JPH09194875A - 高度不飽和脂肪酸残基含量の高い油脂の製造方法 - Google Patents
高度不飽和脂肪酸残基含量の高い油脂の製造方法Info
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- Fats And Perfumes (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
て高度不飽和脂肪酸、特にEPAあるいはDHA含量の
高い油脂を得ることが困難であった。 【解決手段】 高度不飽和脂肪酸残基を高濃度で含む魚
油を特定の温度まで冷却し、高融点部分をあらかじめ除
去した後、加温してランダムエステル交換し、特定の冷
却速度により特定の温度まで冷却後、析出した三飽和脂
肪酸トリグリセリドを除去し、残りの液相部分で再びラ
ンダムエステル交換を行い、同様の冷却条件で飽和脂肪
酸グリセリドとして析出した固体脂を除去し、この操作
を繰返して、魚油中の飽和脂肪酸残基の大部分を除去
し、さらに比較的融点の高い不飽和脂肪酸残基含有油脂
を順次除去する。
Description
成脂肪酸として高度不飽和脂肪酸、特にエイコサペンタ
エン酸(以後「EPA」という)および/またはドコサ
ヘキサエン酸(以後「DHA」という)含量の高い油脂
を得る方法に関する。
であり、このため溶融した油脂を冷却して結晶を析出さ
せ、ろ過等により分別することにより、新しい物性の油
脂を得ることができる。この分別には一般に、高融点ワ
ックスを除く「脱ろう」と、低融点ワックスおよび固体
脂を除去する「ウィンタリング」とがある。
ラダ油を得るために開発された方法で、綿実油から低温
で析出する固体部、すなわち綿実ステアリンを分離除去
する。このウィンタリングは、低温室の中に設けたタン
クに原料油を入れ、タンク全体を冷却することにより低
温で析出する結晶を成長させ、この結晶をろ過すること
により行われる。
定の脂肪酸の濃度を高めることも行われている。たとえ
ばエステル交換反応と分別を組合せた技術として、特公
平4−58315号および特公平3−47837号等が
あるが、これらはいずれも固体脂を配合又は含有する植
物性の液状油を酵素エステル交換し、その後に1回の分
別により固体脂を除去して、液状油、特に冷却試験に合
格するサラダ油グレードの液状油を得ることを目的とし
たものである。ここでサラダ油とは、JAS(日本農林
規格)にもとづいて、0℃で5.5時間曇り又は結晶が
析出しないものをいう。
ような従来のウィンタリング技術は、特定の不飽和脂肪
酸を構成脂肪酸とする油脂の製造を目的としたものでは
ないために、魚油のような天然の油脂からグリセリド構
成脂肪酸として高度不飽和脂肪酸、特にEPAあるいは
DHA含量の高い油脂を得るためという特定の目的には
適していない。このためとくに、構成脂肪酸が高濃度の
EPAおよびDHAであるグリセリド油脂を得ることが
困難であった。
して高度不飽和脂肪酸の豊富な魚油から単に分別ろ過の
方法では達成しえない、さらに高含量のEPAおよび/
またはDHA残基を有する油脂を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
を解決すべく、鋭意研究をした結果、ウィンタリングを
行った後、ランダムエステル交換と特定の冷却条件およ
び分別の組合せ操作を繰返すことにより、高濃度のEP
AおよびDHAを構成脂肪酸とする油脂が得られること
を見出し、この新たな知見にもとづいて本発明を完成す
るに至った。
濃度に含む魚油を特定の温度まで冷却し、高融点部分を
あらかじめ除去した後、加温してランダムエステル交換
し、特定の冷却速度により特定の温度まで冷却後、析出
した三飽和脂肪酸トリグリセリドを除去する。残りの液
相部分を用いて再びグリセリド組成を平衡に戻すべく同
様にランダムエステル交換を行い、同様の冷却条件で飽
和脂肪酸を有するグリセリドとして析出した固体脂を除
去する。この操作を繰返し、魚油中の飽和脂肪酸残基含
有油脂の大部分を除去し、さらに比較的融点の高い不飽
和脂肪酸残基含有油脂を順次除去して高度不飽和脂肪酸
残基特にEPA,DHA残基含量の高い油脂の製造法を
提供するものである。
い不飽和脂肪酸残基含有油脂を効果的に除去することが
きわめて重要である。ここで比較的融点の高い不飽和脂
肪酸残基含有油脂とは、油脂としての融点が0〜15℃
で、不飽和脂肪酸としての二重結合が2個までのものを
意味する。このような比較的融点の高い不飽和脂肪酸残
基含有油脂は、エステル交換反応後に、1〜3℃/時間
の冷却速度で、0〜15℃まで好ましくは5〜10℃ま
で徐冷することにより除去することができる。冷却速度
は3℃/時間より早いと、析出する結晶が小さくなって
ろ過しにくく、1℃/時間より遅くしても結晶状態は変
らないが、冷却するために長時間を必要とし、結果的に
効率が悪くなる。また徐冷到達温度が0℃より低いと、
処理すべき油脂がゲル化ないし固化しやすく、15℃よ
り高いと目的とする高度不飽和脂肪酸残基含有油脂の歩
留が悪くなる。
油に比べて、高度不飽和脂肪酸残基含量のさらに高い油
脂を得ることができる。すなわち原料魚油がDHA,E
PAを約30重量%の含有量で含んでいるのに対し、本
発明によれば、55%重量以上の高い含有量でDHA,
EPAを含んだ油脂を安定的に得ることができる。
高濃度で含む原料魚油としては、いわし類のうるめいわ
し、かたくちいわし、まいわし等の他、するめいか、に
しん、まさば等、あるいはまぐろ類のきはだまぐろ、く
ろまぐろ、めばちまぐろ等から得られる油脂が使用でき
る。
去、およびつづいて行われるランダムエステル交換の工
程は、次のようにして行うことができる。
基含量の高い魚油の水分を、0.1重量%以下になるま
で脱水する。この脱水は、原料魚油を約90℃〜約13
0℃に加温し、約1時間減圧下で撹拌することにより行
うことができる。
℃まで冷却し、高融点部分を晶析させ、生成した固形分
をろ別して除去する。
当な温度、好ましくは約75℃〜約85℃まで加温し、
ついでエステル交換触媒を添加して、この範囲の温度を
保持してエステル交換反応を行わせる。このエステル交
換反応は、約75℃〜約85℃の温度では約20分間で
完了する。反応の終了は、反応物の色が赤味を帯びるこ
とを目安として判定できる。
リ金属の低級アルコラート(ナトリウムメチラート、ナ
トリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエ
チラート等)を用いることができる。このようなエステ
ル交換触媒の添加量に特に制限はないが、反応原料油脂
の重量の約0.01〜1重量%、通常は約0.2〜0.
3重量%で十分である。
れば水を反応物の3〜4重量%添加して反応を停止さ
せ、ついで反応物を遠心分離機にかけて触媒を除去し、
さらに温湯、好ましくは90℃程度の温湯による洗浄、
遠心分離を繰返して、最後に減圧にして脱水する。
1℃〜3℃/時間の冷却速度で0℃〜15℃、好ましく
は約5℃〜約10℃に徐冷して、析出した固体脂をろ過
により除去することにより第1回目の精製を行う。
て、上記と同様のエステル交換反応、遠心分離、洗浄お
よび脱水を行い、得られたランダムエステル交換反応物
を徐冷およびろ過して第2回目の精製を行う。
温度は、第1回目の精製工程で適用された最終冷却温度
よりも低い温度とするが、下限は0℃程度が良い。これ
は、第1回目の精製工程では固化しなかった除去すべき
比較的融点の高い不飽和脂肪酸残基含有油脂を固化させ
るのに有利であるからである。また0℃を下回る温度ま
で冷却すると、処理すべき油脂がゲル化ないしは固化し
てしまい、ろ別操作の作業性が低下し、あるいは該操作
が不能となるためである。この一連の操作を繰返して、
飽和脂肪酸残基含有油脂の大部分、さらに比較的融点の
高い、不飽和脂肪酸残基含有油脂を順次除去し、高度不
飽和脂肪酸残基、とりわけEPAおよび/またはDHA
の残基を多量に含む油脂を得る。
ロマトグラフィ:GLC分析による構成脂肪酸組成のう
ち、二重結合が3個以上の高度不飽和脂肪酸の総量:約
38重量%、EPA:12重量%、DHA:21.5重
量%)300gを約90℃に加温し、3〜5mmHgの
減圧下で約1時間撹拌して脱水処理した。ついでこの脱
水魚油(カールフィッシャー法による水分含量:0.0
3重量%)を5℃まで冷却し、高融点部分を晶析させ、
ろ布を用いる加圧式ろ過機を通してろ別した。
ル交換触媒としてナトリウムメチラートを前記ろ液の重
量の0.2重量%添加し、80℃の温度を維持して約3
mmHgの減圧下で撹拌しながら、ランダムエステル交
換反応を行わせた。反応液が赤みを帯びるのを目安にし
て約20分間反応を行った。
反応を停止させ、遠心分離して触媒除去および脱水を行
った後、約2℃/時間の冷却速度で10℃まで徐冷し
た。この冷却には、静置法で約33時間を要した。つい
で析出した固体脂をろ過により除去した。
記と同様にしてエステル交換反応を行い、約20分後に
水約10gを添加して反応を停止させた。ついで約2℃
/時間の冷却速度で5℃まで徐冷し、析出した固体脂の
除去を行った。冷却時間は35時間であった。
ろ過の操作を前記と同様の条件で繰返した(ただし冷却
到達温度は3回目:3℃、4回目:1℃)ところ、4回
目で固体脂の析出はなくなった。この操作により、高度
不飽和脂肪酸残基含量が合計で約72%、EPA残基含
量:20.5%、DHA残基含量:32.0%の油脂約
130gを得ることができた。
分析による構成脂肪酸組成のうち、高度不飽和脂肪酸の
総量:約20重量%、EPA:13.3重量%、DH
A:7.5重量%)500gを約95℃に加温し、2〜
3mmHgの減圧下で約30分攪拌して脱水処理した。
ついでこの脱水魚油(水分含量0.05重量%)を7℃
まで冷却し、高融点部分を晶析させ、濾紙を用いて吸引
ろ別した。
ル交換触媒としてナトリウムエチラートを前記ろ液の重
量の0.3重量%添加し、同温度にて約2mmHgの減
圧下で攪拌しながら、ランダムエステル交換反応を30
分間行わせた。
反応を停止させ、遠心分離して触媒除去および脱水を行
った後、約3℃/時間の冷却速度で15℃まで徐冷し
た。この冷却には、静置法で約25時間を要した。つい
で析出した固体脂をろ過により除去した。
記と同様にしてエステル交換反応を行い、20分後に水
約10gを添加して反応を停止させた。ついで約2℃/
時間の冷却速度で10℃まで徐冷し、析出した固体脂の
除去を行った。冷却時間は30時間であった。
ろ過の操作を前記と同様の条件で繰り返した(ただし冷
却到達温度は3回目:5℃)ところ、3回目で固体脂の
析出はなくなった。この操作により、高度不飽和脂肪酸
残基含量が合計で約85%、EPA残基含量:37.4
%、DHA残基含量:35.0%の油脂約270gを得
ることができた。
油(GLC分析による構成脂肪酸組成のうち、高度不飽
和脂肪酸の総量:約49重量%、EPA:4.0重量
%、DHA:36.5重量%)200gを約95℃に加
温し、3〜5mmHgの減圧下で約1時間攪拌して脱水
処理した。ついでこの脱水魚油(水分含量0.02重量
%)を5℃まで冷却し、高融点部分を晶析させ、ろ紙を
用いて吸引ろ別した。
理し、ランダムエステル交換反応、徐冷およびろ過の一
連の操作を4回繰り返した。これにより、高度不飽和脂
肪酸残基含量が合計で約93重量%、EPA残基含量:
10.2重量%、DHA残基含量:77.0重量%の油
脂約110gを得た。
わしから採取した魚油(実施例1で用いたものと同じ)
300gを用い、実施例1と同様の方法により1回目の
エステル交換反応までを行い、反応を停止させた。その
後、約5℃/時間の冷却速度で10℃まで徐冷した。徐
冷時間は静置法で約13時間を要した。ついで析出した
固体脂をろ過により除去した。
記と同様に2回目のエステル交換反応を行い、約20分
後に水約10gを添加して反応を停止させた。ついで約
5℃/時間の冷却速度で5℃まで徐冷し、析出した固体
脂の除去を行った。冷却時間は約14時間であった。
作を前記と同様の条件で繰り返し、6回目で固体脂の析
出はなくなった。この操作で得られた油脂の高度不飽和
脂肪酸残基含量の合計は、GLC分析によると約47重
量%、EPA残基含量:15.4重量%、DHA残基含
量:24.1重量%と低く、収量は170gであった。
を予め脱水処理したが、高融点部分を除去することな
く、同様に処理した。ランダムエステル交換反応、徐
冷、およびろ過の一連の操作を4回繰り返して得られた
油脂は、高度不飽和脂肪酸残基含量の合計:約42重量
%、EPA残基含量:14.8重量%、DHA残基含
量:24.7重量%であり、収量は155gであった。
をランダムエステル交換反応に供することなく、徐冷、
およびろ過の操作のみを4回繰り返した。これにより得
られた油脂の高度不飽和脂肪酸残基含量、EPA残基含
量、およびDHA残基含量はいずれも原料魚油の各含量
とほぼ同じであった。
ウィンタリングを行った後、ランダムエステル交換と特
定の冷却条件および分別の組合せ操作を繰返すことによ
り、高濃度のEPAおよびDHAを構成脂肪酸とする油
脂を得ることが可能である。
Claims (3)
- 【請求項1】 魚油を5〜10℃まで冷却して高融点部
分を晶析させ、生成した固形分をろ別する第1工程と、 得られたろ液をエステル交換触媒の存在下で所定の温度
に加温してランダムエステル交換反応を行わせ、この反
応終了後、1〜3℃/時間の冷却速度で0〜15℃まで
徐冷し、析出した固体脂を除去する第2工程と、を備
え、 前記第2工程を、徐冷到達温度が前回よりも低く、かつ
0℃よりも高い温度条件で、固体脂が析出しなくなるま
で繰返して、原料魚油に比し、高度不飽和脂肪酸残基含
量のさらに高い油脂を取得することを特徴とする前記油
脂の製造方法。 - 【請求項2】 前記エステル交換触媒が、アルカリ金属
の低級アルコラートである請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタ
エン酸および/またはドコサヘキサエン酸である請求項
1または2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00465196A JP3656863B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 高度不飽和脂肪酸残基含量の高い油脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00465196A JP3656863B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 高度不飽和脂肪酸残基含量の高い油脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09194875A true JPH09194875A (ja) | 1997-07-29 |
JP3656863B2 JP3656863B2 (ja) | 2005-06-08 |
Family
ID=11589865
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00465196A Expired - Fee Related JP3656863B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 高度不飽和脂肪酸残基含量の高い油脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3656863B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004187116A (ja) * | 2002-12-05 | 2004-07-02 | Casio Comput Co Ltd | 行動監視システムおよびプログラム |
JP2010503748A (ja) * | 2006-09-14 | 2010-02-04 | イルシン ウェルズ カンパニー リミテッド | 魚油由来のグリセリド油脂組成物及びその製造方法 |
-
1996
- 1996-01-16 JP JP00465196A patent/JP3656863B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2004187116A (ja) * | 2002-12-05 | 2004-07-02 | Casio Comput Co Ltd | 行動監視システムおよびプログラム |
JP2010503748A (ja) * | 2006-09-14 | 2010-02-04 | イルシン ウェルズ カンパニー リミテッド | 魚油由来のグリセリド油脂組成物及びその製造方法 |
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---|---|
JP3656863B2 (ja) | 2005-06-08 |
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