギヤ18を固定し、反力要素とな
る第2ブレーキ23とが取り付けられている。インプッ
トシャフト11の回転は、第1プラネタリギヤ12のピ
ニオンキャリア24を介しこのピニオンキャリア24に
連結されたドライブキャリア26に伝達される。
【0027】なお、第1プラネタリギヤ12のインター
ナルギヤ21と第2プラネタリギヤ13のピニオンキャ
リア16、第1プラネタリギヤ12のピニオンキャリア
24と第2プラネタリギヤ13のインターナルギヤ25
はそれぞれ結合されており、それらは一体に回転する。
図3は摩擦係合要素の油圧制御回路の一部を示してお
り、ここでは第2クラッチ17の油圧制御回路に関して
説明する。該油圧回路は、摩擦係合要素、即ち第2クラ
ッチ17への油圧の給排を制御するソレノイド弁、例え
ば第2ソレノイド弁71を備えている。この第2ソレノ
イド弁71は、常閉型の2位置切換弁で、3箇所にポー
ト71a、71b、71cを有している。
【0028】第1ポート71aには、オイルパン68か
ら作動油を汲み上げるオイルポンプ69に延びる第1油
路60が接続されており、この第1油路60には、調圧
弁(レギュレータ弁)70が介在され、所定圧に調圧さ
れた作動油圧(ライン圧)が油圧コントローラ5内の各
ソレノイド弁や前述したダンパクラッチコントローラ4
0のコントロールバルブ(図示せず)に供給されてい
る。また、第2ポート71bには、第2クラッチ17に
延びる第2油路61が、第3ポート71cには、オイル
パン68へ作動油を排出する第3油路62がそれぞれ接
続されており、第2油路61には、アキュムレータ73
が介在されている。
【0029】第2ソレノイド弁71は、ECU6に電気
的に接続されており、ECU6からの駆動信号により、
デューティ制御が実行される。そして、ソレノイド71
eが消勢されている場合には、弁体71fは、リターン
スプリング71gに押圧されて第1ポート71aと第2
ポート71bの連通を遮断するとともに、第2ポート7
1bと第3ポート71cを連通させる。一方、ソレノイ
ド71eが付勢されている場合には、弁体71fは、リ
ターンスプリング71gに抗してリフトし、第1ポート
71aと第2ポート71bを連通させるとともに、第2
ポート71bと第3ポート71cとの連通を遮断する。
【0030】ECU6からソレノイド弁、例えば第2ソ
レノイド弁71に供給されるデューティ率が100%の
場合には、摩擦係合要素、即ち第2クラッチ17に供給
される作動油圧は調圧弁70により調圧されたライン圧
となる。一方、デューティ率が減少するのに応じて第2
クラッチ17に供給される油圧は小になり、デューティ
率0%の場合には、弁体71fはリターンスプリング7
1gにより第1ポート71aと第2ポート71bとの連
通を遮断するとともに、第2ポート71bと第3ポート
71cとを連通させ、第2クラッチ17から作動油を排
出することになる。
【0031】図4は、第2クラッチ17の断面詳細を示
している。この第2クラッチ17は、多数の摩擦係合板
50を備えている。これら摩擦係合板50は、インプッ
トシャフト11と一体に回転するクラッチプレート50
aと、ピニオンキャリア16と一体に回転するクラッチ
ディスク50bとから構成されている。この第2クラッ
チ17の結合時には、第2ソレノイド弁71によって油
圧制御された作動油が、第2油路61からポート51を
介して第2クラッチ17に供給され、ピストン52が往
動して各摩擦係合板50のクラッチプレート50aとク
ラッチディスク50bとが結合する。一方、解放時に
は、リターンスプリング53によりピストン52が押し
戻されることにより、作動油がポート51、第2油路6
1、第2ソレノイド弁71、第3油路62を介して排出
され、クラッチプレート50aとクラッチディスク50
bとの摩擦係合は解放される。
【0032】この第2クラッチ17のクラッチプレート
50aとクラッチディスク50bとの間には、解放時に
おいて引きずり現象が発生することなく、完全に解放状
態になるように、充分なクリアランス(ガタ)が設けら
れている。従って、結合時にあっては、クラッチプレー
ト50aとクラッチディスク50bとが結合状態に入る
前に、先ず、該クリアランス(ガタ)を略ゼロにし、無
効ストロークを解消するための所謂ガタ詰め操作が実施
される。
【0033】なお、第1クラッチ15、第2ブレーキ2
3等については、第2クラッチ17と略同一の構成であ
るから、それらの説明は省略する。以上のような構成の
変速装置本体4を持つ自動変速装置2では、切換レバー
が走行レンジに切換えられて走行しているとき、表1に
示すような摩擦係合要素の結合或いは解放の組み合わせ
により、各変速段が確立されるようになっている。特
に、自動変速モードで走行しているときには、前述した
ように回転速度センサ7で検出される出力回転速度V及
びスロットルセンサ9で検出されるスロットル開度θTH
に応じて上述の第1〜第3クラッチ15、17、19及
び第1〜第2ブレーキ22、23等の摩擦係合要素が、
各々に設定されたソレノイド弁によってデューティ駆動
制御され、表1に示す組み合わせにより、自動的に各変
速段が確立されるようになっている。表1の○印が各ク
ラッチ或いは各ブレーキの結合を示している。
【0034】
【表1】
【0035】変速時においては、所定のデューティ率に
設定された駆動信号が所定の出力パターンで油圧コント
ローラ5の各ソレノイド弁に供給され、最適な変速制御
が実行される。次に、副変速装置80内のギヤトレーン
の構成及び動作について説明する。
【0036】自動変速装置2の変速装置本体4のドライ
ブキャリア26からは、副変速装置80の入力軸である
インプットシャフト81が延びており、このインプット
シャフト81の先端には、外周にスプラインの形成され
たスプラインギヤ82が設けられている。そして、この
スプラインギヤ82と対向して、スプラインギヤ82と
同一径であり且つ同一スプラインの形成されたハブ83
が設けられており、同図に示すように、このハブ83か
らは、インプットシャフト81と同一軸心を有するアウ
トプットシャフト84がインプットシャフト81とは逆
方向に延びている。
【0037】インプットシャフト81のスプラインギヤ
82よりもドライブキャリア26寄りの位置には、ギヤ
85が設けられており、このギヤ85はインプットシャ
フト81と平行に配設されたアイドルシャフト86に設
けられたギヤ87と噛合している。また、アイドルシャ
フト86のギヤ87と離間した位置には、ギヤ87より
も小径で歯数の少ないギヤ88が設けられており、この
ギヤ88は上記アウトプットシャフト84周りで回転自
在なギヤ89と噛合している。ここに、インプットシャ
フト81及びアウトプットシャフト84とアイドルシャ
フト86とは平行であって、且つギヤ87がギヤ88よ
りも小径であることから、ギヤ89はギヤ85よりも大
径で歯数が多くされている。
【0038】同図に示すように、ギヤ89には、一体に
して、スプラインギヤ82と同一径且つ外周に同一スプ
ラインの形成されたスプラインギヤ90が設けられてい
る。このスプラインギヤ90は、ハブ83を挟んでスプ
ラインギヤ81と対象位置となるようにしてハブ83と
対向している。また、ハブ83には、ハブ83の外周面
の幅と略同一幅であって内周面にやはりスプラインの形
成されたスリーブ91が外嵌されている。これらハブ8
3のスプラインとスリーブ91のスプラインとは互いに
係合しており、ハブ83はスプライン方向で摺動自在と
されている。従って、このスリーブ91がスプラインギ
ヤ82側に摺動すると、スリーブ91のスプラインとス
プラインギヤ82のスプラインとが噛み合うことでスリ
ーブ91を介してハブ83とスプラインギヤ82とが一
体となり互いに同期回転可能になる。一方、スリーブ9
1がスプラインギヤ90側に摺動すると、スリーブ91
のスプラインとスプラインギヤ90のスプラインとが噛
み合うことでスリーブ91を介してハブ83とスプライ
ンギヤ90とが一体となり互いに同期回転可能となる。
【0039】なお、ここでは図示しないが、スリーブ9
1の外周に沿い形成された溝91aには上述の切換レバ
ー95の先端が係合しており、この切換レバー95がド
ライバによってハイモード側及びローモード側のいずれ
かに操作されると、スリーブ91が移動させられて位置
が切換わることになる。つまり、切換レバー95がハイ
モード側(通常切換状態)に切換えられ、スリーブ91
がスプラインギヤ82側に摺動した状態(図示の状態)
では、インプットシャフト81からの入力は、スプライ
ンギヤ82、ハブ83を介して回転数の増減なく(ギヤ
比ρH=1)で直接アウトプットシャフト84に伝達さ
れる。一方、切換レバー95がローモード側に操作され
てスリーブ91がスプラインギヤ90側に摺動した状態
では、インプットシャフト81からの入力は、一旦アイ
ドルシャフト86、ギヤ89を介して一定のギヤ比ρL
(ρL>1)で減速された後にスプラインギヤ90、ハ
ブ83を介してアウトプットシャフト84に伝達され
る。
【0040】同図に示すように、上記アウトプットシャ
フト84はトランスファギヤボックス100内を貫通し
ており、以下、トランスファギヤボックス100につい
て説明する。アウトプットシャフト84には、外周にス
プラインの形成されたハブ101が設けられており、ま
た、外嵌するようにしてアウトプットシャフト84周り
に回転自在なプーリ102が設けられている。プーリ1
02には、ハブ101と同一径であり且つ外周に同一ス
プラインの形成されたスプラインギヤ103が設けられ
ている。
【0041】ハブ101には、ハブ101の外周面の幅
と略同一幅であって内周面にやはりスプラインの形成さ
れたスリーブ104が外嵌されている。これらハブ10
1のスプラインとスリーブ104のスプラインとは互い
に係合しており、ハブ101はスプライン方向に摺動自
在とされている。従って、このスリーブ104がスプラ
インギヤ103側に摺動すると、スリーブ104のスプ
ラインとスプラインギヤ103のスプラインとが噛み合
うことでスリーブ104を介してハブ101とスプライ
ンギヤ103とが一体となり互いに同期回転可能とな
る。
【0042】同図に示すように、アウトプットシャフト
84と平行にしてサブシャフト106が配設されてい
る。このサブシャフト106には、プーリ102同様の
プーリ107が設けられており、これらプーリ102,
107はベルトまたはチェーン等の環状の連結帯105
によって互いに同期回転可能に連結されている。なお、
ここでは図示しないが、スリーブ104の外周に沿い形
成された溝104aには上述の切換レバー110の先端
が係合しており、この切換レバー110がドライバによ
って2輪駆動側及び4輪駆動側のいずれかに操作される
と、スリーブ104が移動させられて位置が切換わるこ
とになる。つまり、切換レバー110が2輪駆動側に切
換えられ、スリーブ104がハブ101上に位置されて
いる状態では、ハブ101はスプラインギヤ103を回
転させないことからアウトプットシャフト84のみがエ
ンジン1の出力を2輪からなる駆動輪にのみ伝達するこ
とになる。一方、切換レバー110が4輪駆動側に操作
されてスリーブ104がスプラインギヤ103側に摺動
した状態(図示の状態)では、アウトプットシャフト8
4の回転はプーリ102、連結帯105、プーリ107
を介してサブシャフト106にも伝達され、これによ
り、エンジン1の出力はアウトプットシャフト84に接
続された2輪のみならず他の2輪にも伝達され、即ち4
輪全輪が駆動されることになる。
【0043】図5は、ECU6が自動変速装置2に対し
て実行する変速制御を示すフローチャートである。以
下、自動変速装置2の変速制御内容について説明する。
この変速制御では、先ず、ステップS10において、副
変速装置80の副変速段がハイモードであるか否かを判
別する。判別結果がYes(肯定)で副変速段がハイモ
ードである場合には、次にステップS12に進む。
【0044】ステップS12では、自動変速装置2のシ
フトパターンを図6に示したハイモード時シフトマップ
によるハイモード時のシフトパターン(所定の変速パタ
ーン)とする。このハイモード時のシフトパターンは、
上述したように、副変速装置80の副変速段がハイモー
ドであるときのギヤ比ρHが値1であることから、自動
変速装置2の通常のシフトパターンとされている。
【0045】そして、次のステップS16において、こ
のハイモード時シフトパターンに基づいた摩擦係合要素
の油圧制御が上述した表1の組み合わせに応じて実施さ
れ、これにより変速制御が実現される。詳しくは、表1
に示す摩擦係合要素の組み合わせを達成すべく解放側摩
擦係合要素から油圧を解放し、一方、結合側摩擦係合要
素に油圧を供給して上記ガタ詰めの後摩擦係合要素の掴
み換えを実施することになるが、この掴み換えについて
は公知であり、ここでは詳細についての説明を省略す
る。なお、変速時の結合側摩擦係合要素とは、表1に照
らしていえば、例えばアップシフトであれば、1速段か
ら2速段への1−2アップシフトに関しては第2ブレー
キ23を、同様に2速段から3速段への2−3アップシ
フトに関しては第2クラッチ17を、また同様に3速段
から4速段への3−4アップシフトに関しては第2ブレ
ーキ23をそれぞれ示し、解放側摩擦係合要素とは、1
−2アップシフトに関しては第1ブレーキ22を、2−
3アップシフトに関しては第2ブレーキ23を、3−4
アップシフトに関しては第1クラッチ15をそれぞれ示
す。ダウンシフトではこれら結合側摩擦係合要素と解放
側摩擦係合要素とが逆になる。
【0046】一方、ステップS10での判別結果がNo
(否定)で副変速段がハイモードではなくローモードで
ある場合には、次にステップS14に進む(変更手
段)。このステップS14では、自動変速装置2のシフ
トパターンを図7に示したローモード時シフトマップに
よるローモード時に対応したシフトパターン(変更変速
パターン)とする(選択手段)。
【0047】図7のローモード時シフトマップでは、図
6のハイモード時シフトマップに比べ、各シフトモード
毎のシフトパターン(実線がアップシフトを、一点鎖線
がダウンシフトを示す)が、スロットル開度θTHが高く
ない領域、つまりスロットル開度θTHの低中開域(低中
負荷域)において出力回転速度Vが大きくなる側、つま
り高速度側に変更されている。
【0048】より詳しく説明すると、図8には、例えば
1−2アップシフトのシフトパターンの変更内容を示し
てあるが、同図に示すように、ローモード時シフトマッ
プでのシフトパターン(破線)は、ハイモード時シフト
マップでのシフトパターン(実線)に対し、スロットル
開度θTHが所定値θ1である点を略基点としてホールド
パターン(二点鎖線)側、即ち出力回転速度Vの大きい
側に振り子状に変更されている。つまり、シフトパター
ンはスロットル開度θTHの低中開域において高速度側に
変更されるが、スロットル開度θTHが所定値θ1に近い
中開度では変更の度合いが小さく、スロットル開度θTH
が所定値θ1から離れて低開度になるに従い変更の度合
いが大きくなるようにされている。ここに、所定値θ1
は、エンジン1が最大出力状態となるときのスロットル
開度であり、この所定値θ1より高い領域はスロットル
全開域(高負荷域)を意味している。また、ホールドパ
ターン(二点鎖線)は、許容最高速度Vにのみ依存しス
ロットル開度θTHの変化には全く影響を受けないシフト
パターンのことである。なお、本実施例では、このホー
ルドパターンを実際の変速制御には用いていない。
【0049】ところで、通常は、副変速段がローモード
である場合には、ハイモードである場合に比べて変速機
全体のギヤ比が大きくなり、従って、副変速段がローモ
ードである場合の方がハイモードである場合よりも同一
の車速Sに対するエンジン回転速度NEが大きくなる。
そこで、ここでは、副変速段がローモードであるかハイ
モードであるかにかかわらず、ホールドパターンを便宜
上共通とすることを目的として、シフトマップの速度情
報(横軸)を車速Sではなく自動変速装置2の出力回転
速度Vで規定している。
【0050】なお、図8において、1−2アップシフト
でのホールドパターンを規定する自動変速装置2の出力
回転速度V0は、1速段においてエンジン回転速度NEが
レッドゾーンを越えない程度の所定回転速度(許容最高
速度)に設定されている。よって、副変速段がハイモー
ドである場合においてスロットル開度θTHがスロットル
全開域とされた場合には、エンジン回転速度NEが比較
的低い状態でシフトアップが余裕をもって実施される一
方、変速段がローモードである場合にスロットル全開域
とされた場合においては、エンジン回転速度NEがレッ
ドゾーンを越えない範囲で良好にシフトアップが実施さ
れる。
【0051】このように、副変速段がローモードである
場合に、上記の如くシフトパターンが変更されると、変
速の出力回転速度Vへの依存度が大きくなり、変速がス
ロットル開度θTHの変化には影響を受け難くなる。つま
り、図8中、符号Aの状態から同一の出力回転速度Vに
おいてスロットル開度θTHが急に小さくされて符号Bの
状態にされたとき、ハイモード時のシフトパターン(実
線)では1速段から2速段にシフトするのであるが(図
6参照)、ローモード時のシフトパターン(破線)で
は、変速段が1速段のままに好適に保持されるのである
(図7参照)。
【0052】なお、上記実施例では、ローモード時のシ
フトパターンを図8中に破線で示したシフトパターンと
して説明したが、このローモード時のシフトパターンを
上記のホールドパターン(二点鎖線)に一致或いは略一
致させるようにしてもよく、また、ローモード時のシフ
トパターンを、図9中に二点鎖線で示すように、スロッ
トル開度θTHの中開域でのみ大きく、ホールドパターン
側にホールドパターンと一致するほどまで変更させたも
のとしてもよい。この場合には、スロットル開度θTHの
低中開域での変速は、全くスロットル開度θTHには影響
を受けず出力回転速度Vの変化のみによって実施され、
例えば図9中の符号Aの状態から同一の出力回転速度V
においてスロットル開度θTHが急に小さくされて符号B
の状態にされたときでも、変速段は確実に1速段に保持
される。
【0053】このように、副変速段がローモードである
場合のシフトパターン(破線)にあっては、この図8の
1−2アップシフトに限られず、全てのアップシフトモ
ード(1−2アップシフト、2−3アップシフト、3−
4アップシフト)に関して、同様にシフトパターンがス
ロットル開度θTHの低中開域において高速度側に変更さ
れる(図7参照)。従って、変速は出力回転速度Vの変
化への依存度が大きくされる一方、スロットル開度θTH
変化による影響が小さくされるのである。例えば、図6
中及び図7中には、変速段が2速段とされる状態を符号
Cで示してあるが、この符号Cの状態から同一の出力回
転速度Vにおいてスロットル開度θTHが急に小さくされ
て符号Dの状態にされたときには、図6に示すハイモー
ド時のシフトパターンでは2速段から3速段、さらには
3速段から4速段にまでシフトアップしてしまう一方、
図7に示すローモード時のシフトパターンでは、ある程
度出力回転速度Vが大きくなるまでの間はやはり変速段
が2速段のままに好適に保持されるのである。
【0054】このことから、通常副変速段がローモード
である場合にあっては、勾配の大きな坂路或いは悪路を
走行中であって高駆動トルクを必要としていることが多
く、ドライバによってアクセルペダル(図示せず)の踏
込操作が頻繁に行われてスロットル開度θTHが大きく変
化することが多いのであるが、このようなときであって
も、簡単にはシフトアップが実施されず、変速段は、あ
る程度出力回転速度Vが大きくなるまでの間、良好に現
在選択されている変速段に保持され、好適な駆動トルク
を発生させることができるのである。
【0055】以上、主にアップシフトに関して説明した
が、図7から明らかなように、副変速段がローモードで
ある場合には、シフトパターンはアップシフトに限られ
ずダウンシフトに関しても同様に変更されている。つま
り、ダウンシフトの場合においても、アップシフトの場
合と同様にして、変速はスロットル開度θTHの影響は受
け難くされ、出力回転速度Vの変化への依存度が高くさ
れている。従って、ローモード時のシフトパターンで
は、副変速段がハイモードである場合に比べて、アクセ
ル操作による頻繁な変速が実施されなくなり、やはり、
駆動トルクを良好に保持することができる。
【0056】なお、図7において、1−2ダウンシフト
に関しては、図6のハイモードでのシフトパターンと全
く同じものとされている。以上、詳細に説明したよう
に、本発明の自動変速機によれば、通常の変速段である
ハイモードと低速段側のローモードとの切換え可能な副
変速装置80が連結された自動変速装置2において、ハ
イモード時シフトマップとともに、このハイモード時シ
フトマップのシフトパターンを変更したローモード時シ
フトマップとを備え、副変速装置80の副変速段がハイ
モード時にあってはハイモード時シフトマップに基づき
変速制御を行う一方、ローモード時にあってはスロット
ル開度θTHの影響を受け難いローモード時シフトマップ
に基づいて変速制御を行うようにしているので、副変速
段がローモードである場合において、ドライバがアクセ
ルペダル操作を頻繁に行いスロットル開度θTHが大きく
変化することがあっても、変速段が容易にシフトアップ
或いはシフトダウンすることがない。従って、不要なア
ップシフト、ダウンシフトが防止され、スロットル開度
θTHの変化によらず現在選択されている変速段が好適に
保持され易くなり走行フィーリングが向上する。
【0057】また、本発明の自動変速機によれば、副変
速装置80の副変速段がハイモードであるかローモード
であるかをインプットシャフト81の回転速度NAとア
ウトプットシャフト84の回転速度NBとに基づいて判
別することも可能であるので、別途新たに副変速段検出
センサ96を用いてコストアップさせることなく容易に
副変速段のローモード状態を検出することができる。
【0058】なお、上記実施例では、自動変速装置2は
出力回転速度Vとスロットル開度θTHとに基づいて変速
制御を行っているが、出力回転速度Vの代わりに車速S
に基づいて変速制御を行うようにしてもよい。この場
合、スロットル開度θTHが所定値θ1以上のときの出力
回転速度Vに対応するオーバラン防止用の最大車速S
は、副変速装置80がローモードである場合よりもハイ
モードである場合の方が高いことはいうまでもない。つ
まり、1−2アップシフトに関していえば、図6中にハ
イモードでの出力回転速度V0に対応する最大車速S0を
示してあり、図7中にはローモードでの出力回転速度V
0に対応する最大車速S0’を示してあるが、ローモード
での最大車速S0’は当然ながらハイモードでの最大車
速S0よりもギヤ比ρL分だけ小さいのである。
【0059】また、上記実施例では、エンジン負荷情報
としてスロットル開度θTHを用いるようにしたが、これ
に限られず、吸入空気量やマニホールド負圧をエンジン
負荷情報としても同様の効果が得られる。
【0060】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
請求項1の自動変速機によれば、車両のエンジンに連結
され、エンジンの出力回転を低速段と高速段との間で変
速して車輪に伝達可能な自動変速装置と、自動変速装置
に直列に設けられ、自動変速装置と協働してエンジンの
出力回転を少なくとも低速側にさらに変速して車輪に伝
達する副変速装置と、副変速装置の変速状態を検出する
変速状態検出手段と、自動変速装置の出力回転速度また
は車速とエンジン負荷とに基づき所定の変速パターンに
従って自動変速装置の変速制御を行う変速制御手段と、
副変速装置の変速状態が低速側にあるとき、所定の変速
パターンのうちエンジン負荷の低中負荷域における部分
を自動変速装置の少なくとも低速段の実行される出力回
転速度域が拡大されるよう変更する変更手段とを備える
ようにしたので、副変速装置の変速状態が低速側にある
ときには、所定の変速パターンのうちエンジン負荷の低
中負荷域における部分を、自動変速装置の少なくとも低
速段の実行される出力回転速度域の拡大される方向に変
更して変速制御を良好に実施できる。従って、エンジン
負荷が低中負荷域の場合においても高負荷域の場合と同
様に出力回転速度がある程度高回転速度で変速が実行さ
れるようにでき、変速を主に出力回転速度の変化にのみ
依存させ、エンジン負荷の変化には殆ど依存させないよ
うにでき、不要な変速を防止して走行フィーリングを向
上させることができる。
【0061】また、請求項2の自動変速機によれば、所
定の変速パターンは、エンジン負荷が所定値以上の高負
荷域では出力回転速度が自動変速装置の低速段における
許容最高速度に達するまで自動変速装置の低速段を保持
するとともに、エンジン負荷が所定値より小さい低中負
荷域では変速の達成される出力回転速度が許容最高速度
以下の範囲内でエンジン負荷の増大に応じて大きくなる
ような関係に基づき変速を行うものであって、変更手段
は、副変速装置の変速状態が低速側にあるとき、所定の
変速パターンのうちの低中負荷域の部分を変速の達成さ
れる出力回転速度が同一負荷上で高速度側となるよう変
更するので、副変速装置の変速状態が低速側にあるとき
には、所定の変速パターンのうちの低中負荷域の部分に
おいて変速の達成される出力回転速度を同一負荷上で高
速度側となるよう変更できる。従って、変速制御を良好
に実施でき、不要な変速を防止して走行フィーリングを
向上させることができる。
【0062】また、請求項3の自動変速機によれば、所
定の変速パターンは、エンジン負荷が所定値以上の高負
荷域では出力回転速度が自動変速装置の低速段における
許容最高速度に達するまで低速段を保持するとともに、
エンジン負荷が所定値より小さい低中負荷域では許容最
高速度以下の出力回転速度の範囲内で変速を行なうもの
であって、変更手段は、副変速装置の変速状態が低速側
にあるとき、所定の変速パターンのうちの低中負荷域の
部分における変速の達成される出力回転速度を許容最高
速度或いはその近傍となるよう変更するので、副変速装
置の変速状態が低速側にあるときには、所定の変速パタ
ーンのうちの低中負荷域の部分について、変速の達成さ
れる出力回転速度が許容最高速度或いはその近傍となる
よう変更できる。従って、変速制御を良好に実施でき、
不要な変速を防止して走行フィーリングをより向上させ
ることができる。
【0063】また、請求項4の自動変速機によれば、変
速制御手段は所定の変速パターン及び変更手段により変
更された変更変速パターンを含む複数の変速パターンを
記憶する記憶手段を有し、変更手段は、さらに、記憶手
段に記憶された複数の変速パターンから副変速装置の変
速状態に応じた変速パターンを選択する選択手段を含ん
でなるので、副変速装置の変速状態に応じて所定の変速
パターン或いは変更変速パターンを適宜選択でき、副変
速装置の変速状態が低速側にあるときには、容易にして
エンジン負荷の低中負荷域における部分を好適に変更し
て変速制御を実施できる。
【0064】また、請求項5の自動変速機によれば、副
変速装置は自動変速装置の出力軸に直列に設けられてお
り、変速状態検出手段は、副変速装置の入出力軸の回転
速度に基づき副変速装置の変速状態を検出するので、副
変速装置の入出力軸の回転速度に基づいて副変速装置の
変速状態を容易に検出でき、別途専用の変速状態検出手
段を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動変速機が適用されるパワープ
ラントの概略構成図である。
【図2】図1中の変速装置本体内、副変速装置内及びト
ランスファギヤボックス内のギヤトレーンの概略構成図
である。
【図3】図2中の変速装置本体内のギヤトレーンの摩擦
係合要素の油圧制御回路の概略構成図である。
【図4】図2中の変速装置本体内のギヤトレーンの摩擦
係合要素であるクラッチまたはブレーキを示す断面図で
ある。
【図5】図1中のECU(電子制御ユニット)が実行す
る変速制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】副変速装置においてハイモードが選択されたと
きに使用されるシフトマップを示す図である。
【図7】副変速装置においてローモードが選択されたと
きに使用されるシフトマップを示す図である。
【図8】ハイモード用のシフトマップからローモード用
のシフトマップへの変更例を示す図である。
【図9】ハイモード用のシフトマップからローモード用
のシフトマップへの他の変更例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速装置 3 トルクコンバータ 4 変速装置本体 5 油圧コントローラ 6 ECU(電子制御ユニット) 7 回転速度センサ 8 車速センサ 9 スロットルセンサ 10 変速機構 15 第1クラッチ 17 第2クラッチ 19 第3クラッチ 22 第1ブレーキ 23 第2ブレーキ 80 副変速装置 82 スプラインギヤ 83 ハブ 90 スプラインギヤ 91 スリーブ 95 切換レバー 96 副変速段検出センサ(変速状態検出手段) 100 トランスファギヤボックス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のエンジンに連結され、前記エンジ
    ンの出力回転を低速段と高速段との間で変速して車輪に
    伝達可能な自動変速装置と、 前記自動変速装置に直列に設けられ、前記自動変速装置
    と協働して前記エンジンの出力回転を少なくとも低速側
    にさらに変速して前記車輪に伝達する副変速装置と、 前記副変速装置の変速状態を検出する変速状態検出手段
    と、 前記自動変速装置の出力回転速度または車速とエンジン
    負荷とに基づき所定の変速パターンに従って前記自動変
    速装置の変速制御を行う変速制御手段と、 前記副変速装置の変速状態が前記低速側にあるとき、前
    記所定の変速パターンのうち前記エンジン負荷の低中負
    荷域における部分を前記自動変速装置の少なくとも低速
    段の実行される出力回転速度域が拡大されるよう変更す
    る変更手段と、を備えたことを特徴とする自動変速機。
  2. 【請求項2】 前記所定の変速パターンは、エンジン負
    荷が所定値以上の高負荷域では出力回転速度が前記自動
    変速装置の低速段における許容最高速度に達するまで前
    記自動変速装置の低速段を保持するとともに、前記エン
    ジン負荷が前記所定値より小さい低中負荷域では変速の
    達成される出力回転速度が前記許容最高速度以下の範囲
    内で前記エンジン負荷の増大に応じて大きくなるような
    関係に基づき変速を行うものであって、 前記変更手段は、前記副変速装置の変速状態が前記低速
    側にあるとき、前記所定の変速パターンのうちの前記低
    中負荷域の部分を変速の達成される出力回転速度が同一
    負荷上で高速度側となるよう変更することを特徴とす
    る、請求項1記載の自動変速機。
  3. 【請求項3】 前記所定の変速パターンは、エンジン負
    荷が所定値以上の高負荷域では出力回転速度が前記自動
    変速装置の低速段における許容最高速度に達するまで前
    記低速段を保持するとともに、前記エンジン負荷が前記
    所定値より小さい低中負荷域では前記許容最高速度以下
    の出力回転速度の範囲内で変速を行なうものであって、 前記変更手段は、前記副変速装置の変速状態が前記低速
    側にあるとき、前記所定の変速パターンのうちの前記低
    中負荷域の部分における変速の達成される出力回転速度
    が前記許容最高速度或いはその近傍となるよう変更する
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動変速機。
  4. 【請求項4】 前記変速制御手段は前記所定の変速パタ
    ーン及び前記変更手段により変更された変更変速パター
    ンを含む複数の変速パターンを記憶する記憶手段を有
    し、 前記変更手段は、さらに、前記記憶手段に記憶された前
    記複数の変速パターンから前記副変速装置の変速状態に
    応じた変速パターンを選択する選択手段を含んでなるこ
    とを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の自動
    変速機。
  5. 【請求項5】 前記副変速装置は前記自動変速装置の出
    力軸に直列に設けられており、前記変速状態検出手段
    は、前記副変速装置の入出力軸の回転速度に基づき前記
    副変速装置の変速状態を検出することを特徴とする、請
    求項1乃至4のいずれか記載の自動変速機。
JP8007267A 1996-01-19 1996-01-19 自動変速機 Pending JPH09196159A (ja)

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JP8007267A JPH09196159A (ja) 1996-01-19 1996-01-19 自動変速機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015068483A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 本田技研工業株式会社 車両の変速機

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JP2015068483A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 本田技研工業株式会社 車両の変速機

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