JPH09191820A - 菓子類の軟化防止方法 - Google Patents

菓子類の軟化防止方法

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JPH09191820A
JPH09191820A JP8006393A JP639396A JPH09191820A JP H09191820 A JPH09191820 A JP H09191820A JP 8006393 A JP8006393 A JP 8006393A JP 639396 A JP639396 A JP 639396A JP H09191820 A JPH09191820 A JP H09191820A
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JP
Japan
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confectionery
tgase
cookie
softening
rice
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JP8006393A
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English (en)
Inventor
Tomotsugu Kuraishi
知亜 倉石
Tomoo Kuhara
智穂 久原
Takahiko Soeda
孝彦 添田
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分含量の少ない、一定の好ましい硬さ
を特徴とする菓子類の軟化防止方法を提供する 【解決手段】 一定の好ましい硬さを示すことを要求さ
れる菓子類の製造法において、トランスグルタミナーゼ
を添加し、作用させる工程を含むことを特徴として構成
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は菓子類の軟化防止方
法に関し、かりっとした或いはさくっとしたいわゆるク
リスピーな食感を特徴とする菓子類の保存に伴う食感の
劣化、水分によって惹起される軟化を防止する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】水分含量が少なく、一定の好ましい硬さ
を示すことを要求される菓子類として、例えば、ビスケ
ット、クッキー、クラッカー、プレッツェル、ウエハー
スなどの小麦粉生地を焼成した菓子や、せんべい、あら
れなどのいわゆる米菓は、そのさくっとした或いはかり
っとした食感がその価値の大きな部分を占めている。呈
味成分、香気成分に何ら変化がなくても、保存中に湿気
を吸ってかりっとした食感が弱くなってしまったり、柔
らかくなってしまったものは、商品価値を失ってしま
う。
【0003】このような、食感の劣化は主として製品が
空気中の水分を吸って軟化してしまう、いわゆる「湿気
る」ことに起因しており、かかる軟化傾向を防ぐ為に、
一般的には包装面で密封性を高めたり、製品の吸湿を防
ぐ為に、シリカゲルなどの吸湿剤を包装中に封入して、
菓子製品の食感を維持する方法が広く行われている。
【0004】しかし、こうした包装形態または吸湿剤の
封入による軟化防止策も、いったん包装を開封し大気に
晒した後で、再び保存したきはやはり食感の軟化は避け
られない。
【0005】また、もともと、水分が少なく一定の硬さ
を特徴とするせんべい、あられなどの米菓は吸湿し軟化
しやすい。特に醤油味をベースとする調味液で表面を味
付けされたものはその傾向が強い。これらの食感の軟化
を抑制する方法として、調味液中に乳化剤を添加した
り、特開平3−151832号公報に開示されているよ
うに、製品の表面にα化澱粉を被覆し、これに水分を吸
着させるようにして製品の食感劣化を防止する方法が提
案されている。
【0006】また、原料の配合に工夫をこらす方策につ
いて、例えば、もち米とうるち米を一定の割合で配合す
ることにより、うるち米だけの米菓よりも適度な硬さの
サクサクとした食感が得られることが特公昭57−34
789号公報に、また、コーンと米を特定の割合で混合
するとよりサクサクとした食感を有するスナック食品が
得られることが特開平7−115907号公報に開示さ
れている。
【0007】減少した軟化傾向を有するパン、菓子類食
品の製造法に関して、特開昭53−56344号公報
に、架橋した炭水化物誘導体を添加することにより、外
的環境からとり込まれる水分をこの添加物に吸収保持せ
しめてパン菓子全体としての食感軟化を抑制する方法が
開示されている。
【0008】このように、一定の好ましい硬さを維持す
る目的で、従来、いろいろな方策が講じられてはいる
が、いずれも間接的に製品の品質を維持する手段であっ
たり、一定の好ましい硬さを要求される菓子類全般を対
象とするものではなく、特定の菓子類にしか適用できな
い限定的なものであったり、本来原料配合中に含まれて
いない添加剤による食感の改良であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、菓子
類原料の構成成分として含まれている蛋白質を酵素によ
る温和な処理で改質することによって、菓子類の軟化を
防止する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究の結果、トランスグルタミナーゼ
(以下、「TGase」と略記する)がタンパク質また
はペプチド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボキシアミ
ド基と一級アミンとのアシル転移反応を触媒し、一級ア
ミンがタンパク質中のリジン残基である場合は、ε−
(γ−Glu)−Lys架橋結合を形成させる作用があ
ることに着目した。その結果、一定の好ましい硬さを示
すことを要求される菓子類の原料配合ベースにTGas
eを添加、作用させてタンパク質間に架橋結合を形成さ
せることで、全体がより緻密な構造となり、透湿抵抗の
増大に伴ない、保存中に水分によって惹起される軟化傾
向を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0011】すなわち、本発明は一定の好ましい硬さを
示すことを要求される菓子類の製造法において、TGa
seを添加し、作用させる工程を含むことを特徴とする
菓子類の軟化防止方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。
【0013】本発明において、一定の好ましい硬さを示
すことを要求される菓子類として具体的には、クッキ
ー、クラッカー、ビスケット、プレッツェル、ウエハー
ス、その他穀粉から構成されるスナック菓子、せんべ
い、あられ、油揚せんべい、油揚あられなどがあげられ
る。もちろん、これらは単なる例であって、これ以外の
硬さを保持する必要のある菓子類には、本発明の方法は
適用できることは言うまでもない。
【0014】TGaseを添加、作用させる菓子類の原
料配合ベースは、一般には小麦粉あるいは米粉、その他
の穀粉、水(牛乳を使用する場合もある)、塩、及び必
要に応じて油脂類、卵、砂糖、添加剤から作られる。T
Gaseは前述したように、蛋白質を基質として作用す
る酵素であるから、当該食品ベースはその成分として蛋
白質を含んでいる。当該食品ベースの調整方法、材料の
添加順序などは、従来の方法に準じて行えばよい。
【0015】本発明の効果をより一層発揮させるため
に、TGaseを添加、作用させる際に、任意の添加剤
を組み合わせることも可能である。かかる添加剤として
は、乳化剤、澱粉、大豆蛋白などのタンパク質素材、タ
ンパク質部分加水分解物などをあげることができる。
【0016】菓子類の原料配合ベースの代表的なものは
小麦粉を主体とした生地であり、小麦粉以外の穀粉、例
えば全粒粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉を用いることも
可能である。尚一つの代表的なものは米粉を主体とした
生地であり、これには、米粒、もち米粒を用いることも
可能である。
【0017】本発明で使用するTGaseは、TGas
e活性を有する限り、その起源を特に問わず、例えばス
トレプトベルチシリウム層(Streptoverti
cillium層)などに属する微生物由来のもの(特
開昭64−27471号公報)、モルモットなどの哺乳
動物由来のもの(特公平1−50382号公報)、タラ
などの魚類由来のもの(関信夫ら、昭和63年度「日本
水産学会誌」56巻1号125頁(1990))、バイオ
テクノロジーを利用する遺伝子組換法によって得られる
もの(特開平1−300889号公報、特開平5−19
9883号公報、特開平6−225775号公報)など
を用いることができる。
【0018】TGaseを添加する濃度は菓子類の原料
配合ベース中のタンパク質1g当たり0.01U以上2
0U以下、好ましくは0.05U以上10U以下であ
る。濃度が0.01U未満では期待されるTGase使
用の効果が得られず、逆に20Uを超えると蛋白質間架
橋形成反応が過剰となって歯切れが悪くなり、極めて硬
い製品が製造されてしまうからである。TGaseの最
適使用量は対象となる菓子類によって異なるが、これは
前記使用量範囲を参考にしたいくつかのトライアルを行
なうことにより容易に見いだすことができる。
【0019】なお、本発明でいうTGaseの活性単位
は、以下に示すようなハイドロキシメート法で測定さ
れ、かつ、定義される。すなわち、温度37℃、pH
6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−
L−グルタミルグリシン及びヒドロキシルアミンを基質
とする反応系で、TGaseを作用せしめ、生成したヒ
ドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体のを形成
させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロ
キサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒ
ドロキサム酸を生成せしめた酸素をTGaseの活性単
位、1ユニット(1U)とする(特開昭64−2747
1号公報参照)。
【0020】TGaseを菓子類の製造法において添加
する方法を示せば、次のとおりである。
【0021】本発明に従って減少した軟化傾向を有す
る、一定の好ましい硬さを特徴とする菓子類を製造する
際には、TGaseが当該菓子類全体あるいは硬さを必
要とする部位に対し、ほぼ均一に作用するようにすれば
よい。例えば、菓子類の原料配合ベースに直接加えても
よく、あるいは当該ベースに加える水または牛乳に予め
TGaseを溶かしておき、これを当該ベースに練り込
む方法、TGaseの粉末を当該ベースを構成する粉
末、例えば小麦粉あるいは米粉とよく混合しておいてか
らその他の材料と混合し作用させる方法などTGase
を加える手段については特に限定されない。また、成型
後の製品に対し、外側からTGaseを作用させるよう
な方法も提案できる。例えば、米菓では餅生地を成型し
て乾燥させた後で、焼成したり油ちょうしたりといった
最終加工することがあるが、乾燥米菓生地の表面にTG
ase水溶液を塗布して酵素反応を行ってから、焼成あ
るいは油ちょうする場合にも、本発明の効果を得ること
ができる。
【0022】本発明の方法によりTGaseを菓子類の
原料配合ベースに作用させるには、TGaseを添加し
た後でそのベースがTGaseの作用条件下におかれる
工程を製造工程中に含めればよい。TGaseの作用条
件としては、0〜70℃、好ましくは10〜50℃にて
10分乃至48時間、好ましくは30分乃至2時間保持
することが適当である。
【0023】本発明においては、上述したような、TG
aseを添加し、作用せしめる工程を置くことを除いて
は、原材料を含めて従来の方法、工程を変更することな
く、製造を行うことができる。TGaseを添加して調
整した原料配合ベースを最終製品とするまでの間に、必
要な程度の酵素反応が進行するようにTGaseの添加
量や工程の温度を調節することも可能であるし、最終の
加熱工程(焼成や油ちょう、通常この工程で酵素は失活
する)の前に必要量の酵素反応が進行するような「ねか
せ」の時間をとるような方法も可能である。
【0024】このように、本発明によれば、従来菓子製
品を製造するのに使用されてきた原材料、添加物、工程
を変更することなく、TGaseを添加し作用させる簡
単な工程を加えるだけで、いわゆる好ましい硬い食感を
より長時間維持し、保存中の軟化傾向が低減された、嗜
好性の高い製品を得ることができるのである。
【0025】また、一般に本発明が対象とする一定の好
ましい硬さを示すことを要求される菓子類においては、
製造工程中に製品が割れてしまったり、欠けてしまった
りして、商品価値を失ってしまうことがしばしばある。
このような割れたり、欠けた菓子は、製造上のロスとな
ることはもちろんであるが、完全な製品と仕分けして商
品とする必要があり、こうした選別の手間が更に製造コ
ストを上げる原因にもなっている。更に、出荷された最
終製品が消費者の手に渡るまでの間に、物理的な衝撃や
流通過程での揺れなどにより、割れたり欠けて商品価値
を失ってしまうおそれもある。しかし、本発明により、
TGaseを添加して作用させて製造された菓子類にお
いては、TGaseの作用により小麦粉又は米粉生地の
強度が向上しているので割れたり欠けたりしにくい、大
量生産に向いた好ましい硬さを有する菓子類を製造する
ことができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。尚、以下の実施例において、TGaseとしてはS
treptoverticillium mubara
ense由来のものを用いた。
【0027】実施例1 (クッキーの製造方法)生地の配合を下記表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】上記原料の小麦粉と、当該小麦粉中のタン
パク質1g当たり1UのTGaseをあわせてふるいに
かけた。一方、バターと砂糖をよく混合し、ついで卵を
加えて混合した。このペーストに粉を加えよく混ぜ合わ
せながら練り、ひとまとめの生地にして、5℃前後で1
時間ねかせ、酵素反応を進行させた。
【0030】対照として、TGaseを加えないで同様
に生地を調製した。
【0031】クッキー生地を厚さ約5mmに延ばし、リ
ーフ型で抜いて170℃にしたオーブンで10分間焼成
した。
【0032】得られたクッキーの粗熱がとれてから、1
0名のパネラー(男女各5名)により官能評価を行っ
た。硬さ、クリスピー感、食感の好ましさ、風味の好ま
しさ、外観の好ましさを絶対評価し、各人の評点の平均
値を求めた。その結果を下記表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】このように、TGaseを添加したクッキ
ーの方がクリスピー感に優れ、好ましいと判断された。
外観上、風味の点では、本発明によるTGase添加品
と無添加品で有意差は認められなかった。
【0035】実施例2 (クッキーの食感の経時変化)実施例1において製造し
たクッキーをポリエチレンの袋に入れ、袋の口をゴムで
止め、シリカゲルなどの吸湿剤は一切封入しないで、保
存3日後、7日後の食感を同様にして経時的に評価し
た。結果は表3に示したとおりであった。
【0036】
【表3】
【0037】実施例3 (米菓:あられの製造方法)もち米700g(蛋白6.
5%)を洗い、もち米中のタンパク質1g当たり5Uに
相当するTGase(227.5U)を1Lの水に溶か
し、このTGase水溶液に16時間室温(20℃)にて
もち米を浸漬し、酵素反応を行なった。反応終了後、も
ちつき機を使用して、蒸しともちつきを行い、のしもち
をつくった。対照として、TGase無添加のもち生地
を調製した。
【0038】もちを7mmに切り、2日間陰干し乾燥
後、焼成した。粗熱がとれてから、醤油、砂糖からなる
調味液に片栗粉でとろみをつけたものを表面に塗布し
て、110℃前後で10分間乾燥し、製品とした。焼成
当日の食感及び焼成後ビニール袋に入れて1週間室温で
保存した後の食感を実施例2と同様の方法で官能評価を
行った。結果を下記表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4に示した結果から明らかなように、米
菓ではTGase水溶液にもち米を浸漬するだけで、軟
化防止効果が現れた。また、この場合は製造直後はTG
ase添加品、対照品ともにかりっとした食感であった
が、1週間保存した後では、対照品は湿気を帯びて歯切
れが悪くなってしまうのに対し、TGase添加品は焼
成直後と変わらないあられとして必要な硬さを保ってい
た。
【0041】
【発明の効果】本発明では、以上示したように、一定の
好ましい硬さを示すことを要求される菓子類の製造にお
いて、TGaseを加え、作用させる、という極めて簡
単な工程を置くことにより、軟化傾向が低減され、好ま
しい硬さをより長時間維持し得る菓子類の製造が可能と
なった。これにより、当該菓子類に求められる好ましい
硬さ、クリスピー感などが付与され、また、大量生産に
おける製品の割れや欠けも抑制することができる等、工
業的に利点の多い製法を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定の好ましい硬さを示すことを要求さ
    れる菓子類の製造法において、トランスグルタミナーゼ
    を添加し、作用させる工程を含むことを特徴とする菓子
    類の軟化防止方法
  2. 【請求項2】 小麦粉を主体とした生地にトランスグル
    タミナーゼを作用させる請求項1記載の菓子類の軟化防
    止方法。
  3. 【請求項3】 米あるいは/及び米粉を主体とした生地
    にトランスグルタミナーゼを作用させる請求項1記載の
    菓子類の軟化防止方法。
  4. 【請求項4】 添加するトランスグルタミナーゼの酵素
    濃度が食品に含まれるタンパク質1g当たり0.01U
    以上20U以下である請求項1乃至3記載の菓子類の軟
    化防止方法。
JP8006393A 1996-01-18 1996-01-18 菓子類の軟化防止方法 Pending JPH09191820A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0800771A3 (en) * 1996-04-10 1998-03-04 Ajinomoto Co., Inc. Process for producing chocolate
JP2010051196A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Tokyo Univ Of Agriculture 小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法

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